全20件 (20件中 1-20件目)
1
昨晩ようやく出演映画の台本を読了。この台本は、オレがプロダクション会社を訪問した際、会社のスタッフがオレのセリフが書かれたページだけを抜き出して渡そうとしていたのを、「自分のセリフの書いてあるページは自分で探しておくからいいよ」と言って、全ページをせしめてきたものだ。台本は、全ページにオレの名前が“透かし”で入っている。映画の公開前にコピーを勝手にばら撒かれたりしないためであろう。オレの出るシーンは最初の数ページだけで、しかも台本の残りのストーリーとは基本的に関連がないので、台本を全部もらったところで自分の役どころには関係ない。しかも、ビデオゲームをベースにした近未来アクション・ホラー映画になんてもともと関心ないし、「自分が出演する映画」でなければタダでも観に行かないようなジャンルだ。ただ、ほかの日本人の役がどんな感じかは、台本を読んでぜひ確認しておきたかった。「狙撃者その1」のクリスは、撮影の際、自分はホントは「テクニシャン」の役が演りたかったと言っていた。なぜかというと、テクニシャン役がいちばんセリフが多いからだという。先日の日記に書き忘れたが、主演級の俳優は別としても、出演料は基本的にセリフの数に比例する。映画に登場している時間が短くとも、その間にたくさんセリフをしゃべる配役のほうが、長時間ただ無言で登場する配役よりも多くの出演料をもらえるのだ。クリスはかつてハリウッド映画で東洋人マフィアの役を演ったことがあるくらい、大柄で濃い顔をしていて声も野太い。どう考えても理工系の「日本人技術者」のイメージにはほど遠い(笑)。やっぱり、うりざね顔でペタッとした髪をしていて、細い目にメガネをかけて鼻に掛かった声で離すよう男でないと、「日本人技術者」という感じじゃない。まだオレのほうが、髪を七三に分けてメガネを掛ければ、よっぽど日本人技術者のイメージに近いに違いない。そういうオレ自身、正直なところ、無名の「狙撃者その2」よりは、ちゃんと名前のある「キャプテン」の役を演りたかったというところはあった。しかしオレはこの台本を読んで、キャプテン役はプロの俳優を配するのが無難だと思った。というのは、オーディションの時にもらった台本では、キャプテンとの通信が途絶えるシーンで終わっていたのが、最新の台本では、それが敵に攻撃されたキャプテンが血を吐いて死ぬシーンに変わっていたからである(笑)。「応答せよ」と何度もせかされても、なぜか無言のまま応答しないキャプテン。その無言の口元から、突然血が噴出し、「信じられない」といった表情でバタンと倒れるキャプテン。…こんな重要なシーンは、ちょっとニワカ俳優のシロウトに任すにはリスクが高すぎる…とプロダクションや監督が判断したとしても無理もない。一方テクニシャン役は、台本を読むとたしかにセリフは多いが、あまり個性を求められないような役であった。というより、むしろ個性があり過ぎると逆効果になるような役である。悪役のボスの指示にしたがって、モニターに敵の侵入の様子を表示して客観的な事実関係の報告をしたり、そんな忠実な技術者の役。画面に出るなり否応なしに強い印象を残してしまうような、濃い顔をした個性の強い俳優では困るのだ。けっして存在感を残さない、自然に画面の奥に引っ込んでしまうような、「影の薄さがウリの俳優」に対する需要もきっとこの業界にはあるのだろう。それにしても、なかなか面白い脚本であった。マトリックスにせよダイハードにせよ13日の金曜日にせよ、前作が売れたので続編も!…という要望に応えて製作される映画は、続編のほうが売れることはあまりないと思うのだが、この映画は興行収入的には2作目が1作目よりも落ちたものの、3作目がいちばん儲かったらしい。それで「…じゃあ、4作目も!」という話になったらしいが、なにせこの近未来映画は2作目の副題が『終局』、3作目が『絶滅』である。絶滅したらもう話は終わりじゃん!と思うのだが、今回作の副題は『来世』だという(笑)。なんだか、終わった話を営業的な要請に応じて無理矢理復活させて続編を作っている感じがするが、そんなかなり無理のある背景の中、脚本担当を兼ねる監督はなんとか筋の通ったストーリーに仕上げている。まるで少年ジャンプの売れっ子連載マンガ家のようだ(笑)。まあ、この4作目が1年後に公開されて、どこまで売れるのかは想像に難いが、もしさらなる続編の製作が決まって(しかし、『絶滅』『来世』の後の続編っていったい何やねん?)また日本が舞台になるようなことがあったら、またオレを使ってよね監督。ミラに半裸で嬲り者にされる東洋人の役とかサ、迫真の演技しちゃうぜ~。
2009.09.30
コメント(12)
狙撃者1のシーンは、午前中から午後にかけて、同じセリフでカメラアングルだけ変えて3~4回撮影される。その間、主演のミラ・ヨボヴィッチのカメリハが行われる。オレはミラを間近に見られるとあって、ワクワクしていた。タバコを吸うために頻繁にスタジオの外に出ていたクリスは、さっきトレーラーのそばでたまたまミラとすれ違って会話を交わしたと言って興奮している。オレは本気で嫉妬した(笑)。ミラが来る前にまずスタントの代役でカメリハをする。狙撃者のセットとは反対側のスタジオのコーナーにシートが敷かれ、たくさんの角度から照明が当てられる。その前にカメラとモニター、さらに大きな3Dモニターが置かれる。黒いタイトなコスチュームを着たスタント代役のカレンがカメラの前に立つ。カレンはこのまま主演が務まりそうなくらい美人だと思う。専門は沖縄拳法だそうだが、スタントマンにしておくのは実に勿体ない。30分くらいして、ミラがスタジオに入ってきた。…カッコイイ!カレンでも十分カッコいいと思ったが、カメラの前に立ったミラは、とてもこの世の存在とは思えないような、マンガの世界から飛び出してきたような超絶的なプロポーションをしている。これで3歳だか4歳の子持ちなのだ。たかがカメリハでも、カリスマのオーラをバンバンに放っている。小道具のスタッフが出てきて、ミラの背中に2刀の日本刀(の模造品)をX型に装着する。そうだ、このシリーズ第4作目ではミラは忍者っぽい黒のコスチュームで、刀とか手裏剣とかいった武器を使って敵を倒すのだ(笑)。監督の合図でミラは腕を背中に回して2刀の刀を抜き、左右対称にまるでバトンのようにクルクルと回してポーズをキメた。スゲーカッコイイ!次々とアクションをキメるミラに、ミラの夫でもある監督が「ビューティフル!」「グレイト!」「ラブリー!」を連発する。どのアクションもほとんど一発のテイクでOKだ。ほんの15分やそこらで終わったカメリハの最後に、監督がミラの元に歩み寄り、両手で頭部を掴んでミラと比較的長いキスを交わした。ミラもうっとりした表情をしている。2人が夫婦であることを知らなかったら、かなりドキッとする情景だ。ダーリンとかハニーとか呼び合いながら、2人は名残惜しそうに別れた。…しかし羨ましいなあ(笑)。ミラはこの後も何度か狙撃者のシーンの撮影現場に登場して、オレのような端役のシロウトにも笑顔で手を振ってくれた。ミラはかつてモデルをしていたその超絶的なルックスだけでなく、性格の良さと勤勉さでもこの業界で評価が高い。親がロシアとセルビアの移民で、パリにも長いこと住んでいたので、5ヶ国語くらいを話すらしい。ルックスも性格も頭もいいのだ(笑)。午後もけっこう遅くなって、ようやくオレの「狙撃者その2」のシーンの撮影になった。もう1つのビルの屋上のセットは二階のバルコニーくらいの高さで、カメラ・アングルも2つくらいしか撮らないので、「狙撃者1」に比べて単純なセットだ。クリスやプロダクションのネーちゃんが、いよいよアナタの出番だと、半分励ましのような、半分プレッシャーを掛けるようなことをチラチラと言ってくる。しかし、オーディションの時もそうだったが、オレは不思議とぜんぜん緊張しないのだ。小学校の学芸会でアガりまくってセリフを忘れた記憶がウソのようだ。セットに登ると、クレーンの先に付いたカメラがオレの頭の高さに迫ってくる。照明がまぶしい。青っぽくて、月の光のようだ、と思う。監督の指示に従い、極力身を低くしてライフルを構える。監督がオレの名前をちゃんと覚えてくれているのがちょっとだけウレシイ。オレはもとの台本ではマドンナを射殺することになっていたようなサディストなので、月光に冷笑を浮かべた表情でライフルのスコープを覗いている。標的確認。ナイスショットだな。…ふん、まだ宵の口だ。標的だってまだまだたくさん….と、ここまで喋って、ライフルだけが右に左に動くのが映った後、何者かに連れ去られる。ここでカット。次に、数百メートル離れた狙撃者1のナイスショットに敬意を表するポーズを加えて、同じセリフで1テイク。次に、カメラを狙撃者1に見立てて、ずっとカメラに顔を向けたままセリフを述べて、同じく1テイク。次に、冷笑が行き過ぎたか、監督の指示で笑みを抑え気味にして1テイク。さらにカメラアングルを変えて、2テイクくらい。以上、ものの30分程度で狙撃者2のシーンの撮影終了。おそらくこれらのカットが映画に登場するのは全部で数秒に過ぎないのであろう。姿勢を固定していたので背中に若干の汗をかいているが、強烈な照明を浴びた割りには頭部にはちっとも汗をかいていない。初めての映画撮影なので、カメラを前にして緊張するかと思ったが、ぜんぜんアガらなかったなあ…と思う。両狙撃者のカットの撮影はこれですべて終了。カメラ・ディレクターが、一緒にいい仕事が出来た、云々とお愛想を言ってくれる。スタジオを去る前に、プロダクションのスタッフに手渡されたタイムシートのようなものに終了時刻を書き込んでサインをする。...そうだ、これも一応労働だったのだ(笑)。たしか、昨日サインした契約書には、コスチューム合わせや撮影などの拘束時間1時間につき70数ドル、1日8時間以上の残業分は1時間110数ドルと書かれていた。今日は12時間近い拘束時間になったので、今日1日だけで10万円近くになるわけか?これに加えて、この出演契約に610数ドル、さらに印税に当たる報酬に出演料の130%に当たる800ドルくらいが支払われると配役会社から聞いた。こちとら、ほんのエキストラ気分で応募した仕事なだけに、こんな貴重な経験をさせていただいた上にこんなに報酬をいただけるなんて、なんだか申し訳ないっす。クリスの話では、いちばん実入りのいいのがCMへの出演で、そのCMが1回放映されるたびに印税が入る仕組みなので、たった1日の撮影の後もそのCMが続く限り毎月何千ドルのチェックが入ってきたという。こりゃ、役者稼業に慣れてしまうと、マジメな堅気の仕事ができなくなったとしても、無理もない(笑)。たった1日で終わってしまった映画俳優体験に、後ろ髪を引かれるような気持ちでスタジオを後にした。その後誰か出演予定だった日系人俳優に不都合が発生するなどしてまた撮影に呼ばれないだろうか…などと、今でも虫のいい期待をしているオレであった。(いちおう終わり)
2009.09.26
コメント(12)
高校の体育館2個分、天井までは4階建て分くらいはありそうなスタジオ内に入ると、照明が当てられたビルの屋上のセットの上で、旧ドイツ軍みたいなヘルメットを被ったアジア人の男がライフルを構え、射撃のポーズをとっている。おそらくカメラ・リハーサルの最中なのだろう。オレら「俳優」のほかに、カメリハ用の「代役(ダブル)」も雇われているわけか。ライフルはあくまで小道具のニセモノらしく、先端に取り付けられた四角い箱状のものから煙が出るようになっている。カメラのフレームにはライフルの先端までは映らないので、箱状のオカシナものがついていても問題ないのだ。セットの背景には緑色の幕が張られている。このシーンは渋谷駅前のビルの屋上という設定なので、あとでネオンサインの看板なんかの映像とCGで合成するわけだ。今回の映画は3Dで上映予定なので、普通のカメラやモニターに加え、3D用のデカいモニターがカメラ後方に並んでいて、監督たちが3Dメガネを掛けて映像を見ている。後ろにまわってモニターを見てみると、ちゃんと「夜の渋谷の屋上」に見えているのがスゴイ。セットは一見するとチャチだが、映像は実にリアルだ。見ていてゾクゾクしてくる。セットの陰に呼ばれ、複数の小道具スタッフがミリタリー・ベストやホルスターなどを次々にオレらの身体に装着してくれる。ミリタリー・ギアは小道具部門の管轄なので、コスチュームとは別個に装着するのだ。自分の身体に複数の他人がいろんなものを着せてくれるのはちょっとだけこっ恥ずかしいが、オレ自身ミリタリー・ギアなど身につけたことがないし、小道具の人たちにやってもらわないと何をどこに着けたらいいのか皆目見当がつかない。次に音声のスタッフらしき男がやってきて、先に撮影する狙撃者1の俳優(クリス)のヘルメットに極小マイクを取り付け、コスチュームの内部を通して録音機(あるいは発信機)らしきものを配線する。映画の設定では、狙撃者1は、別のビルの屋上にいる狙撃者2と無線で会話をする設定になっている。現代の軍事業界では、会話は「スロート・マイク」と呼ばれる喉の振動をキャッチする首輪状のマイクを通して無線でなされるので、オレたちは胸部に配置されたボタンを押し、小声で会話をするという設定だ。それにしてもすごい数のスタッフだ。監督陣、カメラ、照明、音声、小道具、大道具、コスチューム、プロダクション etc.。スタジオの中だけでも50~60人はいるか。ほかにもスタジオの外にメイクアップのスタッフ、食事・スナック供給スタッフ、トレーラーのメンテスタッフなどもいる。テレビの世界の倍以上の数と思われるスタッフがスタジオの中を右往左往しているのだ。いよいよクリスがセットに上がって、リハーサルが始まる。監督の「アクション!」の掛け声とともに狙撃者1がライフルを撃ち放ち、小道具のスタッフがセットの下からチューブに煙を吹き込むと、それがライフルの先端から上がる。狙撃者1は弾丸のシェルを拾い上げ、屋上のコンクリート・フェンスの上に並べてから、胸部のボタンを押して狙撃者2に標的の確認を命じる。狙撃者2のオレが標的に命中したことを確認した旨を告げると、狙撃者1はそれが今晩3人目であることを自慢する。それに対し、まだ今晩1人の標的しか打ちとめていない狙撃者2は、まだ宵の口であり勝負はこれからだ、云々と言って食い下がる。そこで何者かが狙撃者2を襲い、無線が途切れる…。狙撃者1は突然切れた無線に動揺し、狙撃者2のいる屋上にライフルのスコープを向ける。しかし屋上にはライフルだけが残され、狙撃者2はいない。パニックに陥る狙撃者1。…シーンはそこまでである。監督がセットの下に歩いてきて、シェルを並べながらセリフを語るようクリスに指示する。しかしクリスは、胸部のボタンを押さずに狙撃者2と会話するのは不自然だと反論し、結局本番ではシェルを並べる動作は止めることに決まる。一方、クリスの日本語はかなり不自然で、セリフもところどころ間違っているが、オレ以外は誰も日本語を知らないので、それを指摘する者はいない(笑)。数回のリハーサルの後、本番に移る。カメラ監督の指示でカメラのロールを合図するブザーが鳴り響き、その余韻が止むとスタジオの中は静まり返っている。スタッフがおもむろにカメラの前に歩み寄り、デジタルの赤い数字が並んだカチンコ(英語ではslate と呼ぶ)を軽く鳴らすと、カメラ監督が「セット」云々と叫び、最後に監督が「…アーンド、アクション!」を叫ぶ。同時にクリスがライフルを撃ち放ち、シェルをイジェクトする。クリスはこれまで何度もハリウッド映画やCMに出演しているプロの俳優だ。いちばん有名なのはスズキ自動車のCMで、和太鼓を叩く彼の姿は北米で5年間に渡って放映されていたという。演技はたしかにプロのそれだ。監督の指示にも適確に対応している。しかし日本語はかなりアヤシイ。たとえば、セリフにある「除去(jokyo)」という日本語を知らないらしく、「ジョーキョー(状況)」と発音している。また、「渋谷中央」というのが狙撃者2(及びその責任区)を意味することが分かっていないらしく、「渋谷、中央」のように区切って発声している。オレもプライドを傷つけない程度に何度か指摘はしたが、一時的には直ってもすぐに元に戻ってしまう。根本的な問題なので、どうしようもない。日本側の製作スタッフに見せたらおそらく「俳優交代」の指示が出そうな状況だが、製作はあくまでハリウッドであり映画のマーケットも主に北米なので、「日本語の自然さ」にそこまでこだわっていないのかも知れない。いずれにせよ、端役のニワカ俳優のオレが口を出すことではないので、オレは誰にも何も言わずに黙っている。(つづく)
2009.09.25
コメント(8)

台本を渡されたのは撮影の前日であった。世界的にヒットした日本の某ビデオゲームを元に作成されたこのSFアクション・ホラー映画は今回でシリーズ第4作目になるのだが、舞台はアメリカ本土からアラスカと日本に移る。オレは架空の国際企業の日本拠点(しかも渋谷)を警備するキャプテンの役でオーディションを受けたが、直前になって「狙撃者その2」の役を与えられた。というのも、キャプテン役はセリフのほとんどが英語である一方、狙撃者はセリフがすべて日本語なので、日系人の日本語だとウソくさくなってしまう。ハリウッドなんかとちがって、トロント近郊には日本生まれの日本人中年俳優などほぼ皆無なのだ。オレの撮影日は撮影初日であったが、台本を見たらオレの登場するシーンはなんと映画のオープニングであった。基本的に台本の順番に撮影していくのだろうか。いずれにせよ、ホントは名前のない一狙撃者より名前のあるキャプテンの役が演りたかったところだが、映画のオープニングとなるとチョイ役でもちょっと晴れがましい気分だ(笑)。ただ、オーディションから撮影直前までの間に台本がかなり改訂され、狙撃者その2のセリフは大幅にカットされていた。ホントならオレは武道館での公演のために訪日しているマドンナをビルの屋上から面白半分でライフル射殺する役だったのだが(笑)、そのシーンもカットされていた。オレが画面に登場するのは、セリフの数からいってもほんの数秒だろう。というか、映画のシーンなんて編集段階でいくらでもカットされるので、もしかしたらオレの登場するシーンがまるごとカットされる可能性もあるか(笑)。その撮影スタジオは、トロントのダウンタウンに行くときにいつも通っているハイウェイの終点付近にあった。何かの倉庫か工場の建物だろうと思って特に気にも留めなかったのだが、撮影スタジオだったのか。馬鹿デカイ駐車場の端にはトレーラーが何台も停められている。オレも「俳優用トレーラー」に案内された。端役とは言えちゃんとトレーラーに入れてもらえるのか(笑)。 オレの氏名とまではいかないものの、ちゃんとオレの役名がドアに貼ってある。右隣は「狙撃者その1」、左隣は「主人公のスタント代役」、さらに向こうは「スタント・コーディネーター」の部屋らしい。主人公を演じるミラ・ヨボヴィッチのトレーラーはもちろん名前が貼られているだけでなく、1台のトレーラーを独り占めである。オレらのトレーラーは1台を壁で仕切って4人で共有、1人分はせいぜい3畳間くらいか。 部屋の中には前日に試着・調整した狙撃者のコスチュームが吊るされている。数日前にネバダの砂漠の中を自動車で飛ばしている最中にプロダクション会社から携帯電話が掛かってきて、このコスチュームのために全身の寸法を訊かれた。時速75マイル(125キロ)で運転しながら足のサイズとかズボンの裾の長さとかをインチに換算して電話で答えるのは命懸けであった。背中に貼られている架空企業の日本語のロゴが、悲しいほどにチャチだ。日本人がこの映画を見て失笑する様子が眼に浮かぶ。撮影まで時間があるのでトレーラーの外でストレッチをしていると、主人公のスタント代役のおネーちゃんがやってきた。...カッコいい!ホンモノよりやや背が低いがスタイルは最高だ。おネーちゃんも荷物を部屋に置いてボクと一緒にストレッチを始めた。さすがプロ、事前準備に余念がない。彼女は前作から主人公を演じるミラのスタントを担当しているそうで、今回は双子の姉(妹)も一緒にミラのスタントを担当するそうだ。なにせ今回の第4作では主人公のクローンもたくさん登場するので、スタントマンが双子というのは作成側にとって願ってもないことだろう(笑)。やがて撮影時刻の直前に「狙撃者その1」がやってきた。あ、この男、初回のオーディションの待合室で見かけた「プロの俳優」のひとりだ。日本の本国ではもうほとんど存在しないのではないかと思うような濃い顔。挨拶なんかはかなり自然だが、やっぱりしゃべる日本語はちょっとたどたどしい。聞くと、英語で書かれた台本のセリフは移民1世の父親に翻訳してもらったという。日本語の読み書きもできないらしく、台本のページには日本語訳のセリフが手書きのローマ字で「Kuso, Daijobu ka?」「Oi, henji wo shiro!」といった具合に書きなぐっている。う~ん、40年前に移民した父親の日本語訳もイマイチだなあ。予定時刻の直前、プロダクション会社のADがトレーラーまで呼びに来て、メイクアップのトレーラーに移動。中には6~7人分くらいの鏡台が並ぶ。ほかの2人はオレより露出度が高いので入念なメイクアップを施されるが、オレはおとといまでの砂漠地帯の旅行で荒れた肌にクリームを塗ってもらった程度で終了。すぐにスタジオに移動する。なお、「機密保持誓約書」にサインしているため、ここから先の画像はない。(つづく)
2009.09.24
コメント(14)

グランドキャニオンからラスベガスまでの行程ではフーバー・ダムに通り掛かります自動車が見学のためにそこかしこで停まるのでとでも混んでいます混雑を避けるために、現在橋を建設中です(写真上部のアーチ)ベガスに到着しました 飛行機が出るまで時間があるのでちょっと観光ニューヨーク・ニューヨークMGMボーリーズホット・ベイブズ、電話は696-9696 今度きたら電話しますルクソール空港にまでスロットマシンが並んでますベガスを発つ直前までカネを搾り取ろうという魂胆です(やっと終わり)
2009.09.23
コメント(8)

モニュメントバレーからアリゾナ砂漠の中を車でとばして3時間緩やかな上り坂を海抜2200mまで登るとグランドキャニオンが現れる夕刻のグランドキャニオン谷底に流れるコロラド・リバー動画1 日没の谷動画2 崖の上の人の大きさグランドキャニオンの日の出を見に行く途中で鹿の親子に遭遇(上の写真はたぶん小鹿の方)日が昇るこの谷が形成されるまでこれが何億回繰り返されたことか朝日に染まる崖ほんの数十分ですっかり朝今日は谷の下までトレイルを下る(赤丸が目的地)コロラド・リバーまでは深さ約1500m今日の目的地は深さ約950m地点谷底は意外にも緑が溢れる土地だったさっき崖の上から見下ろしていた尖り岩を谷底から見上げる目的地まで着いたけど、ちょっとだけ先に進んでみる「ここから先、コロラド川までのルートは険しく、気温も高いので、相応の準備なしでは生還できない場合もある ここから先に進むかどうかはあなた自身の判断です」ボクは今日中にラスベガスまで移動しなければいけないので、そろそろ戻りますあそこまで戻るのかあ(写真の右上の崖)往路に約2時間掛かったから、復路は3時間くらいか谷を降りると言っても、登山の「登る→下る」という順序を逆にしただけのことだコロラド・リバーまで降りると、谷の対岸まで吊り橋が掛かっているらしい次回来るときはきっとコロラド・リバーまで降りるぞ(つづく)
2009.09.22
コメント(8)

モニュメントバレーまでの直線道路 観光客が車を停めて記念写真を撮っているフォレストガンプもここを走っていたっけモニュメントバレーは国立公園でも州立公園でもない。ここはナバホ族が自治する土地で、モニュメント岩(地学用語でビュートとかメサとか呼ばれる)もユタ州とアリゾナ州の両方にまたがって点在している。 アリゾナ州への州境を越え、キャンプ場に到着モニュメントのそばでキャンプをさせてくれるなんて太っ腹だよなあキャンプ場と言っても水道も管理事務所何もないほとんど観光地化されていないのがいいところモニュメントバレーの夜明け「手袋(ミトン)」と名づけられているモニュメントの間から日が昇る朝日を浴びた「センチネル(監視者)」とよばれる岩(メサ)同じく朝日を浴びた「Gray Whiskers (灰色のヒゲ)」と呼ばれる岩「ミトン」の周囲を一周するトレイルを辿ることにする裏側から見ると、けっこう薄っぺらくて脆そうトレイルの東側から見たモニュメント岩(ビュート)「メリック」と「ミトン(手袋)」と呼ばれるビュートユタ州の側にあるビュート。インディアンの頭部の飾り羽根のようだ砂漠に咲く花モニュメントバレーでは誰もが名写真家(つづく)
2009.09.21
コメント(4)

キャピトルリーフ国立公園から3時間先のモニュメントバレーを目指すハイウェイはウォーターポケット・フォールドの褶曲地層の間を縫って走る灰色の地層部分が作り出した山は月面のまるで風景のようだ(動画は画像をクリック)赤い岩山の山脈を抜けると突然視界が開けるこれがグランドキャニオンの上流にあるレイク・パウエルかこの視界の中に過去何億年分の出来事がすべて詰まっている(動画は画像をクリック)モニュメント・バレーみたいな岩もこれもモニュメントバレーもどきまた突然視界が開け、崖の下に平原が広がる(動画は画像をクリック)崖の横に抉り抜かれた急坂を自動車で下る 飛び込みたくなるような眺望(動画は画像をクリック)うわ~平原の中にくり抜かれた、やがてグランドキャニオンに流れ込む枝流かなたにモニュメントバレーが見える(動画は画像をクリック)いよいよモニュメントバレー(つづく)
2009.09.20
コメント(2)

ブライスキャニオン国立公園から、次のキャピトル・リーフ国立公園までの道のりは、地学の専門家や、放浪の達人氏のような地層マニアにはたまらない風景の連続であるSandstone Basin 砂岩盆地 のビデオ(画像をクリック)今回の旅行中で最大標高の約3000m地点からの眺めああ、たまらないこの眺望お~い山を下ると、砂岩の世界から今度は赤い岩の沙漠の世界へキャピトル・リーフ国立公園の最大の見所は Waterpocket Fold (褶曲した地層の侵食)傾いた状態で隆起した地層がそのまま侵食されてこんな地形を生み出す前日の雨で高台への未舗装道がふさがれ、途中の丘の上からの眺めで我慢丘の上から撮ったWaterpocket Foldのビデオ(画像をクリック)(つづく)
2009.09.19
コメント(8)

ザイオン国立公園からさらに山奥に入ると、峠の向こう側には緑が広がるしかし、突如その緑の向こうに紅い巨石群が現れるブライスキャニオン国立公園 その知名度はグランドキャニオンの100分の1なんだここはちょっと下に下りてみる崩れる直前の岩どうやら地層が侵食の特定の段階でこんな状態になるらしいあらららゴシックのカセドラルのようだガウディの建築物みたいのもある物見の塔おーい(つづく)
2009.09.18
コメント(9)

空港を出るとラスベガス市内には目もくれず一路ユタ州への州境を目指す平坦な砂漠の中に延びるハイウェイを延々と走る。車はまばら。しかし暑い。おお。そうだ、こういう風景が見たかったのだアリゾナ州の北西角を一瞬横切り、高度が上がってきたら、まもなくユタ州ベガスから3時間弱でザイオン国立公園に到着砂漠地帯に流れるヴァージン・リバーの上流にはこのような緑の一帯が存在するザイオン国立公園は、ほかの国立公園のような大きな見ものがない代わり、多数のちょっとした見所がある。数とバラエティで勝負だエメラルド・プールの上の小さな滝そうそう、こんな風景が見たかったのだ数あるトレイルの中でも人が少なそうなHidden Valley (隠れた谷)に入るそうそう、こういう場所を期待していたのだ上流から流れてきた岩で谷の間が塞がれているのを乗り越えて進む谷の奥に進むほど両岸の崖が狭まり日が当たらなくなる人の足跡もまばらになってくるそうそう、こういう光景を見たかったのだチェッカーボード・マウンテン表面が碁盤目状になっているからそう呼ばれているらしい(つづく)
2009.09.17
コメント(6)
楽天ブログ仲間のドイモイ氏が連休を利用して、ナイアガラの滝や、ボクの住んでいるトロント方面に来る計画をしていたようなのですが、同氏が同行を予定していた同氏のママが、ナイアガラの滝は行ったことあるからと誘いを断ったので、同氏は今回のカナダ訪問は断念したそうです。ボクも今週末は会社の都合とかで4連休だったので、ドイモイ氏母子がやってきたら、現地ガイドや運転手を買って出ようと思っていたのですが、けっきょく4日間ヒマになったので、アメリカに行ってグランドキャニオンとかモニュメントバレーとかを見てくることにしました。ところで、アイアンマン完走から半月たちましたが、ボクはその後3~4回軽く泳いだ以外、ジョギング程度に軽く走ったのが2回、一度だけ10数キロを自転車でゆっくり走った程度で、あとはゴロゴロして過ごしています。ふつう、アイアンマンを完走したら、1週間はほぼ「絶対安静」に近い休養をとります。そして、2週間目から徐々にトレーニング生活に復帰します。ボクは、2週間目くらいから、自分の身体が運動を欲するような感じがしてきたらぼちぼちトレーニングを再開するつもりでいたのですが、半月たった今のところまだそんな感じはしてきません。ためしに1週間目に走ってみたときは、脚に力が入らなくて、まるで1週間前の続きをやっているようでした。アイアンマン完走経験のあるコーチに聞いたら、一度アイアンマンを完走すると、エネルギー源となるグリコーゲンが全身から枯渇しているので、回復に4~5週間掛かるそうです。4~5日で通常のトレーニングに復帰していたハーフ・アイアンマンとは大きな違いです。まあ、ボクがゴロゴロを決め込んでいるのも、そんな話を聞いたからです。ボクは実は、アイアンマン完走を目指してトレーニングしてきた3年弱の間ずっととても禁欲的な生活をしてきたので、アイアンマンを完走したらパーッと酒池肉林の生活をしてやろうと密かに思っていました。しかし、3年もの間にボクはトライアスロン関係や日加協会関係以外のプライベートな付き合いがほとんどなくなってしまい、そもそも酒池肉林の相手候補さえいないことに気づきました。しょせんアイアンマンと酒池肉林は両立不可能だったようです。まあそんなわけで、パーッとする元気も機会もないまま半月経ってしまったような感じです。しかしあと1週間くらいで例の映画の撮影が始まるとまたいろいろと忙しくなりそうだし、今のうちに、酒池肉林とは行かないものの、山の中でほんとの樹木の林に囲まれて、パーッと駆け回ることにしたわけです。まあ、現地にはラスベガスから出入りするので、カネさえ惜しまなければ酒池肉林も可能なのですが(笑)。ボクはアメリカには計7~8年住んでいた割りに、ヨセミテにもイエローストーンにもグランドキャニオンにも行ったことがなく、それがこれまでちょっとだけ心に引っ掛かっていました。だから、あさってからの駆け足旅行はとても楽しみにしています。さいきんはそんな感じです。(終わり)
2009.09.16
コメント(6)

×××さん、またメッセージをありがとうございますそうですか、ボクの「太く短く」的な人生のダンディズムはもう聞き飽きましたかそれよりも、「自己破壊」から「健康増進」路線への転向、「明日なきパンク野郎」から「自己保身的サラリーマン」への転進について説明不足でしたか風任さん、届きましたなんだかいろいろありがとうございますボクはてっきり理解してもらえてると思ったので説明しなかったのですが、ボクは別に健康のためにマラソンを始めたのではありません。このウェブページでも何度か書きましたが、むしろ自己破壊の欲求を満たすためにマラソンやアイアンマンを始めたんですよ。アナタの言葉でいう「ポトラッチ」(ボクの言葉でいう「タナトス」)です。マラソンを始めたきっかけは、ある市民ランナーがウェブサイトで公開していた完走記をたまたま見つけて読んでいるうちに、その壮絶な記述にシビレて「自分もこの境地を経験してみたい!」と思ったからです。アイアンマンも一緒です。マラソンに飽きたあと、もっと強烈な刺戟を探していた時に、たまたまテレビでアイアンマンの世界選手権を放映してるのを見て、ゴール前で昏倒したり、這ってゴールしたりというシーンを見ているうちに「次はこれだ!」と思ったのです。さっそく30倍カレーを食しました。美味いぜLee!たしかに辛さ増強ソースをかけたら辛かったですそのへんは学生時代の延長です。ホラ、ボクらのような分裂気質の連中は、現実感というか生きている実感を求めて、何につけより極端で過激な方向に走っていくじゃないですか。「痛み」を伴わないと、「生と死」のギリギリの淵のところまで行かないと、「生きた感じ」がしない。激カラじゃないともう「辛い」と感じないんです(笑)。「自己保身」については、たしかにそのへんは多少はオトナになった、ズルくなったかも知れませんねえ。ただ、前にも話したと思うんですが、ボクが自分の最低限の行動規範にしているのは「美意識」ですから、いい加減オッサンになったのにブラブラしているとか、40歳ヅラ下げてパンクな言動や行動を続けているというのは自分にとって「カッコ悪い」ことなので、さすがにやりません。中学時代の美術の先生も言ってましたが、「ネクタイを着こなせるヒッピー(パンクでもいい)」の方がいかにも「ヒッピーらしい格好のヒッピー」よりもカッコいいと思うんです。ま、自己保身的サラリーマンとはいっても、オレみたいな独身の契約社員の身に失うものなんて何もないので、自分の気持ちや信条に反することを歯を食いしばって我慢して笑顔を浮かべてやる、みたいなサラリーマン的ストレスとは無縁ですけどね。映画のチョイ役に出るために会社をクビになる自由もあるし(笑)。…あ、ボクの返信読んでまたムカツイてきましたか(笑)、じゃあこのへんで、さようなら
2009.09.11
コメント(15)
配役会社からまた電話が掛かってきて、監督オーディションの結果もよかったので、いずれかの役で映画に出演してもらうことは決定なので、今月末から来月初旬に掛けて撮影のためにスケジュールを空けておいて欲しい、という。どうやら、使えそうな役者たちを先に確保しておいて、それから適役を検討して割り当てるらしい。オレの想像では、「自然な日本語」が話せる役者の頭数が足りないので、日本語のセリフがちょっとしかないとか、ちょっとナマリのある日本語でもゴマカシが利くような役に日系人を当てて、日本語のセリフが多いとか長い役にオレのような「ネイティブ」の日本人を配するに違いない。だからオレが演じる役は、日本語のセリフの少ない「キャプテン・ホタカ」よりも、名のない「狙撃者1」や「狙撃者2」とかになる可能性が高くなってきたかも知れない。まあ、いずれの役もセリフは4つか5つしかないし、オーディションの時と違う役を撮影直前になって割り当てられても困ることはあるまい。演るよ、演ってやるよ、どの役だろうが。ただ、平日の撮影だろうから、仕事を休まなければいけない。アイアンマンに出る関係で、先月はいい加減休みたい放題休んでいる。そこに今度は「映画撮影のために会社を休む」なんて言ったら、ただでさえ所属部門は繁忙期、おまけに売上げ不振が続き人員削減が進行している昨今、もう次回の契約更新はあり得ないだろう(笑)。しかし、どうせいつ契約を切られるかも知れない契約社員の身、一方でハリウッド映画に出るなんて一生に一度の機会だ、もうこうなったら途中解雇も覚悟である。オレの決意に迷いはない(笑)。日本のパパママ、仕事をクビになったらごめんなさい、でも、○○○の契約社員なんていつでも誰でもなれますが、端役とはいえハリウッド映画に出るなんてもうこのチャンスを逃したら一生ありません、ほんの10~20秒間の出演でも一生フィルムやビデオに残ります。親類縁者にビデオの1シーンを見せては、せいぜい自慢してください(笑)。キャプテンにせよ狙撃者にせよ、悪役だ。オレは子供の頃から悪役に憧れがあって、ヒーローごっこなんかの時は「強い悪役」を買って出て、ヒーロー役のヤツを倒したものだ(笑)。今回の映画では、あいにくヒーロー側の役にあっけなく殺される立場ではあるが、ウワァーとかギャオェーとか言いながら殺されるシーンを演じるのも子供の頃から憧れていた。やはりヒーローごっこで苦悶の表情を浮かべて身を捩り地面にパタリと倒れ、白目を剥いてピクリとも動かなくなる…なんてのも、よくやった(笑)。任せてくれ、カンペキに演じるよ。どの役になっても主演級の俳優・女優と接する場面はなさそうだが、撮影現場ですれ違うことはあるかも知れない。まあ、過去のシリーズ作で主演級の俳優・女優をチェックしたけど、例の監督の奥さんの主演女優を除けば、映画をあんまり見ないオレにはいずれもピンとこない名前ばっかりだけどね。ドイモイさん、ヨヴォヴィッチの唾液のついた紙コップとか、撮影現場で拾ったら送るよ。…ああ、2週間後からがちょっと楽しみ。
2009.09.09
コメント(10)
×××さん、おひさしぶりです、メッセージをありがとうございました。学生時代、自己破壊的な行為を繰り返し、海外で早死にするんだと言って就職もせずに渡米したヤツが、なんだかんだ言ってちゃっかりサラリーマンにおさまって、タバコその他を止めてマラソンランナーになり、それが今度はアイアンマンとやらにまで発展し、早死にするどころか40過ぎまで生きて一層健康になっている事実に対し自分は納得がいかないとのこと。昨年夏、トレーニング中に心臓の異常で倒れたときは「これでようやく逝くか!」と思ったら、検査の結果は問題なしで、今年はアイアンマンのような過酷なレースに出るのだから今度こそやってくれるかと期待していたら、あっさり好記録でゴールしやがって、これまで「いつどんな派手な形で死んでくれるか」と楽しみにしてきたのに、(その間にどんどん年老いて腹も出て体力も落ちてきている)自分は面白くない、これではサギだ、「早死にする」というのを信じてこれまで生きていた自分に対し、納得のいくような説明をしてくれ、というアナタの気持ちは、アナタ自身も言うとおり、きっと学生時代のボクを知る多くの人の意見を代弁しているかも知れません。ただ、「早死に」の件について1つ確認させてください。ボクが当時「早死にする」と言っていたのは、ずっと前にこの日記でちょっと触れましたけど、アナタもよくご存知のとおり、学生時代に所属していた美術サークルの部員たちに事故や盗難といった災厄が次々と起こった際、部員の1人が、その災厄をもたらしたのは不吉な趣味嗜好で知られていたボクではないかと言い出し、その意見に共鳴したほかの部員何名かとともに著名な霊能者のもとを訪れ、ボクの写真を見せた際に、その霊能者から「ああ、この人は長生きしはらへんわ」と言われた、という(その場にいた部員による)報告に由来しています。結局その災厄とボクとは関わりがなかったことが判明したようですが、いずれにしてもその霊能者は、複数の政治家や実業家たちのアドバイザーもしていて、ピッタリ当たった予知や霊視のエピソードも数々ありましたから、ボクをはじめその話を一笑に付す人はいませんでした。…というか、当時のボクの自己破壊的な行動を見ていれば、霊能者に言われるまでもなく、コイツはどうせそのうち一線を越えて死ぬだろうという感じでしたから(笑)、それに著名な霊能者の折り紙がつけば、みんなの心の中で、ボクの早死にはもうほぼ決まったようなものだったと思われます(笑)。確かにボク自身、それ以来「早死に」を宣言して、周囲もわが身を顧みないような選択をしてきたのは事実ですが、決して若いうちに自分で命を絶つようなことを意図したつもりはありません。当時の「早死に宣言」をもっと穏当に言い換えれば、「自分はもういつ死ぬか分からないし、もはや生や保身には執着せず、自分がやりたいと思ったことを遠慮せずに行動に移します」くらいの意味だったと理解してほしいです。人によっては、とくにボクのことを嫌っていた保守的な人たちの中には、周りの空気や世間のジョーシキを顧みずに好き勝手にやりたい放題いいたい放題のボクがいずれ非業の死を遂げるのを、(人によっては悪意を持って、人によっては興味本位で)期待していた人がいた/いるだろうことはぼくも分かります。とくに、40歳を過ぎて、まっとうな道を地道に生きてきた同級生の中にもそろそろ成人病だの癌で死ぬヤツも出てきたというこの時期に、当時は明日なきパンク野郎を標榜していたヤツが海外でまっとうな仕事に就き、ちっとも死にそうな様子がないという事実に期待を裏切られ、この世に神も仏もいるものかと思っている人も中にはいるのかも知れません(笑)。でも、ボクはたしかに「早死に」しませんでしたが、仮にボクが30歳やそこらでホントに早死にしたとして、それがどうだったというのでしょう?アイツは死んだけれども自分はこうして生きている、ザマー見やがれ…といった感じなわけでしょうか?でも人間、ただ生きればいいというものではありません。周りを見てください。別に生きていても死んでいても同じような存在の割にはやたらと生に執着し、しかしこれと言って特に何も成し遂げることもないままブザマな死にざまを迎える人間が人口の大多数を占めてはいませんか。「早死にしてザマー見ろ」と思う人は、早死にした人より長く生きて、何かリッパな偉業でも成し遂げたわけでしょうか?ボクはそういう人の方こそ自分自身の“ザマ”をよ~く見るべきではないかと思うのです。20歳で死のうが40歳で死のうが60歳で死のうが80歳で死のうが、人生の長さと人生の価値の間には相関はあまりありません。つねに自分がやりたいことを追求して充実した日々を送っていれば、20歳で死んでも30歳で死んでも後悔はないと思います。それより、ヘンな見栄だとか臆病とかのせいで、何んだかんだ理由をつけては自分のやりたいことをいつまでも棚上げしてきて、かつての同級生や同期が何かを達成したのを横目で見ては妬んだり焦ったりして、やがて年齢的・体力的にその“夢”だか“希望”だかもだんだん手が届かなくなってきて、気づいたときにはもう時すでに遅し、棺桶はもう目の前で、その悔恨と死への恐怖から逃避するためにボケるようになってきて、あとは夢もうつつも判らない状態のままクタバる…というのが、「長生き」する人の“お決まりコース”ではないでしょうか?そういうアナタも、今は40代前半でまだ「人生折り返し」だと自分に言い聞かせてるのかもしれませんが(笑)、20代の10年間は小中学生の頃の倍以上、30代の10年間は10代~20代の頃の倍以上のスピードで過ぎませんでしたか?そもそも、人生最初の40年の気力・体力を、残りの40年も維持できるような錯覚を起こしてませんか?仮に平均寿命まで生きたとしても、あなたの余生は実質これまで生きてきた40年間の半分もありませんって。早死にしようが長生きしようが、ボクの寿命が来るのもアナタの寿命が来るのももう「あっと言う間」ですから。アナタがボクに早死にしたとかしなかったとか言っている間にも、40歳でガンで亡くなった同級生のように、アナタの身体の中で癌細胞が増殖し始めていないとも限りませんよ(笑)。
2009.09.08
コメント(6)

バイクシューズの靴底の金具でカチャカチャ音を立てて着替えテントに走りながら、自分の体調を確認する。脚は疲れているが、ほかにこれといった痛みや違和感はない。マラソンを走り切る気力も残っている、と思う。ただ、実際にどこまで走れるかは分からない。 自転車180kmを走り終えてトランジションに戻ってきます自転車はボランティアの人に預けます(写真左) これまで180キロを自転車で走ったことは1回しかない。その時はためしに2キロくらい走ってみたが、心身ともに疲労していて、これから42.2キロを走るなんてとても無理だと思った。その後、自転車150キロの後で5キロくらい走ったこともあったが、その時はこれ以上走ったら明日の仕事に支障が出ると感じ、5キロでストップしている。それに、昨年秋に3年ぶりに走ったフルマラソンを別にすれば、ランニング単体でのトレーニングでも最長30キロしか走っていない。要するに、180キロを自転車で走破した後の42.2キロというのは、自分にとってまったく未知の領域なのだ。テントで走る格好に着替えたら、最後のマラソンへと旅立ちます30℃近い暑さを想定し、トランジションバッグの中にはナイキ・スフィアのタンクトップを用意していたが、それほど暑くないし、着替えている時間がもったいないのでこのままバイクジャージで走ることにする。シューズは先月帰国したときに買ってきた、ウルトラマラソン用のアシックス・ サロマLSDである。キャメルバッグに残っていたドリンクを塩分・水分補給のために飲み干し、トランジションを後にする。コース上に出ると、バイクの時と違って走者の姿は比較的まばらだ。走者のスピードもちょうどハーフ・アイアンマンのランの後半のようなスピードで、最初からもうバテている感じ(笑)。たしかに、身体の感覚で言うと、マラソンで30キロを走り終えた後で、さらに一からマラソンをスタートしたような感じである。ランの最初でオハイオ・リバーに架かる橋の上を往復します橋の上の給水所で紙コップを受け取ろうとしているところそれにしても、思ったよりも暑い。25℃くらいあるだろうか。自転車の時は常時風を浴びているので暑さを感じないが、ランはせいぜい時速10キロ程度なので蒸し蒸しする。まあ、これまでの水分・ミネラル分その他栄養分補給は計画どおり出来ている(1時間に1リットルの水分と約1000mgの塩分、20分ごとに100カロリー)。以降も給水エリアごとに計画通りの水分と栄養分を補給すれば、バテが来ることはないはず。12キロの折り返し地点はすぐにやってきた。まだ余裕を感じる。アイアンマンのベテランっぽい年配の男性に何人か抜かれ、何度かスピードを上げたい誘惑に駆られたが、「勝負は30キロ以降だ」と自分に言い聞かせて自重する。先はまだ長い。やっぱり楽しくなってきて、笑っています(しかし笑っていられたのは最初の10キロくらいまででした)しかしこのあたりから例の頻尿の症状がやってきた。さっきまでは暑いと思っていたのに、日が傾いて気温が下がったせいかやたらと冷えを感じ、それに伴い膀胱の圧迫感が気になる。…いや、この冷えは、もしかしたらこれは脱水症状だろうか?いずれにせよ、やたらと尿意を感じ、この後約20分おきに簡易トイレに駆け込み始める。トイレに入って一度ストップしてしまうと、これまでのペースが崩れ、次第にスピードが落ちてくる。集中力が切れてきた証拠だ。やばい。21.1キロの中間地点で、レース前に預けていたスペシャル・ニーズ・バッグを受け取る。中には炭酸を抜いたレッドブルが入れてあるのだ。レース後半のバテてきたタイミングで“気付け”にこの栄養ドリンクを飲んで乗り切ろうと考えていたのである。中間地点を超えて約10分後、コースはダウンタウンに戻ってきた。一気に観衆の数が増え、応援の声が高まってきた。このタイミングでレッドブルが効いてきたらしく、オレは断然元気が出てきた(笑)。笑顔が戻り、ペースも上がってくる。アイアンマンの終盤で絶好調である。すでに2周目を終えたエリート走者がゴールに向かう姿を尻目に、オレは「待ってろよ、あと2時間後には戻ってくるからな!」と英語で独り言ち、2周回目のコースに戻った。ゴールとなるルイビルのダウンタウン、通称 Fourth Street Live 18マイル(29キロ)地点の看板が見えたらスパートしよう。オレはそう思いながら、さらにペースを上げたくなる誘惑を抑えて走り続けた。…しかし。18マイル地点に到達する頃には脚が上がらなくなってきていた。レッドブルが切れたのだ。プラス、レッドブルの効果で調子に乗ってペースを上げたので、脚に来たのだ。さっき上り坂でみんな歩いているのに無理して走ったのもマズかった。さっきまでのレッドブル・ハイの反動で、一気にテンションが下がっている。脚も攣りそう。もはや早歩きと変わらないペースである。オレはとにかく脚の切り返しに意識を集中し、極力スピードを維持した。ただ、周囲の走者はオレよりもさらにペースが落ちているので、それでも次々と前の走者を追い抜いている(笑)。しかし、すぐに尿意に駆られトイレに駆け込み、用を足してトイレからコース上に戻る頃には、さっき追い抜いた人たちが前を走っている(笑)。ずっとこれの繰り返しであった。最後の折り返しあたりからは胃の調子もおかしくなってきて、固形物を入れたらすぐに戻しそうな感じであった。もうラストスパートどころではない。悔しいが、とにかく集中して今のペースをゴールまで維持するだけだ。日がすっかり傾き、路面に懸かる樹木や建物の影も長い。日が暮れるまでにゴールしたい。路傍の看板はあと2マイル(3.2キロ)を示している。トレーニングの時ならあっと言う間に過ぎる距離なのだが、これがやたらと長く感じる。Fourth Street Live をゴール側から見たところダウンタウンのビル群が迫ってくるが、日暮れが迫り応援の観衆の数も1周回目の時より減っていて寂しい。スピードも上がらない。最後の300m地点の角を曲がる。ようやく遠目にゴールのFourth Street Liveが見え、ゴールで待つ観衆の声が聞こえてくる。なんとなく最後の力が出てくる。周りには5~6人の男女が走っているが、すでに力尽きているのか、誰もスパートを掛ける様子はない。ちょっとだけ申し訳ない気がしながら、容易に数人を追い抜いて前に出る。あと100mくらい。あと30秒足らずで、夢にまで見たあのアイアンマンのゴールだ。しかし不思議にも感慨は湧いてこない。あまりにもあっさりした自分の心理に、ちょっと拍子抜けする。あと50m。いよいよ観衆の声が大きくなる。アナウンサーがオレのゼッケン番号を目視確認したらしく、オレのゼッケン番号と出身地と氏名をアナウンスするのが聞こえてくるが、すぐに観衆の声にかき消される。ここでようやくゴールの実感が湧いてきた。カメラを意識して帽子とサングラスを取り、フィニッシュに備える(笑)。日が沈むちょっと前にゴール スゴイ顔をしていますラストスパートから急ブレーキを掛けたために後のめりになってます(しつこいようですが、実際のゴール時間は12時間35分58秒でした) 頭上から強烈な白いスポットライトが当たる。まるで天国にでも到達したかのような感じだ(笑)。半分観衆とカメラを意識してガッツポーズを取る。オーバーアクションに観衆が反応して大きな声が上がる(笑)。目を開けるとフィニッシュ・ラインを過ぎていた。「ついに終わった。」という感じ。キレイな地元ボランティアのお姉さんが待ち受けていて、銀色の防寒シートを掛けて肩を抱いてくれる。そして、表情から健康状態をチェックしながら、何か欲しいものはないか、ゲータレードがいいか、それとも水がいいかなどと親切に聞いてくれる。ああ、なんて象徴的なんだろう。ボランティアはほかにも爺さんとかオッサンがいくらでもいるのに、今日のレースはオレはホントに始終ラッキーだったなあ、と思う(笑)。一方で、あまりにも好条件が重なり過ぎて、自分をギリギリまで追い詰めるところまで行けなかったなあ、とも感じる。アイアンマンを完走したら、もうお腹いっぱい、アイアンマンはこれでもう十分だ、と思うか、それとも不満足な結果に、もう1度挑戦だ、と思うか、どっちだろう?と思っていた。でも今回は、想定したベストな結果以上の記録を出しながら、なんとなく自分の中に不完全燃焼な感じがあって、ゴールを後にしながらオレは「来年もまた自分はアイアンマンに挑戦してるんだろうなあ」…という気がしているのであった。
2009.09.06
コメント(10)

先週ケンタッキー州に向かう車の中で滅多に使わない携帯電話が鳴った。例のトロントの配役会社からの電話で、先週のオーディションの結果がよかったので次のオーディションを受けて欲しいという。今度は監督自らが立ち会うという。マジか。オレはその晩、ホントは翌々日のレース準備やらなにやらで忙しかったのだが、ホテルのインターネットでその監督の名前を調べてみた。なんせ先週のオーディションは事情もよく分からずヒヤカシ気分で受けたので、この映画についてロクに調べていなかったのだ。監督はイギリス人で、この映画の前作3つすべての脚本を書き、2作については監督とプロデューサーを兼ねている。どうやら最近この映画の主演女優と結婚したらしい。ちなみにこの主演女優、どこかで見たような気がすると思っていたのだが、10年くらい前にリュック・ベッソン監督でブルース・ウィルスが主演した『フィフス・エレメント』というSF映画があったが、あれに登場した赤毛のキレイな女性、あれがこの人の妻だという (当時はベッソン監督と結婚していたらしい)。チョイ役とはいえ、なんだか大きな話になってきたなあ。今回のオーディション会場は前回とは別の配役エージェンシー会社だ。会場に出向くと、前回のような一軒家ではなく、前回のとき想像していたような映画の撮影所にも使われそうな建物だった。テナントの表札を見ると、テレビ番組の制作会社らしき名前もいくつか入っている。建物に入り防音扉と思われる厚い鉄製のドアを開けると、天井の高いその室内のロビーに黒人女性ばかりが7~8人座っており、受付の2人の女性は忙しく電話に対応している。いよいよ配役会社っぽい。受付の台の上には映画のタイトルが書かれた2つの受付ログが置かれていて、片方にはオレがオーディションを受ける映画のタイトル、もう一方にはプロジェクト何たらかんたらという映画名が書かれている。きっとこの黒人女性たちはみなこのプロジェクト何たらの配役なのだろう。オレが受ける映画の方の受付ログに自分の名前と役名を記入すると、すでにオレの前にオーディションを受けた7~8人の名前や芸能事務所名、さらに俳優組合番号までが記入されている。うち1人はオレが受ける「キャプテン・ホタカ」役だ。当然だが、まだライバルが残っているらしい(笑)。5分も待たないうちに、前回のオーディションの時の東洋人女性が現れ、大学生風情の東洋人野郎と入れ代わりに、奥のオーディション部屋に呼ばれた。中には別々の場所に置かれた2台のモニターの前に座っている男女と、それとは別にカジュアルな格好をした2人の若い男性が立っている。どちらが監督だろうか?…と思っていると、すぐに東洋人女性から「こちらが監督の○○さん。」と紹介された。「Hello. Please to see you!」と言って握手を求めてくる。190センチ以上はありそうな長身。それにしてもなんて優しそうな笑顔だ。しかもオレのような端役候補のドシロウトと握手してくれるなんて。握手をしている間、これがあの女優の秘部をはじめとする体中に触れた手なのだという不謹慎な考えがオレの頭を離れなかった(笑)部屋の角の壁には写真撮影で使われるような青灰色の幕が天井から床まで掛かっており、その前の床には位置を示すための青いガムテープが貼られ、パイプ椅子が置かれている。そのパイプ椅子に座るように指示される。部屋の向こう側のモニターには青を背景にしてオレの顔が斜めの角度で移っている。もう1つのモニターはオレの座っている位置からは見えないが、たぶん違う角度でオレの顔が映っているのだろう。また自己紹介や個人的な質問から始まるのかと思ったら、いきなり演技だった。座ったまま、キャプテン・ホタカのセリフを演らされる。例の東洋人女性がオレの相手役のセリフを棒読みする。相手役は本来男性なので、女性の声に応対するのはちょっぴり演りにくい。最後のセリフをトチり、「しまった!」と思う。次に、間髪をおかず、「今度はちょっと立ってやってみようか」と監督が言う。まったく同じセリフを、今度は誰に指示されたわけでもないが、ちょっとしぐさを交えて演じる。今度はちょっと間合いが不自然なところがあったが、セリフにトチりはなかった。オーディションはこのたった2テイクで終わり。特に誰からも何のコメントも質問もなく、「今日はどうもありがとう」のひと言で追い出されるように部屋を出る。逆光でよく見えないが、いちおうみんな笑顔のようである(笑)。この間、ものの2~3分であった。よかったのかマズかったのかよく分からないが、まあ、前回のオーディションの時よりはスムーズに行っただろう。さっきログで見たオレの配役上のライバルは西洋人名(おそらく日系カナダ人)だったが、日本語の自然さを比較されれば、きっとオレの方が自然だったはずだ。あとはオレの自己主張の強過ぎるルックスが端役に適切だと判断されるかどうかだ(笑)。それにしても、ここまで来るとなんだか欲が出てきたな(笑)。そう言えば、いつ結果を教えてもらえるのか、不合格でも通知があるのか、尋ねるのを忘れていた。…まあ、また期待せずに半分忘れていた頃に突然電話が掛かってきて驚かされるほうが面白くていいや。
2009.09.04
コメント(12)

川から上がってなんだかとても爽快な気分になり、笑っているところ(笑) 水着のままトランジション・エリアまで走り、着替えその他の入ったトランジション・バッグをボランティアから受け取って、着替えテントに入る。中にはパイプ椅子が100個くらい並んでいて、同じくらいの数の野郎どもが一斉に着替えている。オレも空いている椅子を探し出して着替え始める。具体的に言うと、水着を脱いで、トランジション・バッグからバスタオルを出して身体中を拭き、擦過傷やマメになりそうなところにワセリンを塗り、CW-Xのハーフタイツを履き、5本指靴下を履き、ソルボのアーチ・サポーターを履き、ジャージを着、ゼッケン・ベルトを締め、2リットルの飲料水が入ったキャメルバッグを背負い、ヘルメットを被り、バイク・シューズを履き、最後にサングラスを掛けてテントの外に出る。2500台の自転車が並ぶトランジションエリアスイム、バイクを終えたら一旦ここに帰ってきます水泳が苦手なオレは、スイムを終えて陸に上がる頃にはいつもトランジション・エリアに自転車がポツリポツリと残っているだけなのだが、今日ははまだ半分近く残っている。無事に180キロを走り切れればいいなあ、と思いながらトランジション・エリアを後にする。最初の15キロはオハイオ・リバー沿いの道を走る。約1ヶ月前に、アイアンマンに向けてトレーニングしていた地元出身の男性が、自転車で走っているところを酔っ払い運転の自動車にはねられて死亡したのはこの道路だったなあ…とふと思い出す。彼も今日この道路を思い切り走りたかったんだろうな、オレが今日こうしてこの道を走れるのは幸運だなあ、などと本気で思う。2500人分のトランジションバッグ各自の着替えやその他必要なものが入っていますトランジションを出たばかりなので、この15キロは比較的混んでいる。中には一列縦走の原則を知らないのか、他人の左側に並列になって延々と走っているヤツもいる。対向車線は通常どおり自動車が走っているので、追い抜くにも抜けない人たちがそいつの後ろに数人溜まっている。オレは辛抱できず「ヘイ、前方のゼッケン番号XXX番の人。追い抜くので左に寄ってください」と声を掛けると、そいつは後ろを振り向いた途端バランスを崩し、そいつの左後方から抜く機会を伺っていた自転車に接触し2人はオレの目の前でガシャンと音を立てて横転した。真後ろにいたオレも彼らに巻き込まれ横転するのを覚悟したが、うまい具合にハンドルを操作し横転した2人の自転車の間を縫って間一髪で事故を逃れた。オレは一瞬、自転車を停めて彼らの無事を確認すべきか迷ったが、大きな事故ではなさそうだったのでそのまま先に進んだ。オレは自分が事故に巻き込まれずに済んだのは、この道路で命を落とした彼の庇護があったからであるような気がしてならなかった。自転車に乗ってコースに出たところコースは7月に祖母さんの葬式に出て帰国した直後に一度試走しているので、どこも見慣れた風景だ。しかし7月の時と違って快晴の今日は、青空にケンタッキーの牧草地が一層映えて見える。この後のランのための十分なエネルギーや気力を残すようラクに走ろうと最初から決めていたので、レースというよりも気分はサイクリングに近い。主に上り坂で、力に任せて追い越しを掛けてくるヤツがいるが、だいたい20代か30代前半のヤツだ。あとで痛い目に遭うことを知らないのだろう。そういえば、180キロの間オレに抜かれると毎回必死で抜き返していた30歳前後の男がいたが、あとでゼッケン番号を元にソイツのタイムを確認したら、自転車はオレとほぼ同じタイムで完走しているのに、ランに6時間半くらい掛かっていた。自転車で力を使い果たし、ランのほとんどを歩いたのだろう(笑)。風光明媚なコース、絶好のコンディションちなみに追い越し時以外は原則的に一列になって走ります距離が長くなってくると肩が痛んできたり、サドルと擦れる股間がヒリヒリしてきたりするが、それを除けば180キロを走るのが殊更ツライという感じはない。週末のロング・ライドの成果か、後半になってもバテはやってこない。多少脚の筋肉に痛みが出てくるが、最後のランには影響しない部位だ。終盤になると、コースの前半でオレを追い抜いていったヤツの姿が前方に次々と現れてくる。ペース配分を間違って前半で飛ばしすぎ、エネルギー切れを起こした若い連中だ。ふくらはぎに43歳と書かれたオレに追いつかれて、どう感じていることか。やっぱりなんだか楽しくなってきて、自転車をこぎながら笑っています自転車180キロを7時間以内で完走するのを目標としていたが、最後の15キロの直線に6時間足らずで到達してしまった。ちょっと飛ばしすぎたかも。幸い、先日鍼を打ってもらった例の部位に痛みは出てきていないが、自転車でのオーバーペースが次のランに影響しなければいいのだが…と思う。再びトランジション・エリアが見えてきた。午後3時過ぎ。日差しはかなり強く気温も高い。いよいよ最後の勝負だな…と思いながらトランジション・エリアに入る。(つづく)
2009.09.03
コメント(6)

まずはゴール写真から実際のタイムは12時間36分です表示されてるのは先頭のプロの連中がスイムをスタートしてからの時間(ボクが川に入ったのは先頭から36分後) 前の晩、早起きするために夜9時に寝たが、10時45分には目が覚めてしまい(笑)、その後ずっと眠れなかった。睡眠時間100分。その前の晩も、その前の晩も、数時間ずつしか眠れていない。非常に眠いが、朝4時にはベッドを出て会場に急ぐ。スタートは7時だが、早いヤツは4時くらいから並んでいるのだ。 スイムのコースとなるオハイオ・リバー橋の向こう側の島をグルリと周って右下の川岸に上陸しますスイムはいわゆるタイムトライアル・スタートで、2つのボート用のデッキから3秒ごとに2人ずつ川に飛び込んでいく。オレは6時前にはスタート地点に到着していたが、すでに参加者のほとんどが列に並んでおり、スタート地点から1.5キロも歩いて列の最後尾についた。オレがようやく川に飛び込んだ時はすでに7時半過ぎ。オレの後ろには100人もいなかったはずだ。 こんな感じで順番を待って次々と川に入っていきますはじめの1.5キロは川の上流に向かって泳ぐ。当日はこの大会のために上流のダムを一時的に堰き止めてくれているらしいが、それでも静止している水を泳ぐ場合の倍近い時間が掛かる。水は緑がかった茶褐色で、水中では50センチ前方も見えない。しかし波がないので水面上のサイティング(方向確認)はしやすい。やがて日が昇り、跳ねる水に反射し、泳ぎながらキレイだなあ、と思う。トォッ朝の気温は15℃くらいですが水温は25℃ 眠いのでボーっとしていて、緊張することなくリラックスして泳げている自分に気づく(笑)。周りの連中に遅れを取っている様子もない。睡眠不足だが体調はいいようだ。1.5キロ地点でブイを左折し、川の中央に向かって数百m、さらに次のブイを左折すると、残りの2キロは下流方向だ。明らかに体感できるほどではないが、実際には川の流れのおかげで往路の倍近いスピードで泳いでいる。とはいえ腕が疲れているので、なかなか上陸地点がやってこない。さっき橋の下を通過したので、あと700mくらいか。それともひょっとして上陸地点はもう1つ向こうの橋のさらに向こうか?中央上の方に写っているのがトウヘッド島この島をグルリと周って、ダウンタウンに向かって川を下ります前方を泳ぐ連中が進路をやや左に転換し始めた。すると、左手に見覚えのある景色が見えてきた。上陸地点だ。なんだか拍子抜けする。もうスイムを終えてしまうのがなんだか惜しいような気がする。3.8キロを泳ぎ終えて、上陸時計を見ると1時間半掛かっていない。2年前、2時間20分の制限時間内に泳ぎ切れるかどうかが最大の懸案だったのがウソのようだ。さあ、これから222.2キロの長旅が始まる。(つづく)
2009.09.02
コメント(2)
今回のアイアンマンでオレが怖れていたことの1つは、自転車のタイヤのパンクである。オレはむかしからメカのたぐいや手先の器用さを求められる手作業が苦手で、たかがパンクしたタイヤ(チューブ)の交換のような単純作業でもうまくいかず、何度もやり直しているうちに1時間も掛かってしまったりする。これがレース中に2回、3回と発生した場合、制限時間内の完走も危うくなってくる。オレは実際、1回のトレーニング中に3回パンクしたことがある。1回目はつねに携帯していたスペアチューブに交換し、2回目はたまたま通りがかったサイクリストがスペアチューブを譲ってくれた上にチューブの交換を援けてくれたが、3回目のパンクが起こったときには時刻も遅く通り掛かるサイクリストもおらず、仕方なくガソリンスタンドまで歩いて電話でタクシーを呼んで自宅まで40キロの道のりを帰ったことがある。今回のアイアンマンの180キロの道のりでは2回までのパンクを想定に入れ、2つのスペアチューブと空気を入れるためのCO2カートリッジを用意しておいた。レース直前に前後とも新品のタイヤに換えておいたし、さすがに3回以上パンクすることもないだろう。実際、今回のレース中は、自転車のコース上にいた6時間ちょっとの間に路肩でパンク修理している人を10人以上は目撃した。平均すると10分毎に1人である。オレも1回くらいは仕方ないかと覚悟していたが、運よく1度も故障を経験することなく180キロを完走することができた。ところで、である。アイアンマンを完走した翌日、ホテルでアイアンマン・ルイビル参加者の掲示板ウェブサイトを見ていたら、「flats」「tacks」という言葉がやたらと目に付いた。「flat」というのはflat tireすなわちパンクのこと、「tack」というのは画鋲のことである。オレは気づかなかったが、どうやらコースの途中に画鋲がバラ撒かれていたらしいのだ。そうか、言われて見れば、路面もスムーズで障害物も少ない地点なのに、やたらパンクを修理している人が多い場所があったような気がする。人通りが少ない場所だし、誰の目にも留まることなくこっそり画鋲を撒くことも可能だったろう。そのウェブサイトには、自分は運よくパンクしなかったが、路上にチョークでアイアンマンのシンボルマーク(“M”の上に●)の上に「×」が描かれた落書きを見た、というコメントが複数あった。オレはそれを読んですぐに、1週間くらい前に目にした地元紙のウェブサイト上のコメントを思い出した。今年のアイアンマンは例年より500人多い3000人が参加し、ルイビルの街も多いに盛り上がるであろう云々というその記事に対し、読者の1人が「3000人の参加者で喜ぶのは地元の商工会だけで、近郊の住人はその日1日公道が閉鎖され身動きが取れず、迷惑している。レース前はトレーニングのために公道を走る自転車が増えるのも鬱陶しい。アイアンマンを呼ぶのはもう止めろ」といったコメントを残していたのである。オレはそのコメントを読んで、よっぽど「このコメントを残した人は十中八九、相当な肥満体であろう。車道が閉鎖されても自転車や徒歩で移動できるはずなのに、そういう発想さえ浮かばないくらい身体を動かすのか億劫な人なのだ。きっと、4キロ泳いで180キロ自転車で走って42.2キロを走るような健康体の人たちに劣等感を抱いているのだろう」というコメントを残してやろうかと思ったのだが、いずれにせよ、地元でのアイアンマン開催に反対している人たちがいるということが、(想定はしていたが)このコメントで強く印象に残っていた。実際、運動する習慣のない一般人と、1日平均2~3時間をトレーニングに掛けているアイアンマンの間には、途方もないギャップが存在する。毎日5~6キロ町内をジョギングし、年に2~3回マラソン大会なんかに出ている近所の「市民ランナー」程度なら、ちょっとした変人だとは思うが、まだ理解できる。しかし、毎朝4時起きで40キロ自転車に乗ってから出社し、帰宅してからはプールでさらに3キロ泳いでいたり、週末は自転車で100キロ走って帰ってきたと思ったら、ランニングシューズに履き替えて今度はそのまま20キロのランニングに出かけていくような人が近所にいたら、ちょっと異常だと思うだろう。ほかならぬ日本に住むオレの家族も、オレがマラソンに熱中していた頃は、レースの前に「頑張って」とか愛想をかけてくれたものだが、アイアンマンにアップグレードしてからは、42.2キロを走る前に4キロ(仙石線で2駅分)泳いだり、自転車で180キロ(仙台から気仙沼に行ってUターンして石巻まで帰ってくる)を走る世界というのがもはや想像力の限界を超えているらしく(笑)、このブログを読んでいるはずなのにEメールも電話も一切連絡がこない(笑)。きっと、スゴイとかエライとかいう前に「気味が悪い」のではないか(笑)。要するに、「マラソン」までなら「健康」なイメージがあるが、「アイアンマン」となるとむしろ異常な、人間ばなれしたイメージがあるのではないか。そもそもそんな限界を試す耐久レースに出ようという発想じたいが病的であり、そのために酒もタバコも異性交遊もその他の娯楽も放棄しプライベートな時間はひたすら走ったり泳いだりしている日常というのは人間としてとても健康とは思えない。そんな連中が何千人も鬼のような必死の形相で自転車をこいだり、自分の住む町中を瀕死の状態でヨタヨタと走り去っていくのを見ても、ちっともうれしくない。きっと、「道路が閉鎖されて1日中移動も出来ず迷惑」なんていう理屈以前に、「理解を超えた異常な健康マニアたちは自分たちの平穏な町に来るな」というのが本当の気持ちなのではないのか。一方で、バラ撒かれた画鋲のせいでタイヤ交換に15分失い目標タイムを逃したアスリートたちは、「この無教養なケンタッキーのイナカ者めが!画鋲を撒くヒマがあったら、ロクに運動もせずに毎日ゴロゴロしてないで、オマエらも少しは運動しやがれ!」と思っているに違いない(笑)。今回の画鋲事件で、アイアンマンと一般肥満マンの間の埋めがたい溝はさらに深まったことであろう。
2009.09.01
コメント(8)
全20件 (20件中 1-20件目)
1