再出発日記

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2005年10月09日
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テーマ: 本日の1冊(3686)

森岡孝二著
岩波新書
この本を読みながら、思ったことをつらつらと。

情報通信技術の発達が経済のグローバリゼーションを誘発し、それがアメリカイギリスも日本みたいな長時間過密労働をする(米英で過労死続発)という事態をもたらし、更にそれが24時間労働も可能にする情報通信技術の発達を促し、日本では派遣企業の拡大、アルバイト・パートの活用という賃金のダウンサイジングへと続いていく……この止まりそうにない「悪循環」の中で、労働者は声にならない悲鳴を上げている。

この10年間でわれわれは日本経団連の『新時代の「日本的経営」』(1995)でつくられた戦略にまんまと嵌められてしまった気がする。この書物では次の記述があった。正規社員(Aグループ)有期雇用の低年俸契約社員(Bグループ)雇用柔軟のパート・アルバイト・派遣(Cグループ)この三類型に分け、Aを極端に絞り込み、BとCを大幅に増やして、雇用の流動化と人件費の引き下げを推し進めることが提案されている。私は90年代後半リアルタイムでこの本の内容については聞いたが、全然実感がわかなかった。パートアルバイトはあくまで若者と共働きの補助収入と認識しており、年収100万~300万の層がここまで増えるとは想像できなかった。(01年で417万人)。それは労働者の組織もたぶんそうだったのだろう、有効な戦いを組織出来ていない。

Cグループは正規と同じように働いているのに、給料は1/2~1/3しかもらえない。その不満の捌け口はなんと政府には向かわずに、「強いリーダー」への期待に向かい、改革の名の元に「公務員の給料を下げろ」と言い、「強い国ニッポン」を目指すのである。正規はどうか、パートと共闘するなんて思いもつかない。俺たちは彼らとは比べ物にならないくらい責任ある仕事をしているのだ、と更なる長時間労働強化で乗り切るしか道は無くなる。政治について考える暇なんてあるはずがない。「改革を止めるな」というワンフレーズがとても新鮮に聞こえる。

一方厚生労働省は、この間やっと重い腰を上げてサービス残業の解消に取り組んできた。(3年間に2200社、33万人に392億円の支払いを命じる)しかしこの本ではその努力も無駄になるような法案の働きを伝えている。時短促進法の実質廃止と、労働安全衛生法の「改正」で過重労働への助言指導が緩和されるのである。実はそれどころではない。私は更に労働基準法の抜本的「見直し」の動きを知っている。ひとつ、労働時間規制を外す。ひとつ、不当解雇しても金を払えば解雇できる。ひとつ、期限のない試用採用期間。ひとつ、労働条件の切り下げの下請け機関「労働委員会」の設置。(2005.04「労働契約法制のあり方に関する研究会」「中間とりまとめ」)

政府と財界の「戦略」はまだ完結してないどころか、これから仕上げの段階に入ろうとしている。憲法が定める「生存する権利」を条文含めて無くしていこうとしているのであろう。それが指し示す未来はどういう未来なのだろうか。


後世の歴史家が今現在のわれわれをどう評価するか、
われわれは歴史の只中にいる。








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最終更新日  2005年10月09日 11時06分26秒 コメント(7) | コメントを書く


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