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2006年01月24日
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テーマ: 本日の1冊(3683)
模倣犯(4)

4巻の主な登場人物は高井由美子と前畑滋子である。高井由美子は加害者の遺族がどのような状況になるかを体現し、前畑滋子は「事件の真相を描いてもどこまで描ききれるのだろう‥」という宮部自身の迷いを反映した内容になっている。

この作品は力作であるが冗漫すぎる、という批判は本が上梓された直後からアマゾンコムなどで飛び交っていた。最初の構想から二倍もの量になったというのは、宮部の迷いが反映してのことだろう。しかし最後まで読むとその迷いはふっ切ったみたいだ。そして単なる連続殺人事件の真相に主題をおかず、事件をめぐる人物群像に主題をおいていることが読み終えてくっきりわかる構想になっている。

時々勘違いをしている人がいるが、宮部みゆきは決して「社会派」の作家ではない。「火車」も決してそういう読まれ方は望んでいない。あまりにもいろんな事が見えてしまうから、そしてそれを言葉で表現できる類まれな才能を持っているから、この本を読むと連続殺人事件の本質を知ったような気になるが、彼女が描きたかったのはただ一点「人の心」のみなのである。

p196の前畑の若者論、p208以降の由美子の遺族の気持ち、あるいは塚田真一の「自分が殺してしまった」という自責の気持ち、まるであわせ鏡のように、何度も何度も違う形で立ち現れて読者の私たちに考えるきっかけを与えようとしている。人の心の中はまるでひとつの宇宙である。宮部みゆきは常にそう云ってきた。

2006.01.19読了。 そして(5)をすぐ読み始める。
三日前に観た「疾走」がひどかっただけに、殺人にいたる、残される遺族の気持ちにいろいろ考えてしまう。





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最終更新日  2006年01月24日 19時04分34秒
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