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2006年03月10日
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テーマ: 本日の1冊(3686)
「ぶつぞう入門」文春文庫 柴門ふみ
ぶつぞう入門
柴門ふみは最近は仏像に凝っているらしい。もちろん亀井勝一郎みたいな分かったような分からない高尚な仏像論を書くはずもなく、新薬師寺の十二神将の伐折羅大将はドラゴンボールのスーパーサイヤ人の髪型だ、とか東寺三十三間堂の婆藪仙人は小泉首相に似ているだとか、そう言う斬新かつおばさん的なな視点で書いているのではある。

昔、柴門ふみのファンであった。彼女が大学時代、80年ころの漫画評論専門誌「ぱふ」に寄稿していたころは「ケン吉」というペンネームを使っていた。そのころから絵は下手だけど、勢いがあって、何よりも視点が面白かった。その後、夫(弘兼憲史)が右傾化するのと並行して、ブルジョワ趣味に走り、読まなくなった。奥付けを見ると、彼女はお茶の水女子大の哲学科を卒業していたと知る。道理で論理でまとめようとする傾向と、それを主人公の思いもかけない行動で打ち破ろうとする衝動がいつも混在しているなあ、と思っていた。題材が中産階級の恋愛話でないときの本来の彼女は面白いのだから、仏像哲学をかたるとこれがまたなかなか面白い。

特に「なぜに人々は仏像に惹かれ、拝み、千年以上も守りつづけてきたかというと、それがエロティックだったからだ。理屈を超えてリピードに訴えてきたから。しかもポルノもAVも無修正インターネットもない時代である。『お寺に言って仏像見るとなぜかドキドキしていいんだよね』と民は語り合ったはずだ。」‥‥この説には無条件に賛成する。なぜ仏像は裸に近いのか。「読み書きもできない、文化も芸術も分からぬ民衆を惹きつけるには、裸体である。裸体と巨大さね。この二つに民衆はびっくり仰天しちゃうのだ。」果たして民衆は芸術は分からないと言いきっていいかどうかは別として、これもそうだな、と思う。

柴門ふみと私の仏像の好みは割と一致している。基本的に平安朝のぶくぶくとした仏様より、リアリズム重視の特に運慶のものが一番である。世親無著像は私のこれまでのベストワンであった。天王寺広目天像も好きだ。ぜひ彼女がベストワンに推した運慶の円成寺大日如来を見てみたいと思う。

「十二神将は戦いの神様だ。四天王も明王も戦さ人である。ヨーロッパの神話でも女神のまわりを戦いの神様が固めている。エロスと戦い。古代から人々の心を強く惹きつけるのはこの二つなのだ。古今東西、物語の要素はこの二つに集約される。宗教はそれをうまく利用している。」あと物語の要素に『死』と『愛』もいれるべきだとは思うが、基本的に賛成である。柴門さん、ねがわくば、その要素を持つ世の中の流れを批判的に描く作品を描いてほしいと思う。





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最終更新日  2006年03月11日 00時57分22秒
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