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2006年12月29日
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カテゴリ: 邦画(05・06)
監督・脚本 : 市川崑

出演 : 石坂浩二 、 松嶋菜々子 、 尾上菊之助 、 富司純子 、 松坂慶子 、 萬田久子
同じ監督がなぜ同じ作品をリメイクしなければならないのか、ずっと考えていた。白黒映画をカラー映画として撮り直す訳ではない。リメイクする理由が見つからない。映画が始まる前はまさか‥‥‥と思いながらもこんな事態も考えていた。CGをふんだんに使って前作品では描くことができなかった実験映像作品にするためではないか、などと。

映画が始まるとだんだんとそんな不安は払拭される。池に浮かぶ足の死体や、菊人形に設える生首でさえ、今の技術ではもっとリアルに作れるはずなのに、作り物めいた生首を採用している。前作とほぼ同じ展開である。最後にどんでん返しがあるのか、とほとんど確信めいて疑っていたが、実はそれもなかった。じゃあ、前作と同じじゃないか、退屈したか、というと、実は全然退屈しなかった。

最後の場面、信州の山をバックにもう老齢に近い石坂浩二の金田一耕助がふいと振り返る。そして暗転。「監督市川崑」と出て、次に黒画面に右端に白く「完」と出る。それで終わりだ。

ああ、そうなのか‥‥‥。

私はそのときやっとこの映画について納得した。
前作と同じように実にテンポのいい作品である。見事な編集である。役者の個性を的確につかみ、緩ませ、締めて、落語のようにここで落ちがあるな、と思ってみてもやはり心地言い。映画職人の真骨頂だろう。職人として市川崑はこの仕事を最後の作品として仕上げて「うん、これでよし」とみんなの前に置きたかったのに違いない。職人としては、恥ずかしい作品が最後になるのを怖れたのだろう。







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最終更新日  2006年12月30日 04時21分00秒
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