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2007年10月05日
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カテゴリ: 邦画(07)
生エリカを見たことがある。一作目の「バッチギ」が公開された直後。『問題のない私たち』(監督・脚本森岡利行 黒川芽以 沢尻エリカ 美波)の舞台挨拶で岡山に来たのである。まさにブレイクする直前だった。その半年後なら、岡山の場末の映画館には到底来なかっただろう。彼女はここで清純な役とは180度変わり、最初転校生でいじめられるが、すぐに反撃し、したたかないじめをする高校生の役になる。

現在のエリカはまさにこの映画を地でいっているみたいだ。ちょっと前々までちやほやされていたのに、一夜明けると、いじめの対象になっている。確かに彼女は「人間として未熟」だったのかもしれないが、その状態を面白おかしく報道するテレビや、ここぞとばかりにサイトに殺到して炎上させる視聴者たち、「社会として未熟」な様がよく表れている。

生エリカを見たとき、舞台挨拶では、わりと奇抜な服装で出てきた覚えがある。映画に出る前はモデルをしていたというので納得。当時19歳と言う年のわりには、非常にしっかりした受け答えで、その年はすでに二本の映画出演が決まっていたにもかかわらず、「夢は女優ではない」と言い切った。モデルの仕事、歌の仕事、そして女優の仕事もしたいといっていた。すでに自分の将来を見据えて仕事をしている。みかけはまるでお人形みたいに綺麗だけど、「これは化けるな‥‥‥」と思った。その後の展開はご存知の通り。化ける、どころではない。この二年の間に主演ドラマ二本。脇役映画三本。主役映画、四本?。歌でもヒットを飛ばし、エリカ100変化のモデルDVDさえも出る。この活躍は、「異常」以外の何者でもない。

彼女は夢を果たしつつある、といっていい。おそらく本当の夢は世界のトップモデルになることなのかもしれない。彼女にとって、映画はそのことを実現する手段なのだ。‥‥‥とでも芸能事務所から説得され、この殺人的スケジュールをこなしてきたのかもしれない。

エリカがこの映画の完成披露試写会で、ブーたれていたということで、大バッシングが起こったらしい。インターネットで拾うと、そのことに対して、エリカは謝罪コメントを出し、涙ぐみさえして、それがまた芸能インターネット記事のトップに載る。私は、確かにプロの女優としてはやってはいけない態度だったとは思うが、別に話題にするべき様なことではない、と思う。このようなことになる前に、芸能事務所がエリカとじっくり話し合い、しっかり休養を与えるべきだったと思う。事務所の責任である。彼女は夢の実現のために相当無理をしてきたのだろうと思う。資本の論理はかのようにして「人間」を「儲けの道具」として扱ってしまう。

さて、映画だ。作品としては、退屈もせずに見ることが出来た。
1006クローズド・ノート.jpg
監督 : 行定勲
原作 : 雫井脩介
主題歌 : YUI



展開は最初からほぼ読めてしまう。サプライズはない。行定監督らしく、最初からなめるように撮る映像技術は健在。上空の桜散る映像から子猫の昼寝する城下町の古い下宿に映像を移していく。全体として三浦の町が非常に上手いこと撮れていた。

ストーリー的には、竹内結子の想いが紙ヒコーキと共に全編を覆うのであるが、しかし主役はやはり沢尻エリカであるという構造になっている。沢尻エリカには「花」がある。何をしなくても漂う「色気」はほかの同年齢の女優にはないものである。そしてもうひとつは「気の強さ」である。映画ではそんなエリカの特徴を上手いこと掬い取っていた。エリカもきちんとそれに応えていたと思う。

タダ、エリカがもし女優としてきちんと評価されるとしたならば、もう一皮剥ける必要がある。それはライバルといわれる長澤まさみにも言えることなのだが、「はっと映像に釘付けにさせる」演技なりセリフなりが、まだ彼女たちにはないのである。一つのセリフの持つ深みがまだ彼女たちにはない。沢尻エリカは聡明だから、そのことに自分でも気がついていて、いらだっていたという節もある。一年間に何本も主演映画を撮るようなスケジュールではとうていそのような映像を取ることは無理だろう。





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最終更新日  2007年10月05日 23時39分19秒
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