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2007年11月10日
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前に 内橋克人「悪夢のサイクル」 を紹介しました。その続きです。

アメリカより起こったといわれる市場原理主義、いわゆるネオリベラリズムの弊害について前記事は述べました。では、

なぜ私たちは、ルール変更を受け入れたのか。
ということについては内橋氏はこのように述べています。

ふたつには、学者をメンバーに入れた一見中立に見える政府の審議会、あるいは首相の私的(!)諮問委員会の口当たりのいいキャッチフレーズに惑わされたこと
みっつめには、これらの審議会の意見を大きくアナウンスした大マスコミの存在。
よっつめには、小選挙区制度の導入。小泉自民党は296の議席を占めたが、結局全有権者の32.2%の支持しかえていないというマジック。」


市場原理主義の起源はその経済思想の根拠はどのようなものか。
その思想的源流は、ミルトン・フリードマンです。ケインズ学派に変わり、フリードマンの経済思想が受け入れられていくのは、70年代のアメリカです。1979年アメリカ中央銀行は、ケイジアン的アプローチからマネタリスト的なアプローチに政策を転換します。貨幣供給量を減らし、利子率の急上昇を許し、失業率を高めてもインフレを押さえ込もうとしました。この実験は劇的な効果をもたらしました。インフレ率は、1980年末の13%から1984年の4%までに下がる。ケイジアン的な手法では、経済のコントロールはできない、それよりも貨幣の供給量によって調整すべきだというフリードマンを代表とする新自由主義者たちの主張が力をもって「規制はいらない、フリーマーケットにしろ」という声が大勢になりました。

この市場原理主義を極端な形で採用した国家が中南米でした。
中南米で起きた「ネオリベラズム・サイクル」はどのような結果になり、何を教訓とするのか。
1973年、アジェンデ政権を軍事力で転覆させたチリの独裁者ピノチェトは俗に「シカゴボーイズ」と称されるフリードマンの弟子筋の学者、経済の専門家を経済閣僚として登用。チリはその後、80年代から90年代にかけて順調な経済成長を見せ、「南米経済の優等生」「チリの奇跡」ともてはやされる。しかし新自由主義の政策を採ったのはその初期だけでした。この過程の中で、国民の大半を占める勤労者層を貧困におとしめ、一部の富裕層と外国資本が莫大な富を売ることを助けた。そして82年のラテンアメリカの経済危機で政策の変更をし、89年に中道左派政権が生まれる。この政権下での経済成長が注目されたのではあるが、これは新自由主義ではなく、むしろその反省の上に立った貧困問題や社会格差の縮小に真剣に取り組んだ結果であることは確か。
一方、アルゼンチンも70年代にクーデターによる軍事政権が成立、規制制緩和の後経済は活況を帯びるけれどもすぐに失速、その後はチリとは違い、90年代にもう一度新自由主義を取り入れます。いったんは「ラプラタの奇跡」といわれる経済成長を遂げまずか、97年のアジア通貨危機が南米を直撃、01年に深刻な金融危機、アルゼンチン国民は預金を引き出すこともできずに、失業者は町にあふれた。
ネオリベラリズム循環
つまりネオリベラリズム循環とはこの写真のような軌跡を通っていきます。
「つまり自由化によって、海外からの資金が集まりバブルが起こるのです。このバブル経済が、くせもので、企業だけでなく自治体も借金をしまくるわけです。経済が膨張していますから、借金をしても、すぐに返せると考え、財政規律が緩みます。そしてバブルがはじけます。そのとき、資本はいっせいに海外に逃避し、国、自治体、銀行、企業は一挙に不良債権を抱えます。そしてリストラを始めるのです。このとき、さまざまな規制緩和などの「改革」がまたなされます。そして国や自治体、その国の企業の価値が、安く評価されているときを狙って一気に海外資本がなだれ込む、この繰り返しが果てしもなく続くということなのです。」

。「いま、資本の流入で一時的に景気が上がっていたとしてもその流出とともに必ず景気も落ちていく。バブルと同じで、規制が少ないほど、上がり方が大きくなり、上がり方が大きいほど落ち方も大きくなる。そして落ちていくときには、それが実体経済と人々の生活に大きな被害を与えていきます。日本も放置すれば、そうなるだろうと予測されるわけです。」

平和の問題とどのように関係するのか。
ネオリベラリズムは、小さな政府を標榜しながら、実は軍事に関しては大きな政府という形態をとります。マネー市場に邪魔なものは、力ずくで排除するという力が強くなるからです。だから規制緩和に協力的だった日本とは反対に、手ごわい障壁となっているのがイスラム社会なのです。イスラムの世界では、「正当な労働の対価以外は受け取ってはならない」という戒律があります。これを打ち壊さない限りマネーは動かない。これがイラク戦争の戦略でしょう。

もうひとつの日本は可能か
国家が市場を計画するのでもない、市場が人間を支配するのでもない、第三の道があるはずだ。それは人間が市場を使いこなすという道です。

どういう道なのか、ここではフィンランドの例などが出されているが、まさにこれから模索していかなければならない道だろうし、「もうひとつの日本は可能だ」(文春文庫)などの本の中に詳しく書かれてあるのだろう。

長く書いてしまった。内橋氏の言うように50年スパンで国の経済しいては国民の生活を見ていくと、未来を見るためには隣の国を見るのは有効なやり方なのかもしれない。下手なこの本の要約になったかもしれない。そうだとすれば謝るしかない。いいたいのはこの本はお勧めだということである。





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最終更新日  2007年11月10日 22時39分14秒
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