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2008年09月10日
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震度0 横山秀夫 朝日文庫
横山秀夫は文庫本になるとかならず読むことにしている作家の一人。この朝日文庫に関して言えば、同じく読むことにしている宮部みゆきの「理由」が朝日文庫だった。「理由」は視点(語り手)をくるくると変えながら、事件の本質を抉り出し、同時にその過程で家族をめぐる日本の姿を抉り出した力作であった。この小説も(「理由」ほど登場人物は多くないが)N県警察本部の6人の主要幹部(本部長<46歳キャリア>警務部長<35歳キャリア>警備部長<51歳準キャリア>刑事部長<58歳ノンキャリア>生活安全部長<57歳ノンキャリア>交通部長<57歳ノンキャリア>)の視点でくるくる変えながら、事件の本当の姿に近づいていく。

(「BOOK」データベースより)
阪神大震災の前日、N県警警務課長・不破義仁が姿を消した。県警の内部事情に通じ、人望も厚い不破が、なぜいなくなったのか?本部長をはじめ、キャリア組、準キャリア組、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が複雑に交差する…。組織と個人の本質を鋭くえぐる本格警察サスペンス。

結局この本で言いたいのは、最後の方である人の言うこの言葉に尽きるだろう。
以下完全ネタバレです。犯人がわかってもOKという人だけ反転してください。




不祥事が起きたならば、将来がなくなるのが警察幹部である。だから彼らの行動は「保身」が最優先される。「命」が優先されない。泰山鳴動し、遠く離れた神戸では5000人以上の人が死につつあったそのときに、この警察官舎では鼠一匹ならぬつまらぬ男の欲がらみの意地だけが残るのである。


横山秀夫の小説は「男の意地」つまり「矜持」を美しく謳いあげる小説が多いが、この小説は見事に「汚く」描いている。その意味では、この6人の物語は、現代の霞ヶ関の5人の物語にかぶるだろう。

さて、明日の夜から深夜バスで日曜の夜まで千葉の方に出張です。もしかしたら、明日の夕方もう一本記事がかけるかもしれませんが、一応月曜まで記事はお休みです。空いている時間で、千葉の遺跡めぐりをする予定です。





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最終更新日  2008年09月10日 22時54分43秒
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