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2008年12月15日
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カテゴリ: 加藤周一
加藤周一はやはり胃ガンでなくなった。春に発症。医者であった氏は小田実よりかは早く見つけたのか、12月まで生きた。しかし、最後の言葉は7月17日のこのインタビューで最後になったようだ。

NHKはそのインタビューをじっくりと再構成し、1時間半の番組を作った。昨日半分うとうとしながら聞いたときには、今まで言っていた事と同じことを言っていると思っていた。(「言葉と戦車」「テロリズムと日常性―「9・11」と「世なおし」68年 」)しかし、もしかしたら、少し違うことを言っているのかもしれない。

番組を見ながら、メモしたことを記して、記録しておきたい。

氏は反戦運動が世界同時多発的に起こった1968年と同じ閉塞感が漂い始めているという。
「オバマがChangeと言った。抽象的だ。けれど効いた。あれだけの反応を引き出せたのは、深い現実に触ったからだろう。」
68年のときにもあった。街のスローガンでは「チャジャー ラ ビエ 生活を変えよう」というがあった。こっちの方が批判的で深いけれどもね。」 フランスの五月革命、学生の反乱から、ゼネストに発展 。「パリでは私のよく知っているところが主戦場になった。」 氏はサルトルと対話。サルトルは「アンガージェマン(主体的に政治に参加する)」とよく言った。氏は街頭で若い女性が言った言葉を忘れられない。

「これはまだ序の口」
それは直接に、革命の序の口ではなかった。しかし長い目でみた「世なおし」の「序の口」ではあるだろうと思う。‥‥‥しかしどうしてこりもせずに、私は誰にもわからぬ将来を考えようとするのか。私はカッサンドラではない。しかし「素晴らしいなにものか」には将来があると信じる。(「世なおし事はじめ」)


これはまだ序の口‥‥‥もしいま氏が生きていたならば、日本の同時多発的に非正規労働者が立ち上がり、今までにないようにそれをテレビが報道する現実を観て、やはり「これはまだ序の口」と呟くのではないだろうか。もちろん私はカッサンドラ(予言者)ではない。

氏はプラハの春を直接に見る。そしてそこでソ連軍の「戦車」に「言葉」で相対しようとする多くの市民を見る。
「ヒトラーでさえ、自分自身を説明するのをやめなかった。戦争は「戦車」だけでは成り立たない。「言葉」と「銃弾」で成り立っている。それならば、戦いは「言葉」によって抑えることが出来るだろう。」


「だから、68年の学生運動は死んではいない。彼らは空中に舞い上がってはいたけどね。」
現代の学生運動よ、グローバリズムの中で、予算削減の中で新しく始まっている軍産学協同体制に反対しようではないか。

「1910年代のダダイズム、と1968年の閉塞する時代への抵抗という点では繋がっている。五月革命が盛り上がったのはなぜか。第一次世界大戦は主要な転換点だった。大勢の人が死んだ。社会のいろんなところが変わることが望まれていた。しかし変わらない。現状は全体を変えたい。アメリカでもパリでも同じような閉塞感が漂っていた。このときのスローガンは「生活を変えよう」生活だから、すべてを含む。」
「20世紀から、21世紀に積み残した閉塞感がある。このままじゃうまくない。根本的に変わる必要がある。世界中で自由を抑圧する力が強まっている。」
例えば秋葉原事件。「実際に殺すのは特殊な人たちだけど、彼らを招いたのは、定義しがたい閉塞感だと思う。働いてもよくならない。あれは下の方に淀んでいたものが絶望的に爆発したのだ。」

私は偶然にも、石川啄木の歌を借りて 同じようなことを最近書いていた 。もちろんほかの人もたくさん書いているから、これは偶然ではなく、7月段階で氏がすでに喝破していたように、「現実」なのだろう。
1910年と1968年と2008年、何が共通しているかといえば、「戦争」である。私はだんだんと加藤周一が「何故いまこれを語ろうとしたのか」わかる様な気がしてきた。

「過去にどういうことがあったのか、よく見定めることが老人の任務です。それを伝えていかなくてはならない。聞きたくない人は仕方ない。聞きたい人に、学ぶことが出来る用意をすることが必要だ。」
「現代はシステムの力が強くなって個人の影響力が後退している。専門分化が進んで、全体として、人間として、大きな方向を示すことが出来る人がいない。だんだんと進んでいる。」
「知識人は思想的影響力を持たなくはならない。何が必要か。第一に事実認識。何が起こっているのかをつかむこと。第二は「だからどうしようか」。それには人間的感覚による世界の解釈が必要だ。」
つまり「教養」が必要だということですね。

「何が相手なのか。敵は誰なのか、理解することが大切だ」





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最終更新日  2008年12月15日 23時00分31秒
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