再出発日記

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2009年11月29日
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カテゴリ: 社会時評
かばんの中からぐちゃぐちゃになった切抜きが出てきました。多分半年前くらいの朝日新聞「悩みのるつぼ」という企画の切抜きです。今もう一度読んでみて、非常に普遍的な悩みだと思い、そのまま書き写してみます。相談者は34歳の契約社員。女性です。「結婚にもなんとなく無気力で…」という悩みです。



 安定した人生を送るには、収入のある男性と結婚するのが近道なのでしょう。30歳までは「早く結婚を」という親の圧力もあり、焦っていました。30歳を過ぎても結婚しない女性には、きっと何か問題があるに違いないとえ思っていました。
 でも、これまで付き合った男性4人とは結婚に踏み切れませんでした。「この人でなくちゃ」という確信がもてないと結婚はだめだと思うのですが、誰ともそこまで気持ちが高まらなかったのです。だんだん結婚への意欲も薄れてしまい、4人目の彼氏とは自然消滅でした。
 子供を産みたいことや、自分の容姿などを客観的に考えると、タイムリミットが近づいていると頭では分かっています。でも、周囲には同世代で独身の女性も多く、かつてのような切迫感はありません。
 最近はこんな自分の無気力状態にこそ漠然とした不安を覚えるのです。独身のまま不安定な仕事を続け、先の読めない未来を乗り切ることが出来るのでしょうか。


うーむ。どうでしょうか、皆さん。
どのようにアドバイスすればいいのでしょうか。

じつは、回答者は専門的なアドバイザーでもなければ、文学者でもなく、経済学者の金子勝氏でした。朝日はみごとな人選をしていると思いました。回答を長々と書いていましたが、はしょって紹介。


彼女はみごとにロスジェネの走りなのです。
就職氷河期で正社員になれず、
セーフティネットのない社会を生きている典型です。
契約労働だとすぐに首を切られ保証がない。

ところが、自分が老後は独身かも知れず、親の面倒の心配もしなければならない。
逃げ道は結婚しかないのでしょうか。でもそれも今のままで不利です。
将来の安定を確保できるだけの結婚や正社員の道はあまりに「競争」が激しい。

金子さんは言います。
「個人的な解決はほとんど困難です。残されている道は、自らが多数派であることを自覚して、社会的な不公平に対して同じ世代で主張を共有するしかありません。」それもめんどくさいならば、あなたが今抱えている「不安」は的中するでしょう。

もうこれは、身の上相談の回答ではありません。たぶん彼女にとっては回答拒否に映ったに違いありません。
でも、私もこれ (個人的な解決はほとんど困難) が現実だと思います。
もちろん、彼女が好転する可能性はゼロではありません。むしろ、そうは言ってもキチンと自覚してがんばれば、数少ないチャンスをものにして正社員の道も…いやこれは難しいとしても、理想的な彼氏が現れる可能性はゼロではありません。でも、彼女のように「理想の彼氏」を待っていてすぐに40歳を越えた人も数多くいるのも事実。

やっぱり、回りくどくめんどくさいかもしれないけれど、少しでも住みやすい社会に向けて頑張ってみるのをお勧めします。
案外そこから見えてくる未来があるような気がします。





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最終更新日  2009年11月29日 11時09分35秒
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