再出発日記

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2014年05月09日
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カテゴリ: 洋画(12~)
四月に観た作品は5つと少ないものでした。流石に喪主を務める葬式となると、その前後2-3週間は映画を観る気がしなくなるものなんですね。でも、その分濃い選択になった気がします。特に「アクト・オブ…」は今のところ今年度ベストです。



「家路」
震災後映画というジャンルが出来ているとしたならば、そのパイオニアになるような作品。

それぞれのきちんとした役者が、それぞれの人生を背負いながら、二時間の中で過去と向き合い、原発事故という非日常を描き、そこはかとなき希望のあるような無いような未来を描いて終わった。

故郷を追われてホームレスにならざるを得なかった次郎の数年間は、被曝を覚悟して大きなリスクを背負ってでも生きるに値する故郷に帰る選択が、ベストになる数年間だったのだろう。

そういう選択しかあり得ない現実が今の福島にはあるのだろうが、それは告発されることなく、静かに、美しい田園風景と共に閉じてゆく。

(解説)
震災後、戻れなくなってしまった家。
弟の突然の帰郷。
喜びも悲しみも、

あの日、故郷を失い、
希望をなくした家族の
再生の物語。

監督 久保田直 脚本 青木研次
キャスト 松山ケンイチ、田中裕子、安藤サクラ、内野聖陽
inシネマクレール
2014年4月6日
★★★★☆



「それでも夜は明ける」
奴隷制度とは何だったのか。それは、人を純粋な商品として扱うことである。その場で体験しないと、人はその過酷さ、傷つけられるプライド、絶望感などは、なかなか想像出来ない。「ルーツ」など既に奴隷制度を描いた名作はあるが、これは自由黒人といういったん自由を得て成人した黒人の視点で描いているのが秀逸。そうすることで、奴隷という環境がどういうものか、我々にもそれをを追体験することが出来るだろう。

カナダからやって来たブラッド・ピットの存在が一瞬、現実を見ない空想家のように見える事が、この「異様な病に犯されたアメリカ」のことを暴露している。

現代から見れば、確かに法律に守られていたとはいえ、人間を人間として扱わない奴隷制度は、やがては「正義」の視点から「罰せられる」存在であることを理解出来る。しかし、それは確かにエップスだけではなく、最初の旦那様のベネディクト・カンバーバッチでも、理解出来なかったのである。



(あらすじ)
1841年、南北戦争によって奴隷制度が廃止される前のニューヨーク。黒人音楽家ソロモン(キウェテル・イジョフォー)は、家族とともに幸せな生活を送っていた。だがある日、ふたりの白人の裏切りにより、彼は拉致され、"奴隷"としてニューオーリンズの地へ売られてしまう。そこでソロモンを待っていたのは、狂信的な選民主義者エップス(マイケル・ファスベンダー)ら白人たちによる容赦ない差別と暴力だった。虐げられながらも、決して"尊厳"を失わないことを心に誓うソロモンだが、そのまま12年の月日が流れていく。※PG12

監督 スティーヴ・マックィーン
出演 キウェテル・イジョフォー、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ポール・ダノ、ポール・ジアマッティ、ルピタ・ニョンゴ、ブラッド・ピット、アルフレ・ウッダード
in TOHOシネマズ岡南

★★★★☆



「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」
なかなか私たちは、最も身近な国アメリカの、こういう普通の田舎を写し込んだ作品には出会えない。まるで、山田洋次の家族映画のようにじっくりじっくりと普通の家族が描かれる。だからこそ、現代を舞台にしても、全編白黒フィルムで撮ったのだろう。

アメリカでも老人問題は深刻なようだ。まるで徘徊症やアルツハイマーのような症状を見せるウディだが、冗談を冗談で返す機転は、とても呆けた老人には見えない。しかし、100万ドルを手に入れたら、真っ先に老人ホームを考える辺りは福祉が自己責任になっているアメリカの現実を映しているだろう。

まるで北海道のような道、家と家は離れていて老人も運転が出来なければ生活出来ない。カウンター方式のバーに老人しか入っていない現実、若者の失業問題、ソファでみんな老若男男が黙ってアメリカンフットボールを見ている光景。エディは農業から離れて朝鮮戦争で精神的なダメージを受け工業に失敗した。息子はサービス業に勤めてパッとしない。エディの周りの人生は、やはりアメリカの田舎の現実なのに違いない。


(あらすじ)
"モンタナ州のウディ・グラント様 貴殿は100万ドルに当選しました"誰が見ても古典的でインチキな手紙をすっかり信じてしまったウディは、ネブラスカまで歩いてでも賞金を取りに行くと言ってきかない。大酒飲みで頑固なウディとは距離を置く息子のデイビッドだったが、そんな父親を見兼ね、骨折り損だと分かりながらも彼を車に乗せて、4州にわたる旅へ出る。途中に立ち寄ったウディの故郷で、デイビッドは想像もしなかった両親の過去と出会うのだが──。

監督 アレクサンダー・ペイン
出演 ブルース・ダーン、ウィル・フォーテ、ジューン・スキッブ、
in TOHOシネマズ岡南
2014年4月17日
★★★★☆



「アクト・オブ・キリング」
「殺人は許されない。殺した者は罰せられる。鼓笛を鳴らして大勢を殺す場合を除いて」ヴォルテール の箴言が冒頭に現れる。しかしこういう風に、戦争の論理を一般論として語ること自体が、つくづく虚しくなる作品だった。

「国際法?そんなのはしったこっちゃない。ブッシュだって嘘ついて大量殺人をしたじゃないか。国際法定に呼ばれたら、喜んで行くさ。罰せられるためじゃない。有名になれるからさ」ある民兵幹部(エディ)はそのように嘯く。そこには、軍事政権に守られて人生を謳歌して来た虐殺者の自信があった。

アンワルは最初は嬉々として自ら考案した針金殺人のやり方を実演して見せる。しかし、しだいに自ら殺人の場面を演じようとはしなくなる。殺した人間が亡霊になってやって来て自分を罰する悪夢さえ、自分で演じようとする。この亡霊は、インドネシアやアフリカに特有の姿をしており、こういう時には民族宗教が力を発揮することがわかって面白かった。

アンワルの片腕、マツコ・デラックスそっくりのヘルマンは、おそらく虐殺時には生まれていなかったはずで、ほぼ主役級の出演をする。彼に、演技の迷いは一切無い。だからこそ、本当の虐殺のリアルさが実によく出ていた。彼はコメディパートを担っているが、実際は恐ろしいヤクザに違い無い。それがなおさら恐ろしい。

アンワルは、ついには自ら共産主義者として拷問の末に針金で殺される役さえ演じ、軽く首を締められたあとに「もう二度と演れない」と呟く。監督を虐殺の場所(今だに残っている処がインドネシアの貧困を物語っている)に夜連れてゆき、慣れない告解を始める。人が自分の罪を思い出して「吐く」というのを初めて観た。まるで地獄の底から声を出すように、吐くのである。

古来、戦争により1000人以上殺してきた英雄はごまんといるはずだ。戦って殺すのではなく、ゲリラを摘発して殺してきた英雄もごまんといるはずだ。戦前の中国戦線の兵士たちがまさにそういう英雄たちではなかったか。日本はたまたま負けて、その人たちの言動は奥深く封印された。決してアンワルを単純に裁断出来ない。

傑作である。

(解説)
 1965年、インドネシアのスハルト元大統領の権力掌握の過程で、100万人を超える華僑や反体制派が「共産主義者」として虐殺された。スハルトの軍事独裁政権と、その継承者においては反共が国是であり、共産主義者と戦った人々は英雄である。ここにアンワル・コンゴという男がいる。彼はかつて殺人部隊の一員として1000人近くを殺害した。過去の殺人を恥じず、堂々と自慢するアンワルに監督はもちかける。あなたの殺人を映画にしてみませんか?これは恐るべきドキュメンタリー映画である。

inシネマクレール
2014年4月20日
★★★★★



「ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!」
もしかして、とんでもない感動作なのではないかと思っていた。しかし、やっぱりおバカ映画でした(^_^;)。

酔っ払いは世界を救う?うーむ、そうなのかな〜。却って破滅させた気が‥‥。

ワーキング・タイトルって制作会社は、英国労働者階級のための会社なんだろうな。パブ巡りが出来て楽しかった、と思える人にはいい映画だと思う。

(解説)『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!』などのエドガー・ライト監督、サイモン・ペッグ、ニック・フロスト主演という黄金トリオが放つSFコメディー。故郷の街でパブのはしごをする中年男性5人組が、いつしか世界存亡を懸けた戦いに身を投じるはめに。『思秋期』などのパディ・コンシダイン、『ホビット 思いがけない冒険』などのマーティン・フリーマンら、イギリスの実力派が共演。奇想天外な設定や物語に加え、サイモンとニックが繰り出す息の合った掛け合いも見ものだ。

(ストーリー):ひと晩に5人で12軒のハシゴ酒という学生時代に達成できなかった挑戦にリベンジすべく、故郷であるイギリス郊外の街ニュートン・ヘイヴンに戻ってきた中年男性たち。終点となる12軒目のパブ、ワールズ・エンドを目指して、ひたすら飲みまくっては大騒ぎする彼らだったが、どこか街の住民たちの様子がおかしいことに気付く。やがて、住民が何者かによって操られていることが判明。目を光らせて青い血を流す彼らに追い掛けられながらも、五人はハシゴ酒を成し遂げようと逃げては飲んでを繰り返していく。
監督: エドガー・ライト
出演 サイモン・ペッグ
ニック・フロスト
パディ・コンシダイン
マーティン・フリーマン
エディ・マーサン
ロザムンド・パイク
inシネマクレール
2014年4月27日
★★★☆☆





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最終更新日  2014年05月09日 11時36分37秒
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