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2014年08月20日
テーマ： 映画館で観た映画(8523)
カテゴリ： 洋画（12~）
映画評を連載していると言っても、原稿料などは貰っていなくて御礼という名の図書カードを貰っているだけなんです（←誰に言い訳しているんだ）。というわけで今月の映画評です(^_^;)。
「嘆きのピエタ」
しばらくエンタメ作品が続いたので、私の映画評の特徴である暗く重い作品を紹介したいと思います。あ、逃げないで！観て損はない、と思います。ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。
監督はキム・ギドクと言います。カンヌ、ベルリン、ヴェネチアの映画賞の常連で、私が韓国の中で1番好きな監督です。他の作品に「春夏秋冬そして春（03）」「サマリア（04）」「うつせみ（04）」などがあると言えば、思い出す人もいるでしょうか。大きなセットは使わずに、人と人との葛藤を、オリジナル脚本でじっくりと撮る監督です。私はいつもギリシャ悲劇のような寓話性を感じてしまいます。
さて今回の「嘆きのピエタ」。＜ピエタ＞とは、十字架から降ろされたイエス・キリストを胸に抱く、聖母マリア像のこと。慈悲深き母の愛の象徴です。
借金取りの男ガンド（イ・ジョンジン）。冷酷無比な取り立ての日々を送る彼の前に、突然母親だと名乗る謎の女（チョ・ミンス）が現れます。疑いながらも、女から注がれる無償の愛に、ガンドは徐々に彼女を母親として受け入れていくのです。キムギドクにしては話が二転三転して、かなりドラマ性のある作品ですが、厳密に見るとやはり抽象絵画のようです。
生れてすぐに親に捨てられ、30年間天涯孤独に生きてきた息子は果たして親子の情愛に目覚めることが出来るのか？あそこにあったのは果たして親子の愛情だったのか、恋愛感情だったのか？そして、復讐とは何かを深く考えさせる作品になっているのではないかと思います。
舞台は大都市ソウルの吹き溜まりのような下請け工場が集まった下町・清渓川です。ガンドの仕事の仕方は、債務者に重傷を負わせ、その保険金で利子が10倍に膨らんだ借金を返済させるという血も涙もないやり方でした。韓国の貧困状態は、常に日本の一歩前を行っています（高齢者貧困率は45%で、日本は22%）。金とは何か。そういう韓国の経済状態を背景に映しながらも、あくまでも「人間の原罪」に目をむけているのが、キム・ギドク監督の特徴なのです。（2013年韓国作品、レンタル可能）
「嘆きのピエタ」
しばらくエンタメ作品が続いたので、私の映画評の特徴である暗く重い作品を紹介したいと思います。あ、逃げないで！観て損はない、と思います。ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。
監督はキム・ギドクと言います。カンヌ、ベルリン、ヴェネチアの映画賞の常連で、私が韓国の中で1番好きな監督です。他の作品に「春夏秋冬そして春（03）」「サマリア（04）」「うつせみ（04）」などがあると言えば、思い出す人もいるでしょうか。大きなセットは使わずに、人と人との葛藤を、オリジナル脚本でじっくりと撮る監督です。私はいつもギリシャ悲劇のような寓話性を感じてしまいます。
さて今回の「嘆きのピエタ」。＜ピエタ＞とは、十字架から降ろされたイエス・キリストを胸に抱く、聖母マリア像のこと。慈悲深き母の愛の象徴です。
借金取りの男ガンド（イ・ジョンジン）。冷酷無比な取り立ての日々を送る彼の前に、突然母親だと名乗る謎の女（チョ・ミンス）が現れます。疑いながらも、女から注がれる無償の愛に、ガンドは徐々に彼女を母親として受け入れていくのです。キムギドクにしては話が二転三転して、かなりドラマ性のある作品ですが、厳密に見るとやはり抽象絵画のようです。
生れてすぐに親に捨てられ、30年間天涯孤独に生きてきた息子は果たして親子の情愛に目覚めることが出来るのか？あそこにあったのは果たして親子の愛情だったのか、恋愛感情だったのか？そして、復讐とは何かを深く考えさせる作品になっているのではないかと思います。
舞台は大都市ソウルの吹き溜まりのような下請け工場が集まった下町・清渓川です。ガンドの仕事の仕方は、債務者に重傷を負わせ、その保険金で利子が10倍に膨らんだ借金を返済させるという血も涙もないやり方でした。韓国の貧困状態は、常に日本の一歩前を行っています（高齢者貧困率は45%で、日本は22%）。金とは何か。そういう韓国の経済状態を背景に映しながらも、あくまでも「人間の原罪」に目をむけているのが、キム・ギドク監督の特徴なのです。（2013年韓国作品、レンタル可能）
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