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2015年03月24日
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テーマ: 本日の1冊(3684)
カテゴリ: 加藤周一


「憲法9条新鮮感覚 日本・ドイツ学生対話」加藤周一+浅井イゾルデ 桜井均編 花伝社

加藤周一は93年に日本とドイツを比較して「戦後の世代にも戦争責任はある」という考え方を述べた。しかし、それはあくまでも自覚的な平和運動家だけに知られており、一般常識にはなっていない。世の中には依然として「生まれる前の戦争のことで、どうして国が何度も謝らなくはならないのか」という頓珍漢なことをいう人たちが多くいる。いや、却って増えているというのが現状である。

それはすなわち、日本の平和運動の欠点の現れでもあるだろう。その欠点と直接結びついているかどうかは精査が必要だが、この本の冒頭言で加藤は9条の会の「弱点」をふたつ挙げている。

一つ、国際的協力の面はまだ極めてせまい。9条改憲は本来国際問題でもある。
一つ、9条の会に集結している方々の構成員に問題がある。老人が多く、若者が少ない。

この指摘に、私は目を開かされた思いがした。死せる加藤周一生ける我々をさらに走らす。

この前ドイツのメルケル首相が日本にきたとき、エネルギー問題や歴史認識問題で、安倍には耳が痛いことを言ったらしい。しかし、本当はもっとドイツとの対話が進んでいたならば、メルケルを9条の会の全国討論集会に呼んでシンポを開くことが出来たかもしれない。もしそういう「幅広い運動」が出来るようになれば、9条の危機は回避されるだろう。

加藤周一が亡くなったのは、2008年12月だった。1-3月に不調を訴えて胃癌が発見されて、夏に最後の力を振り絞って1968年の革命のことについて話をしたのだ。それは民主化の国際的な運動であり、若者の運動だった。この本は2008年4月に刊行されている。まさに準備段階のときに加藤に、病魔が忍び寄っていたのである。その本が「若者たちの」「日独学生対話」であったことはすごいと思う。

残念ながら、学生たちの議論は、まだ一般常識の範囲を超えてはいない。理論としても、行動レポートとしてもみるべきものはなかった。しかし、試みそのものは、例えようもなく貴重である。
2015年3月18日読了





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最終更新日  2015年03月24日 15時46分44秒 コメント(2) | コメントを書く


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