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2015年03月30日
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カテゴリ: 社会時評


数日前に、総社の福山城跡まで約1年ぶりに登った。これは、その時に道ベリにあったスミレ。その日からすっかり春になった。この福山は階段が1234段ある。時々登っていたら、上がって下りるのに、一時間もかからないのだけど、すっかり足腰が衰えていると大変なことになる。未だにまともに歩けない(泣)。

さて、昨日の記事の室井佑月氏の意見の中に「天皇陛下や皇太子さまのあれだけの平和への願いも、軽く扱われる始末。」とあったので、ついでにそのことも検証してみようと思う。ちょうど、池上彰がそのことについて、「朝日新聞の中のご意見番」みたいな位置づけのコラムで書いていた。もっともなことを書いていると思う。

皇太子と私は実は同じ歳である。しかし、彼と同時代を生きたという感覚がまったくない。彼が3月までに生まれているので、学年が一年上だったということもある。テレビでの報道は常に一年上級生としての皇太子だったということも影響している。

池上彰は、「(政治的発言が出来ない皇太子としての)ギリギリのコメントだった」と評価している。その面もある。しかしそうだとしても、同年代としてそんなに評価すべきような「情熱」が感じられない会見のような印象を受ける。その微妙なところは全文を読んだ人間でないと、話し合えないところだろう。

世の中に「流されない」ことの一つの秘訣は、意見が別れていることは重要なことが多いので、注目すること。
もう一つは、原典に当たること。だと思う。

池上彰の解説は参考にできるけど、頼らない。皇太子記者会見全文をのせる所以である。


(池上彰の新聞ななめ読み)皇太子さまの会見発言 憲法への言及、なぜ伝えぬ
2015年2月27日5時0分(朝日新聞)

 記者会見に出席し、同じ話を聞いたはずの記者たちなのに、書く記事は、新聞社によって内容が異なる。こんなことは、しばしばあります。記事を読み比べると、記者のセンスや力量、それに各新聞社の論調まで見えてくることがあります。
 2月23日は皇太子さまの誕生日。それに向けて20日に東宮御所で記者会見が開かれ、その内容が、新聞各社の23日付朝刊に掲載されました。
 朝日新聞を読んでみましょう。戦後70年を迎えたことについて皇太子さまは、「戦争の記憶が薄れようとしている」との認識を示して、「謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切」と指摘されたそうです。
 また、今年1年を「平和の尊さを心に刻み、平和への思いを新たにする機会になればと思っています」と話されたそうです。
     *
 同じ記者会見を毎日新聞の記事で読んでみましょう。こちらは戦後70年を迎えたことについて、「我が国は戦争の惨禍を経て、戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、平和と繁栄を享受しています」と述べられたそうです。
 皇太子さまは、戦後日本の平和と繁栄が、日本国憲法を基礎としていると明言されたのですね。以前ですと、別に気にならない発言ですが、いまの内閣は、憲法解釈を変更したり、憲法それ自体を変えようとしたりしています。そのことを考えますと、この時点で敢(あ)えて憲法に言及されたことは、意味を持ちます。
 いまの憲法は大事なものですと語っているからです。天皇をはじめ皇族方は政治的発言ができませんが、これは政治的な発言にならないでしょうか。
 ところが、憲法第99条に、以下の文章があります。
 「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と。
 皇太子さまは、憲法のこの条文を守って発言されているに過ぎないのですね。
 でも、憲法擁護義務を守りつつ、「憲法は大事」と伝えようとしているのではないか、とも受け取れます。それを考えると、宮内庁と相談しながらのギリギリのコメントだったのではないかという推測が可能です。
 こんな大事な発言を記事に書かない朝日新聞の判断は、果たしてどんなものなのでしょうか。もちろんデジタル版には会見の詳報が出ていますから、そちらを読めばいいのでしょうが、本紙にも掲載してほしい談話です。
 他の新聞はどうか。読売新聞にも日本経済新聞にも産経新聞にも、この部分の発言は出ていません。毎日新聞の記者のニュース判断が光ります。
     *
 こうなると、他の発言部分も気になります。朝日新聞が書いている「謙虚に過去を振り返る」という部分です。このところ、日本の戦争の歴史の評価をめぐって、「謙虚」ではない発言が飛び交っていることを意識されての発言なのだな、ということが推測できるからです。皇太子さまの、この言外に含みを持たせた発言を、他紙は報じているのか。
 毎日新聞と日経新聞は報じていますが、読売新聞にはありません。産経新聞は、本記の中にはなく、横の「ご会見要旨」の中に出ています。
 日経新聞は、「謙虚に過去を振り返る」の発言の前に、「戦後生まれの皇太子さまは天皇、皇后両陛下から折に触れて、原爆や戦争の痛ましさについて話を聞かれてきたという」と書いています。天皇ご一家が、戦争の悲惨さと平和の大切さを語り続けてこられていることがよくわかる文章です。朝日新聞の記事では、こうした点に触れていません。記者やデスクの問題意識の希薄さが気になります。




皇太子さま55歳 記者会見全文
2015年2月23日5時2分(朝日デジタル、新聞には載っていない)

 皇太子さまは23日、55歳の誕生日を迎え、これに先立って記者会見した。全文は次の通り。
皇太子さま55歳 「謙虚に過去を振り返って」
(宮内記者会代表質問)
(問1)この1年を振り返り、印象に残った公務や、社会や皇室の出来事をお聞かせください。天皇陛下が即位された55歳となられたご感想はいかがでしょうか。今後のご自身の活動のあり方についてもお聞かせください。
【皇太子さま】この1年も自然災害が様々な地域に大きな被害をもたらし、多数の方々が亡くなられたことはとても残念なことでした。8月の広島県を中心とする豪雨や9月の御嶽山の噴火により亡くなられた多くの方々に深く哀悼の意を表し、御遺族と被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。また、降雪による被害も心配しております。
 今年1月に阪神・淡路大震災から20年を迎え、3月には東日本大震災より4年となります。被災された方々の悲しみやご苦労に思いを寄せ、厳しい環境の中で暮らしておられる方々の幸せと御健康をお祈りいたします。
 厳しい経験の中から、震災を乗り越え、未来を創造するための取り組みも多く生まれてきているように思います。昨年11月に訪れた兵庫県では、震災の記憶を風化させず、震災の経験を地域や世代をこえて伝えようとする取り組みがなされていました。東日本大震災からの復興の取り組みとして、昨年8月にパリで行われた「東北復幸祭」に参加した「OECD東北スクール」の高校生と先日お会いしましたが、被災地の生徒の皆さんが、自ら主体的に企画し、行った催しが大きな成功を収めたことをとてもうれしく思いました。また、昨年訪れた徳島県松茂町の防災センターでは、将来、起こり得る南海トラフ地震への備えとして、小学生の子供たちが、自宅や学校のある地域で地震が起きた場合に、どのようにして安全な場所に、そして、安全に避難をすることができるかを一生懸命話し合っていた姿が印象に残っています。防災には、日頃の心構えや訓練などの備えがとても大切なのではないかと思います。
 今年、1月に出席した「防災・減災に関する国際研究のための東京会議」では、我が国を含め、災害を受けた各国の経験が共有されましたが、来月仙台で開催される第3回国連防災世界会議を通じ、将来の災害に備えるために、国際的な協力が進むことを期待しております。これからも被災地の復興に心を寄せるとともに、防災に関して、関心を持ちつつ、私ができることをやっていきたいと考えています。
 また、この1年、訪れた各地で農林水産業の活性化、地方色豊かな文化振興、先端技術や伝統産業を融合した新製品の開発など各地域の活力を感じました。これからも、国内の訪問する各地でそれぞれの地域の特性をいかした新たな取り組みについて見聞を広められたらと思っています。
 昨年12月に青色発光ダイオードの開発で赤崎氏、天野氏、中村氏がノーベル物理学賞を受賞されたことを喜ばしく思います。今回の3氏の受賞は、地道な研究の積み重ねと大学、民間企業を始め多くの方々の支援と協力から生まれたものと思います。今後とも我が国で先端技術の開発や基礎研究が更に進むことを期待しております。
 このように技術革新により新たな経済活動が生まれる一方で、世界経済は、先進国、開発途上国の双方が、所得格差や若年者の失業などの課題を抱え、通貨や石油価格の変動などの問題に直面しています。国際情勢に目を向ければ、この1年も中東などで武力紛争が続きました。特に我が国国民を含め市民を巻き込むテロの事件が様々な場所で発生したことに深く心を痛めています。昨年11月にお会いしたグテーレス国連難民高等弁務官から子供を含め難民を取り巻く環境は深刻であるとのお話を伺いました。また、10月に私が名誉総裁を務める、国連「水と衛生に関する諮問委員会」の第23回会合の水循環・水と災害特別セッションやオマーン王室のイニシアティブに基づく第3回スルタン・カブース学術講座での「持続的発展に向けた水資源の管理」に関するシンポジウムが東京で開催され、出席しましたが、環境保全や水の問題の解決などを通じ持続可能な社会をいかに実現するかは喫緊の課題です。このように世界の平和と繁栄をいかに将来にわたり実現していくかが今改めて問われているように思います。
 昨年11月に愛知県で開催された「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」に出席した際には、未来の地球を支えるために自ら考え、取り組む子供たちを心強く思いました。そして若い世代が、積極的に海外を訪れ、海外の青年と交流し、各国の社会や文化を正しく理解するなど、国民の一人一人が各国との友好を深めていくことを望んでおります。先月、学習院女子大学で、私のイギリス留学中の体験を中心とした講義をいたしましたが、学生の皆さんの目が海外に向いている様子をうれしく思いました。私自身、昨年6月に、国交樹立150周年を迎えたスイスを訪問しましたが、これからも、各国との友好親善の増進に少しでもお役に立てればと思っております。そして、内外の若い人たちとの交流も大切にしていきたいと思っています。
 今年我が国は、戦後70年を迎えます。この機会に改めて戦争で亡くなられた多くの方々に深く思いを致し、平和を心から願い、世界各国との友好を確かなものとしていくことが大切であると考えています。
 一昨年天皇陛下が、昨年皇后陛下が傘寿をお健やかにお迎えになられたことをお喜び申し上げております。天皇陛下が即位されて今年で27年目となりますが、天皇皇后両陛下には、長きにわたり、国民の幸せを願い、国民と苦楽を共にされながら、ご公務を行っておられます。このような両陛下のお気持ちを体して、これからも心を込めて務めを果たしていきたいと思います。私は、今年で55歳になりますが、天皇陛下が即位されたのと同じ年になったと思うと、身の引き締まる思いと共に、感慨もひとしおです。私は、常々、過去の天皇が歩んでこられた道と、天皇は日本国、そして国民統合の象徴であるとの日本国憲法の規定に思いを致すよう心掛けけております。そして、これまで、象徴とはどうあるべきか、その望ましい在り方を求め続けてこられた天皇陛下と陛下をおそば側でお支えになっておられる皇后陛下のお姿に学びながら、これからも努力していきたいと思っています。
 両陛下がこれまでなさってきた、こどもの日及び敬老の日にちなんでの施設訪問については、今年から秋篠宮と共に受け継がせていただくことになります。今年は、こどもの日にちなんだ施設訪問を行う予定です。私は、沖縄や北海道の豆記者やボーイスカウトのメンバー、全国高等学校総合体育大会の参加選手や大会ボランティアの生徒を始め、意欲に満ちて、生き生きとした子供たちと出会う機会が多くあります。一方で、いじめや子供の虐待など心の痛む問題もあり、青少年や子供たちを取り巻く環境が少しでも良くなるように社会全体で取り組むことが大切です。また、次の世代を担う子供たちが健やかに育っていくこととあわせて、若い世代が社会の問題に関心を持ち、高齢者や障害者など弱い立場にある人たちを大切にし、思いやりのある寛容な社会を築いていくことも重要だと思います。これからも、このような社会をつくっていくために努力されている多くの方々のお話を伺いながらいろいろと考えていかれたらと思っています。
(問2)今年は戦後70年の節目の年です。戦争と平和への殿下のお考えをお聞かせください。先の大戦や戦没者慰霊については天皇、皇后両陛下からどのようにお聞きになり、愛子さまにはどう伝えられていますでしょうか。
【皇太子さま】先の大戦において日本を含む世界の各国で多くの尊い人命が失われ、多くの方々が苦しい、また、大変悲しい思いをされたことを大変痛ましく思います。広島や長崎での原爆投下、東京を始め各都市での爆撃、沖縄における地上戦などで多くの方々が亡くなりました。亡くなられた方々のことを決して忘れず、多くの犠牲の上に今日の日本が築かれてきたことを心に刻み、戦争の惨禍を再び繰り返すことのないよう過去の歴史に対する認識を深め、平和を愛する心を育んでいくことが大切ではないかと思います。そしてより良い日本をつくる努力を続け、それを次の世代に引き継いでいくことが重要であると感じています。
 両陛下には、これまで様々な機会に、戦争によって亡くなられた人々を慰霊し、平和を祈念されており、今年は、戦後70年に当たり、4月にパラオ国をご訪問になります。戦後60年にはサイパン島をご訪問になりましたが、お心を込めて慰霊されるお姿に心を打たれました。また、両陛下には、今年戦後70年を迎えることから、昨年には広島、長崎、沖縄で戦没者を慰霊なさいました。私は、子供の頃から、沖縄慰霊の日、広島や長崎への原爆投下の日、そして、終戦記念日には両陛下とご一緒に黙祷(もくとう)をしており、その折に、原爆や戦争の痛ましさについてのお話を伺ってきました。また、毎年、沖縄の豆記者や本土から沖縄に派遣される豆記者の人たちと会う際に、沖縄の文化と共に、沖縄での地上戦の激しさについても伺ったことを記憶しています。
 私自身もこれまで広島、長崎、沖縄を訪れ、多くの方々の苦難を心に刻んでまいりました。また、平成19年にモンゴルを訪問した際に、モンゴルで抑留中に亡くなられた方々の慰霊碑にお参りをし、シベリア抑留の辛苦に思いをはせました。
 私自身、戦後生まれであり、戦争を体験しておりませんが、戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています。両陛下からは、愛子も先の大戦について直接お話を聞かせていただいておりますし、私も両陛下から伺ったことや自分自身が知っていることについて愛子に話をしております。
 我が国は、戦争の惨禍を経て、戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、平和と繁栄を享受しています。戦後70年を迎える本年が、日本の発展の礎を築いた人々の労苦に深く思いを致し、平和の尊さを心に刻み、平和への思いを新たにする機会になればと思っています。
(問3)雅子さまは11年ぶりに宮中晩餐(ばんさん)会に出席されるなど、少しずつ活動の幅を広げられています。現在のご体調と今後の見通しについてお聞かせください。昨年中学生になられた愛子さまの学校やご家庭でのご様子はいかがでしょうか。伊勢神宮参拝やご両親の公務への同行などを通じて、愛子さまは皇族としてのご自身のお立場をどのように感じられているでしょうか。
【皇太子さま】雅子は、治療を続ける中で、体調をその都度整えながら、公私にわたってできる限りの活動をするための努力を続けています。そうした中で、この1年を振り返ると、昨年7月に神宮参拝のため三重県を訪問し、11月に「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」への出席のため愛知県を訪問しました。東京でも10月にオランダ国王王妃両陛下の国賓訪問に際する国賓行事出席や11月に皇居宮殿での文化勲章受章者等の茶会などの行事に出席しました。また、東宮御所内の仕事などでも、私をよく支えてくれる一方、愛子の成長にも心を配ってくれています。
 このように、雅子は、確かに快方に向かっておりますが、これですぐに活動の幅が広がるわけではないと思います。お医者様からもご助言を頂いているように、体調を整えながら、引き続き、焦らず慎重に、少しずつ活動の幅を広げていってほしいと思っています。
 愛子は、昨春から学習院女子中等科に進学し、元気に通学をしております。新しい環境の中で中学校生活を始め、その環境にもかなり慣れてきたのではないかと思います。中等科生になり、勉強する内容も難しく、量も多くなっていますので、家でも頑張って課題などに取り組んでいます。雅子も私も愛子の勉強を見ることがありますが、内容の難しさに驚くこともしばしばです。同時に中等科では、外から多くの生徒が入ってきたので、新しいお友達も増え、上級生とも交流するなど、実り多い中等科生活を楽しんでいるようです。
 7月の武蔵野陵及び武蔵野東陵の参拝、さらに神宮参拝は、雅子と共に、愛子も同伴しました。愛子は、一昨年の神宮式年遷宮に際して私たちと一緒に遙拝(ようはい)を行い、また、初等科6年生の時に、放送委員として昼休みの放送で神宮式年遷宮について紹介するために学習していたので、実際に神宮を参拝し、更に理解を深めたのではないかと思います。その後も8月に東京で行われた全国高等学校総合体育大会の競技などにも愛子を同伴しておりますが、愛子もこうした行事への出席に少しずつ慣れてきたように見えます。これからも少しずつ経験を積み、皇族の務めについての理解を深めていってくれればと思っています。
 両陛下には、雅子の体調をお気遣いいただき、そして、愛子の成長を温かくお見守りいただいていることに心より感謝申し上げております。また、国民の皆様より私たちに温かく心を寄せていただいておりますことに心より感謝しております。
(問4)昨年夏に完成した昭和天皇実録のご感想や昭和天皇との思い出についてお聞かせください。天皇のあり方について昭和天皇のお姿から感じられたことについても、あわせてご紹介ください。
【皇太子さま】昨年8月に昭和天皇実録が天皇皇后両陛下に奉呈されました。実録が、長い時間をかけて多くの人々の努力により今回完成したことをうれしく思いますとともに、編纂(へんさん)に関係した方々のご苦労もいかばかりであったかと思います。実録は、昭和天皇御一代のご事蹟(じせき)を客観的資料に基づき記したものであり、実録の内容の公表を通じ、多くの人が昭和天皇のご事蹟(じせき)に関心を持ち、併せて昭和という時代への理解を深めることになればと思います。
 実録自体は大部のものであり、全体を読むのには時間がかかりますし、個別の内容について申し上げることは控えたいと思いますが、昭和という激動の時代にあって60年を超える長きにわたり、国民を思われ、真摯(しんし)にご公務に当たられた昭和天皇のお姿がしのばれます。昭和天皇のご事蹟(じせき)と昭和の時代の変遷を、政治、社会、文化、外交などの総合的な視点から理解するためにも、更に実録を読み進めていきたいと思います。昭和天皇には、幼い頃から、御所に上がらせていただいた折に、優しくお声を掛けていただいたことを懐かしく思い出します。そして、天皇のお仕事の大切さやお仕事が大変なこともお話の節々に感じたように思います。小さい頃の思い出ですが、御所に上がった折に、生物学者でいらっしゃった昭和天皇が、何かをお調べになるのに書庫に入って行かれたことがありました。今の陛下も一緒に行かれて、私も興味があったのか、後をついて行ったように思います。書庫の中で分厚い本を昭和天皇が広げられ、今の陛下と何か楽しそうに、それでいて真剣な感じで話し合われていたのをよく記憶しています。その時、私は、何かあったら調べることの大切さ、そして、お二人の研究者としてのまなざしを肌で感じ、研究をするというのはすばらしいことだなと、子供心に思ったことを覚えています。
 現在の私は、昭和天皇とも現在の天皇陛下とも研究分野は異なりますが、お二人から、真理を探求していくことの大切さや、その楽しみについても、いろいろと教えていただいてきていることに対して大変感謝をしております。
(関連質問)
(問1)4月に、韓国大邱市で、世界水フォーラムが開催されます。国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁でいらっしゃる殿下は、これまでに京都、メキシコ、トルコでの会議に出席されました。今回の出欠に関しては政府が対応しているとのことですが、韓国で開かれる大会について、殿下ご自身のお気持ちをお聞かせいただけるでしょうか。
【皇太子さま】私も、国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁をやっておりますので、今回の世界水フォーラムが、水問題を考える上で良い大会となることを心より願っております。
 私の出席については、これは政府の方で検討されることですので、私からはコメントは控えたいと思います。
(問2)先ほど昭和天皇との思い出の中で、ご研究者としての姿勢を学ばれたとお話がありましたけれども、天皇陛下のご公務について、昭和天皇から何か学ばれたことがございますでしょうか。
【皇太子さま】昭和天皇とは本当に小さい時から御所に上がるたびに非常にいろいろと良くしていただいていたわけですけれども、昭和天皇から直接公務について何か教えていただいたということよりは、やはり昭和天皇とお話をしながら、ご様子を拝見しながら、昭和天皇がご公務に真剣に取り組んでいらっしゃるということを非常に肌で感じ、そのことが私にとっても大変大きな教えになったように思います。
(問3)先ほども戦争については、両陛下から子供の頃からいろいろとお話を伺い、黙祷(もくとう)の際など折に触れ、原爆の悲惨さであるとか、いろんなことを伺ったというふうに伺いました。もし、そういった両陛下からお聞きになられた話の中で特にお心に残っていることがございましたら、お教え願いますでしょうか。
【皇太子さま】個々のことについてお話しするのは差し控えたいと思いますが、両陛下からのお話の中で、やはり本当に戦争がいかに悲惨なものであるか、こういったことを本当に二度と繰り返してはいけないものだということが、お話の節々で感じ取られ、本当に両陛下の平和を尊ぶお気持ち、それから諸外国との友好関係を大切になさるお気持ち、そういうものが私にも非常にひしひしと伝わってきて、そういったことが私にとっても非常に強く印象に残っております。





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最終更新日  2015年03月30日 13時37分47秒 コメントを書く
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