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2016年04月18日
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カテゴリ: 洋画(12~)

秋刀魚の味.jpg


この作品は初見でした。良かった。今年アカデミー作品賞を獲った「海街diary」、それは又素晴らしかったのですが、それとこれを比べれば私はこちらを採ります。

是枝監督と同様に日常生活の機微を描いた作品ですが、さりげない仕草や台詞、厳選されたカット割、さらには結果的にその時代性を見事に切り取った事で、私は一瞬たりとも画面から離れることが出来ませんでした。

「東京物語」ほかの小津作品を知っている人にはお馴染みかもしれませんが、今回もお父さんの代表のような笠智衆が嫁ぎ遅れた娘(岩下志麻)の結婚を画策するという話になっています。

高度経済成長が始まったばかりの、東京近郊の下町。工場はもくもくと煙を吐いてフル回転をし、55歳の笠智衆はそこで役員をしています。戦争時は駆逐艦の館長をしていました。やっと「復興」が終わったばかりの都会の片隅の描写が素晴らしいのです。長男夫婦(佐田啓二・岡田茉莉子)は公団住宅に住んでいて、既に家事分担が始まっています。家父長の威厳は保ちながらも、大きく変貌する直前の「家族」を描いて、それぞれの世代に、それぞれのことを想起させる力のある画を作っています。1962年の日本の東京ですが、私には昭和40年-50年代の倉敷がいたるところにありました。

笠が場末のバーで、海軍時代の部下(加東大介)と偶然再会する。その時「もしも戦争に勝っていたら」という話が出ます。もし日本がアメリカとの戦争に勝っていたら、今頃はニュー・ヨークにいるかも知れないと夢想する加東に対して、負けてよかったのではないかと応じる笠の会話。
 「下らない連中が威張り散らすことがなくなっただけ、戦争に負けて良かったのではないか」
これがこの二人の結論でした。 本筋とは全く関係ないエピソードですが、これが戦後17年後の戦争を経験してきた者たちの実感なんだろうと思いました。戦争で家が焼けた、食べ物に不自由をした。そんなことよりも、バカが大威張りだったことのほうが嫌な思い出だったのです。

デビュー二年目の岩下志麻、そして岡田茉莉子が匂うように美しい。







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最終更新日  2016年04月18日 18時03分03秒
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