再出発日記

再出発日記

PR

フリーページ

お気に入りブログ

「有名であること」… New! 七詩さん

『女と男の大奥』1 New! Mドングリさん

台湾旅行。出発~Qス… New! はんらさん

源氏物語〔2帖帚木 … New! Photo USMさん

小早川家の秋★午前十… New! 天地 はるなさん

カレンダー

2021年12月16日
XML
テーマ: 本日の1冊(3686)



田中芳樹に「新・水滸伝」という著作は無い。何故本編をすっ飛ばかして「後伝」から始めたのかは、おそらく(下)まで行けばハッキリさっぱり分かると思う。それは兎も角、北方謙三の「岳飛伝」が終わって水滸伝ロスに陥っている私としては、楽しい読書だった。全数十巻ではなく、たった2巻で済みそうだし。

ご丁寧にも目次の後に「水滸伝百八星一覧表」があり、108人全員表記してくれていて、そのうち本編あとも生き残った33人に⚫︎がついている。(原作本編では、呉用や史進、扈三娘さえ既に亡くなっていたのか!←すみません、北方水滸伝を知らないと何のことやら分からないと思います)その次に「新・水滸後伝の世界」と題して北宋時代の地図があるのであるが、杭州の東の海の辺りに暹羅本島という台湾を小さくしたような島が浮いている。私は北方謙三「水滸伝シリーズ」を愛読していたので、読本を通して北方水滸伝には出てこないこの島を舞台に李俊たちが大暴れする展開を知っている。ちょっとドキドキする。「楊令伝」や「岳飛伝」の辺りで亡くなっていった傑物たちが、性格は違えども、また生き生きと喋って活躍してくれるのは、なんとなく嬉しい。童貫が卑劣漢で、聞煥章が良い奴だと言うのも、原作はそうだったんだなぁ、と新鮮である(←北方水滸伝未読の方々すみません)。パラレルワールドでまた彼らが生き返った気がする。

田中芳樹は、こんなひねくれた読者を想定しているわけでは無い。

「梁山泊が恋しいよ杜さん(杜興)。全く、宋頭領(宋江)は何でまた、あんなに帰順(宋王朝に従うこと)したがったんだろうな。俺たちみんな、朝廷づとめなんてまっぴらだからこそ、梁山泊に集まったんじゃないか」
「俺も不思議だがね、楊君(楊林)、宋頭領の帰順欲求には、みんな不満を持っていたけど、あの人に背かなかったじゃないかね」
「考えてみりゃ、そのほうが不思議だな」
「ま、天界で定められたことだ。しかたないさ」
(73p)()内は、私の注。
原作本編において、宋江が帰順したことで、梁山泊英傑が使い回され、次々と戦死し、騙し討ちで宋江などは毒殺された。それによって梁山泊は殆ど壊滅状態になったことを田中芳樹が皮肉っている所である。原作水滸伝は、天命思想によって動いていたので、読者含めてみんなが不満に思う愚者宋江の命令(運命)には、逆らえなかったのである。おそらく、水滸後伝は、それらの不満を払拭するような話になっているのかもしれない。因みに、北方水滸伝の宋江は、そこまで愚者では無い。

上巻までの私のみたところは、そういう本編水滸伝批判と、水滸伝本来の荒唐無稽さにリスペクトする話を狙っているのかもしれない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021年12月17日 13時17分56秒
コメントを書く
[読書フィクション(12~)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

永田誠@ Re:アーカイブス加藤周一の映像 1(02/13) いまはデイリーモーションに移りました。 …
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
韓国好き@ Re:幽霊が見えたら教えてください 韓旅9-2 ソウル(11/14) 死体置き場にライトを当てたら声が聞こえ…
生まれる前@ Re:バージンブルース(11/04) いい風景です。 万引きで逃げ回るなんて…
aki@ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) 日本有事と急がれる改憲、大変恐縮とは存…
北村隆志@ Re:書評 加藤周一の「雑種文化」(01/18) 初めまして。加藤周一HPのリンクからお邪…
ななし@ Re:「消されたマンガ」表現の自由とは(04/30) 2012年に発表された『未病』は?
ポンボ @ Re:書評「図書館の魔女(4)」(02/26) お元気ですか? 心配致しております。 お…
むちゃばあ@ Re:そのとき 小森香子詩選集(08/11) はじめまして むちゃばあと申します 昨日…
KUMA0504 @ Re[1]:書評「どっちがどっち まぎらわしい生きものたち」(02/26) はんらさんへ 今気がつきました。ごめんな…

バックナンバー

・2024年06月
・2024年05月
・2024年04月
・2024年03月
・2024年02月
・2024年01月
・2023年12月
・2023年11月

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: