再出発日記

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2022年01月06日
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テーマ: 本日の1冊(3693)


去年5月に横山秀夫の著作を20年ぶりに再読した時に、最近描けていないのはネタ元が尽きたからだという意味のことを書いた。全く失礼なことを書いた。横山秀夫は新たなステージに登った。

久しぶりの新作がやっと文庫化した。勇躍して紐解くと、その新しいテーマ、その瑞々しさ、隅々まで絞り込んだ表現、それなのに変わらないスタンスに驚愕した。誤解を恐れず言えば、女流作家には描けない、ぶざまにも美しい「男の矜持」が、全篇にわたって描かれていた。

建築を設計し建てることは、小説を書くことに似ている。青瀬の〈Y邸〉は、横山秀夫にとっては、辿り着いた最高傑作に似ているのだろう。かつて横山秀夫は、新聞記者時代に培ったサツ回りの経験を膨らませて10数年を突っ走った。今回それを総て捨てている。捨ててどうしたかというと、おそらく子供時代から培ってきた「感性」を、この作品に注ぎ込んだ。

じぶんの原点は何かを問い直し、
それに沿って一から創り上げた。
まるで、青瀬が〈あなた自身が住みたい家を建ててください〉という言葉に救われたように、
まるで、岡嶋が〈足りないものを埋めること、埋めても埋めても足りないものを、ただひたすら埋めること〉という言葉で救われたように

おそらく横山秀夫が描きたかったものは
「巧い、暗い、恐い、そして美しい」ナニカなんだったのだと思う。


緊密で硬質な文体は暗く
時折見せる心理描写は恐く
そしてすべてが美しい

ずっと積読状態だった「日本美の再発見」(ブルーノ・タウト)は、今年は紐解こうと決心した。

kinya3898さんのレビューで文庫化を知った。





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最終更新日  2022年01月06日 13時51分20秒
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