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16.ジェシー・ジェームズの暗殺■原題:The Assassination Of Jesse James By The Coward Robert Ford■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:160分■日本語字幕:岡田壮平■鑑賞日:2月9日、バウスシアター(吉祥寺)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・脚本:アンドリュー・ドミニク□製作:デデ・ガードナー、リドリー・スコット、ジュールズ・ダリー、デイヴィッド・ヴァルデス、ブラッド・ピット□製作総指揮:ブラッド・グレイ、トニー・スコット、リサ・エルジー、ベンジャミン・ワイズブレン□原作:ロン・ハンセン□撮影:ロジャー・ディーキンズ□編集:ディラン・ティチェナー、カーティス・クレイトン□衣装:パトリシア・ノリス□音楽:ニック・ケイヴ、ウォーレン・エリスキャスト◆ブラッド・ピット(ジェシー・ジェームズ)アメリカ中にその名を轟かせたアウトロー◆ケイシー・アフレック(ロバート・フォード)幼い頃からジェシーに憧れ19歳で身の回りの世話をすることを許される◆サム・シェパード(フランク・ジェームズ)ジェシーの兄で自らも強盗を働くがやがて辞めて農場で暮らす◆メアリー=ルイーズ・パーカー(ジー・ジェームズ)ジェシーとは従姉でジェシーの愛妻◆ポール・シュナイダー(ディック・リディル)ジェシーとは南北戦争時代からの知り合い◆ジェレミー・レナー(ウッド・ハイト)ジェームズ兄弟の従弟で陽気な人物だがディックとは反りが合わない◆サム・ロックウェル(チャーリー・フォード)ロバート・フォードの兄、足に障害をもっている◆ギャレット・ディラハント(エド・ミラー)ジェームズ・ギャングの一味だったが後に離脱し農場で暮らす◆ゾーイー・デシャネル(ドロシー)ロバート・フォードの愛人で酒場の歌手。ロバートが心を開く唯一の相手だった【この映画について】アメリカで最も有名なアウトロー、ジェシー・ジェームズは南北戦争(1861~1865年、日本では幕末の頃)後、兄らとともに仲間を率いて25件以上の強盗と17件もの殺人を犯した重罪人ながら民衆からは英雄と称されている。そのジェシー・ジェームズを製作にも関わるほどの熱の入れようで、本人になりきっているかのようなブラッド・ピットの演技にも注目したい。原作はジェシー・ジェームズを暗殺したロバート・フォードに関する事実を丹念に調べ上げて書かれたロン・ハンセンの小説である。英題にもあるように、邦題とは異なりこの映画はあくまでも暗殺者である「ロバート・フォード」の視点で描かれている。【ストーリー】(一部ネタばれあり)南北戦争に参加したときの仲間らや兄と一緒に強盗を働くようになってから15年、ジェシー・ジェームズは犯罪を犯しては逃亡を繰り返すという生活をしながら生きてきた。家庭では子供を持つ父親としての顔もあるが、子供達は父の職業が何か一切知らない。1881年9月7日、ジェームズ兄弟率いる強盗団は、ミズーリ州ブルーカットでの列車強盗を企てていた。その日の夜の決行の為に集まった仲間の中に、一人だけ見知らぬ顔の若者がジェシーに自身を売り込みに来ていた。強盗団の一味チャーリー・フォードの弟ロバートで、ジェシーはこの若者の申し入れを快く受入れることにした。ロバートはジェームズ兄弟が仲間を率いて銀行強盗や列車強盗を繰り返し、世間から義賊のように扱われ「ジェームズ兄弟物語」なる三文小説まで出版されるなどの「活躍」に多大な影響を受けていた。ブルーカットでの列車強盗は成功に終り、兄はこの仕事を最後にすることを決めていたためジェシーとは距離を置くようになった。強盗団は次の仕事をするまでは解散状態なるが、ジェシーはロバートを身の回りの世話をさせるために残るように命じた。ここからネタバレに注意!!他のメンバーを差し置いてロバートだけが残されたことに有頂天になる。ジェシーと行動を共にし、彼の家族と生活をすることで一挙手一投足を観察し、伝説のヒーローの姿を目の当たりにするうちに、何時の間にか彼に対する憧れを通り越した感情が生まれてきた。潜伏生活で各地を点々とするジェシーに対して、何時の間に彼の首に多額の懸賞金がかけられていた。仲間の中にも不穏な動きを察し、ジェシーは何時の間にか疑心暗鬼になり疑い深くなる。そんな折、妻のジーだけはロバートの最近の微妙な行動の変化を肌で感じていた。ジーはロバートがジェシーを見つめるときの眼つきに何か狂気に似たような不穏な感情を感じ取っていて、それとなりにジェシーにも伝えていた。そして、ジーの嫌な予感は的中してしまう。何時ものように朝食の準備をしていたころ、ジェシーが自宅内の居間で額縁を直しているときだった。ロバートとフランク兄弟の放った凶弾がジェシーの命を瞬時に奪ってしまう。あわてて駆けつけたジーだったが時すでに遅かった。ロバートとフランクは逃亡を図りまんまと捕まらずに田舎へと移った。時代は流れ、ロバートは田舎町でバーを経営するが、利用客はロバートがジェシー・ジェームズを殺したことを非難するものばかりだった。そこで、ロバートとフランク兄弟が起死回生の策を打って出た。二人は全米各地の劇場を巡回して、二人が如何にしてジェシー・ジェームズを暗殺したかを舞台で再現するショウを繰り広げていったのだった。果たして、このショウの評判は如何なものだったのか?そして、ロバートへの理解者は現れるのか?...その辺は映画館かDVDでご確認あれ!【鑑賞後の感想】ジェシー・ジェームズは今でもアメリカのアウトローして、そしてヒーローとして崇められている?ようである。そのジェシー・ジェームズを演じたのがブラッド・ピットであり、彼はこの作品へプロデューサーとしても関わっていてそれだけ思い入れも強いようだ。役を演じるにあたっても彼はかなりリサーチをしたのではないだろうか?映画内のジェシー・ジェームズの動きとか話し方とか振る舞いを見ていると、ブラピの従来の出演作とは眼つきも違う。まるで、彼自身にジェシー・ジェームズの魂がのり移っているかのようというと大袈裟だろうか?しかし、実はこの映画の原題は直訳すると「臆病(卑怯)者ロバート・フォードによるジェシー・ジェームズの暗殺」である。そうなんです、邦題はこの前半分が欠落しているので如何にもジェシー・ジェームズだけについてを描いているかと勘違いしてしまう。それでもジェシー・ジェームズが主役なのですが、ロバート・フォードの視線でストーリーは進行している。それはジェシーを射殺したあとのロバート兄弟の苦悩などを描いている点からしてもそうだ。ロバートを演じたケイシー・アフレックは、ロバートの苦悩やジェシーに対する心境の変化とかジェシーとの緊張感を上手演じていたのは印象的だった。ブラピは俳優業と並行して、プロデューサーとしての一面も持ち合わせている。今回のジェシー・ジェームズはアメリカ人には馴染みの深いテーマだが、今後はどういう路線で行くのか注目したい。【自己採点】(100点満点)77点。ブラピの演技に渋さを感じた。←映画「ジェシー・ジェームズの暗殺」関係のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.02.28
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14.ウォーター・ホース■原題:The Water Horse:Legend Of The Deep■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:112分■日本語字幕:戸田奈津子■鑑賞日:2月1日、新宿ミラノ2(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:ジェイ・ラッセル□脚本:ロバート・ネルソン・ジェイコブス□原案:ディック・キング=スミス□製作:ロバート・バーンスタイン、バリー・M・オズボーン、ダグラス・レイ、チャーリー・ライオンズ□製作総指揮:チャールズ・ニューワース□撮影監督:オリヴァー・ステイプルトン□編集:マーク・ワーナー□衣装デザイナー:ジョン・ブルームフィールド□美術監督:トニー・バロー□音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワードキャスト◆エミリー・ワトソン(アン・マクマロウ)第二次大戦に出征したまま音信普通の夫の消息を気にしながら息子アンガスを育てる母◆アレックス・エテル(アンガス・マクマロウ)音信不通の父を待ちわびる少年◆ベン・チャップリン(ルイス・モーブリー)軍を除隊してマクマロウ家の下働きとして住み込む◆デヴィッド・モリッシー(ハミルトン大尉)マクマロウ家の屋敷を宿舎としている中隊のリーダー◆クルーソー:ネス湖を住処にする伝説の生き物。アンガスに育てられ友情を育む【この映画について】スコットランドのネス湖(管理人も旅行で行きました!)で水面から長い首を突き出して悠然と泳ぐ伝説の生き物「ネッシー」の写真。世界で物議をかもしたこの写真については最近この写真を撮ったトリックが解明されたが、ニセモノ写真が撮られた背景には本物の感動秘話があったという発想から生まれたのが本作だ。英国のベストセラー作家ディック・キング=スミスの夢溢れる小説を「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのスタッフが完全映画化した。撮影の大部分はニュージーランドでのロケでスコットランドに見立てて行われたそうだ。【ストーリー】(一部ネタばれあり)第二次世界大戦に真っ最中、出征したまま音信普通の父を待つ少年アンガスは、母アンと姉のカースティと3人で暮らすが孤独だった。或る日、アンガスは何時も遊んでいるネス湖で大きな不思議な石の塊を見つけてこっそりと持ち帰る。その石は青く光る卵のようで、そこから生まれてきたのは見たことも無い生き物。しかし、最初に見たアンガスを親だと勘違いしたのか直ぐにアンガスに馴れる。アンガスはこのやんちゃ坊主のような生き物に「クルーソー」と名付け、離れの小屋で母や姉に内緒でこっそりと飼う事にした。そんな頃、マクマロウ家をイギリス軍が押し寄せてきて将校たちの宿舎にすると言い出した。リーダーのハミルトン大尉らは、ネス湖と通じる海にナチス・ドイツの潜水艦が来るのを撃退する積りだ。そして軍がやってきてから、今度はマクマロウ家に下働きとして一人の男ルイス・モーブリーが雇われ離れ小屋で住込むことになりアンガスはクルーソーの存在がばれないか気が気でなかった。成長の早いクルーソーの存在はやがて姉のアンとモーブリーの知るところとなった。モーブリーはクルーソーをケルト人の古い伝説に出てくる「ウォーター・ホース」だと教えてくれた。歳を取ると卵を一つだけ産んで死ぬので、何時の世にも一匹しかいない孤独な存在なのだと。モーブリーはウォーター・ホースは本来の生息地であるネス湖に帰すべきだと忠告する。情が移ってしまっているアンガスには辛いことだが、日に日に成長し何時の間にか強大な生物と化したクルーソーの姿を見て承諾するのだった。ここからネタバレに注意!!クルーソーをネス湖に帰してからもアンガスは度々クルーソーの背中に乗ったりして遊んでいた。しかし、そんなクルーソーを目撃した釣客の通報で、クルーソーを捕獲しようという動きが活発になってしまう。更に、マクマロウ家に宿泊している軍隊がクルーソーを敵国潜水艦と勘違いし砲撃命令をハミルトン大尉が下してしまう。クルーソーを捕獲しようという動きと、爆撃を緩めない兵士達に戸惑うアンガス、アン、モーブリーらは必死に助けようとする。クルーソーは何とか海とネス湖が繋がっているところまで泳いできたが、そこにはハミルトンらが仕掛けた罠があった。アンガスはクルーソーを身を案じるが...。【鑑賞後の感想】「ウォーター・ホース」とは直訳すれば「海(湖)の馬」であるが、この映画で出てくる「愛すべき」?キャラはまさに「馬面」をした怪物のような生き物だ。生まれた頃は流石の怪物も、単なるヤンチャ坊主で愛くるしい表情をしている。その怪物もあっという間に人間の考えも付かないスピードで「怪物」そのもののサイズに成長する。この怪物の正体をアンガスの年齢では理解出来ず、名誉除隊したモーブリーによってその知識はもたらされた。アンとアンガスはこの生き物を何とか母と大尉にばれないようにと、小屋に隠したりバスタブにつけて皮膚が乾かないようにしたりとケアをしていた。それでも母に怪しまれて何度も見つかりそうになりながら隠し通せたのだったが、ネス湖に帰ってからその正体がばれてしまう。アンガスは消息不明の父を慕っており孤独な心を、クルーソーとの交流で満たしていたのだった。そのクルーソーを泣く泣く手放しながらも、以心伝心でクルーソーを湖畔の桟橋で呼び出し怪物になっても二人の絆は結ばれたままなのは心温まるシーンである。時代が第二次大戦中ということもあって、ネス湖で敵艦を迎撃する訓練をしていた兵隊達に潜水艦と間違われるのは「実話」ということになっているが本当かな?クルーソーは最後は海へと消えていき二度とアンガスと会うことは無かったそうだが、クルーソーはちゃんと知らないうちに帰っていたというところで、この物語は最初と最後で繋がっているという設定になっている。映画の語り部は、地元のパブに偶然入店して店に飾ってあったネッシーの写真をみていた、冷やかし半分の観光客へ事の顛末を説明していた一人の老人だった。この老人こそが成長したアンガスだった。ストーリーとしては特に盛り上がる部分は多くないが、それでも展開としてはアンガス少年の成長期と重なる。人間的な成長をクルーソーとの交流を経て遂げた物語は、鑑賞後に爽快感をもたらしてくれた。余談ながら管理人は15年前にネス湖まで旅行してきました。この映画でネス湖のシーンとして使われていロケ地はニュージーランドらしいです。密かに本当のネス湖でのロケならと期待していましたが、ニュージーランドの風景も私がみた15年前のスコットランドと似ていて驚きました。また、行って見たいな~そんな気分にさせてくれた映画でした。【自己採点】(100点満点)81点。アンガスが大尉に鍛えられるシーンは不要なのでは?人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.02.24
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12.テラビシアにかける橋■原題:Bridge To Terabithia■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:95分■鑑賞日:1月26日、新宿ミラノ2(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:ガボア・クスポ□原作:キャサリン・パターソン□脚本:ジェフ・ストックウェル□製作・脚本:デヴィッド・パターソン□製作:ハル・リーバーマン、ローレン・レヴィン□共同製作:ケヴィン・ハローラン□プロダクション・デザイナー:ロバート・ギリーズ□撮影監督:マイケル・チャップマン□編集:ジョン・ギルバート□美術:ジェニファー・ウォード□衣装:バーバラ・ダラ□音楽:アーロン・ジグマン□音楽監修:ジョージ・アコニー□サウンド・デザイナー:ティム・プレブル□ヘアメーク:ウィニー・スミス□照明:ジョノ・クゾウヤンキャスト◆ジョシュ・ハッチャーソン(ジェス・アーロンズ)姉二人妹二人に囲まれて男一人で育ったせいか内気な性格◆アナソフィア・ロブ(レスリー・バーク)ジェスの隣に引っ越してきた冒険心溢れる女の子◆ロバート・パトリック(ジャック・アーロンズ)ジェスの父で工具店で働きながら野菜を育てて売っている◆ケイト・バトラー(メリー・アーロンズ)ジェスの母で家計のやりくりに苦悩する毎日◆ベイリー・マディソン(メイベル・アーロンズ)ジェスの妹で正義感が強くジェスと仲良くしたがっている◆レイサム・ゲインズ(ビル・バーク)レスリーの父で作家◆ジュディ・マッキントッシュ(ジュディ・バーク)レスリーの母で作家◆ズーイー・デシャネル(エドマンズ先生)ジェスが憧れている美人先生◆ジェン・ウルフ(マイヤーズ先生)ジェスのクラスの担任の先生で指導は厳しいが愛情もある◆ローレン・クリントン(ジャニス・エイブリー)学校を仕切っている女ボスでトイレの使用料を徴収するなど威張っているが弱点も...【この映画について】ファンタジー映画全盛の時代にあって児童文学の金字塔とも呼べる傑作が映画化された。見る者の心を掴むには魔法の力も派手な仕掛けも必要ない。一番大切なのは子供の頃に培った純粋な心と豊かな想像力なのだということに気づかせてくれる。優れた児童文学として名高いキャサリン・パターソンによる原作をハンガリー出身のガボア・クスポ監督が初の実写作品としてメガホンをとり、主演に迎えたジョシュ・ハッチャーソンと『チャーリーとチョコレート工場』で個性豊かな子供を演じたアナソフィア・ロブが、確かな演技力で、人生の厳しさを丁寧に描いて伝えてくれる。【ストーリー】(一部ネタばれあり)5年生の少年、ジェス・アーロンズは女ばかりのきょうだいの中で唯一の男として育った。服装も靴も全て「姉のおさがり」ばかりで学校でもそれらが原因で馬鹿にされている。唯一の慰めは、妹メイベルが自分のことを慕っていることと、空想上の生き物を創造して愛用のスケッチブックにベッドで描くときだった。或る日、学校での短距離レースで足の早さが自慢でもあるジェスだったが、1等賞は何と転校してきたばかりの女の子レスリーだった。レスリーの両親は芸術家で各地を転々としていることで、自由な発想で活発なレスリーにジェスも徐々に打ち解けていった。一方、学校では女番長のジャニスが仕切っていて、トイレ使用料をとるなどやりたい放題だった。スクールバスのなかでもジェスはいつもジャニスのグループから嫌がらせを受けていた。それでもレスリーはそんなジャニスの行状にも意に介さず、ジェスを近くへの森へと誘って、小川をぶら下がる古タイヤを吊るしたロープで超えて二人だけの世界を築いていく。ここからネタバレに注意!!ジェスとレスリーは放課後、真っ先に森へと向うようになった。レスリーはそこを「テラビシア」と名付けた。テラビシアは二人だけの想像上の世界いや天国。二人はそこでは女王と王で、ユニークな生き物達が二人に襲ってくることも、それを退治してくれるものまで、何でも揃っている世界。生き生きとしてきた二人は、女番長ジャニスに一泡吹かせることを計画した。怖いもの知らずのジャニスも、流石に一人の女の子だった。彼女の弱点は「好きな男の子の存在」だった。テラビシアで想像力を発揮してきた二人にとって、ジャニスをからかうことは簡単なことだった。自信を付けた二人はジャニスを泣かせることに成功し、ジャニスにいじめられていた生徒達の喝采を浴びた。ジャニスに一泡吹かせた二人は、放課後のテラビシアでの遊びに益々没頭するようになる。ジェスとレスリーの友情は深まり、ジェスの芸術的センスに憧れのエドマンズ先生からも目を掛けられるようになる。エドマンズ先生は休みの日に、ジェスに本物の芸術に接する機会を提供しようと美術館へと誘った。ジェスはレスリーも誘おうと試みるが、生憎レスリーは不在だった。だが、この時レスリーと連れ立って行けなかったことがジェスの人生を大きく変えてしまう。何と、ジェスが不在の間に森に一人で遊びに行っていたレスリーは、慣れていたはずのロープによる小川越えに失敗して不幸にも亡くなってしまう。ショックで立ち直れないジェスは、レスリーを誘えなかった自分を悔やみ責める。ショックはレスリーの両親も同じだった。ショックは大きくレスリーの両親は引越しを決意し、ジェスは両親宅を訪れそこで感謝の言葉をもらったのだった。主を失ったテラビシアだったが...そこにはレスリーの後を継ぐ一人の少女の存在があった。その少女とは一体...誰だったのか?それは映画をご覧下さい!【鑑賞後の感想】この映画の原作は児童文学の傑作とのことらしい、というのは私自身に幼い子供がいないのでそうした作品に触れる機会がないからです。レスリー役の「アナソフィア・ロブ」は「チャーリーとチョコレート工場」でも印象的な「性格の悪い女の子」を演じていた子役だが、今回も彼女は子役ながら演技力は見事だし「子供らしいキュートな笑顔」が素敵だった。ダコタ・ファニングちゃんとは違った魅力を感じる、将来性豊かな子役だ。この映画をただ単に子供向け映画という先入観をもって「甘く見たら」大人が観ても楽しめる映画だと思い直すことでしょう。子供の頃の心を失った大人がみても面白くないでしょうが、そうした心を持ち続けている大人がみれば「OK」です。このストーリーには、「転校生が田舎の学校に来て友達のいないレスリー」と「両親からは顧みられない存在のジェス」の子供らしい心の交流が描かれている。そもそも「テラビシア」はレスリーが提案して作った夢のような天国を指す「王国」である。その「王国」は二人の住む家の直ぐ傍にあることもこの物語のポイントである。「王国」は遠い彼方ではなく、常に身近な場所にあることを作者は教えてくれている。子供であるジェスとレスリーだが、そこには異性に対する興味も盛り込まれている。ジャニスの弱点が「異性のイケメン?」である点や、ジェスが美人教師に憧れる過程や、ジェスとレスリーの恋愛感情にも近い友情関係の描き方もさり気無くて良かった。しかし、世の中は楽しいことばかりでは無いことも教訓として作者は教えてくれる。楽しく二人だけで築いた絆と王国は、或る日、何の前触れもなく突然終りを告げる。レスリーの死は、悲しい出来事が起こったときの感情の制御の仕方や表現方法を学ばせてくれる。ジェスはレスリーの両親から、レスリーが生前彼に対して語っていたことを聞いた。大切な人を失ってから初めて分かる、人間の絆の大切さ!この悲しい出来事を最後に持ってきた作者の意図がそこにあるように思えた。【自己採点】(100点満点)88点。児童向け映画と侮るな!人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.02.20
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11.スウィーニー・トッド、フリート街の悪魔の理髪師■原題:Sweeney Todd The Demon Barber Of Fleet Street■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:117分■日本語字幕:佐藤恵子■鑑賞日:1月25日、セントラル(吉祥寺)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:ティム・バートン□脚本:ジョン・ローガン□製作:リチャード・D・ザナック、ウォルター・パークス、ローリー・マクドナルド、ジョン・ローガン□製作総指揮:パトリック・マコーミック□共同製作:カッタリー・フラウンフェルダー□撮影:タリウス・ウォルスキー□編集:クリス・レベンゾン□美術:ダンテ・フェレッティ□衣装:コリーン・アトウッド□原作戯曲:クリストファー・ボンド□作詞作曲:スティーブン・ソンドハイムキャスト◆ジョニー・デップ(スウィーニー・トッド/ベンジャミン・バーカー)無実の罪でオーストラリアに島流しにされた元理髪師◆ヘレナ・ボナム=カーター(ミセス・ラヴェット)ロンドン一不味いパイ屋の女主人。スウイーニーへの深い愛を胸に秘めている◆アラン・リックマン(ターピン判事)スウィーニーの妻に横恋慕し彼に無実の罪を被せ彼から妻を奪う◆ティモシー・スポール(役人バムフォード)ターピンに子分のように使える性悪男◆サシャ・バロン・コーエン(ピレリ)自称イタリア人理髪師でスウィーニーと技を競い敗れる◆ジェイミー・キャンベル・バウアー(アンソニー)スウィーニーを助けてロンドンへと連れて来た船乗り◆ジェイン・ワイズナー(ジョアンナ)スウィーニーの娘でターピンにより母と共に強制的に引き取られる◆ローラ・ミシェル・ケリー(ルーシー/物乞いの女)スウィーニーの元妻でターピンに強奪される◆エド・サンダース(トビー)ピレリの弟子でラヴェット婦人の家に居候することに【この映画について】ティム・バートン監督とジョニー・デップ、更にはヘレナ・ボナム=カーターの三人が「チャーリーとチョコレート工場」に続いて組んだミュージカル作品。ジョニー・デップが演じるのは無実の罪でオーストラリアに島流しにされ妻を奪われた殺人ッ理髪師だ。デップはブロードウェイミュージカルの傑作に望み、歌わない主役はありえないというプレッシャー?に挑み、無名時代はロックバンドでギタリストだった彼がどんな歌声を披露してくれるのかは映画館で体験してもらいたい。復讐鬼と化し「スウィーニー・トッド」と名を替えて、ミセス・リヴェットのパイ屋の2階で理髪師として再出発する役をデップは絶妙の演技で魅せてくれる。ミセス・リヴェットの叶わぬ恋心の表現も面白いので合わせて堪能出来る。デップはこの作品でアカデミー賞「主演男優賞」候補となったが受賞はまたしても逸した。それでも見事に「美術賞」を獲得した。19世紀半ばのロンドンを見事に再現したセットは受賞に相応しい出来である。【ストーリー】(一部ネタばれあり)あれから15年の歳月が流れバーカーは「スウィーニー・トッド」と名前を替えて流刑地のオーストラリアから、アンソニーの助けを借りてロンドンへと戻ってきた。彼が真っ先に向ったのは「かつての我家」で今ではミセス・ラヴェットが「ロンドン一不味いパイ屋」を一人で切り盛りしている。ラヴェットは最初は「バーカー」と気づかないが、やがて気が付き2階で「預かっていた」理髪道具一式を渡しパイ屋の2階で営業することになる。一方、バーカーを手引きしたアンソニーは、タービン家の窓辺で寂しそうな表情を見せる、バーカーの娘でタービン家に今では住むジョアンナに一目惚れし救いたいと願う。その頃、ロンドンで評判のイタリア人理髪師ピレリと、彼と行動を共にする少年トビーをトッドは目にした。彼は、通りかかった役人パムフォードを立会人に、髭剃り対決を挑み見事にピレリを破りトビーもラヴェット家に居候することになる。トッドにはパムフォードがつるんでいる判事タービンへ接触するきっかけになると期待していた。トッドは復讐するべきタービンへの繋がりを探していたのだった。ラヴェットからジョアンナの境遇を聞いていたとき、ピレリがトッドの正体を見破り今後の売り上げの半分をよこせと迫ってきた。トビーが目を離しパイを食べている隙に、トッドはピレリを「始末」してしまい戻ってきたトビーに行方を尋ねられてもトボケて誤魔化した。しかし、この時彼が身につけていたあるものを奪ったことが後になって彼の首を絞めることになるとは思いもしなかっただろう。ここからネタバレに注意!!ラヴェットはピレリの死体の始末方法として、彼をミンチにして切り刻んでミートパイに入れることを思いつく。トッドは復讐のチャンスが中々訪れないことに苛立ちを隠せないが、ラヴェットの案にのり身寄りのなさそうな男性客を次々と理髪室に招き入れ殺害しミンチにしていった。店はトビーの宣伝の歌に乗って大繁盛するが、未だにターピンへの復讐を忘れないトッドにラヴェットは苛立ちながらも、トッドと結婚する夢を諦めない。一方でその頃、店の外でうろつく物乞いの女が、パイ屋の煙突から出る異臭について騒ぎ出した。ターピンはジョアンナが逃げられないように精神病院に隔離してしまう。トッドの復讐計画は、アンソニーを病院にもぐりこませて救出を図ることだった。そしてそれをネタにターピンをおびき出すのだった。その一方でピレリの財布を見付けたトビーはトッドへの疑惑を深める。そのことでバムフォードに知らせようとするが、逆にラヴェットによってキッチンに閉じ込められる。バムフォードが来店し、物乞いの女からの通報で異臭への苦情が寄せられているとして調査に来たのだった。物乞いの女はトッドの顔を見るなり「あんた、会った事あるよね?」と言う。トッドはそんな女にも手を掛け、更には、ターピンまでも自分の理髪室のイスに座らせ「ひげを剃る」と言う。トッドは遂に正体を明かす。そして、閉じ込められたトビーの運命。物乞いの女の正体を知った時のトッドの反応は...そこだけはネタばれなしで、是非映画館でご覧になって!【鑑賞後の感想】ミュージカルの傑作の映画化というの意外と多い。その場合、舞台で演じていた俳優達との比較がされるが舞台と映画は別物としてみた方が良いのだろうか?というのも私は舞台劇って観ないので比較する材料が無い。今回はティム・バートン監督がメガホンをとるのでジョニー・デップが主演で、恋人のヘレナ=ボナム・カーターが共演として重要な役を任される。ミュージカルといっても全編にソンドハイムのスコアが流れる訳ではなく、どちらかといえば音楽満載という印象だ。デップは無名時代にはロックバンドで「ギタリスト」だったそうだが、今回の役を演じている姿をみると「納得」した。ミュージカル映画の主役は、歌唱力が第一に求められることから必ずしもトップスターが主役を務めるとは限らない。しかし、バートン監督は個人的にも絆の強いデップを敢えて起用した。彼の歌唱力に関しては「?」を付けたくはなるが、ストーリーの展開や脇役の俳優達にも助けられて決して彼の評価はマイナスとはならないぎりぎりの範囲であろう。それにしてもトッド、自慢の剃刀でこれでもかと殺しまくります!その勢いに?乗って取り返しの付かない「大事な人」まで刃にかけてしまってそれに気づくのは遅かったのは気の毒?な気もしましたけど。後の祭りでしたね!何が評価されたのかは分からないが、アカデミー賞主演男優賞候補となったのでミュージカルとはいえども歌唱力が全てではなく、彼の個性も発揮されていた映画と私も思いました。【自己採点】(100点満点)77点。脇役達の演技も良かった。人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.02.18
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5.再会の街で■原題:Reign Over Me■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:124分■日本語字幕:戸田奈津子■鑑賞日:1月12日、エビス・ガーデン・シネマ(恵比寿)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・脚本:マイク・バインダー□製作:ジャック・バインダー、マイケル・ロテンバーグ□製作総指揮:ジャック・ジアラプト、リンウッド・スピンクス□製作補:レイチェル・ジャーマン□撮影監督:ラス・オルソーブルック□編集:スティーヴ・エドワーズ、ジェレミー・ルーシュ□衣装デザイン:デボラ・L・スコット□美術:ピポ・ウィンター□音楽:ロルフ・ケント□音楽スーパーヴィジョン:デイヴ・ジョーダンキャスト◆アダム・サンドラー(チャーリー・ファインマン)9.11の飛行機事故で妻子を失い政府の補償で生活をしている◆ドン・チードル(アラン・ジョンソン)NYの歯科医でチャーリーとは大学時代のルームメイト◆ジェイダ・ピンケット=スミス(シャニーン・ジョンソン)アランの妻、チャーリーとの交友で過ごす時間が減りいらいらする◆リヴ・タイラー(アンジェラ・オークハースト)アランの医院と同じビルで開業している精神科医◆サフロン・バロウズ(ドナ・リマー)歯の治療目的以外でアランの医院を訪ね困らせる◆マイク・バインダー(ブライアン・シュガーマン)チャーリーの会計士◆メリンダ・ディロン(ジンジャー・ティンプルマン)チャーリーの義母◆ドナルド・サザーランド(レインズ判事)チャーリーの裁判を担当する判事【この映画について】大学時代のルームメイトだった二人が卒業後別々の人生を送っていたが、或る日、偶然NY市内でその元ルームメイトの姿を見かけた歯科医アラン。一度は後姿を見失ったが、偶然にも再び遭遇した相手は9・11で妻子を失っていたチャーリーだった。歯科医アランには「ホテル・ルワンダ」「オーシャンズ」シリーズなどで抜群の演技力を発揮しているドン・チードル。相手役のチャーリーには人気コメディアンでもあるアダム・サンドラー。歯科医として順風満帆な生活を送っているアランと、9・11で人生の歯車が狂ってしまったチャーリーの二人の男の友情とは一体どんなものなのか考えさせられる。'70~'80年代のロックナンバーがそんなストーリーを盛り上げる重要な役目も果たしている。因みに原題の「Reign Over Me」は英ロック・グループ、ザ・フーのリーダーであるピート・タウンジェント作の曲名がヒントになっている。【ストーリー】(一部ネタバレあり)NYの歯科医のアランは家庭にも仕事にも順調で何の不足も無い生活を送っていた。或る日、彼は偶然運転中に大学時代のルームメイトであるチャーリーを見かける。声を掛けたがスクーターのような乗り物にボサボサの髪の毛にペンキ缶を下げていた彼の後姿を追いきれなかった。アンジェラ・オークハーストはアランと同じビルで開業する若き精神科医。アランは何かと口実を見つけて彼女を誘うが、残念ながら彼女は乗り気ではない。アランは娘を友達の家まで送り届けた後、街角で再びチャーリーと遭遇する。今度は彼を捕まえたが彼はアランのことは覚えていないと言う。それでもアランの説明で記憶を取り戻したチャーリーは彼をアパートに招待したが、そこはガランとした空間でTVゲームに熱中している彼がいた。部屋には生活観が感じられなかった。その後、アランは頻繁にチャーリーとの交友を復活させ大学時代の思い出話にも花が咲いたが、家族のことに話が及ぶと烈火の如く敵意を剥き出しに怒りを露にしアランを困らせた。その頃、アランは彼のクリニックを訪ねて来たドナ・リマーという女性の対応に苦慮していた。彼女は明らかに歯の治療の目的以外でアランの診療所に現れ、アランに迫りアランが断ると、今度はアランに暴行されたと訴えてきた。その件で同僚達はアランに冷たい態度で接し彼は落ち込んでいた。チャーリーに冷たくあしらわれても何故かアランは彼との交流を止めず、そんな彼の態度に見かねて妻のシャニーンは不平を言うが取り合わない。そしてある時、アランにチャーリーの義母ジンジャーが話しかけてきて、彼にチャーリーが何故心を閉ざすようになったのかを話した。そしてチャーリーとアランがオールナイトで映画を楽しんでいるとき、彼の携帯が鳴ったが返答しなかった。連絡が取れたとき、アランは父が急死したことを知り激しく動揺するが、チャーリーはしつこく朝食に誘い、そんな態度を取った彼に対して今度はアランが切れた。ここからネタバレに注意!!チャーリーはこの件を反省し、後日、会計士を通じて100万ドルを贈るとお詫びの積りで申し出たがアランは却下した。アランとチャーリーの奇妙な関係はその後も家族を悩ませながらも続く一方で、ドナに訴えられていたが彼女はアランに謝罪した。チャーリーを何とか社会復帰させたいと願う彼はアンジェラを紹介するが上手くいかない。サジを投げたとき、チャーリーはアランに静かに心に隠していた家族のことを話し始めたのだった。【鑑賞後の感想】9・11で家族を失い心を閉ざしてしまったチャーリーと、順風な生活の中にもどこか満たされない心を抱えるアラン。アランが街角で偶然大学時代の旧友チャーリーを見かけたことで再び始まった交流。当初はこの交流を温かく見守っていた家族も、徐々にアランが彼との交流にのめり込むことで隙間風が吹いてくる。妻は男の復活した交流を理解出来ず戸惑うばかりだが、チャーリーが自由に生活しているのをみて羨ましく思っているのではと指摘され我に返る。この映画は「ワールド・トレード・センター」のような9・11をダイレクトに扱った作品とは一線を画している。9・11を境に家族を失ったチャーリー、そんな旧友を何とか社会復帰させたいと「お節介を焼く」アランを中々自分の心の中まで受入れようとしないチャーリーにじれったい思いをするアラン。ぎこちないながらも大学時代の友情を復活させることに必死なアランの思いはラストで何とか形になって届くのだが、果たしてこの後も妻はチャーリーの存在を黙って受入れるのかは分からないまま終わった。歯科医アランを演じたドン・チードル、ボブ・ディランのような風貌でチャーリーをノラリクラリ演じたアダム・サンドラー、重要な役では無かったが後半でチャーリーと向かい合ったリヴ・タイラー、悩めるアランの妻役を演じたウィル・スミスの妻でもあるジェイダ・ピンケット=スミスらのアンサンブルも見事であった。一見するとシリアスなテーマだが、所々に遊び心がありBGMもそんな背景にぴったりと合っていて見事だった。監督兼脚本のマイク・バインダーは評価が高まると思う。アダム・サンドラーが改造スクーターみたいな乗り物に乗っていたけど、あれって厳密に言えばアメリカでも改造車で違反らしいとドン・チードルは言っているそうですが楽しそうだった。【自己採点】(100点満点)92点。脚本、演技、演出、音楽、映像全てが見事に絡み合っていた。←映画「再会の街で」関係のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.02.06
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1.ナショナル・トレジャー、リンカーン暗殺者の日記■原題:National Treasure:Book Of Secrets■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:124分■日本語字幕:戸田奈津子■鑑賞日:1月1日、吉祥寺スカラ座(吉祥寺)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・製作:ジョン・タートルトーブ□脚本・ストーリー:ザ・ウィバーリーズ□ストーリー:テッド・エリオット、テリー・ロッシオ□キャラクター原案:ジム・カウフ□キャラクター原案・製作総指揮:チャールズ・シーガース、オーレン・アヴィヴ□製作総指揮:マイク・ステンソン、チャド・オーマン、バリー・ウォルドマン□製作:ジェリー・ブラッカイマー□撮影監督:ジョン・シュワルツマン、アミール・モクリ□プロダクション・デザイナー:ドミニク・ワトキンス□編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ、デヴィッド・レニー□衣装:ジュディアナ・マコフスキー□音楽:トレヴァー・ラビン□音楽監修:ボブ・バダミキャスト◆ニコラス・ケイジ(ベン・ゲイツ)天才歴史学者という表の顔とトレジャー・ハンターとしての裏の顔を持つ◆ヘレン・ミレン(エミリー・アップルトン博士)ベンの母で古代言語や少数民族の言語を研究する教授◆ジョン・ボイト(パトリック・ゲイツ)ベンの父で暗号解析のスペシャリスト◆ダイアン・クルーガー(アビゲイル・チェイス博士)国立公文書館の古文書専門官としてベンに協力する◆ジャスティン・バーサ(ライリー・プール)ベンの相棒で如何なる警備システムも丸裸にする天才ハッカー◆エド・ハリス(ウィルキンソン)謎のトレジャー・ハンターで素性を偽りベンらを脅す◆ハーヴェイ・カイテル(セダスキー)FBI捜査官でありながらフリーメイソンしか知らない機密条項を知る【この映画について】テンプル騎士団が残した宝の謎を描いたニコラス・ケイジを主役に据えたアクション・アドベンチャーの第2弾で、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどのヒットメイカーであるジェリー・ブラッカイマーがプロデューサーとして参加している。今作で歴史学者にして冒険家、ベン・ゲイツの飽くなき冒険心を駆り立たせるのは、リンカーン大統領暗殺事件の背後に隠された歴代大統領のみが知るタブー。ニコラス・ケイジ、ダイアン・クルーガー、ジャスティン・バーサら前作の主要キャストとともに、「クイーン」で女王を演じ見事にアカデミー賞主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンや、「敬愛なるベートーベン」ではベートーベンを演じダイアン・クルーガーと共演しているエド・ハリスなど豪華な顔ぶれが参加する。歴史が重要な鍵を握るアドベンチャーは、大人も子どもも心を躍らされる仕上がりになっている。【ストーリー】(一部ネタバレあり)1865年4月14日、ワシントンD.C.南北戦争終結5日後、ワシントンは祝賀ムードに包まれていた。酒場にいたトーマス・ゲイツに二人の正体不明の男が声を掛け、暗号の解読を依頼する。ひとりの紳士が革綴じの日記を渡すと「ブレイフェアの暗号だ。鍵がなければ解読不能だ」と二人に告げたトーマスだが、紳士が彼にキーワードを提示すると、トーマスは早速暗号解読に取り掛かった。時間が掛かると思った紳士じゃ相棒をそのまま酒場に残し、近所のとある劇場へと向う。この紳士はジョン・ウィルクス・ブースで、後に、リンカーン暗殺犯として歴史に名を残す人物だ。劇場へ到着したブースはロイヤルボックスで観劇中の大統領を背後から銃撃し、自身はパニック状態に陥った劇場から駆け足で抜け出し馬に乗って逃亡した。アメリカの大統領リンカーン暗殺事件は、いまだに謎に包まれているが、その犯人の日記から消えていたとされる一部が発見された。そこには、暗殺犯の属する秘密結社の一員にゲイツの祖先が名を連ねていたという衝撃の記録が記されていた。ベンは、先祖の名誉回復を図るには暗殺者の日記に書かれていたのは財宝への地図であることを自らが証明することであると考え、天才ハッカーのライリーと調べることに。まずは国立公文書館の責任者であるアビゲイルを口説き博物館に寄贈された日記の一部を入手する。そして問題の日記をあぶりだすと、暗号が浮かび上がってきた。この暗号解読を巡って鍵を握る人物はベンの父パトリックだった。歴史に隠された真実を求め、ゲイツたちは暗号の鍵が自由の女神の立案者が関係あるとにらみパリへ飛ぶ。そしてパリで導き出されたヒントから今度はロンドンへと移動し、そこでヴィクトリア女王が使っていた机の建材に何かがあると考え大胆にもバッキンガム宮殿へ潜入する。宮殿を抜け出すと、今度は謎の男ウィルキンソンが後を追って来てロンドン市内でカーチェイスを繰り広げる。ウィルキンソンの追跡を振り切った三人はワシントンに戻り、ロンドンで得た情報からベンの母であるエミリー・アップルトン博士にロンドンで入手した謎の木片に書かれた文字の解読を依頼し、中米のオルメカ文明が絡んでいることを知る。そしてベンらは秘密の行く先は歴代大統領に代々受け継いで行く文書の中にあると知り、大胆な計画を立てる。ここからネタバレに注意!!ここから先は話が段々とエスカレートし、大統領を誘拐して秘密を探り出す計画を企てる。そして何と大統領主催の晩餐会に忍び込み大統領と直接秘密の鍵を聞き出す。この辺は余りにも大胆過ぎて、歴史を辿ってきたストーリーも一気に映画っぽくなってしまった。それでもこれを機にベンは秘密文書の在り処を教えてもらい、求めていた場所は「マウント・ラシュモア」にありゲイツ一家も勢ぞろいする。しかしどこで嗅ぎつけたのか、ベンは再びウィルキンソンと遭遇し彼に「自分に協力しろ」と母エミリーを連行したことで脅迫される。やむを得ずウィルキンソンに従い、探し当てた財宝は全て彼に譲ることにし母エミリーの解放と引き換えに財宝を探し当てた。そこにはまばゆいばかりのオルメカの財宝が積まれていたが、洞窟の入口がふさがれた。まあ、こうしてリンカーン大統領暗殺事件に端を発したストーリーは、何時の間にかヨーロッパへと飛び火し、大統領誘拐まで企てながらも最後は「財宝ハンティング」へと移行して行って終わった。果たして「3作目」は製作されるのか?そうなるとしたら次回の舞台はどこかと思うと楽しみが増えそうだ。【鑑賞後の感想】売れっ子プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーが仕掛けるアメリカ歴史に埋もれたエピソードをニコラス・ケイジが追い掛ける21世紀版「インディ・ジョーンズ」シリーズとなりそうな勢いだ。今回はニコラス・ケイジ以下ドイツ出身のダイアン・クルーガーとのコンビで、脇役には主役ニコラス・ケイジ以上の存在感と演技力の塊であるヘレン・ミレンとエド・ハリスが新たに登場。主役を張れる二人が加わったことで物語りに重厚さが漂っているが、エド・ハリスの「不気味な悪役」の演技は見事にはまっていた。そして目新しいところではベンの両親が今回揃ったことだ。父パトリック役のジョン・ヴォイト(アンジェリーナ・ジョリーの父上!)と母エミリー役のヘレン・ミレンだ。だがこの二人はベンの両親であるのだが、夫婦としては破綻していて離婚して長年顔を合わせていなかったという設定。その二人が暗号解読を巡って再会するのだが、その時の二人の演技は面白かったですよ!ストーリー的には盛り込み過ぎな部分はマイナスだが、娯楽性という点では流石ジェリー・ブラッカイマーは上手いなと思わせた作品でした。【自己採点】(100点満点)84点。次作への期待が高まります。←映画「ナショナル・トレジャー、リンカーン暗殺者の日記」関係のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.01.28
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110.ベオウルフ/呪われし勇者■原題:Beowulf■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:114分■日本語字幕:太田直子■鑑賞日:12月28日、新宿ジョイシネマ(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・製作:ロバート・ゼメキス□脚本・製作総指揮:二ール・ゲイマン、ロジャー・エイヴァリー□製作総指揮:マーティン・シェイファー□製作:スティーヴ・スターキー、ジャック・ラプケ□共同製作・スティーヴン・ボイド□撮影:ロバート・プレスリー□編集:ジェレマイア・オドリスコル□美術:ダグ・チャン□衣装:ガブリエラ・ペスクッチ□音楽・作曲:アラン・シルヴェストリ□作曲:グレン・バラード□シニア・ヴィジュアル・エフェクト・スーパーヴァイザー:ジェローム・チェンキャスト◆レイ・ウィンストン(ベオウルフ)老王フロースガールを救った勇者で後継の王となる◆アンソニー・ホプキンス(フロースガール)王として国を統治するが窮地をベオウルフに助けられる◆ロビン・ライト・ペン(王妃ウィールソー)歳の離れた王の王妃。◆アンジェリーナ・ジョリー(グレンデルの母)息子グレンデルの母で、王国の闇を支配する怪物◆ジョン・マルコヴィッチ(アンファース)老王フロースガールの腹心でベオウルフが王位に就くことを当初は嫌ったが...◆クリスピン・グローヴァー(グレンデル)ウィールソーの息子で何時も母に甘えるグロテクスなマスクの持主【この映画について】英国文学最古の英雄叙情詩を基にアカデミー賞監督ロバート・ゼメキスが、全編でCGを使って映像化した。前半では巨人グレンデルとの一騎打ち、後半では飛竜との一騎打ちとダイナミックで息を呑むシーンの連続である。男らしさを前面に出したベオウルフを演じるのはレイ・ウィンストン、そのベオウルフを成熟した女の色気で惑わすのがアンジェリーナ・ジョリー、老王フロースガール名優アンソニー・ホプキンス、老王の王妃にはロビン・ライト・ペン、老王の腹心アンファースにジョン・マルコヴィッチと主役級の俳優達が共演している。【ストーリー】(ネタバレ一部あり)古代デンマーク。戦士ベオウルフは、老王フロースガールの命によって、人々を襲い続ける呪われし巨人グレンデルの討伐に立ち上がる。ベオウルフの父とフロースガールは顔見知りだってこともあり、ベオウルフの勇敢さを知って彼に任すのだった。そして激戦の末、ベオウルフは自らが引き連れてきた部隊を率いて勇敢に先頭にたって戦いグレンデルを見事に打ち負かすのだった。老王はベオウルフの獅子奮迅の活躍を気に入り、彼を重要な側近として登用する。これには従来の側近だったアンファースらは面白くなかったが、彼らには無い勇敢さで、ベオウルフに従うようになる。しかし、王国内に一時の平安が訪れたのも束の間、ベオウルフの部下たちが不意を付かれて皆殺しにされる。それは、息子を退治された恨みを晴らすために魔性なグレンデルの母による仕業だった。ベオウルフはグレンデルの母が住んでいると言われる洞窟を訪れる。同行してきた者を洞窟の外で待たせ、勇んで乗り込んでいったベオウルフも冷酷で妖艶な彼女の魅惑に引き込まれる。「抱きなさい。そして息子を授けよ。」この一言ですっかり虜になったベオウルフ。彼女を愛せば永遠の力を持つ王になれる、という悪魔の誘いを受け入れてしまう。その頃、肉体的衰えを感じていた老王は、王妃や側近らが見ている中、突然崖から飛び降り命を落とした。まるでベオウルフが後継者として相応しいのを確認したかのような突然の出来事だった。フロースガールの後継者として、王の証でもある「黄金の笛」を手にして王の座に就き老王の若き王妃までも引き継いだベオウルフ。時間は経ち、王国に再び平安な時代が訪れたのだが、やがてある時、ドラゴンが現われ、民衆を襲撃し始める…。今度は老体となった王ベオウルフがドラゴン退治に立ち上がる。そして、ドラゴンの急所を狙うのだったが...。【鑑賞後の感想】CG全盛のハリウッド映画界において、まさに今だからこそこうした映画が作られたとの感想ですね。「ベオウルフ」そのものは何度か映画化されているようですが、今回のように登場人物全てがCG処理されている作品は初めて観ました。ベオウルフ演じるレイ・ウィンストンの筋骨隆々の肉体、アンジェリーナ・ジョリーの異様に強調された体の線《特に巨大なオッパイと何故か画像処理されていた唇》、登場シーン全てがCG処理されたロビン・ライト・ペンが全く老けない、まるでゴジラのような《ドラゴン》など映像的に突っ込みどころ満載。ストーリー的には古代の叙情詩をベースに、足りない部分は時代考証で綿密に下調べをした上で脚本に加えてそうだ。舞台は古代デンマークで老王の名前「フロースガール」も典型的なデンマーク語の名前が由来だが、叙情詩そのものは古語英語で描かれているため双方の文化が入り混じっている。最初に予告編を見た時はCG全開のファンタジー映画としか思っていなく鑑賞予定に加えるか考えていなかったけど、監督や出演者の名前を見た途端に「興味が沸いた」ので観ました。ポスターや前宣伝ではアンジェリーナ・ジョリーの登場シーンが強調されていたけど、彼女の登場シーンは実は僅かで時間にしても短いながらも重要なシーンで出ていた。でも、どうしてもあのレオタードを纏ったかのような肢体に目が奪われるでしょうね...そうベオウルフのように。結局、老王もベオウルフも男として「英雄、色を好む」と言うより「英雄、誘惑に積極的に乗り」身を滅ぼす原因となるのは何時の時代でも洋の東西を問わないようです...【自己採点】(100点満点)74点。自分が想像していたより楽しめました。←映画「ベオウルフ」関係のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.01.22
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108.アイ・アム・レジェンド■原題:I Am Legend■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:分■日本語字幕:林完治■鑑賞日:12月23日、渋谷TOEI2(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:フランシス・ローレンス□脚本:マーク・プロトスビッチ□脚本・製作:アキバ・ゴールズマン□製作:ジェイムズ・ラシター、デイヴィッド・ヘイマン、二ール・モリッツ□製作総指揮:マイケル・タダロス、アーウィン・ストフ、ディナ・ゴールドバーグ、ブルース・バーマン□撮影:アンドルー・レスニー□編集:ウェイン・ワーマン□美術:ナオミ・ショーハン□衣装:マイケル・キャプラン□音楽:ジェイムズ・ニュートン・ハワードキャスト◆ウィル・スミス(ロバート・ネヴィル)人類最後の生き残りとしてNYで愛犬と過ごす科学者◆アリーシー・ブラガ(アンナ)船でNYへと漂着しネヴィルと行動を共にする【この映画について】2012年、人間の姿が消えて無人と化したNYの街で辛うじて愛犬サムと生活をするウィル・スミス演じる科学者ネヴィル。無人の店でDVDを借りるのが数少ない楽しみ。科学者でもあるネヴィルはラジオ無線で生存者がいないか呼びかけているが反応は無い。しかし、夕闇が支配する夜になると得体の知れない凶暴な生物が街をうろつく。果たして彼らの正体は?主演はいまや超売れっ子のウィル・スミスで、この映画はほぼ彼一人以外の主だった出演者はいないので彼の演技に注目できる。【ストーリー】(ネタバレなし)私の名はロバート・ネビル。ニューヨークで生き残っている。もし誰かこれを聞いているなら、もし誰か他にいるなら…誰でもいい、応えてほしい。あなたは独りではない。2012年、人間の姿が消え、死んだように静まり返るニューヨークの街。この街がかろうじて生きていることを伝えるのは、通りを走り抜けていく1台の真っ赤なマスタングだけ。運転しているのは、ロバート・ネビル。3年前、人類に降りかかった地球規模の災厄をくぐり抜け、この街で、そしておそらくは全世界で、ただ1人生き残った男。今や唯一の話し相手となった愛犬サムとともに、無人の店舗で食料品や日用品を調達し、セントラルパークに畑を作って、彼は独りで生きている。店員代わりに並べたマネキン、空軍基地の飛行機の翼から摩天楼に向かって打ち放つゴルフのショット…何をするのも独り、どこへ行っても独り。それはいつ終わるともしれない究極の孤独のなかで、人類絶滅の原因にさかのぼり、再生のための研究を続けることだけが、有能な科学者だった彼のたったひとつの生きる支えだ。自分以外の生存者を探しもとめて、3年間、毎日無線で流し続けているメッセージには、いまだ誰からも返事はない。本当にもうこの世に生存者はいないのか?その一方で、日が沈み、太陽の光が消え去ると、いっせいに蠢きだす不気味な影。それは、人類滅亡後に出現した闇に潜む生物“ダーク・シーカーズ”だ。その凶暴な群れに襲われれば、ネビルの最後の望みも絶たれてしまう。しかし、人類再生の鍵を握っているのもまた、彼らかもしれないのだ。そんなあるとき、ネビルがダーク・シーカーズとの戦いに明け暮れているころ偶然に一組の親子と遭遇する。親子はリオから着いたと言う。そして、ネビルとこの親子との共同生活が始まった。果てない孤独と、迫りくる恐怖。夜ごとダーク・シーカーズの脅威と戦いながら、途切れそうになる希望をたぐり続ける日々。やがてネビルは、ある驚くべき事実に気づく…。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.科学者ネヴィルは一体何を研究し生み出そうとしているのか?2.リオから来た親子とネビルの関係はどうなる?3.科学者ネビルが到達しようとしている人類滅亡の原因となったウイルス対策は完成するのか?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画は登場人物が殆どウィル・スミス演じる科学者だけの異質な作品だ。作品の設定が人類滅亡後のNYなのでそれも最もなのだ。ストーリーの冒頭でウィル・スミスが航空母艦上でゴルフをしたり、無人のマンハッタンの一部が草原化して動物園から脱出した野生動物が猛獣となって襲ってきたり、畑にして食料を調達したり、無人のお店でDVDを借りたりと言ったサバイバル生活の様子や映像は楽しかった。ところが、そうした前半の娯楽性溢れる部分から後半は一転して「ゾンビ」みたいな展開に急変する。途中でリオから脱出した親子が登場するのだがこれは余りにも唐突過ぎた。この親子がウィル・スミスが研究するウィルス対策の鍵を握ることになるのだが、別にこの親子でなくても良いのではと思ってしまった。まだまだ突っ込みどころ満載過ぎるこの作品だが、前半と後半では全く異なる作品と思って観ることがこの映画の「正しい見方」ですね。【自己採点】(100点満点)65点。この映画はウィル・スミスを観るのが目的の映画かな。←映画「アイ・アム・レジェンド」関係のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.01.18
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102.ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた■原題:Waitress■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:108分■日本語字幕:栗原とみ子■鑑賞日:12月15日、シャンテシネ(日比谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・脚本・出演:エイドリアン・シェリー□製作:マイケル・ロイフ□製作総指揮:トッド・キング、ジェフ・ローズ、ダニエル・レンフリー、ロバート・バウアー□撮影:マシュー・アーヴィング□編集:アネット・デイヴィ□美術:ラムジー・アヴェリー□衣装:アリイェラ・ウォルドーコハイン□音楽:アンドリュー・ホランダーキャスト◆ケリ・ラッセル(ジェナ)「ジョーズ・ダイナー」のウェイトレスでパイ作りの名人◆ネイサン・フィリオン(ポマター先生)ジェナが通う産婦人科医でジェナのパイの虜に◆エイドリアン・シェリー(ドーン)「ジョーズ・ダイナー」のウェイトレスで彼氏がいないことに悩む◆シェリル・ハインズ(ベッキー)ジェナの同僚ウェイトレスで寝たきりの夫の面倒を見ながらも店主と不倫中◆ジェレミー・シスト(アール)ジェナのダメ亭主。ジェナを常に束縛する子供みたいな性格の持ち主◆アンディ・グリフィス(オールド・ジョー)「ジョーズ・ダイナー」の老オーナー。うるさい注文を付けるがジェナのよき理解者でもある【この映画について】田舎町の道路沿いの小さなダイナーで働く3人のウェイトレスの一人のジェナ。母譲りのパイ作りの名人には、結婚後に豹変した束縛ばかりする夫を抱えて悩みが尽きない。密かに脱出計画を立てても亭主に見つかる有様。3人のウェイトレスが抱える其々異なる悩みを吐露し、最も不幸と思えた一人が掴もうとする幸せを二人はどう感じていたのか。女性監督で脚本も書き出演しているエイドリアン・シェリーは、女性ならではの視点で見事な脚本を書いている。しかし残念なことに彼女は2006年11月1日に40歳でその生涯を閉じた。エンドロール直前のワンシーンでは彼女の娘が出演している。劇中に登場するおいしそうなパイにも注目。【ストーリー】(ネタバレなし)アメリカ南部の田舎町の道路沿いにパイの美味しい店「ジョーズ・ダイナー」でウェイトレスとして働くジェンナは、母譲りのパイ作りの名人で自宅ではオリジナルメニューの開発と突飛な名前のネーミングに余念が無い。ウェイトレス仲間のドーンとベッキーはジェンナのパイの腕前を羨ましがる。それでもジェンナには異常に嫉妬心が強くジェンナを束縛するダメ亭主のアールの存在が、二人にはジェンナをそれ以上羨ましく思わない最大の原因だった。そのジェンナの最大の目標は隣町で開かれるパイ・コンテストで優勝して賞金の2500ドルで店を出すことだった。ジェンナは体調不良で産婦人科に駆け込むと妊娠が発覚する。ポマター先生は「おめでとう」と告げたが、ジェンナには「不幸な妊娠」であり嬉しくはなかった。診療所を定期的に訪れるようになるジェンナはその都度挨拶代わりにパイを持参し、ポマター先生はこのパイの虜になりお互い結婚している身ながら惹かれあうようになる。やがて妊娠がアールにもばれて「子供が出来ても俺にだけ尽くせ!」と自分勝手なことを言う我侭亭主にウンザリのジェンナ。そんなジェンナにドーンとベッキーはある一冊の本を贈る。良いママになれる自信が無いジェンナに、その本は生まれてくる赤ちゃんに手紙を書くことから始まるのだった。ドーンはその頃、店に来るストーカーまがいの男性の存在に悩まされている。必死にその男を遠ざけようとすればするほどドーンに夢中になる男性に対し、ドーンも少しずつこころを開こうとする。ベッキーは寝たきりの夫の世話に明け暮れるストレスから、店長と不倫関係になっている。オーナーのジョーはドーンやベッキーに煙たがられながらも、ジェンナにだけは何かと「人生の忠告」をするのだった。やがて、老年のジョーにもお迎えの時期がやってこようとしていたその時...。お腹が日に日に大きくなってゆくと共にジェンナの出産への不安と、アールとの生活への不満が募りポマター先生と一線を越えそうになるのだったが...ポマター先生にも家庭があり...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ドーンとベッキーの悩みの相談にジェンナをどう接したか?2.ジェンナの家出計画は果たして実るのか?3.ダメ亭主のアールは如何にしてジェンナを束縛するのか?4.ドーンへ付きまとう男は彼女への心が通じるのか?5.ポマター先生とジェンナの関係は不倫に発展するのか?6.無事に出産したジェンナに対してアールが取った行動とは?ジェンナはどう出るのか?7.老オーナーのジョーが最期にジェンナに宛てた粋なメッセージとは?などを中心にご覧下さい。【鑑賞後の感想】アメリカ映画にもこんな素敵な脚本の映画が存在するのは嬉しい限りだ。この映画は監督兼脚本兼ドーン役で出演しているエイドリアン・シェリーにはセンスのよさを感じる。女性らしい視点で「パイ」を通じて、ジェンナと彼女を取り巻く「ジョーズ・ダイナー」でのウェイトレス仲間と老オーナーのジョー、ダメ夫アール、ポマター先生らとの関係が中心で、更にそれぞれの場面でのサイド・ストーリーの散りばめ方も見事である。こんな素敵な映画を作ったエイドリアン・シェリーだがこの映画以外では、個人的に全く知らない存在だった。所が、この映画のパンフの彼女のプロフィールを読んでいるとなんと彼女は2006年11月1日に40歳の若さで亡くなっているではないか。死因は不明(殺人事件の被害者として亡くなったそうです)だが、彼女には娘ルルがおりそのルルはラスト・シーンでの印象的な場面で「出演」している。「パイ作りの名人」「ダメ夫」「ウェイトレス仲間との他愛の無い会話」「ストーカーまがいの男のあしらい方」「不倫」と言った題材を上手く一つの物語に全て纏めていた。【自己採点】88点。ハリウッドの大作だけでなく、こうした作品にもスポットが当たって欲しい。人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.01.07
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100.マリア■原題:The Nativity Story■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:100分■日本語字幕:戸田奈津子■鑑賞日:12月8日、シャンテシネ(日比谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・製作総指揮:キャサリン・ハードウィック□脚本・製作総指揮:マイク・リッチ□製作総指揮:ティム・ヴァン・レリム□製作:ウィック・ゴッドフレイ、マーティ・ボーウェン□撮影監督:エリオット・デイヴィス□プロダクション・デザイナー:ステファノ・マリア・オルトラーニ□編集:ロバート・K・ランバート、スチュアート・レヴィ□衣装デザイナー:マウリッツィオ・ミレノッティ□音楽:マイケル・ダナキャスト◆ケイシャ・キャッスル=ヒューズ(マリア)小さな村で生まれ育ち親がヨセフとの結婚を決める◆オスカー・アイザック(ヨセフ)マリアの夫として「神の子」を宿した妻を優しく包む夫◆ヒアム・アッバス(アンナ)マリアの母◆ショーン・トーブ(ヨアキム)マリアの父◆アレクサンダー・シディグ(天使ガブリエル)マリアに神の子を宿したことを告知する◆ナディム・サワラ(メルキオール)救い主誕生の兆候を探る東方の三博士の一人で学者◆エリック・エブアニー(バルタザール)東方の三博士の一人でエチオピア人の天文学者◆ステファン・カリファ(ガスパール)東方の三博士の一人◆スタンリー・タウンゼント(ザカリア)敬虔な聖職者で妻が「神のお告げ」で妊娠できる年齢を過ぎて神の子を宿す◆ショーレ・アグダシュルー(エルザベト)ザカリアの妻で「神の子を妊娠」する◆キアラン・ハインズ(ヘロデ王)ユダの王で救い主誕生の情報を聞きつけベツレヘムの2歳以下の幼児殺害を命じる【この映画について】イエス・キリストの生涯を扱った作品は過去にも多く映画として存在するが、キリストの両親「マリアとヨセフ」についてを描いた作品は珍しいのではないか?マリアは殆ど面識の無かったヨセフとの結婚を両親の薦め(強制?)で承諾する。しかし、ヨセフとの正式な結婚式を待たずに「神の子」を宿したマリアには冷たい村人の視線が投げかけられる。圧政を敷くヘロデ王の追手からの逃亡を経てイエスを産んだマリアとヨセフの「一組の夫婦」にスポットを当てた作品だ。ヘロデ王が如何なる人物だったかも詳しく描いている。予断ですが、キリストの生年は「紀元前4年」であり「西暦0年」ではありません。【ストーリー】(ネタバレなし)ユダのヘロデ王はローマの支配下にあり、ローマ皇帝の名の下に重税を取り立てるなど民衆を苦しめ圧制を敷いていた。そのヘロデ王は「救い主」が現れて民衆は王の支配から逃れられるとの予言を恐れ、ベツレヘムの2歳以下の男児全員殺害を兵士に命じた。ヘロデ王の虐殺命令から1年前のエルサレム、敬虔な聖職者ザカリアは或る日教会内で「思えの妻は子供を産む。その子は神の預言者となり、民を主の渡来に備えるだろう」との啓示を受ける。しかし、ザカリアは妻が既に妊娠できる年齢を遥かに過ぎており神の予言をにわかに信じられなかった。そんな煮え切らない態度を見せるザカリアに対し、「神の声」は彼を一喝した。その頃、ヘロデ王による税金の厳しい取立てに苦しめられていたナザレ村では、10代のマリアがヨセフとの婚約が整ったと両親から告げられ取り乱した。オリーブの林に逃げ込んだマリアは、そこで天使ガブリエルから「やがて神の子を身ごもり男の子を産むだろう。その子にイエスと名付けよ」と告げられ困惑する。その頃、ペルシアでは三人の博士たちがそれぞれの専門分野を生かして「救い主」誕生の兆候を探るため、ユダへの旅を決行することになった。マリアは受胎告知を受けてから、親類のエリザベトに会いに行き「収穫期」には帰ると告げてナザレから旅立った。エリザベトもマリア同様に「神の子」を宿しており、マリアは自分に告げられたことが真実であると確信する。村に戻ったマリアには結婚前に夫以外の男性の子を宿したことで冷たい視線にさらされる。ヨセフにも彼の両親も、マリアから伝えられて衝撃の内容に動揺を隠せなかった。しかし、ヨセフだけはマリアからの告白を信じたことで二人の絆はこの日を境に強くなっていく。それからまもなく、ヘロデ王はローマからの布告後、人口調査を行うため国民に出身地に1月以内に戻るよう強制する。王は人口調査を「救い主」を見つけ出す口実に使う。そしてヨセフとマリアはヨセフの出身村であるベツレヘムへと向う。二人はあらゆる困難と兵士たちの検問を逃れ、やがてマリアがベツレヘムで産気付くのだったが...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ヘロデ王は「救い主」の何を恐れていたのか?2.東方の三人の博士は「救い主」誕生の兆候を何を見て感じてきたのか?3.エリザベトは高齢で無事に「神の子」を出産出来たのか?「神の子」の未来とは?4.マリアとヨセフの苦難の旅はどのようなものだったのか?5.イエス誕生の瞬間を見届けた人たちの様子や反応は?などを中心に是非DVD発売時にご覧下さい。【鑑賞後の感想】日本人に取ってキリスト教(カトリックや正教も含めて)はX'masとかハロウィンとか教会での結婚式など「イベント」では馴染み深いが、実際に「キリスト教徒」の国家ではないしましてや聖書の記述に精通している人はごく僅かであろう。過去にキリストを題材にした映画では、最近ではメル・ブルックス監督「パッション」などがあるがいずれも「キリストの生涯」を描いた作品だった。ところが「マリア」はイエス・キリストの「両親」であるマリアとヨセフ「夫妻」が主人公である。マリアは若くして殆ど面識の無い「ヨセフ」との結婚を両親が決めたことで当初は動揺する。所が、マリアが「神の子」を妊娠して村人達から冷たい視線を浴びてもヨセフだけは信じてくれたことで「夫婦」としての絆が深まっていく。こうした描き方は聖書を知らない日本人でもすんなりと物語に入って行けると言う点では評価したい。今から約2千年以上前の「夫婦の物語」だが、夫婦になったきっかけは戦前の日本でも普通にあったケースである。夫婦としての絆は、「お腹の中の子」の存在を巡って命が狙われたことで生まれ育った村を後にし安全な場所へと移動する中で過酷な自然と向き合うことで二人の絆は強くなった。イエス・キリストが最後にベツレヘムで誕生するシーン(ポスターの絵がそうです)は、正に神々しさを感じさせる名シーンでした。この映画を通してイエス・キリスト誕生当時のヘロデ王の統治が如何に過酷だったかも確りと描かれていた。世界史の教科書では分からない2千年前の様子が理解出来ました。【自己採点】(100点満点)74点。派手さや娯楽性は無いけど、心に沁みる何かがありました。←映画「マリア」関係のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.01.03
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99.マイティ・ハート 愛と絆■原題:A Mighty Heart■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:108分■鑑賞日:12月1日、アミューズCQN(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:マイケル・ウィンターボトム□脚本:ジョン・オーロフ□原作:マリアンヌ・パール□製作:ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、アンドリュー・イートン□撮影監督:マイケル・ザイスキンド□プロダクション・デザイン:マーク・ディグビー□編集:ピーター・クリステリス□衣装デザイン:シャーロット・ウォルターキャスト◆アンジェリーナ・ジョリー(マリアンヌ・パール)TV局でドキュメンタリー制作に携わっていたがジャーナリストの夫ダニエルと知り合い結婚する◆ダン・ファターマン(ダニエル・パール)ウォール・ストリート・ジャーナルの記者としてパキスタンで取材活動に従事する◆アーチー・パンジャビ(アスラ・ノマニ)ダニエルと活動を共にする女性記者◆ウィル・パットン(ランダル・ベネット)アメリカ領事館の外交問題担当でダニエル捜査の一員となる◆イルファン・カーン(ハビブ)キャプテンの愛称を持つテロ対策組織のリーダー◆ゲイリー・ウィルメス(スティーヴ・レヴァイン)ウォール・ストリート・ジャーナルの記者◆デニス・オハラ(ジョン・バッシー)ウォール・ストリート・ジャーナルの記者でスティーヴと共に捜査の一員となる【この映画について】この映画は元々ブラッド・ピットが、2002年にパキスタンで取材中にテロリストに誘拐され殺害されたウォール・ストリート・ジャーナル紙の記者、ダニエル・パールの死の真相を綴った一冊の本との出会いからだった。ピットはダニエルの妻が書いた本を読んで深く感銘を受けて、私生活で「事実上の妻」(正式に入籍はしていないそうだ)であるアンジェリーナ・ジョリーを主演に映画化することを実現させた。映画に際して作者であるマリアンヌの賛同も得て、実際に事件が起こったカラチやイスラマバード、ラワルピンディなどで撮影された。アンジェリーナ・ジョリーはこの作品での演技が高く評価され、今月に発表されるアカデミー賞主演女優賞候補に挙がると言われている。【ストーリー】(ネタバレなし)ダニエルとパールは共にジャーナリストとして活動している夫婦。夫ダニエルはウォール・ストリート・ジャーナル紙の特派員、妻マリアンヌはかつてはTV局でドキュメンタリーの制作に携わっていたが今はフランスのラジオ局の記者であり妊娠5ヶ月の身重だ。2002年1月、パキスタンのカラチで最後の取材をするために夫を見送った妻。取材後、二人は夫の取材後ディナーの約束を交わしていた。一方のダニエルは取材に出かけたが、運転手は車を郊外の見知らぬ場所へと連れて行きダニエルは不安に駆られる。その頃、マリアンヌは何時までたっても戻ってこない夫の身を案じる。女性記者のアスラがそんな彼女を励ますが、マリアンヌは夫のPCを調べ彼がジラニ師と会う予定だったことが判明する。ジラニ師にはアルカーイダと関わりの有るテロリストのことを取材することになっていた。行方不明になったダニエルを捜索するために、地元警察とアメリカ大使館とウォール・ストリート・ジャーナル紙の同僚らにFBI捜査官まで加わってチームが結成された。地元マスコミはダニエルがイスラエル情報機関モサドのスパイだとする記事が掲載された。憤慨するマリアンヌたちのもとに、ダニエルの写真がメールで送信されてきた。犯人側は夫をCIAのスパイ呼ばわりし、身柄引き渡しの交換条件にジェット機の提供を要求してきた。マリアンヌは夫がスパイとしての容疑を晴らすために、TV出演することを決意した。やがて、ダニエルの身に異変があったことを知らせる情報が舞い込んできて...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.地元紙は何故ダニエルがイスラエルの情報機関のスパイだと報道したのか?2.ジラニ師とダニエルの関係は?その関係を知るものは他にいるのか?3.ダニエルをジラニ師と面会の為に案内した運転手とは?4.マリアンヌがTV出演して訴えたこととは?5.ダニエルの異変を知らせる内容とは?6.捜索チームと地元警察との情報の連携は?7.犯人側の構成とは?などを中心にご覧下さい。【鑑賞後の感想】アンジェリーナ・ジョリー出演作品が同時期に「べオウルフ」と重なり、そちらの方が注目されて(出演シーンはそっちは少ないけどね)本作品の方が地味な扱いになってしまった。この作品は実際に2002年1月に発生した誘拐殺人事件を扱っているシリアスなドキュメンタリータッチの映画である。従って、娯楽性はなくこうした内容を理解しないで鑑賞する肩透かしを食らうだろう。アンジェリーナ・ジョリーは帰国前最後の取材に出かけて夫が、何者かに誘拐され不安に駆られる難しい役どころを理解して演じていた。同時に彼女は妊娠5ヶ月の身重であり、ただでさえ不安定な精神状況の中を気丈に捜索スタッフらと対応していた。この映画は製作にあたって現実味を出すために、敢えて治安の不安定なパキスタンでのロケを敢行したそうだ。ロケ地は先日ブット元首相暗殺事件のあった都市も含まれているが、確かに映像を見ていても埃っぽい街の様子や欧米人が活動するには目立ち過ぎる様子などが自然と伝わって来た。アンジェリーナ・ジョリーばかりが目立ってしまうこの映画だが、彼女はこの作品での評価が米国では高くアカデミー賞主演女優候補にも挙がるのではとさえ言われているらしい。ブラピが今回の企画に深く関わっていたことで回ってきた出演だったのだろうが、こうした難しい役を演じて評価が上昇することで今後の彼女の女優生活にもプラスになるだろう。【自己採点】(100点満点)72点。実際にあった事件の映画化なので娯楽性は排除されていたが、映画独自の視点があったら良かったかも。←映画「マイティ・ハート 愛と絆」のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2008.01.01
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91.ボーン・アルティメイタム■原題:The Bourne Ultimatum■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:115分■日本語字幕:戸田奈津子■鑑賞日:11月17日、新宿プラザ劇場(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:ポール・グリーングラス□脚本:トニー・キルロイ、ジョージ・ノルフィ□製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー、ポール・L・サンドバーグ□製作総指揮:ジェフリー・M・ウェイナー、ヘンリー・モリソン、ダグ・リーマン□原作:ロバート・ラトラム□撮影:オリヴァー・ウッド□衣装:シェイ・カンリフ□編集:クリストファー・ラウズ□音楽:ジョン・パウエル□プロダクション・デザイナー:ピーター・ウェンハムキャスト◆マット・デイモン(ジェイソン・ボーン)CIA屈指のエージェントだが過去を抹殺されて悩む◆ジュリア・スタイルズ(ニッキー・パーソンズ)CIAマドリード支局長、ボーンとは過去に特別な関係にあったのだが...◆デヴィッド・ストラザーン(ノア・ヴォーゼン)CIA対テロ極秘調査局長、現場責任者でボーンの行方を必死に追う◆スコット・グレン(エズラ・クレイマー)CIA長官、CIAの極秘プロジェクトの黒幕◆ジョアン・アレン(パメラ・ランディ)CIA内部調査局長、極秘プロジェクトの真相究明に動くが圧力が掛かる◆パディ・コンシダイン(サイモン・ロス)イギリスの大手新聞紙記者でCIA極秘プロジェクトについての内部告発記事を書く◆アルバート・フィニー(ハーシュ博士)極秘プロジェクトに深く関わった特別研究所の訓練監督官【この映画について】マット・デイモン主演の「ジェイソン・ボーン」シリーズは、大ベストセラー小説を映画化したアクション・エンターテインメントだ。2002年の『ボーン・アイデンティティー』、2004年の『ボーン・スプレマシー』は右肩上がりの興行的成功を収め、そして今夏、全米で封切られた『ボーン・アルティメイタム』は、オープニング3日間で興収6,928万ドルを叩き出し、驚異的な大ヒットを記録した。エキゾチックなタンジールの街で、ボーンが手強い殺し屋を追いまくる10分以上のチェイスではワクワク感が増大する。民家の屋根から屋根へ、窓から窓へ飛び移るボーンも超人的だが、猛然と突っ走る彼に食らいついて離れないハンディ・カメラもはや神業の域。「グッド・シェパード」の重厚な演技とは異なる、ここではアクション・スターに徹したマット・デイモンは素晴らしい。【ストーリー】(ネタばれなし)CIAの極秘プロジェクト<トレッドストーン計画>によって、暗殺のスペシャリストに鍛え上げられたボーン。例え記憶を失ったとしても、その過去からは逃れられない。モスクワでも、彼は警官隊に追われていた。6週間後、イギリスの大手新聞「ガーディアン」の一面をボーンの写真が飾った。記者のロスがCIAの内部告発に基づき、トレッドストーン計画とそれに代わるブラックブライアー計画に関する取材を進めていたのだ。CIAロンドン支局が盗聴した“ブラックブライアー”という謎めいたキーワードは、ニューヨークのCIA対テロ極秘調査局長、ヴォーゼンの耳にも届く。パリで問題の新聞を手にしたボーンはロンドンへ飛び、記事に関する情報を得るためロスをウォータールー駅に呼び出すが、ヴォーゼンの指示を受けたCIAの現地要員に監視されていた。ボーンの凄まじい戦闘能力に震え上がったヴォーゼンは、かつてボーンの捜査を行った経験を持つパメラに協力を求める。ヴォーゼンはCIA長官のクレイマーを後ろ盾にして、国家的脅威と見なすボーンの抹殺をもくろんでいたが、パメラはボーンの行動には同情すべき理由があるはずだと考えていた。ボーンを捜し出すという目的で一致したふたりは、一時的に手を結ぶことにする。一方、ボーンはロスの取材メモをたどってマドリッドを訪れ、記事の情報提供者であるCIAマドリッド支局長のダニエルズのオフィスに潜入する。オフィスには、すでにダニエルズの姿はなかったが、そこでボーンはトレッドストーン計画を知るCIAマドリッド支局員ニッキーと再会する。ボーンはニッキーとの会話から、過去に彼女と特別な関係にあったことを察知した。ボーンはニッキーの協力を得て、ダニエルズが身を隠すモロッコのタンジールへと向かう。しかしようやく見つけ出したダニエルズは、新たな殺し屋デッシュによって仕掛けられた爆弾で即死してしまう。爆風に叩きつけられながらも、ニッキーの身の危険を感じ取ったボーンは、すぐさまデッシュを追う。ボーンの自分探しの旅の最終目的地はニューヨークだった。彼は、電話でコンタクトしたパメラから自分の本名がデヴィッド・ウェッブだと聞かされる。なぜボーンはウェッブの名を捨て、非情な殺しの世界に身を投じたのか。その謎解きの鍵を握る黒幕ハーシュ博士とは、いったい何者なのか。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ジェイソンは何故「トレッドストーン」計画に参加することになったのか?2.ジェイソンとニッキーの特別な関係とは?彼女をボーンは守ることが出来るか?3.ジェイソンの恐るべき戦闘能力とは?4.ジェイソンがハーシュ博士から聞いたこの計画の全貌とは?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】マット・デイモンはハリウッド映画界の若手スターでもっとも脂が乗っていると断言しても良いのではないだろうか?「オーシャンズ」シリーズではジョージ・クルーニーやブラピらのスーパースターと互角に渡り合うし、「グッド・シェパード」ではロバート・デ・ニーロ監督が絶賛する演技力、そして「ボーン」シリーズではアクション・スターとしての部分も大いにアピールする。ざっと上記に挙げた作品を取ってもどれもタイプの異なる役柄であり、それを何の違和感も無くこなす演技力は見事である。「オーシャンズ」シリーズも、「ボーン」シリーズも今回で最終作と噂されている。そうすると次回からはどういう役柄でスクリーンに登場するのか楽しみである。「...アルティメイタム」は舞台がモロッコ、ヨーロッパ、NYと展開していくストーリーや、モロッコでの追跡劇など見所も満載だった。ただし、ハンディ・カメラでの撮影を追跡シーンに使用していたが多用し過ぎかな?って個人的には思いました。確かに、演技者の目線で追いかけるという利点はあるが、映像として敢えてブレを大胆にカットせずに残していたようなのだが見辛いと私は感じました。それでもタンジールでの追跡劇ではこのハンディ・カメラが大活躍であったことは事実です。共演者ではマット・デイモンと一緒に追われる身となったジュリア・スタイルズの冷静なキャラを演じる能力も見事でした。決して美人女優でも肉体派でもないけど、こうした演技の出来る女優さんは貴重ですね。【自己採点】(100点満点)83点。主役を支える脇役陣の演技も見事でした。←映画「ボーン・アルティメイタム」のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「星野JAPAN、北京五輪出場決定!」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.12.11
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86.スターダスト■原題:Stardust■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:128分■日本語字幕:古田由紀子■鑑賞日:11月04日、渋東シネタワー(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・製作・脚色:マシュー・ヴォーン□脚色:ジェーン・ゴールドマン□原作・製作:ニール・ゲイマン□製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、マイケル・ドライヤー□製作総指揮:デヴィッド・ウォマーク、クリス・サイキエル、ピーター・モートン、スティーヴン・マークス□撮影監督:ロバート・リチャードソン□プロダクション・デザイナー:ギャヴィン・ボケット□衣装:サミー・シェルドン□編集:ジョン・ハリス□音楽:アイラン・エシュケリキャスト◆クレア・デインズ(イヴェイン)流れ星が地球に墜落して女性となる◆チャーリー・コックス(トリスタン)母の存在を知らずに成長するが、その出自が彼の人生を大きく左右することに◆シエナ・ミラー(ヴィクトリア)村の一番の美女でトリスタンの憧れの女性◆ヘンリー・カヴィル(ハンフリー)ヴィクトリアの彼氏◆ピーター・オトゥール(ストームホールド王)息を引き取る間際に後継者の条件を王子らに授ける◆ミシェル・ファイファー(ラミア)ストームホールドの魔女三姉妹の長女◆ロバート・デ・ニーロ(キャプテン・シェークスピア)残忍なことで恐れられている飛空艇を操る空飛ぶ海賊【この映画について】豪華俳優陣が、ユニークなキャラクターを演じるファンタジー超大作。主役のトリスタンを演じるのは、売り出し中の俳優チャーリー・コックス。頼りない田舎の青年が、壮大な冒険を通してセクシーでカッコいい男になる変身ぶりは楽しみのひとつ。地に落ちた流れ星という特異な役を演じたのはクレア・デインズ、何としても若さを取り戻したい邪悪な魔女に特殊メイクアップで挑んだミシェル・ファイファー。そして茶目っ気たっぷりの空飛ぶ海賊に扮した名優ロバート・デ・ニーロと、死を迎えたストームホールド王を演じているのは「ヴィーナス」が公開中のピーター・オトゥール。共演陣もファンタジー世界の住人を楽しそうにイキイキと演じている。【ストーリー】(ネタばれなし)ウォール村に住むダンスタンの息子、トリスタンは村一番の美女ヴィクトリアに恋をした。だが彼女にはハンフリーという恋人がいる。ある夜、なんとかヴィクトリアを外に誘い出すものの、彼女は心を許してくれない。その時、流れ星が現れ、それを見たトリスタンは、落ちた星を愛の証としてプレゼントすると約束する…。かくして落ちた場所に到着したトリスタンだが、そこには一人の美しい女性が。何と流れ星は、美女に姿を変えたていたのだった!同じ頃、魔女の3姉妹も流れ星を見て大喜び。永遠の若さをもたらす流れ星を400年間も待ち続けていたのだ。魔法のお告げが示す場所へと急ぐ魔女。魔女達は何世紀も前に手にした「流れ星の心臓」を使って老いた醜い姿から若く妖艶な美女へと変身するのだった。流れ星が落ちてきたのには理由があった。ストームホールド王が息を引き取る瞬間、後継者の証であるルビーのネックレスが夜空へ舞い上がり、遥かな空間できらめく星を弾き飛ばしたのだ。それは、王位継承を狙う3人の王子による、ルビー争奪戦の幕開けを意味していた…。トリスタンは父から18年前の出来事と出生の秘密を聞かされた。母からの手紙、待つ雪草の花とバビロンのろうそくを渡される。そして手紙には「ろうそくを使えば瞬時に旅が出来る。火をつけて私を想って。」とあった。火をつけた瞬間、トリスタンは巨大なクレーターに放り出され、傍らには横たわったイヴェインと名乗る女性がいた。イヴェインは流れ星?彼女の近くには光り輝くルビーが。流れ星のイヴェインは昼は動けず、夜になってトリスタンの村をめがけて動いたが木陰でうたた寝した瞬間にユニコーンに連れられて彼女は逃げてしまった。しかし、イヴェインを狙うラミアが魔法で宿を作って待ち伏せをし、ストームホールド王の亡き王子までもが胸元のルビーを狙っていた。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ラミアは何故イヴェインを狙うのかその真意は?そしてトリスタンにもラミアは襲って来るのだが何故?2.トリスタンが魔女の策略に引っかかって姿を変えさせられたが何故か?3.はぐれてしまったトリスタンとイヴェイン。ウォール村にヴィクトリアの誕生プレゼントとしてある贈りものを持っていくがそれは?4.トリスタンがウォール村へ向っていると知ったイヴェインだが、彼女は村へ行くとあることが起きるがそれは?5.ラミアにつかまってしまったイヴェイン。果たして絶体絶命の彼女をトリスタンは守れるのか?6.ストームホールド家の最後の王位継承者と見られていたセプティマスがラミラに殺されて後継者はどうなる?などを中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】ベストセラーのファンタジー小説を映画化した作品で、この手の映画には珍しくロバート・デ・ニーロやピーター・オトゥールと行った演技派のビッグネームが出演している。そればかりかミシェル・ファイファーやクレア・デインズと言ったこちらも売れっ子の女優が出演しているだけあって、ストーリーの展開も最後まで一度も眠気に襲われることなく観る事が出来た。本来は子供向けの作品だろうが、王国の後継者争いでの醜い確執や美女の心臓を狙う魔女や魔女の誘惑に負けて姿を変えられる場面などはそこには作者からの隠れた教訓やメッセージが子供達に託されているのは明白だ。男女の愛情、欲望、権力の継承などは何時の時代になっても無くなる事はない人間の醜さが見え隠れしている。この映画を観た子供はそこから何かを感じ取り、その時、将来どういう人間になるべきかを考えるきっかけになるだろうか?最後に、ミシェル・ファイファーの魔女メイクと醜悪な老女の姿と若い姿が一瞬に入れ替わるシーンは楽しかった。【自己採点】(100点満点)83点。ファンタジー映画だがストーリーもしっかりとしていた。←映画「スターダスト」のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.11.26
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85.グッド・シェパード■原題:The Good Shephard ■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:167分■日本語字幕:松浦美奈■鑑賞日:11月03日、新宿プラザ(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・製作:ロバート・デ・ニーロ□脚本:エリック・ロス□製作:ジェームズ・G・ロビンソン、ジェーン・ローゼンタール□製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ、デヴィッド・ロビンソン、ガイ・マケルウェイン、ハワード・カプラン、クリス・ブリガム□撮影監督:ロバート・リチャードソン□プロダクション・デザイン:ジャンニーン・オップウォール□衣装デザイン:アン・ロス□編集:タリク・アンウォー□音学:マーセロ・サーヴォス、ブルース・ファウラーキャスト◆マット・デイモン(エドワード・ウィルソン)CIA設立メンバーに抜擢されるが多忙で家庭では孤独◆アンジェリーナ・ジョリー(クローバー/マーガレット・ウィルソン)兄の友人だったエドワードと結婚するがすれ違い生活に疲れる◆エディ・レッドメイン(エドワードJr.)6歳になるまで父の顔を見ないで育ち、自身も父と同じCIA諜報員の道を選ぶ◆タミー・ブランチャード(ローラ)クローバーの妊娠で結婚はしなかったが、エドワードの恋人で聾唖◆リー・ぺイス(リチャード・ヘイズ)エドワードの大学時代の先輩で、後にCIA長官に就任◆ウィリアム・ハート(フィリップ・アレン)エドワードの先輩でCIA長官になるが...◆ジョン・タトゥーロ(レイ・ブロッコ)ロンドン時代にエドワードに雇われて以来20年間行動を共にする◆アレック・ボルドウィン(サム・ミュラック)大学時代にエドワードをCIAにリクルートした捜査官◆マイケル・ガンボン(フレデリックス教授)エドワードの大学の恩師だが彼は教授を退職に追い込む◆ジョン・セッションズ(ヴァレンティン・ミロノフ)アメリカに亡命したKGB士官。後に同姓同名の偽者が出現し窮地に◆オレグ・ステファン(ユリシーズ/スタス・シャンコ)KGBの大物諜報員。ロンドン時代にエドワードと知り合いキューバ侵攻事件の処理で手腕を発揮する【この映画について】名優ロバート・デ・ニーロが13年ぶりに監督に挑んだ作品で、当初はレオナルド・ディカプリオを主演候補に挙げていたがまとまらずマット・デイモンが主演に抜擢された。優秀な学生だったエドワードがやがてCIA創設メンバーに選ばれながらも、その一方で聾唖の恋人ではなく友人の妹の妊娠で結婚することになり多忙を極める仕事から家庭を顧みなくなる。そんな家庭人としてのあるべき姿と、CIAという国家の為に自らを犠牲にしてまでも働く男の苦悩をマット・デイモンは見事に演じている。そのマット・デイモンは「ボーン」シリーズのアクション・スターとは異なる魅力がある。デイモンの妻役にはアンジェリーナ・ジョリーが演じるがラストで驚愕の真実が明らかにされる。脇を固める俳優陣も演技派がそろい、デ・ニーロも将軍役で出演しているので捜して欲しい。【ストーリー】(ネタばれなし)イエール大学在学中のエドワードが諜報の道に足を踏み入れたのは、第二次大戦の前夜、FBI捜査官のサム・ミュラックがエドワードの恩師である親独派のフレデリックス教授の身辺調査を依頼されたのが最初だった。更に、大学内のエリートで結成された秘密結社スカル&ボーンズのメンバーとして出席したエドワードは先輩のフィリップ・アレンの紹介でサリヴァン将軍と対面する。サリヴァンは戦時中の対外諜報活動に参加して欲しいと誘われる。エドワードはこの申し出を快諾するのだった。この時エドワードには聾唖のローラという恋人がいたが、集会の夜、クローバーと成り行きで関係を持ちその後妊娠が発覚。身重のクローバーを残して彼はロンドンへと赴任することになる。ロンドンで彼は恩師だったフレデリックスと再開する。恩師は英国の諜報員だったのだ。所がエドワードはそこで老いてきた恩師が諜報部のお荷物として処分される非情さを味わった。エドワードは5年後、ベルリンでの任務を経て1946年帰国して今まで電話でしか話したことのなかった息子のエドワード・ジュニアとも初めて対面した。しかし折角の帰国も家庭生活は円満とはいかず、彼は創設されたCIAの諜報員として活動に忙しくなりやがて別居する。エドワードはCIAで起こったキューバ侵攻の情報漏えい事件で、家族と言えども信用することは出来ないと気を引き締める。この頃、成長した息子は父の後を追うようにCIAへ採用された。エドワードは情報漏えいの黒幕がソ連の諜報員である通称「ユリシーズ」と目論んでいた。案の定、CIAの調査でユリシーズが黒幕であることが判明し、エドワードはコンゴへと飛ぶ。そこで会ったユリシーズから、キューバ侵攻の極秘情報を漏らした驚愕の人物の名前が明らかになった。偶然にもエドワードは息子のジュニアとコンゴで対面する。ジュニアはコンゴ女性と恋に落ち妊娠し結婚を約束していた仲だった。しかし、コンゴ女性の正体を知ったエドワードとCIA側は決してこの女性を許すことはしなかった。そして...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.エドワードが妻に語った結婚した理由とは?2.ジュニアがCIAを受験すると知ったとき母の反応は?3.エドワードがコンゴで知った極秘情報を提供した人物とその背にいた人物とは?4.CIAがコンゴ女性に取った非情の行動とは?5.エドワードの妻が果たしていた驚くべき役割とは?6.エドワードはCIAでその後どのような地位に就いていったのか?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】名優デ・ニーロが13年ぶりに監督をする作品であり、内容もCIA誕生までの軌跡とそこに関わる人物の苦悩を其々の時代設定で丁寧にそして重厚に描いている。デ・ニーロはこの企画を長年温めていたそうで当初のディカプリオでなく、現在売れっ子のマット・デイモンを起用したがこれは正解だった。マット・デイモンは「ボーン」シリーズでのアクション・スターとしてのイメージも強いが、案外、出演作毎に異なるキャラクターを見事にこなす演技力がある。マット・デイモン以外の俳優達もベテランの演技派が揃っていたが、その中にあっても見劣りがしないのは対したもんだ。アンジェリーナ・ジョリーは女優が少ないストーリー展開で、きらりと光る存在感を発揮していた。物語の展開としては舞台になっている場所や時代設定が1939年から1961年の間で、それぞれ主人公であるエドワードの関わりが描かれている。大学在学中から恩師を乗り越えてヨーロッパ赴任で経験を積んで帰国してから力を遺憾なく発揮する。その間の彼の成長を物語るように表情の変化などをマット・デイモンは使い分けていた。アメリカにとってキューバのピッグス湾侵攻失敗は汚点であるが、その裏でCIA内部に起こっていた裏切り劇のドロドロした部分での非情さもリサーチがしっかりとしているのか軽さはなかったのはデ・ニーロ監督ならではだった。【自己採点】(100点満点)81点。マット・デイモンはこの映画で演技の幅が一つ広がった。←映画「グッド・シェパード」関係のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.11.24
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82.ブレイブ・ワン■原題:The Brave One ■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:122分■日本語字幕:松浦美奈■鑑賞日:10月29日、新宿ミラノ2(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックしてください □監督:二ール・ジョーダン□脚本:シンシア・モート□脚本・原案:ロデリック・テイラー、ブルース・A・テイラー□製作:スーザン・ダウニー□製作総指揮:ハーバート・W・ゲインズ、ジョディ・フォスター、ディナ・ゴールドバーグ、ブルース・バーマン□撮影:フィリップ・ルースロ□美術:クリスティ・ジー□編集:トニー・ローソン□衣装:キャサリン・マリー・トーマス□音楽:ダリオ・マリアネリキャスト◆ジョディ・フォスター(エリカ・ベイン)人気ラジオDJ兼作家だが、恋人と共に公園で不意に襲われる◆テレンス・ハワード(ショーン・マーサー刑事)エリカの番組のファンでもあり、彼女の事件の捜査も担当する◆ナヴィーン・アンドリュース(デイヴィッド・キルマーニ)エリカと結婚を約束していたが公園を散歩中に不幸な出来事に遭遇する◆ニッキー・カット(ヴィタール刑事)マーサー刑事の同僚【この映画について】婚約者を殺された事件をきっかけに拳銃を握ったジョディ・フォスター演じるエリカ・ベイン。彼女の中でが何かが弾けて拳銃で法で裁かれない悪を撃ち殺していく姿を映す、息の詰まるようなドラマ。善と悪の境目にあるグレーゾーンにおける倫理観、道徳観、正義、そして“勇気”を浮き彫りにしていく。主人公のエリカを演じたアカデミー賞2回授賞のジョディ・フォスターは鬼気迫る演技を披露。ショーン・マーサー刑事を演じたテレンス・ハワードも、法に忠実で、しかし法と私情の間で思い悩む刑事を丁寧に演じている。【ストーリー】(ネタばれなし)ニューヨークでラジオのパーソナリティを務めるエリカ・ベインは、婚約者のデイビッドとの挙式を前に愛犬を連れて公園を散歩中、3人組の暴漢に襲われた。3人は公園内の人気の無いトンネルの先で金銭の要求、殴る蹴るの暴行、罵るような言葉の暴力を浴びその様子をビデオで撮影しながらも殴り続けた。瀕死の重傷を負ったエリカは3週間後になってやっと病院で意識を取り戻したが、彼女はデイビッドが死んだことを告げられ、悲しみに打ちひしがれる。NY警察の担当刑事が事情聴取に訪れるが、真剣に事件を解決しようという意思は感じられなかった。何の情報も彼女にもたらされない事に苛立ちを感じ、直接市警へ乗り込むが同じことの繰り返しだった。退院しても外出中に事件のことが頭をよぎり足がすくんでしまう。そんな彼女が自分の身を守ろうと手にしたのは一丁の銃だった。手にした銃から自分を守るために放たれた銃弾、それは偶然にも立ち寄ったコンビニで一人の男が彼の妻を射殺するのを目撃し、その銃口が自分に向いたときだった。犯人と棚をはさんで対峙した彼女は、恐怖心から引き金を引いた。そして、相手は即死したのは言うまでも無い。この事件の捜査が彼女の身辺に及ぶことは無かったことで、彼女の中で保たれていた何かが弾けてしまいたがが外れてしまう。更に、地下鉄の車内でも恐喝を働く二人組みにも彼女の銃は何の躊躇いも無く火を噴いた。捜査にあたったNY警察のマーサー刑事は地下鉄の件もコンビニの件も同一人物による犯行と睨む。マーサーは自分がよく聴くラジオ番組のパーソナリティが酷い暴行事件に遭遇したとあるとき偶然に知った。事件を番組パーソナリティとして取材するエリカとマーサーは番組という共通項を介して親しくなる。そしてエリカは三たび引き金を引く。事件をセンセーショナルに扱うマスコミが事件を派手に報道しはじめNYではこの話題で持ちきりとなる。事件発覚後、自らの番組内でこの事件について取り上げるが、そこには賛否両論が渦巻くのだった...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.マーサーとエリカは親しくなっていくが、果たしてそれは捜査に影響するのか?2.エリカは婚約者を暴行した三人組に復讐するのか?3.番組へ寄せられたリスナーからの反応とは?4.銃を手放せなくなったエリカが、最後に取った意外な行動とは?そしてマーサーがエリカに寄せていた気持ちとは?などを中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】婚約中だった二人が公園の人気の無い場所で不良グループに襲われることから全ては始まる。襲ったグループは如何にもそんな感じの若者達で、軽いノリで暴行を働く怖さが感じられる。そんな恐怖をエリカは銃を購入し常に身に付けるとで克服しようとするが、その銃口から放たれた一発の銃弾が相手の命を奪ってから内面が激変してしまう。ジョディ・フォスターの色気の無い鬼気迫る表情は相変わらず自分のものにしていて独特の世界を持っている女優さんだ。そのフォスター演じるエリカは人気ラジオ番組のパーソナリティとしてリスナーから幅広い支持を得ている。その中にはNY市警のマーサー刑事も含まれているのだが、彼は彼女を事件の記者会見場で気軽に取材させるなど好意を持っている。エリカもマーサーの優しさに惹かれながらも、婚約者を失った気持ちの整理は出来ないでいる。銃を手放せなくなったエリカは無慈悲に発砲し、犯人像が見えない事件にマスコミも市警も苛立ってくる。エリカのゆれる気持ちをフォスターは自然な形で演じるのが抜群に上手い。マーサーのエリカに対する親愛の情が捜査に微妙に影響を与えるようになり、マーサーはエリカが犯人ではないかと心の中で疑いながらも「まさか」という感情との対立に悩まされる。最後はそんな自分の心とエリカへの親愛の情が入り混じったかのようなエンディングなのだが、果たしてこんな終わり方で良いの?って突っ込みを入れたくなってしまった。だってこれで終わったらエリカに銃撃された三人は浮かばれないかもよ...。【自己採点】(100点満点)70点。ジョディ・フォスターの演技の上手さだけが印象に残った作品だった。←映画「ブレイブ・ワン」のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.11.15
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81.キングダム-見えざる敵-■原題:The Kingdom ■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:110分■鑑賞日:10月29日、新宿グランドヲデオン座(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:ピーター・バーグ□脚本:マシュー・マイケル・カーナハン□製作:マイケル・マン、スコット・ステューバー□製作総指揮:マリー・ペアレント、スティーヴン・シータ、サラ・オーブリー、ジョン・キャメロン□撮影:マウロ・フィオーレ□編集:ケヴィン・ステット、コルビー・パーカー・Jr.□衣装デザイン:スーザン・マシマン□音楽:ダニー・エルフマンキャスト◆ジェイミー・フォックス(ロナルド・フルーリー)FBI捜査官で事件解決に向けて自らリーダーとして乗り込んでいく◆ジェニファー・ガーナー(ジャネット・メイズ)FBIの法医学調査官◆クリス・クーパー(グラント・サイクス)FBIの爆発物専門家◆ジェイソン・ベイトマン(アダム・レビット)FBIの情報分析官◆アシュラフ・バルフム(アル・ガージー大佐)FBI捜査官たちの現地での案内役だが、でFBIと捜査方法で対立するのだったが...◆ジェレミー・ピヴェン(シュミット)アメリカ大使館首席公使だが、FBI捜査官の入国を歓迎しない◆ダニー・ヒューストン(ギデオン・ヤング)司法長官としてFBI捜査官派遣に難色を示す◆リチャード・ジェンキンス(ロバート・グレース)FBI長官として捜査官の現地派遣を主張しヤングと対立する【この映画について】本作は1996年に実際にサウジアラビアで起きたホバル・タワー爆破事件をヒントに、監督のピーター・バーグ、脚本家のマシュー・マイケル・カーナハンらが作成したオリジナルの脚本で、ハリウッド史上初めてサウジアラビアの真実に迫る。アカデミー賞ノミネート経験のあるマイケル・マンが映画に惚れ込みプロデュースを手掛け、UAE、ワシントンそしてアリゾナ砂漠でロケを敢行した。4人のFBIスペシャリストを演じるのは、「レイ」での見事な演技が記憶に新しいオスカー俳優ジェイミー・フォックスを筆頭に、同じくベテラン・オスカー俳優のクリス・クーパー、ジェニファー・ガーナー、ジェイソン・ベイトマン。更に、パレスチナ人俳優アシュラフ・バルフムが民族の違いを超えて任務への忠誠心を共有するサウジ警察の警部に扮する。【ストーリー】(ネタばれなし)ワシントンDCのある小学校。父母参観日で両親が見守る中、6歳のケヴィンが様々な写真を見せながら自分や家族について発表している。そんな時、父親のロナルド・フルーリーの携帯が鳴る。サウジアラビアにある石油会社の外国人居住区で自爆テロ事件が発生したのだ。死者100人以上、負傷者200人以上。犯人はサウジ警察の制服を着ており、捜査に向かったFBI捜査官のレックスとフランも死亡したと伝えられる。同僚の死を知り涙ぐむ法医学調査官のジャネット・メイズ。爆発物専門家のグラント・サイクスが爆発の規模を説明し、軍が使用する高性能爆弾が使われたと推測する。情報分析官のアダム・レビットはFBIが現地に行くべきだと主張する。フルーリーはサウジ基盤のアルカイダ・メンバー、アブ・ハムザの仕業だと推察。フルーリーは司法長官に、FBIも協力してアブ・ハムザを捕らえるべきだと直訴するが却下されてしまう。そこでフルーリーはワシントン・ポスト紙の記者を介して駐米サウジ大使と密かに会い、サウジの大物によるテロ資金調達疑惑をちらつかせ、自分を含めた4人のFBIチーム(フルーリー、サイクス、レビット、メイズ)を現地捜査に派遣できるよう取り計らいを要求。大使は捜査期間を5日間、そして常にサウジ警察が同行するという条件で許可する。サウジのプリンス・スルタン空軍基地。サウジ国家警察のアル・ガージー大佐に出迎えられたフルーリー達はそのまま爆破現場に連れて行かれその余りにも凄い爆発のの勢いに愕然とするのだった。翌朝。フルーリーらはアル・ガージー大佐から「証拠に触らない」等、いくつかの条件を言い渡され、捜査は始まった。たった5日間という短い捜査日程の中で身動きが取れず、苛立ちを募らせるフルーリーたち。新たに指揮を任されたアル・ガージー大佐の下で本格的な捜査が始まった。爆発には盗まれた救急車が使われたこと、救急車があった病院には自爆犯の兄弟が勤めていることが明らかになる。フルーリーらは直ちに兄弟の居場所を特定して急襲、その場にいた全員を射殺する。部屋にはイラク戦争の有志同盟の英国、イタリア、日本大使館の写真があったが、首謀者は見つからない。その帰途、フルーリーらの車が襲撃され、レビットが連れ去られてしまう。爆破の首謀者たちは捜査の停止を求めレビットを人質にしたのだ。FBI捜査チームは必死になってレビットの行方を追跡し、遂に狭い路地がひしめき合う住宅地でレビットを連れ去った車を発見する。アル・ガージー大佐も当初は捜査上の行き違いからFBIチームとギクシャクしていた関係も、何時の間にか心が通じ合うようになっていくのだったが...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.フルーリーは犯行がなぜ「アブ・ハムザ」によるものと判断したのか?2.FBI長官と司法長官の会談でFBI側の主張が受入れられなかった理由とは?3.サウジ側がFBI捜査官を受入れるのを渋った理由とは?4.FBI側の捜査手法は果たしてサウジ側に受入れられるのか?5.FBI側がサウジ側に捜査協力を訴えた相手とは?6.レビットを連れ去った犯人をFBIチームは突き止められるのか?その意外な潜伏先と犯人側の意外な年齢構成とは?7.アル・ガージ大佐とフルーリーらは如何にして打ち解けていったのか?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】「9.11」以降、テロ事件を想起させるような作品が続々と作られるようになってきた。この映画もそうした流れに乗って製作されたハリウッド映画のなかで、ストーリーを検証してみるとただ単に「テロリスト憎し」「アメリカは強い!」と言った単純なメッセージに終始していなかった点は買ってもいい。本作では事件の発祥はアラブの盟主サウジ・アラビアの外国人居住地区という狭い空間でアメリカ人を標的に勃発して「自爆テロ」である。事件に敏感に反応したFBIと同盟国でもあるサウジ側のプライドを考慮し、政治的に穏便に解決を図りたい司法省側との対立からスタートしてことで「テロリスト対アメリカ」の構図を描いていないというメッセージを冒頭から発したのは良かった。冒頭からテロリストの行方を徹底的に追うFBIという構図では観客は今更乗ってこないだろう。その構図からここではFBI捜査官がサウジ側と捜査手法の違いに戸惑いながらも、捜査のプロでもあるFBI側のやりかたにサウジ側も徐々に敬意を表するようになる。サウジ側は自分らのメンツを保てる範囲でFBI側に協力するのだが、その過程でFBI側のフルーリーとアル・ガージー大佐が宗教観の違いなどを乗り越えて絆を深めていく流れは良かったと思う。ラストは折角両者が絆を深めていったのに残念な結果になるのだが、それはストーリーの流れとしては自然であり違和感は特に無かった。アカデミー賞授賞俳優のジェイミー・フォックスは、「レイ」での演技以来どうしてもそれを超える演技は出来ていない。しかし、アカデミー賞授賞俳優の威光があるのかヒット作や注目作への出演が続いている。今度はどういう作品への出演なのか当分注目したい人物だ。【自己採点】(100点満点)77点。宗教観や文化の違いを乗り越えていく過程は評価したいが、その反面犯行に至るまでの描写に一工夫欲しかった。←映画「キングダム」のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.11.13
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77.デス・プルーフ・in・グラインドハウス■原題:Quentin Tarantino's Death Proof■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:113分■日本語字幕:松浦美奈■鑑賞日:10月13日、新宿グランドオデヲン座(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・脚本・製作・撮影監督:クエンティン・タランティーノ□製作:エリザベス・アヴェラン、ロバート・ロドリゲス、エリカ・スタインバーグ□製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン□美術監督:スティーヴ・ジョイナー□編集:サリー・メンケ□衣装デザイン:ニナ・プロクター□特殊メイクアップ:グレゴリー・ニコテロ、ハワード・バーガーキャスト◆シドニー・タミーア・ポワチエ(ジャングル・ジュリア)テキサス州オースティンのラジオ局の人気美人DJ◆ジョーダン・ラッド(シャナ)ジュリアの親友◆ヴァネッサ・フェルリト(アーリーン)ジュリアの大学時代の友人◆カート・ラッセル(スタントマン・マイク)スタントマンを仕事にする流れ者◆ローズ・マッゴーワン(パム)地元のバーで一人で呑んでいる所をマイクに声を掛けられる◆トレイシー・トムズ(キム)映画のスタント・ウーマン◆ゾーイ・ベル(ゾーイ)キムの仕事仲間◆ロザリオ・ドーソン(アバナシー)メイク係でゾーイとキムの仕事仲間◆メアリー・エリザベス・ウィンステッド(リー)キム、ゾーイ、アバナシーの仕事仲間で女優◆クエンティン・タランティーノ(バーのマスター)ジュリアらが立ち寄ったバーのマスター【この映画について】1960~70年代に隆盛を極めた「インディーズ系の低予算映画=グラインドハウス映画」の体験を再現すべく、クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスの二人の監督がタッグを組んだ企画「グラインドハウス」。そのタランティーノ・バージョンにあたるのが本作である。殺人鬼VS女の子たちという構図で、グラインドハウス映画に思いっきりオマージュを捧げたスラッシャー映画を作り上げた。全編にちりばめられた如何にもアメリカンスタイルのガールズトークの数々は、リアルで、開放的で、魅力的。出演女優たちの抜群のスタイルの良さや音楽もこの映画を盛り上げる要素となっているので楽しめる。彼女たちに対する殺人鬼役のカート・ラッセルも怪演で物語を盛り上げる。他にも後半の怒涛かつ爆笑の展開など見どころが満載。タランティーノ流のエネルギッシュなガールズムービーに仕上がっている。【ストーリー】(ネタばれなし)テキサスの田舎町オースティンの人気DJジャングル・ジュリアは女友達のシャナ、アーリーンと共に仕事のオフの時間を利用してお気に入りのバーにくり出した。しかし、そこに不気味なボンネットにドクロマークをつけたシボレーの改造車をを乗り回す男、スタントマン・マイクがやってくる。ジュリアたちはバーで会話をするうちに、彼への警戒心を緩めていく。そのバーのカウンターで一人で呑んでいたパムは外で激しく雨が降っていたこともあって、マイクに車で送って欲しいと頼む。パムを車に乗せたマイクは、車を発進させると猛スピードで夜道を疾走しパムは不安になり「降ろして」と絶叫する。猛スピードで自分の車を操るマイクは、スタントマンの技術をフルに活かし田舎道に差し掛かったとき対向車に自ら突っ込み愛車は大破する。マイクは大怪我を負い入院するものの、パムは亡くなってしまう。その14ヶ月後、テネシーのとある町。映画撮影に携わっているキム、ゾーイ、アバナシー、リーたちは撮影の合間をぬって車の試乗をすることに。ゾーイの希望もあって70年型ダッジ・チャレンジャーに乗ってあることをしてみたいとゾーイは強い希望を持っていた。新聞広告で同型車の売却広告を目にしたゾーイだが購入する意思はなく、「試乗」と称して広告主に会いに行く。リーを「担保」として残して3人でアクロバティックなドライブを楽しんでいた。しかしそんな彼女たちにマイクが目をつけ…。あの不気味なシボレーが近付いていった。そしてマイクと彼女達の壮絶な「バトル」が田舎道で繰り広げられることになったのだが...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ジュリアたちがバーに繰り出した訳とは?2.バーで出くわしたパムとジュリアとの意外な関係とは?3.ゾーイの70年型ダッジ・チャレンジャーで楽しみにしていたこととは?4.マイクと彼女達の壮絶なバトルの結末は?などを中心にアメリカの'70年代の娯楽性満点の映画をお楽しみ下さい。【鑑賞後の感想】ロバート・ロドリゲス監督との共同企画である「グラインド・ハウス」シリーズは、アメリカでは2本で1本の作品として公開されているそうだ。しかし日本での公開では別々の作品として編集して公開されている。と言っても本来は内容も全く異なる作品だが、映画館では両方を上映しているところもあるしこの手の映画を好きな輩は結局両方見ることになるだろう。ロドリゲス監督の「プラネット・テラー」はゾンビ的な要素と多種なキャラを前面に出しているのに対し、タランティーノの「デス・プルーフ」は女性グループが悪い男に事件に巻き込まれながらも後半部分では「巻き返し復讐」する娯楽性満点の作品に仕上げている。どちらかと言えばタランティーノの作品の方が楽しめる。こちらは如何にもアメリカン・TVドラマ風の作りになっているの特徴。舞台は田舎町の能天気な女のグループでこいつらが一見尻軽そうにみえるが、実はそうしたお色気シーンは意外にも登場しない。それでもここに登場する女優はどれも巨乳揃いで、巨乳好きのアメリカ人好みであるのは明らかだ(って私もですが)。テンポの良いストーリー展開、やられっ放しにならずに復讐に出るといった楽しめる要素が盛り沢山で音楽の良さもそれらをアシストしていた。因みに、タランティーノ自身も両方の作品に俳優として出演しているので注意して観てもらいたい。【自己採点】(100点満点)80点。娯楽性に溢れた楽しい映画でした。←映画「デス・プルーフ・in・グラインドハウス」の話題も探せる!←西武ライオンズのことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.11.02
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76.パーフェクト・ストレンジャー■原題:Perfect Stranger■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:110分■日本語字幕:林完治■鑑賞日:10月8日、バウスシアター(吉祥寺)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:ジェームズ・フォーリー□脚本:トッド・コマーニキ□原案:ジョン・ボーケンキャンプ□製作:エレイン・ゴールドスミス=トマス□製作総指揮:ロン・ボスマン、デボラ・シンドラー、チャールズ・ニューワース□撮影監督:アナスタス・ミコス□音楽:アントニオ・ピント□編集:クリストファー・テレフセン□衣装デザイナー:レネー・アーリッヒ・カルフス□メイクアップ:ケイトリン・アチェソンキャスト◆ハル・ベリー(ロウィーナ・プライス)NY新報の花形記者。スクープ記事掲載を巡って上司と対立し辞職。◆ブルース・ウィリス(ハリソン・ヒル)大手広告代理店ハリソン・ヒルのCEOであり自らも広告塔の役目も果たす。◆ジョバンニ・リビシ(マイルズ)ロウィーナの同僚で相棒。PCに精通するが彼女への想いを胸に秘めている。◆リチャード・ポートノー(ナーロン)ロウィーナの上司だったが意見の対立で辞職に追い込んでしまう。◆ゲイリー・ドゥーダン(キャメロン)ロウィーナの元恋人でグレースとの浮気が原因で別れる。◆ニッキー・エイコックス(グレース)ロウィーナの少女時代の家の隣人で幼馴染。ハリソンとネットで知り合う。◆ポーラ・ミランダ(ミア・ヒル)ハリソンの妻でハリソン・ヒル社の実質上のオーナーの娘で嫉妬深い◆ダニエラ・ヴァン・グラース(ジョージィー)ハリソンの右腕でミアの指示でハリソンを監視する【この映画について】インターネットをはじめ、様々なコミュニケーション手段が発達した現代。その中で円滑なコミュニケーションを保つには、誰しも何かしらの秘密を持っている―。そんな現代社会のエッセンスを搾り出し、サスペンスへと仕上げたのがこの作品だ。犯人は大きな秘密を隠したまま「パーフェクト・ストレンジャー」=完璧な別人となり、スクリーンに登場。それが誰なのかは、ラスト寸前から怒涛の勢いで明らかになっていく。匿名で別人に成りすまして別の人格を演じたり、お互いを監視したりと現代社会の様子をちりばめた演出となっているのも特徴。主演のハル・ベリーは様々なキャラクターを器用に演じ分けた。甘い言葉を囁きまくるブルース・ウィリスの演技もなかなか新鮮だ。一体、誰が嘘をついているのか...?【ストーリー】(ネタばれなし)サックス上院議員のスクープを上司に握りつぶされた挙句に会社を辞めた元新聞記者のロウィーナ。彼女はある夜、幼馴染のグレースから広告業界の大物ハリソン・ヒルの不倫スキャンダルの話を聞いた。その数日後、グレースは変死体となって発見されてしまう。死の真相がハリソンの口封じではないかと疑ったロウィーナは、大スクープを得るべく独自の調査を開始。グレースはオンライン・チャットを通じてハリソンと知り合うが不倫関係に陥るも、ハリソンは妻の眼を気にして彼女は早々と捨てられた。グレースは交換したメール内容を新聞紙上に暴露するとハリソンを脅迫しようと画策するのだが...。ロウィーナは記事にすることを恐れたハリソンが口封じのために殺したと推理した。元同僚でコンピューターのエキスパートであるマイルズの力を借り、グレースのメールアカウントに侵入しハリソンの偽名「アデックス」からのメッセージを発見する。マイルズは更にロウィーナを偽の派遣社員としてID登録しハリソンの会社にもぐりこむことに成功するが…。ロウィーナは早速その美貌を活かしハリソンと親しく近付くことに成功する。そして勤務中の隙に彼の行動を逐一観察する。ロウィーナは彼女の死因としてある毒物が盛られていたことを検視官からの情報で知る。そしてその毒物はハリソンが入手可能な毒物だったとの確証を得るのだった。しかし、こうしたロウィーナの企みは、ハリソンが彼女を食事に誘ったレストランで席を外した僅かな隙にマイルズからのメールを読まればれてしまい辞職を余儀なくされる。彼女の代わりにハリソン・ヒル社に潜入したマイルズはハリソンが「アデックス」の偽名でチャットをしていた証拠を掴んだ。そして、それを元に警察に駆け込んだロウィーナからもたらされた情報でハリソンは逮捕され裁判となったのだが...その背後には、ロウィーナによるとんでもない企みが隠されていた。それをキャッチしたマイルズだが...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ロウィーナとグレースの関係は何時から始まりそのきっかけは何だったのか?2.ハリソンは何故暴露記事の掲載を必要以上に恐れていたのか?3.ロウィーナに献身的に協力するマイルズの彼女への思いはどんな形で知られることになるか?4.ロウィーナがこの事件にのめり込む隠された動機とは?5.ハリソンには裁判でどういう結果が待っているのか?などを中心に映画館かDVD発売時に「騙されずに」ご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画の予告編を劇場で観たのは何時だったかな?トレーラー(予告編)の素晴らしい出来栄えと本編の出来が必ず一致すると限らないのは、年間100本近く劇場で鑑賞している私はそういう事は年に何度も味わっている。何が言いたいかとそれは
2007.10.30
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73.幸せのレシピ■原題:No Reservations■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:104分■鑑賞日:9月29日、渋谷ピカデリー(渋谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:スコット・ヒックス□脚本:キャロル・フュクス□原作:サンドラ・ネッテルベック□製作総指揮:スーザン・カートソニス、ブルース・バーマン□製作:ケリー・ヘイセン、セルジオ・アグエロ□共同制作:マリ・ジョー・ウィンクラー=イヨフレダ□撮影:スチュアート・ドライバーグ□音楽:フィリップ・グラス□美術:バーバラ・リング□編集:ピップ・カーメルキャスト◆キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(ケイト)マンハッタンの高級レストランの料理長でプライドも高い◆パトリシア・クラークソン(ポーラ)高級レストラン「ブリーカー22」のオーナーで、ケイトを料理長として繁盛する◆アビゲイル・ブレスリン(ゾーイ)ケイトの姉の一人娘で母の交通事故死を受けてケイトに引き取られる◆アーロン・エッカート(ニック)ケイトがトラブルを起こし不在中にポーラが副料理長として雇ったのだが...◆ボブ・バラバン(セラピスト)ケイトがトラブルを起こしたときにポーラの命ずるままに面会するセラピスト◆ジェニー・ウェイド(リーア)ゾーイの母でケイトの姉。不慮の事故で亡くなってしまう。【この映画について】NYマンハッタンの高級イタリアン・レストランの料理長で主人公のケイトに扮するのは、『シカゴ』でアカデミー賞に輝いたキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。彼女が支配する「神聖なる厨房」に突然副料理長としてくるシェフ、ニックを演じるのは『サンキュー・スモーキング』でゴールデン・グローブ賞にノミネートされたアーロン・エッカート。アーロン・エッカートは少々能天気でテンションの高い役を違和感無く演じる。ケイトが引き取ることになった姪ゾーイを演じるのは『リトル・ミス・サンシャイン』でのコミカルな演技が?評価されアカデミー助演女優賞にノミネートされた天才子役アビゲイル・ブレスリン。【ストーリー】(ネタばれなし)ニューヨークの高級人気レストラン「ブリーカー22」で料理長を務めるケイトは完全主義者。仕事に対する情熱は人一倍。厨房では料理人たちを取り仕切り的確にアドバイスをして、目が回るような忙しさの中、正確に、完璧に、すべての料理を自らが満足するまで仕上げていく。そんなケイトでも苦手なことは、厨房の外に出てリピーターのお客様に愛想を振舞うことだ。女オーナーのポーラは料理を賞賛してくれるお客さんに対し挨拶をするように促すのだが、自分の自慢の料理を的外れな注文を付けたり出来上がった料理に文句を言う客には容赦しなかった。そんなある日ケイトはお客と大喧嘩をし、そんな彼女を見かねてポーラはカウンセリングを受け暫く休養を取るように命じた。仕事一筋で独身のケイトにある日、突然人生の転機が訪れる。姉が一人娘と一緒に車で面会に向っている最中に事故に遭遇し姉のリーアは9歳のゾーイを残して急死し、姪のゾーイを引き取ることになり彼女の高級アパートでの共同生活が始まった。姪のゾーイとの関係に悩むケイトは、彼女の為に自慢の高級料理を自宅で振舞うがゾーイは見向きもせず部屋に閉じこもりTVばっかり見てコミュニケーション不足に悩む。謹慎が明けて店の厨房に戻ったケイトは、店に着くなり真っ先にキッチンへと直行する。しかしそこから聴こえてきたのは何と大音量のクラシック音楽だった。ポーラはケイトが休んでいる間に、副料理長としてケイトの料理を尊敬していると豪語するニックをケイトに内緒で迎え入れる。緊張感のあるケイトの仕事場に、ニックは陽気に楽しく料理の腕を振るっていたのだった。ニックとケイトは度々メニュー開発や役割分担を巡って衝突する。ケイトはニックの存在が気になり益々神経質になるのだが、徐々に彼を受け入れるようになっていくのだった。中々関係が緊密にならず嘆いていたゾーイとの関係は、彼女を自分の厨房へと招待した。そこでゾーイとニックは意気投合し、それをきっかけにケイトとニックも徐々に打ち解けはじめる。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ケイトとニックはお互い厨房で関係が発展するのか?2.ニックは自分の夢のために、ある行動を起こそうと計画していたがそれは一体?3.ケイトとゾーイの関係に進展は?4.ゾーイに厨房を見せたことで彼女にもある変化が現れるがそれは?などを中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】キャサリン・ゼタ=ジョーンズとアーロン・エッカートという組み合わせに注目してみた。アーロン・エッカートはアメリカ人らしいキャラで、能天気でちょっとコミカルな演技を自然に見せるのが得意のようだ。ここでは物事をきちっと進行させないと気が済まないケイトと、クラシック音楽をBGMに料理をすることを「エンジョイ」するニックという正反対に近いキャラを二人は上手く演じていた。そこに芸達者な子役として「リトル・ミス・サンシャイン」で一躍脚光を浴びたアビゲイル・ブレスリンとの絡みも面白かった。彼女は、名子役としての「名声」を欲しいままにしているダコタ・ファニングとは異なったキャラだが見事な演技力である。この三人のキャラと演技力には高い評価を付けたいが、その反面、ストーリーは意外と平凡で終わりが読める展開であった。それでもこの終わり方って、やはり分かっていながらもどこかほのぼのとさせられる。ケイトは腕前は一流ながらも、常に気を張って生きてきて気が付いたら独身で周りには男が居ない職場で働いていた。そして、そこに自分とは全く異なる性格を持ったニックに徐々に惹かれていく。こういうタイプの女性って、この手の男に弱いのでしょうか...?【自己採点】(100点満点)72点。もう少しサイド・ストーリーがあっても良かった。←映画「幸せのレシピ」の話題も探せる!←西武ライオンズのことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.10.19
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70.プラネット・テラーinグラインドハウス■原題:Robert Rodriguez's Planet Terror■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:105分■鑑賞日:9月24日、みゆき座(日比谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・製作・脚本・音楽・撮影監督・編集:ロバート・ロドリゲス□製作:エリザベス・アヴェラン、クエンティン・タランティーノ□製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン□美術監督:スティーヴ・ジョイナー□編集:イーサン・マニキス□衣装デザイン:ニナ・プロクター□特殊メイクアップ:グレゴリー・ニコテロ、ハワード・バーガー□スタント・コーディネート:ジェフ・ダシュナーキャスト◆ローズ・マッゴーワン(チェリー・ダーリン)ゴーゴーダンサーで2週間前に別れた恋人のレイと再会する◆フレディ・ロドリゲス(エル・レイ)チェリーの元恋人で銃の名手で狙ったものは逃さない◆ブルース・ウィリス(マルドゥーン)軍隊の部隊長で密かに恐怖の生物科学兵器の取引をしていた◆ナヴィーン・アンドリュース(アビー)部隊科学者でマルドゥーンとある取引としていた◆ジョシュ・ブローリン(ブロック)医師であるが病院内で浮気し家庭内では妻ダコタとは不仲に◆マーリー・シェルトン(ダコタ)横暴な夫を捨ててレズ相手のタミーとある計画を立てる◆ステイシー・ファーガソン(タミー)ダコタのレズ相手◆マイケル・ビーン(ヘイグ保安官)保安官として危険な相手に立ち向かう◆ジェフ・フェイヒー(JT)ヘイグ保安官の兄で、一人でドライブインを切り盛りする。自慢のソース開発に余念がない【この映画について】ロバート・ロドリゲスが60~70年代に流行ったインディーズ系低予算映画=グラインドハウス映画(低予算で製作され、一日3本立てのスタイルで公開される映画のこと)の体験を再現すべく、盟友クエンティン・タランティーノ(デス・プルーフinグラインドハウス)と競作した企画『グラインドハウス』。そのタランティーノは映画内のどこかに出演しています。そのロドリゲスバージョンがこの作品だ。街を埋め尽くすゾンビに立ち向かう人々をエキサイティングに描いていく。冒頭、いきなりフェイク映画の予告編(これが結構傑作です?)で始まったり、ヒロインの武器が義足代わりに取り付けられたマシンガンだったりと、遊び心は満載。そんな面とは裏腹に、多彩なキャラクターや毒々しいクリーチャーなど、ゾンビ映画としての魅力もしっかりと持っている。B級ゾンビ映画ファンなら垂涎ものの作品と言えるだろう。ロドリゲス監督は低予算映画らしく、一人で何役もこなしている点にも注目してください。【ストーリー】(ネタばれなし)テキサスの田舎町。米軍部隊長のマルドゥーンと科学者のアビーは生物化学兵器の取引をしていた。しかし、予備の試薬を隠していることをマルドゥーンに知られたアビーは、実験装置を破壊。噴出したガスにより人々はゾンビ状態のシッコ(感染者)になっていった。ゴーゴーダンサーのチェリーは、出演していた店のマネージャーとギャラを巡って辞め途中立ち寄ったBBQ店で2週間前に別れた恋人のレイと偶然に再会した。彼女はレイの誘いに乗りドライブ中に、基地から来たシッコに片足を食いちぎられてしまい…。一方、女医のダコタは横暴な夫のブロック医師を捨ててレズ相手のタミーと逃げる計画を立てていたが。ダコタを迎えに行く途中、タミーが凶暴化したシッコの犠牲となってしまう。シッコたちの勢いはあっという間に拡大し町をパニックに陥れる。シッコに片足を食いちぎられたチェリーは、レイに失った片足にマシンガンを装着し体の一部としてシッコたちにレイと共に立ち向かう。ヘイグ保安官は兄が経営するBBQ店に有志を集めてシッコたちとの戦いに挑んでいく。ところがマルドゥーンに捕まえら基地の中に拘束される。マルドゥーンの狙いは一体...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.狙った獲物は「外さない」と豪語するレイがチェリーに命中させたものとは?2.シッコたちに果たして弱点はあるのか?3.ヘイグ保安官の兄JTの野望とは?4.マルドゥーンは何故アビーと接触したのかその意図の裏に隠された驚くべき事実とは。などを中心に映画館でご覧頂くか、DVD発売時にご覧下さい。【鑑賞後の感想】「グラインドハウス」と呼ばれるアメリカの低予算B級映画は、限られた予算によって監督が一人で幾つもの役割をこなすのも特徴。この映画でもロドリゲス監督は全部で6役をこなしている。中身の方は遊び心満載で冒頭から架空の映画の宣伝があったり、途中でのラヴシーンの最中に「テープが途切れました」と笑いを誘ったりとB級映画のエッセンスを遺憾なく取り込み他の映画にはない楽しさも提供している。ロドリゲス監督はこの映画を作る際に、数々のキャラを自ら創造したそうで、そうした遊び心がこの映画の面白さを支えているのは間違い無い。登場人物がそれぞれ異なった設定なのはそうした監督の意図が反映されている証拠だ。ストーリー的には「ゾンビ」の路線を踏襲しているが、単なるゾンビ映画にはならずに同性愛者の話やゴーゴーダンサーの話や兄弟愛の話を巧みに盛り込んでストーリーを進めていた。何と言っても笑ってしまうのは、レイがチェリーの失った脚に装着させた「マシンガン」。このマシンガンが彼女の肉体の一部になったことで、彼女の中の何かが弾けたかのように撃ちまくる。そしてレイが彼女の体の中に残した「あるもの」が、その後の彼女の生活を決定付けて行ったストーリー的な運びは分かりやすかった。タランティーノが製作に関わっているだけあって、映像と音楽の使い方がとても巧みだった。「グラインドハウス」という低予算映画らしい、怪しげな音楽や気分を昂揚させたりする役目を担っていた。映画の中の音楽を大事にしながらも本人が楽しんでいるようにも感じた。最後に、冒頭にフェイクの映画の予告編が流れるけどこれは面白かった。あれを本当の映画にしたらどうかな?【自己採点】(100点満点)75点。低予算映画(実際はどうだか知らないが)らしい娯楽性に満ちた内容で楽しめました。如何にも1970年代風のアメリカという香りが漂ってくるような気がしました。←映画「プラネット・テラーinグラインドハウス」の話題も探せる!←西武ライオンズのことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.10.08
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69.恋とスフレと娘とわたし■原題:Because I Said So■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:102分■鑑賞日:9月16日、シネスイッチ銀座(銀座)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:マイケル・レーマン□脚本・製作:ジェシー・ネルソン□脚本:カレン・リー・ホプキンス□製作:ポール・ブルックス□製作総指揮:マイケル・フリン、スコット・ニーマイヤー、ノーム・ウェイト□音楽:デヴィッド・キティ□編集:ポール・セイダー、トロイ・タカキ□衣装:シャイ・カンリフキャスト◆ダイアン・キートン(ダフネ)3人の娘の母で末っ子ミリーの縁談を纏めるのに必死だが...◆マンディ・ムーア(ミリー)ケータリング会社のシェフとして忙しい日々を送るが独身なのが母には心配の種◆ローレン・グレアム(マギー)三姉妹の長女で精神科医をするしっかり者◆パイパー・ぺラーボ(メイ)三姉妹のセクシーな次女◆トム・エベレット・スコット(ジェイソン)母が気に入ったエリート建築家でミリーに紹介しようと画策する◆ガブリエル・マクト(ジョニー)ギターの弾き語りが仕事で、ダフネがミリーの相手を探していることを知り立候補する◆スティーヴン・コリンズ(ジョー)ジョニーの父でひょんなことからダフネと良い仲に...?◆タイ・パニッツ(ライオネル)ジョニーの腕白一人息子【この映画について】いくつになってもキュートなダイアン・キートンの魅力あふれるラブ・コメディ。「自分のように寂しい人生を歩ませたくない」と心配するあまり、娘に内緒でネットを駆使して結婚相手探し面接まで始めた母親。そんな母の差し金とは知らず、突然目の前に現れた2人の男性に、娘ミリーは惹かれていく。気楽に楽しめる作品だが、ダフネがパティシエ、ミリーがケータリング会社を経営している設定なので、次々と登場する個性的なケーキと、母と三姉妹のファッションも大きな魅力。特にダイアンの誰にもマネできないファッションセンスは、一見の価値アリ。【ストーリー】(ネタばれなし)若い頃に夫を亡くし、女手ひとつで3人の娘を育ててきたダフネはロスでスウィーツ・ショップを経営する腕の良いパティシエで近所の評判も上場だ。母と三姉妹は親友のように仲が良く、連れ立って出かけることもしばしばだ。精神科医でしっかり者の長女マギー、セクシーな次女メイの二人は既婚者だが、天真爛漫な三女ミリーの存在がダフネ唯一の心配の種で、いまだ結婚の決まっていない。ミリーは母から料理の才能を受け継ぎケータリング会社のシェフとして大忙しの日々を過ごしているが、出会いのチャンスを生かせずボーイフレンドが出来ないで母を悩ましている。おっちょこちょいで、これまでダメ男にばかり引っ掛かってきたミリーを心配するあまり、ダフネは自分で相手を探すことを決心。本人に内緒でWEBサイトに花婿募集の広告を出し、応募してきた男たちを片っ端から面接するが…。しかし集まってきた男はどれも奇人変人ばかりで条件に見合う男は誰一人いなかったと思われた。諦め掛けていた時、ダフネは理想的な青年が現れたことで早速「偶然の出会い」をセッティングすることに。彼ジェイソンは建築家で仕事に追われている間に恋人を見つけ損なったと言う。ダフネとジェイソンとのやり取りを面接場所でギターの弾き語りをしているジョニーが目撃して、休憩時間を利用しテーブルに来て自分もメンバーに入れて欲しいと話す。しかし、その時ダフネはジョニーの何かに気が付いて呆気なく断る。ダフネの画策とも知らずに、ミリーは自分の仕事でジェイソンが設計したビルのオープニング・パーティーで彼から声を掛けられ有頂天になる。そのことを嬉しそうに連絡してきたミリーの様子を知って胸を撫で下ろすダフネ。一方でダフネにあえなく断られたジョニーもミリーとデートの約束を交わしていたことが発覚する。ところがジョニーはバツで子持ちであることが判明し、ダフネには頭痛の種が増える。娘の出会いにばかり夢中になっていたダフネにも、ひょんなことからジョニーの父と出会いときめきを感じるようになり...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.母ダフネはジョニーの何に気が付いてあえなく断ったのか?2.断られたジョニーは如何にしてミリーとのデートの約束を取り付けたのか?3.ジェイソンとジョニー、一体ミリーはどちらの男性に心が傾くのか?4.ジョニーの父とダフネが知り合うきっかけとなった偶然の出来事とは?5.ミリーとダフネ。二人の女性が選択した「運命の相手」とは誰?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】若いときに夫を亡くした母が、三人姉妹と仲良く過ごしながらも末っ子が何時まで経っても独身でいることを本人以上に悩む姿は愉快だった。本人の知らないところでお節介を焼いて、ネットに広告を掲載し自らが相手を面接するとはバイタリティー溢れる?母親で微笑ましくさえある。そんなことを母が画策しているとは知らず、本人はデート相手が二人も出来たと喜ぶあたりは能天気娘全開である。そのお節介な母親役をダイアン・キートンが生き生きと演じていて「はまり役」だと思った。末っ子ミリーを演じるマンディ・ムーアも、如何にも現代風の若い娘で色気の足りない明るく能天気な役を見事に?演じていた。そしてこの映画の見所はそうした二人の演技もそうだが、おいしそうなスウィーツ類やケータリング会社のシェフの設定なので美味しそうな料理がこれでもかと画面いっぱいに広がる点だ。このスウィーツ類を提供しているのが「Cake Divas」というロスのセレブ御用達のデザート・カンパニーだ。見ているだけでも美味しそうで映画の中の良いアクセントになっている。また、女性にはダイアン・キートンを始めとする女優さんたちの美しい衣装にも目を奪われるだろう。余談ながら原題は字幕では「私の言うとおりにしなさい」と訳されていましたが、どちらかと言えば「だから私が言ったじゃない!」という意味です。でも邦題は...何でそうなるの?【自己採点】(100点満点)79点。色鮮やかなケーキやファッションが素敵だった。←映画「恋とスフレと娘とわたし」の話題も探せる!←西武ライオンズのことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.10.04
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68.ミス・ポター■原題:Miss Potter■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:93分■鑑賞日:9月15日、新宿グランドオデヲン座(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:クリス・ヌーナン□製作:マイク・メダヴォイ、デヴィッド・カーシュナー、コーリー・シニーガ、アーノルド・メッサー、デヴィッド・スウェイツ□製作総指揮:レニー・ゼルウィガー、ナイジェル・ウール、ルイ・フィリップ、スティーヴ・クリスチャン□脚本:リチャード・モルトビ-・Jr.□音楽スーパーヴァイザー:ヴィクトリア・ウィリアム□編集:ロビン・セールス□撮影監督:アンドリュー・ダン□衣装デザイン:アンソニー・パウエル□美術監督:マーティン・チャイルズ□メイキャップ&ヘア・デザイン:リサ・ウェストコット□時代考証:ジェニー・ユグロウキャスト◆レニー・ゼルウィガー(ビアトリクス・ポター)上流階級出身の絵本作家◆ルパート・ポター(ビル・パターソン)ビアトリクスの父で裕福な法廷弁護士◆バーバラ・フリン(ヘレン・ポター)ビアトリクスの母で裕福な一家であることに誇りを持つ◆マテロック・ギブス(ミス・ウィギン)ポター家の世話を長年する老女◆ユアン・マクレガー(ノーマン・ウォーン)二人の兄と共に経営する出版社で働く末っ子◆エミリー・ワトソン(ミリー・ウォーン)ノーマンの姉でビアトリクスと意気投合し親友に◆ロイド・オーウェン(ウィリアム・ヒーリス)ビアトリクスの幼馴染で弁護士。彼女に農場の購入を世話する【この映画について】ピーター・ラビットの作者として世界的に知られ日本でも有名なビアトリクス・ポターの人生を描く。イギリスの上流階級の女性が職業を持てなかった時代に、絵本作家としての道を自ら切り開いた進歩的なポターを『コールド・マウンテン』でアカデミ-賞に輝いたレニー・ゼルウィガーが楽しげに生き生きと演じている。彼女の恋人役には「スター・ウォーズ・1~3」でのオビ=ワン・ケノービ役で有名なユワン・マクレガーが演じている。実際のポターは、晩年、湖水地方の保護活動に携わるまでは、孤独な人生であったと伝える伝記が多い。しかし、本作では家族とのかかわりを中心に温かくて愛らしい作品に仕上がっている。湖水地方の美しい風景をバックに、そして要所要所でピーター・ラビットのキャラクターをアニメーションとして導入するなど遊び心も楽しさも一杯の作品。【ストーリー】(ネタばれなし)ヴィクトリア朝の封建的な空気が残る1902年のロンドン。上流階級の家庭に育ったビアトリクスは女性が仕事をもつことなど有り得なかった時代に、子供の頃からの夢であった絵本を出版しようとしていていた。父のルパートは裕福な法廷弁護士で何の不自由もなく生活し、母のヘレンは良家の子息との結婚を斡旋してきたがビアトリクスはことごとく断ってきた。彼女が考えた主人公は、青い上着を着た愛らしいうさぎ、ピーターラビットだった。今日もスケッチブックを抱えて出版社巡りをしていたが、ウォーン兄弟が経営するウォーン社持ち込んだことで彼女の運命は切り開かれた。兄弟の末っ子で新人編集者のノーマンはビアトリクスの絵に魅了され、退屈だった母のお守りから解放されて彼女の絵の売り出しに夢中になった。ノーマンは彼女を自宅に招き母に紹介し、同居している姉ミリーと意気投合し二人は親友となっていく。二人で制作した絵本はたちまちイギリス中に知られるようになり、絵本はシリーズ化されあっという間にベストセラーとなっていった。いつしか愛し合うようになる二人だったが、ビアトリクスは両親にX'mas会に招きたいと申し出た。母は商人を招くのは許さないと渋り、芸術に理解がある父の許しを得てノーマンを招くことに成功した。そしてダンスの合間にビアトリクスの部屋で二人になったとき、ノーマンはプロポーズするが...邪魔が入る。ミリーにも相談して上で、彼女は「YES」と別れ際のノーマンの耳元で囁いた。しかし母は結婚を「身分違い」だと激怒するが、ビアトリクスもポター家もかつては商人で成り上がったと主張し譲らない。この母娘の関係を憂慮した父は、ある一つの提案をしたのだった。それは夏の別邸がある湖水地方で過ごすことだったが、そこには別の意味があったのだが...。ポター家が湖水地方へと出発する日、駅のホームにはノーマンの姿があり二人の気持ちは一歩近づいたと思われたのだが。ノーマンとビアトリクスは毎日の様に手紙で近況を伝えていたのが、彼からの便りが突然途絶え始めた。一体何が?そしてミリーから衝撃的な内容の手紙を受け取り、直ちにロンドンへと引き返したが...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ノーマンがプロポースしているときに入った邪魔とは?2.父ルパートはビアトリクスへ何を提案したのか?3.ノーマンからの手紙が急に途絶えた理由とは?4.ミリーからの手紙には何が書かれていたのか?5.ロンドンに戻ってからのビアトリクスに待っていたのは?6.ビアトリクスが愛した湖水地方と彼女のこれからの人生の関わりとは?などを中心に湖水地方の美しい風景と共に是非映画館で鑑賞してください。【鑑賞後の感想】アカデミー賞授賞歴のあるレニー・ゼルウィガーが演じるビアトリクス・ポターの映画だが、ストーリー的には彼女が上流家庭に生まれながらも当時の女性には珍しく自立を目指した点が強調されていた。ビアトリクス・ポターについてはピーターラビットの物語は有名だが、実のところ彼女の人生については余り知らなかった。それがここでは彼女が強い意志を持って、保守的な人生を歩ませようとレールを敷く両親に反対しながら自分の道を切り開いた彼女の意志の強さには驚いた。この映画ではそうした時代背景と階級社会が色濃い当時のイギリス社会を描いている。しかし、この映画での最大の見所は湖水地方の美しい映像だ。私は今から15年前に湖水地方を訪れて、ビアトリクス・ポターゆかりの地を巡ったのでその光景をみて懐かしく思った。【自己採点】(100点満点)72点。ストーリー的には平凡だったが、湖水地方の美しい風景とピーターラビットの愛らしい姿が挿入されていたりした部分で点数を稼いだ。←映画「ミス・ポター」の話題も探せる!←西武ライオンズのことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.09.30
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66.ウィッカーマン■原題:The Wickerman■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:101分■鑑賞日:9月2日、新宿グランドオデヲン座(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・脚本:二ール・ラビュート□製作:ニコラス・ケイジ、ノーム・ゴライトリー、アヴィ・ラーナー、ランダル・エメット、ジョン・トンプソン、ボアズ・デヴィッドソン□オリジナル脚本:アンソニー・シェイファー□音楽:アンジェロ・バダラメンディ□編集:ジョエル・ブロッチ□撮影監督:ポール・サロッシー□衣装デザイン:ライネット・メイヤーキャスト◆ニコラス・ケイジ(エドワード・メイラス)カリフォルニア州の白バイ警官でふとした隙に事件に巻き込まれる◆エレン・バースティン(シスター・サマーズアイル)閉鎖的なサマーズアイル島で絶対的な権威を誇る◆ケイト・ビーハン(シスター・ウィロー)元恋人のエドワードにある事件の解決を突如依頼してくる◆モリー・パーカー(シスター・ローズ)島内唯一の学校の教師◆リリー・ソビエスキー(シスター・ハニー)島内の宿泊施設で働きエドワードに一緒に島外へ連れ出してと誘惑する◆ダイアン・デラーノ(シスター・ビーチ)エドワードの謎めいたことを告げる◆マシュー・ウォーカー(パイロット)島と本土を結ぶ唯一の軽飛行機の操縦士だったが...【この映画について】1973年に製作された同名のイギリス映画を元に作り上げられた、ショッキングなサスペンス・スリラー。外の世界と隔絶された謎めいた島で失踪した娘を追う警察官の姿を、どこか現実感の薄い映像で描いていく。舞台となるのは閉ざされた島・サマーズアイル。徹底した女尊男卑文化が広がるその島で繰り広げられる物語は、女性のしたたかさを空恐ろしい感覚とともに紡ぎ出す。主演のニコラス・ケイジは、主人公のメイラスを人間味あふれるキャラクターとして表現。一方で、彼の元恋人役を演じるケイト・ビーハンもしたたかな女を演じている。物語の終盤でメイラスの身に起こる出来事に対して、強烈なインパクトを与える。【ストーリー】(ネタばれなし)カリフォルニア州の白バイ警官メイラスは、親娘の乗る車が事故で炎上する姿を目の当たりにして以来、精神的なダメージを負っていた。事故はメイラスが交通違反容疑で母親を尋問中、娘が路上に投げた人形を拾って渡す一瞬の間に大型トレーラー車が激突した。一瞬にして火の海と化した車から何とか少女を助けようとするが、現場からは奇妙なことに母娘の死体は発見されなかった。そんな彼にある日、8年前に失踪した婚約者ウィローから手紙が届く。メイラスとの間に出来た娘のローワンが行方不明になっており、助けてほしいという。今でもウィローを想うメイラスは同僚の反対を押し切り、一路ウィローの住むワシントン州の島サマーズアイルへと向かった。そこは本土からは隔絶された小島でシスター・サマーズアイルの私有地に集団生活を営んでいて交通手段は、生活必需品を運搬する小型飛行機だけだ。メイラスはその小型飛行機の操縦士が渋る中を懇願し同乗させてもらい島に上陸した。上陸後、島民にウィローとローワンの顔写真を見せるが島民の反応はどれも鈍く視線も冷たかった。何とか島内唯一の宿泊施設に辿りついてウィローと8年ぶりの対面を果たした。ウィローとメイラスは島民の視線から避けるように会い、彼の元を突然去った理由を告げメイラスに初めてローワンが二人の間の子供であることを知った。島内で早速捜査を開始するメイラスは、まず、学校の教師であるシスター・ローズのもとを訪れる。そこで生徒たちの前でローワンの行方を尋ねるがシスター・ローズも生徒たちも、全てがローワンの存在すら否定する。不審に思ったメイラスは強制的に出席簿を奪い、そこでローワンの名前を発見するが...。ローワンは事故死したとローズに告げられたが、メイラスは納得せず引き上げていったが途中でミツバチの大群に襲われシスター・サマーズアイルの館で治療を受けた。そこで、彼はシスター・サマーズアイルからこの島の歴史を自分たちの生活についてを語ったのだった。そしてここではそのシスター・サマーズアイルを頂点に、すべて女性が実験を握りごく少数の男性は女性らの監視の下で労働に就き一部は「種馬」として子供を作る目的だけで「性行為」を行い一切の恋愛はこの島では存在しない。そんな閉鎖的な考えを激しくなじるメイラスだった。捜査が行き詰ってきたメイラスは、シスター・ローズが告げた教会跡地の地下室に向かったのだったが...。そして、島では最大のイベントである「収穫祭」の準備が着々と進んでいたのだったが。そこではとんでもない恐るべき計画が進行していた。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ウィローは何故8年間も音信不通だったのに急にメイラスに連絡しようとしたのか。その意図は?2.メイラスのウィローへの思いはどんなものだったのか?3.ローワンは何故ある日忽然と狭い島の中で姿を消してしまったのか?4.ウィローは果たしてメイラスにローワン失踪に関わる出来事を全て話したのか?5.メイラスが地下室で見たものとは?6.収穫祭での最大の見せ場とは果たして何か?などを中心に是非映画館でご覧ください。【鑑賞後の感想】本土から隔絶された小島で、宗教的とも思えるような自給生活を営む女集団。そこに、労役と種馬としての役割しか与えられない小数の男たち。そこに、8年ぶりに交際が復活してメイラス演じるニコラス・ケイジ。彼は警察官として不思議な事件に遭遇したことが何時までも忘れられない。そして、8年ぶりに手紙を送ってきたかつての恋人のことも「忘れられない」。そんな男の気持ちを密かに弄ぶように、綿密な計画を練ってメイラスを島に呼び出した。メイラスは純粋にウィローと会うことを楽しみにしていたと同時に、警察官として管轄外ながらも捜査を出来る喜びも密かに感じていた。しかし当初はローワンの失踪を捜査していたメイラスが、徐々に島民らが自分に視線が向いているのを微妙に感じ取っていく。そして、島民らの不審な行動を暴こうと捜査の手を広げるのだが、ラストには驚愕の事実が彼を悩ませ自らがその事実を受け入れられないでいる間に危害が及んできた。そして、恋人のウィローとシスター・サマーズアイルとの関係を知ったときには既に遅かった。こうした徐々に彼が逆に追い詰められていくストーリーなのだが、この映画では女性の冷酷さと執念深さが一人の男性の純粋な気持ちを利用した。ストーリー的にはメイラスがオープニングで遭遇した不思議な事件が、どこで繋がるのか興味深く観ていたのだが..この映画はリメイクだが、冒頭の不思議な出来事の背景がむしろ気になってしまった。ニコラス・ケイジのこの役も決してはまっていたとは思えないし、彼の個性の発揮ももう一つと消化不良のまま終わってしまったような印象を持った。【自己採点】(100点満点)68点。ストーリーに芯が無かった。←映画「ウィッカーマン」の話題も探せる!←西武ライオンズのことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.09.19
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62.トランスフォーマー■原題:Transformers■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:145分■鑑賞日:8月22日、スカラ(吉祥寺)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・製作総指揮:マイケル・ベイ□脚本:ロベルト・オーチー、アレックス・カーツマン□製作:ドン・マーフィ、トム・デサント、ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、イアン・ブライス□製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、ブライアン・ゴールドナー、マーク・ヴァーラディアン□音楽:スティーヴ・ジャブロンスキー□編集:ポール・ルベル、グレン・スキャントルベリー、トーマス・A・マルドーン□衣装デザイナー:デボラ・L・スコットキャスト◆シャイア・ラブーフ(サム・ウィトウィッキー)学生だが祖父が北極探検で偶然遭遇したことからとんでもない事態に巻き込まれ...◆ミーガン・フォックス(ミカエラ・ベインズ)サムが学校で密かに心を寄せるがライバルは多く◆ジョシュ・デュアメル(レノックス陸軍大尉)トランスフォーマー撃退に向かう◆レイチェル・テイラー(マギー・マドセン)FBIでコンピューターのデータを解析するために乗り込む◆ジョン・ヴォイト(ジョン・ケラー国防長官)未知の相手であるトランスフォーマー撃退の総責任者◆ジョン・タトゥーロ(シモンズ捜査官)トランスフォーマーを追う捜査官【この映画について】アメリカはもちろん、日本でも多くの子どもたちが夢中になった「トランスフォーマー」が、満を持して製作総指揮を「ハリウッド映画界最大のヒットメイカー」スティーブン・スピルバーグ、監督に『アルマゲドン』などのマイケル・ベイ、VFXはILMを中心に数百人単位のスタッフが参加するという豪華な布陣で製作された。CG全盛のハリウッド映画界で本作もトランスフォーマーの動きなどにCGが大活躍しているが、従来のCGとは異なる迫力や動きにも注目したい。主演のシャイア・ラブーフは次代のハリウッドスターと目される逸材。ときにコミカルな笑いを、ときにアクションの緊張感を与えてくれる彼の演技で、作品は一層魅力的なものとなった。【ストーリー】(ネタばれなし)高校生のサムは探検家の祖先をもち、学校のクラスの発表会で祖父の輝かしい経歴を記念の品を持参し誇らしげに説明していた。そのときの祖父のめがねをサムは車購入資金に充てるためにネットオークションに出品するが、このサムの行為がとんでもない事態を引き起こすとは誰も想像していなかった。サムの祖父は1897年、北極を探検していた際にクレバスに転落した。そこで祖父が目撃したのは人類が遭遇したことのない未知の出来事だった。そのとき祖父が落下させてひび割れしためがねをサムがオークションに出品していたのだった。サムはやっとのことでオンボロのスポーツカーを手に入れたものの、同じ高校のミカエラを家に送る途中に車はエンスト。ミカエラは美人で男子生徒の間でも人気があり、せっかくの関係を深めるチャンスもどこかしまらない。その日の夜、彼のスポーツカーが突然家から走り去った。自動車泥棒だと思い必死で追いかけるサム。その先で彼は常識を疑うような光景を目にする。それは、巨大なロボットが歩き回る姿だった…。その頃、中東のカタールの米軍基地のレーダーに捉えられた飛行物体に対しスクランブル(緊急発進)をかけたが謎の飛行物体に撃墜される。更に、謎の飛行物体は基地を攻撃し壊滅状態に陥り、司令官は咄嗟に機密情報を保護することに必死になった。辛うじて生き延びた隊員らが本国に緊急事態を連絡した。連絡を受けて国防総省ではコンピューターシステムがハッキングされていることに気づき、緊急にハッカーらを集めてハッキング防止に躍起になる。しかし、侵入者は過去に例がないスピードで情報を盗み対策も追いつかない。彼らの目的は一体...カタールでの事件とサムのスポーツカーが無人で爆走した事件との関連は一体どうなっているのか、この時は理解できないのだった。そして、遂にケラー国防大臣が国の危機に立ち上がる。姿を瞬時に何でも変えることが出来るトランスフォーマーと国防総省の戦いが始まった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.サムの祖父のめがねに隠された驚愕の事実とは?2.カタールを襲った謎の物体の正体とは?3.国防総省のシステムに侵入してきたものの正体とカタールでの出来事との関係は?4.サムが目撃した巨大なロボットとは?5.政府が極秘にしてきたトランスフォーマーと技術革新との関係は?などを中心に是非映画館でご覧ください。【鑑賞後の感想】映画の着想の元となった玩具は日本製とのことで、映画内にも「日本酒を飲むシーン」「相撲をとるシーン」などが観られた。マイケル・ベイ監督とスティーヴン・スピルバーグの二人がタッグを組んだと言うことで、話のスケールがどうなるかに注目していた。確かに冒頭にサムが祖父の業績を誇らしげに自慢するシーンが、この物語の全てのスタートでありその後に繋がってくる。トランスフォーマーの正体が徐々に露になってきて、彼らがどういう経緯で地球に来たのかも分かってくる。その経緯についてはサムの祖父とも関係があるのだが、もう少し詳しく描いてもらいたかった気もする。この映画での最大の特徴はやはりトランスフォーマーがあらゆる物体や人物に変身するシーン。ある時は車、戦闘機、人間と自由自在に変身するシーンをCGで表現しているが、この変身シーンのCGは他のどの映画のCGよりも素晴らしかった。個人的にはCGを多用する映画は好きではないが、トランスフォーマーの変身はCG無くしてあり得ないが見事な変身振りだ。この映画では人類のめざましい技術革新がトランスフォーマーによってもたらされたとの仮説を説いているが、この辺の飛躍した話題づくりは良かっただけにその辺のストーリーをもっと膨らませればもっと面白くみれただろう。【自己採点】(100点満点)74点。CGは見事だったが、ストーリー的にはもっとひねりが欲しかった。←映画「トランスフォーマー」の話題も探せる!←西武ライオンズのことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.08.31
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61.オーシャンズ13■原題:Ocean's Thirteen■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:122分■鑑賞日:8月18日、セントラル(吉祥寺)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:スティーヴン・ソダーバーグ□脚本:ブライアン・コッペルマン、デイヴィッド・レビーン□製作:ジェリー・ワイントローブ□製作総指揮:スーザン・イーキンズ、グレゴリー・ジェイコブス、フレデリック・W・ブロスト□美術:フィリップ・メシーナ□音楽:デイヴィッド・ホルムズ□編集:スティーヴン・ミリオン□衣装:ルイーズ・フログリーキャスト◆ジョージ・クルーニー(ダニー・オーシャン)自ら率いる「オーシャンズ」のリーダーで犯罪アイデアの計画に優れている◆ブラッド・ピット(ラスティー・ライアン)ダニーの右腕で彼のアイデアを形にする一方で変装が得意◆マット・デイモン(ライナス・コールドウェル)両親は詐欺師で自身は一流の腕前を持つスリ◆ドン・チードル(バシャー・ター)爆破とメカの天才で巨大ドリルを用意してカジノ内に潜入する◆バーニー・マック(フランク・カットン)プロのディーラーだが従業員として潜入する◆ケイシー・アフレック(ヴァージル・マロイ)ホテルのダイスを製造するメキシコの工場に潜入する◆スコット・カーン(ターク・マロイ)ヴァージルとは双子で、ヴァージルの様子を見にメキシコの工場へ向かう◆アンディ・ガルシア(テリー・べネディクト)ダニーとは因縁があるが共通の敵ウィリー・バンクの鼻を明かすために組む◆アル・パチーノ(ウィリー・バンク)世界のホテル王でラスベガスにも進出してきた。強引な手法で敵も多い。◆エリオット・グールド(ルーベン・ティシュコフ)バンクに騙されてオーシャンズと組むことに◆エレン・バーキン(アビゲイル・スポンダー)バンクの右腕で実務を取り仕切るが色男の誘惑に負けて...【この映画について】ハリウッド映画界のスーパースターによる“犯罪ドリームチーム”が3度目の結成!ジョージ・クルーニー扮するダニー・オーシャン率いる強盗チームが、友情と復讐のために強盗計画を実行していく姿を描く。ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモンら“オーシャンズ”のメンバーはもちろん全員登場。さらに前2作の敵役、アンディ・ガルシア演じるベネディクトが仲間となったり、名優アル・パチーノが憎たらしい悪役を演じたりと、オーシャンズ以外のメンバーも豪華だ。当然“復讐”計画も過去最大で、想像を絶する大仕掛けにメンバーが挑んでいく。アナログな仕掛けや「最新兵器」を使った仕掛けありとこちらも楽しめる。コミカルなシーンも多数あり、笑いとともに楽しめる一級の犯罪娯楽作品に仕上がっている。【ストーリー】(ネタばれなし)“オーシャンズ”のメンバーの1人、ルーベンが心筋梗塞で倒れた。原因は世界的なホテル王ウィリー・バンクの裏切り。世界を股にかけるホテル王バンクと組んでベガスで巨大ホテル開業が軌道に乗っていた矢先、ルーベンはバンクの裏切りによってホテルを乗っ取られる。だまされ、切り捨てられたショックで心筋梗塞を煩い病に伏せたのだ。ルーベンの病床にかけつけたオーシャンやラスティーたちは、仇をとるべく「リヴェンジ」へ向けて行動を開始。狙う先は、バンクが新たにラスベガスに建設するカジノホテルだ。最新鋭のセキュリティ「グレコ」に守られたこの場所で、バンクの全てを奪うための戦いが開始された…!!ラスティーはバンクの信頼が厚い辣腕女性秘書アビゲイルが独身なのに目をつけて近づくことに成功する。そして、大胆にもオーシャンズにとってもかつての宿敵であったべネディクトに接近する。べネディクトもバンクの巨大ホテル進出で自分のホテルが受ける影響に頭を悩ませており、共通の敵である「バンク」の鼻を明かすために組むことになった。メンバーはべネディクトと組んで様々な作戦を立案し、次々とメンバーらが「グレコ」突破を目指している。バシャーはホテルの地下で振動を起こしシステムを一時停止に追い込むために巨大な掘削機を購入し掘り続ける。ラスティーは秘書に近づき館内の秘密を探ってゆく。ヴァージルはカジノで利用するダイスの製造工場に従業員として潜入する。フランクは従業員としてホテルに潜入しカジノをつぶさにチェックする。こうして着々とオーシャンズのメンバーらは開業前のホテルに潜入し外堀を埋め、バンクへの復讐計画は進んでいったのだが...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.オーシャンズの連中の復讐劇はほころびなく進むのか?2.オーシャンズと組んだべネディクトの野心とは?3.オーシャンズとべネディクトとの過去の関係とは?4.果たしてオーシャンズはバンクのホテルに潜入して何を狙っているのか?などを中心に是非映画館でご覧ください。【鑑賞後の感想】豪華キャストによるこの映画も今回が三作目となったが、当初は1作限りに企画だと思っていただけにジョージ・クルーニーとソダバーグ監督はこの作品を気に入っているのだろうか?基本的にオーシャンズの主要メンバーは変わらずで、作品ごとに相手役が変わるようなスタイルで今回は名優アル・パチーノがホテル王として登場する。アル・パチーノの存在感は流石だが、やはりオーシャンズのメンバーたちの「活躍」がメインなのでパチーノの登場シーンは意外と少なかったのは少し残念でした。今回はドン・チードルが巨大掘削機で地下にもぐったり、ダイス工場に仕掛けを施すために潜入したりとマンネリ化しないストーリー上の工夫もされている。ブラピは独身のバンクの右腕をマンマト色仕掛け?で虜にしてしまうなど、メンバーの個性をたくみに脚本にしていて楽しめた。マット・デイモンはこのメンバーではどうしても目立ちにくいのが難点だが、それだけこのメンバーが豪華だっていう証拠でもある。しかしこれ以上メンバーを豪華にしてしまうとメンバーの顔ぶれに注目が移行してしまうので、これからは相手役の人選がかぎになって来るでしょう。最後に、元横綱の「曙」がグランドオープン前のイベントで相撲を取っていたシーンに登場していましたが気が付いた方はどれだけいたかな?【自己採点】(100点満点)77点。前作がイマイチだっただけに、舞台がラスベガスという華やかな場所に持ってきたのは正解だった。←映画「オーシャンズ13」の話題も探せる!←西武ライオンズやプロ野球のことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.08.29
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60.リトル・チルドレン■原題:Little Children■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:137分■鑑賞日:8月12日、ル・シネマ(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・脚本・製作:トッド・フィールド□原作・脚本:トム・ペロッタ□製作:アルバート・バーガー、ロン・イェルザ□製作総指揮:パトリック・パーマー、トビー・エメリッヒ、ケント・オルターマン□撮影監督:アントニオ・カルヴァッシュ□美術:デイヴィッド・グロップマン□音楽:トーマス・ニューマン□編集:レオ・トロンベッタ□衣装:メリッサ・エコノミーキャスト◆ケイト・ウィンスレット(サラ・ピアース)離婚歴のある夫リチャードと暮らすがどこか満たされない◆グレッグ・エデルマン(リチャード・ピアース)妻サラと母の残した邸宅に住む◆パトリック・ウィルソン(ブラッド・アダムソン)3度目の司法試験受験を控えているが...◆ジェニファー・コネリー(キャシー・アダムソン)TV関係の仕事をするキャリア・ウーマンでブラッドを支える◆ノア・エメリッヒ(ラリー・ヘッジス)ブラッドのかつての友人である事件をきっかけに警官を辞める◆ジャッキー・アール・ヘイリー(ロニー・マゴーヴィー)未成年への性犯罪者で服役していたが出所して家に戻ってきた◆フィリス・サマーヴィル(メイ・マコーヴィー)ロニーの母でロニーの唯一の理解者◆ジェーン・アダムズ(シーラ)ロニーの母の薦めでデートの相手となったが...【この映画について】アカデミー賞の主演女優賞(ケイト・ウィンスレット)・助演男優賞(ジャッキー・アール・ヘイリー)・脚色賞の3部門にノミネートされた感動ヒューマン・ドラマ。アメリカの典型的な郊外住宅地に住む“大人になりきれない大人たち”の日常を描き出す。彼らは経済的には何不自由なく、愛すべき家族もいるのに、自分の幸せに気付かずどこか満たされない空虚な日々を送っている。性犯罪者が刑期を終えて出所し町に戻ってくるが、味方は唯一の肉親である年老いた母だけ。そんな彼を周りは異端児のように扱い誰一人近づこうとしない。そうした閉ざされたこころを持った「大人になりきれない大人たち」自身にも、満たされない生活を送る日々に疲れている。現代的なテーマを、郊外住宅街の住人たちという設定でトッド・フィールド監督は見事な脚本で魅せてくれる。【ストーリー】(ネタばれなし)ボストン郊外の街ウッドワード・コートに住む主婦サラは、いつも娘を遊ばせに来る公園での主婦付き合いに飽き飽きしていた。そんなある日、司法試験勉強中の“主夫”ブラッドが息子と公園にやってくる。互いの存在に興味を抱いた2人は、子供をダシにして市民プールで毎日会うようになる。一方ブラッドの妻キャシーはTVドキュメンタリー映像作家で、息子アーロンと司法試験勉強中の夫を養っているがブラッドとは夜の営みの回数は減り気味だ。ブラッドは疎遠だった友人ラリーに声をかけられる。学生時代にアメフトの選手だったブラッドは、ラリーの半ば強引な勧誘で地元の夜間チームに加入する。誘ったラリーは地元で警察官だったが、ある事件の対応を巡り辞職に追い込まれた。そのラリーは自ら「子供を守る親の会」を立ち上げ熱心にしかし賛同者のいない活動に力を入れている。そんな中、子供への性犯罪で服役していたロニーが釈放され、街に帰ってくる。ブラッドの友人で元警官のラリーはこれに過敏に反応、ロニーと老母への執拗な嫌がらせを開始するが度を越したことで住民からの反発も買い孤立する。サラは夫リチャードがネットのアダルトサイトにはまり、自室で自慰行為に耽っている現場を偶然目撃しショックを受ける。その反動でサラは通販で真っ赤な水着を購入しプールへと出かける。そんなプールにロニーがふらりとやってきて、彼の存在に気が付いてプールはパニックに陥る。ロニーの抗議もむなしく彼は駆けつけた警官に抱えられ帰るのだが、その後、夕立にあった二人は体を乾かす目的でサラの自宅へと向かう。そして、お互いの夫婦生(性)活に不満を抱いていた二人は一線を越えて体をむさぼり合う。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ロニーは一体何の目的でプールに来て、何をしていたのか?2.ロニーは母親の勧めで新聞に広告を出して女性とデートに漕ぎ着けるが、果たしてデートは成功するか?3.ロニーの母に執拗に嫌がらせをするラリーに対し、遂にキレた母が彼に取った行動とは?4.ブラッドは果たして司法試験に通るのか?それとも...5.ブラッドとサラは一線を越えて秘密の情事を繰り返すが、果たして家族には隠せ通せるか?などを中心に公開館は少ないですが是非映画館でご覧ください。【鑑賞後の感想】この映画では一人の性犯罪者の出所が大きな注目を浴びる。性犯罪者へのアレルギーは日本とは比べものにならないほど強いアメリカでは、その氏名公開までされるなど監視体制は徹底されている(「消えた天使」はそれが主題)。一人の男が巻き起こす騒動と、一見すると上手く行っているように見える夫婦関係も実は心身ともに悩みを抱えている。職場のパソコンで偶然にみてしまったエッチサイトにはまる夫、司法試験受験という目的がありながら満たされない心身の隙間を「不倫」と言う形で埋める。いかにも現代的な悩みを抱える大人たちだが、そこには自分の心をコントロール出来ない体は大人になっても「心は子供のまま」成長した姿を描いているようだ。公園での退屈な主婦の会話、プールでの密会などアメリカでの生活の様子も垣間見ると日本と大差はないようだ。しかし、性犯罪者へ対して過剰反応する住民が存在する点をことさら強調しているが日本でもこういう人物がでてくると新たな摩擦が生じそうで怖い思いをした。【自己採点】(100点満点)83点。大人になりきれない人たちの心理描写が良かった。←映画「リトル・チルドレン」の話題も探せる!←西武ライオンズやプロ野球のことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.08.23
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59.プロヴァンスの贈りもの■原題:A Good Year■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:118分■鑑賞日:8月11日、新宿ガーデンシネマ(新宿3丁目)■公式HP:こここをクリックしてください□監督・製作:リドリー・スコット□原作:ピーター・メイル□脚本:マーク・クライン□撮影監督:フィリップ・ル・スール□美術:ソーニャ・クラウス□音楽:マーク・シュトロイテンフェルド□編集:ドディ・ドーンキャスト◆ラッセル・クロウ(マックス・スキナー)ロンドンに名を轟かす敏腕トレーダー◆マリオン・コティアール(ファニー・シュナル)地元のレストラン”ラ・ルネッサンス”のオーナー◆アルバート・フィニー(ヘンリーおじさん)マックスの少年時代のよき理解者で、マックスへ財産譲渡を託す◆フレディ・ハイモア(少年時代のマックス)ヘンリーおじさんのワイン談義を聞くのが日課で何時も一緒にいる◆アビー・コーニッシュ(クリスティ・ロバーツ)ヘンリーおじさん所有の屋敷にふらりと表れた「隠し子」◆トム・ホランダー(チャーリー・ウィリス)マックスの友人で不動産業者◆ディディエ・ブルドン(フランシス・デュフロ)ヘンリーおじさんの農場を夫婦で管理しワイン製造に心血を注ぐ◆イザベル・カンディエ(リュディヴィーヌ・デュフロ)フランシスの妻で料理を楽しく作る◆ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ(ナタリー・オーゼ)屋敷売却の仲介人を務める公証人【この映画について】『南仏プロヴァンスの12か月』で世界的大ベストセラーとなった作家ピーター・メイルの原作を、30年来の友人であるリドリー・スコットが映画化した。ロンドンの金融街で一流トレーダーとしてバリバリ働くマックス、美しい人生という最高の贈り物を描いた本作には随所に英国的笑いがちりばめられ、ライバル心剥き出しの英国人と人生を謳歌するフランス人との対比も楽しい。携帯電話を片時も離さず、日々桁違いの金額を動かすことに血道を上げる主人公を軽妙に演じるのは「シンデレラ・マン」でアカデミー賞にノミネートされたラッセル・クロウ。『ネバーランド』『チャーリーとチョコレート工場』などで大人顔負けの演技力を発揮した、名子役フレディ・ハイモアくん演じる少年時代からいかにして鼻持ちならない嫌みな小金持ちになったかを想像するのも一興か。彼がおじさんが注ぐワインに水を継ぎ足して飲むシーンは愉快だ。【ストーリー】(ネタばれなし)マックス少年は、南仏プロヴァンスにあるシャトーに住み、ワイン造りを楽しみながら人生を謳歌するヘンリーおじさんの元で過ごす夏の日々は毎日が楽しかった。ヘンリーおじさんとチェスやテニスをしたり、また、未成年だったマックス少年にワインの薀蓄を授けたのもヘンリーおじさんだった。時は流れマックス少年はロンドンで剛腕トレーダーとして名を馳せ、リッチなシングル・ライフを送る。そんなマックスのもとに南仏プロヴァンスに住むヘンリーおじさんの訃報が届く。子どもの頃、夏休みを共に過ごしたヘンリーが教えてくれた生きる知恵があればこそ、今の成功があるのだったが、ここ10年はすっかり疎遠になっていた。それでも一番近い親戚であるマックスがシャトーとブドウ園を相続することになり、マックスの女性秘書に半ば強引に航空券を手配されて、空港からレンタカーで20数年ぶりに懐かしい土地を訪れるのだった…。カーナビのフランス語に戸惑いながらも何とか着いたマックスは、そこで少年時代を過ごした時を懐かしむのだった。シャトーでは親子二代でシャトーのぶどう園を管理してきたデュフロと妻のリュディヴィーヌが出迎えた。売却反対を訴えるデュフロに対しマックスは耳を貸そうとせず、逆にデュフロに対しても金で解決しようとする態度に彼は反発する。売却のために公証人事務所へと急ぐ途中の道で、ロンドンと携帯電話で通話中に前方から来る自転車に乗った女性を轢きそうになったことさえも気づかなかった。公証人との打ち合わせを終えて戻り、売却のためのサイト作り用の写真を撮っている時に空のプールの飛び板から転落し出られなくなる。そこに偶然現れたのが、マックスの車を発見した自転車の女性だった。女性はファニーと名乗り地元レストランのオーナーだったが、彼女は懇願するマックスに放水し派手な仕返しをした。その頃、ロンドンでは彼の強引な取引手法が問題となり1週間の停職処分を科せられた。マックスはやむを得ずシャトーにとどまることになり、次第に少年時代の記憶が蘇りだした。そんな折、シャトーに「ヘンリーおじさんの隠し子」と称するクリスティという若いアメリカから来た女性が現れる。マックスは財産分与を主張されると警戒するのだったが...。マックスの関心はシャトーの売却と放水されたファニーの存在だった。彼は、半ば強引に彼女のレストランに「皿洗い」として押しかけるのだった。そして遂に、友人の不動産業者チャーリーの協力を得てシャトーの売却手続きを終えたのだったが...そのときのマックスの気持ちにはある変化が...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.マックスがロンドンで行う金融取引の強引な手段とは?2.ヘンリーおじさんの「隠し子」の存在を知らなかったマックスだが、果たして彼女の目的は?3.ファニーのレストランに皿洗いとして押しかけたマックスが次の仕掛けた行動とは?4.マックスはこのままシャトー売却を決意するのか?5.ぶどう園を管理していたデュフロが売却阻止に向けて密かに取った行動とは?6.ロンドンでの喧騒を離れて南仏に来たマックスは果たしてこのままロンドンに戻るのか?などを中心に、素敵な映像を是非映画館でご覧ください。【鑑賞後の感想】『南仏プロヴァンスの12か月』が大ベストセラーを記録した頃、それをTVドラマとして放映したのを見た。今回の映画はそのピーター・メイルのプロヴァンスでの体験が元になっている。ラッセル・クロウ演じるロンドンでバリバリ働く金融マンが、少年時代を過ごしたシャトーの持ち主だったおじさんが亡くなったのを機会に南仏に戻ってくると言う設定は良かった。都会で働く現代人が心の余裕を無くして働いていることに、ふとした機会に自分を見直す機会を得た。マックスの場合は自身が南仏で過ごした日々が何時までも脳裏に焼きついていたのだろう。だからロンドンから急遽駆けつけたときは、自分が優秀な金融マンであることが前面に出ていた。それが南仏で過ごす時間が増えるにつれて自らがヘンリーおじさんと過ごした「あに楽しかった日々」が鮮明に蘇ってきたのだ。そしてあれほど仕事一筋に打ち込んできた独身男の心境の変化は少しずつだが、急に訪れたのだった。彼が一旦ロンドンに戻って雇用主と話し合うシーンでは既に彼の気持ちは固まっていたのだろう。ラッセル・クロウはそうした優秀なビジネスマンの心境の変化を彼なりに演じていた。そしてこの映画の最大の魅力は大都会ロンドンに対して、南仏の風景の美しさだ。この映像のよさがこの映画の魅力の大きな部分を担っていたのは事実だ。イギリス人に取って、特にロンドンで働くものにとって南仏のこの美しさは人生を変えるほど魅力的だったとしても大いに納得がいった。【自己採点】(100点満点)81点。公開館が少ないのは残念だが、南仏の自然美を堪能できた。←映画「プロヴァンスの贈りもの」の話題も探せる!←西武ライオンズやプロ野球のことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.08.21
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55.ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団■原題:Harry Potter And The Order Of The Phoenix■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:138分■鑑賞日:7月26日、渋谷TOEI2(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:デヴィッド・イェーツ□製作:デヴィッド・ヘイマン、デヴィッド・バロン□製作総指揮:ライオネル・ウィグラム□脚本:マイケル・ゴールデンバーグ□原作:J.K.ローリング□音楽:ニコラス・フーバー□編集:マーク・デイ□衣装:ジェイニー・テマイムキャスト◆ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター)自身が持つ不思議な力に惑いながらも成長する◆ルパート・グリント(ロン・ウィーズリー)ハリーの親友◆エマ・ワトソン(ハーマイオニー・グレンジャー)ハリーとロンと行動を共にする親友◆ケイティー・リューング(チョウ・チャン)転校生だがハリーに恋人の感情を抱く◆トム・フェルトン(ドラコ・マルフォイ)ハリーのグループとはいつも対立すしている◆マイケル・ガンボン(アルバス・ダンブルドア)魔法学校の校長先生◆アラン・リックマン(セブルス・スネイプ)ハリーらにはいつもきつくあたる先生◆イメルダ・スタウントン(ドローレス・アンブリッジ)魔法学校に赴任し魔法の使用を制限し規律を重んじる先生【この映画について】シリーズ第5作目を迎え、ハリーたちも魔法学校の5年生となった。5年生といえば、子供から大人に変わろうとする年頃。背が伸びて、顔つきも大人っぽくなったハリー・ポッターが、ファッジ魔法大臣やドローレス先生たちに、子供ではなく、大人として敢然と自分の意思で立ち向かっていく過程が本作の見どころ。キスシーンが注目されているけど、ハリーの初恋相手チョウ・チャンも気になるところ。出演はお馴染みのメンバーの他、エマ・トンプソン、ヘレナ・ボナム・カーター、現在「フリーダム・ライターズ」が公開されているイメルダ・スタウントンも加わり、英国の名優、総出演の豪華さだ。そのイメルダ・スタウントンのちょっとコミカルな演技も楽しめる。【ストーリー】(ネタばれなし)ホグワーツ魔法学校のの5年生になる日を心待ちにしながら長く孤独な夏を耐えていた。親友のロンやハーマイオニーからも手紙がなく、ヴォルデモート卿と対面して以来ハリーの孤独は深まっていった。ある日、ハリーはダドリー・ウィーズリーと一緒にいるときに2人組のディメンターからの奇襲を受けた。ハリーは人気の無いトンネル内で「やむを得ず」魔法を使って撃退してが、この件がばれて窮地にたつハリー。後日、ホグワーツを除籍するとの通知文が届く。それは未成年で魔法を使ったことをとがめられたことで、ハリーは異議申し立てをするために出廷した。魔法大臣ファッジはハリー追放を画策しこれを機に一気にその計画を推し進める積りだったが、ダンブルドア好調のおかげでハリーが無罪放免となりホグワーツに戻るが周りの目は厳しかった。しかし、ホグワーツでは「闇の帝王」ヴォルデモートが蘇った事実が全く知られていなかった。ファッジ魔法大臣は、ダンブルドア校長が自分の地位を狙って嘘をついていると疑う。ダンブルドアとホグワーツの生徒たちを監視するために、「闇の魔術に対する防衛術」の新任教師、ドローレス・アンブリッジ先生を送り込む。ドローレス先生の仕打ちから、窮地に陥れられたハリーは…。ファッジはハリーの存在を警戒するために学校に送り込んだアンブリッジに徹底的に魔法の使用を禁じる。常にハリーやその仲間たちの動向を探り先手を打つことで不穏な動きを封じにかかった。そんな状況を打破しようと立ち上がったのが、親友のハーマイオニーやロンだった。彼らはハリーが持つ魔法の力を利用し、先生たちの目を盗んで学校内の秘密の場所でハリーを魔法の先生にしたてた。この提案に多くの生徒たちが賛同し、その中にはハリーを慕うチョウ・チャンも含まれていた。そして、遂に...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.魔法大臣ファッジが開催した裁判で、ハリーを如何にして陥れようと画策したのか?2.ファッジが学校に送り込んだアンブリッジの魂胆とは?3.ヴォルデモート卿の復活を唱えるハリーだが、果たして彼の説得は周囲にどこまで受け入れられたか?4.ヴォルデモート卿との対決の日が来ると信じていたハリーだったが、果たして彼との対決は?5.ハリーは重要なパートナーを失うことになるがそれは誰?などを中心に是非映画館でご覧ください。【鑑賞後の感想】ハリー・ポッター・シリーズもこんさく5作目となり残すところ2作品となった。1作目ではまだまだ子供だったハリー演じるダニエル・ラドクリフ君も随分と大人っぽくなってきた。1~5作を通してみていると、監督が1作目から一貫していないので作品毎のアプローチが微妙に異なる。レギュラー陣以外の俳優たちは主に英国人のベテラン俳優が演じていることもあって、ただ単に子供向けの映画とは言えない演出になっているてんは評価したい。本作のピーター・イェーツ監督は、映画のストーリーを忠実に追うことに主眼を置いているかのような作り方だった。このような作り方は賛否両論があるだろうが、個人的にはこの映画は子供から大人まで幅広い年齢層が観る映画であり良い意味での「遊びの演出」に欠けていた面が残念だった。映像やストーリーにもっと余裕というか、アッと言わせる演出が欲しかった。この映画の中で、ハリーに恋心を寄せるチョウ・チャンとのキス・シーンがあるがこのシーンまでの持っていき方にもう一工夫があっても良かった。アジア系の顔付きのチョウ・チャン演じるケイティー・リューングは可愛いが、次作以降二人の関係は発展するのかこの点が気になりました。【自己採点】(100点満点)69点。折角の人気シリーズなのだから、もっと派手な演出があっても良かった。←ハリー・ポッターの話題で一杯!←西武ライオンズやプロ野球のことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.08.02
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54.フリーダム・ライターズ■原題:Freedom Writers■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:123分■鑑賞日:7月21日、シャンテシネ(日比谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・脚本:リチャード・ラグラヴェネーズ□製作:ダニー・デヴィート、マイケル・シャンバーグ、ステイシー・シェア□製作総指揮:ヒラリー・スワンク□原作:フリーダム・ライターズ、エリン・グルーウェル□音楽:マーク・アイシャム、ウィル・アイ・アム(ブラック・アイド・ピーズ)□編集:デヴィッド・モリッツキャスト◆ヒラリー・スワンク(エリン・グルーウェル)弁護士志望だったがロス暴動を機に教職を目指す◆パトリック・デンプシー(スコット)エリンの夫で妻の教員になる夢を後押しし理解していたのだが◆イメルダ・スタウントン(マーガレット・キャンベル)学校の教科長として絶大な影響力を持つ保守的な人物◆スコット・グレン(スティーヴ)エリンの父で彼女の教員志望に不安を覚える◆エイプリル・リー・ヘルナンデス(エヴァ)コンビニ襲撃事件の目撃者となり証言を躊躇う◆アントニオ・ガルシア(ミゲール)クラスでは目立たない存在だったがあるときを境にクラスが一つになる◆ディーンス・ワイアット(ジャマル)黒人生徒であるとき彼を馬鹿にするかのような出来事が起きて...◆ガブリエル・チャヴァリア(ティト)ジャマルを馬鹿にする絵を描きエリンに激しく叱責される【この映画について】『ボーイズ・ドント・クライ』、『ミリオンダラー・ベイビー』で二度のアカデミー主演女優賞という輝かしい実績を持つヒラリー・スワンクが初めて製作総指揮を執った。テーマはロス郊外に実在する高校を舞台とした感動の実話。新任教師、エリン・グルーウェルは弁護士志望だったがLA暴動に接し「現場から変えてみせる」と理想に燃えて教壇に立つが、想像を超えた人種間対立の根深い生徒たちの現実を目にし、勉強以前の問題があると確信。学校側の理解が得られないと判ると、授業後、生徒のためにアルバイトをし、ポケットマネーで彼らが共感できる題材の本を買い与えた。周囲から孤立しながらも生徒たちに体当たりで怯むことなく自分の信念を貫くことでやがて生徒たちとの信頼関係を築いてゆく。その反面家庭では夫との不和も表面化するなど、苦悩の日が続く様子も描いている。【ストーリー】(ネタばれなし)1994年、ロス暴動から2年が経過し様々な人種が通うウィルソン高校203教室に、新任の国語教師エリンが赴任した。エリンは弁護士志望だったが、ロス暴動を機に学校の現場レベルから変えていくべきだとの思いを胸に秘めて教師の道を選んだ。初登校日、教壇に立ったエリンを完全に無視し、喧嘩を始める生徒たち。これまで、家の中でも外でも危険に晒されて生きて来た生徒たちに、真珠のネックレスをした支配階級の白人教師は敵でしかなかった。それでも彼女は授業に若者に人気のラップを取り入れたり努力を重ねてゆく。そんなある日の授業中、ラテン系のティトが黒人のジャマルを馬鹿にしたような絵を描きそれを没収したエリンは烈火の如く怒った。エリンは第二次大戦のホロコーストが人種差別から始まったことを説いた。しかしホロコーストのことを知らない生徒のために「アンネの日記」を教材とすることを教科長のキャンベルに相談するが、彼女はそんなことは無駄だとして取り合ってくれない。エリンは自費で購入することを決意し、そのために、ホテルとデパートの下着売場でアルバイトすることを決意するが夫のスコットは色よい返事をしなかった。エリンは、自分の小遣いで生徒全員にノートを買い与え、自分のことを書くように伝える。書く事を覚えた生徒たちは、エリンに少しずつ心を開いていく…。自分の生い立ちのことや悩みや仲間のことなど生徒たちはノートを通して本音を語るようになっていった。数週間後、アルバイトで貯めたお金で生徒たちをホロコースト博物館へと父にも手伝ってもらいながら連れて行ったエリン。死と隣り合わせの環境で生活をする生徒たちが、博物館での見学で明らかに意識が変わった。夕食ではホロコーストの生存者を招き体験談を聞かせた。「アンネの日記」を読んだ生徒たちは自分たちでアンネをかくまったヒースさんに手紙を書いて学校に招待したいと申し出た。生徒たちの意思が変わっていくことに満足感を覚えるエリンだったが、学校にのめりこむエリンに対し夫のスコットは疎外感を感じていくようになり遂にエリンにある決心を伝える。一方で、クラスのエヴァが目撃者となったコンビニ襲撃事件の裁判での証言の日が近づいてきたが、彼女は父親の言いつけと仲間との関係を天秤にかけ悩む。そのころ、高校2年生を教えてきたエリンに3年生を教えるにあたり障害があることが分かり、生徒たちは学校にある行動をとるのだったが...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.生徒たちは果たしてヒースさんをオランダから招待することが出来るのか?2.ホロコースト博物館で生徒たちは一体何を感じてきたのか?3.エリンが夫スコットから伝えられた「決意」とは?4.エヴァが証言するに際し守ろうとしている父からの言いつけとは?5.エリンの何が原因で3年生を教える障害になっているのか?などを中心に公開館は限られていますが是非映画館でご覧ください。【鑑賞後の感想】この実話の映画化とされるこの映画を観て、アメリカでの人種対立の根強さが学校にまで及んでいると改めて感じさせられた。学校をテーマにした映画は数多く製作されているが、このLA郊外の高校を舞台にして本作でも白人教師のエリンが最初は生徒から受け入れられないところから始まる。それでも高い志を持ってこの高校を選んだエリンは保守的な教科長の横槍にもめげず、自分の信念を貫く姿は教師のあるべき姿を訴えているようだ。そのエリンも家庭では夫の気持ちが彼女から離れていくことだけはストップ出来なかった。そんな情熱的な高校教師役をアカデミー賞2度受賞のヒラリー・スワンクがここでも好演している。彼女は製作総指揮としてもこの映画に関わっていて、この映画特にエリン役に懸ける情熱は物凄いものがある。他では現在公開中の「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」でアンブリッジを演じるイメルダ・スタウントンの、保守的な教科長役も見事にはまっている。更に、生徒たちを演じる若手俳優たちも役どころをよく理解したうえで映画に臨んでいるように感じた。最後にこの映画はMTVが製作に関わっていることから、BGMもMTV映画らしくヒップホップ系の音楽がふんだんに使われているが映像とは見事にマッチしている。【自己採点】(100点満点)87点。生徒たちの心境の変化や、それを取り巻く大人の世界の描きかたなどどれを取っても退屈しない映画だ!←最新映画の話題満載の楽しいブログで一杯!←西武ライオンズやプロ野球のことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.07.28
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51.ダイ・ハード4.0■原題:Die Hard 4.0■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:129分■鑑賞日:7月14日、渋東シネタワー(渋谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:レン・ワイズマン□製作:マイケル・フォトレル□製作総指揮:アーノルド・リフキン、ウィリアム・ウィッシャー□脚本:マーク・ボンバック□音楽:マルコ・ベルトラミ□編集:ニコラス・デ・トスキャスト◆ブルース・ウィリス(ジョン・マクレーン)NY市警の敏腕刑事で事件に巻き込まれる「運の悪い男」◆ジャスティン・ロング(マット・ファレル)FBI命令でジョンが連行することになったハッカーだったが...◆ティモシー・オリファント(ガブリエル)国の通信網を遮断するサイバーテロ軍団の首領◆クリフ・カーティス(ボウマン)ジョンの上司でもあり事件の総指揮を執る部長◆マギー・Q(マイ)ガブリエルとは恋人関係にあるサイバーテロ軍団の頭脳◆ケヴィン・スミス(ワーロック)ハッカーでどんなサイトにもエンター出来る◆メアリー・エリザベス・ウィンステッド(ルーシー・マクレーン)ジョンの愛娘だがBFの存在がジョンには気にいらない【この映画について】1988年の衝撃的な登場は、いままでのアクション・ヒーロー像を一瞬にして覆し、新たなるヒーロー像を確立した革命的な作品となった……。そして1作目から18年、3作目からは12年振りにあの運の悪い男<不死身>ジョン・マクレーンが帰ってくる! アナログ刑事マクレーンは時代が変わろうとも自分自信の「カン」を信じて一気に突き進む。空港や高層ビルでの戦いとは異なる、現代的なサイバーテロに対して同僚とは一線を画し数々の試練を乗り越え犯人グループに接する。ただ、何時もと違っていたのは愛娘が事件に巻き込まれることなのだが...果たして父娘の関係も含めて、マクレーン刑事は如何にして単身で立ち向うのかは見てのお楽しみ。【ストーリー】(ネタバレなし)独立記念日(7月4日)の前夜、NYPD(ニューヨーク市警)の統合テロ対策班のジョン・マクレーン警部補は、ニュージャージー州の大学に立ち寄り別れた妻との間の一人娘ルーシーと会うために管轄外の区域に来ていた。しかし、娘は車内でボーイフレンドから迫られている最中で、そんな時に急に現れたことで父と口論になりボーイフレンドも恐れをなしてその場を去ってしまう。その頃、ワシントンD.C.のFBI本部に設置されたサイバー犯罪部に異変が起こる。何者かが全米のインフラを監視するシステムに侵入してきた。ボウマン部長は直ちにハッカーのブラックリストを元に一斉捜査を命じ、夜中にもかかわらずジョンの下にも出動命令が下る。ニュージャージー州内に住むマットというハッカーの身柄を拘束しFBI本部に連行せよという内容だった。帰宅する時だったため渋々アパートを訪れ連行するまさにその時、いきなり銃撃され機転を利かせて何とか車に二人で戻りFBI本部へと向かうことになるがマットは不安な気持ちになる。襲ったグループは全米の交通システムをダウンさせているサイバーテロ集団の一味で、マットはそれとは知らずにネットで知り合った「マイ」という女性にプログラムの開発を依頼されていた。その口封じにマットも襲撃されたが辛くもジョンのおかげで切り抜けた。テロ集団の首領はかつてFBIに勤めていた「ガブリエル」で9.11以降のサイバーテロ対策の甘さを指摘したが、自身の計画を否定されてその復讐の燃えてFBIに挑戦してきたのでFBIの戦略を熟知しシステムのパスワードも全て書き換えられた。ジョンの車がマットを乗せて首都に辿り着いたとき、街では異常な交通渋滞が発生し交通が麻痺していた。そしてマットが偶然目撃したFBI本部での画像から、これはハッカーがインフラに対する組織的攻撃をしかけていると理解した。ガブリエルの要求無きサイバーテロの目的が徐々に分かるなかで、ジョンは次の手をどう打てば良いのか迷う。そんなとき、マットのハッカー仲間である「ワーロック」の存在を思い出し、ワーロックを利用しガブリエルに接近出来ないか依頼するのだったが...。一方でガブリエルは大型トレーラー車を利用し居場所を突き止められないように移動を繰り返し、恋人のマイを通じて国家乗っ取り計画を着々と遂行に移すのだった。ジョンや本部のボウマンは果たしてこの壮大な計画を阻止できるのか?さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ガブリエルのサイバーテロ計画の全貌とは?2.ガブリエルがこのテロ計画で狙っているものとは何か?3.ジョンとマットは果たしてこの計画の全貌を掴み阻止できるのか?4.ガブリエルが次々と繰り出す恐るべき計画と、その魔の手がジョンの周辺にも及ぶがそれは一体どういう事なのか?5.全米のインフラ網が次々とダウンするなか市民生活はどうなるのか?などを中心に是非映画館で迫力のある追跡劇をご覧下さい。【鑑賞後の感想】ブルース・ウィリスと言えば「ダイ・ハード」のイメージが定着しているが、以外にも「3」からは12年振りとなる復活だ。その間の作品もダイ・ハードをイメージさせるような作品、例えば「ホステージ」「16ブロック」なども当初は「ダイ・ハード」として企画されたと噂される作品も続いたので12年振りとは思えなかった。「ダイ・ハード」は「事件に巻き込まれる」のところから始まるので、そうした意味でも今回においても娘と会いに来た帰路に「巻き込まれた」のは掴みとしては理解出来る。そしてこの娘もが父が追っている事件に「巻き込まれる」のはやはり親子のDNAか?この娘の巻き込まれ方と、巻き込まれてからの救出劇と事件が繋がる脚本はこのシリーズではなかったと言う意味で新鮮さと今までとの違いを感じた。ブルース・ウィリスのアクションも歳を取ると同時に頭髪の薄さと比例して?大人しくなっていった。と言いたいところだが戦闘機の攻撃を交すシーンやエレベーターでの宙吊りなどは迫力満点だった。唯一というか敢えて注文を付けるとすると、ガブリエルがサイバーテロを仕掛けるに至った動機の詳細とFBIとの息の詰る交渉劇みたいなのも見たかったと個人的には思った。ブルース・ウィリス以外では「マイ」役のマギー・Qのきりっとした顔立ちとアクションの激しさは良かったね~。彼女はハワイ出身でベトナムとアメリカのハーフらしいけど、「Mi:3」でのアクションも印象的だったのだがこれからもこうした役柄が中心になるのでしょうか?【自己採点】(100点満点)87点。このシリーズの「5」作目はどうなるのでしょうか?←最新映画の話題満載の楽しいブログで一杯!←西武ライオンズやプロ野球のことならここ←プロ野球、メジャーリーグの情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.07.19
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48.アポカリプト■原題:Apocalypto■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:138分■鑑賞日:6月23日、新宿オデヲン座(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督・製作・脚本:メル・ギブソン□脚本:ファラド・サフィニア□製作:ブルース・デイヴィ□音楽:ジェームズ・ホーナーキャスト◆ルディ・ヤングブラッド(ジャガー・パウ)部族長の父を誇りに思う心優しきハンター◆ダリア・エルナンデス(セブン)ジャガー・パウの妻で一児の母で二人目を妊娠中◆ジョナサン・ブリューワー(ブランテッド)ジャガー・パウの親友で狩りの仲間◆モーリス・バードイエローヘッド(フリント・スカイ)村の部族長でジャガー・パウの尊敬する父◆ラウル・トルヒーヨ(ゼロ・ウルフ)マヤの傭兵軍団の冷血なリーダーで村を組織的に襲う◆ヘラルド・タラセーナ(ミドル・アイ)傭兵集団の一員だがリーダーの強権的な姿勢に内心反発している◆フェルナンド・エルナンデス・ペレス(マヤの高僧)マヤの高僧として皇帝の前で血の儀式を執り行う【この映画について】『ブレイブハート』や『パッション』で、監督として人々を驚きに満ちた世界へと誘ったメル・ギブソンの最新作。後期のマヤ文明を舞台に、1人の男の戦士としてそして家族を大事にする勇士として描いていく。当時をリアルに再現すると同時にセリフも全てマヤ語で撮影され、リアリティあふれる映像を作り上げた。後半の躍動感あふれる追跡シーンは手に汗を握る。そしてこの映画の出演者は全て無名の俳優で固められているが、その出演者はマヤ人を思い起こさせるようなネイティヴ・アメリカンの血を引いた俳優が多く起用されている点にも注目したい。【ストーリー】(ネタバレなし)マヤ文明後期の中央アメリカ。ジャガー・バウは部族長の父や妻、幼い息子、仲間たちとともに平和な日々を送っていた。ジャングルで狩を集団でしながら森の恵を受けながら幸せな集団生活を営んでいた。或る日、ジャングル内で別の村の集団が憔悴した表情で彷徨っているときに遭遇した。村人達は村が襲撃されて逃げてきたところだと言って再び森の中に消えていった。ジャガー・パウらは狩りを終えて村に戻る。しかし明方になってその平和は突然崩れ去ってしまう。村がマヤ帝国の傭兵に急襲され焼き討ちされたのだ。目の前で父を殺されたジャガーは、咄嗟に村の深い井戸の中に妊娠中の妻子を隠した。「見捨てないで!」と懇願する妻のセブンを置いてジャガー・パウらは捕まってマヤ帝国の中心部へと送られる。過酷な移動で何人かが命を落としたが、傭兵集団のリーダートルヒーヨの指揮の下で各地で捕縛された人間が奴隷として売り買いされる都会へと移送された。街に辿り着くとそこでは同じ村の女達が奴隷として売られていってのを見て怒りに震えるが、捕らわれの身のジャガー・パウらにはどうすることも出来ない。そして、彼ら男達の運命は余りにも過酷なものだった。マヤ帝国は国家維持の政策として、干ばつを鎮める儀式を多くの国民等が見つめる前で行うのが常だった。その儀式はピラミッドの頂上で王族が見守る中で大司祭の手で行われる。それは石の台を背に乗せられて司祭がその場で生贄として連れられてきたジャガー・パウら村人達の心臓を一掴みし首を切断する野蛮な儀式だった。一人ずつ仲間等が生贄として命を落とすと、ピラミッドの下ではその様子を興奮状態で待ち受ける民衆らが我先と生首へ殺到する。そして遂にジャガー・パウが生贄になる番がやってきた。親友のブランテッドは「よい旅を」と声をかける。だがその瞬間、空の色が変わりざわめきが起こるのだった。儀式は慣例により中止になったが、残ったジャガー・パウらには更なる過酷な運命が待ち受けていた。それは、生贄として連行してきた傭兵たちにより「人間狩り」の標的とされる運命が待っていた。運良く逃れればトウモロコシ畑から逃げる事も可能だが、それは余りにも確率の低い逃げ場だったのだが...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.儀式が中止になった空の色の変化とは一体何のことか?2.ジャガー・パウらは人間狩りから逃れられるのか?3.ジャガー・パウの心配の種である、妊娠中の妻子らの安否は?4.マヤ帝国の安定は生贄で得られたのか?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】メル・ギブソン監督が全てのセリフを「マヤ語」で通した歴史エンターテインメント映画と言うのだろうか。今回の脚本を書くに当たって当然ながら当時の歴史をリサーチしたそうだが、ストーリーの中心となっている「村襲撃」「人身売買」「生贄の儀式」などは実際にマヤで行われていたのは定説となっている。しかし映画ではそうしたシーンをあまりにも生々しくCGを使わずに特殊効果で再現していたので、映画慣れしている私でも正視に耐えないシーンも度々登場する。特に、生贄の儀式は生々し過ぎるね一応スクリーンからは目を離さなかったが愉快なシーンでない事は確かだった。そうした残酷なシーンが強調される場面もあるが、やはり、幾ら歴史を題材にした映画言えどもそこはハリウッド映画。オープニングからラストに至るまで、やはり家族愛が強調されていた。ジャガー・パウが尊敬する父の話、ジャガー・パウを含む村人達の家族愛の強さが最後まで貫かれていた。家族愛と言えば、傭兵を率いるリーダーであるトルヒーヨも実は最後は家族愛を胸に秘めた行動を貫くのだった。こうしてマヤを題材にした映画ではあるが、終始「家族愛」を貫いていたのだった。【自己採点】(100点満点)78点。CGに頼らない制作方法は良しとするが、風景の変化に乏しいのでこの点数にした。←映画や最新の話題満載の楽しいブログで一杯!←西武ライオンズやプロ野球のことならここ人気blogランキングへ←映画のことならここ
2007.07.01
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47.プレステージ■原題:The Prestige■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:130分■鑑賞日:6月23日、新宿アカデミー(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督・脚本:クリストファー・ノーラン□脚本:ジョナサン・ノーラン□製作:エマ・トーマス、アーロン・ライダーキャスト◆ヒュー・ジャックマン(ロバート・アンジャー)下積みを経てトップマジシャンを目指していた◆クリスチャン・ベール(アルフレッド・ボーデン)アンジャーとかつては同じ師の元で修行をしていたが...◆マイケル・ケイン(カッター)数々のマジックの考案者でアンジャーの協力者◆デヴィッド・ボウイ(ニコラ・テスラ)謎の科学者でアンジャーから瞬間移動の装置の開発を依頼される◆スカーレット・ヨハンソン(オリヴィア)アンジャーとボーデンの2人のマジシャンの間を取り持つが...◆レべッカ・ホール(サラ)ボーデンの妻で一人娘をもうける【この映画について】一流のマジックはタネや仕掛けのないことを観客に確認させる「プレッジ」、パフォーマンスを展開する「ターン」、そして最後に予想を超えた驚きを提供する「プレステージ(偉業)」の3パートから成り立つという。そんな華やかな「プレステージ」の裏側にあるものを描いたのがこの作品。クリストファー・ノーラン監督がクリストファー・プリーストの原作を元に、再び驚愕のミステリーを作り上げた。何重にも折り重なるトリックが仕掛けられたストーリーは、それ自体がまるでイリュージョンのようだが、実は「マジックの種なんて単純」と主張しているようにも感じるだろう。ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールが演じる2人の奇術師による迫真の争いも、見ごたえ十分だ。この二人のマジシャンを手玉に取る?人気絶頂のスカーレット・ヨハンソンの役どころにも注目だ。そしてロック界のあの超有名人も出演している。最後の最後までストーリーを読まず、純粋にスクリーンの中での出来事を追っていくことをお薦めする。【ストーリー】(ネタバレなし)19世紀末のロンドン。マジックの舞台の下、男はそこに設置された水槽のなかに溺れ死にそうなライバルの姿をみて驚愕する。その男、ボーデンはアンジャーを溺死させて疑いで出廷し、目撃者として証言台に立ったのはマジックの考案者でアンジャーの協力者カッターだった。彼は二人の確執が生まれた過去を証言台で思い出しながら証言する。若き奇術師アンジャーとボーデンは、中堅どころの奇術師ミルトンの元で修行をしていた。しかしある日、アンジャーの妻で助手のジュリアが水中脱出に失敗し死亡。事故の原因はボーデンの結んだロープが外れなかったことだった。これを機にアンジャーは復讐鬼へと変貌し、2人は血を流す争いを繰り返すことになる。その後、結婚し幸せな日々を送るボーデンは、新しいマジック「瞬間移動」を披露するのだが…。ボーデンはサラと出会い結婚し一人娘ジェスをもうける。アンジャーには助手志願の美女オリヴィアが現れるが愛妻ジュリアを失った心の穴は大きかった。ボーデンの「瞬間移動」マジックが評判を呼ぶ中、アンジャーにはトリックがどうしても読めなかった。カッターは「案外単純でそっくりさんを使っているだけだ」と断言する。早速、二人は三流役者でパブで酔いつぶれていたアル中の「ルート」をスカウトし身代わりに仕立てた。「新・瞬間移動」と銘打った興行は大当たりするが、興行の成功と共にルートはギャラアップを要求するようになってきた。それでもボーデンのネタに疑問を持つアンジャーは助手のオリヴィアをボーデンの助手として遣わす事で秘密を握ろうとする。オリヴィアはアンジャーの指示もあってあっさりとそのことをボーデンに告げる。ボーデンから何とかキーワード「テスラ」を聞き出すことに成功した。テスラとは当時エジソンと肩を並べる科学者でロンドンで電気の公開実験を行ったニコラ・テスラだ。その秘密を解く為にアンジャーはコロラドスプリングの彼の実験所へと旅立ったが。そこで瞬間移動の装置の製作を依頼するのだったが...。完成された装置と共に帰国したがカッターとアンジャーは「100回限定興行」を打ち出す。ボーデンはこの装置に驚愕し密かに舞台裏に潜入し、その時、アンジャーが溺れ死ぬ現場に遭遇したのだった。アンジャー溺死に罪で収監されたボーデンの元に、愛娘ジェスの世話をするという条件で奇術のネタを高値で買いたいと申し出る貴族コールドロウ卿の代理人オーエンズと面会する。オーエンズはボーデンにアンジャーの日記を差し出した。そこにはボーデンが知る由も無かった驚愕の「瞬間移動のネタ」が記されていたのだった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ボーデンの秘密を探りに派遣された助手オリヴィアのその後は?2.アンジャーがテスラに製作を依頼した装置の中身とは?3.アンジャー溺死は何故発生し防げなかったのか?4.謎の貴族コールドロウ卿の正体とは?5.ボーデンが驚愕した、瞬間移動のネタとアンジャー溺死の真相とは?6.ボーデンの瞬間移動とアンジャーの瞬間移動の違いとは?などを中心に是非映画館で観てネタの真相を解明して下さい。【鑑賞後の感想】「映画全体が一つのマジック」みたいな作品で、何度もスクリーンを見ながら騙されてしまった。安易にこういう展開だろうとかこういう風に進むだろうとか思いながら見ているとラストに思わぬ展開が待っていた。アンジャーとボーデンのライバル心と確執、その二人を手玉に取るオリヴィアの美貌、カッターの老獪な世渡り、何を考えているか分からないテスラなど各キャラクターの特徴もよく練られていたのには感心した。時代背景も当時の街の様子とか、コロラドスプリングの山の中の薄暗い風景、劇場の様子など細かい点の考察も見事だった。ストーリーはそうした点を全て取り込んで、最後の最後で一体誰が得をして笑ったのか?どんでん返しの更にどんでん返しが用意されていたとは見事な脚本に拍手を送りたい。私の好きな女優であるスカーレット・ヨハンソンのセクシーな姿が見られないのは時代背景からやむを得ないが、二人のマジシャンを虜にする点がもう少し前面に出ていればなと彼女のファンである私は注文を付けたくなってしまった。【自己採点】(100点満点)85点。映画の中でばらされるマジックのネタも楽しめた。←楽しいブログが満載!←西武ライオンズやプロ野球のことならここ人気blogランキングへ←映画のことならここ
2007.06.26
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46.あるスキャンダルの覚え書き■原題:Notes On A Scandal■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:92分■鑑賞日:6月9日、新宿武蔵野館(新宿)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:リチャード・エアー□製作:スコット・ルーディン、ロバート・フォックス□原作:ゾーイ・へラー□脚色:パトリック・マーバー□音楽:フィリップ・グラスキャスト◆ジュディ・デンチ(バーバラ・コヴェット)学校の教師だが教師間では嫌われ孤立している◆ケイト・ブランシェット(シーバ・ハート)歳の離れた夫と障害を持つ子供を抱える美術教師◆ビル・ナイ(リチャード・ハート)シーバの夫でシーバとはかつては教師と教え子だった◆アンドリュー・シンプソン(ステイーヴン・コナリー)あることがきっかけでシーバと性的関係を持つことになる生徒...【この映画について】主要キャストのジュディ・デンチとケイト・ブランシェットが、そろって米アカデミー賞の主演女優賞&助演女優賞にノミネートされた話題作。映画はベテラン教師・バーバラの目線で綴られていくが、ストーリーが進むにつれ、冷徹で客観的だと思われていた彼女の語りが、あまりに主観的で事実とかけ離れたものだと判明していくのでナレーションに騙されてはいけない。終生独身の積年の孤独に心を蝕まれた老女の妄想と暴走が、恐ろしくも醜く、そして悲しい。また幸せな家庭がありながら道を踏み外していくシーバが、見た目は平凡で大人しそうなところも、逆にリアリティがあって怖い。15歳の生徒が女盛りのシーバを大人顔負けの口説き方で彼女の心の空白に進入し、お互いが性にのめり込み一気に突き進んでいく様子も描かれている。【ストーリー】(ネタバレなし)ロンドン郊外の中学で歴史を教えるバーバラは、厳格で辛辣な性格から教え子だけでなく同僚からも疎まれ、孤立していた。そんなある日、労働階級の子供ばかりが通う学校には不似合いな若く美しい美術教師シーバが赴任してくる。「彼女こそ、私が待ち望んだ女性」と直感したバーバラは、彼女をこっそりと観察しては毎夜日記に“報告”していた。シーバとの特別な絆が感じられた日は、日記に金色のシールを付け加えていた。或る日、シーバの受け持つクラスで騒動が発生した。偶然、通りかかったバーバラが貫禄充分に殴り合う男子生徒を一喝し事態を収拾したのだ。シーバはこの件をきっかけに急速に親しくなっていく。シーバは感謝の気持ちを表す為に、自宅にバーバラを招く。そこでバーバラはシーバの夫リチャードと長女ポーリー、そしてダウン症の長男ベンを紹介される。独身のバーバラには幸せそうな家族を見るのは内心辛いのだが、食後に、シーバから人生の不満などを打ち明けられ彼女との絆を再確認する。だがそんなある日、学校の演芸会が行われた夜、シーバの姿を探していたバーバラはシーバと15歳の教え子のセックス現場を美術教室の外で偶然目撃してしまう。その少年はバーバラが校内で叱り飛ばした生徒スティーヴン・コナリーだった。バーバラはシーバを電話で近くのパブに呼び出し、一部始終を告げる。涙ながらに生徒とは二度と会わないと誓うシーバだったが、家庭での不満をシーバの成熟した肉体に溺れていくスティーヴンの激しい性欲で夫との満たされない性の不満を埋めていくのだったが...それはバーバラの忠告に背くことになり...果たしてどうなる?さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.バーバラは一体何が目的でシーバに接近していったのか?2.バーバラがシーバにスティーヴンとの密会を止めるように迫った時のシーバの態度は?3.シーバの肉体の虜になっていくスティーヴンのシーバを誘うタイミングとは?4.シーバとスティーヴンの密会があることをきっかけに発覚したがそれは?5.密会発覚にバーバラはどのように関わっていたのか?6.バーバラの忠告を破った形になったシーバが彼女にとった言動とは?7.夫リチャードや家族の怒り失望、スティーヴンの両親らの反応は?8.シーバとの友情が壊れたバーバラだが、彼女の次の「相手」は一体...?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】ケイト・ブランシェットとジュディ・デンチという二人の歳の離れた演技派女優の共演を楽しみにして観に行った。さらに付け加えるとこの映画のナレーションはジュディ・デンチ自身が語るので、観客はバーバラの視点で語られるナレーションに何時の間にか引き込まれてしまう。これだけで観客は既に彼女のペースに引き込まれるという、こういう演出を考え付いたリチャード・エアー監督の「作戦」は見事に成功だ!ストーリーの展開とかは、独身の老女バーバラがやはり主役だ。彼女は何とかシーバと自分が好むような関係を築く事に腐心するが、老女の心はやはり自分より若いシーバには通じなかった。通じなかったとき、老女は「裏切られた」という感情が込み上げ密かに彼女流の「復讐」を自らが手を下さずに実行に移す。人生経験の豊富なバーバラが自分の感情を表に出さないのでシーバには彼女の心の底が最後まで読めなかった。男性には分かりづらい女性的な感情の移り変わりを、二人の演技派女優は見事に表現した。15歳の少年との性行為を偶然目撃した時のバーバラの表情は怖かった~...【自己採点】(100点満点)77点。バーバラはこの後どういう人生を送るのかな...シーバと家族の関係も含めて気になりながらエンディングとなってしまった。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ←是非クリックして下さい
2007.06.24
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45.ザ・シューター極大射程■原題:Shooter■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:125分■鑑賞日:6月9日、新宿グランドオデヲン座(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:アントワン・フークア□製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、リック・キドニー□脚本:ジョナサン・レムキン□音楽:マーク・マンシーナ□軍事アドバイザー:パトリック・ギャリティキャスト◆マーク・ウォールバーグ(ボブ・リー・スワガー)元海兵隊の特殊部隊員で狙撃の名手だった◆ダニー・グローバー(アイザック・ジョンソン大佐)名誉勲章受賞を誇りボブに仕事を依頼する◆マイケル・ペーニャ(ニック・メンフィス)新米のFBI捜査官で事件に巻き込まれ...◆ケイト・マーラ(サラ・フェン)ボブのかつての相棒ドニーの恋人◆ネッド・ビーティ(チャールズ・ミーチャム上院議員)上院議員ながら裏の顔は...【この映画について】2000年に「このミステリーがすごい!」の海外作品部門第1位となった、スティーブン・ハンターの小説を原作としたミステリー・アクション。欺かれた元海兵隊の名スナイパーが、自らの掟と名誉のために激しく戦う姿を描く。主人公のボブ・リー・スワガーを演じるのは「ディパーテッド」でアカデミー賞助演男優賞にもノミネートされたマーク・ウォルバーグ。銃の名手であり、精神的にも肉体的もタフな男を、ブルース・ウィリスやマット・デイモンらとは異なるキャラクターで演じている。その周囲にはベテランのダニー・グローバーや『クラッシュ』『ワールド・トレード・センター』のマイケル・ベーニャらを配置。監督「キング・アーサー」「ティアーズ・オブ・ザ・サン」のアントワン・フークアが務めた。【ストーリー】(ネタバレなし)アフリカのエチオピアで相棒のドニーと特別任務に付いていたスワガーだったが、標的への狙撃を始めるが思いもよらぬ反撃を受けて応援を要請するが無線は繋がらずドニーは愛する妻への思いを胸に秘めてスワガーの横で倒れた。それから3年間除隊しワイオミングの山の奥深くの山小屋で愛犬のサムとひっそりと暮らすスワガー。軍を退いて山奥で暮らしていた彼の元を、退役したジョンソン大佐らが訪ねてきた。ジョンソンはスワガーの過去を前もって調べた上で接触し、大統領暗殺の動きがあることをスワガーに話し、狙撃手としてのカンを働かせその阻止を手伝ってほしいという。スワガーは大統領の遊説先を狙撃手としての経験を活かして調査し、唯一と思われる狙撃ポイントを発見。演説当日も大佐らとともに、現場の見張りについた。フィラデルフィアでの大統領演説の日にはエチオピアの大司教も同行している。綿密な警備計画を練ったFBIのチームの中には、新米のニック・メンフィスも警戒区域の外を割り当てられていたがニックはこれには不満だった。その反面、ニックの警戒区域はスワガーと付き添いの警察官が警戒する監視場所には近かった。スワガーは監視スコープの中に大統領を狙うライフルの先端を捉えていたが、突入を無線で指示したが動きは無くすると銃声が2発鳴り響いた。1発は演説中の大統領を目掛けて撃たれて、もう一発はなぜかスワガー自身だった。肩に被弾したスワガーは激痛を堪えその場を離れ、ビルを出たところで警戒していたニックに近寄り拳銃とパトカーを奪われる。ここからスワガーとニックを巻き込んだ二人の壮大な逃走劇が始まる。スワガーはFBIらのフィラデルフィアでの追及を何とか振り切るが、TVでは大統領狙撃のニュースとスワガーが犯人扱いされ顔写真が公開され窮地に追い込まれる。スワガーの身柄を必死になって追うFBIだが一流スナイパーは逃走にもおいても一流だった。彼はケンタッキーに立ち寄り相棒だったドニーの恋人のサラ宅を訪ねる。サラはスワガーを警戒するが彼の指示を守りキズの手当てをするが、サラ宅にも捜査の手は及んできたためスワガーはサラ宅を去る決意をする。その間、スワガーは撃たれたのはエチオピア大司教だと知り、ニックは狙撃犯を取り逃したことでスワガーのことを徹底的に調べるのだがそこである矛盾点が浮かび上がる。一方、スワガーに依頼したジョンソン大佐が彼を私利私欲のために利用したことが分かり裏にはとんでもない大物が控えていた。スワガーが任務中に相棒を失ったエチオピア、今回のエチオピア大司教の狙撃。スワガーはとんでもない陰謀に巻き込まれていた事を知る事になり...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.大統領ではなく何故エチオピア大司教が狙撃されたのか?2.ジョンソン大佐がスワガーを利用した恐るべき背景とその計画とは?3.ジョンソンの背後で彼を操る大物の正体とその意図とは?4.ニックが知ってしまったスワガーの経歴とFBIの操作方法とは?5.スワガーはアフリカで散った相棒の仇を討つことが出来るのか?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画は「大統領暗殺、陰謀」、「狙撃犯逃走・復讐」が大きな話の柱である。主役のマーク・ウォールバーグはマット・デイモンとは異なる個性を発揮しているが、まだどこか役に成りきれていない感じがした。ストーリーの展開としては陰謀に利用されたスワガーと「巻き込まれる」ニックとの関係が面白かった。本来はスワガーを追い詰めないといけないFBI捜査官の立場ながら、組織に対して不満を持つニックがスワガーに共鳴するところは脚本としてもよかったと思う。最後は、話が大きくなっていき狙撃犯スワガーの腕前が次々に大画面に繰り広げられるシーンなどはそれなりに迫力があった。この作品でマーク・ウォールバーグの演技の幅が広がったと思う。この映画が今後シリーズ化されスケールアップすれば、彼の代表作となりブルース・ウィリスのような道を歩むかも知れ無いが果たしてどうだろうか?【自己採点】(100点満点)82点。マーク・ウォールバーグが役になりきれればもっと面白かったと思う。それでも今後に期待出来る。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ←是非クリックして下さい
2007.06.20
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44.パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド■原題:Pirates Of The Caribbean At World's End■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:169分■鑑賞日:6月8日、吉祥寺セントラル(吉祥寺)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:ゴア・ヴァーヴィンスキー□製作:ジェリー・ブラッカイマー□脚本:テッド・エリオット、テリー・ロッシオ□音楽:ハンス・ジマーキャスト◆ジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)ノラリクラリで何とか危機を乗り越えてきたが...◆オーランド・ブルーム(ウィル・ターナー)父ビル救出と恋人エリザベスとの仲は発展どうなる?◆エリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)恋人ウィルとの仲は?提督だった父はどうなる◆ステラン・スカルスゲールド(ビル・ターナー)船体の一部と化したが息子ウィルは救出に現れるか?◆ビル・ナイ(デイヴィ・ジョーンズ)深海の悪霊として名高いがその誕生秘話は意外な事実が◆ジェフリー・ラッシュ(キャプテン・バルボッサ)一度は姿を消したが、蘇ったきっかけは?◆チョウ・ユンファ(サオ・フェン)シンガポールを拠点とする海賊で伝説の海賊9人の一人◆ナオミ・ハリス(ティア・ダルマ)ヴードゥー教の預言者で魔術で海賊達を操る◆トム・ホランダー(ベケット卿)東インド貿易会社の実力者で海賊撲滅を目指している【この映画について】舞台はカリブ海からアジア、そして前人未到の“世界の果て(ワールド・エンド)”へ。滅亡の危機に追い込まれた海賊達は、世界各地の海を治める“伝説の海賊”たちの名のもとに集結し、海賊史上類のない、最初にして最後の決戦のために立ち上がる。自由を愛するジャック・スパロウ、海賊の魂を持つ令嬢エリザベス・スワン、海賊の血をひく情熱家ウィル・ターナー、あの愛すべきヒーローたちが壮大なる3部作のクライマックスに向けて、ついに最後の冒険へと旅立つ。【ストーリー】(ネタバレなし)海賊ジャック・スパロウとの出会いによって海を巡ることとなった若者2人、父が海賊の勇敢な青年ウィル・ターナーと、海賊に憧れる勝気な総督の令嬢エリザベス・スワンは、今ではすっかり海賊らしく成長。世界制覇をもくろんでデイヴィ・ジョーンズを操っているベケット卿に立ち向かうべく、9人の“伝説の海賊”を集めようとしていた。しかし、9人のうち1人は、キャプテン・ジャック・スパロウ。溺死した船乗りたちが沈んでいる世界の果て“デイヴィ・ジョーンズ・ロッカー”に囚われているはずのジャック・スパロウを救出するため、ウィルとエリザベスは航海を続けシンガポールの海賊サオ・フェンを訪ねる。ジャック・スパロウの復活に関わるシーンは、中盤の大きな見どころ。そしてジャックを迎えた一行は、海の女神“カリプソ”の伝説の謎を追い、デイヴィ・ジョーンズとの死闘へと立ち向かっていく。物語が進むごとに成長していくウィル・ターナーと、エリザベス・スワンは、それぞれ1人立ちして自らの信じる道を目指す。父親ビルとの絆を守ろうとするウィル、凛々しく海賊たちを統制するエリザベス。しかしそんななかでは、実は結婚するはずだった2人の心は離れる一方。彼らの心の葛藤とともに、気になる恋の行方もしっかり描かれている。美男美女で正統派と言える2人とは対極に存在する変人で自由奔放なジャックは、今まで以上に三枚目らしいお茶目な姿を披露。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.バルボッサやエリザベスの一行がシンガポールの海賊サオ・フェンの元に向かった理由は?2.「海の墓場」からジャックを救う「世界の果て(World's End)」までの海図の行方は?3.ベケット卿率いる艦隊に果たしてバルボッサらは対抗出来るのか?4.世界の9人の海賊が揃う「評議会」がベケット卿に対抗するために出した結論とは?5.バルボッサの一行の中の謎の女「ティア・ダルマ」の驚愕の正体とは?6.デイヴィー・ジョーンズは何故、タコの姿になったのか?7.「世界の果て」に着いたブラックパール号、フライイング・ダッチマン号、ベケット卿の艦隊の最後の戦いの結果は?8.ウィルとエリザベスの恋物語の行方は?ウィルの父ビルを彼は救出出来るのか?などを中心に是非映画館では「エンドロールと同時に立ち上がらず」最後までご覧下さい。【鑑賞後の感想】「1」を観る前は単なる子供向け娯楽映画程度だろうとバカにしていたのが以外に面白く、「2」では明らかに「3」へ続く繋ぎで消化不良的な終わり方で不満をもち、「3」でようやく完結した、と思ったらエンドロールの最後にちゃんと「オチ」が用意されてこれで完結だった。ディズニーのキャラクターからヒントを得て製作されたのでどうしてもキャラがグロテスクだったりしてそうした点に目が行ってしまうが、イギリスの植民地政策との絡みが出てきたりウィルとエリザベスとの恋物語を最後の最後まで引っ張ったりと退屈しない構成も見られた。「3」は舞台がアジアのシンガポールだったりして、最初は純粋にカリブ海を舞台にしていたのが何時の間にかアジアにまで進出したりして。この映画ではジョニー・デップがアカデミー賞にノミネートされたりと、本来はこの手の娯楽映画に対しアカデミーは冷たいのだがそれだけ彼の演技も評価されていた。この映画を通してキーラ・ナイトレイやオーランド・ブルームはスターダムを駆け上ったと行っても過言ではない。映画の娯楽性と言う意味では細かい突っ込みを抜きにして楽しめる、幅広い年代層に娯楽映画としてアピール出来るだろう。一度、1~3まで通してみてみたい。【自己採点】(100点満点)71点。遂に全てが解決して点でスッキリした。ローリング・ストーンズのキース・リチャーズがどこかに出ていますので、興味のある方は探してみてください。チョウ・ユンファのメイクってプロレスラーの「武藤」(全日本)に似ていたな~。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ←是非クリックして下さい
2007.06.14
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42.主人公は僕だった■原題:Stranger Than Fiction■製作年・国:2007年、アメリカ■上映時間:112分■鑑賞日:6月1日、新宿武蔵野館(新宿)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:マーク・フォースター□製作:リンゼイ・ドーラン□脚本:ザック・ヘルム□音楽:ブリット・ダニエルキャスト◆ウィル・フェレル(ハロルド・クリック)国税庁の会計検査官で暗算が得意で毎日同じ行動をする◆トニー・へイル(デイヴ)ハロルドの同僚で唯一の友人◆マギー・ギレンホール(アナ・パスカル)小さなケーキ屋を経営するが意図的に脱税する◆エマ・トンプソン(カレン・アイフル)主人公を必ず殺す悲劇作家だが10年間発表していない◆クイーン・ラティファ(ペニー・エッシャー)カレンの助手として出版社から派遣される◆ダスティン・ホフマン(ジュールズ・ヒルバート)大学で文学論を教える一方で水泳のコーチもする【この映画について】国税庁の役人として毎日規則正しい生活を送る平凡な独身男の話。「奥様は魔女」でのダーリン役や「プロデューサーズ」での奇妙な脚本家を演じていたウィル・フェレルが、ここでは真面目で平凡な男を好演している。そのフェレルから脱税を指摘され帳簿を徹底的に調べられるケーキ屋のアナを「ワールド・トレード・センター」などのマギー・ギレンホールが演じる。他にはダスティン・ホフマンが大学教授ながら何故か水泳コーチもする役だったりと芸達者な俳優陣がそろっているのにも注目したい。【ストーリー】(ネタバレなし)平凡で面白みのない男、ハロルド。国税庁の会計検査官である彼は、過去12年間、毎日決まりきった生活を送っている。就寝時間、毎朝の歯磨きの回数、家を出る時間、バスの乗車時間、ランチタイム中のコーヒータイム...しかしある朝、ハロルドの頭の中に、彼の行動を文学的な表現で語る女性の声が割り込んできた。それからというもの、その声はハロルドの頭にたびたび響くようになる。彼女によれば彼はどうも小説の主人公のようで、しかも彼に死が近づいていることもほのめかしていた。「このささいな行為が死を招こうとは、彼は知る由も無かった」この言葉が彼の運命を変えたのだ。それから自分の運命を変えようとするハロルドの奮闘が始まった。まずは精神科医の元へ「統合失調症」それが下された診察結果だった。次は大学教授で文学論を教えるジュールズ・ヒルバートの研究室を訪問する。だがそこでも彼は相手にされず、まさに研究室を去ろうとしていたときに発した「...知る由もなかった」というフレーズを聞いたときヒルバート教授は何かを感じた。その表現はとても文学的でとても役人である彼が編み出せる言葉だとは思えなかったからだ。そこで教授は彼に女性の声が聞えたらそれらを書き留めるように言い残す。その頃、ハロルドは小さなケーキ屋が脱税しているのではという疑惑からある店に出向く。小さな店ながらも繁栄しているようであるその店はアナ・パスカルという女性が一人で切り盛りする。アナは税金から防衛費に使われるのが許せないのでその一部は払わないという「確信犯」だ。彼女の店で過去3年分の帳簿を徹底的に調査し疲れ果てたハロルドが帰る際に、アナはクッキーを焼いてくれた。アナは大学在籍中のある時をきっかけにケーキ屋を経営する事を思いついたことを話し、余った分をお土産にと親切心から渡そうとするが、ハロルドは公務員規程というお堅い規則を持ち出し受取らず逆にアナの怒りを買ってしまう。ヒルバート教授から今度は、一日中なにもしないことで物語が進行するか試す事にしたがその結果は...予想もしない出来事が。ついにヒルバート教授はあきらめにも似たアドバイスを送る。どうせ殺されるなら人生を好きに生きろ!と半ば冗談のようなアドバイスだった。ハロルドは自分の人生を振り返り、自分のやりたい事或いはやりたかったことを思い出し実行に移していくのだったが...。そして、アナへの気持ちは断ち難く、彼は大胆な行為に出るのだった。そしてヒルバート教授は声の主が悲劇作家のカレン・アイフルであると偶然突き止めた。それを知ったハロルドは...どうする?さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.アナは大学時代に何がきっかけでケーキ屋を開業することを思いついたのか?2.ハロルドが一日中何もしなかった日に突如起こった出来事とは?3.ハロルドが自分の人生でやりたかった事とは?それをどう実行したのか?4.ハロルドがアナへの気持ちを告白した手段とは?5.ヒルバート教授が声の主をカレン・アイフルと特定出来たきっかけとは?6.ハロルドはカレンに自分を殺す事を止める事が出来るのか?その手段とは?7.ハロルドとアナの関係はこの先どうなる?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】ウィル・フェレルの印象はどうしてもコミカルなイメージがあるのだが、この映画はどこかユーモラスな生活信条や勤務態度を「真面目」な表情で演じている点が気に入った。国税庁検査官なんてどこの国でもお堅い仕事で国民に嫌われる代表格みたいな仕事だが、そのイメージを崩さない前半と後半ではそれを葛藤しながらも崩そうとそれなりに頑張る姿も面白かった。ストーリー的には予定調和的な終わり方であったが、そこに行き着くまでの展開でのダスティン・ホフマン演じる教授役は大事なパートだが余裕のある演技は流石だった。マギー・ギレンホールのエキセントリックな表情や女性的なはにかむ表情の落差もグー。ハロルドを命の危機に陥れる作家を演じるエマ・トンプソンと助手を演じるクイーン・ラティファもユニークな存在だった。こうしてどこか平凡なストーリー展開でも、こうした演技達者な俳優陣が揃うと見どころの多い映画に変わるのでつくづく映画は脚本と俳優次第だと改めて思った次第だ。【自己採点】(100点満点)77点。予告編で観た時に想像していた点数よりかなり上回った。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ←是非クリックして下さい
2007.06.07
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38.ロッキー・ザ・ファイナル■原題:Rocky Balboa■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:103分■鑑賞日:5月6日、新宿ジョイシネマ2(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督・脚本:シルベスター・スタローン□製作:チャールズ・ウィンクラー、ウィリアム・チャートフ□音楽:ビル・コンティキャスト◆シルベスター・スタローン(ロッキー・バルボア)老齢に達した元ヘビー級王者で現在はレストラン経営者◆バート・ヤング(ポーリー)ロッキーの元トレーナーで現在は食品加工工場で働く◆ジェラルディン・ヒューズ(マリー)元不良少女であったころに王者だったロッキーから温かい言葉を掛けられた◆ジェームズ・フランシス・ケリー3世(ステップス)マリーの一人息子でロッキーの店で働く事に◆ミロ・ヴィンティミリア(ロバート・バルボア)ロッキーの息子で父の名声に悩まされ育つ◆アントニオ・ターヴァー(ディクソン)無敵の現役ヘビー級王者だが人気が無いのが悩み【この映画について】『ロッキー5/最後のドラマ』から16年の時を経て制作された、シルベスター・スタローンが自ら脚本を書いた出世作ロッキー・シリーズの完結編。最愛の妻エイドリアンを失い孤独と悲しみの中で暮らすロッキーが、老齢を迎えて再びボクシングにチャレンジする姿を描く。監督・脚本・主演を務めるのはもちろんシルベスター・スタローン。すでに還暦を迎えている彼だが、鋼の肉体はまだまだ健在。ラストのファイトシーンで繰り出すパンチは、世界王者の頃のロッキーを思い起こさせるほどの重々しさを持っている。いかにもアメリカ的な「夢を信じてチャレンジを続ける“ネバー・ギブ・アップ”精神」を全面に押し出したファイトスタイルは観る者を勇気付ける。スタローンはこれでロッキー・シリーズに決着をつけて、次は、「ランボー」シリーズの再開に向けて新たなエネルギーを注ぐ積りらしい。【ストーリー】(ネタバレなし)かつてヘビー級王者としてボクシング界の栄光の階段を昇りつめたロッキー・バルボア。しかし今では愛する妻エイドリアンに先立たれ自ら経営するイタリアン。レストラン「エイドリアンズ」で、彼を目当てに訪れるファンに昔話を聞かせる日々の生活が続く。息子のロバートは家を飛び出し、孤独とともに日々を過ごしていた。エイドリアンの命日に彼の兄であり親友のポーリーとともに、墓参りをし二人の思い出が詰っている場所を巡るのだったがロッキーは未だにエイドリアンの死から立ち直れないでいる。そんな中、かつての馴染みのバーに立ち寄ったロッキーは、マリーというシングルマザーと出会う。ロッキーは忘れかけていたが、マリーは未成年のころタバコを吸っているところをたしなめられ家に送ってもらっていた。この偶然の再会をきっかけにロッキーはマリーとその一人息子のステップスとの交流を急速に深めていくのだった。その後彼は、心の喪失感をぬぐうために、再びボクシングを始めることを決意するのだったが…。そして親友のポーリーにもその真剣な気持ちを打ち明け遂にライセンス取得を果たす。その頃、ボクシング界はヘビー級王者のディクソンは無敵を誇るが格下の相手ばかり選び「不人気王者」としてファンはそっぽを向いていた。TVのスポーツ番組では元ヘビー級王者のロッキーと現王者のディクソンの仮想激突を企画し大いに反応があった。この番組の企画からロッキーへの関心が沸き、世間ではロッキーとディクソンとの対戦が実現するかに関心が移ってきた。そしてディクソン陣営はこの世間の注目を集めるであろう対戦に興味を示すのだった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ロッキーは一度はライセンス申請を却下されたが、その後彼が再申請時に訴えた事とは?2.マリー母子がロッキーの店で働くきっかけとなったのは?3.ディクソン陣営が敢えてノンタイトル戦ながらロッキーとの対戦を受ける背景とは?4.ラスベガスでディクソンとの対戦を受諾したロッキーの勝機とは?5.かつてのトレーナーでもあるポーリーとの過酷なトレーニング内容とはどんなものか?6.現役王者との想像を遥かに上回る壮絶な戦いの結末とは?などを中心に是非映画館でご覧下さい。特に、ラストのファイトシーンは圧巻ですよ!【鑑賞後の感想】スタローンには「ロッキー」「ランボー」の2つのシリーズ大ヒット作がある。その中でもやはり「ロッキー」シリーズの大ヒットは彼の名声を高め、その人気を決定付けた記念碑的作品であると同時に「アメリカ版スポ根」映画の決定版とも言える。今回は一度はシリーズに幕を閉じていたのが、歳を取っても「挑戦しようとする人間を止める権利が誰にあるんだ!」という見事な決め台詞がこの映画の全てを物語っている。疎遠だった息子との関係、マリーとの久し振りの再会、ポーリーとの友情などロッキーの周辺の人生ドラマのサイドストーリーもさり気無く盛り込んでいる点は好感を持てる。ストーリーの流れとしては所々中だるみ的なシーンもあるのだが、ファイトシーンは流石に本職のボクサー相手だけあって迫力があるしサプライズ・ゲストが登場したりして盛り上げてこの辺の流れはやはりアメリカ映画の典型であろう。壮絶なラスト・シーンでは実際にラスベガスにおいてボクサーを相手に撮影されている。私はそれなりにボクシングが好きで世界戦をWOWOWで見るのだが、レフリーや3人のジャッジ、リングアナウンサー(マイケル・バッファー)、放送局(HBO)、タイソン?はどれもラスベガスでの世界戦では必ず出てくる「本職」の方々である点を付け加えておく。そうそう、エンドロールも必ず観て下さいね、面白いシーン満載ですので。【自己採点】(100点満点)80点。予定調和的ラスト・シーンは、これでこのシリーズも完結すると思うとある意味感動的だった。試合の勝者と会場のファンが下した勝者はどちらだったのかは明白だった、そんなラスト・シーンはこれで良かったと私は判断する。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ←是非クリックして下さい
2007.05.22
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36.ママの遺したラヴソング■原題:A Love Song For Bobby Long■製作年・国:2004年、アメリカ■上映時間:120分■鑑賞日:5月5日、シネ・スイッチ(銀座)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督・脚本:シェイニー・ゲイベル□製作:ポール・ミラー、デイヴィッド・ランカスター、ボブ・ヤーリ□原作:ロナルド・イヴァレット・キャップスキャスト◆ジョン・トラヴォルタ(ボビー・ロング)元大学教授でパーシーの母と親しかった◆スカーレット・ヨハンソン(パーシー・ウィル)祖母に育てられ母の突然の死でニューオーリンズへ向かう◆ゲイブリエル・マック(ローソン・パインズ)ボビーを慕う作家でボビーと共同生活をする◆デボラ・カーラ・アンガー(ジョージアナ)ボビーとローソンが行きつけのバーのウェイトレス◆デイン・ローズ(セシル)ボビーらが住む隣家の住人でパーシーの名付け親【この映画について】『ママの遺したラヴソング』は、『真珠の耳飾りの少女』『アイランド』など多数の注目作に出演し、今最も光り輝く女優スカーレット・ヨハンソンが出演を熱望したという作品。この映画の中で彼女は、現在よりも青く瑞々しい色気を発している。またこの作品で、2004年度ゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされている。また相手役は『パルプ・フィクション』『炎のメモリアル』などで渋い演技を披露し円熟期にあるジョン・トラヴォルタが務め、今まで見せたことのない繊細な表情を見せて我々を驚かせてくれる。監督はシェイ二ー・ゲイベル。この女性監督の手により、観る人を、あたかたく優しい気持ちにさせてくれるハートウォーミングな物語が紡ぎ出された。文学的な表現や詩的な会話と、ハリケーンに襲われる前のニューオーリンズの景色と音楽も見どころ。【ストーリー(ネタバレなし)】フロリダで怠惰な生活を送りボーイフレンドのトレイラーハウスで過ごすパースレーン(通称パーシー)に、長年会っていなかった母の訃報が届く。早速ニューオーリンズの生家に帰ったパーシーを待っていたのは、見知らぬ二人の男。元文学部教授のボビー・ロングと彼を慕う作家志望の青年ローソン。二人は母の友人で遺言で二人にも住む権利があると主張し古ぼけた一軒家で、三人での同居を嫌い直ぐに高速バス乗り場へと駆け帰ることにする。ところがバス待合所で一軒家から持ってきた形見である本「心は孤独な狩人」を貪るように読んでいたとき最後のページに、シンガーだった母からボビー・ロングへの「どんな時も歌がある」との献辞が添えられていた。その句が気になったパーシーは、彼女が知らなかった生前の母を知ろうと決意し嫌々ながらの同居生活が始まる。新しい生活、文学との出会い、初恋、そして初めて聞く亡き母の横顔。ささくれだっていたパーシーの心は、いつか少しづつ癒されていく。生意気盛りのパーシー、皮肉屋でパーシーを追い出したいと思っているボビー、パーシーを温かく見守るローソンとの共同生活はすれ違いばかりだった。それでも隣家のセシルから自分の名前の由来や幼い頃の母との話を聞かされていくうちに母への思いが強くなっていくのだった。冬になりX’masイヴの夜、酔っ払ったボビーはローソンに対し作家としての活動が滞っていることへの長年の不満をぶちまけてしまう。そしてパーシーはその時、ボビーとローソンの二人がどうしてアラバマの大学からニューオーリンズへと来たのかを知ったのだった。季節も春になりパーシーは大学に進学するかどうか悩んでいた。彼女にはX線技師になりたいという漠然とした目標があったのだったが...そしてある日、この共同生活はかつてのボーイフレンドがフロリダから突如姿を現したことで終焉を迎えるのだった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.母が暮らしていたニューオーリンズでのパーシーの母の足跡探しは何が目的だったのか?2.ニューオーリンズで母の昔話を聞かされたパーシーの胸に去来した感情とは?3.パーシーの名前に由来である「パースレーン」の名付け親セシルがこめた意味とは?4.ボビーはどういう経緯でアラバマの大学を捨ててニューオーリンズへと来たのか?5.酒、タバコに浸っていたボビーの体を蝕んできた病とは?6.突如現れたパーシーの昔のボーイフレンドの意図とは?彼はパーシーに何を告げたのか?7.引越しに備えて片づけをしていた時にパーシーが発見した母の自分への未公開の手紙とは?8.母の手紙で分かったパーシーの出生にまつわる驚愕の事実とは?などを中心に公開館は限定されていますが、観に行ける方は是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】文学的な原作を如何にして映像にして、そしてそれを演じる演技力のある俳優を配するのか難しかったはずだ。それをジョン・トラヴォルタとスカーレット・ヨハンソンの二人が見事に演じていた。私の大好きな女優でもあるスカーレット・ヨハンソンはこの映画に出演していたころは、今の様に超売れっ子になる直前だったが演技力はしっかりしている。祖母に育てられて母の記憶が殆ど無い少女の役を、時にはすねたり時には素直にと少女から大人への移行期の不安定な情緒の女性を無理する事無く演じていた。ジョン・トラヴォルタは体型的にも貫禄が付いて来たが、1970年代には青春スター的映画俳優から見事に演技が光る俳優へと自然な形で移行していった。最近の映画でも彼が出ているのは存在感があり、彼が出ているだけで映画全体にどしっとした芯が通る。今回は大学教授だった彼が家庭トラブルで追われるようにニューオーリンズに来たことでこの物語が始まっている。そうした苦悩を全面に出さず酒とタバコに明け暮れる生活を巧みに演じていた。最後にこの映画の大半のロケ地はハリケーン前のニューオーリンズ市内とその近郊だ。このロケ映像がすばらしく、この映像が映画の進行上も欠かせないアイテムとなっておりこの映像なくしてこの映画も無かったと断言出来るほどの出来栄えだ。その映像に見事にマッチしている南部独特のブルース音楽を基調とし、ジョン・トラヴォルタもギターを片手に数曲見事な歌を披露している。音楽と映像の一体感と言う点では満点に近い。セリフには文学的な表現や格言がポンポン飛び出してくるのにも注目!【自己採点】(100点満点)88点。ストーリー、映像、音楽、俳優らの魅力が全て詰っている素晴らしい映画。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ←是非クリックして下さい
2007.05.11
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33.ラヴソングができるまで■原題:Music And Lyrics■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:104分■鑑賞日:4月29日、渋谷シネパレス(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督・脚本:マーク・ローレンス□製作:マーティン・シェイファー、リズ・グロッツァー□音楽:アダム・シュレシンジャーキャスト◆ヒュー・グラント(アレックス・フレッチャー)元アイドル・グループ「PoP!」のメンバーだが...◆ドリュー・バリモア(ソフィー・フィッシャー)姉の経営するダイエット専門店を手伝うが元々は作家志望だった◆クリステン・ジョンストン(ローンダ)ダイエット専門店を経営するが「PoP!」の追いかけをしていた◆ブラッド・ギャレット(クリス・ライリー)アレックスのマネージャーで仕事を取るのに苦労する◆ヘイリー・ベネット(コーラ・コーマン)セクシーなダンスで若者に人気絶頂の歌手◆キャンベル・スコット(スローン・ケイツ)人気作家でかつてのソフィーの恋人。彼女をモデルにした本が売れて...【この映画について】今振り返るとちょっと笑っちゃう80年代のアイドル・バンド。その80年代アーティストをからかいながらも、ロマンティックで、ラストは胸キュン(古い?)しちゃうラブ・コメディ。主演は、コメディ・タッチの役を演じさせたら右に出るものはいない?ヒュー・グラントとドリュー・バリモア。ヒュー・グラントは、“元いい男”という新しいポジションを確立し、それを楽しんでいるかのようだ。今回、「ワム!」のアンドリュー・リッジリーを彷佛させる役を、スウィートに演じている。'80年代風のポップスやピアノ演奏を数曲披露しているのも見どころのひとつ。オープニングでMTV風の映像があったりとデート映画としても楽しめる。デビー・ギブソン、ティファニー、フランキー・ゴース・トゥ・ハリウッド、REOスピードワゴンなどと言った懐かしい固有名詞がポンポン出てきますよ!監督は、『トゥー・ウィーク・ノーティス』で長編デビューし、ヒュー・グラントとも息の合ったマーク・ローレンス。【ストーリー(ネタバレなし)】1980年代に爆発的な人気を博した5人組、「PoP!」のメンバーだったアレックス。グループはコリンとアレックスのダブル・ヴォーカルでグループ解散後コリンはソロ・アーティストとしても大成功を収め数々の賞を授賞し「ナイト」の称号まで手に入れていた。しかし、解散後に発売したソロアルバムが泣かず飛ばず。今では、過去のスターとなっていて「あの日とは今」的なTV局の一発企画に出演するか、小さなイベントで「PoP!」時代のヒット曲を歌い繋いでいた。ある日、若者に絶大な人気を誇るシンガー、コーラ・コーマンからアレックスに、曲の依頼が入る。聞くところによるとコーラはアレックスのファンだったということで直に依頼をしてきたが、同時に他にも同様の企画を持ち込んでいた。タイトルはコーラが最近恋人と別れたばかりということで「Way Back Into Love」(愛に戻る道)と決まっていた。またとない復活のチャンスだが、曲を書くのは10年ぶりで、元々作詞の才がなくこのままでは曲が出来ない。自宅でマネージャーのクリスと二人でピアノに向かうが詩は全く浮かばない。実績のある作詞家と組んでみるがフィーリングが合わないで曲作りは難航する。そんな時、自宅の植木係りとして雇ったソフィーに作詞の才能があることに気が付く。ソフィーは作家志望だったが、今は姉の経営するダイエット専門店を手伝っていた。ソフィーは元カレとの交際のもつれから書くことをやめてしまったが、元カレは著名な作家でもあった。そして元カレはその交際内容を本にしていた。アレックスは嫌がるソフィーを半ば強引に説き伏せて、コーラに提供する曲作りを手伝う事になったのだが。そして締め切りが迫る中、出来上がった曲をコーラに聞かせるために会いに行くのだったが...そこで意外な人物と再会したのだった!さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.意外な人物との再会とは誰だったのか?2.コーラは出来上がった曲を採用するのか?それとも...3.コーラが曲を聞いて二人にリクエストしたこととは?4.コーラのリクエストに対し二人はどう対応したのか?5.ソフィーがコーラに対し曲について注文を付けたこととは?6.ソフィーは果たして曲作りの面白さを知ることが出来たか?作家へ戻る事は?7.アレックスはコーラの人気に乗じシーンに復活することが出来たのか?二人の関係は?等を中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】映画の原題の意味するところは「(作)詩と(作)曲」ですね単純に分かるでしょうが。邦題は映画の内容全体を表現したかのようですね。まあ冒頭からMTV風の映像で始まり、これを見た瞬間に「ワム!」だ!って思いましたね。曲調もワム!らしいポップなはじける曲調でヒット曲「フリーダム」に似た雰囲気だし、劇中には「ケアレス・ウィスパー」そっくりなスローナンバーを歌うシーンまであります。ヒュー・グラント演じる役柄はまさにワム!の「アンドリュー・リッジリー」そのものでヒュー・グラントの表情も何となくアンドリューに似てない?元パートナーがソロで大成功を収めるといったくだりから「ジョージ・マイケル」を想像させられる。若者に人気絶頂のコーラは敢えて言うなら「ブリットニー・スピアーズ」あたりかな?このコーラを演じるヘイリー・ベネットって、どこか憂いを感じさせる表情とスタイルの良さをアピールしていた気になる若手女優さんだ。このコーラが得意とするサウンドが、東洋風というかインド風というか妙な宗教的な味付をしたダンスナンバーの設定だったがこれって誰のアイデアだろう?仏像をステージに設営しそこから登場するシーンは笑ってしまいました。アメリカ人はどう感じるか分からないけど、日本人が観れば大笑いしてしまうね。私も観ながら笑いを堪えていました。ヒュー・グラントは相変わらずとぼけた味を出していたが、ラストシーンではピアノの弾き語りを吹き替え無しで挑んだり歌うシーンもあるしこれって彼の「新境地?」でしょうかね。【自己採点】(100点満点)82点。1980年代を懐かしむように、そして楽しく観れたので高得点を付けました。ドリュー・バリモア、ちょいとオバサンっぽいメイクだった!←是非クリックして下さい人気blogランキングへ←是非クリックして下さい
2007.05.04
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30.オール・ザ・キングスメン■原題:All The King's Men■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:128分■鑑賞日:4月15日、新宿武蔵野館3(新宿)□監督・脚色:スティーヴン・ゼイリアン□原作:ロバート・ペン・ウォーレン□音楽:ジェームズ・ホーナーキャスト◆ショーン・ペン(ウィリー・スターク)不正を正すべくルイジアナ州知事に選挙で選ばれる◆ジュード・ロウ(ジャック・バーデン)ジャーナリストだったが後にスタークの側近となる◆ケイト・ウィンスレット(アン・スタントン)ジャックの少年時代の憧れの女性◆マーク・ラファロ(アダム・スタントン)アンの兄でジャックの昔の親友で医師◆アンソニー・ホプキンス(アーウィン判事)ジャックの親代わりで父として育てた◆パトリシア・クラークソン(セイディ・バーク)スタークの側近で広報官◆ジェームズ・ガンドルフィーニ(タイニー・ダフィー)州の役人でスタークを知事に担ぐ【この映画について】人は権力を握ると、次第に腐敗していくのか?この作品は、1920~30年代に活躍した実際の政治家をモデルにした原作の二度目の映画化。最初の映画化は1949年で、作品賞などアカデミー賞三部門受賞し、高い評価を受けた。今作では不正を正すために立候補し知事に就任したが、次第に悪に染まっていく政治家にアカデミー賞俳優ショーン・ペン、新聞記者で後に側近になるジュード・ロウいう二人の主演俳優を、ケイト・ウィンスレット、アンソニー・ホプキンスといった名優たちが脇を固めている。【ストーリー(ネタバレなし)】1949年、ルイジアナ州メーソン市、上流階級出身で新聞記者のジャックがウィリーと出会ったのは、郡の出納官だったときでウィリーが郡の汚職を非難していた頃だった。やがて職を辞したウィリーに、州知事選立候補の転機が訪れる。出納官の頃から州政府の不正を厳しく街頭で糾弾する辻説法を繰り返していたが誰も振り返ろうとはしていなかった。そのウィリーが訴えていた小学校校舎建設の不正入札に関わる問題で、欠陥工事が発覚し児童三人が亡くなる事件が起きて彼は一気に注目され人気を呼ぶ。その後、州の役人であるタイニー・ダフィーが現れウィリーをおだて州知事候補に祭り上げた。当初は対立候補の当て馬だったウィリーだが、そんな選挙の様子を記者として取材していたのがジャックだった。そんな様子を察しジャックは女性広報官セイディ・バークに「ウィリーは対立候補の票を割る為の存在」であることを忠告した。そしてジャックにもそうした懸念を伝え、演説では従来はダフィーが用意していた原稿を読んでいたのを止めさせ、演説スタイルと話し方を劇的に変える事で彼の主張は徐々に民衆の心を掴んでゆく。そして何時の間にか「ウィリー・スターク=民衆・貧者の味方」のイメージが定着することで勢いを得て形勢が逆転、遂に州知事に当選し民衆を驚かせた。「民衆の味方」を力に当選し大会社や金持ちにはそっぽを向かれたウィリーだったが、彼はジャックを側近として登用したがっていた。それに応えるようにウィリーの対立候補を応援していた会社の記者を辞め、ウィリーの参謀になっていった。時が経ち、ウィリーの権力は絶大になり、いつしか彼自身が嫌っていた汚職やスキャンダルにまみれることになる。ウィリーの側近であるダフィー、運転手のシュガーボーイ、ジャックはいつしかそうしたウィリーの指示に心の中で疑問を持ち始める。そして、遂にジャックにウィリーからスキャンダルのネタ探しを強要されるのだが...その為には自分のかつての憧れの女性だったアンや、育ての親でもあるアーウィン判事をも敵に廻しかねないものだった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ウィリーが民衆を味方につけた演説方法や演説場所の関係は?2.ウィリーは一体何を恐れてジャックが嫌がる調査を命じたのか?3.ジャックの調査で蘇ってきた彼が触れたくない自身の封じられた過去とは?4.ジャックの少年時代の憧れの女性アンと兄アダムの現在のジャックやウィリーとの関係は?5.親代わりのアーウィン判事はこの調査でジャックとどう接したのか?6.この調査に対するダフィやセイディの関わりは?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画の感想っていうか評価って難しい。ショーン・ペン演じる役人がちょっとしたきっかけから州知事へと登りつめ、そして何時の間にか大統領候補とまで目されるようになっていった人物を相変わらず彼らしく演じていた。ショーン・ペンの例のエキセントリックな表情や行動の演技はここでも遺憾なく発揮されていたので、こうした点では良かったかな?逆にネタバレになるのでラストは書いていないのだが、州知事というイスに固執し始めたウィリーを実は影で快く思っていなかった人物と利用しようとした人物がいた訳だが、その結果の対比は面白かった。この辺の心理的描写をもう少し盛り込んでいけばもっとスリリングなストーリーになったかも。ケイト・ウィンスレット、アンソニー・ホプキンスの登場シーンが思ったより少なかったのが不満な点。ジュード・ロウは現在公開中の「ホリディ」での軽い役とは異なる役どころを演じていたが、こうした演技も出来ることを見せる事も必要だろうねこれからは。【自己採点】(100点満点)70点。ストーリーが多少重かったのと映像的に魅力的でなかったので。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━自己PRコーナー:今度、「旅行ブログ」を開設しました。徐々に旅行記を増やしていきますので、宜しければご覧下さい。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━←映画「オール・ザ・キングスメン」関係のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
2007.04.19
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29.ブラッド・ダイヤモンド■原題:Blood Diamond■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:143分■鑑賞日:4月7日、新宿ミラノ1(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督・製作:エドワード・ズウィック□製作:ポーラ・ワインスタイン、マーシャル・ハースコビッツ、グレアム・キング、ジリアン・ゴーフィル□脚本:チャールズ・レヴィット□音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワードキャスト◆レオナルド・ディカプリオ(ダニー・アーチャー)旧ローデシア出身の白人でダイヤ密売人◆ジャイモン・フンスー(ソロモン・バンディ)メンデ族の漁師だったが反政府軍に拉致される◆ジェニファー・コネリー(マディー・ウォーター)米国の雑誌のカメラマン兼記者でダニーと知り合う◆カギソ・クイパーズ(ディア・バンディ)ソロモンの息子だが反政府組織に拉致され少年兵に仕立てられる◆アーノルド・ヴォスロー(コッツィー大佐)ダニーを雇い兵からダイヤの密売人へ「成長」させる【この映画について】アフリカの地域紛争で武器等の資金源となっていると言われる、不法取引されたダイヤモンド。物語の中心はかつては内戦で国が疲弊した1999年のシエラレオネが舞台。政府側と反政府軍RUFとの対立を軸に、そこに白人が絡みお互いの思惑がダイヤを通して描かれている。この作品でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたレオナルド・ディカプリオが演じたのは、元兵士のダイヤ密売人。現地独特の英語アクセントを身につけた上で、裏の世界に生きる男をメリハリのある演技で表現した。監督は『ラスト サムライ』のエドワード・ズウィック。授賞こそ逸したがアカデミー賞にはレオの主演男優賞以外に、ジャイモン・フンスーの助演男優賞、編集賞、音響効果賞、録音賞で候補になった。アフリカを題材にした作品が多い中、この映画では「ダイヤモンド」を通して人間の欲望がむき出しになる部分まで画いている点にも注目して観て頂きたい。【ストーリー(ネタバレなし)】1999年、内戦が続くアフリカ、シエラレオネ共和国。メンデ族の漁師ソロモン・バンディーは、自慢の息子ディアを医者にすることが、彼のささやかな夢。しかし、そんな穏やかな暮らしも、反政府軍RUFの襲撃によってたちまちのうちに崩れ去る。家族と引き離されたソロモンが連れて行かれたのはジャングルの奥深い川のダイヤモンドの採掘場。劣悪な環境で掘り出されたダイヤがRUFの資金源となっているのだ。厳しい監視のもとで労働に駆り立てられていたある日、川で作業中にソロモンの足元には驚くほど大粒のピンク・ダイヤを発見する。彼は「トイレに行きたい」と監視員に告げて監視の目をかいくぐり、ピンク・ダイヤを誰にも知られない場所に隠したが、監視員に不審な行動を目撃され咎められているまさにその時、政府軍により急襲されRUFは壊滅的打撃を被りソロモンは政府軍に捉えられダイヤを隠したまま刑務所に送られる。一方、そのダイヤの密輸を生業にしている男が白人がかつて支配していた旧ローデシア出身の元雇兵だったダニー・アーチャーだ。自分のしていることが紛争を長引かせ、その結果、多くの命が犠牲になっていることなどお構いなし、それが彼の生き方だった。ある時、密輸に失敗したアーチャーは、投獄された刑務所で思わぬ話を耳にする。巨大なピンク・ダイヤがどこかに隠されているらしいというのだ。そして、その場所を知っているのは、ソロモン・バンディーという男だけ。刑務所には、政府軍によって捕らえられたRUFの兵士たちとともにソロモンも収監されていたのだ。 ほどなく釈放されたアーチャ-は、行きつけのバーでアメリカ人ジャーナリストのマディー・ボウエンと出会う。彼女が追いかけているのは、まさにRUFの資金源となっている“ブラッド・ダイヤモンド”の真相。アーチャーがダイヤの密売人であることを知ったマディーは彼に情報の提供を求めるが、アーチャーは固く口を閉ざす。しかし、彼はすぐにマディーの助けが必要となった。ピンク・ダイヤの隠し場所を聞き出すべく、裏から手を回して釈放させたソロモンは、ホテルで働きながら家族探しに血眼になっている。そこでアーチャーは、家族探しを手伝う代わりにダイヤを埋めた場所へ案内するようソロモンに持ちかけ、マディーには、情報の提供と引き換えに、ジャーナリストの立場を使ってソロモンの家族を探してくれるよう国連のつてを頼りにする。そして、たどり着いた難民キャンプ。待ち焦がれていた家族との再会を果たすのだったが...しかし、そこに妻の姿はあっても息子ディアの姿はなかった。誘拐してきた少年たちに洗脳教育を施し、少年兵に仕立てるためにRUFが連れ去った可能性が高い。この先、危険の渦中に乗り込んで息子を探し出すためには、どうしても助けが必要だ。ソロモンは覚悟を決め、アーチャーの申し出を渋々受け入れた。そして二人でソロモンが隠した場所を目指すのだったが、そこまでには多くの困難が待ち受けていた。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.一家での再開を強く望むソロモンだが、妻と息子ディアを取り戻せるのか?2.アーチャーは恩人でもあるコッツィー大佐とピンク・ダイヤを巡り如何なる取引をするか?3.アーチャーが密かに胸に抱いているピンク・ダイヤ発見後のプランとは?4.アーチャーが身の危険を感じてマディーに託していたメッセージとは?5.洗脳されていたディアは果して元の姿に戻れるのか?6.シエラレオネ内戦のその後は一体どうなったのか?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】ここ数年の「トレンド」としてアフリカを直接的に題材にした映画が増えてきた。白人にとってアフリカ大陸での出来事は、理解出来ない部分やミステリアスな側面が題材への興味を駆り立てているのだろうか?「ブラッド・ダイヤモンド」はレオナルド・ディカプリオがアフリカ出身の白人ダイヤ密売人として描かれている。彼は元々は雇兵だったが成年になる前にコッツィー大佐に出会い、ダイヤの知識を身に付け密売人となっていくがこの辺の様子はさらりと語られるだけだ。物語の中心は家族が離れ離れになったソロモンの家族を取り戻したいという強い心の現われがテーマでもある。そこに家族を持たない主義のレオ演じるアーチャーと、こちらも独身のアメリカ人ジャーナリストのマディが何時の間にか意気投合してお互いの利害を乗り越えて協力する姿だ。ソロモンは家族の大切さをアーチャーに説くシーンがあったりして、それに耳を貸そうとしない場面があったりとこの辺はアメリカ映画らしいなと感じた。レオはこの映画でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたのだが、なるほど、この映画を観て彼のダイヤ密売人を演じる姿はまさに「熱演」で彼の演技の幅が広がったのではと私は思った。アフリカを題材にした映画は大体がアフリカの利権や天然資源を奪おうとする白人対部族対立が根強いアフリカ土着民といった構図だが、この映画でもそうした描き方だった。これからはこうした構図だけでない描き方も観てみたい気がした。【自己採点】(100点満点)84点。ディカプリオの熱演とアフリカ・ロケの映像に対しての点数。人気blogランキングへ←是非クリックして下さい
2007.04.13
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28.ホリデイ■原題:The Holiday■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:135分■鑑賞日:4月7日、新宿グランドオデヲン座(歌舞伎町)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督・脚本・製作:ナンシー・メイヤーズ□製作:ブルース・A・ブロック□製作総指揮:スザンヌ・ファーウェル□音楽:ハンス・ジマーキャスト◆キャメロン・ディアス(アマンダ)ロスで映画の予告編制作会社を経営するキャリアウーマン◆エドワード・バーンズ(イーサン)アマンダと同棲していたが浮気を疑われ破局◆ケイト・ウィンスレット(アイリス)ロンドンの新聞社の勤務するが憧れていた同僚の男性が社内結婚することに◆ルーファス・シーウェル(ジャスパー)ケイトの憧れの対象だったのだが...◆ジュード・ロウ(グラハム)アイリスの兄で2児の父◆ジャック・ブラック(マイルズ)アマンダの仕事仲間◆シャニン・ソサモン(マギー)マイルズがぞっこんの交際相手なのだが...◆イーライ・ウォラック(アーサー)ハリウッドの名脚本家だった老人で現在は下半身が弱っている【この映画について】「恋愛適齢期」で大人の恋を描き好評を博したナンシー・メイヤーズ監督が、“ホーム・エクスチェンジ”という未知の題材を使って妙齢の女性の新しい恋を演出した。キャメロン・ディアス(ソフトバンクのCMで颯爽とした姿を披露していますね)、ケイト・ウィンスレットという最高のスターを得て、女性監督らしい視点の物語に仕上がっている。もちろん、それぞれの恋の相手、ジュード・ロウとジャック・ブラックの男性陣も魅力たっぷり。2組の恋の行方を、アメリカとイギリスの時差を利用しながら同時進行していく語り口と音楽が見事に絡んでいる。【ストーリー(ネタバレなし)】傷ついた心を癒すため、見知らぬ土地に旅立つ事を衝動的に決心したアマンダとアイリス。アイリスはロンドンの新聞社に勤める記者で、3年間愛し続けてきた同僚のジャスパーが、会社のX’masパーティー会場で他の女性との婚約を発表し放心状態となり泣きじゃくる。ロスで映画の予告編製作会社を経営するアマンダは、同棲中のイーサンが朝帰りしたことを咎め破局を迎えた。そんな二人がネットで傷心旅行先として選んだのが、ロスとロンドン近郊にあるお互いの家を2週間だけ交換する「ホーム・エクスチェンジ」をする事に。こうしてロスからロンドンにやってきたアマンダは、同棲していた恋人と手ひどい別れをしたばかり。一方のアイリスは、片思いしていた同僚の婚約発表により失恋…。新しい土地で彼女たちを待っていたのは、美しい家と思い掛けない出会いだった。アマンダが滞在したのはロンドン郊外のコテージ風の田舎家で、ロスとは違う空気を満喫していた。ところが、そこに事情を知らない兄のグラハムが夜中に酔っ払ってやってきた。アマンダはグラハムに双子の子供がいる事が分かり心を寄せ始めていただけに複雑な気持ちを抱く。アイリスはロスのプール付きのアマンダの家で寛ぐ。ここでも事情を知らない仕事仲間のマイルズが恋人のマギーを連れて来るまで訪れてきたのだが、これがマイルズとアイリスの初対面だった。そのマイルズが後日マギーが別の男と親しげに話しているのを目撃しショックを受けアイリスに相談する。アイリスは家の前を歩行器で毎日歩く練習をするアーサーという老人と知り合う。アーサーはかつてはハリウッドでも有名な脚本家であり、折に触れ映画の話を熱く語るのだった。アーサーは傷心のアイリスに優しい言葉を投げかけ、アイリスはアーサーが固辞している彼の功績を讃えるパーティーを開催させ成功させたいと思い始めるのだが...こうして二人の傷心の女性は、果して自分の心を癒し大事な何かを手に入れる事が出来るのか?さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.アイリスとアマンダがホームエクスチェンジで得た心の安らぎとは?2.アマンダとグラハムの関係は深まる事があるのか?3.アイリスの気持ちを知らなかったジャスパーはこの後どういう行動を取るのか?4.マギーとの仲がギクシャクし始めたマイルズだが、アイリスとの関係はどうなる?5.アーサーのパーティーへの出席をかなえることをアイリスは出来たか?6.アイリスとアマンダは果して会って思いを語ることが出来るのか?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】「恋愛適齢期」でみせた女性の視点からの見事な心理描写をまたここでもナンシー・メイヤーズ監督は発揮した。恋に破れた女性の単なる平凡な傷心旅行にせず、お互いの自宅を交換し訪問する「ホーム・エクスチェンジ」というアイデア(そういうシステムがあるか知りませんが)を浮かべたのは興味深かった。国も住環境も異なる中に身を置くことで、従来の自分の殻を破り新たな自分を発見するきっかけにこの制度はなったようだ。それにしては余りにもすんなりと新たな恋が手に入ったのは多少疑問に思えるが、それでも男性も女性もお互いのパートナーとの関係を見直すことで自分が人生のなかで貴重な体験をし将来の糧になったのでこれもハッピーエンドというべき終わり方だろう。【自己採点】(100点満点)82点。「ホーム・エクスチェンジ」というアイデアが気に入った!人気blogランキングへ←是非クリックして下さい
2007.04.10
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24.ラスト・キング・オブ・スコットランド■原題:The Last King Of Scotland■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:125分■鑑賞日:3月21日、池袋HUMAXシネマズ2(池袋)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:ケヴィン・マクドナルド□脚本:ピーター・モーガン、ジェレミー・ブロック□原作:ジャイルズ・フォーデン□製作:アンドレア・カルダーウッド、リサ・ブライアー、チャールズ・スティールキャスト◆フォレスト・ウィテカー(イディ・アミン)ウガンダの独裁者で大統領◆ジェームズ・マカヴォイ(ニコラス・ギャリガン)スコットランド出身の医者でアミンの主治医◆ケリー・ワシントン(ケイ・アミン)アミンの第2夫人でニコラスと不倫関係に陥る◆サイモン・マクバーニー(ストーン)ウガンダ駐在の英国の高等弁務官◆ジリアン・アンダーソン(サラ・メリット)村の診療所で働く医師の妻でニコラスと危ない関係に◆ステファン・ルワンギェジ(ワッサワ厚生大臣)アミン政権の厚生大臣だったが...【この映画について】ガイルズ・フォーデンの処女小説を元にしたドラマは、スコットランドの青年医師ニコラスが人助けの理想に燃え、ウガンダにやって来るところから始まる。これにアミン大統領をはじめとする実在の人物や、エア・フランス機のハイジャック事件などの歴史的出来事がからみ紡がれていくラストシーンまでの流れは見事だ。アミン役はフォレスト・ウィテカー、独裁者の光と影の部分を見事に捉えた熱演を披露し2006年のほぼすべての映画賞で、主演男優賞を総なめにしアカデミー賞主演男優賞を授賞した。そんなウィテカーとぶつかりあいを繰り広げるニコラス役のジェームズ・マカヴォイは、スコットランド人俳優。ニコラスがアミンと関わる事で自分の理想とかけ離れてゆく焦りと人間の欲望への誘惑に悩む姿を好演している。撮影の大部分をウガンダでのロケに費やしたことでリアリティをより一層感じるし、アフリカのリズムを強調した音楽も見事に映像とマッチしているので注目してもらいたい。【ストーリー(ネタバレなし)】スコットランドの医学校を卒業したニコラス・ギャリガンは、父と同じ医師の道を目指した。しかし自分の技術を困ったいる人の為に役立てたいとの志を胸に、偶然選んだウガンダにある診療所で働くことを決めた。ニコラスが現地に着いたのは1971年。軍事クーデターによってオボテ政権が倒れ、イギリスの支援を受けたイディ・アミンが、新ウガンダ大統領の座についた直後のことだ。軍隊のヒーローであるアミンは、国民の期待を一身に集める希望の星だ。そんな彼が、診療所の近くで演説すると聞き、興味を抱いて出かけて行くニコラス。診療所の先輩医師の妻であるサラは関心を示さなかったが、半ば強引に彼女を誘って演説を聞くニコラスは熱弁をふるうアミンのカリスマ性に、集まった多くの民衆と同様に強くひきつけられるのを感じる。そんなニコラスとアミンの運命がひとつに交わる出来事が、演説会の直後に起こった…。アミンの車が帰る途中で農耕用の牛と接触し手を捻挫したことを同行のワッサワ厚生大臣から直接聞かされ直ちに現場へと急行し治療した。この時、牛が怪我をし苦しみのうめき声を上げている時、ニコラスは咄嗟にアミンの銃を奪い射殺するという大胆な行動でアミンの度肝を抜いた。感銘を受けたアミンはニコラスの着ていたスコットランド国旗のTシャツと自らの軍服との交換を申し出た。アミンの気さくな態度にニコラスは好印象を抱いたのだった。この時にアミンに与えた好印象が、後日、ワッサワ大臣がニコラスを迎えに来て首都カンパラへ連れアミンの主治医になることを要請された。一度はその場で村の診療所での仕事を口実に断るが、アミンはニコラスがサラに関心を寄せている事を見抜き半ば強引に主治医就任を受諾させたのだった。こうしてアミンの手厚い保護の下で優雅な生活を送るニコラスだが、アミンは彼を全面的に信頼し多忙なアミンに代わって重要な会議に出席することさえ珍しくなかった。ニコラスは医師としての志を満たす為、アミンの権力を傘に病院建設や医療施設及び器具の充実に尽力していく。その過程で彼はカンパラ駐在の英国高等弁務官ストーンと知り合うが、ストーンの官僚的態度に嫌悪感を感じていた。ニコラスが或る日、ホテルの地下のバーで一人寛いでいた時偶然にもストーンとワッサワが意味有り気にヒソヒソ話をしている様子をキャッチした。そして、彼は後日アミンにこの事を話すことになるが...国民の絶大な支持を集めていたはずのアミンだったが、側近として直に接していた彼は徐々にアミンの本質に気が付く。その時、スコットランドへの帰郷を申し出たのだったが果してアミンは?さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.アミンは帰郷を申し出たニコラスに何と言ったのか?2.アミンが独裁者として取った政策とは?3.粛清の標的が自分に向けられることを恐れたニコラスが頼った相手とは?4.アミンの冷酷な性格が如実に現れた出来事とは?5.ウガンダを揺るがすハイジャック事件が起きたが、その時アミンとニコラスはどう対応したか?6.ニコラスは無事に故郷へ帰国出来るのか?などを中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】アフリカを題材にした映画が続々と公開されるが、そこにはいずれもアフリカの暗部に切り込んでいる点では共通している。この作品ではイディ・アミンという実在の暴君を取り上げているが、側近として取り立てられたニコラスは複数の実在の人物から創造されたキャラクターだが一概に架空の人物と言い切れない部分もある。崇高な理念をもってアフリカに赴任してきた若者だったが、やはり、人間の湧き上がる欲望に勝てなかったのも事実。アミンには権力と金があり、ニコラスには医師としての理想があった。世間知らずだったニコラスは若年だったこともあり「女、金、権力」の魅力に浸かっていく。そして気が付いたら後戻りできないところまで来ていた。頼りにしていた人たちも彼から離れていく。この映画では人間の欲望を欲する気持ちと権力を手にした指導者が初心を忘れるとどうなるかと言ったことをテーマにしているように感じた。アミンには実際に英国人の側近や顧問が存在したとの説もある。アミンは大統領就任直後はそのきさくな性格から国民の支持を得ていたが、徐々に独裁者として君臨することで彼を背後から支えていた英国との関係も悪化する。アミンを演じたフォレスト・ウィテカーはこの演技でアカデミー賞主演男優賞を授賞したのは立派である。テキサス州出身のウィテカーがわざと訛りを強調しながら喋る英語や、気まぐれな性格、独裁者、一夫多妻の夫といった多面的な要素を見事に演じ分けていたのは授賞に値する活躍だ。最後に、この映画ではウガンダロケを敢行しこの映画にリアリティを与えた。ウガンダの景色って日本人には想像出来ないだけに景色もしっかりと観ていただきたい。【自己採点】(100点満点)80点。フォレスト・ウィテカーの演技は見事!←是非クリックして下さい
2007.03.23
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16.守護神■原題:The Guardian■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:139分■鑑賞日:2月23日 渋東シネタワー(渋谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:アンドリュー・デイヴィス□製作:ボー・フリン□脚本:ロン・L・ブリンカーホフ□音楽:トレバー・ラビン□主題歌:ブライアン・アダムス「Never Let go」キャスト◆ケヴィン・コスナー(ベン・ランドール)伝説の救難士◆アシュトン・カーチャー(ジェイク・フィッシャー)元高校の水泳王者で救難士を目指す◆二ール・マクドノー(ジャック・スキナー)水難士を養成する「Aスクール」のコーチ◆セラ・ウォード(ヘレン・ランドール)ベンの妻で現場第一主義の夫に一方的に別居を告げる◆ブライアン・ジェラーティ(ビリー・ホッジ)Aスクールには3度目の入校。気が弱くて卒業出来ない。◆ボニー・ブラムレット(マギー・マグローン)兵士達の憩いのバーの経営者兼シンガー◆メリッサ・サージミラー(エミリー・トーマス)ベンが訓練中に親しくなった地元の教師◆クランシー・ブラウン(ウィリアム・ハドリー)ベンの上官である基地の司令官【この映画について】軍隊を扱った映画では海兵隊や海軍や陸軍、そして警察関係のは数多く存在するが沿岸警備隊所属の海難レスキューで危険な任務を担うレスキュー・スイマー(救難士)を題材にした、熱いドラマ。ケヴィン・コスナー演じる200人以上の命を救った伝説のレスキュー・スイマーと、アシュトン・カッチャー演じる高校の元水泳チャンピオンで新人レスキュー・スイマーの二人の関係を中心に、男と男の絆、命を救う事の意味、そして人命救助に命を懸ける男たちの姿を描いていく。ケヴィン・コスナーは伝説の男を渋みの増した演技で表現。一方のアシュトン・カッチャーは若々しく苛立ちを表に出した演技を見せてくれている。以外の所では兵士達の憩いのバーの経営者兼シンガーのエミリーを演じるボニー・ブラムレットは、その昔、1960年代後半から1970年代前半に掛けて「デラニー&ボニー&フレンズ」でエリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、デイヴ・メイスンなどと共に活躍していたシンガーだ。【ストーリー(ネタバレなし)】アメリカ沿岸救助隊アラスカ州コディアック基地に所属するレスキュー・スイマー(救難士)、ベン・ランドール。200以上と言われる命を救った伝説的なスイマーだった彼だが、ある任務で相棒を目の前で失い、心に深い傷を負ってしまう。仕事一筋で子供がいない彼に対し妻ヘレンから別れを告げられ、失意に沈むベン。そんな重い気持ちの彼を察し、司令官のハドリーはごねるベンへ半ば強引に一時現場を離れ、レスキュー隊員を養成する学校・Aスクールに教官として赴任する事を決められてしまう。ただし、彼は赴任にあたって自分のやり方で教える事をハドリーに承認させたのだった。そしてそこで元高校水泳チャンプの訓練生、ジェイク・フィッシャーと出会う。ジェイクを始めとする訓練生たちに対してベンは、従来の学校での教育方針とは異なり「実戦で役立つ」訓練方法を採用する事を求め、ついてこれない生徒達には容赦無く「失格」を言い渡し退学させる厳しさを打ち出していく。男女を問わず毎日脱落してゆく生徒達の中にはジェイクや3度目の入校のビリーも含まれていた。そんな或る日、息抜きに夜に町へ繰り出しバーで発散をしていた生徒達が、バーでナンパをけしかけてジェイクは町で小学校教師をするエミリーに声をかける羽目に。生徒たちの目的を見抜いていたエミリーはジェイクを軽くあしらうのだったが、何とか後日デートの約束を取り付ける。しかし、二人の仲が緊密になるにつれジェイクは規律を破りベンに大目玉を食らう。ジェイクの類稀な才能を見抜いていたベンは、彼の心の中に何か他人には言えない悩みを抱えていると推察する。そしてジェイクが町のバーで海軍兵士らとトラブルを起こし乱闘騒ぎを起した帰りに事務室で事情を聞く。そこで、ベンとジェイクは二人が共に避けて通る事が出来ない心の悩みを抱えている事を知る。この日を境にジェイクはこころを入れ替えて仲間達とともに卒業を目指し厳しいベンの訓練に耐えていく。鬼教官のジャックのしごきにも耐え、ビリーも殻を破り無事に卒業の日を迎えた。卒業の日は同時に配属先が決まる旅立ちの日でもあった。ジェイクの配属先は偶然にもベンと同僚になるコディアック基地だった。更に、ジェイクはこの町で知り合ったエミリーとの別れの日でもあった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ジェイクが抱える悩みとは?その体験とは何だったのか?2.ベンは相棒を失った事故で悩んでいた。その悩みは彼をどう苦しめていたのか?3.妻ヘレンとの仲は修復出来るのか?4.ベンが悩んだ末に下した彼自身の進路とは?5.ジェイクは果してベンを越える一流の救難士になれるのだろうか?等を中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画のことは昨年ヒットした邦画の「Limit Of Love 海猿」に例えている評論があるが全く違うと最初に強調しておく。「海猿」は私に言わせれば「ポセイドン・アドベンチャー」(ポセイドンとは違います!)の「日本版」です。「守護神」の題名の意味はラストのエンド・ロール直前にその意味が分かる。この映画は最初は「トップ・ガン」のように厳しいトレーニングと酒場での息抜きと恋と言ったパターンで進んで行く。所々不要なシーンもあるのだが、徐々にベンとジェイクが抱えている心の中の葛藤がテーマとしてクローズアップされていく。一度は体力的な衰えを表向きの理由で辞めたものの、自分にとっては何が一番大切なのかを探す生活に冒頭するベン。一方で、前途有望なジェイクは溌剌と仕事をこなし師匠であるベンの域に迫ろうと努力する。ラスト・シーンは考えさせられるが、それを受けてジェイクが取った行動の方にもっと驚いた。こうしたラストになるとは想像していなかった。ケヴィン・コスナーの映画って久し振りにみたが、伝説の救難士ベンの颯爽とした姿や悩む姿を見事に演じていた。こうした演技が出来るのだから、彼の出演作はこれを気に再び増えるよう期待したい。【自己採点】(100点満点)79点。中間部で多少中だるみと不要と思えるシーンがあった。それを除けば80点を越えていた。人気blogランキングへ
2007.02.23
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14.フリーダムランド■原題:Freedomland■製作年・国:2005年、アメリカ■上映時間:112分■鑑賞日:2月11日 新宿武蔵野館(新宿)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:ジョー・ロス□原作・脚本:リチャード・プライス□製作:スコット・ルーディン□製作総指揮:チャールズ・ニューワース□音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワードキャスト◆サミュエル・L・ジャクソン(ロレンゾ・カウンシル)アフリカ系警察官アームストロング団地の住民から慕われている◆ジュリアン・ムーア(ブレンダ・マーティン)団地内の子供クラブで働くシングルマザー◆イーディ・ファルコ(カレン・コルッチ)子供の捜索を行うボランティア団体のリーダー◆ロン・エルダード(ダニー・マーティン)ブレンダの兄で警官だがロレンゾとは所属が違う◆ウィリアム・フォーサイス(ボイル)ロレンゾの同僚◆アーンジャニュー・エリス(フェリシア)アームストロング団地。恋人ビリーの暴力に悩まされる。◆アンソニー・マッキー(ビリー)フェリシアの恋人【この映画について】人気作家リチャード・プライスのベストセラー小説を本人が脚本を担当し映画化したヒューマン・ミステリー。誘拐事件の緊迫した状況の中で、人と人のつながりを鋭く真摯に描いていく。その中でも特にシングルマザーと幼い子供のつながりには強いスポットライトが当てられており、子供を失う痛みや悲しみなどをジュリアン・ムーアが強い母性を全面に出す彼女が得意等する分野で活き活きと演技している。中心人物役には、刑事のロレンゾに「パルプ・フィクション」「スター・ウォーズ」シリーズでのジェダイの騎士役「コーチ・カーター」でのバスケットボール部のコーチなどで見事な演技を披露するサミュエル・L・ジャクソン。どちらも精神を削るような迫真の演技で、シリアスなドラマを盛り上げてくれている。【ストーリー(ネタバレなし)】刑事のロレンゾは黒人低所得者が住むアームストロング団地を担当し、住人から厚い信頼を寄せられていた。そんなある日、病院に手を血まみれにした女性が現れた。彼女――ブレンダは、アームストロング団地で黒人男性にカージャックされたと錯乱状態で話す。麻薬捜査で団地へと来ていたロレンゾは、住民のフェリシアから恋人のビリーが暴力を振るうので説得してほしいとその場で懇願される。しかし、ロレンゾは緊急の呼び出しで医療センターへと駆けつけた。ブレンダはロレンゾにカージャックされたと告げる。しかしその態度に違和感を覚えるロレンゾ。彼がさらに問い詰めると、ブレンダは追い詰められた表情で答えた。「後部座席に4歳の息子コーディが乗っていた」と…。単なるカージャックから一転して幼児誘拐事件へと事件の性質が変貌したことを受けて、警察は容疑者が団地内に潜伏していると読み団地を封鎖し住民の当面の外出を禁じた。これにはアフリカ系が大多数の住民等が猛烈に反発した。住民たちからの信頼が厚いロレンゾも、そして白人のブレンダは団地内の子供クラブで働いている事もありアフリカ系住民からも好かれていた。しかし住民らの不満は徐々にロレンゾへも向けられ始め、ブレンダでさえ身内の警官である兄のダニーからも冷たく扱われストレスが溜まってきた。住民のロレンゾや警察に対する不信が頂点に達しようとしている中で、ロレンゾは引き続きブレンダに事件解決への協力を求めるが進展はみられない。一計を案じたロレンゾは、行方不明になっている子供を捜索するネットワーク代表のカレン・コルッチに連絡し、彼の指揮の下にコーディ捜索を依頼するのだった。ブレンダも同行し捜索のポイントとなったのが、「フリーダムランド」と呼ばれる今では封鎖された養護施設跡だった。そこでブレンダは意外な事実を話し始めるのだったが...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.住民は信頼していたロレンゾへの不信感を露にするが、その背後にあるのは何か?2.ロレンゾは住民等を説得し捜査に協力させることが出来るのか?3.ブレンダとコーディの日常での関係はどんなものだったのか?ブレンダの息子への思いとは?4.ロレンゾは何故カレンとコンタクトを取るようになったのか?そのきっかけは?5.ブレンダが隠していた驚くべき事件の真相とは?コーディの行方は?等を中心に公開館は単独なので、観に行ける方は映画館で無理な方はDVD発売時にご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画はサミュエル・L・ジャクソンとジュリアン・ムーアといった男女のスター俳優が出演していながら何故か全国での公開は一館だけ。ストーリー的にはアメリカ社会の縮図が描かれている。それは白人と黒人の人種間対立と根強い差別が根底にある。更には、母子の関係、恋人のDV、麻薬、治安などと言った要素がふんだんに盛り込まれながら展開してゆく。こうしたアメリカ社会の背景を一通り理解した上でこの映画を観ないと退屈な映画と映るだろう。確かにこの映画はストーリーの題材からして幼児誘拐が話の入口だけ有って映像のトーンも暗い。しかし、二人のスター俳優の演技に注目すると、相変わらずジュリアン・ムーアは錯乱状態にある精神構造を彼女ならではの表現力で観る者を圧倒する。この手の演技をさせたら演技と言うレベルを超えており、今後もこうした役を演じる機会が増えそうだ。一方でサミュエル・L・ジャクソンの演技力も折り紙つきだが、今回は警察官の役目だが多少抑えた演技に終始していた。【自己採点】(100点満点)71点。サミュエル・L・ジャクソンとジュリアン・ムーアの共演がなければ得点はもう少し低かったのも事実。人気blogランキングへ
2007.02.14
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13.幸せのちから■原題:The Pursuit Of Happyness■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:117分■鑑賞日:2月10日 渋東シネタワー(渋谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:ガブリエレ・ムッチーノ□製作:トッド・ブラック、ジェイソン・ブルーメンタル、スティーヴ・ティッシュ、ジェイムズ・ラシター、ウィル・スミス□製作総指揮:ルイス・デスポジート、マーク・クレイマン、デヴィッド・アルパー、テディ・ズィー□脚本:スティーヴン・コンラッドキャスト◆ウィル・スミス(クリス・ガードナー)貧困を脱出するのに必死な医療セールスマン◆タンディ・ニュートン(リンダ)クリスの「パートナー」で家賃を稼ぐのに16時間働く◆ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス(クリストファー)クリスとリンダの息子◆ブライアン・ハウ(ジェイ・トゥイッスル)証券会社の人材課長でクリスと最初に面会した◆ダン・カステラネッタ(アラン・フレーケシュ)証券会社の研修担当者◆カート・フューラー(ウォルター・リボン)会社経営者でクリスが飛び込みでセールスをした相手◆タカヨ・フィッシャー(チュー夫人)中華街の保育所の経営者でクリストアファーを預かっている【この映画について】作品に登場するクリス・ガードナーは、シカゴなどに会社を構える実在の人物で、いわゆる“勝ち組”の人間。しかし一時は住む家を失い、大切なパートナーにも愛想を尽かされ息子と共にホームレス生活をするほどの極貧にあえいでいた。そんなクリス・ガードナーの足跡を基に描かれた真実のドラマを元にスティーヴン・コンラッドが脚色して完成させた。単に成功を描いたアメリカン・ドリーム物語ではない。むしろ重きを置かれているのは、息子を想う父の愛情。息子を守ろうとする想いこそが、成功への原動力となるのだ。そんな父親をウィル・スミスが真摯な演技で表現。息子クリストファーを演じたウィル・スミスの実子、ジェイデン・スミスとの自然なやりとりや、イタリア人監督ガブリエレ・ムッチーノの米国進出作品として、イタリア人監督の視点でアメリカン・ドリームをどう描いたのかにも注目。ウィル・スミスはこの作品でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされているが果して授賞結果はどうなる?原題の「Happyness」の綴りは間違いですが、タイトルとしては本来の「iがy」になっていますがこれには訳があります。それは映画を観て発見した下さい。【ストーリー(ネタバレなし)】1981年、サンフランシスコ。5歳の息子クリストファーを何より大切に思うクリス・ガードナーは、新型医療機器を病院に売り込む日々。しかし大量に買い込んだ機器は滅多に売れず、家賃も払えない生活が続いていた。家賃も滞納が続き家主からの督促をその場しのぎで乗り切っているが、パートナーのリンダは16時間も働きながら親子三人での生活は苦しい。そんなある日、彼は高級車から降りた男に成功の秘訣を尋ねたことをきっかけに、証券会社の養成コースに通うことを決意する。受講者に選ばれるように、クリスは人事課長のトゥイッスルへ自己アピールするのだが…。何とか研修生になれたが半年近い研修期間中は無給であり、クリスの困窮生活は相変わらずだった。リンダがクリスと息子の元を去っていった上に、家賃が払えず叩き出されて知人宅やモーテルを転々とする生活。研修生から正社員になれるのは僅か一名と厳しい条件下で、日々の寝床を探し日銭を稼ぐ生活は想像以上に負担となり他の研修生とは明らかに環境が異なる。そんな或る日、電話セールスでかけた相手が会社の会長であるリボン氏に直ぐに会いに行く約束を取り付けるが、研修担当のフレーケシュはクリスに何かと雑用を押し付け会長との面談に遅れ会えなかった。ここでめげなかったクリスは息子を連れて、リボン氏宅を訪問し前日の詫びを入れた。アメフトの試合を観戦する予定だったリボン氏はきさくにクリス親子をスタジアムの特等席に招待した。一緒に観戦したクリスだがリボン氏からは期待するような返事は得られなかったが、この時交換した名刺がきっかけで徐々に運気が開けてくるのだった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.クリスは研修生として採用される際に面接で何を売り込んだのか?2.クリスがアメフト観戦で開けた運はどこで発揮されるか?3.果してクリスは研修員から正社員へ登用されるのか?他のライヴァル達は?4.借金を抱える原因となった医療機器は果して売れるのか?5.息子クリストファーとの宿無し生活が続く中で、毎日どこを寝床にしたのか?6.この困窮生活からこの親子は逃れる事が出来たのか?等を中心にウィル・スミス父子の演技を中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】アメリカン・ドリームと言われるサクセス・ストーリーを描いたこの映画を監督するのがイタリア人と言うのは興味深い。ムッチーノ監督曰く、外国人だからこそアメリカン・ドリームを描けると語っているようだ。この映画は実話を元に脚色しているようだが、家賃を滞納して家主から叩き出されてパートナーの女性にも逃げられて男性の話だ。この男性の偉いのは、自分が父を知らずに育ったために自分の息子にだけはそうした体験を絶対にさせたくないという信念だった。この強い信念が次々と襲ってくる人生の困難を乗り切る原動力になっていた。ホームレス同然の生活を強いられても、競争率の高いなかを勝ち抜いて研修生から正社員に採用された頑張りは賞賛に値する。この映画からは、人間はどん底をみてもそれを乗り切るエネルギーと強い信念と意思があれば成功を勝ち取れることが可能なことを教えてくれた。しかし、その道のりは平坦でないのも事実である。最後に、ウィル・スミスの息子の自然な演技は子役としてこれから楽しみである。【自己採点】(100点満点)82点。ウィル・スミス初のアカデミー賞獲得なるかに注目。元ラッパー(フレッシュ・プリンス)だけあってテンポの良い台詞回しは流石だった。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ
2007.02.11
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10.輝く夜明けに向かって■原題:Catch A Fire■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:101分■鑑賞日:2月3日 シャンテ・シネ(日比谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:フィリップ・ノイス□製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、アンソニー・ミンゲラ、ロビン・スロヴォ□製作総指揮:シドニー・ポラック、デブラ・ヘイワード、ライザ・チェイシンキャスト◆ティム・ロビンス(ニック・フォス)公安部テロ対策班の大佐で硬軟交えた尋問を繰り返す◆デレク・ルーク(パトリック・チャムーソ)石油製油所で現場監督をする◆ボニー・へナ(プレシャス・チャムーソ)パトリックの妻で2児の母◆ミシェル・バーガース(アンナ・フォス)ニックの妻◆テリー・フェト(ミリアム)パトリックの愛人で彼との間に認知していないが1児がいる◆マルコム・パーキー(ジョー・スロヴォ)ANC作戦部長で白人政権に打撃を与えようと画策する◆ツミショ・マーシャ(オバディ)ANCの軍事教官で戦闘意識や方法を授ける【この映画について】実在する<自由の戦士>、パトリック・チャムーソの波乱の半生を映画化。前半、世界中から非難の的になっていた南アフリカの厳しい人種差別<アパルトヘイト>の様子が描かれていくが、これが終結宣言の出される1991年、つまりつい最近まで続いていたという事実は、地球の反対側の住人である日本人には現実感に乏しく今さらながらに衝撃的だ。無実の罪で無期限に取調べを受けるパトリック役デレク・ルークはアフリカ系アメリカ人だが、この難しい役を見事にこなした。そのパトリックを硬軟使い分けて取り調べる白人の大佐を『ミスティック・リバー』でアカデミー賞に輝いたティム・ロビンスが不気味に演じる。この二人の取調べが進んでいく様子を中心に映画は描かれているが、音楽も重要な意味を持っている。冒頭でドナ・サマーのヒットで有名な「ホット・スタッフ」を歌うシーンがあるが、この題名が意味するのもストーリーと無関係ではないのでよく観ておくことをお薦めします。その他にもアフリカの伝統的リズムや土着の歌が効果的にセリフ代わりに使われている。【ストーリー(ネタバレなし)】1980年、アパルトヘイト政策下の南アフリカ。石油製油所で現場監督として熱心に働くパトリック・チャムーソは、当時の黒人としては裕福な暮らしをしていた。妻と二人の娘との平穏な暮らしを望む彼は、同居する母とは異なり政治やANC(アフリカ民族会議)にも無関心。ある日、石油製油所が反対勢力に攻撃される。現場監督のチャムーソはテロリストを手引きした容疑で逮捕、拷問されてしまう。彼を取り調べるフォス大佐は、硬軟を織り交ぜてパトリックを犯人の一味と思い込み取調べをする。黒人は無期限に拘束取り調べることが出来る法の下に、週末はフォスの自宅で食事を共にしながらソフトに対応するがそれでもフォスはパトリックを厳しく取り調べANCの幹部の行方を探ろうとする。パトリックは爆破が有った日は、彼がコーチをするサッカーチームの試合で職場を欠勤していた。しかし、その日は本来は勤務の日であるがチームが勝ち進んだために妻のプレシャスに依頼し診断書を偽造していたのだった。アリバイを証明するはずの診断書も偽造であることをフォスに見破られ窮地に追い込まれるパトリック。彼はその間に愛人のミリアム宅を訪ねていたのだが、妻プレシャスに迷惑が掛かると思い言い出せないでいた。フォスは取調べの間に車でパトリックの家の傍に停め、妻の姿を遠巻きに見せ自白を迫る。パトリックが取調べで話すアリバイもフォスは一笑に付し、やがて、その拷問が妻の手に及んだ時、彼は怒り狂い釈放後自由の戦士として立ち上がる決心をする。パトリックは「自白」を強要されたが、その自白をみてフォスは彼を無罪と感じ、これ以上、本物のテロリストを逃すことが大事だと考え釈放した。自宅に戻ったパトリックだが、今まで無関心だったANCのラジオ放送を聴いて遂に母に無言で決心を伝えた。そして一家が寝静まったのを見計らって、隣国モザンビークのANCの本部に出向き覚悟を決めて兵士になる決意を固めたのだったが...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.パトリックの突然の家出を家族はどう捉えたか?2.パトリックがANCの本部で訓練を受けているときに起こった事件とは?3.製油所勤務時代の経験を生かしてパトリックが決死の覚悟で帰ってきた訳は?4.再びパトリックを追う事になったフォスは果してパトリックの計画を阻止出来るか?5.パトリックの今後の人生はどう変っていくのか?フォスとの関係はどうなる?などを中心に単館公開ですが興味のあるかたは是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】悪名高きアパルトヘイトに終止符が打たれてまだ10数年しか経っていないのだが、あの頃はどういう時代だったのか現実感の乏しい日本人には理解が出来ない。この映画を観ていると黒人は明らかに白人から差別されているが、それでもこの映画は差別だけがテーマではないので極端な描き方はされていない方だろう。それでも白人が黒人と接する時の態度は支配階級のそれである。ティム・ロビンス演じる大佐も一見すると「物分りの良い白人」として描かれているが、それでも黒人を差別的に見ているのがありありと感じられる。アパルトヘイトが廃しされてから、大佐は一般人として一人で釣りを寂しくしていて、それに気付いたパトリックが彼の首をへし折ろうか迷った挙句に止めたシーンは印象に残った。暴力に対して暴力で報復しても何も生まれないと悟ったこの彼の決断に観ていた時に心の中で拍手を送った。ティム・ロビンス演じた大佐はアパルトヘイトが長続きしないに違いないと思いながらも、自らは白人であることの優越感も持っていた。そんなロビンスの演技は派手さはないが好演だったと思うし、併せて、デレク・ルークの演技も良かった。【自己採点】(100点満点)79点。これを観るとやはり人種差別政策は間違いだと感じる!←是非クリックして下さい人気blogランキングへ
2007.02.04
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9.マリー・アントワネット■原題:Marie Antoinette■製作年・国:2006年、アメリカ・フランス・日本■上映時間:123分■鑑賞日:1月28日 スカラ座(吉祥寺)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督・製作・脚本:ソフィア・コッポラ□製作:ロス・カッツキャスト◆キルスティン・ダンスト(マリー・アントワネット)オーストリアから嫁ぎ波乱万丈の人生を送る◆ジェイソン・シュワルツマン(ルイ16世)マリーの夫で祖父ルイ15世死去に伴ない即位◆マリアンヌ・フェイスフル(マリア・テレジア)マリーの母でオーストリア女帝◆リップ・トーン(ルイ15世)ルイ16世の祖父でマリーが嫁いだ時のフランス国王◆アーシア・アルジェント(デュ・バリー夫人)ルイ15世の愛人で元娼婦◆スティーヴ・クーガン(メルシー伯爵)オーストリア大使で宮廷でのマリーの相談役◆ジェイミー・ドーナン(フェルゼン伯爵)マリーが心を寄せていたスウェーデンの伯爵◆ローズ・バーン(ポリニャック公爵夫人)マリーの遊び相手◆ジュディ・デイヴィス(ノアイユ伯爵夫人)マリーのフランスでの教育係【この映画について】歴史上名を残した女性は数多いが、その中でもルイ16世のお后としてハプスブルク家からフランスへと嫁いだマリー・アントワネットは贅沢三昧をした女性として現代では知られている。この映画ではマリーがフランスへ嫁入りしたから宮殿を脱出するまでを、現代風青春映画として描いている。主演は、『スパイダーマン』『モナリザ・スマイル』『エリザベスタウン』等の注目作への出演が続くキルスティン・ダンスト。全編を彩るお菓子やドレスの豪華さにもうっとり。音楽もクラシックではなくロックが中心。ヴェルサイユ宮殿を撮影に使うなど美しい映像にも注目してみてもらいたい。アカデミー賞では最優秀衣装デザイン賞にノミネートされているがその点は納得。【ストーリー(ネタバレなし)】オーストリア皇女アントワーヌは14歳のとき、母マリア・テレジアの命令で、フランス王太子(後のルイ16世)のもとへ両国の同盟強化を目的に嫁ぐことになった。新しい出会いに期待で胸をふくらませてお迎えの馬車に乗り込むが、哀しい別れの儀式が訪れる。国境でフランス側に引き渡される際、待ち受けていたお世話係のノアイユ伯爵夫人に服や持ち物だけでなく愛犬までも取り上げられてしまい、思わず涙をこぼすアントワーヌ。しかし、意を決し、頭の先から爪の先まですっかりフランスの服に着替え、未来の王妃マリー・アントワネットとしてフランスの土を踏む。ヴェルサイユ宮殿に到着したマリーは、国王ルイ15世の歓迎を受け、彼の孫で夫となるルイ・オーギュストと始めて対面した。弟たちとフェンシングごっこに興じる15歳のルイは、14歳のマリーよりももっと幼い子供のような少年で思わず「子供っぽい」と呟いてしまう。1770年5月16日、2人は宮殿の聖堂で華やかな結婚式をあげた。マリーにとって、ヴェルサイユでの生活は奇妙なものだった。神父や国王がベッドに集まり、大勢に監視されるように迎えた結婚初夜。翌朝、着替えの時は、その部屋でいちばん位の高い人が服を持ってきてくれるまで、裸でずっと待っていなければならなかった。母よりウィーンでの生活とフランスでの宮廷の生活は大きく違うと事前に知らされていたが、余りにもしきたりや順序を重んじる宮殿での生活に戸惑いを隠せなかった。王族や貴族たちの口から聞こえてくるのは陰口ばかり。国王ルイ15世は、愛人のデュ・バリー夫人と人前で平気でいちゃつき、宮廷の品位と秩序を乱していた。マリーは、元娼婦で品のないデュ・バリー夫人が大嫌いだったが、反面、彼女がうらやましかった。デュ・バリー夫人は明らかに国王に愛されていたからだ。それに引き替え、内気なルイはマリーとの営みに関心を示さず、同じベッドに寝ていても指1本触れようとしない。オーストリアの母からも、オーストリア大使のメルシー伯爵も、「この結婚は同盟だから、一刻も早く世継ぎを」とせかされる日々の中、マリーがいくら努力しても、ルイは彼女を抱こうとしない。業を煮やした母からは神聖ローマ皇帝でもある兄がフランスまで来て、マリーに再度同盟と世継ぎ誕生の重大性を訴え夫のルイ16世にも後継者誕生を急かした。後継者誕生への重圧から逃れるかのようにマリーは、靴やドレスや宝石、お菓子やシャンパンへや高価なドレスへの浪費に楽しみを見出し、ギャンブルやパーティにはまっていった。そしてマリーの浪費癖は度を超えはじめ、徐々に国家財政にまで影響を与えるようになっていった。パーティーではスウェーデン陸軍のフェルゼン伯爵と出会いこころをときめかす。結婚から4年後の1774年5月10日、ルイ15世が天然痘を患い急逝しルイはルイ16世として即位しマリーは王妃となる。マリー18歳、ルイ16世19歳であった。 さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.マリーに待望の娘が誕生した。その時、夫のルイが彼女に贈ったものとは?2.マリーが娘のマリー・テレーズを育てる上で大切にしていてこととは?3.アメリカ派兵への金銭的援助を迫る側近に対するルイの決断は?4.牢獄を襲撃した民衆が王室へ不満を向けに来るとの読みから国外脱出を進言する側近に対し、ルイ16世とマリーはいかに対処したか?5.疲弊する国家財政と、食料不足から不満を持つ民衆が宮殿へ押し寄せる。その時、マリーが怒り狂う民衆の前で見せた態度とは?などを中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】マリー・アントワネットと言えば、贅沢三昧で国家財政を傾け民衆の怒りを買って断頭台で処刑された、これが一般的に定着しているイメージであろう。この映画ではソフィア・コッポラ監督の意向で、湿っぽい脚本は自ら廃しマリーの宮殿内での生き様を現代風に描いた。が、確かに彼女の浪費癖と派手な生活と世継ぎ誕生に悩む姿を全面に出したが、もう少し歴史的事実と庶民との生活の差なども含めて描いて欲しかった。民衆がパンを食べるにも困っていてそうした不満が革命へと繋がったのだから、民衆の生活を描く事で宮殿内の異常さも引き立つと思う。ソフィア監督は前作の「ロスト・イン・トランスレーション」では見事な脚本を書いてアカデミー賞まで授賞したが、今回はそうした片鱗がみられず残念であった。配役面でもマリー・アントワネットをキルスティン・ダンストに演じさせたのもミスキャストであろうし、ルイ16世を親戚でもあるジェイソン・シュワルツマンに演じさせたが彼自身に魅力がないのでこの配役もピンと来なかった。そうしたマイナス点を補ったのが映像の美しさだ。不可能と思えたヴェルサイユ宮殿でのロケでこの映画の映像にリアリティを与えるのに成功した。映像は殆どがロケ映像であり豪華な宮殿やその周辺の自然の素晴らしさ、加えて衣装やスィーツ類や食事の凄さなどには目を奪われた。【自己採点】(100点満点)65点。ストーリーだけを評せば点数はこれ以下だが、映像の美しさを考慮してこの点数を付けた。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ
2007.02.02
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8.リトル・ミス・サンシャイン■原題:Little Miss Sunshine■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:100分■鑑賞日:1月27日 シネクイント(渋谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス□脚本:マイケル・アーント□製作:マイケル・タートルトーブ、デヴィッド・T・フレンドリー、ピーター・サラフ、アルバート・バーガー、ロン・イェルザキャスト◆アビゲイル・ブレスリン(オリーブ・フーヴァー)子供ながら将来はミス・アメリカが夢◆グレッグ・キニア(リチャード・フーヴァー)オリーブの父で独自の理論の事業化に失敗◆ポール・ダノ(ドゥエーン・フーヴァー)オリーブの兄で空軍のテストパイロットになるのが夢◆アラン・アーキン(グランパ)オリーブの祖父だが素行不良で麻薬に溺れている◆トニ・コレット(シェリル・フーヴァー)オリーブの母◆スティーヴ・カレル(フランク)シェリルの兄で自殺未遂を起こしドゥエーンの部屋で居候する【この映画について】独自の成功論を声高に振りかざすが自分は甲斐性ナシの父、家族を嫌って沈黙を続ける兄、ヘロイン中毒で強烈な毒舌の祖父、失恋が原因で自殺を図ったプルースト研究家のおじ、そんなバラバラの家族を必死でつなぎとめようとする母…。全米でも小規模作品ながら異例の大ヒットを記録した注目作!現在日本に上陸中のこの映画は公開館は限られているが評価は高い。そしてアカデミー賞では作品賞、脚本賞、子役のアビゲイル・ブレスリンが助演女優賞、グランパを演じたアラン・アーキンが助演男優賞と4部門で候補に上がる快挙を達成した。あとは、本番で授賞出来るかに注目したい。【ストーリー(ネタバレなし)】アリゾナ州に住む小太りなメガネ少女・オリーヴの夢は、ビューティー・クィーンになる事。コンテストのビデオを研究したり、大好きなおじいちゃん指導の元、ダンスを特訓したりと訓練に余念がない。一方で兄のドゥエーンは空軍のテスト・パイロットになる夢を持つが両親に反対され、家族とは筆談でコミュニケーションを取り一切黙して喋らない。そのフーヴァー家に或る日、自殺未遂を起こし入院していたシェリルの兄フランクの身柄を引き受けることになり、ドゥエーンの部屋に同居することになった。フーヴァー家の最年長でありリチャードの父であるグランパはバスルームでヘロインを吸引しハイになることが多い。息子のリチャードは独自に編み出した「9ステップス理論」を事業家する為に奔走するが芳しくない。フーヴァー家に或る日、突如として朗報が舞い込む。カリフォルニアで行われる“リトル・ミス・サンシャイン”コンテストに2位となっていたオリーヴの繰り上げ参加が決定したのだ!問題だらけのフーヴァー家は、家族6人ミニバスに乗り込み、一路コンテスト会場を目指すが…?!リチャードは、オリーヴがミス・コンテストに勝てるとは思っていない。フランクは、リチャードとの口論が絶えない。ドゥエーンは、相変わらず口を利かずに一家の中で浮いている。シェリルは、リチャードの理論にウンザリ。オリーブのコンテスト出場を喜ぶ。グランパは、車中でリチャードやドゥエーン相手に人生論を語る。しかし、その身には思いもがけない出来事が起こってしまって...オリーヴは、ひたすらミスコンで優勝することを夢見る。グランパが最大の理解者。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.バラバラに見えるフーヴァー家だが、果して無事にコンテスト会場まで辿り着くか?2.オリーヴはコンテストで全力を出せるか?練習したダンスの成果は?3.家族と口をきかないフランクだが、道中で彼の夢を断念せざるを得ない出来事が発生したがそれは一体...4.人生論を熱く語るグランパの身に突如起こった出来事は何か?等を中心に公開館は少ないですが、アカデミー賞候補にもなっているこの映画を映画館でご覧下さい。ただし、週末の午後は満席が予想されますのでお早めにどうぞ!【鑑賞後の感想】インディ映画のヒット作と言えば「サイドウェイ」を思い出すが、どちらも家族や友人との絆を描いたロード・ムーヴィー風の映画である。本作品も家族の絆をアリゾナからカリフォルニアという長距離をバンで移動する間に固まっていくと言うのがテーマ。出発するまでは家族と言えども個々に悩みやトラブルや夢を抱えていた。そして移動中に思いもがけない事故や事件などに遭遇しながら、グランパが熱く語る人生論も家族の絆を強める結果?となった。そして最大の目的である、オリーブの子供のミスコン出場を果たした時の家族の絆の強さとある種の達成感を得たかのような表情が印象に残った。子役のアビゲイル・ブレスリンとグランパ役のアラン・アーキンがアカデミー賞の助演女優と助演男優賞候補に挙がっている。助演女優賞では菊地凛子も候補だが、以外とこの子役が強敵だったりして...【自己採点】(100点満点)88点。ストーリー展開もアカデミー賞脚本賞候補になるくらいだからしっかりとしていた。本題とサイドストーリーの絡み具合も絶妙!←是非クリックして下さい人気blogランキングへ
2007.01.30
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7.ディパーテッド■原題:The Depated■製作年・国:2006年、アメリカ■上映時間:152分■鑑賞日:1月27日 渋谷TOEI2(渋谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:マーティン・スコセッシ□製作:ブラッド・ピット、ブラッド・グレイ、ジャンニ・ナナーリ、グレアム・キングキャスト◆レオナルド・ディカプリオ(ビリー・コスティガン)犯罪組織への潜入捜査を行う◆マット・デイモン(コリン・サリバン)エリート警察官として特別捜査課(SIU)に配属◆ジャック・ニコルソン(フランク・コステロ)アイルランド系米国人犯罪組織のボス◆マーティン・シーン(クイーナン警部)SIUのボスとして犯罪組織と対峙する◆マーク・ウォールバーグ(ディグナム巡査部長)クイーナンの部下で早口でまくしたてるのが特技◆アレック・ボールドウィン(エラービー警部)犯罪組織の壊滅に執念を燃やす◆ヴィーラ・ファミーガ(マドリン)精神分析医でビリーとコリンから頼られる◆レイ・ウィンストン(ミスター・フレンチ)コステロに忠実な組織ナンバー2の男◆アンソニー・アンダーソン(ブラウン)ビリーと警察学校での同期生【この映画について】2002年の香港映画『インファナル・アフェア』をマーティン・スコセッシがリメイク。主演は、ここ数年スコセッシとタッグを組み『アビエーター』に続いてスコセッシ作品に出演するレオナルド・ディカプリオが潜入捜査官ビリーを演じる。知性と野性味、繊細さと強靱さの両面を持つ複雑な男・ビリーの苦悩を、まなざし一つで演じ、全米で絶賛された。対するコリンを演じるのは、こちらも演技派の呼び声高いマット・デイモン。明晰な頭脳だけを頼りに薄氷の上を歩くコリンを、スリリングに演じた。そして、マフィアのボスを演じたジャック・ニコルソンの存在感!まるで本物のギャングのボスかのような存在感を発揮している。なお、アカデミー賞では助演男優賞(マーク・ウォールバーグ)、監督賞、作品賞、脚色賞、編集賞の5部門でノミネートされている。主演のレオナルド・ディカプリオは『Blood Diamond(原題、GW公開)』で主演男優賞にノミネートされている。【ストーリー(ネタバレなし)】貧困と犯罪が渦巻く、ボストン南部佐牛ー地区で生まれ育った2人の男。犯罪者一族に生まれ、自らの生い立ちと訣別するために警察官を志すビリー・コスティガン。聖職者の父を持ちながらマフィアのボス、フランク・コステロに育てられ、忠実な“内通者”となるために警察官を目指すコリン。2人は互いの存在を知らぬまま同じ警察学校で学び、それぞれ優秀な成績で卒業。コリンはマフィア撲滅の最前線に立つ特別捜査課(SIU)と呼ばれる部署。一方、ビリーに命じられたのは、マフィアへの極秘潜入捜査だった…。その任務にあたってはクイーナン警部とディグナム巡査部長だけがビリーが潜入捜査官であることを知り、警察内でビリーのファイルへアクセス出来るのも二人だけとなった。ビリーは犯罪組織に近付く為に自らが事件を起こし監獄内でつながりを持つところから始めた。出所しビリーにとって唯一心が安らぐのは精神分析医のマドリンとのカウンセリング時だけだった。そのマドリンにはコリンが急接近し何時しか恋人関係へとなっていた。警察の犯罪組織を追う捜査は、”ねずみ”と呼ばれる「内通者コリン」の存在でいつも空回りし中々ボスであるコステロ逮捕へむすびつかない。一方で潜入操作にあたっているビリーは首尾よくコステロに近寄り信頼を勝ち取っていった。しかし疑い深いコステロは自分の側近内に「ねずみ」がいると察知しその存在をあぶりだす事に躍起となり始める。その頃、SIU内部ではFBI出身者と警察出身者の間で捜査方法を巡りギクシャクしていた。捜査情報が漏れていると疑心暗鬼になったクイーナン警部はコリンに警察内部に潜んでいる「コステロのねずみ」をあぶりだせと厳命するが、自らがねずみであるためこの指令に戸惑いを見せるがクイーナンの強い希望で捜査から外れ任務にあたることに。内偵捜査の過程でコリンはクイーナン警部の動きを注視するために、内部調査隊を派遣し尾行をさせる。そしてクイーナン警部はビリーとコンタクトを取る為に、未使用のビルへと潜入し屋上で会っていた。が、そこにはコステロの放った刺客隊との間で銃撃戦となり、クイーナンは命を落とすのだった。その時の遺品の携帯電話の通話記録に記された番号に電話をかけたコリンだったが、果してその相手は...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.コリンがクイーナンの携帯から発信した相手とは?2.クイーナンを失ったSIUの後継者は?クイーナンに師事していたディグナムの処遇は?3.SIUはコステロのねずみであるコリンを特定出来るのか?4.ビルは後ろ盾だったクイーナンを失い、今後どう動くのか?5.コステロの闇取引の情報をキャッチしたSIUだが、今度はコステロの身柄を確保出来るか?それともコリンは今回もコステロに情報を流すのか?6.コステロの信頼の厚いビルだが、今度の闇取引での彼の役割は?7.コステロの過去は明かされるのか?コステロの背後に控えている組織とは...等を中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】元々は香港映画の「インファーナル・アフェア」のリメイクとして企画されたのがこの映画だが、残念ながら私は香港映画のほうは観ていないので相違点などは書けないけど今回の映画では、コステロが中国と取引するシーンはありました。この映画はレオナルド・ディカプリオとマット・デイモンという若手スターと、ベテランで貫禄十分のジャック・ニコルソンが絡むと言う展開がメインだ。ディカプリオとデイモンがどう絡むかを日本の特に女性ファンなら期待しているのだろうが、中々二人の生き様が交差するようでしないじれったい?展開が続き最後にやっと同じフレームに登場する。でもね私はやはりこの二人の演技もそれは楽しみでしたが、ジャック・ニコルソンが犯罪組織のボスとして君臨し警察を手玉に取るこの構図が面白かった。ニコルソン演じるボスは滅多な事で弱みを見せない非情振りを発揮するのだが、女にだけは甘い顔を時々見せる。自分の組織の縄張りを争うとするイタリア系組織とは血で血を洗う抗争を繰り広げ、その反面コリンを子供時代から面倒をみて警察に送り込ませると言う長い目で見た展望も持ち合わせるなど強かな性格のボスを演じられるのは、やはり、ジャック・ニコルソンを置いていないだろう。ディグナムを演じたマーク・ウォールバーグはニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック時代はアイドル系グループの一員として大ヒットを飛ばしたが、今回彼が俳優に転身していたとは初耳だった。それでもこの役を個性的に演じアカデミー賞助演男優賞候補になっているので頑張ってもらいたい。ストーリーの展開的には、潜入捜査が行き詰まり掛けている頃は中だるみもあるけど、最後の方でクイーナンが死んでからは一気に動く。そして、ラストシーンで衝撃の終わり方をする。こうした展開に持っていったスコセッシ監督、やるね~。【自己採点】(100点満点)82点。男臭さが漂う映画だった。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ
2007.01.27
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