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4.ラッキーナンバー7■原題:Lucky Number Slevin■製作年・国:2005年、アメリカ■上映時間:111分■鑑賞日:1月13日 シネパレス(渋谷)■公式HP:ここをクリックして下さい□監督:ポール・マクギガン□製作:クリス・ロバーツ、クリストファー・エバーツ、カイア・ジャム、アンディ・グロスチ、アンソニー・ルーレン、タイラー・ミッチェル、ロバート・S・クラヴィスキャスト◆ジョシュ・ハートネット(スレヴン・ケレブラ)両親を少年時代に亡くした不遇の男◆ブルース・ウィリス(グッドキャット=スミス)冷徹な一流の殺し屋だが情もある◆ルーシー・リュー(リンジー)検死官で偶然スレヴンの隣人になる◆モーガン・フリーマン(ボス、アンソニー)競馬の八百長などに関わる組織のボス◆ベン・キングスレー(ラビ、シュロモ)ボスとはかつての組織の仲間。今はビルを挟んで対峙。◆ミカエル・ルーベンフェルト(イツザック)ラビの息子で同性愛者◆スタンリー・トゥッチ(ブリコウスキー刑事)ボスとラビの犯罪組織を追う刑事◆スコット・ギブソン(マックス)20年前競馬の八百長レースに大金を賭け失敗し殺害される。◆オリヴァー・デイヴィス(ヘンリー)マックスの一人息子で野球が大好き。【この映画について】ジョシュ・ハートネット、ブルース・ウィリス、モーガン・フリーマン、ベン・キングズレーら、豪華キャストで贈るクライムサスペンス。20年前の競馬の八百長事件に端を発した一連の殺しのストーリーが、巧妙に張り巡らされた仕掛けとともに明らかになっていく展開はスリリング。あっと驚く展開や仕掛けがあり20年前の出来事がどこで最後に繋がってくるのかワクワクしてくる。『ブラック・ダリア』での渋くセクシーな演技も記憶に新しいジョシュ・ハートネットが、モーガン・フリーマンやベン・キングスレーのアカデミー賞授賞経験を持つベテラン俳優を相手に本作でも光っている。コミカルなシーンあり、ラブロマンスありの娯楽作だが、すべての謎が解けてみると、ハードボイルドな後味が残る。他にも「16ブロック」が公開されていたブルース・ウィリスの殺し屋役もはまっているし、「キル・ビル1」でのオーレン・イシイ役でブレークし日本でCM出演も果たしその後「ドミノ」などにも出演しているルーシー・リューも良い味を出している。【ストーリー】(ネタバレなし)空港のロビーで、青年の前に現れた謎の車椅子の男。男は、「時があった」そう言って20年前の幸運のナンバーにまつわる残酷な物語を語り始める。20年前、アクイダスト・10レース・7番の馬に薬物注射が施され八百長で勝つ予定の馬が有る事を、レストランでの会話を偶然聞いた親戚からの情報を頼りにマックスは「絶対勝てる!」、そう信じてその筋から2万ドルを借金し「7番の馬」に全てを賭けた。競馬場には野球好きの息子ヘンリーと一緒に出向き、外出時には妻にヘンリーと野球観戦に行くと誤魔化し車で出かけた。駐車場に息子を残し競馬場へ全ての運命を掛けて臨んだが、「7番の馬」は薬物の影響でトップを快走もゴール目前に転倒し全財産を失ってしまう。そればかりか闇組織からの報復で自らの命と妻の命、更に、息子ヘンリーまでも失うのだったが...。以上が空港に現れた男が待合ロビーで語ったストーリーだったのだが、果してこのストーリーは本当なのかそれとも車椅子の男と関係があるのか?「酷い話だな...」車椅子の男からその話を聞かされた男が顔をしかめたその数秒後、車椅子の男は電光石火の早業でその男の首を捻り潰し、誰にも気付かれないまま死体をどこかに運んでいった。一方、NYのアパートではスレヴンとリンジーが偶然の出会いを果たす。不運続きのスレヴンは、友人を頼ってNYに来たのだという。ところが友人は姿を消し、スレヴンは敵対するギャング、“ボス”と“ラビ”の争いに巻き込まれる。「ボス」も「ラビ(映画内では『ラバイ』と発音します)」共にニック・フィッシャーという男の行方を追っていて、スレヴンが友人から紹介されたアパートの元々の住人は「ニック・フィッシャー」だった。連れて来られた両方の事務所には、何故か「車椅子の男」グッドキャットが姿を現す。スレヴンはリンジーを頼りにし何時の間にか男女の仲になるのだったが、そのリンジーは知らない間にグッドキャットに追われるのだったが...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.スレヴンとニック・フィッシャーとのつながりは果してあるのか?2.敵対する二つの組織から行方を追われるニック・フィッシャーとは何者か?3.人違いで犯罪組織の争いに巻き込まれたスレヴンだが、この争いの元とは何?スレヴンはこの窮地を乗り切れるのか?4.謎の男グッドキャットと犯罪組織との関係は?5.20年前の事件と語ったグッドキャットだったが、20年前の事件と現在の関係は何?等を中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画の出演者クレディットを見ると、映画ファンでなくても凄いメンツなのが分かるだろう。「サー」の称号を持つベン・キングスレー『ガンジー』での成りきりが評価され、モーガン・フリーマンは『ミリオンダラー・ベイビー』でのトレイナー役などが評価されアカデミー賞を授賞している。授賞歴のある俳優が二人揃うのも珍しいが、「ダイ・ハード」シリーズや最近では「16ブロック」などの出演があるブルース・ウィリスと凄い顔ぶれだ。ここに若手のジョシュ・ハートネットと中国系米国人のルーシー・リューが絡んでくるとなると名前を聞いただけでもワクワクする。演技で言えば二人のアカデミー俳優が縄で縛られてお互いを罵りあう場面は、まるで二人だけの空間がそこにはあり舞台を見ているような緊迫感と空気が漂っていた。ストーリーの展開も素晴らしいのだが、その素晴らしさの裏返しで最後に全てネタバレを映像と刑事の語りで晒してしまうので極端な話、オープニングとラストを観ればストーリーが分かってしまう「有りがたい」脚本でもある。20年前の出来事が、意外なところであちこちで繋がって行きそれが想像出来たりあっと驚いたりと、その関連を探すのもこの映画のもう一つの楽しい鑑賞方法です。久し振りにハリウッド映画でスカッとするストーリー展開の映画に出会えた。最後に、私は公開初日に渋谷の映画館で鑑賞した。普段から私は公開初日には観ないのだが、この日は他に観たい映画が無かったので観る事に。そして観終わって外に出たところで、「ぴあ」の調査隊に遭遇した。普段からぴあの調査隊の姿は見かけるが実際に話を聞かれたことは無かった。しかしこの日は出てきたところを掴まったので話をした。映画のポイントや項目別に5段階評価をしその根拠などを聞かれた。最後に、ダヴィンチのポストカードを頂いて写真を撮られて5分程度で終わった。運が良ければ18日発行の「ぴあ」の映画評価欄に私のコメントと写真が掲載されるが、それは18日になってみないと分からない...【自己採点】(100点満点)85点。ぴあの調査隊にもこの点数を付けました。【はみだしコラム】「鑑賞後の感想」の中でも書いたように、実はぴあ調査隊のインタビューを渋谷で受けていました。この映画を見終えたところで調査隊の女性スタッフに話を聞かれ、「18日発行のぴあ」に掲載されるかもとのことでした。ドキドキしながら、朝、駅の売店でぴあ(普段は購入しないのですが)を購入し、ペラペラとめくっていると何と何と「ぴあ満足度ランキング4位、ラッキーナンバー7」のコーナーで3人の中の一人として掲載されていました。いや~、驚きました!記事を読むと確かに私が話した内容が掲載されているではないか!実際には掲載された中身の4~5倍は話しましたが、私の話した内容がそのまま掲載されて驚きと嬉しさと同時にぴあにも感謝感謝です。この掲載にあたり私の本名や写真など個人情報も記されていますがまあ覚悟の上でした。お堅い勤務先(て言うか社名は聞かれなかった!)の固有名詞は出ていないし「ギャラ」はポストカード1枚であり、まあ良いか~!帰宅後、家族に早速見せましたが驚いていました。投稿の形で音楽雑誌に名前が出たのは2回あるけど、こうしたケースでは初体験でした。もし、ここまで読んでいただいた方で、ぴあ(関東版)を手元に持っているのならご覧下さい。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ
2007.01.14
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原題:Charlotte's Web(アメリカ)公式HP上映時間:97分鑑賞日:12月23日 渋東シネタワー(渋谷)監督:ゲイリー・ウィニック出演:ダコタ・ファニング(ファーン・エラブル)、ケヴィン・アンダーソン(ファーンの父)、エシー・デイビス(ファーンの母)、ジュリア・ロバーツ(蜘蛛のシャーロットの声)、スティーヴ・ブシェミ(ねずみのテンプルトンの声)、ドミニク・スコット・ケイ(子豚のウィルバーの声)、オフラ・ウィンフリー(ガチョウのグッシーの声)、セドリック・ジ・エンターテイナー(ガチョウのゴリーの声)【この映画について】世界で4500万部を超えるベストセラーを記録する、E.B.ホワイトのファンタジー小説を最新CGI技術で動物や鳥達の動きを映画化。平凡な田舎町を舞台に、農場の娘と子ブタとクモが織り成す愛と友情の物語がつづられる。一匹の子豚の運命を救った主人公の少女ファーンを『アイ・アム・サム』『宇宙戦争』のダコタ・ファニングが演じ、クモのシャーロットの声をジュリア・ロバーツが担当する。心温まるストーリーと、夢のようなファンタジー映像を楽しみたい。是非、親子で観る事をお薦めします。【ストーリー(ネタバレなし)】春の大雨の夜、サマセットで農家を営むエラブル家に11匹の子豚が誕生した。母豚には10個のオッパイしかなく11匹の子豚たちは我さきを争うように母乳を吸うのだったが、一番最後に生まれた子豚だけが母に抱かれること無く生きて行けないと判断した父が斧を手にしたとき、娘のファーンは「この子は私が守り育てる!」と宣言しウィルバーと名付けて自ら大事にまるで自分の赤ん坊の様に育てる。ウィルバーはファーンの手を離れて、向かいの親戚のザッカーマン農場に預けれらるが、ファーンは登校前と帰宅してからもザッカーマン農場に入り浸りとなりウィルバーを可愛がる。ウィルバーは馬のマイク、ガチョウの夫婦グッシーとゴリー、ねずみのテンプルトン、羊のサミュエル、牛のビッツィーとベッツィーといった動物たちに囲まれ成長していくが、やがてはクリスマスのテーブルに乗る運命。“その時”が近いことを知り、怯えるウィルバーを励ましたのが、納屋に棲むクモのシャーロットだった。シャーロットは他の動物達からは嫌われているが、ウィルバーにはまるで母親のような愛情で包んでいく。生きている者同士、ファーン、ウィルバー、シャーロットが育んでいく美しい友情。そしてシャーロットは命の尊さを人間たちにも伝えるため、思いを込めたメッセージを糸で自分の巣に浮かび上がらせる。その噂はたちまち街中に知れることになり静かなはずの農場はたちまち大勢の見物客であふれる事になった。「春に生まれた豚は冬を越せない」でX'masのハムになってしまう運命を嘆いているウィルバーを救う事が出来ずに悩むシャーロット。ファーンは秋の祭りで動物の品評会があることを知り、そこで優勝すればハムにならずに済むと考えアイデアを練ったのだったが果してウィルバーの運命とは...そして、やがてみんなの元に訪れる奇跡の“おくりもの”とは…。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ウィルバー救出へ向けてファーンが練った作戦とは?2.シャーロットとねずみのテンプルトンが共同で考えた奇跡とは?3.シャーロット、ウィルバー、テンプルトンが交わした約束とは?4.果してシャーロットは奇跡を起せたか?その時、シャーロットの身に起きた変化とは?などを中心に小さいお子さんがいる家族なら是非一家で映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画の原作の童話については全く知らずに観ました。特に複雑なストーリーや展開が待っている訳ではないのは元々が子供向けだからでしょう。しかし子供向けだからと言ってこの映画が大人が退屈するかと言えばそうでもない。この映画では子供に向けて「生命の大切さ」「自分を支えているもの(者)への感謝」「安易に諦めない」「奇跡を信じる気持ちと奇跡を起してみせる行動力」等が大切だと教えてくれる。その反面、「大人の都合」「忘れっぽさ」「既成概念での思考、行動」「人間の生活第一」への警鐘や怖さも説いているような気がした。そうした点は子供が何処まで気が付くかと言うより、むしろこの映画を一緒に鑑賞する親たちがそうした点を感じて子供達に伝えていく事が大事だと思う。最近の日本は公共心が薄れ親の自己中心的な行動が益々子供達を堕落させていく危険性を感じるので、子供用映画と馬鹿にする前に親がしっかりとした「心」を持ち行動で示すことが大切だと思う。この映画ではダコタちゃん演じるファーンの純粋な気持ちからウィルバーを何とか救ったその行動力の素晴らしさから、観た人達が何かを感じその行動力の源は何かを家族で考えて欲しい。それがこの映画の原作者の訴えたかったことかな?と思った。何だか何時もの感想とは異なり偉そうなことを書きましたが、子供のいない管理人だから感じたことかも知れませんね。現実はどうだかは、子供を持ったときに分かるのかな...?【自己採点】(10点満点)8.0点。ダコタちゃんの演技力が発揮されていたとは思えないが、それは既に彼女の演技力がこの程度では驚かないレベルに達しているからでしょうね。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Wings/Wings Over America(3枚組)
2006.12.30
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原題:Letters From Iwo Jima(アメリカ)公式HP上映時間:141分鑑賞日:12月17日 セントラル(吉祥寺)監督・製作・音楽:クリント・イーストウッド製作:スティーヴン・スピルバーグ脚本:ポール・ハギス出演:渡辺謙(栗林忠道中将)、伊原剛志(バロン西)、二宮和也(西郷)、加瀬亮(清水)、中村獅童(伊藤中尉)、裕木奈江(花子)【この映画について】イーストウッド監督、スピルバーグ製作の『父親たちの星条旗』に続く、硫黄島2部作の第2弾。日本の最南端にほど近い太平洋に浮かぶ、東京都小笠原村硫黄島。山手線一周ほどもないこの小さな島は、米軍の本土攻撃を食い止める最期の砦として重要な拠点だった。米軍は当初、圧倒的な戦力の違いから5日で陥落できると踏んでいたが、予想以上の日本軍の抵抗によって激戦は36日間に及んだ。この硫黄島の戦いを率いた日本軍の栗林中将は米国での留学経験から米国人気質を熟知している。ロス五輪金メダリストのバロン西、若き兵士・西郷ら何人かの人物に焦点を当て、硫黄島での戦いを明らかにしていく。戦後61年が経ち、地中から発見された数百通の手紙は届かぬとわかっていてしたためられた家族への思いが、余りにも悲痛で胸を打つ。手紙を認めている時がが唯一心の安らぐ時間だったであろう兵士達は何を思って硫黄島で戦ったのかを感じてもらいたい。【ストーリー(ネタバレなし)】2006年、硫黄島。地中から発見された数百通もの手紙。それは、61年前、この島で戦った男たちが、家族に宛てて書き残したものだった。届くことのなかった手紙に、彼らは何を託したのか。戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、ひとりの指揮官が硫黄島に降り立った。定刻より遅く到着した栗林は、早速、島内を自らの視察したいと言い出したが軍用車ではなく徒歩で島内をくまなく歩き視察をする姿に部下たちは度肝を抜かれる。陸軍中将、栗林忠道。アメリカ留学の経験を持ち、それゆえにアメリカとの戦いの厳しさを誰よりも知り尽くしていた男。本土防衛の最後の砦とも言うべき硫黄島の命運は、この男に託された。着任早々、日本式の長年の場当たり的な作戦を変更し、上官の部下に対する理不尽な体罰をも戒めた栗林に、兵士たちは驚きの目を向ける。今までのどの指揮官とも違う栗林との出会いは、硫黄島での日々に絶望を感じていた西郷に、新たな希望を抱かせる。アメリカ留学の経験から従来の常識にとらわれない栗林のやり方は、古参の将校たちの反発も呼んだが、一方で頼もしい理解者もいた。そのひとりが、ロサンゼルス・オリンピック馬術競技の金メダリスト、「バロン西」こと西竹一中佐だった。硫黄の臭気が立ち込める灼熱の島、食べ物も飲み水も満足にない過酷な状況で、栗林の指揮のもと、掘り進められる地下要塞。島中に張りめぐらせたこのトンネルこそ、米軍を迎え撃つ栗林の秘策だったのだ。来る日も来る日も南の島での塹壕堀に兵士たちは音を上げ、兵士の上官たちにはその効果に疑問や不満をもつ者もいたが栗林は怯まなかった。1945年2月19日、ついにアメリカ軍が上陸を開始する。その圧倒的な兵力の前に5日で終わるだろうと言われた硫黄島の戦いは、36日間にもおよぶ歴史的な激戦となった。死こそ名誉とされる戦争の真っ只中にあって、栗林中将は兵士たちに「万歳突撃」や「自害」を禁じ「死ぬな」と命じた。最後の最後まで生き延びて、本土にいる家族のために、一日でも長くこの島を守り抜け、と。栗林の奇策に反発し、軍人らしく玉砕を貫こうとする伊藤中尉、憲兵隊のエリートから一転、過酷な戦地へと送り込まれた清水、戦場にあってなお国際人であり続けたバロン西、まだ見ぬ我が子を胸に抱くため、どんなことをしても生きて帰ると妻に誓った西郷、そして彼らを率いた栗林もまた、軍人である前に、家族思いの夫であり、子煩悩な父であった。61年ぶりに届く彼らからの手紙。そのひとりひとりの素顔から、硫黄島の心が明かされていく。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.上陸した米軍に対して栗林らは塹壕で如何にして戦ったのか?2.硫黄島のシンボル摺鉢山での熾烈な戦いに敗れた後の戦い方は?敗退した部隊は本部に合流できるのか?3.栗林の作戦に疑問を持つ伊藤中尉は如何にして米軍と戦ったのか?4.負傷した米軍兵マイクに対して西中佐が語りかけた言葉は?5.南海の孤島で兵士や栗林らが記した手紙の中身とは?彼らはどういう気持ちで書いていたか?等を中心に米国でも評判の高いこの映画は、年輩の人たちだけでなく戦後生まれの方々にも是非映画館でご覧下さい。勿論、第1作もまだ公開していますので併せてご覧になる事をお勧めします。【鑑賞後の感想】クリント・イーストウッド監督の硫黄島プロジェクトは日米双方の立場と視点から見るという企画は彼らしかった。今回の日本側の視点はセリフも俳優も日本人と日本語で固められており、渡辺謙が言うようにこれは「邦画」と言っても差し支えない仕上がりだ、だがそこにはやはり邦画とは異なる出来になっているのも事実だ。栗林中将が盛んに部隊の兵士や上官らに「無駄死にするな!」と言い放ち、従来の軍人丸出しの伊藤中尉には冷たくあたるシーンなどは邦画だとあそこまで描かないかな?とも思いました。パン屋を営む兵士役の二宮が何度も栗林から声をかけられ、一度は伊藤中尉に首をはねられる寸前だったのを救われるがこうした交流シーンもイーストウッド監督の視点らしさを感じる。本作にはタイトルにもあるように「手紙」が重要な役割を果たしている。栗林も普段は指揮官として心の安らぐ時間は少ないが、手紙を書いているときは「よき夫であり、優しい子供の父」に戻れる。手紙を書いているときや読んでいる時の柔和な表情と戦場で動き回る姿の対比を渡辺謙は上手く使い分けていた。個人的には栗林か西郷かの書いた手紙を中心にストーリー展開を作って行ったら良かったと思う。それでもイーストウッド監督の意図するところが2本観て感じたし、決して戦争賛美や米国の一方的な優位性をアピールする形にしなかったのは大いに評価したい。今後この作品が米国で高い評価を受けているので賞レースでの受賞も期待出来そうだ。【自己採点】(10点満点)8.4点。今回の2本の映画を通じて始めて硫黄島での戦い方を知った。米国人のイーストウッド監督に感謝!←是非クリックして下さい人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Fourplay/Snowbound
2006.12.22
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原題:The Devil Wears Prada(アメリカ)公式HP上映時間:110分鑑賞日:11月23日 新宿アカデミー(歌舞伎町)監督:デヴィッド・フランケル出演:メリル・ストリープ(ミランダ・プリーストリー)、アン・ハザウェイ(アンドレア・サックス)、エミリー・ブラント(エミリー)、スタンリー・トゥッチ(ナイジェル)、エイドリアン・グレニアー(ネイト)、サイモン・ベイカー(クリスチャン・トンプソン)【この映画について】2003年に発表されるやいなや、瞬く間にニューヨーク・タイムズ誌のベストセラー・リストにランクインした「プラダを着た悪魔」。ヴォーグ誌の編集長アシスタントを務めていたローレン・ワイズバーガーによるその小説は、誰もがあこがれ、また覗いてみたいファッション業界の裏側をユーモアに包んで描き出し、多くの女性の支持を獲得。映画化である本作も、仕事や夢、恋に頑張る等身大の女性の姿を、右も左も分からず業界に飛び込んだヒロインを通じ、軽快なテンポで魅せていく。舞台が舞台だけに、超ゴージャスなファッションが次から次へと登場。また、カリスマ編集長には大女優メリル・ストリープが扮し、貫禄の演技で魅了する。その他にも映画内ではファション用語がポンポンと出てきたり、メリル・ストリープのファッションにも注目したい。そんな編集長に振り回されながらも力強く生きていくアンドレアには「ブロークバック・マウンテン」のアン・ハザウェイ、ミランダの右腕ナイジェルに「ザ・コア」「ターミナル」のスタンリー・トゥッチが扮する。【ストーリー(ネタバレなし)】ミランダ・ブラッドリーは世界のトレンドをリードするファッション誌「ランウェイ」のカリスマ編集長だ。ドラゴン・レディの異名を持つ彼女は有名デザイナーたちにも多大な影響力を持ち、自身もセレブとしての生活を送っている。そんな彼女の悩みはアシスタントが定着しないことだった。大学を卒業したばかりのアンディの夢は、ジャーナリストだ。しかしそんな彼女が、ひょんなことから就いたのは、NYの一流ファッション誌の編集長ミランダのアシスタント。多くの女性が憧れる職業かもしれない。でも当のアンディには興味ゼロの世界。果てはジャーナリストになるため!と職場に向かったのは良いけれど、彼女が手にしたアシスタント職は、生易しいモノではなかった。超カリスマ的な存在として君臨する編集長のミランダは、まさに「プラダを着た悪魔」だったのだ。ミランダの要求は早朝だろうが深夜だろうが無理難題を押し付けてくるのに閉口するアンディ。必死にミランダの要求に応えようと頑張れば頑張るほど空回りし、挙句の果てにはミランダから「今までの秘書以上に失望させられた」と罵声を浴びせられる始末。元々ファッション誌の秘書という未知の職業に就いて戸惑うアンディは、心のどこかに大学で専攻し目指していたジャーナリストへの道を諦められないでいた。或る日、アンディはファッション・ディレクターのナイジェルに悩みを相談した。ナイジェルはアンディがファッション誌の存在を低く見ていたことを危惧し、ファッション誌掲載のデザイナーたちのファションは偉大なアーティストの作品に匹敵すると熱く語りアンディの目を醒まさせた。こうしてナイジェルの一言で目が覚めたアンディは、従来の学生風の服装から一転して「ランウェイ」風の服装に身を包み周囲をあっと驚かせた。仕事に目覚めたアンディだったが同棲中のレストランのシェフを務めるネイトとの関係に徐々に日々が入り始める。夜遅く帰宅し会話も少なく何時の間にか二人の間には距離が出来ていた。プラィヴェートではネイトとの関係にひびが入ったが、ミランダの無理難題もエミリーの助けも得ながら何とかこなし信頼を得てきた。その矢先にミランダのふとした不注意からミランダの逆鱗に触れ再び信頼が揺らぎ始めた。毎年恒例の「ランウェイ誌」が業界関係者を招くパーティで同行を許されたアンディは、エミリーと二人で招待客の顔を氏名を暗記しますますやる気をもってきた。そんな或る日、第一秘書のエミリーが楽しみにしていたパリ行きを前に風邪をこじらせアンディに同行を求められた。しかし業界関係者があつまるパリでは、密かにとんでもない計画が水面下で繰り広げられていたのだったが...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.アンディとネイトの一度はひびの入って関係は元に戻るのか?2.急遽決まったパリ同行だが、アンディは果して無事にエミリーの代わりを務められるのか?3.パリで密かに進行していた社の経営を巡る驚愕の計画とは?4.パリ滞在中にアンディがミランダに対して取った決意の行動とは?等を中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】アカデミー賞歴代最多ノミネート12回を数えるメリル・ストリープ主演作と言うことで注目していた。彼女の従来のイメージとは異なり「やりてのファンション誌編集長」で何事もテキパキと物事を進める性格を、さすがと唸る演技力で表現したのは流石だなと感じた。スタッフには一切隙を見せない超人的な仕事振りとは相反するかのように、家庭内では夫との関係はギクシャクするミランダ。しかし仕事中はそうした弱みは一切見せずに自分で作ったイメージをことさら大事にする。大都会でキャリア・ウーマンとして働く女性像をメリル・ストリープは完璧に演じた。更に、ファッション雑誌編集長としての見事な衣装の着こなしっぷりもさすが名女優と唸ってしまう。この映画では彼女の個性に出演者たちのファション、音楽なども一体化して盛り上げている。そして、メリル・ストリープに負けず劣らずの演技を見せた、アンディ役のアン・ハザウェイの垢抜けない学生から華麗に変身して自信を付けていく姿を演じた力量も評価したい。【自己採点】(10点満点)8.2点。ストーリーは平凡だったが、やはりメリル・ストリープの演技と個性に尽きる!←是非クリックして下さい人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Celine Dion/These Are Special Times
2006.12.04
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原題:Tomorrow World(アメリカ)公式HP上映時間:109分鑑賞日:吉祥寺スカラ座 11月19日(吉祥寺)監督・脚色:アルフォンソ・キュアロン出演:クライヴ・オーウェン(セオ)、ジュリアン・ムーア(ジュリアン)、キウェテル・イジョフォー(ルーク)、チャーリー・ハナム(パトリック)、ダニー・ヒューストン(ナイジェル)、クレア=ホープ・アシティ(キー)、マイケル・ケイン(ジャスパー)【この映画について】原作は、英国作家界の女王P.D.ジェイムズの「The Children of Men(人類の子供たち)」。出演には『クローサー』でアカデミー助演男優賞にノミネートされ、『キング・アーサー』『インサイド・マン』『シン・シティ』等の注目作に立て続けに出演し脂が乗っているクライヴ・オーウェン。『フォーガットン』のジュリアン・ムーア、『バットマン ビギンズ』のマイケル・ケインなど演技派俳優が名を連ねている。監督には『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のメキシコ出身のアルフォンソ・キュアロン監督で、近未来の地球を描く問題作を原作とは異なるアプローチで描いている。【ストーリー(ネタバレなし)】2027年。我々人類にはすでに18年間も子供が誕生していない。このままでは、そう遠くない日、地球を引き継ぐ者はすべて地上から消え去ってしまう!その原因は遺伝子操作か大気汚染か未知のウイルスか解明されない、そんななかで世界をどん底の悲しみに陥れたニュースが駆け巡った。11月16日、ブエノス・アイレスで「人類最後の子供」リカルドが事件に巻き込まれて18歳で亡くなったのだった。世界各地でこのニュースを聞いた人々は泣き、ますます人類の未来に展望を持てず絶望するのだった。エネルギー省役人セオは、人類の未来はおろか、自分の将来すら興味のない絶望を生きる男。セオはリカルドのニュースロンドン市内のカフェで知り、外に出た直後に危うく爆破テロに巻き込まれそうになりショックのあまり出勤後上司の許可を取り半休で勤務を切り上げ郊外に住む旧知のフォト・ジャーナリストでもある友人のジャスパー宅を訪ねる。ところが或る日、白昼堂々セオは何者かに拉致されてしまう。強引に車(バン)に押し込められマスクを被せられ、マスクを暫くしてから剥がされると眼の前には20年前に離婚した元妻のジュリアンがいたのだった。ジュリアンとはセオはかつては反政府活動組織「FISH」での活動を通じて知り合い夫婦となったが、我が子を事故で失った悲しみから立ち直る事が出来ず生きる意味を見失い今では政府役人となった。ジュリアンとは離婚後は没交渉であるがセオは今でも彼女への未練がどこかに残っていた。ジュリアンらは政府機関で働くセオに対して、通行許可証を手に入れることで反政府組織として追われるFISHが自由に活動できる事を望んだ。セオは従兄の文化大臣に懇願し許可証を入手した。そしてセオは同行する事が条件の許可証を入手しジュリアンから計画の概要を聞いた。それはヒューマン・プロジェクトという組織に、密かに妊娠した移民キーを無事にそして政府に極秘裏に届ける事が任務だった。しかし英国では国境が閉鎖されて8年が経過し全ての移民は隔離されることで最低限の秩序を保っているために、有色人種の移民キーの移送には最新の注意が必要だった。ルークの運転する車でFISHの活動する牧場までの移動中、セオとジュリアンは20年のブランクを埋めるべく会話に花が咲いていてた。ところが走行中に突如としてセオらの乗った車が襲撃されジュリアンは射殺されてしまう。命からがら銃弾を免れたセオ一味は必死で逃げたが警察に追われ停車を命じられるが、冷静さを失ったルークは射殺してしまいセオはルークに罵声を浴びせる。ジュリアンという組織のリーダーを失ったFISHだが、何とか牧場にキーを届けた。だが、リーダーを失った組織内部には穏健的なジュリアンを好ましく思わないグループの一味は、キーを政治的に利用する計画を練っていたのだが...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.セオが牧場で偶然知ってしまったジュリアン襲撃の真相とは?2.セオはジュリアン襲撃の真相を知り密かにキーと夜中に脱出しジャスパーの隠れ家に向うが、果してセオとキーは安全に過ごせるか?3.ヒューマン・プロジェクトとのつながりのあったジュリアン殺害で、セオは如何にしてキーを無事にヒューマン・プロジェクトに届けるのか?4.キーは如何にして妊娠したのか?5.不穏な動きを見せる隔離された不法入国者たちに対し、政府側は如何に対応するのか?6.相反するイデオロギーを持つFISHだが、果してセオとキーは彼らから逃げ切れるのか?などを中心にこの近未来のSF映画は是非映画館でお楽しみ下さい。【鑑賞後の感想】日本では少子化が叫ばれる中、その一方で第三世界では人口爆発による飢饉が深刻化する地球。この映画では地球に18年間も子供が誕生しないという地球規模での深刻な悩みを抱え、このままでは確実に人類は滅びてしまう。こうしたテーマをしかもこのSF的な設定が2027年の英国であり、しかも移民を不法入国者として隔離するという強圧的な方針で辛うじて秩序を保っている。こういうテーマは決して飛躍しすぎていると感じる人は多くないはずだ。あえて細かい点を気にするならば、キュアロン監督の方針もあって人類に子供が生まれなくなった理由はさらりと流されてしまった。更に、「ヒューマン・プロジェクト」に付いても人類の将来を担うキーを預かるという重大な任務を請け負いながらも、その組織の実態や活動についても不透明なままだった点。この2点は監督自身のコメントでは重要視していないようで、むしろ、ジャスパーの個性的なキャラクターが目立っていた。俳優陣では話題の注目作に立て続けに出演するクライヴ・オーウェンの演技力も光るが、ジュリアン・ムーアの出演シーンが意外と早い時点で終わってしまった点は物足りなかった。作品全体としては脚色までこなし原作の中身を自身の手で大幅に改作したアルフォンソ・キュアロン監督のカラーが強く出たのではないだろうか?【自己採点】(10点満点)7.7点。作品のテーマは素晴らしいし興味深かっただけに、細かい点をもう少し描いて欲しかった。人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Dave Grusin/Mountain Dance
2006.11.27
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原題:Flags Of Our Fathers(アメリカ)公式HP上映時間:132分鑑賞日:11月11日 新宿ミラノ(歌舞伎町)監督・製作・音楽:クリント・イーストウッド出演:ライアン・フィリップ(ジョン・”ドク”・ブラッドリー)、ジェシー・ブラッドフォード(レイニー・ギャグノン)、アダム・ビーチ(アイラ・ヘイズ)、バリー・ペッパー(マイク・ストランク)、ジョン・ベンジャミン・ヒッキー(キース・ビーチ)、ジョン・スラッテリー(バド・ガーバー)、ポール・ウォーカー(ハンク・ハンセン)、ジェイミー・ベル(ラルフ・”ウイギー”イグナトースキー)【この映画について】ジョン・“ドク”・ブラッドリーの息子ジェイムズ・ブラッドリーは、英雄と崇められた父の沈黙に秘められた真実を知るため、何年もの歳月を費やし関係者に自ら取材を申し込み、父が見た硫黄島の真実に辿り着く。この本に感銘を受けたのは、メガホンを取ったクリント・イーストウッドだけではない。既に戦争映画『プライベート・ライアン』で2度のアカデミー賞(監督賞)を受賞したスティーブン・スピルバーグも、本作の映画化権獲得に尽力し、製作に情熱を注いだのだ。イーストウッド監督は「ミリオンダラー・ベイビー」のプロモーションで来日した際に、石原都知事と面会しこの映画の構想を話、硫黄島ロケの許可を直接申し出て実現した。アメリカを代表する二人の映画人が、戦争に対峙するアメリカ人と彼らの喪失を真正面から捉え、あますことなく描いている。この映画は、日本人が知らなかったアメリカの苦悩と喪失を教えてくれる。そしてイーストウッド監督は、硫黄島の真実をアメリカ側と日本側からの視点で見ることで「真実」を捉える試みをした点に注目したい。英雄と崇められた兵士を演じる俳優達に大物俳優はいないがアカデミー賞女優リース・ウィザースプンの夫で離婚が噂されるライアン・フィリップ、現在「アンノウン」が公開中のバリー・ペッパーの演技と個性にも注目だ。【ストーリー】(ネタバレなし)アメリカ、ウィスコンシン州で葬儀社を営むひとりの老人。今、彼には最期の時が迫っていた。彼の名は、ジョン・“ドク”・ブラッドリー。彼は1945年、太平洋戦争の激戦地として名高い硫黄島に、海軍の衛生兵として出兵していた。しかも、その時撮られた1枚の写真によって、米国中から“英雄”と讃えられた輝かしい過去があった。しかし彼は、その事について決して語ろうとはしなかった……。硫黄島で何を見たのか。父は何故沈黙を貫こうとするのか。父の最期を見守る彼の息子が、硫黄島の真実を辿り始める……。太平洋戦争の末期、米軍は硫黄島に上陸したがそこには日本軍の姿はなく島は不気味に静まり返っていた。緊張の中で砂浜から上陸し島を行進していた米兵だったが、その時、日本兵たちがいきなり乱射してきたが肝心の兵士の姿は見えず狼狽する米国兵たち。日本軍は平たい島にトーチカを築きそこに隠れた兵士達が乱射してきたのだった。当初の目論みは崩れ日本軍の思いも寄らない作戦に苦戦するのだった。しかし物量に勝る米国軍の形勢は徐々に有利になり、遂には激戦の中で島の象徴でありもっとも高い地点でもある「摺鉢山」を制し士気を高める意味も込めて星条旗を翻し従軍カメラマンにより撮影された。その時の「6人の英雄」はマイク、フランクリン、ハンク、レイニー、アイラ、ドクだった。しかし硫黄島での激闘でマイク、フランクリン、ハンクは帰らぬ人となり帰国できたのは伝令係のレイニー、ネイティブ・アメリカンであることに引け目を感じているアイラ、衛生兵ドクの3人だった。無事帰国した三人達は写真が新聞の一面をセンセーショナルに飾ったことで一躍「英雄」として祭り上げられ戸惑うことになる。更に、その戸惑いを増長するように三人達は戦費を調達するための戦時国債キャンペーン・ツアーに駆り出され連日のマスコミ攻勢とパーティー三昧で次第にツアーの日々にストレスを募らせるようになる。特に、ネイティブ・アメリカンの血が混じるアイラは「英雄」と崇められながらも少数人種であるが故の差別も体験し酒に溺れるようになっていった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ツアーで全国を廻わりストレスが溜まり始めた三人のストレスは溜まるが、彼らが知ってしまったツアーの裏側とは?2.語られなかった入れ替わった写真の6人目の名前とは?3.写真に写った星条旗とは異なるもう一つの星条旗があった。それは何故?4.ツアーが終り別々の人生を送る事になった三人のその後とは?三人はその後再会する機会はあったのか?などを中心に、来月公開される「硫黄島からの手紙」と併せて必ず映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】余りにも有名な摺鉢山に星条旗を突き刺す写真は私もどこかで見た記憶が残っていたのだが、その裏にはこれだけの知られざるストーリーがあったとは思わなかった。第一日本人でありながら硫黄島でこれほどまでの激闘が繰り広げられていたとも恥ずかしながら知らなかった。この頃の歴史に疎い管理人は同時に史実に詳しくないと言う理由から、この時代を題材にした映画を観ることも殆ど無かった。しかし今回観ようと思ったきっかけは、こうしたハリウッド映画は当然ながらアメリカの視点で描かれており自分達の正義感を押し付ける感じのは好きになれないのだが、クリント・イーストウッド監督は第2部として「硫黄島からの手紙」を日本からの視点で描いた作品も用意した点に注目した。観る前は硫黄島での戦闘にまつわる話がメインと思い構えていた部分もあったが、この映画はむしろ帰国してから英雄視されたことから発生した苦悩を描いた部分が主であった。三人のなかでドクは衛生兵、レイニーは伝令係で自分自身が英雄扱いされることの戸惑いと喜びを感じる戦費調達ツアー中の自分達と、熱が冷めた後の掌を返したかのような態度に幻滅する英雄達の心理をたくみに描いている点は良かった。戦争映画のジャンルでは収まらないヒューマン映画と呼んだほうが適切な作品だった。12月になって直ぐに、先述して「硫黄島からの手紙」が公開される。こちらは渡辺謙や私生活でお騒がせの中村獅童も出演しているので楽しみだ。【自己採点】(10点満点)8.1点。ドクの父親の苦悩を語るという設定は良いけど、硫黄島での戦闘シーンは日本人としては複雑でした。人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Regina Belle/Passion
2006.11.22
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原題:Tristan And Isolde(アメリカ)公式HP上映時間:125分鑑賞日:11月10日 武蔵野館(新宿)監督:ケヴィン・レイノルズ出演:ジェイムズ・フランコ(トリスタン)、ソフィア・マイルズ(イゾルデ)、ルーファス・シーウェル(マーク王)【この映画について】1500年前にケルトの伝説として誕生、吟遊詩人らによってヨーロッパ中に広められ、やがて宮廷詩やアーサー王伝説の一部として語り継がれていった悲恋物語「トリスタンとイゾルデ」。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の元にもなった古典の映画化を、20年も温めてきたという巨匠リドリー・スコット製作総指揮のもと、豪華絢爛な歴史絵巻が誕生した。トリスタンを演じるのは、「スパイダーマン」シリーズでおなじみのジェームズ・フランコ。甘口でロマンティックな彼の魅力が、最大限に活かされている。恋人イゾルデ役のソフィア・マイルズの美貌にも注目。ロケ中心の映像も綺麗なのでストーリーとあわせてじっくりと見ていただきたい。【ストーリー(ネタバレなし)】ローマ帝国の崩壊後、イギリスは事実上、アイルランド王の権力下にあった。イングランドは統一されておらず、アイルランドはこの混乱が続き群雄割拠が続くことを望みイングランド統一の野望をことごとく阻止してきた。或る日、イングランド統一に関する会議が密かにとある場所で秘密裏に開催されることになり諸侯らも集まっていた。だがその時遠くからアイルランド軍がこの動きを察し急襲されたイングランド勢は散り散りになってしまう。誰かが裏切った結果だが、この戦闘でトリスタンの両親も命を落としトリスタンも命を狙われるが部族長の1人・マーク候は、幼いトリスタンの命を救い、孤児となった彼を大切に育てる。9年後、立派に成長したトリスタンはアイルランドとの戦いで敵将を討ち取るが自らも戦闘で負った傷から瀕死に陥り、葬船に乗せられ海に流される。やがてアイルランドの海岸に流れ着いたトリスタンは、海岸を乳母と二人で散策していた際に薬の知識を持つ王の娘イゾルデに救われるがイゾルデは王家の一員の地位を隠して名を告げない。若い2人は海岸の秘密小屋で逢瀬を重ねて間もなく深い仲になるが、葬船がアイルランド軍に発見されたトリスタンは、この地を去らねばならなくなる。引き裂かれる運命を受け入れられないイゾルデはトリスタンが船出する間際まですがり付く。そして、例え離れても自分の事を思い続けてと涙一杯目に溜めて訴える。こうして引き離された2人は、思わぬ形で再会することに。イゾルデの父、アイルランド王がイングランドの諸侯に、剣闘を提案しトーナメントを勝ち抜いた者に娘イゾルデを嫁がせ同盟を結ぶと提案する。この提案を受けてイングランドの諸侯はこぞってトーナメントに参加し、トリスタンもマークを説得し同盟を結べるチャンスとばかりにマークの替わりに参加する事に。剣の達人であるトリスタンはトーナメントで優勝しトリスタンの恩人であるマーク候と、政略結婚することになったのだ。だがトリスタンはこの時、アイルランド王の娘がイゾルデであることを初めて知り驚愕する。同盟と結婚を祝う儀式は盛大に執り行われ、満面の笑みを浮かべるマーク王とは別にイゾルデは不安な面持ちで初夜を迎えた。その後も、マーク王はイゾルデにやさしく接し愛を注ぐがトリスタンへの愛情は募るばかり。実子を差し置いてマーク王はトリスタンを事実上のナンバー2に添え重用する。しかしこの抜擢に戸惑いを覚えるトリスタンは実弟登用を訴えるが引き受ける。一方で、イゾルデは視察の合間などを縫って城内と外をつなぐ秘密回廊を通り乳母と口裏を合わせて密会を重ねる。しかしアイルランド側の密使達に仲を怪しまれやがて二人の関係に王も疑いの目を向けるのだが...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.二人の関係を疑い始めたマーク王はトリスタンにどう接したか?2.イゾルデは夫マーク王とトリスタンとの愛の中でどういう生活を送ったのか?3.トリスタンとイゾルデの仲は意外なところで発覚したがそれは何故か?4.仲が発覚した二人に対しマーク王は二人を罰したのか?5.マーク王がイゾルデから聞いた二人の恋の真相とは?6.裏切られたマーク王とトリスタンの関係と、不義を理由に同盟を破棄したアイルランド王国の反応とは?7.トリスタンとイゾルデのこの先の運命は?などを中心に二人の運命はどうなるのか?結ばれるのか?悲劇的結末を迎えるのか?は映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】大学は英文科出身の管理人ですが、この物語は当時から名前は知っていたけど大学で授業がなかったかで内容は知らなかった。ところが今回映画化されるというのを知り、予告編やチラシを読んでいると「ロミオとジュリエット」の原型とあったがそれを知って驚き!「えっ、そうなの?!」と感じながら観ました。結果的にはロミオとジュリエットとは設定も時代背景も全く異なるし、精々「ヒントにした」程度に留めておくべきでしょう。トリスタンは眼の前で両親をアイルランド軍に惨殺され、彼を助けてマーク王もかばった際に手首を切り落とされる重傷を負いながらも生き延びて息子同然に育てる。そのマークに何の因果かイゾルデが妻として嫁いできた事で、諦めかけていた彼女への思いが募ってくる。イゾルデも彼を忘れられず二人の恋物語はあわや国家を滅ぼす寸前まで追い込み。それだけこの二人の恋心は激しく忘れ難かったのだが、二人の不義が発覚した際にマーク王がとった行動も有る意味で不義を働いた妻と息子同然に育てたトリスタンの、自分への裏切りと自分が妻を愛していた気持ちなどが複雑に入り混じった結果であろう。残忍で無慈悲な君主ならそのまま二人を捕らえて公開処刑にでもされるだろう。マーク王はしかしそうはしなかった。それはアイルランド軍と対峙するにはトリスタンの軍事的才能は捨てがたいのと、彼の妻への愛情と男としての優しさが無慈悲になれなかったのだ。こういう結末はロミオとジュリエットとは異なるので殊更「原型」と騒ぐ事はないのに映画会社の宣伝文句に踊らされてはダメだ。俳優陣はどちからと言うと地味で大物俳優は出演していなかったが、イゾルデを演じたソフィア・マイルズは中々の美人女優だ。最後に、もし管理人にイゾルデのような女性が表れたとして果して自分はマーク王なのかトリスタンなのかどちらのキャラだろうか?と何故か考えてしまった。う~ん、何故だろう?【自己採点】(10点満点)8.3点。ストーリーそのものは管理人好みだし、英文学的にも著名な作品なのも理由。←映画「トリスタンとイゾルデ」のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Paul McCartney/Choba B CCCP
2006.11.17
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原題:The Black Dahlia(アメリカ)公式HP上映時間:121分鑑賞日:11月3日 渋東シネタワー(渋谷)監督:ブライアン・デ・パルマ出演:ジョシュ・ハートネット(バッキー・ブライカート)、アーロン・エッカート(リー・ブランチャード)、スカーレット・ヨハンソン(ケイ・レイク)、ヒラリー・スワンク(マデリン・リンスコット)、ミア・カーシュナー(エリザベス・ショート)、マイク・スター(ラス・ミラード)、フィオナ・ショウ(ラモーナ・リンスコット)、ビル・フィンレイ(ジョージ・ティルデン)、リチャード・ブレイク(ボビー・デウィット)【この映画について】戦後間もない1947年、ロスを震撼させた猟奇殺人事件。ハリウッドで夢に破れ「ブラック・ダリア」の通り名で呼ばれていた娼婦は、世界一有名な死体となったが、ついに真相が明らかになることはなかった。この実在の迷宮入り事件を基に、“アメリカ文学界の狂犬”ジェイムズ・エルロイが書き上げた小説を名匠ブライアン・デ・パルマ監督が映画化。主人公2人と三角関係に陥るケイをエレガントに演じたのは「ロスト・イン・トランスレーション」「マッチポイント」などでその豊満な肉体を惜しげもなく披露している?スカーレット・ヨハンソン、捜査線上に浮かび上がる大富豪の娘を妖しく演じ「ボーイズ・ドント・クライ」「ミリオンダラー・ベイビー」でアカデミー賞2度受賞歴を持つヒラリー・スワンクと、女優陣の美しさと妖艶さに加えて時代を偲ばせる衣装やセットにも注目したい。この二人の女優に対抗する男性陣は「サンキュー・スモーキング」が公開中のアーロン・エッカートとジョシュ・ハートネットが捜査官としてコンビを組む。【ストーリー(ネタバレなし)】1946年10月ロス市警に勤めるかつてはプロボクサーとして鳴らした、警官のバッキーとリー。ロス市警のPR試合で一戦を交えた2人は、急速に接近。公債発行のためのキャンペーンとはいえバッキーは自宅で一緒に生活する認知症の父を施設へ入れる金がほしくて試合を受諾し、8RでリーにKOされるがリーは望みどおり金を得た上にセントラル署特捜課に配属される。ボクシングの試合ですっかり有名になった二人は、「ミスター・アイスマン」「ミスター・ファイア」のニックネームで呼ばれロス市警の名物となったいった。なかでもリーは、彼がかつて逮捕した銀行強盗犯ボビー・デヴィットの情婦の一人だったケイ・レイクという恋人がいる。バッキーもリーから自宅に招待され、ケイの手料理を食べて楽しい時間と日々を送っていた。1947年1月、指名手配中の凶悪犯レイモンド・ナッシュを追う二人は、町外れの場所で張り込みと尾行を繰り返し居所をキャッチした。二人で徹夜の見張りをしていたが、警戒する相手側が二人に気付き、発砲したところ間一髪でリーの機転でバッキーは九死に一生を得た格好だ。そんなある日、身体を腰から切断され、口を耳まで切り裂かれた若い女の全裸死体が空き地で発見される。間もなく死体の身元は、映画女優を夢見ながら娼婦まがいの生活を送っていたエリザベス・ショートだと判明。2人も事件の捜査に乗り出すが、リーはこの事件に異常な執着を抱き始め……。やがてこの残忍な死体遺棄事件は世間の注目を浴びるようになり、エリザベスは女優を目指し東海岸からハリウッドに出てきたがチャンスを掴めなかったことが分かる。バッキーは気乗りがしないままにエリザベスのアパートで聞き込みをした情報から、レズビアン・バーの存在を突き止める。そしてそのバーで彼女そっくりの黒ずくめの女マデリーン・リンスコットと出会う。リンスコット家はハリウッドでの土地開発で大金持ちになっていた。バッキーはケイに好意を寄せながらも捜査目当てにマデリーンと親密になり、やがて自宅での家族とのディナーにまで招待されるまでになった。だがそこでバッキーが感じたリンスコット家の家族関係は意外なものだった。エリザベス事件にのめり込むリーに対し、本来の捜査であるナッシュの行方捜査を気にするバッキー。更に、服役中の銀行強盗犯ボビー・デウィットの出所が早まるとの情報が市内を駆け巡りケイは気が気でない。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.リーに遠慮しケイとの中を発展させられないバッキーに対し、ケイの気持ちは一体...。2.ボビー・デウィット出所で動揺するケイだったが、デヴィットの出所で一番動揺したのは?3.エリザベス事件の展開はどうなったのか?4.ケイが語ったリーが執着するエリザベス殺しの捜査の秘密とは?5.情報屋モリーから出所したデウィットのビルで麻薬取引が行われるとの情報を掴んだリーだったが、そこでリーの身に起こったこととは?6.マデリーンとエリザベスは何故そっくりの格好をしていたのか?7.ケイに頼まれて浴室の床タイルを修理していたバッキーが偶然発見した大金の正体は?8.エリザベスが出演していたポルノ映画とそこのクレジットに偶然出ていた意外な人物の名とは?9.マデリンの出生の秘密と事件の関係はあるのか?等を中心に是非映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画ってストーリー展開がエリザベスの事件と、レイモンド・ナッシュの行方を追う事件の二つが絡むのが主でありそこにいくつかの人間模様と恋愛事情がさらに複雑に関わっていくのでしっかり観ていないと着いて行けないのだ。そうした複雑なストーリー展開も見方によっては、焦点がどこにあるのかと迷うだろうがそこは俳優の演技やしっかりとして脚本で救われている感じがした。その俳優陣ではアーロン・エッカートとジョシュ・ハートネットのボクシングを通じての友情を育んだ冒頭のシーンは分かりやすかった。女優陣ではアカデミー賞2度受賞歴を持つヒラリー・スワンクの妖艶なスタイル、スカーレット・ヨハンソンのマリリン・モンローのようなメイクと演技にも注目したい。しかし私の好きなスカーレット・ヨハンソンの個性が今ひとつ発揮されていないのとは逆に、ヒラリー・スワンクの役柄は登場シーンの割には目立っていた。最後に時代背景をCGに頼らずしっかりとセットを組んで(多分ね)雰囲気を出していたのは評価できるが、この映画のロケの一部はブルガリアで行われたとは以外だった。【自己採点】(10点満点)7.0点。こうした映画に点数を付けるのは難しい。人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Michael Gonzales/Mountaintop
2006.11.07
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原題:The Sentinel(アメリカ)公式HP上映時間:108分鑑賞日:10月28日 オデヲン座(歌舞伎町)監督:クラーク・ジョンソン出演:マイケル・ダグラス(ピート・ギャリソン)、キーファー・サザーランド(デヴィッド・ブレキンリッジ)、デヴィッド・ラッシェ(バランタイン大統領)、キム・ベイシンガー(サラ大統領夫人)、エヴァ・ロンゴリア(ジル・マリン)、マーティン・ドノヴァン(ウィリアム・モンテローズ)【この映画について】緊密かつ強固な体制でアメリカ大統領警護の任務にあたるシークレットサービスに、もし大統領暗殺計画の内通者がいたら…そんな危機的な状況に挑む2人の男を描いたのがこの作品。かつて大統領暗殺を体で呈した伝説ベテランエージェントにマイケル・ダグラス、そのダグラス扮するギャリソンの教え子でもあった気鋭のトップ調査官にはキーファー・サザーランドが扮し、緊迫した演技を見せてくれている。大統領の暗殺を狙う正体不明の存在とそれを助ける内通者という2つの敵、さらに事件の謎を追うベテランエージェントと彼を第一容疑者として追う調査官という2人の追跡者、この二重構造が作品の緊迫感に深みを与えている。更に、大統領夫人に扮するキム・ベイシンガーがファーストレディとしての立場と女として愛情に飢える心理を巧みに演じている点にも注目。【ストーリー(ネタバレなし)】かつてはレーガン大統領を暗殺から守ったシークレット・サービスのベテラン・エージェントであるピート・ギャリソンは、ファースト・レディ護衛の任務に就いていたが、守るべき彼女と愛し合う関係となっていた。そんな中、彼の同僚だったチャーリー・メリウェザーが自宅前で射殺され、ギャリソンのかつての部下、デヴィッド・ブレキンリッジは事件の捜査を開始。二人の関係はギャリソンがブレキンリッジの妻と不倫関係にあったことを疑い離婚してしまったことでひびが入ってしまうがギャリソンはそれでも彼の力量は認めていた。そんな事がありながらもギャリソンはアカデミーで優秀な成績を収めた自分の教え子ジル・マリンを彼に預ける事にした。ジルの赴任初日にイキナリ、メリウェザー射殺事件が発生しブレキンリッジは早速ジルを連れて現場へと向った。ブレキンリッジはメリウェザー夫人から夫が生前ギャリソンに女性スキャンダルがあることをほのめかしていたが、その相手までは掴んでいなかった。そのギャリソンはメリウェザーからその日の朝に内密の話があると密かに連絡を取ってきた。果してメリウェザーは何を掴んでいたのか?しかし事件が解決せぬ内に、ギャリソンに接触してきたタレ込み屋から、大統領暗殺計画の存在と、それにシークレットサービスの高官が関わっているという情報がもたらされ…。141年の歴史を誇るシークレット・サービスの高官が大統領暗殺を画策しているという情報から、ブレキンリッジは裏切り者を洗い出す事になった。ギャリソンには次々と自身に不利な状況がその身に襲ってくる。ファースト・レディとの密会現場の写真が送られてきたり、大統領専用ヘリ撃墜事件に関するウソ発見器による陽性反応。それらを裏付けるかのようなギャリソンの不審な行動の数々。ブレキンリッジはギャリソンの自宅へ向い身柄拘束を試みるが、一瞬の隙を突かれてギャリソンは単身で逃亡を図り自らこの疑惑を晴らすべく独自で動き大統領暗殺阻止とその裏で暗躍する裏切り者に迫る決意を胸に秘め動き回るのだった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ファースト・レディとギャリソンの密会が発覚したときのお互いの反応は?2.大統領専用ヘリ撃墜は何故起き、そして如何にして大統領は間一髪難を免れたのか?3.ブレキンリッジに追われるギャリソンが暗殺された同僚メリウェザーの自宅で未亡人と密かに対面中に分かった事とは?4.ギャリソンが突き止めた暗殺団の正体と国籍は?裏切り者は誰か?5.大統領の次ぎの外国訪問地カナダ・トロントでのG8(サミット)で暗殺団が画策している恐るべき計画とは?6.ファースト・レディとの密会は大統領に知れるのか?7.ギャリソンの無実は如何にして晴らされるのか?等を中心にこの驚くべき計画の発端は何だったのか?映画館で是非ご覧下さい。【鑑賞後の感想】大統領暗殺に関する映画というのはハリウッドでは珍しくない「ジャンル」であるが、それを画策していたのが「シークレット・サービスの高官」となれば話は別だ。しかもそのシークレット・サービスのエージェントに扮するのがマイケル・ダグラスと「24」で名を売ったキーファー・サザーランドであり、大統領夫人にはキム・ベイシンガーとなれば配役の名を聞いただけでワクワクする。本作の見どころはそうした一捻りも二捻りもした脚本の良さと、原作を執筆したのが元シークレット・サービスの職員でありリアリティを感じてしまう。ファースト・レディとギャリソンの不倫関係から、芋づる式に次から次へと新たな事実が発覚し先に進んだと思うとまた前に戻るというパターンの繰り返しだがストーリーは見事に一本化される辺りは見事だ。スクリーン上の主役二人の動きだけに注目していると裏切り者が誰かと言うテーマから置き去りにされてしまう。その反面、注意深く見ていると意外と簡単に裏切り者の正体は分かるので上映中に絶対寝ないこと!【自己採点】(10点満点)8.0点。裏切り者がそこに陥った過程をもう少し描いたら点数は上がったか?人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Billy Joel/The Ultimate Collection Disc 2
2006.11.03
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原題:World Trade Center(アメリカ)公式HP上映時間:129分鑑賞日:10月28日 新宿プラザ(歌舞伎町)監督:オリバー・ストーン出演:ニコラス・ケイジ(ジョン・マクローリン)、マイケル・ペーニャ(ウィル・ヒメノ)、マギー・ギレンホール(アリソン・ヒメノ)、ドナ・マクローリン(マリア・ベロ)、スティーブン・ドーフ(スコット・ストラウス)、アルマンド・リースコ(アントニオ・ロドリゲス)、ジェイ・ヘルナンデス(ドミニク・ぺズーロ)、マイケル・シャノン(デイブ・カーンズ)【この映画について】 史上最悪の悲劇となった全世界を揺るがした未曾有のテロ“9・11”から5年。瓦礫の下から奇跡の生還を果たした港湾警察官2名とその家族、彼らの救助活動にあたった人々など、数多くの証言から事件当日を忠実に映画化した作品が誕生した。監督は、これまで3度のアカデミー賞に輝く社会派巨匠オリバー・ストーン。彼は本作から一切の政治色を排し、絶望の中にあっても光輝く人々の勇気、希望、助け合う姿から都会に住む人間が忘れかけていた人情をを見つめる、感動的な人間ドラマに仕上げた。撮影では、在りし日の世界貿易センターをロスに再現。あまりのリアルさに、エキストラとして出演を果たした証言者たちは涙を流したという。主演はニコラス・ケイジと『クラッシュ』のマイケル・ペーニャ。ぺーニャの妻アリソン役に、弟ジェイクがメキメキと知名度をアップさせてきたマギー・ギレンホールが身重姿で感情を露にしながら熱演する。【ストーリー(ネタバレなし)】2001年9月11日、午前8時40分過ぎ。ニューヨーク港湾局警察では班長のジョン・マクローリンによる勤務配置と連絡事項が何時もの様に朝礼で述べられていた。新入りのウィル・ヒメノはバスターミナル担当として配置場所へ向っていたその時、上空に巨大な航空機の陰がマンハッタンに轟音と共に頭上をかすめた。8時46分ニューヨークがかつてない巨大な地響きに包まれた。ニューヨークのシンボルともいえる2つのタワー、世界貿易センター北棟にアメリカン11便が、南棟にユナイテッド175便が激突した。港湾局警察官(PAPD)のジョン・マクローリンとウィル・ヒメノは同僚と現場に急行、ニューヨーク市警察(NYPD)及び消防(NYFD)のメンバーたちは一斉に人命救助のためビル内部へと向かう。マクローリンはビル内に入るメンバーをその場で募りヒメノ、ドミニク、アントニオ、クリスの四人がマクローリン班長と共にビル内に入り人命救助を、残りのメンバーはバックアップに廻ることになった。四人と班長はビル内に入り詰所で緊急装備に身を固めロビーを移動中だったが、急にエレベーター・シャフトが音を立てて崩壊し始め班長の「逃げろ!Run!」の絶叫で逃げる隊員たち。どのくらいの時間が過ぎただろうか、ロビーは崩れてきたエレベーター・シャフトで滅茶苦茶に破壊されビル崩壊も時間の問題となっている。奇跡的に生き残ったのはマクローリンとヒメノとドミニクの3人だが、マクローリンとヒメノは瓦礫の下敷きとなり身動きすら取れなくなっていた……。辛うじてドミニクだけが瓦礫から抜け出せ、二人を救出に向ったが新たな崩壊でドミニクも瓦礫に埋まり身動きが取れなくなり自ら命を絶った。瓦礫に挟まり身動きが取れない二人だったが、マクローリンは責任感から無線で必死に外部とコンタクトを取るが徒労に終わる。その頃、地上では二人の家族が警察からの連絡でビル内に突入して行方不明のなっていることを知る。マクローリンの妻ドナは4人の子供の前で気丈に振舞うが、ヒメノの妻アリソンは身重の身で落ち着かずアリソンの両親が家に来てなだめている。TVニュースで状況を見つめる家族たちは、居ても立ってもいられず現場方面と向うのだった。一方、生き埋めとなりイタズラに時間が過ぎてゆく二人は、お互いを励ますように家族のことなどを話すのだったが体力は徐々に奪われていった...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.二人は果してこの後どのようにしてこの危機的状況を外部に伝えたのか?2.二人の残された家族はどうしたのか?3.二人と家族の再会はどのようにして果たされたのか?4.救出後の二人と、その後の二人の現在は?等を中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】9・11を扱った映画としては「ユナイテッド93」が最近公開されたが、あれは突っ込んだ航空機ハイジャックの方で今回はビル崩壊で生き埋めになった警察官の実体験がベースだ。ハイジャックの方は生存者がおらず周辺の証言から再現し映画化したが、本作は実際に生き埋めになった警察官の経験がベースでありよりリアルに感じられる。更に、生き埋めになっている間の家族の動きや感情の変化を同時進行で描いているのは良かった。そうしないと暗い瓦礫の中で励ましあっているだけでは映画にならない。9・11を直接または間接的に扱ったテーマの映画は既に多く造られているが、その大部分は「現場での出来事」ではない精神的な部分だった。「ユナイテッド93」と本作は精神的な部分より「肉体的な苦しみ」と「家族の苦しみ」を描いていた点が異なる点だった。主役のN・ケイジは班長としてリーダーシップを発揮する前に事故に遭遇してしまったので、主役としての彼のカラーが出ていたとは思えなかった。【自己採点】(10点満点)7.6点。アメリカらしい「英雄」と「家族の愛」をテーマとして作品で、日本人としてはもうひとつ感情移入が出来ない部分があった。余談ですが、管理人は20年くらい前に初めてNY観光に行った際にWTCも行きました。強風で上の階の展望台は閉鎖でしたが、今でも当時の記憶はしっかりと残っています。人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Quincy Jones/You've Got It Bad Girl
2006.10.31
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原題:Capote(アメリカ)公式HP上映時間:114分鑑賞日:10月21日 シャンテ・シネ(日比谷)監督:ベネット・ミラー出演:フィリップ・シーモア・ホフマン(トルーマン・カポーティ)、キャサリン・キーナー(ネル・ハーパー・リー)、クリフトン・コリンズJr.(ペリー・スミス)、クリス・クーパー(アルヴィン・デューイ)、ブルース・グリーンウッド(ジャック・ダンフィー)、ボブ・バラバン(ウィリアム・ショーン)、マーク・ペレグリーノ(ディック・ヒコック)、エイミー・ライアン(マリー・デューイ)、アリー・ミケルソン(ローラ・キニー)【この映画について】わずか23歳で作家デビューを果たし、“早熟の天才”と呼ばれたカポーティ。社交界でマリリン・モンローの親友となるなど華やかな話題を振りまいた彼は、同時にホモでアル中・ヤク中というゴシップでも時代の寵児となっていく。そんな彼が6年を費やしたのが、最高傑作「冷血」だった。しかしこの小説を完成させるには主人公の「死」が必要だった。そんな彼の苦悩とは?この一作でカポーティの名は一気にアカデミックなものに高まるが、彼自身はそれ以降、本格的な小説をひとつも完成できなくなってしまう。一体、「冷血」執筆中のカポーティに何があったのか?「Mi:3」での悪役で主役トム・クルーズと対峙したフィリップ・シーモア・ホフマンは、この個性的なカポーティに見事なまでになりきり第78回アカデミー賞主演男優賞を受賞した。ホフマンがカポーティをどのように演じたのかにも注目して観てもらいたい。【ストーリー(ネタバレなし)】1959年11月15日。カンザス州ホルカムでクラッター家の家族4人が、惨殺死体で発見される。翌日、NYで事件の新聞のニュース記事を見た作家トルーマン・カポーティは、早速この事件に興味を持ち新聞を切り抜いた。これを次の小説の題材にしようと決心。幼馴染みで彼の良き理解者の女流作家ネル・ハーパー・リーを伴い、すぐさま現地へ向かう。そこで彼は担当の警察署に出向いて記者会見を見学することを許された。捜査部長のアルヴィン・デューイは職人タイプで一筋縄には行かないタイプの人間だ。ネルの奔走の結果発見者の少女ローラとの面会に成功し、何と彼女から被害者ナンシー・クラッターの日記を見せてもらう。小さな田舎町は前例のない残酷な事件に動揺していたが、12月30日容疑者としてペリー・スミスとリチャード・ヒコックの二人が逮捕された。カポーティは事件の真相を暴くべく、保安官住宅を訪ね拘留中のペリーとの面会に成功した。足しげく通い良好な関係を築いた二人だったが、やがて二人に死刑判決が下された。それでも彼は諦めずに面会に訪れ二人の上訴手続きの為に有能な弁護士を雇いたいと告げるが、彼の心内を見透かしていた二人は「自分(カポーティ自身の名声維持の為)のためだろう?」と言われてショックを受ける。彼はペリーを殺人者としてではない面を世間に伝えたいと彼を説得し彼が綴っていたノートを借り、スペインの別荘で執筆に励む事にした。彼はその後の面会で小説の執筆は進んでいないことを話したが、ペリーが拘置所内で偶然目にした記事で彼の嘘がばれてしまう。彼の小説のラストはペリーの死で完結するのだったが、果してその結末は...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ペリーは何故カポーティの嘘を見抜くことが出来たのか?2.ペリーとカポーティの関係は修復されるのか?3.彼の書く小説の結末はいったいどうなるのか?そしてその時期は何時訪れるのか?等を中心に上映館は少ないですが是非映画観でご覧下さい。【鑑賞後の感想】昨年度(表彰式は今年の2月)のアカデミー賞で主演男優賞を受賞した作品ながら、公開は遅れに遅れてやっとこの時期の上映となった。大分前から予告編だけは何度も観たので早く映画館で観たいとワクワクしていたのだ。主演のフィリップ・シーモア・ホフマン演じる主人公のトルーマン・カポーティは売れっ子作家としてわが世の春を謳歌していた人物だ。しかし彼は同性愛者でありその「個性的な」話し方で色んな意味で注目を浴びていたキャラだった。その個性的なキャラを違和感無く演じきり役になりきっていたホフマンの演技力はアカデミー賞授賞に相応しい内容だった。【自己採点】(10点満点)8.2点。この作品はカポーティ演じるホフマンの演技力に支えられている。その他の魅力がもう少し全面に出ると点数はもっと高かった。人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Enya/A Day Without Rain
2006.10.27
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原題:Thank You For Smoking(アメリカ)公式HP上映時間:93分鑑賞日:10月21日 シャンテ・シネ(日比谷)監督・脚本:ジェイソン・ライトマン出演:アーロン・エッカート(ニック・ネイラー)、マリア・ベロ(ポリー・ベイリー)、キャメロン・ブライト(ジョーイ・ネイラー)、アダム・ブロディ(ジャック)、サム・エリオット(ローン・ラッチ)、ケイティ・ホームズ(へザー・ホロウェイ)、デヴィッド・コークナー(ボビー・ジェイ・ブリス)、ロブ・ロウ(ジェフ・マゴール)、ウィリアム・H・メイシー(フィニスター上院議員)、J・K・シモンズ(BR)、ロバート・デュヴァル(ザ・キャプテン)【この映画について】タバコ研究アカデミー広報部長の肩書きを持つニック・ネイラー、信用ならないと思いながらついついその喋りの魔法にかかってしまう。乗せられてしまうのだ。ローン返済のためと割り切った仕事ぶりには抜け目がないのに、若くてきれいな女にはガードが甘かったり、息子のジョーイに「自分で考え、自分で決める」ことの大切さを説く、真っ当さも持ち合わせた主人公ニック。この役のイメージにピッタリのアーロン・エッカートがチャーミングだ。この役を演じられるのは彼かネイラーの年齢設定がもう少し高ければとの条件でハリスン・フォードだろう。クリストファー・バックリーの傑作小説「ニコチン・ウォーズ」を原作に、新鋭ジェイソン・ライトマン監督の、マーケティング第一のアメリカ社会を辛辣にユーモアたっぷりに描いている。【ストーリー(ネタバレなし)】タバコ研究アカデミー所属のPRマン、ニック・ネイラーの使命は、得意の話術でタバコ業界への手厳しいバッシングをかわすこと。その巧みな論理のすり替えテクニックから「情報操作の王」と異名をとる彼の評判はすこぶる悪いが、一人息子のジョーイだけはそんな父親を尊敬していた。医学的知識を有するわけではないニックはTVの討論番組にも積極的に出演しタバコ業界へのバッシングを封じてきた。あるときもTV討論番組で喫煙が原因でガンになった少年を逆に巧みな話術で、未成年の喫煙撲滅にと5000万ドルのキャンペーンを張ると大風呂敷を広げ喝采を浴びた。しかしロビー活動は順調な事ばかりではなかった。中でも嫌煙活動の急先鋒フィニスター上院議員は全てのタバコに「どくろマーク」を掲げる法案を提出しようとしている。法案が可決されると業界全体に及ぼす売り上げ激減は避けられなくなるとみたニックは、映画業界に働きかけて映画スターの出演シーンに喫煙シーンを取り入れる事を提案する。業界のドンである「ザ・キャプテン」から直々に命を受けて大金をスーツケースに詰め込み、同行を熱望する息子のジョーイと二人で早速ロスに向った。ニックはロスで映画界のスーパー・エージェントであり日本かぶれのジェフ・マゴールと会い、映画スターに喫煙させるシーンを盛り込む事を依頼する。更に精力的に動くニックは、社会勉強を口実に同行しているジョーイを連れて「ザ・キャプテン」からタバコ業界を訴えると息巻く初代マルボロ・マンのローン・ラッチを金で買収せよと厳命され見事に成功する。意気揚々とワシントンDCに帰ったニックに思わぬ落とし穴が待っていた。何時もの様に行きつけの店でアルコール業界のポリー、銃製造業界のボビーと三人で飲み盛り上がっていた。だが独身に戻ったニックは取材を通して知り合った巨乳記者のへザー・ホロウェイと取材中に飲んだ高級ワインでほろ酔いとなり、何とヘザーとベッドを共にし業界の裏話をペラペラと話してしまうのだった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ニックが巨乳記者ヘザーに話した業界の裏話とは?2.ニックの話した内容を記事にしたヘザーが勤める新聞社が掲載した記事の反響とは?3.次々とニックに降りかかる災難。そのニックが嫌煙団体から受けた思いも寄らぬ出来事とは?4.父の仕事に感銘を受けたジョーイが母に告げた決意とは?5.フィニスター上院議員を驚かせたニックの戦術とは?などを中心に上映館は少ないですが是非映画館でお楽しみ下さい。【鑑賞後の感想】予告編を映画観で観た時にアメリカらしい話題をテーマにした作品だと感じたが、邦題は原題から「For」が脱落しているのは気に喰わない。細かい事だが「For」が入る事でニュアンスも大分違うのだがね。大の嫌煙家でもある私としては、「たばこ」の有害性とかを風刺的に扱う作品とのイメージを持って観にいった。だが良い意味でその期待は「裏切られ」たと言える。どちらかと言えばアーロン・エッカート演じる弁の立つ広報マンがタバコ業界の利益を守るために活躍する様子を風刺的に皮肉たっぷりに描くのがテーマだった。ライトマン監督も語っているが、扱ったテーマがたまたまタバコ業界であって別の業界でも構わなかったと言った趣旨の話しをしているようだ。確かに広報部長ニックは弁舌爽やかに相手をやり込めるが、彼にしても現在はタバコ業界の代弁者だがそれに固執する必要も無かった。何故ならネタバレになるので書けないが、彼が巨乳記者に語った寝物語の裏話を暴露されてからの彼の慌てぶりとそれを逆手に取ろうとしたある男の行動はまさに皮肉タップリの部分だ。こうしたアメリカの業界の裏側を鋭く切り込んだ所がこの映画の着眼点の良さであり、その広報マンを演じたアーロン・エッカートははまり役だったと思った。【自己採点】(10点満点)7.7点。アーロン・エッカートを配したのは正解。私的にはタバコの有害性を強調するシーンをもっと盛り込んで欲しかった。人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.George Benson/Irreplaceable
2006.10.23
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16 Blocks(アメリカ)公式HP上映時間:101分鑑賞日:10月14日 新宿ミラノ(歌舞伎町)監督:リチャード・ドナー出演:ブルース・ウィリス(ジャック・モーズリー)、モス・デフ(エディ・バンカー)、デヴィッド・モース(フランク・ニュージェント)、ジェナ・スターン(ダイアン・モーズリー)【この映画について】脂肪で突き出た腹、どこか見苦しい口ひげ、ずるずると引きずる足、アル中……。主人公ジャック・モーズリーを演じるブルース・ウィリスには、かつて「ダイ・ハード」シリーズで見せたような精悍さやワイルドさはかけらもない。そんな彼が警察の汚職にまつわる事件に巻き込まれていく姿を描いたのがこの作品。老いたかつての敏腕刑事が1人の囚人を護る様子を、ときに激しい銃撃戦、ときに絶妙な間の会話を用いて映し出していく。かつては20年以上もコンビを組み仲間だったフランクとの息詰まる対決、NY市内各地で繰り広げられる。このフランクとその部下との対決もこの映画の見どころだ。【ストーリー(ネタバレなし)】夜勤明けで署に戻った刑事ジャック・モーズリーは、上司に簡単な任務を課せられた。仮釈放中に悪事を働いた囚人エディ・バンカーをわずか16ブロック先の裁判所まで護送するというもの。当初は渋っていたものの任務終了後の明日は遅出で良いと約束を取り付け嫌々任務を引き受けた。ジャックはエディを車に乗せて護送を始めたものの、NYの渋滞やうるさいエディに嫌気がさし、エディを車に残したまま酒を買いに行ってしまう。だがジャックが車に戻ってくると、そこにはエディに向けて銃を構える男がいて……。本能的に銃を抜いて男を射殺したジャック目掛けてトラックからも発砲があった。急いでエディを連れて近くの馴染みの酒場に身を隠し応援を要請する。そして派遣されたのはかつての相棒フランクだった。しかしフランクはエディを指し「そのガキはまずい現場を見ている」と言い出し、刑事が捜査名目で暴行した現場を目撃し裁判所で証言されると警察としても困ると言い出す。そしてフランクは移送中に刑事を買収してエディを消そうと躍起になっていたが、予定されていた刑事がジャックに交代し「貧乏くじを引いた」とジャックに告げた。この窮地をジャックは咄嗟の判断で脱し、エディを連れて近くのアパートに逃げ込むがフランクの追手も追跡してくる。ジャックは何とかエディを裁判が始まる10:00までに届けないといけないが、今は08:25を過ぎたところ。逃げまくる二人はチャイナタウンの食堂の地下厨房にまで来たがフランクらの追手も執拗に追いかける。逃げても逃げても追いかけてくるのはジャックが持つ携帯電話の位置が逆探知されていることに気が付き、途中で上着を着替えて再び逃走を図る。裁判所まで数ブロック先まで来た所で、今度はバスに飛び乗るがフランクの追手に見つかってしまう。追跡劇の末、バスは工場現場に突入し停止。周囲を囲まれてしまいやむを得ず乗客と共に篭城する羽目になってしまう二人。そこに、交渉役としてかつてのコンビが現れるが時間は刻々と過ぎていく。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ジャックはフランクらの追跡を振り切ってエディを裁判所に送り届けられるか?2.フランクとジャックの知られざる過去の「闇のつながり」とは?3.フランクは何故そこまで執拗にエディを追いかけなければならないのか?4.エディがジャックに語った家庭環境と彼の将来の夢とは?5.突入直前にジャックが乗客等に伝授した秘策とは?6.ジャックはバスの車中で妻に伝言を残したがその内容とは?などを中心にダイ・ハードみたいなこの映画を是非映画観でご覧下さい。【鑑賞後の感想】まるでダイ・ハード・シリーズかのようなストーリー展開を見せる作品だったというか、第一ブルース・ウィリス出演作ってどうしてもそう見えてしまうのは何故だろう?本作においても夜勤明けで本来は上がりのはずだった彼が、急遽上司から「16ブロック」先の裁判所まで囚人を送り届けるという仕事を請け負ってしまうことから始まる。ところがこの囚人は警察に取っては厄介な男であり、かつての仲間等が「消そう」と画策していた矢先だった。こうして見てもこの作品でも彼の魅力である、イキナリ事件に巻き込まれながらも見事に?解決するといった展開で見ている方はスキッとする主人公像を演じている点ではサービス精神満点だ!この作品ではこのアル中刑事ジャックと護送中の囚人エディとの間に、「一対一」の人間関係が生じる所が良い点だ。不遇な少年時代を送ったエディは誰からも信頼されず肉親の愛情を受けずに育ったに違いない。しかしジャックはそんなエディを一人の人間として扱い、彼が収監中に覚えたあることを追求することで故郷のシアトルに戻った時に更生すると約束するまでに至った。囚人とアル中刑事の心温まる交流?が早い展開のなかの一つのオアシスみたいな役割を果たしていた点は評価したい。ストーリー的にはNY警察の腐敗がジャックとフランクの確執に摩り替わっている感じもしたが、この辺をもう少し描いても良かった。まあ、それでもやはりこの手の映画は次から次へと襲ってくる苦難を乗り越えるのが主なのでこれで良かったとも思える。【自己採点】(10点満点)7.9点。NY市内でロケしたと見えて、余り派手なアクションは無かったのが不満?人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Bryan Adams/Into The Fire
2006.10.20
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原題:The Lake House(アメリカ)公式HP上映時間:98分鑑賞日:10月1日 新宿ミラノ(歌舞伎町)監督:アレハンドロ・アグレスティ出演:キアヌ・リーヴス(アレックス・ワイラー)、サンドラ・ブロック(ケイト・フォースター)、クリストファー・プラマー(サイモン・ワイラー)、ディラン・ウォルシュ(モーガン)、ショーレ・アグダシュルー(アナ)、エボン・モス=バクラック(ヘンリー・ワイラー)、ヴィレケ・ファン・アメローイ(ケイトの母)、リン・コリンズ(モナ)【この映画について】韓国映画の名作、『イルマーレ』をハリウッドがリメイク。主演は、キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロック。『スピード』で“異常な状況で恋に落ちた”二人が、本作では、時間を越えた恋人たちの精神的な愛を演じる。監督アレハンドロ・アグレスティは、オランダを基盤に活躍してきたアルゼンチン出身の名匠。シカゴの街並みとのロケ映像と物語が上手くマッチしている上に、それらの映像がせつない気持ちを巧妙に表現し大人のラブストーリーに仕上げている。2004年のアレックスと2006年のケイトがいったり来たりする一種のタイムトラベル作品だが、遠い過去を行き来するのではなく2年前に設定したことで現実味が感じられる。【ストーリー(ネタバレなし)】研修を終えてシカゴの病院に着任することになった医師であるケイトは、湖畔に立つガラス張りの家から引っ越すことになった。家を出る時、次の住人に宛てて手紙を残した。「新しい住人さん、新居へようこそ。暫くは配達ミスがあるでしょうから郵便物の転送をお願いします。玄関の犬の足跡は元からありました」。湖畔の家に引っ越してきたアレックス・ワイラーは郵便受に奇妙な手紙を発見した。ずっと空き家になっていた湖畔の家は著名な建築家だった父が亡き母のために建てた家だ。その後、家族は父の知名度が上がるにつれ気難しくなりバラバラになっていった。アレックスは、玄関を見たが犬の足跡はなかった。しかし翌日、迷子の犬がやってきて、ペンキで足跡をつけた。アレックスは、このことをケイトに手紙で知らせる。数回の手紙のやりとりからアレックスは、ケイトが2年後の世界にいることを知る。2人の不思議な文通は続き、やがて愛し合うようになる。2年間の時空を超えて二人は湖畔の家の郵便受けを通じて文通をし、そこで様々なことを語り合ううちに愛情が芽生えてくる。そして時間の隔たりを越えて二人はシカゴ市内でももっとも予約が取れないと評判の店である「イルマーレ」で待合せる。果して二人は時空を超えられるのか?さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.一体二人の接点はどこにあったのか?2.時空を超えて愛し合う二人は「イルマーレ」で会う約束を果たせるのか?3.二人は何故手紙で愛し合うことが出来たのか?4.2006年を生きるケイトは2004年に生きるアレックスの未来を予感出来るのか?5.アレックスの未来とケイトはどこで交差するのか?その時は何時来るのか?6.アレックスの未来の出来事を偶然にも知ってしまったケイト。彼女はそれにどう対応したか?等を中心に韓国の原作を観た方もそうでない方(私もそうです)も、是非、映画観でご覧下さい。【鑑賞後の感想】韓国版の原作を観たいないので比較論は避ける。しかしこの映画には分からないことが多すぎて突っ込みを一杯入れたくなる。大きな疑問は何故2年間の時空のズレが最初から生じているのかと、映画の冒頭とラストでの繋がりはチョッと強引かなと思った。勿論、二人の結び付きに関しては理解できるのだが多少無理があるように思えた。タイムトラベル関係映画は起きてしまったことは変えないのが原則だが、この映画はハッピーエンドを演出する余りに結び付けてしまった。この良し悪しはあるだろうが、キアヌ・リーヴスとサンドラ・ブロックのコンビでなければ駄作に終わりかね無かった。所がこの映画の素晴らしい点も何点か上げよう。まずは映画の大部分がロケ映像で、しかもNYとかLAでなくシカゴ市内と郊外なのが良かった。もう1点は挿入歌のよさがある。挿入歌数曲の中で、二人がパーティで恋人の目を盗んで口付けを交すシーンとエンド・ロールで流れる印象的な曲が素晴らしかった。どこかで聴いた事のある曲だと思ったら、私の大好きなポール・マッカートニーの曲ではないか。「This Never Happened Before」は今のことろポールの最新作である「Chaos And Creation In The Backyard」12曲目に収録されているまるでこの映画の為に書かれたかのような名バラードだ。ポールは「バニラ・スカイ」でアカデミー賞とグラミー賞の映画音楽部門にノミネートされたが、両部門ともランディ・ニューマンに賞をさらわれた。果して今回はこの曲でノミネートされるだろうかにも注目したい。【自己採点】(10点満点)7.3点。ストーリー的には満足出来ないが、映像や音楽の良さで得点を少し上げた。人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Jeff Larson/Swimming In The Make Believe
2006.10.14
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原題:Birth(アメリカ)公式HP上映時間:100分鑑賞日:9月23日 シャンテシネ(日比谷)監督・脚本:ジョナサン・グレイザー出演:二コール・キッドマン(アナ)、キャメロン・ブライト(少年ショーン)、マイケル・デソーテルズ(夫ショーン)、ダニー・ヒューストン(ジョセフ)、ローレン・バコール(エレノア)、アリソン・エリオット(ローラ)、アーリス・ハワード(ボブ)、アン・へッシュ(クララ)【この映画について】「生まれ変わり」は本当にあるのだろうか?目の前に現れた少年がそう告げた時から、主人公のアナの心は動揺し始める。むろん周囲の人間は誰も信じていない。「もしや…」と疑いを持っているのは彼女だけだ。主演は、ショートカットでイメチェンしたニコール・キッドマン。子どもらしくない子どものショーンを、いまや『ウルトラ・ヴァイオレット』など、出演作が相次ぐ期待の名子役キャメロン・ブライトが演じている。更に、名女優ローレン・バコールがさり気無くも存在感のある役割を演じている点にも注目したい。私生活でもバコールとキッドマンは仲が良いらしいが、そうした点も頭に入れて見るのも面白いでしょう。監督はミュージック・ビデオで高い評価を得ているジョナサン・グレイザー。【ストーリー(ネタバレなし)】ニューヨークのアッパー・イースト・サイドで家族と暮らすアナは、30代の未亡人。10年前に夫のショーンは早朝のセントラル・パークジョギング中に心臓発作で亡くして以来、悲しみにくれていたが、最近になりようやく新しい恋人、ジョゼフのプロポーズを受ける決意がついた。2人の婚約パーティーの夜の数日後母のエレノアの誕生パーティが開かれた。集まったのはアナの姉ローラと夫のボブ、ヒル夫人達だった。そしてアパートにはひとりの少年がアナのもとを訪ねてくる。少年は「僕はショーン、君の夫だ」とアナに告げる。最初は信じていなかったアナだが、死んだ夫と自分しか知らない出来事を、ショーン少年が話し出すうち、疑いが生じ出す。「彼は本当に生まれかわりかもしれない」と。少年はアナにしつこく付き纏い、自分が亡き夫の生まれ変わりだと再三迫る。少年はアナの婚約者ジョゼフとの結婚に反対し「結婚しないで欲しい」という手紙をアナの元に届ける。その手紙の存在を隠していたアナだが、ジェゼフの知る所となったしまう。彼は少年の父親が同じアパートに住む家庭教師のコンテ氏であることを突き止め、自らコンテ氏と面会する。そして、コンテ氏は少年の前で「二度とアナに近付くな!」と厳命するが、少年は頑なに拒むだけだった。仲直りにジョゼフはアナをオペラ鑑賞に誘うが、少年を亡き夫の生まれ変わりだと信じ始め動揺するアンナはオペラ鑑賞も上の空だった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.一体少年は本当に亡き夫の生まれ変わりか?2.少年は何故アナの亡き夫しか知り得ぬ様々な出来事を知っていたのか?3.アナは果たして少年に亡き夫の何を見たのか?4.亡き夫の親友だったクリフォードもアナを必死に説得するがアナの気持は?5.ジョゼフはアナの気持が乱れていくのを食い止めることが出来るのか?彼の取った行動とは?等を中心に映画館かDVD発売時にご覧下さい。【鑑賞後の感想】二コール・キッドマン出演作ということで期待して観にいった。ストーリー展開としては輪廻転生の精神がテーマみたいに感じていたが、その実は輪廻転生とは関係なく単にアナとショーンの手紙があるとき第三者に見られたのがそもそものスタートになっているから輪廻転生とは無関係だ。ただここで言えるのは、最愛の夫ショーンの急死でポッカリと心に穴が開いてしまったアナが「ショーン」を名乗る少年の出現で心が乱れたことにある。ジョゼフという新たなパートナーを得ることでショーンを失った痛手から解放されようとしていたが、アナの心の中にはショーンへの未練が濃く残っていたのだ。ジョゼフには悪いと思いながらも、10歳の少年をショーンであるわけが無いのだが心のどこかで「夫の生まれ変わり」だと思いたい気持が募ってくる心境の変化がある役をN・キッドマンは見事に?演じていた。周囲が夫の生まれ変わりではないと説得しても、アナの中に何時までも残る夫への愛情は消えていなかったことを知りジョゼフも傷付くのだった。ストーリーとしてはこれだけでも良かったのだが、ショーンにはアナの知らない別の顔を持っていてそれが遠因で10歳の少年がショーンを名乗ることになるのだがこの辺りは私にはピンと来なかった。もっと別の要因を用意しても良かったと思った。最後に、10歳のショーンを演じたキャメロン・ブライトの落ち着いた演技は見事だった。【自己採点】(10点満点)7.5点。ストーリー展開の起伏にもう一工夫欲しかった。人気blogランキングへ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【写真館】東北温泉巡り1東北温泉巡り2[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Soundtrack/Bridget Jones:The Edge Of Reason
2006.10.05
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原題:Superman Returns(アメリカ)上映時間:154分鑑賞日:9月15日 新宿ミラノ監督・製作・ストーリー設定:ブライアン・シンガー出演:ブランドン・ラウス(スーパーマン、クラーク・ケント、カル=エル)、ケイト・ボスワース(ロイス・レイン)、ジェイムズ・マーズデン(リチャード・ホワイト)、フランク・ランジェラ(ペリー・ホワイト)、エヴァ・マリー・セイント(マーサ・ケント)、パーカー・ポージー(キティー・コワルスキー)、サム・ハンティントン(ジミー・オールセン)、カル・ペン(スタンフォード)、ケヴィン・スペイシー(レックス・ルーサー)【この映画について】「スーパーマン」と言えば「クリストファー・リーヴ」とのイメージが定着しているなかで、彼の死とともにもう二度と映画化されるとは思えなかったが「帰ってきた(Return)」のである。新スーパーマンは全くの無名俳優であるブランドン・ラウスがオーディションを経て抜擢された。その決め手は前任者と似ていることと聞いた覚えがあるが、確かに良く似ているので実際に観て比べてもらいたい。主役が無名俳優であるので、周辺にはケヴィン・スペイシーやフランク・ランジェラ(彼はドラキュラを演じていた!)にケイト・ボスワースなどの経験豊かな俳優を配したた。復活第一作目となり今後もラウスでこのシリーズを続投させるか、私は知らないけどあれこれ言う前にまずは観ていただきたい。【ストーリー(ネタバレなし)】地球から忽然と姿を消したスーパーマンことクラーク・ケントは、自分の居場所を求めて宇宙の果てまで旅をしていた。しかしクリプトン星の消滅を確認し、自分の故郷は地球しかないと悟った彼は、5年ぶりに“故郷”へ戻ってくる。だが彼を待ち受けていたのは、あまりに厳しい現実。永遠の恋人ロイスは婚約、幼い息子まで産んでいた。そのロイスの著書「なぜスーパーマンは必要か?」ピュリッツァー賞を授賞していたことを知る。社に戻ってきたケントを知る人物も減ってきた中で、世界を放浪してきたとケントは語り社員補充枠が出てしまったとのことで編集長のツルの一声で現場復帰が決まった。宿敵のレックス・ルーサーは裁判でスーパーマンが現れないことをいいことにまんまと刑務所を抜け出し、全人類を標的にした破壊計画を着々と進めていく。ルーサーはスーパーマンの秘密を全て研究しその源を手に入れることでスーパーパワーも身に付け、地球上を支配する計画を着々と進める。或る日、ロイスの乗っていた飛行機が墜落の危機にあることが分かり、居ても立ってもいられなくなったケントは遂にスーツを脱ぎ捨てたのだった。そして「スーパーマン」は遂に戻ってきたのだ。民衆は戻ってきたスーパーマンを熱烈に歓迎したのだった。そして、それはレックス・ルーサーへの挑戦状でもあった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.さて、戻ってきたスーパーマンを熱烈に歓迎した民衆だが、ケントの勤める新聞社が取った施策とは?2.スーパーマンのその後の活躍の場はどこに?3.レックス・ルーサーの悪巧みの内容とは?4.レックス・ルーサーが知るスーパーマンの弱点とは?5.ケントのロイスへの思いとは?などを中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】スーパーマンが戻ってきた!と言ってもクリストファー・リーブのイメージが強く残っているので、ブランドン・ラウスなら初耳の俳優がどこまでこのスーパーヒーロー役をこなせるかに注目していた。正直言ってストーリー展開よりラウスの俳優としての力量に注目しながら観てしまった。ラウスは一見するとクリストファー・リーブと良く似ている。そのリーブ氏もこの役を仰せつかったときは無名俳優だったし、そうした点でラウスも臆する事無く演じれば良いと思った。しかし途中でのストーリー展開の間延びもあって、ラウスがその個性を発揮出来ていたとは思えなかった。それでも大事なのはスーパーマンが「戻ってきた」ことにあるので、次回作がどうなるか知らないがそこで彼の個性がどこまで出せるのかに注目したい。だが米国のファンがラウスにリーブ氏の面影を重ねることでラウスの将来性を潰すのか、それとも「ラウス版スーパーマン」として定着させていくのか今後の動向を注視したい。ストーリーは前述したように間延びしている部分もあったのが次回への課題か?【自己採点】(10点満点)7.7点。今後シリーズとして定着するのだろうか?採点は今後への期待を含めたもので、それを除くと点数は更に低く...。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Herb Alpert And The Tijuana Brass/S・R・O
2006.09.16
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原題:Matchpoint(イギリス)公式HP上映時間:124分鑑賞日:8月26日 シネスイッチ(銀座)監督:ウッディ・アレン出演:スカーレット・ヨハンソン(ノラ・ライス)、ジョナサン・リース・メイヤーズ(クリス・ウィルトン)、マシュー・グード(トム・ヒューイット)、エミリー・モーティマー(クロエ・ヒューイット・ウィルソン)、ブライアン・コックス(アレック・ヒューイット)、ぺネロピー・ウィルトン(エレノア・ヒューイット)【この映画について】ベテラン監督のウッディ・アレンが英国の上流階級の人間達を舞台に描いた作品。ここで注目したいのは女優の卵ノラ・ライスを「ロスト・イン・トランスレーション」「真珠の耳飾の少女」「アイランド」など立て続けに注目作品に出演し、その見事なグラマラスなボディと演技力?が注目されているスカーレット・ヨハンソンが出演している点だ。アメリカのコロラド州からロンドンへ出てきて片っ端からオーディションを受けるが落ちてしまう女優の卵を演じている。若手女優の中ではキーラ・ナイトレイとは異なるタイプの女優であるが、この二人の出演作は今後も注目してもらいたい。【ストーリー(ネタバレなし)】アイルランド人のクリスは、英国の上流階級に憧れる野心家。テニス選手としての限界を感じ、ツアー転戦から身を引くことを決意し高級テニス・クラブのコーチの面接を受けて即日採用となった。クリスはクラブ側の紹介で会員で金持ちの息子トム・ヒューイットと親しくなる。ある日トムに誘われてオペラに行くと、トムの妹・クロエに気に入られる。しかし、クリスはトムの婚約者でアメリカ人のノラと招待されたトムの屋敷の卓球場で出会う。この時の二人の出会いがその後の二人の人生を運命付けていくことになるとはその時は知る由も無かった。それでもクロエとクリスの交際が始まり、クリスはクロエの父親に気に入られて父親が経営する会社の社員になり二人は結婚、クリスの人生は前途洋々に見えた。父親の計らいでロンドンの一等地の高級マンションの高層階を自宅として与えられびっくりするクリス。しかしクリスはトムの恋人・ノラとも浮気を続けていた。そのトムとは相変わらずテニス仲間であるが、或る日、トムがノラと分かれたとクリスに告げたがトムはクリスがノラに心を寄せていることには気が付いていなかったのだった。クリスの仕事は順調ながらもノラへの気持も忘れられず、新妻クロエは一日も早く妊娠し子供を持つことを望んで止まないがクリスはノラのことで頭が一杯で新妻が強く希望する「夜の性生活」も「疲れている」と言い残し中々応じようとしなかった(所謂セックスレスですね)。ノラを愛しているが、クロエが与えてくれるリッチな生活も手放せない。ノラは一度はロンドンを去りアメリカのコロラド州へ戻ったが、再びロンドンへ舞い戻り偶然にも妻と一緒の時に美術館で再開する。その場で密かにノラの電話番号を強引に引き出したクリスは、その後、ノラと頻繁に逢瀬を重ねることになる。仕事の合間にも時間を見つけてノラのアパートに押しかけ、ノラの豊満な肉体を貪るように求め合う。妻からは妊娠を求められながらも、ノラの肉体に溺れてゆくクリスにクロエも徐々に不信感を感じるようになる。そして、ノラの方もクリスを拘束するようになり始めて...自分の人生を完璧にするため、クリスは大胆な計画を思いつく…。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ノラとクロエの二人の女性との関係に悩むクリスの選択した手段とは?2.ノラの突然の帰国で終わったかのような関係だったが、その間のクリスの彼女への思いとは?3.妻からも妊娠を求められ、一方でノラとのセックスに溺れて行ったクリスに対しノラの取った態度とは?4.ノラの妊娠が発覚した。果たして、その時の二人の反応は?5.二人の関係を疑い出したクロエにも妊娠の兆候が...クリスは円満な家庭を保てるか?6.クリスがノラとの関係を清算しようと企てた大胆な計画とは?等を中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】ウディ・アレン監督作品って何故か特段興味が沸かなかったので観ていなかったが、今回始めて観た。と言うより個人的に「スカーレット・ヨハンソンが好きなので観た」と言うのが本音なのだが。イギリスの上流階級を舞台にテニスプレイヤーと米国の女優の玉子が出会ってからの気持の変化と、上流社会に適応出来なかった女優の卵と何とか上流社会にしがみつこうとするテニス選手の姿勢というか執念みたいなものが感じられた。それにしても詳しくは書けないが、クリスがノラの肉体にのめりこみな夢中になるものの「結果」が出てしまうと放り出そうとする男の身勝手みたいな心境も巧に表現されていた。しかし敢えて注文を付けるとすれば、クリスがノラに対してしてきた仕打ちに対するノラの執念や呪いが彼を追い詰めて行くかのようなエンディングには全面的に同意は出来なかった。【自己採点】(10点満点)8.1点。スカーレット・ヨハンソンの女の怖さ?見たいな演技は、多少臭い部分もあるがそれも彼女の別の面と思いたい。でも相変わらず見事なプロポーションだね。キーラ・ナイトレイとはそこの部分だけが正反対のような...[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Stevie Wonder/Fulfillingness First Finale
2006.09.07
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原題:Transamerica(アメリカ)公式HP上映時間:103分鑑賞日:8月12日 シネスイッチ銀座(銀座)監督・脚本:ダンカン・タッカー出演:フェリシティ・ハフマン(ブリー)、ケヴィン・ゼガーズ(トビー)、フィオヌラ・フラナガン(エリザベス)、バート・ヤング(マレー)、キャリー・プレストン(シドニー)、エリザベス・ペーニャ(マーガレット)、グレアム・グリーン(カルヴィン)【この映画について】今年のアカデミー賞で最優秀主演女優賞(フェリシティ・ホフマン)と最優秀歌曲賞(ドリー・パートン)の2部門でノミネートされながら、日本では何故かこの時期まで公開が延び且つ全国規模でのロードショウにならないのは配球会社(カポーティもそうだが)のせいだろうか?性同一性障害に悩む一人の元男性が性転換手術を近日中に控えて、「男性」だった時に一度だけ性交渉を持ったときに出来た息子との関係をNYからLAまでのロードトリップを通じて深めていく内容だ。ロード・ムーヴィーの要素を色濃く出しながらも親子関係のありかた、性同一性障害への偏見、息子の知られざる生い立ちなどを交えながらアメリカ社会の現状を描いている。フェリシティ・ホフマンは女性ながら男装をしながらの演技という難しいテーマをどうこなしているのかにも注目したい。【ストーリー(ネタバレなし)】若い頃から性同一性障害に悩むブリーは性転換手術を受けることを決心し、セラピストのエリザベスは何度もブリーの意思を確認しながら遂に裁判所の許可も出て後は手術日を待つだけとなる。ブリーは普段は電話セールスに励みながら生計を建て一人暮らしをしているが、或る日、何時もの様に自宅で電話セールスをしている最中にNYの拘置所から一本の電話が入った。相手はトビーと名乗る少年で保釈費用を工面して欲しいが自分は父を探していると話す。話を聞いているうちにブリーが「男性」だった時に一度だけ性交渉をもった時があり、自分が父親ではないかと薄々感じ始めた。エリザベスと相談し過去に背を向けないためにもNYへと飛ぶことになったが、その費用は手術費用から工面した。キリスト教団体から来たと名乗ったブリーは少年の保釈費用を立替えてあげた。だが自分が父親であることはおろか女装しているのでトビーは全く気が付かない。身元引受人となったブリーはトビーのアパートに寄ってから、彼の友人が手配した車で一路LAまでの長旅を続けることになる。途中、トビーの生い立ちを聞いた彼女はトビーが嫌がるのにも関わらず寝ている隙に車を継父の実家ケンタッキー州へと向けた。トビーをそこに預ける積りだったが、そこはトビーが嫌気が差して家出してきた場所であり戻りたくなかった。それでもブリーは半ば強引に継父と引き合わせたが、トビーには継父に性的に虐待された苦い体験が蘇りブリーの静止を振り切って逃げ出す。継父はトビーに対して再び暴力を振るおうとしたため慌てて逃げ出したのだった。彼の少年時代の虐待の事実を全く知らなかったブリーも激しく動揺しケンタッキー州に寄ったことを後悔する。トビーはこのブリーの行動を激しく詰り二人は旅を続けるものの気まずい空気が漂ったままに。旅の途中ではヒッチハイクで一緒になった青年に一寸した隙を突かれて車を奪われる失態まで演じる。だが途中で親切なネイティブ・アメリカンのカルヴィンの計らいで自宅に泊めてもらう。そして二人はブリーの生まれ故郷を目指すのだが、そこで久し振りに訪れた実家ではブリーの変わり果てた姿と初めて見る孫・トビーに対して様々な反応が...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.久し振りの実家であったが、母は激しく動揺するがそれは...2.トビーの若々しい姿をみてすっかり魅了されたブリーの母が彼に取った態度とは?3.実家を飛び出たトビーが行方不明になるが彼は一体どこへ?4.ブリーの性転換手術の日は迫っているが、果してそれまでにLAに辿り着けるか?5.トビーはLAにいたが彼の今後の夢とは?そして彼に「父」と名乗れる日は来るのか?等に注目し映画館(単館上映のようですが)か今後発売されるであろうDVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】やはりこの手の映画はロードトリップが始まってからのほうが面白い。ロードトリップが始まると、お互いの秘められた過去が暴露されたりしながら傷付きながらも前に進んでいく所は良かった。その反面疑問に感じた点も幾つかあった。それはブリーの性転換手術の話は冒頭とラストで少し触れられるが、どちらかと言えば何故手術を受ける決意をしたのかを語らせるシーンが少なかった。もう一点は何故トビーが急に電話をして来てそれをブリーが「自分が父親」かも知れないかと思ったのか?この二点への疑問が最後まで解けなかった。最後に、ロード・ムーヴィーらしく旅行中のハプニングやトビーの意外な性癖が描かれたりしている点はメリハリを利かせていたので良い。それと旅行中のシーンで盛んに流れるBGMも映像とマッチしていてこちらの面での私の評価は高いのだ。エンドロールで流れるドリー・パートンの主題歌はアカデミー賞候補にもなった素晴らしい曲なので、席を立たずに最後まで見てもらいたい。【自己採点】(10点満点)7.9点。前述した二点が気になってこの点となったが、その分は音楽の素晴らしさとテーマのよさがカバーしている。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Various Artists/The Movie Hula Girls Presents Hula Style Music
2006.08.26
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原題:Pirates Of The Caribbean~Dead Man's Chest(アメリカ)公式HP上映時間:151分鑑賞日:8月5日 新宿ジョイシネマ(歌舞伎町)監督:ゴア・バーヴィンスキー制作:ジェリー・ブラッカイマー出演:ジョニー・デップ(キャプテン、ジャック・スパロウ)、オーランド・ブルーム(ウィル・ターナー)、キーラ・ナイトレイ(エリザベス・スワン)、ビル・ナイ(デイヴィ・ジョーンズ)、ステラン・スカルスガールド(ビル・ターナー)、ジャック・ダヴェンポート(ジェームス・ノリントン)、ジョナサン・プライス(スワン提督)、トム・ホランダー(ベケット卿)【この映画について】今更何の解説の必要もないだろうが、前回のシリーズ1作目に続く2作目であり既に来年5月に3作目の上映が決定している。主演はこの映画で一気に幅広い年齢層から注目されるようになったジョニー・デップがジャック・スパロウ役を演じる。彼はこのキャラをローリング・ストーンズのキース・リチャーズを参考にメイキャップや仕草などを参考にしたそうである。他には「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや「エリザベスタウン」など話題作への出演でいまや人気俳優のオーランド・ブルーム、「キング・アーサー」「ドミノ」「ジャケット」「プライドと偏見」などに立て続けに出演しているキーラ・ナイトレイの海賊ルック?にも注目だ。「ラヴ・アクチュアリー」「ナイロビの蜂」などの出演作があるビル・ナイはグロテスクなマスクが不気味なデイヴィ・ジョーンズ役で出演し強烈な印象を植え付けている。【ストーリー(ネタバレなし)】前作で、不死の海賊バルボッサからブラックパール号を奪い返した孤高の海賊ジャック・スパロウ。自由な大海原に船出したはずの彼の前に、逃れられない宿命が立ちはだかる。それは、今から13年前のこと…ジャックはブラックパール号の船長となるため、自らの魂と引き換えに、船乗りたちが最も恐れる“深海の悪霊”ディヴィ・ジョーンズと「血の契約」を交わした。そして今、その“契約期間”は終わり、ジャックの魂を取り立てるため、巨大な闇の力が海底をうごめいていたのだ。そしてウィルとエリザベスの結婚式の日に二人はジャック・スパロウを逃がした罪で、東インド会社のベケット卿の陰謀により逮捕状を執行されてしまう。ベケット卿はジャックの持つ「北を指さないコンパス」を取ってくれば放免するとの取引きを提示する。ウィルは早速エリザベスを残したままジャックの行方を捜しに行き、彼の船がシンガポール沖で停泊しているとの情報を得る。エリザベスの方は父であるスワン総督の導きで脱獄し、ウィルの後を追った。ウィルはその情報どおりナンパして砂浜に打ち上げられたブラックパール号を発見するが、ジャックの姿は見当たらない。その島には他に人影が見当たらなかったが、何と散策の途中でジャックが原住民と共に「神」としてあがめられていたことを発見。ジャックを救出する為に向ったが逆にウィルが捕らえられあわや処刑されそうになる。だが機転を利かし他のブラックパール号の乗組員と一緒に命からがら島を後にした。ウィルはジャックに向って何故自分がジャックを探しに来たかを語る。だがそんな事は気にも留めないジャックは、エリザベスの窮地を救いたかったら自分と一緒にある所に来いと言う。そのジャックはかつての恋人であるヴードゥ教の預言者ティア・ダルマの住む入り江の奥地の一軒家をブッラクパール号の乗員の一部とと一緒に訪ねる。そこでジャックは牢獄から盗んだ古布に書かれた何の変哲もない鍵の絵をティア・ダルマに見せる。彼女はその絵を見て即座にそれについて語り始める。それはデイヴィ・ジョーンズの心臓を保管している宝箱(チェスト)であり、その鍵はデイヴィ・ジョーンズ自身が持っているとのことだった。ジャックは何としてもこの鍵を探したいのだったが...さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.宝箱の鍵はデイヴィ・ジョーンズが何処に保管しているのか?2.何故、ジャックは執拗に宝箱を狙う?3.エリザベスとウィルの仲はどうなる?4.ウィルの出生の秘密が明らかにされるが、一体どういう秘密?5.ジャックは深海の魔物「クラーケン」から逃れられるか?等を中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】今回の作品と来年五月に公開される作品と合わせて一つの映画となるので、エンディングも如何にも「次にご期待」みたいな終り方だった。この映画自体の撮影も本作と3作目をワンセットで収録している。一年間のインターバルを置いてその感にDVD発売などで繋いで、来夏に完結するという流れである。1作目から3作目までの主要キャラは同じ俳優が演じているので、それぞれの作品での細かい違い(衣装とかメイクとかロケ映像とか等等)を探すのも一興である。子供から大人までの幅広い年齢層をターゲットにした配役にもなっているし、映画の持つ娯楽性も充分に堪能できる作りとなっている。孤島での命からがらの脱出劇前後に多少の中だるみは感じられるが、カリブ海でのロケ映像も美しいし各キャラの海賊ファッションももう一つの楽しみであった。次作でどういう風に終わらせるのかを楽しみに一年待ってみたい。【自己採点】(10点満点)8.5点。来夏公開の三作目を見ないと採点も難しいので、三作目の印象で本作の点数も変わるかも?この点数はそういった意味も含めての採点でした。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Bruce Springsteen/Human Touch
2006.08.17
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原題:The Family Stone(アメリカ)公式HP上映時間:103分鑑賞日:7月28日 シャンテ・シネ(日比谷)監督・脚本:トーマス・べズーチャ出演:サラ・ジェシカ・パーカー(メレディス・モートン)、ダイアン・キートン(シビル・ストーン)、ダーモット・マローニー(エヴェレット・ストーン)、クレア・デインズ(ジュリー・モートン)、レイチェル・マクアダムス(エイミー・ストーン)、クレイグ・T・ネルソン(ケリー・ストーン)、ルーク・ウィルソン(ベン・ストーン)【この映画について】NYのキャリア・ウーマンのメレディスに扮するサラ・ジェシカ・パーカーがX’Masに付き合っている彼氏の実家であるストーン家のパーティーに一緒に行くことに。そこには彼氏の両親を含め、彼女は何とか受け入れられようと精一杯の努力をする。この二人のストーリーを軸にストーン家のパーティーに参加した人物のそれぞれの思いを見事に絡めているのが特長。「ラヴ・アクチュアリー」を彷彿とさせるストーリー展開はめまぐるしくかわり最後にはどんな結果になるのかワクワクさせてくれる。【ストーリー(ネタバレなし)】マンハッタンでキャリアレディーとしてバリバリと仕事をこなすメレディスは、恋人のエベレットから彼の実家のX’Masパーティーに来ないかと招かれた。彼女はこれを機にストーン家の家族から好かれて、そして理想の結婚へと進もうと思っていたのだったのだが...。ストーン家恒例のこのパーティーには独立して生活をしている子供達が必ず帰って来て、ワイワイと楽しむそんな一日でもある。大学教授の父ケリー、何時も明るい母シビルを慕って子供達はこの日をどんなにか待ちわびる。幼い娘を連れてくる長女スザンナ、奔放な性格の末っ娘で次女のエイミー、ロスで映画関係の仕事に携わる次男ベン、三男のサッドは肌の色の違う同性愛のパートナーを引き連れて戻ってきた。そして長男のエベレットも恋人のメレディスを伴なってストーン家に帰ってきた。メレディスは何とかストーン家に溶け込もうとすればするほどその思いは空回りして行く。何事も包み隠さずフランクで飾らない性格のストーン一家に対し、キャリアレディーの彼女の振る舞いはどこか不自然で高慢な態度と取られる。この気まずい空気を察したメレディスは妹のジュリーを急遽呼びつけ味方に付けることで安心したかった。寒い夜にエベレットはジュリーを迎えに長距離バス停に出向いた。来るべきX’Masディナーのテーブルでの会話で、彼女のサッドへのふとした一言が同性愛者への差別と取られ場の空気は一気に気まずくなりケリーは激怒し白けた雰囲気になる。いたたまれなくなったメレディスは家の外に停めていた車に篭り、その後を次男のベンが追い慰める。ベンは彼女に同情し馴染みのバーに連れて行く。そこでメレディスは憂さ晴らしに財力を見せ付けるように飲み始め、バーにいたベンの友人や次女の処女喪失相手の男にも酒をふるまい羽目をはずす。暫くしてからメレディスの姿を見に外に出たエベレットだがそこには彼女の姿はなかった。そこで町のホテルに滞在しているジュリーを訪ねに部屋へ出向いたのだった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.折角にパーティーを台無しにしたメレディスの取ったその後の行動とは?2.ベンはその後メレディスをどのように慰め、エベレットが彼女に対して取った行動との違いは?3.ジュリーの部屋を訪れたエベレットに心境の変化は現れたか?4.何ゆえメレディスは自分自身を背伸びして見せたのか?5.パーティー出席者にはそれぞれが人間関係の悩みを抱えていたがそれは何?6.ジュリーはこのまま名誉回復することなくストーン家から去るのか?などを中心に映画館(単館上映ですが)か今後のDVD発売時にご覧下さい。【鑑賞後の感想】「ラヴ・アクチュアリー」以降、この手のストーリー展開の作品はその都度「ラヴアク..」と比較される運命にあるようだ。個人的には「ラヴアク」を超える作品は見当たらないが「迫る」作品はまあありますね。この映画もアンサンブル・ストーリーとでも言うように、それぞれの登場人物にストーリーがありそれがどこかで他の登場人物と重なってくる点では「ラヴアク」との共通点もある。しかし大きく違うのは「ラヴアク」は現職の首相のラヴ・ストーリーまでもが絡むスケールの大きさと広さが売り物だったのに対し、この作品はストーン家が主人公でありそのストーン家との絡みで展開していく。でもね、ラストのオチについて言えば余りにも展開が急変するのは納得行かない部分でもあった。それでもこういう映画はとやかく言わず(って言っているのは俺?)、ハッピーエンドまでの過程をスクリーン上で追っていって楽しめば良いでしょう。【自己採点】(10点満点)8.5点。前述したとおり、ストーリーの展開が途中で急に来過ぎ?なのがマイナス点。妹ジュリー役の女優さんが良かったな~。←是非クリックして下さい人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Don Henley/The End Of The Innocence
2006.08.10
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原題:9 Lives(アメリカ)上映時間:114分鑑賞日:7月22日 ル・シネマ(渋谷)監督・脚本:ロドリゴ・ガルシア出演:エルピディア・カリーロ(第1話、サンドラ)、ロビン・ライト・ペン(第2話、ダイアナ)、リサ・ゲイ・ハミルトン(第3話、ホリー)、ホリー・ハンター(第4話、ソニア)、アマンダ・セイフライド(第5話、サマンサ)、エイミー・ブレナマン(第6話、ローナ)、シシー・スペイセク(第7話、ルース)、キャシー・ベイカー(第8話、カミール)、グレン・クローズ(第9話、マギー)、ダコタ・ファニング(第9話、マリア)【この映画について】この作品は9話の短編作品が独立した形で構成されており、各々の作品同士は直接的には結びつかない。だがそこには共通したテーマや悩みなどがありそれを鑑賞した人がどう感じるかが問われる作品である。1編が15分程度の作品ながら出演女優らは実力者が揃っている。詳しくは上の欄を観ていただくのが良いがスイスの映画祭では9人の女優が主演女優賞を授賞し話題をさらったが、1編ごとに女優の個性を見事に引き出したガルシア監督の力量も評価出来る。【ストーリー(ネタバレなし)】【第一話、サンドラ】服役中のヒスパニック系のサンドラは模範囚をでの早期出所を目指し複数の役務をこなし看守への受けもいい。がその反面看守に服役囚の情報を伝えるので仲間内からは総スカンを食っている。そのサンドラの楽しみは面会に訪れる娘との会話。だがその日が来た或る日、彼女の身に思いも寄らぬ出来事が起きたのだった...。【第二話、ダイアナ】かつての恋人、ダイアナとダミアンの二人が偶然にも買い物中のスーパーマーケットで出会う。最初は他愛もない話をしていた二人だったが、徐々に恋人時代だった頃の話に話題が移る。しかし二人とも既に家庭を持つ身であり、ダイアナは妊娠中だった。その大きなお腹をみたダミアンがダイアナへ打ち明けた話とは...。【第三話、ホリー】二人姉妹のホリーとヴァネッサ。姉のホリーは父への反発から家出をしそれがトラウマとなり男性とも上手く交際が出来ない。ホリーが久し振りに家に帰って来てヴァネッサと会話を交し、仕事中の父と直ぐに会いたいと駄々をこねる。そして戻ってきた父とホリーの間には何があったのか...。【第四話、ソニア】友人夫婦の家に招かれたソニアと夫のマーティン。しかし何故だか夫のマーティンは友人夫婦の家に着いた時から何故だか不機嫌。ついに会話の中で言い争いになり言わなくても良いことを言い出して...。【第五話、サマンサ】サマンサは車椅子生活の父と母ルースの不仲を繋ぐ天使のような存在。学校でも優秀な成績のサマンサに父は東部の学校への進学を進める。夫の介護に疲れているルースは何か心身に満たされないものがあり...。【第六話、ローナ】ローナは元夫のアンドルーの妻が自殺しその葬式に乗り気ではないが出席することに。そこでは自殺した遺族の冷たい視線が突き刺さる。そこで元夫アンドルーがローナに見せた心の葛藤とは...。【第7話、ルース】第5話で登場したルースはサマンサの先生と不倫に走りモーテルの一室にいた。モーテルでは不法滞在で夫が警察に突如逮捕され、呆然とする妻は泣きじゃくる。その光景をみたルースの胸に去来したものとは...。【第8話、カミール】乳がんで片方の乳房を失うことになるカミールは夫のリチャードへ自分への理解の無さを病室で詰る。カミールは病院や夫への不満や娘への親心ををぶつける。手術当日、麻酔で眠っている妻へ夫が取った行動とは...。【第9話、マギー】娘マリアの墓参りに来たマギー。そこでマギーが見た娘の姿の幻とは...。以上の9話からなるこの作品だが、主人公は全て女性でありその女性の生き様を映し出しているのだがそこには幾つかの共通点があるのだが...。それは映画館かDVDでご確認ください。【鑑賞後の感想】9話から成り立つこうした映画って観た経験がないのだが、観ていると余り関連性が感じられないストーリーだったが2話3話と進んでいくとそこには共通点があることに気が付いてくる。全部を書くとネタバレになるが、その大事な一つは「家族や親しい人たちとの絆」ではないだろうか。その絆を繋ぐ形は人それぞれであり、出演女優たちは自らの個性を活かしながらもそれらを分かりやすく表現している点を評価したい。【自己採点】(10点満点)8.8点。ストーリーの異なる9話に共通点を持たせ纏めた監督の力量は評価したいし、女優陣の演技もそれぞれが見事だった。
2006.08.03
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原題:M:I:3(アメリカ)公式HP上映時間:126分鑑賞日:7月16日 新宿グランドオデヲン座(歌舞伎町)監督:J.J.エイブラムス出演:トム・クルーズ(イーサン・ハント)、フィリップ・シーモア・ホフマン(オーウェン・デヴィアン)、ヴィング・レイムス(ルーサー)、ビリー・クラダップ(マスグレイブ)、ミッシェル・モナハン(ジュリア)、ローレンス・フィッシュバーン(ブラッセル)、マギー・Q(ゼーン)、ケリー・ラッセル(リンジー)、ジョナサン・リス=マイヤーズ(デクラン)【この映画について】今更なんの解説も必要もないこの映画だが、元々は「スパイ大作戦」と言う名で放映されていた人気テレビシリーズの映画化だった。テレビ時代のダイナミックさやオープニングのマッチに火が付く映像などはそのまま引き継がれている。今回はやはりトム・クルーズが主役となった第三作目でありローマ、ベルリン、上海など世界を股に作戦を遂行する。俳優陣では「カポーティ」(日本では秋公開)でアカデミー賞を授賞したフィリップ・シーモア・ホフマンがトムと対決する役で良い味を出している。トムの上司にあたるブラッセルには「アサルト13要塞警察」で護送される大物犯罪組織のボス役だったローレンス・フィッシュバーンが、本当に上司なのかと疑いをちらっと持たせるような役どころだ。【ストーリー(ネタバレなし)】IMFのメンバーとして活躍し一線を退いてからは教官として生徒達を訓練する日を送っているイーサン・ハントは、恋人ジュリアとの結婚が決まっていた。婚約披露パーティの会場でイーサンはマスグレイブから突如携帯電話に指令が入る。パーティー会場でジュリアに「氷を買いに行く」と行って車で抜け出したイーサン。立ち寄ったスーパーでマスグレイブと遭遇し、イーサンが教官として教えたリンジーがブラックマーケットの商人オーウェン・デヴィアンの監視任務中に拘束されたという。ジュリアとの生活を大事にしたいイーサンはミッション参加に難色を示すが、元訓練生のリンジーはイーサンが訓練中に優秀な人材として評価していたこともありミッションに加わることになった。イーサンの裏の顔を知らないジュリアは彼が交通調査の任を受けて各地を飛び回っていると説明されているが、彼女自身もそんな彼の仕事に多少の疑問を感じている。イーサンは彼女に再び急な仕事が入ったので行ってくると告げて去った。IMF本部で僚友だったルーサー、デクラン、ゼーンと合流し本部長のブラッセルからも労いの言葉を掛けられるメンバー達。マスグレイブから指令を受取り早速リンジー救出作戦を敢行するメンバー達。監禁先のアジトを通信を傍受することで突き止めたイーサンらは現場に急行し激しい銃撃戦の末にリンジーの身柄を確保する。しかし彼女の脳には監禁された際に小型時限爆弾が埋め込まれておりその期限が目前に迫っている中で、何とか取り出そうと必死になったメンバーだったがその甲斐も無くリンジーは絶命してしまった。だがリンジーの死は決して無駄にはならなかった。彼女はイーサンに宛ててマイクロドットを忍ばせたカードを送っていた。更に、救出作戦の際に一味のPCを押収しそれらを分析するうちに一味がローマに潜伏しバチカンで取引を行うことを突き止める。これを受けてIMFのメンバー達は本格的に動くことになりローマへと向った。イーサンは当初の予定が延びることでジュリアと会えなくなることと、そうなることで何も知らないジュリアの身にも危険が及ぶことを心配する。メンバー達はデヴィアンがバチカンで「ラビットフット」と呼ばれる取引をすることを掴み、警備が強固なバチカンに何とか潜入することを試みる。ゼーンは招待客として、イーサンは神父として潜入しデクランとルーサーは二人をバックアップし脱出ルートを確保する。ゼーンはデヴィアンを密着マークし彼がバチカン関係者から謎のスーツケースを手渡された所を目撃する。そして彼の正面からぶつかりシャンパンをスーツにかけるがデヴィアンは動じない。彼が屈強の護衛を連れてトイレに立った隙にミッションは敢行された。神父に成りすましていたイーサンはトイレでデヴィアンを確保する。しかし外で待っている護衛が怪しみ入ってくるが奇跡的に巻く。デヴィアン確保時に彼のマスクをデクランが作り秘密トンネルからまんまと脱出することに成功したメンバー達だったが。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.デヴィアンがバチカンで取引する「ラビットフット」とは何?2.ラビットフットの正体を追って上海へと辿り着いたメンバーだったが、その真相とは?3.リンジーがイーサン宛てに送ったマイクロドットの中身とは?その存在を気にするマスグレイブは何を恐れているのか?4.イーサンの婚約者ジュリアにも身の危険が迫っているが、果してイーサンは彼女を守れるか?等を中心にここから先は映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】このシリーズも三作目となりどういう仕掛けが施されているのかを楽しみに観た。ストーリーとしての展開は特段ひねりが効いている訳では無いが、警備の厳重なバチカンへの侵入方法は面白かった。トム・クルーズ自らのスタント・シーンは洋上の橋での爆撃に耐えるシーン、TV広告で盛んに流れる上海のビルから飛び移るシーン、トムがデヴィアンを輸送機から空に顔を突き出させて自白を強要するシーンなどはこの映画ならではのアイデアであったがそれ自体は特別斬新なシーンではない。今回の作品では監督の意向もあり、トム自身の私生活を見せることで普段は普通の生活をし恋もする部分も見せている。これは従来のスパイ映画ではあまり描かれなかった部分を監督の意向で脚本に盛り込んだそうだが、その割には描かれ方は一般的であった。まあ、こうした映画は如何にもハリウッド的であり大スタートム・クルーズがスクリーン一杯に体を張って活躍し、ハラハラし、それでも最後はしっかりと任務をこなすという安心して鑑賞出来る映画であるがこういう映画も必要なのだ。ヨーロッパや中国でのシーンが映し出されながら、爆発シーンも盛り沢山。映画の持つエンターテインメント性を全面に出した映画の典型であろう。【自己採点】(10点満点)8.4点。最後のオチにひねりがもっと効いていれば点数は高かった。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Tears For Fears/Tears Roll Down(Greatest Hits 82-92)
2006.07.28
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原題:Inside Man(アメリカ)公式HP上映時間:128分鑑賞日:6月30日 みゆき座(日比谷)監督:スパイク・リー出演:デンゼル・ワシントン(キース・フレイジャー)、クライヴ・オーウェン(ダルトン・ラッセル)、ジョディ・フォスター(マデリーン・ホワイト)、クリストファー・プラマー(アーサー・ケイス)、ウィレム・デフォー(ジョン・ダリウス)【この映画について】「社会派監督」の別名を持つスパイク・リーが監督した作品で、NYの銀行に押し入った強盗の話だがそこはスパイク・リー監督作品なので単純なストーリーでは終わらない。出演陣は豪華俳優がずらりと並びフレイジャー刑事役にアカデミー賞授賞歴を持つデンゼル・ワシントン、強盗団のリーダー格ダルトン・ラッセルには「クローサー」「シン・シティ」「キング・アーサー」などのヒット作に立て続けに出ているクライヴ・オーウェン、NY屈指の弁護士マデリーン・ホワイトにはアカデミー賞授賞歴を持ち最近では「フライト・プラン」で娘を助け出す母親役を熱演したジョディ・フォスター、その他には脇役では勿体無いがウィレム・デフォーやクリストファー・プラマーらも独特の存在感を発揮している。最後の瞬間までスクリーンから目を離さずストーリーを追って欲しい。【ストーリー(ネタバレなし)】舞台はNYの中心地マンハッタン信託銀行。「パーフェクト塗装サービス」とペイントされた黒いバンの車体が銀行前に停まった。作業衣を着た男達が正面玄関から中へと警備員が警戒する中堂々と完全犯罪へと向けて作業を始める。それぞれのメンバーはまずは防犯装置を赤外線でストップさせ、それが終わると入口を封鎖しいよいよ銀行強盗を装い行員と客たちを人質に取った。銀行の外を警戒中だった警察官に、わざと外国訛の英語で「人質取った、近付いたら殺す」と脅す。警察官は直ちに通報する。NY市警のフレイジャーとパートナーのミッチェルはその頃、フレイジャーが以前関わった事件の捜査で14万ドルの小切手を紛失したことで内部調査を受け干されている。そうしたとき、マンハッタン信託銀行での強盗事件の通報があり本来の担当者が休暇で不在のため、二人が現場に急行し事件の説得役として駆り出されることになった。その頃、銀行の頭取であるアーサー・ケイスは秘書から支店に強盗が押し入ったことを知らされる。が、ケイスは警察に相談するより前にNYきっての有能女弁護士マデリーン・ホワイトに直接コンタクトを取った。ケイスはホワイトに支店に強盗が入ったことと、「その支店の貸金庫に自分の秘密を隠していてそれがばれるのは怖いので何とか出来ないか?」という相談だったが何が隠されているかは具体的に話さない。その頃、銀行の外では警察が包囲し警戒に当たる中でフレイジャーとミッチェルが交渉役となり犯人説得をすることに。銀行の中では犯人グループは事前の計画通りに事を進める。人質を全員地下階に誘導し携帯電話と没収し、応じない人質には容赦ない態度を取り恐怖感を植えつける。更に、人質達には犯人等が用意した作業衣みたいな服とマスクが渡され、一見して犯人と人質の区別が付かなくなった。人質は幾つかのグループに分けられて、一致団結して犯人に立ち向かえない配慮がされた。犯人達からの要求は解放された人質に持たせたメッセージに込められており、内部の様子も解放人質からの聴取に頼らざるを得なかった。だが、犯人グループは警察の意図する逮捕劇を上回る能力と計画で動きを読み封じていった。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.犯人グループは常に警察の動きを察していたがそれは何故?2.犯人グループの要求内容の真意をつかめず焦るフレイジャーだが、真意とは?3.銀行の頭取ケイスと女弁護士は一体何を恐れているのか?現場介入に使ったツテとは誰?4.犯人グループのリーダー、ダルトン・ラッセルが交渉の為に銀行内に入ってきたフレイジャーに語った「そうすべき時が来たら、堂々と正面から出て行くさ」の持つ意味は?5.人質に犠牲者は出たのか?人質達の健康状態は?6.警察が取った事件解決のための作戦とは?などを中心にこの映画は、最後まで目を凝らして映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画は途中で筋を読むことはしないほうが良い。どこにでもある「銀行強盗」映画とは趣が違うし、映画の冒頭でまるで「リバティーン」のジョニー・デップみたいにクライヴ・オーウェンが語りかけるシーンがある。そのセリフはラスト付近で再び現れるが、その時になって始めてこのセリフの意味が分かる。更に、クライヴ・オーウェンが吐いた「そうすべき時が来たら、堂々と正面から出て行くさ」は、単に警察を挑発するセリフなのか否か?ここでも最後まで見ていないと分からないのだ。こうした「銀行強盗?」があったか~、と観終わってからある種の爽快感みたいなのを感じた。果たして従来の銀行強盗とは何が違っていたのかは、観た人だけが感じることが出来るのがこの映画の面白さだ。その中で敢えて不満な点を挙げると、デンゼル・ワシントンの交渉術をもう少し堪能したかったのと強盗団がこの銀行にターゲットを絞った経緯が全く描かれていない点。頭取が何故狼狽し女弁護士に依頼したのかは描かれていただけに、それを狙った意図を知りたかった。【自己採点】(10点満点)9.0点。この映画を観て真似する強盗が出るかな?そんな訳けないか?人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Stevie Wonder/Music From The Movie "Jungle Fever"2.Bruce Springsteen/Tracks Disc 4
2006.07.06
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原題:Casanova(アメリカ)公式HP上映時間:112分鑑賞日:6月29日 テアトルタイムズスクエア(新宿)監督:ラッセ・ハルストレム出演:ヒース・レジャー(ジャコモ・カサノバ)、シエナ・ミラー(フランチェスカ・ブルーニ)、ジェレミー・アイアンズ(プッチ司教)、オリヴァー・プラット(パブリッチオ)、ナタリー・ドーマー(ヴィクトリア・ドナート)、レナ・オリン(アンドレア)、チャーリー・コックス(ジョヴァンニ)【この映画について】「人類史上最高の恋愛の達人」とまで言われたカサノバについては、過去にもアラン・ドロンで映画化されていたようだ。今回は主人公カサノバに「ブロークバック・マウンテン」での演技が印象的な豪州出身のヒース・レジャー。そのカサノバを血眼になって探し裁判にかけようと躍起のプッチ司教にはジェレミー・アイアンズ、カサノバの愛情を受け付けようとしない勝気な美人フランチェスカには新人シエナ・ミラーが美しさのなかにも芯の通った主張を繰り返す役を見事に演じている。ヴェネチアが舞台のこの作品では、同様にヴェネチアが舞台の「ヴェニスの商人」でもそうだったがヴェネチア・ロケを敢行した。その美しい映像とともに舞台になった18世紀のヴェネチアの様子を見事に再現した謝肉祭、衣装の美しさにも注目して観てもらいたい。【ストーリー(ネタバレなし)】舞台は1753年ヴェネチア、カサノバの存在をしらない市民は今では一人もいなかった。彼は恋愛の達人として、多くの女性を虜にし今日も男子禁制の修道院に潜り込み修道女と情事に耽っていた。だが教会側の役人達はそんなカサノバの存在が大きくなることでヴェネチアは堕落していき、ひいてはヴァチカンに睨まれるのを恐れていたので居場所を突き止め次第逮捕することになる。修道院での情事中、踏み込まれて危機一髪のカサノバは着の身着のままで教会の屋根をつたって逃げ込んだ先は、女性の自由を巡って討論中だった大学の講堂だった。巷の人気作家であり女性への自由な発想で人気を博しているベルナルド・グアルディの言葉を引用しながら熱い論戦が繰り広げられていた。その発言の主は男装を解くとフランチェスカ・ブルーニと名乗る一人の美しい女性が表れた。呆気に取られるパネリストをよそに、カサノバの姿を発見した役人に遂に彼は捕らえられる。裁判では数々の容疑で死刑を宣告されるが、総督のとりなしで謝肉祭中に結婚出来れば無罪放免とすると告げられる。早速執事と二人でヴェネチアの街に出かけ候補者を物色するが、理想と思える女性は見つからず焦る二人。少年時代に生き別れとなった母との再会を信じてヴェネチアに留まりたいカサノバは、ヴェネチア一の美少女で処女の誉れ高い名家の一人娘ヴィクトリアの噂を聞き父親に結婚を申し込むが芳しい返事はもらえない。ヴィクトリアには向かいの家の少年ジョヴァンにも彼女に恋心を寄せていた。カサノバの行為を目撃したジョヴァンニは決闘を申し込むが、剣の達人でもあるカサノバには叶わない。そこで助っ人として覆面をした人物が途中で摩り替わったが、その人物こそジョヴァンニの姉フランチェスカだったが彼女は男子も顔負けの剣の達人でもあったのだ。この時カサノバは自らをカサノバと名乗らなかったが、この時、フランチェスカは自らの恋愛哲学を披露する。そのフランチェスカには親が決めたまだ見ぬ婚約者であるジェノヴァのラード商人で資産家のパブリッチオとの婚約が整っていた。何とかフランチェスカを自分のものにしたいカサノバはパブリッチオ到着時を見計らって、執事と二人で波止場に乗り込み言葉巧みに自宅へ誘導する。そこで、自分こそは人気作家グアルディと名乗り、パブリッチオが尊敬する作家を名乗ることで引き留める。そこで、醜い体の彼を短時間で男前に変身させるとして、自宅で縛りつけその間にフランチェスカとともに謝肉祭の最大の見せ場である舞踏会へ向う。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.覆面作家グアルディの正体とは一体誰?2.カサノバ逮捕に執念を燃やすプッチ司教だが、その執念は実るのか?3.強烈な恋愛論をかざすフランチェスカに、まだ見ぬ婚約者パブリッチオとの対面は?4.カサノバが気まぐれで結婚を申し込んだヴィクトリアと、そのヴィクトリアに執心なジョヴァンニの恋の行方は?5.カサノバは失踪した母が再び帰ってくると信じてヴェネチアに残っているが、果して母は戻って来る?等を中心に、美しいヴェネチアの映像とともに是非映画館の大画面でご覧下さい。【鑑賞後の感想】世紀の色男カサノバを演じたのが「ブロークバック・マウンテン」で同性愛を扱ったヒース・レジャーだったが、ここでは彼なりの解釈でカサノバを演じた。カサノバをプレイボーイとしての一面と知的な面と女たらしの面を、程よくミックスした人物像で描き最後は爽やかなイメージで締めくくった。カサノバを誰が演じるかは難しい配役だっただろうが、例えばジュード・ロウが演じたらまた違った人物像のイメージが出来ていたかも。監督はヒース・レジャーを適役と考え配役したそうだ。女優ではヴィクトリアを演じたナタリー・ドーマーの美しさが目立った。この映画は「ヴェニスの商人」でもふんだんに見られた「全編ヴェネチア・ロケ」による映像と、18世紀の舞踏会を当時に忠実に衣装とともに再現した点だろう。昨今CGに頼り、私の好きなロケ映像を楽しむ作品が減っているがここではヴェネチアの映像を堪能できたのは高く評価したい。【自己採点】(10点満点)8.5点。中間部あたりで中だるみも感じたが、舞踏会以降にカサノバがプッチから追われる辺りから再びテンポが良くなった。映像の美しさも点数を上げる要因になった。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Na Leo Pilimehana/Colours2.Michael Franks/Rendezvous In Rio
2006.06.30
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原題:Poseidon(アメリカ)上映時間:98分監督:ウォルフガング・ペーターゼン出演:カート・ラッセル(ロバート・ラムジー)、ジョッシュ・ルーカス(ディラン・ジョーンズ)、リチャード・ドレイファス(リチャード・ネルソン)、エミー・ロッサム(ジェニファー・ラムジー)、ジャシンダ・バレット(マギー・ジェイムス)、マイク・ヴォーゲル(クリスチャン)【この映画について】今更言うまでもなく1972年に公開されたパニック映画の大作「ポセイドン・アドベンチャー」のリメイクである。細かい設定などは現代に置き換えられているが、巨大波に襲われ転覆するというアウトラインは崩さずに描いている。監督は「ネヴァーエンディング・ストーリー」「トロイ」「エアフォース・ワン」などのドイツ出身のウォルフガング・ペーターゼン。元NY市長ラムジーに「夢見る馬~ドリーマー」が公開中のカート・ラッセル、ギャンブラーのディランにはジョッシュ・ルーカス、ラムジーの娘ジェニファーには「オペラ座の怪人」で見事な美声を披露したエミー・ロッサム、恋人に乗船を拒否され失意のリチャードには「ジョーズ」「未知との遭遇」などのベテラン俳優リチャード・ドレイファス、シングルマザーのマギーには「炎のメモリアル」のジャシンダ・バレット、ジェニファーの婚約者クリスチャンにマイク・ヴォーゲル、密航者でありNYで弟に会いに行くエレナにミア・マエストロ、そのエレナの密航を手伝うウェイターのマルコに現在公開中の「夢駆ける馬~ドリーマー」で騎手を演じるフレディ・ロドリゲス。新旧の顔触れがバランスよく揃った俳優らの演技にも注目したい。【ストーリー(ネタバレなし)】時は大晦日の夜、間もなく新年を迎えようとしている超豪華客船「ポセイドン号」(映画内では「ポサイドン」と発音していた)のボールルームではカウントダウン・パーティで盛り上がっていた。船内の乗客は密航者や元NY市長父娘やギャンブラーなど多くの乗客の人生ドラマも抱えていた。ギリシャ神話の海神の名を冠した船には、夜中の海の静けさがまるでこれから起こる未曾有の出来事の前触れのようだった。その頃、コントロールルームないではブラッドフォード船長を筆頭に緊張に包まれていた。レーダーが謎の巨大波「ローグ・ウェーブ」を捉えたのだった。それは静かな海に何の前触れも無くやってくる波の壁で時には50メートルにも達しそれに飲み込まれたらひとたまりもないのは明白。その巨大波が船目掛けて猛スピードでやってくる。ブラッドフォード船長は懸命な舵操作で回避するが、その甲斐も無くポセイドン号は飲み込まれる。直前にボールルームの乗船客には警告が発せられたが間に合わなかった。船は逆さまに転覆し船底を海に向け、船内のあちこちで火災やガス漏れによる爆発が発生する。4000人にものぼる乗船客の多くは犠牲になったが、ボールルームの乗船客は辛うじて難を逃れたが船長からの場を離れないでとの指示に従わないものも居た。その中には元NY市長ラムジーと娘、ギャンブラー、密航者、シングルマザーと息子など様々だったが、一行の目的は「生き残りたい」気持が強い者の集団だった。船の内部に詳しいマルコ、船の設計士で構造に詳しい初老のネルソンは脱出に向けてその知識が大いに役に立った。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.脱出に向けて一向に立ちはだかった様々な苦難とは?2.一人の脱落者もなく脱出できるのか?3.外部との連絡は?救助隊はどうなる?4.ボールルームに残った乗客の運命は?5.脱出者内にも徐々にその手法を巡る意見の相違が?それは一体何?6.ラムジーの娘ジェニファーは婚約を父に言えないでいるが、果たして脱出までに伝えられるか?などを中心に映画館で是非ご覧下さい。【鑑賞後の感想】1972年のオリジナル版は私の大好きな映画の一つで、TVでも何度も放映されているので知っている方も多いだろう。この映画には「パート2」もあるがあれはチョッと余計だった。今回も観ながら1972年版との比較をどこかでしていた。細かい比較論はここでは避けるが、大きな違いは1972年版では脱出を引っ張るジーン・ハックマン演じる神父のような役をカート・ラッセルが演じる元NY市長ラムジーがそうだろう。だが今回はラッセルはそのまでのカリスマ性を発揮していない。その点と人間模様の描き方がに多少不満が残ったのは事実だ。その反面、CGの発達で船の外観や迫力のある水が迫ってくる様子は時代の進歩がなせる業でその点は評価したい。オリジナルはアカデミー賞主題歌賞を授賞した素敵な曲があったが、今回もボールルームで歌うシーンがあるがこちらは現代的な曲だった。【自己採点】(10点満点)7.8点。監督の意思で脱出劇に焦点を置いたようだが、人間模様をもう少し見たかった。エイミー・ロッサムがボールルームで歌えば良かった?人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.U2/Zooropa
2006.06.23
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原題:Dreamer~Inspired By A True Story(アメリカ)公式HP上映時間:106分監督・脚本:ジョン・ゲイティンズ出演:カート・ラッセル(ベン・クレーン)、クリス・クリストファーソン(ポップ・クレーン)、ダコタ・ファニング(ケール・クレーン)、エリザベス・シュー(リリー・クレーン)、ルイス・ガスマン(バロン)、フレディ・ロドリゲス(マノリン)、デヴィッド・モース(パーマー)、オデッド・フェール(サディール王子)【この映画について】原題にあるように実話に基づいて映画化された作品だ。足を折った競走馬が殺処分を免れ、その存在が調教師を勤めていた家族の絆を取り戻す。元騎手で今では父親から譲られた牧場を細々と経営しながらパーマー牧場にトレーナーとして雇われるベン・クレーン役には「ポセイドン」にも出演するカート・ラッセル。ベンの娘で馬を愛するケールには「アイ・アム・サム」「宇宙戦争」「マイ・ボディガード」などで子役とは思えない存在感と演技力を誇るダコタ・ファニング。ベンの父ポップにはカントリー歌手でもあり「ジャケット」が公開されているクリス・クリストファーソンが落ち着いた個性を発揮している。その他には騎手マノリンには「ポセイドン」でもカート・ラッセルと共演するフレディ・ロドリゲスが扮する。競馬の故郷であるケンタッキー州でロケされた、朝もやの中を駆ける馬の映像などもとても美しいのでそちらにも注目して観たら良いと思う。【ストーリー(ネタバレなし)】ケンタッキー州のレキシントン、ベン・クレーンの経営する牧場は資金繰りが上手く行かずに今では父から相続した時の広さはない。牧場の経営方針を巡り父ポップとは隣に住みながらも半ば絶縁状態が続いている。妻のリリーは家計の足しにとパートに出かけて何とか一家を支えている。娘のケールはベンと共に馬の調教を見るのが楽しみで、祖父のポップからも馬の話しを聞いているときは表情が輝くのだった。ベンはパーマー牧場にトレーナーとして雇われているが、とあるレース前に出走直前に牝馬ソーニャドールの前足に異変を感じパーマーに出走を取りやめるように説得する。パーマーはオーナーが観戦に来ていることなどを理由に聴く耳を持たずソーニャドールはレースに臨む。だがベンの嫌な予感は的中し、ソーニャドールはレース中に前脚を骨折し転倒する。オーナーは馬の殺処分をベンに命じるが、ケールが見ている前でもありベンは自分のギャラと引き換えに3000ドルで馬を引き取る。だがパーマーはベンのせいで骨折したとしてその場で解雇してしまい、ソーニャドルを自分の牧場に引き取り治療を施すことにする。この時に、厩務員のバロンと騎手のマノリンも解雇されベンの牧場でソーニャドールの回復に手を尽くすことになった。馬が牧場に来たことでケールは自分の分身のようにソーニャドールを可愛がる。そんな様子を見ている母リリーは、これでバラバラになりかけていた家族の絆が戻るのではと期待するのだった。足の故障も回復してきたソーニャドールをベンは種馬と交配させ仔馬を売ることで、現金収入を得て経営を立て直す計画を練った。だが獣医の検査でソーニャドールは妊娠できない体であることが判明し、計画が頓挫したベンは落胆する。残された道は、ソーニャドールを売却するしかないと決意するが、その話しを聞いてしまったケールは落胆する。そして小屋からソーニャドールに乗って牧場を逃げ出そうとするが、興奮したソーニャドールはケールを背中に乗せて牧場を疾走しバロンらと共に車で後を追い何とかケールを馬から引き離すことに成功する。この力強い疾走姿を見てベンやバロンらは故障した足が完治し、レースに復帰出来るのではと思う。ベンらはソーニャドールを売却レースに出走させレースの様子を見ることにした。このレースでは出走馬に買い手が現れた場合は無条件で取引きされることになるが、実際に取引客が現れるケースは少ないとされていた。だがそのレース後に取引客は現れ馬は売却され、ベンには現金が入ってきた。これに激しく落胆したのは娘のケール。果たしてケールの笑顔を取り戻すことは出来るのか...?これにはポップの尽力もありソーニャドールは買い戻され牧場に戻り、ポップは馬主としてケールに51%の権利を与え彼女が事実上の馬主となり笑顔が戻った。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.一家はソーニャドールを権威ある大会「ブリーダーズ・カップ・クラシック」に出走させる計画を立てる。登録料12万ドルを用立て出来ない一家が頼った相手とは?2.レースには自分を解雇したパーマーの馬も出走するが、そのパーマーが仕掛けてきたこととは?3.ソーニャドールはバラバラになりかけたクレーン一家の絆を取り戻すきっかけになったか?4.レースで奇跡を起こすことは出来るのか?などを中心に映画館か、その後発売されるであろうDVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】実力派の俳優たちがしっかりとした演技を見せた映画と言った印象かな。最後は予想通りのエンディングなのだが、経営不振から家族がバラバラになりかけたのを救うシンボルとなったのがスペイン語で「夢見る人」を意味するソーニャドールである。そこにはダコタちゃん演じるケールの子供らしい無邪気な感情と、馬に夢を託す気持が上手く演じられており子役としての円熟味さえかんじさせられるのは彼女くらいしかいない。パーマーに解雇されてイライラするベンを演じるカート・ラッセル、孫娘が馬に興味を持つ様子を静かに見守るポップ役のクリス・クリストファーソンはセリフがなくても「顔で表現」出来るタイプの俳優だ。あの独特の温かさはこの役にはまっていた。最後に、ケンタッキーでロケした映像は美しくCGを多用する最近の映画には無い柔らかさを感じさせられた。【自己採点】(10点満点)8.0点。実話をベースにしているとのことだが、ストーリー的には最後が見える展開だ。それでも家族の絆と馬の回復していく様子に理不尽な出来事が絡むので退屈せずに見ることが出来た。映像の美しさも点数に反映させた。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━自己PRコーナー:今度、「旅行ブログ」を開設しました。「オールスター観戦記」はこちらご覧いただけます!!━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━←映画「夢駆ける馬~ドリーマー」関係のブログ満載!←西武ライオンズのことならここ←「プロ野球、メジャーリーグ」の情報満載人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク [今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Ricky Martin/Ricky Martin2.Macky Feary Band/Macky Feary Band
2006.06.21
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原題:The Jacket(アメリカ・ドイツ)公式HP上映時間:103分監督:ジョン・メイブリー出演:エイドリアン・ブロディ(ジャック・スタークス)、キーラ・ナイトレイ(ジャッキー・プライス)、クリス・クリストファーソン(ベッカー医師)、ジェニファー・ジェイソン・リー(ローレンソン医師)、ケリー・リンチ(ジーン・プライス)、ダニエル・クレイグ(ルディー・マッケンジー)【この映画について】湾岸戦争で負った傷が原因で除隊となり故郷に戻った元兵士ジャック・スタークス役に「キング・コング」や「戦場のピアニスト」でアカデミー賞を授賞したエイドリアン・ブロディが独特の存在感を示す。スタークスと偶然遭遇しスタークスと行動を共にするジャッキー・プライスには「キング・アーサー」「プライドと偏見」「ドミノ」などのヒット作でその美貌から若手ナンバーワンとも言われるキーラ・ナイトレイ(肉体派ではないけどね)が出番こそ少ないが、しっかりと存在感をアピールしている。その他には最新作「夢駆ける馬~ドリーマー」が公開されているカントリー歌手兼俳優のクリス・クリストファーソンは医師役で、次期ジェームス・ボンド役のダニエル・クレイグの熱演?も見所だ。【ストーリー(ネタバレなし)】1992年、湾岸戦争に兵士として参加したジャック・スタークスは、敵地でひょっとした油断から子供に至近距離から銃弾を浴びせられ瀕死の重傷を負う。一度は「死」を宣告されかけたが奇跡的に息を吹き返し、一命を取り留めて故郷のヴァーモントに戻るが身内はいない。ある厳寒の冬の一日、郊外の森が繁る田舎道を寒そうにヒッチハイクで歩いていると車の故障で立ち往生している母娘を見かけた。シングルマザーのジーンは何故か酔いつぶれて千鳥足でフラフラ状態。娘はジャッキーと名乗りジャックは車を修理してやる。ジャックのおかげで簡単にエンジンは掛かるが、酔っているジーンはジャックに礼を述べるどころか娘に近付くなと悪態をつく有様。ジャッキーは記念にと、ジャックが首から提げていた軍隊の認識票をねだり彼女に挙げた。その認識票はジャックが、自分が何者か分からなくなったときの為にと提げていた物だった。母娘の車に乗せてもらえなかったジャックは、暫く歩いているとカナダ国境を目指しているという若者の車を止めて同乗させてもらう。だが間もなく車は警戒中のパトカーに尋問の為停車を命じられる。この時、逆上した運転手の若者が警官を射殺しジャック自身も事件に巻き込まれ気を失う。意識が回復すると若者が銃に残したジャックの指紋をもとに警官殺しの罪で逮捕される。ジャックは裁判で心神喪失と認められ、刑務所の替わりにアルパイン・グローブ精神病院に収容される。ジャックはそこでは他の精神を病んでいる患者等とともに実験的な矯正を受ける。責任者のベッカー医師はローレンソン医師らと共に、地下室の死体安置用の狭い空間にジャケットと呼ばれる拘束着を着せられ2~3時間酸素の薄い状態の中に放り込まれる。真っ暗な狭い空間で汗だくになりながら、ジャックは湾岸戦争時の悪夢の数々がそこで蘇りわめき散らす。そしてクリスマス・イヴの日、再びベッカー医師によりジャケットを着せられたジャックは不思議な体験をする。ジャックの意識は未来の2007年へと飛び、自身も街道沿いのさびれたダイナー(簡易食堂)の前にポツンと立っていた。寒風にさらされているジャックを見た若い女性が車から声を掛けた。その若く美しい女性はジャッキーと名乗りジャックに同情したのか自分の荒れた部屋へと招き入れる。世間話をしながらその女性がシャワーを浴びている間に部屋を探索していたジャックは、一つのペンダントに気が付いた。それにはジャックの姓名が刻まれており、部屋にはジャッキーと母のジーンが写っている写真まであった。それはまさにジャックがあの寒い冬の日に助けた親子だった。ソファで寝ていたジャッキーを揺り起こしたジャックは、彼女から驚愕の事実を打ち明けられた。ジャックは自分が15年後の世界に居ることを認識したが、自分の肉体は1992年のクリスマス・イヴにあるという事実に突き当たる。再び意識が現実に戻ったジャックは、施設内でルディにこのことを打ち明ける。そして二人がこの後、考えたことは...一体。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ジャックが2007年の世界でジャッキーから告げられた驚愕の事実とは?2.1992年と2007年を行き来できるようになったジャックだが、彼はそこで知った自分の将来にどう向かいあったか?3.自分の運命を知ったジャックだが、自分の将来を変えることは出来るのか?4.ジャックとジャッキーの間に芽生えつつある感情はこの先どうなるのか?5.ジャックの警官殺しの真相は?6.施設で密かに行われていた実験とは?ベッカー医師の施した治療とは何か?などを中心に公開館は少ないですが機会があったら映画館か、DVDが発売された時にご覧下さい。【鑑賞後の感想】1992年と2007年を行き来するという発想は、一種のタイムトラベルであるが15年先という近未来に設定されている点に注目だ。タイムトラベルとなると、一気に古代に戻ったり現代から戦国時代にスリップしたりと突拍子も無いケースが多い。ここでは1992年の湾岸戦争で負った傷が元で、精神病棟に入れられた男が偶然にも2007年にタイムスリップし自分の運命を知ってしまう。そこで自分が何とかつて助けた娘と出会う更なる偶然を体験するのがポイント。ここから先は知ってしまう自分の運命と、自分が15年の間に何が起こったかを知る娘から驚愕の事実を知るというストーリーは面白い。しかし、このタイムスリップが、狭い空間に閉じこめられた時に発生するのは無理がないだろうか?その際の映像にももう一工夫が欲しかった。自分に何が起きたのか必死に探る姿は胸を打つが、これだけではインパクトが弱かった。エイドリアン・ブロディは何だか顔色が悪い独特の顔立ちだが、こういう役はある意味ではまっている。ブロディとは15年経ったジャッキーとして接するキーラ・ナイトレイのこの役は、当初は監督やスタッフが彼女には合わない役としていたが本人のたっての希望で実現したそうだ。でも彼女はそれなりに上手く演じていたが、この役は彼女でなくても良かった。他にはクリス・クリストファーソン演じるベッカー医師のクールさや、変な患者ルディを演じたダニエル・クレイグの個性は面白かった。【自己採点】(10点満点)7.2点。インパクトのあるエピソードをもっと絡めれば、ストーリー自体は良いので点数は上がったはずだ。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Gloria Estefan/Cuts Both Ways2.Eric Clapton/Me And Mr.Johnson
2006.06.15
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原題:The Da Vinci Code(アメリカ)公式HP上映時間:150分監督:ロン・ハワード出演:トム・ハンクス(ロバート・ラングドン)、オドレイ・トトゥ(ソフィー・ヌヴー)、ジャン・レノ(べズ・ファーシュ)、イアン・マッケラン(リー・ティービング)、アルフレッド・モリーナ(アリンガローサ司教)、ポール・ベタニー(シラス)、ユルゲン・プルホノフ(ヴェルネ)【特集サイト】infoseekBiglobeGoo【この映画について】ダン・ブラウンの世界的大ベストセラーの待望の映画化作品であるのは知らない人はいない。ベストセラー本の映画化にあたって、監督のロン・ハワードは原作に極力忠実に脚本を書いたと強調している。ハワード監督は'84年に「スプラッシュ」で組んだトム・ハンクスをラングドンに起用する。重要な役でもあるソフィーには多くが参加したオーディションの中でも最終的に「アメリ」「ロング・エンゲージメント」等の出演作があるオドレイ・トトゥが、自身としては「堕天使のパスポート」以来2作目の英語セリフ作に挑む。ラングドンと一緒にロンドンに自家用機で乗り込み謎解明に挑むリー・ティービング役には「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのガンダルフ役で有名な同性愛者イアン・マッケランが演じる。不気味な修行僧シラスには「ファイアーウォール」でハリスン・フォードと銀行強盗団の親玉を演じたポール・ベタニー、ラングドンをルーブル美術館館長殺人事件の容疑者として追うファーシュ警部役には「ピンク・パンサー」が現在公開されているフランス映画界のスターでもあるジャン・レノが扮する。こうしてハリウッド映画界とフランスや英国出身のベテラン俳優や新進俳優等を巧に配している点にも注目して観て頂きたい。【ストーリー(ネタバレなし)】ルーヴル美術館館長ソニエールの謎めいた死体が館内で発見された。早速駆けつけた警察だったが、その日に会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは自書の出版記念会を開催中に警察から協力を求められた。美術館に急行したラングドンだったがその異様な現場を見て声を失った。現場ではフランス司法警察のファーシュから事情を聞かれる。そして現場には暗号解読のスペシャリストでもあるソニエールの孫娘でもあるソフィー・ヌヴーも遅れて現場に到着する。ラングドンを有力容疑者と疑っているファーシュは、ソニエールの残された手帳に当日面会予定だった彼こそ犯人と疑う。だがそんなファーシュに疑問を感じているソフィーは、ラングドンと二人でファーシュの目を盗み美術館の窓から飛び降り脱出に成功する。アメリカ大使館に駆け込むためにソフィーの車で向ったが、そこには既に警察が二人の到着を読み待っていた。必死に警察の追跡を辛くも振り切った二人は、ソニエールの謎の死には何かの暗号がありそれを通じてメッセージを送っていると推察する。ソニエールの死を巡っては、その不自然な死に方が論議を呼んだ。そこでラングドンはソニエールが残したメッセージを独自に解析し、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画「モナ・リザ」に何かが隠されていると推測する。二人はソニエールが長年金庫に保管していた「あるもの」を探しに直接銀行に向うが、そこにも警察の追及の手は伸びていた。何とか「あるもの」を手にした二人だが、銀行の夜間マネージャーの機転で辛くも警察の追っ手を逃れパリ郊外へと向った。そこはラングドンの知り合いでもあるティービングの邸宅へと到着する。一方で、ソフィーの祖父と思われていたソニエールとの幼少時代の記憶を辿ることで、今回の事件の解決の糸口が見える始めてきた。ソニエールの館長としての顔と、ソフィーが一家の交通事故で唯一生き残りソニエールに育てられた時に別の顔があることを知った。ソニエールはソフィーに謎めいた何かを伝えたがっていたのだった。ソニエールのもう一つの顔が、今回の事件と何かの関係がありそのグループも何かを追っていたのだったのだが...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ソニエールがソフィーを引き取ることになった本当の事情とは?2.ソニエールの裏の顔とは?裏の顔と事件の関係は?3.二人が金庫で入手したのは何か?4.ファーシュは何ゆえにラングドンを犯人と思ったのか?ファーシュにも警察官以外の顔があったが、それは何?5.ダ・ヴィンチが仕掛けた暗号、名画に残されたメッセージとは?6.教会の秘密組織が追う、キリストの秘密とは?7.イギリスで二人を待ち受ける追っ手とは?ティービングは信用出来る人物か?8.ソフィーの幼少時に一家を襲った交通事故の真相とは?9.ラングドンとソフィーは、ソニエールが残した謎の暗号とそこに隠されている人類の歴史を覆す驚愕の謎を解けるのか?等を中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】既に多くの人が全国で鑑賞し原作本を読んでいることだろうが私は原作を読まずに映画を観た。カトリック国ではストーリーがキリスト教の根本に関わることから上映禁止となっている国もあるそうだ。カトリック国家でない日本ではそうした議論は巻き起こらないが、観た感想としては「歴史的事実を適度に上手く盛り込んだフィクション」とでも言えば良いだろう。その中の一つ、「聖杯」を巡る事実や争奪戦はサスペンス色を感じさせる展開にも役に立った。更に、バチカンが秘密組織を通じて長年その存亡に関わる裏事情を秘密裏に封じてきた事などは興味深かった。実際にそういう事実(キリストの子孫)があったかの検証は困難だが、仮に事実とすればバチカンが抹殺するのは宗教的矛盾を露呈するので映画の中での組織の動きは「フィクション」と思いたい。舞台はフランスからロンドン~スコットランドと移っていくのだが、この映画ではルーヴル美術館やロンドンのウエストミンスター寺院などでのロケも売り物である。俳優では主役のトム・ハンクスよりむしろポール・ベタニー演じる修行僧シラスの方が個人的には目立った。痛みが銀幕を通して伝わってくるかのような苦痛に満ちた表情は凄みを感じた。「ファイアーウォール」での銀行強盗団の冷血な親玉も良かったが、今回の修行僧役で演技の幅が広がったことだろう。余計なことだがスコットランドの教会でソフィーの身分が分かったあとに、その後、彼女は子孫を残す為の結婚相手の選択はどうするのかな?と個人的には思ってしまった。【自己採点】(10点満点)8.8点。映画の流れとしては文句は無い。隠蔽された歴史が現代に蘇るのか?これからも継続するのか?今後どうなるのか気になるのだが...。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Spyro Gyra/Stories Without Words2.The Beatles/Yellow Submarine Songtrack
2006.06.10
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原題:Broken Flowers(アメリカ)公式HP上映時間:106分監督・脚本:ジム・ジャームッシュ出演:ビル・マーレー(ドン・ジョンストン)、ジュリー・デルピー(シェリー)、ジェフリー・ライト(ウィンストン)、シャロン・ストーン(ローラ)、フランセス・コンロイ(ドーラ)、ジェシカ・ラング(カルメン)、ティルダ・スウィントン(ペニー)、マーク・ウェッバー(旅行中の青年)【この映画について】「ロスト・イン・トランスレーション」で一気にブレークしたビル・マーレーが、何とも言えない味のある演技をしている。そのマーレーを支えるのは恋人役の女優は「氷の微笑」(続編が公開されるそうだ)での印象が強いシャロン・ストーン、イーサン・ホークとの共演作「ビフォア・サンセット」で話題となったジュリー・デルピー、夫ティム・バートン主演、ヴィム・ヴェンダース監督作「アメリカ、家族のいる風景」での出演作が記憶に新しいジェシカ・ラングなど豪華な顔触れが揃っている。中年男の過去を探す旅が全面に出ているロード・ムービーの要素も強いが、それだけでは終わらないし自分の知らない過去を何故探ることになったのか?その答えは身近なところにあったかも知れないのだが、答えはスクリーンを注意深く観ていると分かるかな?【ストーリー(ネタバレなし)】中年のドンは未だに独身ながら恋人のシェリーと自宅で同棲する仲だ。シェリーは結婚を望んでいるが、ドンはそんなシェリーの気持に応える事が出来ずにいる。そんな或る日、シェリーは煮え切らないドンに愛想を尽かし家を出て行く。その時、ドンへの郵便物の中に見慣れないピンクの封筒が届けられていた。そんな時に、隣人のウィンストンからドンの専門職であるコンピューターの腕を見込まれて、彼の部屋へ行きウィンストンが窮していたPCの悩みをあっという間に解決する。その時、ドンは届けられた郵便物を無造作に鷲掴みにし隣人の部屋で一通ごとに目を通す。ウィンストンはその中のピンクの封筒に目をやり、ドンに読ませた。その封筒の中身は、差出人不明ながら文面からドンのかつての恋人の一人からと容易に察することが出来た。そこには「ドンと差出人との間に別れた直後に妊娠に気が付き、密かに出産した子供が父親探しの旅に出た」と記してあった。驚愕の内容の手紙だったが、ドンはさほど関心を示さなかったが野次馬根性丸出しのウィンストンは「父親とはめでたい!」と逆に祝福する有様。そしてお節介なこの隣人は無関心なドンとは正反対に、ドンに過去の恋人のリストを作成させネットでその居場所を探し出す。ドンは5人の恋人をリストアップし一人は既に亡くなっていたが、4人の居場所を何故か突き止めた隣人は親切にも4人の恋人を巡る旅程表まで作成し飛行機やレンタカーの予約まで済ませた。ドンは隣人に背中を半ば強引に押される形で、かつての恋人たちを巡る旅へと出発した。予告無くイキナリ現れたドンに対し、かつての恋人たちは様々な反応をしめした。温かく歓迎しベッドまでともにしたローラ、幸せな結婚をしながらも子供に恵まれないドーラ夫妻とは夕食を自宅で気まずい雰囲気のなかで共にし、カルメンは男気のない生活をし、ペニーは郊外の農場で生活するが突然のドンの訪問に動転し同居の男と一触即発のムードになる。そんなかつての恋人巡りの旅を通じてまだ見ぬ息子との対面という目的を果たせないドンだったが、盲点はあった...。さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。1.ドンの息子探しの旅で得た収穫は?2.隣人は何故ここまでドンの為に尽くしたのか?3.ドンの旅の中で偶然にすれ違った若者の正体とは?4.ドンの下を去ったシェリーとは復縁出来るのか?等を中心に今後発売されるDVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画のテーマとヴィム・ヴェンダース監督作「アメリカ、家族のいる風景」とは基本的にストーリーは同じである。共通点は中年を過ぎた男性がかつての恋人との間にどうやら知らない間に子供がいたらしいとの展開はまったく同じだし、ロード・ムービーの要素を含んでいる点や、両作にジェシカ・ラングが出ている点も同じだ。この作品でのビル・マーレーは相変わらず「ロスト・イン・トランスレーション」でも発揮していたとぼけた味を遺憾なく発揮している。かつての恋人役には脇役には勿体無い位の主演クラスの女優が名を連ねるのだが、折角こうした女優を配しながらも残念ながらその個性を活かしきれてはいない。ストーリーの展開も結局は隣人のお節介が講じた形のエンディングは、恋人巡りの旅は意義を問われかねないものであると感じたが詳しく書くとネタバレになるのであとは察して下さい。ロード・ムービーには欠かせない音楽だが、こちらはマーレーの演技を含めて合格点を与えたい。【自己採点】(10点満点)7.2点。ストーリーの題材は良いのだが、編集の粗さやオチに更なる工夫を加えないと高得点は与えられない。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Soundtrack/Armageddon2.Christina Aguilera/Stripped
2006.05.30
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原題:V For Vendetta(アメリカ)公式HP上映時間:132分監督:ジェイムズ・マクティーグ出演:ナタリー・ポートマン(イヴィー)、ヒューゴ・ウィービング(V)、ジョン・ハート(サトラー議長)、スティーヴン・レイ(フィンチ警視)【この映画について】この映画が注目されているのは、2020年にイギリスが独裁国家になり内戦に突入したアメリカを植民地化したというストーリーにもあるが、その脚本を手がけたのが「マトリックス 3部作」で監督・脚本・製作総指揮を務めたウォシャウスキー兄弟が本作で脚本と制作に関わっている点にある。監督は「マトリックス」で第一助監督だったジェイムズ・マクティーグの初監督作品だ。俳優陣には訳が分からないまま巻き込まれていくイヴィー役に「スター・ウォーズ1~3」でのアミダラ女王役、「クローサー」でのストリップ・ダンサー役が記憶に新しいイスラエル出身のナタリー・ポートマン、仮面をつけた「V」には「ロード・オブ・ザ・リング」でのエルロンド役のヒューゴ・ウィービング、独裁者サトラー役にはベテランで「エレファント・マン」「ハリー・ポッターと賢者の石」など多数の作品で存在感を発揮するジョン・ハート。【ストーリー(ネタバレなし)】2020年、第三次世界大戦を経てアメリカは内戦へと突入し英国の植民地と化したが、その英国では独裁者のサトラー議長の下で監視カメラが市民生活を監視するファシズム国家となり夜11時を過ぎると「外出禁止(Curfew)」となりロンドン市内は恐怖で静まり返る。サトラーが発する政策は絶対で同性愛者、移民、異教徒(特にイスラム教)、政治活動者、不治の病人などは厳しく監視され会話は盗聴される。そんなある夜、放送局で働くイヴィーは夜11時近くなってから外出を試みたが運悪く数人の男に囲まれてしまう。身の危険を感じたイヴィーに、一人のマントを纏いマスクを付けた大柄の男が不意に現れイヴィーを囲んでいた数人の男たちを退治し命を救われた。この「V」と名乗る男とイヴィーのこの時の出会いが、今後の二人の運命を物語っているかのようだった。Vは不正と暴虐が蔓延る世の中を救おうと立ち上がり、唯一の放送局を占拠しイヴィーの前に現れたときと同じ出で立ちで放送ブースに侵入し、用意したVTRを放送させた。それは、ロンドン市民に決起を呼びかける内容で、11月5日の「ガイ・フォークス・デイ」である。「ガイ・フォークス・デイ」は1605年の同日に、ガイ・フォークスが議事堂を火薬とともに爆破する計画を練ったが、裏切りにあい公開処刑されたその日のことだ。「V」はそのガイ・フォークスの無念さを晴らすべく、400年以上たったこの時代に独裁者による世の中を打破しようと市民に呼びかけたのだった。だが、その日までは日にちが足りないことから、「V」は一年後の同日に決起すると告げて消えた。その「V」を追って警察が放送局に押し入るが「V」は追っ手を振り切り街に消える。この時、放送局でばったり出くわしたイヴィーと「V」の今後の関係は...。「V」はイヴィーの身を案じ自分の隠れ家にかくまう。その隠れ家には禁制品が所狭しと並び、「V」の好きな映画やジュークボックスまで完備されている。イヴィーの自宅アパートは当局からマークされているので当面ここで生活することになる。イヴィーは「V」の正体を知ろうとするが自分のことは中々話さない。一方でフィンチ警視は議長の逆鱗に触れ、直ちに「V」の正体と目的を探る為にあらゆる情報を収集する。その裏で「V」はフィンチらを嘲笑うように犯行を繰り返し、次々と犠牲者の数は増える一方の状況に。その被害者から共通点を探し出そうと、フィンチらが捜査を進める過程で「V」の正体と思える人物と殺害された人物らの共通点に辿り着く。だが、そこには政権のタブーが隠されていた...。さて、ここから先は核心なのでポイントだけを書く。マスクで正体を隠す「V」の真の目的とは?「V」誕生の秘話は?何故、「V」と呼ばれるようになったのか?400年前のガイ・フォークスの果たせなかった計画と「V」はどういう関係?サトラー議長が「V」の存在を恐れる理由は?民衆にTVを通してしか語り掛けないサトラー議長の謎の行動とは?イヴィーは何故「V」に同情するのか?その「V」がイヴィーに取った非情な行為とは?イヴィーの出生の秘密と「V」の関係は?などまだまだ多くの謎を秘めたこの映画は是非、映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】「マトリックス」シリーズは観ていないのでウォシャウスキー兄弟の作品は始めて観た。今回の作品はコミックが原作のようだが、原作ではサッチャー政権を批判しているがここでは設定を近未来の2020年になったいる。そこでは第三次世界大戦後の独裁国家イギリスとなっているが、このサトラー議長のエキセントリックな演説風景を見ているとまるで「ヒトラー」そのものだ。「V」はこの独裁者が作った「怪物」であり、結果的に自分を追い込む原因にもなったのは皮肉だ。更に、民衆や幹部の部下たちも強圧的な言動で一方的に抑え込み徹底的な言論弾圧を加える様子は、ヒトラーのスタイルそのものではないだろうか?ウォシャウスキー兄弟の脚本は、「何時の世の中にも独裁者は出現するだろうが、結局は弾圧した反動で民衆に滅ぼされる運命になる」ということを伝えたかったのだろうか?ルーマニアではチャウシェスク大統領が独裁者として君臨したが、最後は蜂起した民衆の力の元に屈し処刑された姿もダブって見えてきた。だがその「独裁者」を生んだのも民衆であり、「政府が民衆を恐れるように」ならないと行けないと「V」が語ったセリフが印象に残った。【自己採点】(10点満点)9.0点。原作とは時代設定を変えて、近未来の2020年とした着眼点に感心した。アイデアも面白かったが、「V」の正体とは果たして誰?WBC優勝記念トロフィー写真見れます人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.The Beatles/Rubber Soul2.Bobby Caldwell/Bobby Caldwell
2006.05.07
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原題:Brokeback Mountain(アメリカ)公式HP上映時間:134分監督:アン・リー(李安)出演:ジェイク・ギレンホール(ジャック・ツイスト)、ヒース・レジャー(イニス・デルマー)、アン・ハザウェイ(ラリーン・ニューサム)、ミシェル・ウィリアムズ(アルマ)、ランディ・クエイド(ジョー・アグイアー)【この映画について】この映画は今年のアカデミー賞で監督賞(アン・リー)、脚色賞(アン・リー)、オリジナル音楽賞(グスタヴォ・サンタオラーヤ)の3部門を授賞した。中でも台湾出身のアン・リー監督がアジア初の監督賞受賞の快挙を成し遂げた。アカデミー賞では日本人が数部門で過去に授賞歴があるが、何れも主要部門での授賞ではなかったので監督賞授賞は誇るべき快挙だ。同性愛のカウボーイの話というテーマを持ったこの映画が何故ここまで評価されたのかも考えながら観てもらいたい。主演の二人は売り出し中の「ジャーヘッド」「デイ・アフター・トゥモロー」「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」等の出演作があるジェイク・ギレンホール、「ブラザーズ・グリム」で注目されたヒース・レジャーが「禁断の男同士の愛」という難しいテーマの演技をこなしている点にも注目してもらいたい。【ストーリー(ネタバレなし)】イニス・デルマーとジャック・ツイストの出会いは1963年、ワイオミングの農牧場の季節労働者として羊の放牧の管理を山に篭って任されたところから始まった。ともに20歳だった二人は牧場主のジョー・アグイアーから、ひと夏の間、山でキャンプをしながら羊の管理を犬とともにするのが仕事になった。明るい性格で何でも口に出すジャックに対しイニスは寡黙で口数が少ない正反対の二人だった。過酷な自然の中で二人は来る日も来る日も山で羊を追っていたが、その二人しかいない生活の中でお互いの距離は何時の間にか縮まり知らない間に二人の間には他人には理解出来ない感情が芽生えていった。ある寒い夜のテントの中で、イニスとジャックは一線を越えてしまい肉体関係を持ってしまう。若い二人はその行為が後に及ぼす結果をその時は予想することは到底出来なかった。二人の関係はその後も続くが、山に様子を見に来たジョーはそんな二人の微妙な関係を察し予定より早く山から下ろし仕事を切り上げる。仕事の終了は二人の関係のピリオドを意味する。二人はお互いの居場所すら教える事無く、それぞれの故郷へと帰る準備を大急ぎでする。何も無かったかのようにジャックは自分のトラックで帰る。その姿を見てイニスは建物の物陰に隠れて一人号泣するのだった。イニスは帰郷後、許婚のアルマと結婚し子供も生まれ幸せな生活を送りジャックのことも忘れかけていた。一方のジャックは定職に付かず地元テキサスのロデオ・ショウに出場したりの気ままな生活を送っている。そしてロデオ・クィーンであり地元で農耕機材販売会社を経営する会社の娘でもあるラリーンと結婚する。同時にラリーンの父が経営する会社で営業を担当するが、裕福な家庭のラリーンとは育った環境も違う上に、父との折り合いが悪く居心地は良くないが息子の誕生は嬉しいニュースだった。1967年、イニスの元にジャックから絵葉書が到着し4年ぶりにイニスに会いに行くと書いてあった。興奮したイニスとジャックの再会は、この後、二人の人生を大きく変えていった。だが、二人の異常な関係を偶然目撃してしまったイニスの妻アルマは衝撃を受ける。イニスとジャックの関係はこの時を境に、他人の介在を許さない関係へと発展していく。そして度々逢瀬を重ねる度にイニスは仕事を休み、家を空けて数日間帰宅しないようになり家族の絆にも亀裂が生じる。1981年、紆余曲折の人生を歩んできた二人はそれぞれの家庭崩壊を経て二人の関係にも修復不可能になってきた。一時の様な親密な関係を取り戻せないで悩むジャック、イニスは離婚後に恋人が出来たがその恋人とも分かれ悲愴感が漂う。1982年、二人の関係は何の予告も前触れもなく急に終りを告げたがそれは...イニスが受け取った一通の絵葉書だった。さて、後はポイントを数点述べる。二人は逢瀬の度にある口実を家族に使っていたがそれは?イニスと分かれたアルマの取った道は?イニスが受け取った絵葉書には何が?イニスはジャックから何かを頼まれたがそれは?そうした点は映画館で確認して下さい。【鑑賞後の感想】この映画のテーマが「男の同性愛」である為、アメリカでは物議を醸したそうだ。確かに、作品を最後まで観ていると「男の友情を超えた」感情が描かれている。思わず目を背けたくなるようなシーンもあるのだが、そればかりではないので勘違いしないで観てもらいたい。男の友情の原点が、ブロークバック・マウンテンでひと夏を過ごした二人の出会いにあった。その後、結婚し子供まで出来るが二人の友情を超えた関係は当然ながらお互いの妻には理解されなかった。逆に二人の関係が深まれば深まるほど、夫婦間の関係は冷えていくとは皮肉だ。ネタバレになるので最後のシーンは書けないが、女性には理解不能な男の一線を越えた友情と愛情の行く付く所は?最後にイニスがジャックからの絵葉書をトレーラー・ハウスで眺めながら呟いた一言が、この二人の「真の関係が何だったのか」を物語っていたと私は思う。【自己採点】(10点満点)9.1点。雄大な自然の映像が二人の関係を表すのに妙に合っていたように感じた。人気blogランキングへ満開の桜の写真はこちらでご覧下さい[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Paul McCartney/Press To Play2.Whitney Houston/Just Whitney...
2006.05.02
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原題:Firewall(アメリカ)公式HP上映時間:106分監督:リチャード・ロンクレイン出演:ハリスン・フォード(ジャック・スタンフィールド)、ポール・ベタニー(ビル・コックス)、ヴァージニア・マドセン(べス・スタンフィールド)、メアリー・リン・ライスカブ(ジャネット・ストーン)、ロバート・フォースター(ハリー・ロマノ)、アラン・アーキン(アーリン・フォレスター)【この映画について】ハリスン・フォードが演じるのは銀行の最高幹部ジャックであり、銀行のシステムを構築した責任者であり侵入を許さない鉄壁の守りは高く評価されている役である。一方でそのジャックに挑戦するビル役を、英国出身のポール・ベタニーがクールな役どころを見事に演じているので注目してもらいたい。銀行強盗といえばギャングまがいの一味が銀行に押し寄せて大金を盗むのが今までのパターンだが、ここでは時代を反映してコンピューターに侵入して目標を達成するというストーリーだ。63歳のハリスン・フォードが体を張ってアクション・シーンをこなしている頑張りにも拍手を送りながら観てください。【ストーリー(ネタバレなし)】ジャック・スタンフィールドはシアトルの銀行の最高幹部であり、会社のシステムのセキュリティの構築を担った人物だ。他行のセキリティが度々ハッカーの侵入を許す中、ジャックの勤務するランドロック・パシフィック銀行の盗難防止システムは業界屈指との評判を得ていた。そんなジャックに或る日、その高い技術力を高く評価する一人の男が面会に訪れる。男はジャックを引き抜くのが目的だったが、ジャックはその話には乗り気でなく家族の待つ自宅へ雨中の中を車で帰宅する。ジャックは車に乗り込む際に見知らぬ男に脅される。ジャックは男の要求するまま自宅へと向うが、既にその頃、自宅では男の一味が家族を襲い監禁する。激しい雨の中を自宅に到着したジャックは、そこで家族が監禁されていることを始めて知った。激しく動揺するジャックに対して、犯人グループのリーダー格であるビルは明日は普通に通勤せよと命じる。翌日、出勤するジャックの行動を逐一見張るグループに対し、ジャックは何とかこの異常事態を知らせようとするがことごとく阻止されてしまう。犯人グループはジャックに中々要求を突き付けなかったが、リーダーのビルは彼の海外口座に1億ドルを送金するように要求した。そしてその為にジャックに対して銀行のシステムを破り、同時にあらゆる証拠も抹消せよというとてつもない要求を受け入れざるを得ない状況に追い込まれた。ジャックの不審な行動は徐々に廻りから怪しまれることになり、彼の秘書ジャネットはジャックの知人として度々訪れるビルの振る舞いを注視していた。そんなジャネットを遠ざけるため、ビルはジャックにジャネット解雇を強要する。ジャックは不承不承ジャネットを解雇し彼女は憤慨して会社を去る。ビルの統率の元で犯人一味らは家族の監禁と、ジャックの監視とに分かれて行動する。家族は犯人の隙を付いて脱出を試みたりするが失敗し窮地に追いやられる。ジャックは会社が他社との合併問題に直面し、それに伴なうシステムの変更などを考えると合併には反対の立場を取っていた。そしてビルはジャックを追い詰めて、困難なセキュリティ突破を命じるのだったが...。さて、ここから先はポイントだけを。ジャックは自分が構築したシステムを突破できるか?ジャックの不審な行動に気が付いたのはジャネットだけではなかったがそれは誰?解雇されたジャネットはその後どうなる?ジャックの構築したシステム突破の障害となったのは?ジャックは家族を守れるか?犯人一味自ら手を下さずに1億ドルを手に出来るか?犯人グループは如何にしてジャックを標的にしたのか?などを中心に映画館か今後のDVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】還暦を過ぎたハリスン・フォードのラスト・シーンでのアクション(格闘)シーンはやはりファンなら見たい。だが流石に歳を感じさせ息が上がり気味で「精一杯こなしている」といった印象を持ってしまった。それでもこの歳でアクション・シーンをこなすのだから、まあその点だけでも評価してあげないとね。ハリスン・フォードのファンには申し訳無いが、この映画でもっとも存在感を発揮したのは英国出身のポール・ベタニーだ。犯人グループのリーダー格であるビルを演じていたのだが、その隙のなさと冷酷な行動はハリスン・フォードの存在感を超えていた。ビル役をもし彼以外の俳優が演じていたらこの映画の評価は下がっていたとも思えたほどだ。最後に、やはりハリスン・フォードは何の役を演じても無難にそして役にはまった演技を見せてくれるのは流石である。今回もシステムのセキュリティのスペシャリストの役だったが、見ていて違和感を感じることはなかった。だが妻役のバージニア・マドセンとの実年齢の差(21)はむしろ役には無いがポール・ベタニーの妻役で良かったかも。女優ではジャネット役を演じたメアリー・リン・ライスカブの後半での意外な活躍?には拍手を送りたい。【自己採点】(10点満点)8.2点。息詰まるハッカーとのバトルのようなストーリー性を盛り込んでもらいたかった。人気blogランキングへ満開の桜の写真はこちらでご覧下さい[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Boz Scaggs/Dig2.Quincy Jones/Back On The Block
2006.04.25
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原題:A History Of Violence(アメリカ)公式HP上映時間:96分監督:デヴィッド・クローネンバーグ出演:ヴィゴ・モーテンセン(トム・ストール)、エディ・ストール(マリア・ベロ)、カール・フォガティ(エド・ハリス)、ウィリアム・ハート(リッチー・キューザック)、ジャック・ストール(アッシュトン・ホームズ)、サラ・ストール(ハイディ・ヘイズ)、ピーター・マクニール(サム・カーニー保安官)【この映画について】この作品の原作はグラフィック・ノベルと言う一種の劇画がベースになっているそうだが、監督のクローネンバーグはこの原作の存在を知らされるまで知らなかったそうだ。過去を隠し別人として平和な生活を送っているトム・ストール役には、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのアラゴルン役が印象的なヴィゴ・モーテンセン、そのトムの過去を知るフォガティには監督の経験もあるアカデミー賞4度ノミネートのエド・ハリスが不気味なギャングを演じる。トムと音信不通の兄リッチーには「ヴィレッジ」のウィリアム・ハートが冷血な面と弟を捜す兄の役を演じる。【ストーリー(ネタバレなし)】インディアナ州ミルブルックという田舎町に住む、トムとエディのストール一家は幸せを画に描いたような一家であり二人の仲睦まじさも相変わらずで周囲もうらやむおしどり夫婦だ。トムは町中に食堂兼カフェのダイナーを経営し安定した収入もあり住民間の評判も良かった。そんな或る日、閉店間際の店には数人の客しかいなかったが人相の悪い二人組が入ってきた。トムは「閉店だ」と告げるが二人組みは「コーヒーをくれ」と叫び銃を突きつける有様に店内は凍てついた。緊張感漂う雰囲気を察し、トムは女性従業員を先に帰らす用意をする。不承不承ながらコーヒーを出すトムとお金を払う二人組みだが、トムはそのお金を受け取ろうとせずにいたが二人組みのボスの方は強引に受け取らせた。一瞬店を出る振りをした二人組みだったが、ボスの方が若い方に指示し帰ろうとして店を出ようとした女性店員を捕まえる。若い者が女性店員に性的暴行を加え始めていたその時、ボスがトムに銃を向けていた一瞬の隙をついて手に持っていた熱いコーヒーをボス目掛けてかけた。そして銃を奪いあっというまに二人を射殺したおかげで、店に居た客と従業員は命を落とさずに済んだ。この事件の際にトムはボスに足の甲を刺され怪我を負い入院するが、退院するとこの事件を報じたマスコミから「英雄扱い」され激変した環境に戸惑う。事件を報じたマスコミの影響で店は連日連夜「英雄の店」として大繁盛となったが、トムは早く昔の環境に戻りたがっていた。そしてそんな店が賑わっているなかで、一見して雰囲気の違う客が現れて、カウンターでトムを見つけるなり「ジョーイ」という名で呼んだ。トムは、自分はジョーイではない人違いだと言って相手にしない。男はカール・フォガティと名乗る片目を著しく損傷しており気味が悪いとして追い出す。だがフォガティの出現を気に、彼は執拗にトムとストール一家に付き纏うようになる。そして遂にトムの自宅にまで押しかけるようになり家族を不安に陥れる。最初は家族にまともに話していなかったトムも、家族が不安に陥るのをみて自身にも身の危険を感じる。一方で息子のジャックは学校で悪ガキに苛められていた鬱憤を、その当人を殴ることで晴らしたが停学処分を食らいトムにたしなめられるが、反抗期のジャックは激しく反発する。幸せだった家族の間に徐々に溝が出来始め不安になっていくエディは、トムに過去について問いただす。そんなとき、あのフォガティが再び自宅に現れトムといざこざになり、その隙にジャックは咄嗟に考えも着かない行動を取ったのだが…。さて、ここから先はポイントを述べるだけにする。20年近く封印されていたトムの過去とは?トムの驚くべき隠された過去とは?フォガティは何故トムの前に現れたのか?一度は過去と決別したトムが再び過去と向かいあうことはあるのか?エディがトムの口から聞いた驚くべき過去とは?などを中心に公開館は少ないが映画館で是非ご覧下さい。因みにこの映画のプログラムは1000円と高いけど読み応えはあるし、クローネンバーグ監督のファンなら必見です。【鑑賞後の感想】この映画は都内でも公開館が少なく当初は観るべきか迷っていたが、地元の映画館で公開されたのを気に観ることにした。ヴィゴ・モーテンセンは二面性のある主人公トムの過去と現在を上手く演じ分けていた。時には激しく、時にはやさしく、時には家庭人として見本的な生活をする主人公になりきっていた。トムを追い詰めるフォガティ役のエド・ハリスはその特異なメイキャップもそうだが、不気味な雰囲気を見事に醸しだしていた。俳優の演技では上記の二人が印象に残ったが、この映画には暴力的なシーンや血飛沫が派手にスクリーンに映る場面や、トムとエディの激しいセックス・シーンもある。2度のセックス・シーンに関しては展開上意味のある場面なので違和感はないが、最初はエディのコスプレが笑えるし、その反面二度目のシーンは階段を登っていくところで激しく二人が求めあるシーンで、こちらも重大な意味をもっているシーンだ。アメリカ映画は意味もないセックス・シーンが見受けられるが、こうした展開上必要なセックス・シーンなら納得する。最後にこの映画では、幸せな家族の知られざる過去を知った時の妻の不安な気持ちを上手く描いていた。ネタバレになるので書けないが音信不通だった兄弟の気持ちも最後に如何にもと言った感じで描いていた。人には誰にも知られたくない過去を持っているし、それを知らなかった方が良い時だって人間にはある。ましてやおしどり夫婦だったトムとエディにとって、トムの過去は必要だったのか考えさせられた。それは最後のシーンで監督が観客にその解釈を問いかけているように思えた。私はあのシーンの後に、ストール一家の今後を色々考えたがかつての幸せだったころに戻るのは困難だと思いながら映画館を後にした。【自己採点】(10点満点)8.2点。ストーリー展開は特に複雑ではないが、トムの過去にもう少しスポットを当てると良かったかも。人気blogランキングへ満開の桜の写真はこちらでご覧下さい[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Agnetha Faltskog/My Colouring Book2.Toni Braxton/More Than A Woman
2006.04.19
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原題:Syriana(アメリカ)公式HP上映時間:128分監督・脚本:スティーヴン・ギャガン出演:ジョージ・クルーニー(ボブ・バーンズ)、マット・ディモン(ブライアン・ウッドマン)、ジェフリー・ライト(ベネット・ホリディ)、クリス・クーパー(ジミー・ポープ)、ウィリアム・ハート(スタン・ゴフ)、アマンダ・ピート(ジェリー・ウッドマン)、クリストファー・プラマー(ディーン・ホワイティング)【この映画について】この作品が扱っているテーマが中東での石油ビジネスに関連する取引きを中心としていることで、アメリカでも注目を浴びた問題作であり多くの賞を授賞した。その中には今年行われたアカデミー賞で、ジョージ・クルーニーが念願の助演男優賞を授賞している。今では多額のギャラを稼げるクルーニーが友人のマット・ディモンらと共に、破格の安値で出演するほどこの映画の脚本に惚れこんだそうだ。クルーニーは製作総指揮としても携わっており、この映画に賭ける情熱は並々ならないものが伺える。脇を固める俳優陣らも、エゴを捨ててこの映画に出演できるなら役にこだわらないという姿勢で積極的に協力したそうだ。そうしたスター達が惚れこんだ脚本は、複数のストーリーがどこかで絡んで行くと言った展開なのでしっかりとスクリーン上の進行を追っかけていないと理解出来なくなる。日本人にはこうした石油関連ビジネスの概念が掴みづらいが、映画では徹底的なリサーチをしたそうなのでスクリーンを通してそれらを感じることが出来れば良いだろう。【ストーリー(ネタバレなし)】CIAベテラン工作員ボブ・ハーンズはアラビア語など中東の言語にも精通した、現場一筋の人間で2基のミサイルの売買でテヘランに滞在中だった。1基は予定通りの売買であったがもう1基の引渡しに失敗する。中東の某国の石油会社でパキスタン出身の出稼ぎ労働者親子であるワシームとその父は、或る日、経営者側からいきなり石油の採掘権が中国系企業に売買されたと告げられてショックを受けるが、アラビア語を理解出来ない父は事態を飲み込めないが、息子のワシームに教えられてやっと事情を理解できた。採掘権を奪われた米国系企業のコネックス社は、その背後にハマド王の息子で次期国王候補の改革派のナシール王子が契約を仕切り中国系企業に売却した。コネックス社は巻き返しを図るために、新興石油会社のキリーン社との合併を進めることになった。この合併を仕切るのは首都ワシントンの弁護士ベネット・ホリディと彼の所属する法律事務所だった。それは、司法当局より先にキリーン社の不正を発見しコネックス社に有利な条件で合併を働きかけることだった。この事業に成功せうれば、ベネットには大出世の道が開けるため彼も積極的に働いた。ジュネーブでは石油アナリストのブライアン・ウッドマンが、スペイン滞在中のハマド王主催のパーティーに招待されるが息子の誕生日と重なるので渋っていたが、同僚の勧めもあって息子同伴でスペイン入りした。そこでは病気がちの王の後継を狙うナシール王子、次男のメシャール王子も滞在中だった。別荘では石油の利権に群がるアメリカ企業の関係者も顔をだし、アメリカと距離を置いている長男ではなく次男のメシャール王子擁立を密かに画策する。そのパーティー会場で不幸な出来事が起きるが、それは一体...。さて、ここから先はポイントを述べる。パーティー会場で起こった不幸な出来事とは?その出来事と石油ビジネスの関係は?米国企業が画策する次男王子擁立は成功するか?王子擁立の秘策とは?テヘランでミサイル引渡しに失敗したハーンズにCIAから新たに下った指令とは?行方不明のミサイルの行方とその行き先は?キリーン社とコネックス社の合併劇は成功するか?合併劇の裏で暗躍する人物とは?などを中心に今後発売されるDVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】日本人には馴染みの薄い石油ビジネスに関するテーマであり、と同時に中東の王室と米国の石油会社とCIAの裏での暗躍も絡んでくる。こうなると世界情勢を理解しないでこの映画を観ても、この脚本の真意を理解するのは困難になってくる。更に、冒頭でコネックス社に勤めていた出稼ぎ親子の悲劇がラストでとんでもない事態となって繋がってくる。複数のストーリーの糸がどこかで繋がるのか、それを見極めながら真剣に観ないとこの映画は理解出来ないそういう作品だった。通り一遍の中東情勢なら私も理解しているが、こうしてCIAと石油会社が利権を巡って王室の後継者問題にまで口を挟むとなると、これは単なる「石油ビジネス」の話ではない「陰謀」「謀略」「利権」「ビジネス」「暗殺」「宗教」「死生観」「外国語」「内部分裂」など多くのキーワードから成り立っている。ジョージ・クルーニーの2枚目としての役目はここではなく、CIA工作員として外国語に堪能で髭を生やした風貌は、従来の彼のイメージから一歩脱却するのに成功した作品となった。今後の彼の出演作品が楽しみになった。【自己採点】(10点満点)8.8点。硬派なストーリーとG・クルーニーやM・ディモンの演技にも注目したい。これから発売されるであろうDVDで鑑賞される方には、中東情勢を今のうちに勉強して下さい。人気blogランキングへ満開の桜の写真はこちらでご覧下さい[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Randy Goodrum/Fool's Paradise2.Donny Hathaway/These Songs For You,Live!
2006.04.09
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原題:Aeon Flux(アメリカ)公式HP上映時間:93分監督:カリン・クサマ出演:シャーリーズ・セロン(イーオン・フラックス)、マートン・ソーカス(トレバー・グッドチャイルド)、ジョニー・リー・ミラー(オーレン・グッドチャイルド)、ソフィー・オコネドー(シサンドラ)、アメリア・ワーナー(ユナ・フラックス)、フランシス・マクドーマンド(ハンドラー)【この映画について】「モンスター」でアカデミー賞主演女優賞を獲得したシャーリーズ・セロンが、全く違ったフィールドの作品として選んだのが本作だ。元々はMTV短編アニメ映画シリーズとして放送されていたものだ。監督は日系人(苗字から判断すれば)女性のカリン・クサマで、セロンの共演者には「スタンド・アップ」でも一緒だったフランシス・マクドーマンドがセロンへの指令役として登場する。モデル出身のセロンの柔らかい身のこなし、格闘シーンにも注目して観ていただきたい。【ストーリー(ネタバレなし)】2011年に新種のウィルスが人類の99%を死滅させてられ、500万人の生き延びた人々は汚染された外界とは高い壁で隔てられた都市ブレーニャに住む。そこでは戦争も、病気も、飢えもない世界で、君主でありブレーニャを創生した救世主グッドチャイルド家の子孫であるトレバー8世のもと、弟のオーレンとウィルスなどの研究に携わる科学者たちの評議会が都市の機能や秩序を維持する命令を発している。評議会の統治下にあるブレーニャでは不可解な誘拐・行方不明事件が起き市民らに恐怖感を与えていた。そんな中でイーオン・フラックスは、それらの事件の背後には評議会の陰謀があると睨んでいた。そのイーオンには結婚したばかりの妹ユナが唯一の肉親であり、性格の正反対の二人は仲良しだった。そのユナがモニカンの分子と誤って殺害されてから、イーオンは政府への復讐の炎を燃やすのだった。反政府組織モニカンの戦士であるイーオンは、司令塔のハンドラーから組織の綿密な調査の結果、厳重な警備システムの盲点を発見し潜入し「君主のトレバー暗殺」をするように指令を受けた。それはユナ殺害の復讐へのまたとないチャンスだった。イーオンは改造人間のシサンドラとともに政府の中枢である要塞への侵入を試みる。低木植物からの改造武器の攻撃を何とか交しながら建物への潜入を果たしたイーオン。シサンドラを連絡役に残し、一人で潜入したイーオンはトレバーと遂に対峙した。だが、その時、トレバーはイーオンに対し意外な言葉を投げかけイーオンを混乱させた。その混乱の最中にトレバーから与えられたカプセルを服用し、意識を失い施設に収容されるイーオン。トレバーは長年人体実験を秘密裏に行っていて、弟のオーレンはそうした兄の利己的な言動を戒めようと密かに反トレバーの動きを見せていた。カプセルを服用してからイーオンは幻覚を見ることになり、その時みた幻覚から研究室らしき場所を突き止めた。だがそこで思わぬ反撃に会い苦戦の末何とか撃退する。そしてその研究室でイーオンがみた恐るべき計画とは何だったのか?トレバーは再びイーオンの前に現れ、上空を旋回する飛行船の点検を促した。イーオンはその言葉に従い、飛行船から伸びるクラゲの触覚のようなロープを伝い潜入する。一方で、トレバーの身には、反乱を起こした弟オーレンとその同調者が身柄拘束へと動き出した。平和なはずだったブレーニャに、遂に争いが発生した瞬間だった...。さて、ここから先はポイントだけを。トレバーがイーオンに投げかけた言葉とは何だったのか?何故、イーオンは動揺したのか?トレバーの人体実験とは?トレバーの身は安全なのか?飛行船内でイーオンが探し当てた事実とは?ブレーニャに再び平和は訪れるか?などを中心にご覧下さい。【鑑賞後の感想】ストーリーからは典型的なB級映画らしさが滲み出ているのだが、シャーリーズ・セロンやフランシス・マクドーマンドの二人のアカデミー賞女優が出演していることでそうした事を感じさせなかった。セロンの演技の幅を広げるに、今回のようなSFっぽいストーリーはある意味では良いのではないだろうか?セロンの格闘シーンや攻撃を逃れるシーンなどは必見だ!さて映画全体を観た印象としては、モニカンとして要塞に潜入し戦うのが主眼だ。だがその反面、何でそうなったか過去の出来事について語られる場面は少なかった。元々がMTVの短編アニメだったのでそういう必要性がなかったのも理由だろうか?ウィルスで99%も死滅したのだから、そうした恐怖を植えつけるシーンも欲しかった。ラストシーンでトレバーとイーオンが何故か時代を超越するような意味深な場面があるが、なんだかパート2を予感させるようなエンディングでもあった。【自己採点】(10点満点)8.1点。テンポもまあまあ良かった。監督が日系人女性と思われ、そうした影響で桜の木の(気の背丈が低いのは気になったが)下での格闘シーン、番傘をさす女性など日本を感じさせるシーンも随所に観られたので注意して観てもらいたい。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Anita Baker/A Night Of Rapture-Live2.Air Supply/Now And Forever Greatest Hits Live
2006.03.24
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原題:The Chronicles Of Narnia-The Lion,The Witch And The Wardrobe(アメリカ)公式HP上映時間:140分監督:アンドリュー・アダムソン出演:ジョージー・ヘンリー(ルーシー・ぺベンシー)、スキャンダー・ケインズ(エドマンド・ぺベンシー)、アナ・ポップルウェル(スーザン・ぺベンシー)、ティルダ・スウィントン(白い魔女)、リーアム・ニーソン(アスランの声)【この映画について】アイルランド生まれの作家C.S.ルイスの書いた世界規模のベストセラーでもあるファンタジーの傑作「ナルニア国物語」は全7作からなる大作である。1950年に今回の映画化された第1作が出版されてから、7年連続で出版されて世界中の子供達を虜にしてきた。今回の映画化に際してはディズニーが制作し、早くも第2作の映画化も決定している。子供が主役の映画とあって大規模なオーディションで4人の子役達が選ばれたので、子役たちの演技にも注目したい。今年のアカデミー賞では、メイクアップ賞を授賞しているので、子供達の演技と共に架空の動物のメイクや表情にも注目してもらいたい。【ストーリー(ネタバレなし)】第二次大戦下のロンドン、空襲を避けるために疎開する子供達でごった返す駅の中にも四人兄妹のぺベンシー一家とその母親がいた。四人兄妹たちは列車で引き受け先のカーク教授の住む田舎へと向う。だが降りた駅はプラットフォームだけの閑散とした田舎駅で、兄妹たちは降りた時から不安が募る。暫くして出迎えのマクレディ婦人が馬車に乗って来て迎えに来た。婦人は研究に忙しいカーク教授に代わって、大屋敷を取り仕切っているが婦人からすれば歓迎されない子供達だった。遊びたい盛りの子供達にとって、婦人が子供達にきつく言い渡した数々の事を守れる訳はなかった。早速、四人は屋敷内でかくれんぼをすることになった。かくれんぼの最中に末っ子のルーシーは、婦人からその部屋に入るなと言い渡されていた部屋に入った。そこには荘厳な衣装タンスがあり、ルーシーはその中に隠れた。ルーシーが衣装ダンスの中を掻き分けていると、何故だか突如そこの奥に白い雪で覆われた世界がルーシーを待っていた。そこは森の中であり街灯が立っている世界であったが、ルーシーはその時半神半獣のタムナスと出会う。タムナスは純真なルーシーを見て自分の小屋に誘いお茶をご馳走する。だがこの冬の国を支配する女王からは人間を見かけたら捕らえる様に厳命されている。タムナスもそんな女王の命令に背くわけには行かないが、ルーシーと心を通わせたので直ちに彼女を会った場所まで送り届けることにした。無事タンスから部屋に戻ったルーシーだが、ここでの時間と現世の時間の流れ方は違っているのに気が付く。この話を兄妹たちしたが相手にされない。その日の夜中、ルーシーは再び衣装タンスからナルニア国へと入るが、背後には妹の様子を伺っていたエドマンドがいた。エドマンドはそりにのった美しい女性と出会う。その女性はナルニア国の女王と名乗り、この女王こそがタムナスが「白い魔女」と恐れる女王そのものだった。言葉巧みにエドマンドを虜にした女王は、エドマンドに兄妹がいることを知り連れてくれば王にすると言う。再び屋敷に戻った二人はこの話を兄ピーター、姉スーザンにも話す。屋敷の主であるカーク教授は、疑うピーターとスーザンとは違い何かを知っているかの様だった。だがエドマンドは女王に騙されていることを、ルーシーはタムナスから聞いた話しをもとに説明するが彼は聴く耳を持たなかった。この時にエドマンドが女王の居城に走ったことが、この先の三人の兄妹たちの運命を大きく左右するとはこの時は気が付かなかったのは当然だった。エドマンドを取り戻そうとタムナスの小屋に向った三人だったが、既に秘密警察に察知されもぬけの殻だった。落ち込む三人にビーバーの夫婦が助け舟を出し、長い間不在だった伝説の王であるアスランと石舞台で会うべきと知恵を授ける。一方で白い女王はエドマンドが兄妹たちを連れて現れると思っていただけに、一人で来たことに失望し監禁してしまう。石舞台を目指す旅の途中で、三人は100年ぶりに現れたサンタクロースと遭遇する。そこでサンタからピーターに銀の剣と盾、スーザンには弓矢と角笛、ルーシーには万能の薬と短剣を授け、彼らにナルニア国の未来を託した。そして遂に一行はアスランが待つ石舞台へと着いたが、そこには閉ざされた冬の寒さはなく春が広がっていた。三人はアスランと謁見しエドマンドの救出を依頼するが、同時にアスランも三人に託したことがある。アスランは救出が如何に困難であるかを伝えて上で、救出に向けて軍隊を派遣する。そして一行は無事にエドマンドを救出することに成功した。だが、救出を成功させたことは、白い女王からすれば裏切りに過ぎない。そこで白い女王は兵を率いアスランと一対一の話し合いの為にアスランを訪ねた。さて、ここから先は映画の大事な部分なのでポイントだけを書く。アスランと女王との話し合いの中身は?裏切り者エドマンドの処遇はどうなる?ナルニア国の再建をアスランから託されていた兄のピーターはどういう行動にでるのか?他の三人の兄妹たちの運命は?四人は屋敷には戻るのか、それともナルニア国に留まるのか?などに注目しながら映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】この作品が映画化される際に、こうしたベストセラー作品が世界中の子供たちに親しまれていたとは始めて知った。観た第一印象は、どことなく「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズに似ているなと感じた。設定も中身も違うのだが、同じ英国でのファンタジー作品ということとスケールの大きさは似ている。映画化にあたってロケ地をニュージーランドに決めたのも同じ。ライオンがナルニア国を創作し王として君臨するのだが、このアスランなる王は伝説の王ながら「人間的な」情を持っているところにも注目した。人間の子供たちの願いを叶えることが、自分の身に危険を及ぼすことが分かっていながら受諾するところは温かみを感じる。今回は第一作であるが好評につき二作目の映画化も既に決まったそうだ。【自己採点(10点満点)】8.7点。ロード・オブ・ザ・リングとどうしても所々オーバーラップしてしまうのはやむを得ない。今後、この作品がシリーズ化していくとなると、いい意味で今後の展開が楽しみになってくる。アカデミー賞を授賞したメイクや、衣装は注目に値する。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Ned Doheny/Hard Candy2.Celine Dion/Celine Dion
2006.03.22
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原題:Don't Come Knocking(アメリカ)公式HP上映時間:124分監督:ヴィム・ヴェンダース出演:サム・シェパード(ハワード・スペンス)、ジェシカ・ラング(ドリーン)、ティム・ロス(サター)、ガブリエル・マン(アール)、サラ・ポーリー(スカイ)フェアルーザ・バーク(アンバー)、エヴァ・マリー・セイント(ハワードの母)、ジョージ・ケネディ(映画監督)【この映画について】ドイツ出身のヴィム・ヴェンダース監督が、「パリ、テキサス」以来のコンビをサム・シェパードと組むことで話題になった。かつての西部劇スターが撮影中に、撮影時の衣装とを着て馬に乗ったまま蒸発してしまう。この西部劇スターのハワード役に脚本を担当したサム・シェパード自らが演じる。そのハワードの母役にはエヴァ・マリー・セイント、ハワードの見知らぬ娘スカイには「死ぬまでにしたい10のこと」「ドーン・オブ・ザ・デッド」などが印象的なカナダ出身の若手サラ・ポーリー、ハワードのかつての恋人ドリーンにはサム・シェパードの妻でもあるジェシカ・ラングが演じる。ヴィム・ヴェンダース監督作品ではこうした俳優達の演技の他に、ロード・ムービーとしての映像美や音楽にも注目してもらいたい。【ストーリー(ネタバレなし)】ユタ州の砂漠モアブでかつては西部劇のスター俳優だったハワード・スペンスは、この日も映画のロケ撮影現場にいた。監督はハワードと相手女優の演技にイライラさせられながら、大声で檄を飛ばしている。そんなロケの或る日、ハワードは撮影中の休憩時間の合間に撮影時の衣装を着用した中で、馬を駆けて誰も気が付かない中で抜け出してしまう。ハワードはその足で何とかレンタカーと列車を乗り継いで、30年間寄り付かなかった母が住む実家へと向って行った。その頃、撮影所では監督以下が撮影スケジュールに穴が開くという理由で、映画会社が探偵を雇って捜すことになる。ハワードの突如の訪問に驚いた母だが温かく迎えた。そこでハワードは母が自分の記事をスクラップしたノートをみて、思わず胸が熱くなった。そしてその母から、かつての恋人が20年前に訪ねてきたことを知った。その恋人はハワードの子供を出産したので、連絡先を知る為に来たことを知らされた。ハワードは過去の記憶を辿ってモンタナ州のビュートという田舎町にやってきた。そこにはハワードが20年前にロケでこの町に来ていた。その時に知り合った地元レストランのウェイトレスのドリーンと親しくなっていた。そのドリーンを訪ねに来て真っ先に、そのレストランに向った。ドリーンはそこで現在も働いていたが、今ではマネージャー格にまでなっている。ハワードはホテルにチェックイン後、ドリーンのあとを付けて彼女がバーに入った所を付けていった。そこで20年ぶりに再会した二人だったが、そこのバーで歌っていたのはハワードにとっては初対面の「息子」のアールだった。ドリーンがバーから去ってあとを追ったハワードだが、ドリーンは突然の彼の出現に多少戸惑った。バーにとって返した彼は、アールの姿を見つめる。だがこの行為がアールに不審だと思われ、ステージ終了後の駐車場で恋人のアンバーといるときにハワードに絡む。もみ合いになってハワードが車で去ろうとしたとき、彼はアールに自分の息子であることを告げた。ホテルに戻ったアールの元には、翌朝、スカイと名乗る骨壷を抱いた若い女性が訪ねてくる。彼は、スカイを不審者だと勘違いし追い返されるが、彼女はこの時にアールの住所を書いて紙切れを渡した。スカイはホテルに来る前に、アールのアパートを訪ねてハワードは父であることを告げる。混乱したアールは母の働くレストランを訪ねて、ことの真相を詰問する。母は彼が子供のころに話したが忘れていると言ったが、アールは父親が突如出現したことに戸惑いを覚え混乱する。ハワードはアールのアパートを訪ねるが、混乱しているアールは窓から部屋の家財道具などを外に放り投げて手が付けられない。その時外に放り投げられたソファーに座るハワード。するとスカイが再び現れる。その時の会話でスカイも自分の娘だと分かったハワードも混乱する。自分に二人の初対面の子供がいることが分かった彼は、ドリーンの下を訪ねて結婚を申し込む。その時、ドリーンが取った態度は?さてここから先は映画館で観ていただきたいのでポイントだけを書きます。ドリーンが彼から結婚を申し込まれた時に放った言葉とは?スカイがこの町に来た目的とは?撮影から抜け出した彼を探偵のサターは捜すことが出来るか?ハワードと二人の子供の関係はこの先どうなる?以上のポイントを念頭に、上映映画館は限られていますが是非ご覧下さい。【鑑賞後の感想】ヴィム・ヴェンダース監督らしい作品を見せてもらった。「ランド・オブ・プレンティ」もいい映画ではあったが、この作品の方がヴェンダースらしさがより一層出ていた。ヴェンダース作品の特徴でもある、アメリカの原風景を捉えた映像とそれに見事なまでにマッチした音楽がこの作品にはある。所謂ロード・ムービーという奴だ。この作品では、冒頭が砂漠でのロケである場面から始まっているし、そこから抜けだして旅をするという設定からしてロード・ムービーの王道?を行っている。今回はそうした要素に加えて、主人公のハワードが知らない間に二人の子供が言う点にも注目したい。ハワードは或る日急に自分に子供がいたことを知って、戸惑いながらも自分なりに限られた時間で空白の時間を埋めようとしていた。だが20年の空白を埋めるには、2~3日の滞在では余りにも短すぎた。それでも探偵に居場所を突き止められて、撮影現場に連れ戻す前にスカイとアールへ彼が取った行動は20年の空白の一部を埋めることが出来たのだと思う。それにしてもヴェンダース監督は独特の世界観をもっている。その世界観と映像と音楽が見事に一致した作品だった。ただ、敢えて今回の中で難点を言えば、スカイの登場が唐突だったのとスカイとその母親との関係も充分に説明されていなかった点がそうだ。それでもその難点がこの映画の評価を下げることにはならない。【自己採点】(10点満点)9.3点。ヴェンダース監督の良さが凝縮されている。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Peter Gabriel/Secret World Live(2枚組)2.Rolling Stones/No Security
2006.03.17
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原題:Assault On Precinct 13(アメリカ)公式HP上映時間:110分監督:ジャン=フランソワ・リシェ出演:イーサン・ホーク(ジェイク・ローニック)、ローレンス・フィッシュバーン(マリオン・ビショップ)、ガブリエル・バーン(マーカス・デュバル)、ブライアン・デネヒー(ジャスパー・オシェア)、ジョン・レグイザモ(ベック)【この映画について】ジョン・カーペンター監督の本格的な監督デビュー作品であった「要塞警察」(1976)のリメイクであるが、細かい設定は替えてあるそうだ。そうだというのは私はその原作を見ていないので悪しからず。そのカーペンター作は西部劇を現代風に設定を変えているそうだが、今回はフランス人監督が雪のデトロイトの年末という設定にしている。おとり捜査に失敗し同僚2人が死んでトラウマになっている警察署長役をイーサン・ホークが演じる。犯罪組織の大ボスビショップにはローレンス・フィッシュバーン、麻薬中毒で逮捕されたベックには「ランド・オブ・ザ・デッド」での出演が印象的なジョン・レグイザモが演じる。【ストーリー(ネタバレなし)】麻薬取引のおとり捜査に従事していたデトロイト警察のローニックは、仲間と潜入し取引現場で相手と対峙したが相手がローニックの同僚の顔を覚えており銃撃戦の末、同僚と女性警官の二人が射殺された。ローニックはこの件がトラウマとなり13分署の内勤となり、心理カウンセラーのアレックスのカウンセリングを受けていた。アレックスとはカウンセリングを通じて好意を抱いているが、お互いがそのことを言い出せないでいた。事件から8ヵ月後の年末の或る日、雪が激しく降るデトロイト。暗黒街に君臨するボスのビショップは、デトロイト警察内にもネットワークを広げやりたい放題だった。そんな年末になって教会で密会していた警官をミサ中に殺した現行犯でビショップは逮捕される。逮捕したのはマーカス・デュバル率いる組織犯罪対策グループだった。この逮捕劇に動揺したビショップは、弁護士を通じて即刻保釈できるように強く働きかける。しかし年末とあって裁判所が休みに入るために、やむを得ずビショップは他の犯罪者達-麻薬中毒のベック、偽ブランド品販売のプロのスマイリー、女ギャングのアンナと共に激しく雪が降る中を刑務所へ移送することになった。13分署はデトロイトで最古の警察署だが大晦日を最後に閉鎖されることになっている。既に引越し準備も整っており、後は、都市があけるのを待つ状態のなっていた。その13分署に移送中のバスが大雪の為に一時的に13分署に立ち寄ることになった。13分署はローニック、引退を決意しているジャスパー、警察秘書のアイリス、アレックスの四人がいた。凶悪犯を一時的とはいえ預かる事に不安を覚えるローニックは、留置場に監禁する。その不安は的中することになる。2人の覆面男が裏口から侵入しようとしたが、護送バスに乗ってきた警官が射殺された。これを機に署内の空気は一辺し、激しい銃撃戦が展開される。ローニックは何とか外に出て応援を要請しようとするが、不意に一人の男に襲われたが格闘の末に殺す。その際に相手の身分証を奪ってみたら、その男は「警察官」だった。13分署を襲ってきた相手の警察官らの目的は、ビショップの身柄の引渡しだった。ローニックは断固反対するが、ジャスパーは引渡し賛成派だった。だがローニックには警察官が何故ビショップの身柄引渡しを求めるのか、理解出来ないでいた。だが警察署の周囲を包囲されたうえに、通信網まで遮断され孤立した13分署。倉庫からありったけの武器を集め、やむを得ず留置場に監禁していた凶悪犯も「味方」につけて応戦する中にはビショップも含まれていた。さてここから先はポイントを述べる。警察官がビショップ移送を阻もうとしている真の訳は?ローニックは何故引渡しを拒むのか?味方に付けた凶悪犯たちは果してどこまで協力するのか?引渡し賛成派のジャスパーとローニックの関係は?などに注目してご覧下さい。【鑑賞後の感想】ジョン・カーペンターのオリジナルは観ていないので比較は出来ない。吹雪の大晦日の夜に、凶悪犯らを移送中に立ち寄った閉鎖が決定している警察署の内外での出来事が焦点。この設定に関しては文句無いのだが、そこに至るまでの冒頭での教会での警察官殺害だけではチョッと説明不足だ。ビショップと警察官デュバルの関係は、二人の会話で明らかになるが今ひとつ分かりづらい。イーサン・ホークがおとり捜査に失敗して、それがトラウマとなっている事実も上手く生かしきっていない。折角、好材料がありながらそれらを上手く料理出来ていない印象を持った。【自己採点】(10点満点)6.9点13分署での銃撃戦などはそれなりに楽しめた。得点が伸びないのは、材料の整理をもっと工夫すれば得点は8点台に到達しただろう。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Sade/Lovers Live2.Hirth Martinez/I Love To Play For You~Hirth Martinez Live In Japan3.Herb Alpert/Rise
2006.03.14
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原題:Crash(アメリカ)公式HP上映時間:112分監督:ポール・ハギス出演:サンドラ・ブロック(ジーン)、ドン・チードル(グラハム)、マット・ディロン(ライアン巡査)、ジェニファー・エスポジト(リア)、ライアン・フィリップ(ハンセン巡査)、テレンス・ハワード(キャメロン)、クリス・”ルダクリス”・ブリッジス(アンソニー)、ラレンツ・テイト(ピーター)、ブレンダン・フレイザー(リック)【この映画について】人種の坩堝であり差別の横行する大都市ロスでの話だ。ストーリー的にはアフリカ系、中国系、ヒスパニック、白人らが登場し、警官、地方検事、TVディレクター、医師、雑貨店店主、麻薬中毒の母などがそれらのストーリーにどう絡んでいるのかを観てもらいたい。「オーシャンズ12」「ホテル・ルワンダ」などの作品を通じて、いまやその存在感は絶大なものがあるドン・チードルが演じるアフリカ系警部の家庭と職場での悩みをさり気無く表現している。その他には地方検事の妻ジーンを演じるサンドラ・ブロック、人種差別主義のライアン巡査を演じるマット・ディロンにも注目したい。なお、アカデミー賞では作品賞、オリジナル脚本賞、編集賞の3部門で授賞した。特に、作品賞を授賞したのに注目していただきたい。【ストーリー(ネタバレなし)】クリスマスが近付くロスの夜、ロス市警(LAPD)の黒人刑事グラハムと恋人のリアは交通事故に巻き込まれた。グラハムはそれより事故現場の脇の植え込みに若者の死体を発見し、そちらに興味を引かれるのだった。その前日ロス市内では今日も様々な事件やトラブルが起きていた。若い黒人二人組みのアンソニーとピーターは今日も肌の色の違いから来る差別に不満を述べながら歩いていた。ふとしたことから二人はリックとジーンの車を盗むために銃を突きつけた。その二人は盗んだ車で途中中国人を轢いてしまい処置に困り病院の玄関で放置するが、車はその後売ってしまうが野後に別の車を強盗する。ジーンとリックは強盗に入られることを恐れ家中の鍵を交換するが、交換に来たダニエルにもジーンは怯えリックと口論になる。盗難車は直ちに警察に通報されパトロール中のライアンとハンセンが「発見」し追跡した。だがライアンが停めた車は別の車だったが、この時運転していたTVディレクターのキャメロンと妻のクリスティンは、妻が人種差別の激しいライアンから屈辱的な取調べを(ボディ・チェック)を受けたが黙っていたキャメロンを帰宅後激しく詰る。この行為には同僚のハンセンも怒り上司にコンビ解消を直訴した。パートナーは直訴が実り交代するが、ライアンには介護中の父が居る身であり病院へ掛け合ってもたらい回しにされたり相手にされなかったりでストレスが溜まっていた。特に、その中の一人が黒人女性だったために黒人女性に辛く当たっていたのだった。一方、鍵を交換するのが仕事のダニエルはペルシャ移民の経営する雑貨店に出向いていた。この店では過去にも強盗事件があり店主は自己防衛の為に銃を購入するが言葉の行き違いで、銃を購入出来なかったが付き添いの娘の機転で何とか購入できた。強盗侵入対策として鍵交換屋を呼んだが、ダニエルはドアを交換することを進めるが、聞く耳をもたない店主は逆上する。ダニエルには幼い娘がいるが、かつて治安の悪い地区に住んでいたため大きな物音にも敏感に反応する。その後、ダニエルの家には前述の雑貨屋店に再び強盗が入りダニエルの忠告を守らなかったせいで保険金が降りなかったことを逆恨みして押しかけた。口論する二人を心配して娘が飛び出してきたとき、雑貨店主が隠し持っていた銃が火を噴いたがその相手は...。ここから先はポイントを。キャメロンの車は強盗に会うがその相手は?そしてその時の彼の反応は?ライアンは巡回中に車両火災に遭遇するが、その時助け出した相手は一体誰だったか?グラハムの行方不明の弟を溺愛する麻薬中毒の母は彼に捜すように懇願するが、果たしてグラハムは探し当てることは出来るか?冒頭のシーンで若者の死体の身元は?などを中心にご覧下さい。【鑑賞後の感想】「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本を書いたポール・ハギスの初監督作品だったが、見事に隙間のない脚本だった。様々な出来事を一つに纏めながらも、そこに流れるテーマは普遍なので観ていて吸い込まれる感じだった。大都市ロスを通じてアメリカ社会が抱える様々な問題を、コミュニケーション不足という一つのテーマで追いかけた点が素晴らしい。「クラッシュ」とは交通事故や飛行機事故の時に用いる言葉で、「衝突」「激突」「墜落」と言った意味で使われる。映画では確かに交通事故のシーンから始まるので「クラッシュ」なのだが、むしろ「人種間の衝突」と言った意味でハギス監督は使ったと考えられる。ハギス監督はカナダ出身なので、かえって隣国アメリカの悩みを客観的に見つめることが出来たのかもしれない。この映画の映像は全体的に夜がテーマなので暗いが、それがロスという都市をまるで象徴しているかにも思える。全く無駄なシーンがない(ドン・チードルと恋人のラヴ・シーンを除く?)見事な出来栄えだった。【自己採点】(10点満点)9.5点。作品賞を取った作品に低い点を付けることは出来ないが、個人的にはもっとドン・チードルの演技を見たかった。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Babyface/MTV Unplugged NYC 1997 2.Bruce Springsteen/In Concert/MTV Plugged3.Mariah Carey/MTV Unplugged (EP)4.Paul McCartney/Off The Ground:The Complete Works
2006.03.10
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原題:Jarhead(アメリカ)公式HP上映時間:123分監督:サム・メンデス出演:ピーター・サースガード(トロイ)、ジェイク・ギレンホール(スウォフォード)、ジェイミー・フォックス(サイクス三等軍曹)、クリス・クーパー(カジンスキー中佐)【この映画について】この映画は1990年夏の中東戦争に志願兵として参加した、アンソニー・スウォフォードの体験記として全米のベストセラーになった作品の映画化である。その主人公であるスウォフォードを演じているのは、「デイ・アフター・トゥモロウ」で一躍メジャーな人気を得、「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」や3月に公開されるアカデミー賞候補作品「ブロークバック・マウンテン」にも出演している今売り出し中のジェイク・ギレンホール。部隊の上司のサイクス軍曹には「レイ」での演技が素晴らしかったジェイミーフォックスが演じる。【ストーリー(ネタバレなし)】1990年の夏、海兵隊志願兵アンソニー・スウォフォードは湾岸戦争で戦う為にサウジの砂漠に送り込まれる。だが、彼はその前に母国でサイクス三等軍曹の厳しい指導の下で兵士としての訓練を受けていた。彼らに実際に下された指令は、サウジの油田警備だった。孤独な砂漠の中で兵士達は、仮想の訓練に精を出すしかなかった。そこではサイクスが突如として訓練の指示をだす。何時現れるか分からない敵の為に、砂漠で偵察をし手榴弾の投げ方を、想像の地雷原を進む。そんな退屈な生活の中での日課はマス掻き、同僚と女の自慢、故郷への国際電話位しかなかった。或る日、CNNが取材に訪れたが、サイクスはその場でフットボールに興じて砂漠での任務を楽しむ「演技」をして見せるのだった。母からのメッセージを聞く者、ポルノ雑誌が届いて喜ぶ者、子供が生まれたとの朗報が届いた者、だがスウォフォードには彼女からの手紙が届き男友達が出来たことが書かれていて悩む。仲間の兵士の妻から届いた映画「ディア・ハンター」を食堂のTVで観ようと集まった仲間たちだが、テープの冒頭には妻が自宅で浮気している生々しい映像が流れた。X’Masイブの夜、一つの事件が起きた。兵士達には夜警の当番があるが、その日の当番だったスウォフォードは同僚のファーガスに交代してもらっていた。それは上官に内緒でテント内でX'Masパーティーに興じるためだったのだが、ファーガスが夜食を準備中に一瞬目を離した隙に花火に調理中の火が引火し大爆発を起こし、これが原因で酒宴も夜警の交代の件もばれてしまう。スウォフォードはサイクスに汚物処理をバツとして命じられる羽目に陥る。そしてスウォフォードの所属する部隊も遂に出撃命令が下った。隊員らは化学兵器攻撃に備えて錠剤を飲まされた上での出撃だった。だが部隊には過酷な砂漠での行進、味方の誤爆、油田の火災に悩まされることになる。ここから先はポイントを書くことにする。部隊はクウェート国境付近でイラク兵の死体を眼にするが、その時の部隊の反応は?スウォフォードとトロイには管制塔に居る敵将を狙撃せよとの命令が下るが、その直前に二人が受けたもう一つの指令とは?二人は無事に任務を果たし部隊に戻れるのか?母国の自宅に戻る日は来るのか?などを中心に映画館かDVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】湾岸戦争という戦争が舞台の映画ながら、実戦シーンは出てこない。この映画はむしろ戦争に志願兵として参加した、スウォフォードが戦場で感じた海兵隊の現状とでも言えば良いのだろうか?上官であるサイクスの統率する部隊は、戦争をするために中東に来たのだが実際には油田警備という退屈な任務しか与えられなかった。そこでは男の溜まった欲望を晴らすことくらいしか楽しみは無い世界だ。スウォフォードはそこで何を学び、それをこれからの長い人生にどう活かすのだろうか?ストーリーがあるようで無いこの映画から、観客は何を得て製作者は何を訴えたかったのだろうか?【自己採点】(10点満点)7.0点戦争のことより、志願兵らの悩みや望郷の念に注目してみれば良いかな?人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.10CC/The Original Sound Track2.Paul McCartney/Chaos And Creation In The Backyard3.Renaissance/A Song For All Seasons4.Aretha Franklin/So Damn Happy
2006.03.01
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原題:Munich(アメリカ)上映時間:164分監督:スティーヴン・スピールバーグ出演:エリック・バナ(アヴナー)、ダニエル・クレイグ(スティーヴ)、キアラン・ハインズ(カール)、マチュー・カソヴィッツ(ロバート)、ハンス・ジシュラー(ハンス)、ジェフリー・ラッシュ(エフライム)、リン・コーエン(ゴルダ・メイア)【この映画について】トリノ五輪開会中だが、この映画の題材はミュンヘン五輪で実際の起こった話を下に制作された。ユダヤ系アメリカ人のスピールバーグ監督がこの題材を取り上げるには、色々と葛藤があったと思う。作品内では当時の模様を忠実に再現した冒頭のシーンからラストまで、流石と思わせる展開で流れていく。この血生臭い事件を、テロリストに報復する特殊部隊の人間のリーダーの目から見るという視点で追う。エリック・バナ演じるアヴナーの家族と祖国愛に悩む姿が時には痛々しく映る辺りを感じながら観て頂きたい。【ストーリー(ネタバレなし)】時は1972年9月5日未明、夏期五輪が開催されている旧西ドイツのミュンヘン。静まり返った選手村に不気味な英語の喋れない集団が群れていた。その群れはパレスチナ・ゲリラの「ブラック・セプテンバー(黒い9月)」であり、宿敵であるイスラエル選手団目がけて突入し選手やコーチを人質に取る事件が発生した。早速この模様は世界中にテレビ中継されるなか、ドイツ警察の不手際もあり空港移送までの間に人質となった選手・コーチ人全員が死亡した。この事件に激怒したのは時のイスラエル首相ゴルダ・メイア女史は、ゲリラに対し「報復」を宣言し秘密裏に人選に掛かった。父も有名なモサド(イスラエル秘密情報機関)のメンバーだったアヴナーは、一度も人殺しをしたことが無かったモサド隊員だったが首相直々の要請を一晩考えた末に受諾した。アヴナーへの要請は断ることの出来ない要請でありながら、アヴナーの妻が妊娠中でもあり祖国愛と家庭愛の狭間で悩むがリーダーとしてこの任務を請け負う。メイア首相の密命を受けたメンバーはアヴナーをリーダーに、南ア出身で車両のスペシャリストのスティーヴ、後処理のスペシャリストであるカール、元来はおもちゃ職人で手先の器用さを買われたベルギー人のロバートは爆弾のスペシャリストとして、ドイツ系ユダヤ人のハンスは文書偽造のスペシャリスト、以上5人のメンバーがアヴナーの上官エフライムの指示の基でスイスに集合した。エフライムはアヴナーに任務に就く前に、国との関わりを一切否定する文書に署名させ健康保険も取り上げた上で、高給と豊富な資金を提供した。一行は早速襲撃犯の居所を探る為に、情報提供屋であるフランス人のルイを使う。ルイの情報は正確で最初のターゲットをローマで殺害してからは、この謎の人物ルイの情報をフルに使った。順調に次々とターゲットの殺害に成功するメンバーたちだが、欧州での移動の合間を縫ってアヴナーはメンバーには内緒で母国に一時戻る。それは妊娠中の妻の出産に立ち会うためで、妻は夫の任務の詳細は聞かされていない。仕事の合間の束の間の幸せを噛み締めたアヴナーだが、直ぐに任務に戻るがその前に自分の危険な仕事からNY移住の話を切り出すが妻は真意を図りかねている。順調に見えていたメンバー達の仕事だが、徐々に綻びも見え始めてきた。素性の分からない情報屋ルイの利用に疑問を呈するメンバーも出てくる。苦悩するアヴナーはリーダーとしての資質をメンバーから問われ始める。アヴナーは任務に就く際にエフライムにソ連の情報機関を敵に廻さないことと、犯人を追って中東地区に来るなと、一般人を巻き込むなと厳命されている。だがある時その禁を破ることになるが、軍との共同作戦は失敗し一般人の死傷者を多数出してしまう。情報屋ルイの正体とその目的が分かってきたアヴナーは、ルイの父の邸宅に招かれメンバー達が追っている大物がロンドンにいることを知り、同時にルイ父子の正体も掴みはじめる。それまで順調だった殺害計画はロンドンでの失敗を機に、メンバーの士気が低下し始める。今までは一切の失敗も乗り切ってきたが、メンバーが一人一人異なった形で離脱していく。その影響はアヴナーにも現れ、彼は、自分に与えられた任務の遂行と家族愛との狭間で悩むのだが...。さて、ここから先はポイントを書く。離脱していったメンバーの離れ方とは?アヴナーの身にも危険が迫るのか?アヴナーの苦悩とは?危険な任務が完了する日は果たして来るのか?祖国愛と任務遂行で悩むアヴナーが出した答えは?などを中心に映画館でご覧下さい。【鑑賞後の感想】スピールバーグ監督作と言えば昨年公開の「宇宙戦争」はもう一つインパクトに欠けていたが、今回の作品は徹底した秘密主義でこのストーリーの詳細が語られることが無かった。だがこの映画のタイトルと内容が実話も基に制作されたことから、ある程度のストーリー展開は予想できた。だがそれでもこのテーマをユダヤ系アメリカ人のスピールバーグ監督が取り合えたのは、恐らく彼は長年この企画を温めていたのではないだろうか?冒頭に事件の再現シーンを当時の映像を交えながら紹介したのは、この事件を知らない世代などに分かりやすかったと思う。さて164分と長編映画ながら全く長さを感じさせないところに、スピールバーグ監督の非凡さがある。テーマも一貫していて「民族愛」「家族愛」「同士愛」「親子愛」などが語られている。首相の取った「復讐」も広い意味で「民族愛」の範疇に入るだろうが、この解釈には異論もあるだろう。主人公のアヴナーが一般人に戻って、かつての上官であるエフライムと会話を交わすラスト・シーンが何だかある意味で一番印象的だった。【自己採点】(10点満点)9.0点この作品はユダヤ人がパレスチナ人のテロ組織へ復讐するのがテーマだが、パレスチナ人の心情ももう少し描いて欲しかった。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Donald Fagen/The Nightfly2.The Bees Knees/Pure Honey3.The Beatles/Past Masters Vol.14.Bob James & Earl Klugh/Cool5.James Ingram/Greatest Hits:The Power Of Great Music
2006.02.17
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原題:Flightplan(アメリカ)公式HPと特集記事上映時間:98分監督:ロベルト・シュベンケ出演:ジョディ・フォスター(カイル・プラット)、ショーン・ビーン(リッチ機長)、ピーター・サースガード(ジーン・カーソン)、エリカ・クリステンセン(フィオナ)、ケイト・ビーハン(ステファニー)【この映画について】40歳になる前に史上初の2度のアカデミー賞を授賞したジョディ・フォスター主演のパニック映画だ。最新鋭旅客機の機内で娘が行方不明になるが、誰も目撃者がいないというまるでヒッチコック映画のようなストーリー性がある。ジョディ・フォスターの鬼気迫る(迫りすぎ?)母性本能剥き出しの演技、冷静な機長を演じるショーン・ビーン、航空保安官で何故だかカイルを密着マークするピーター・サースガードらの演技にも注目。【ストーリー(ネタバレなし)】最新鋭旅客機設計士の肩書きを持つカイルは、ベルリンの自宅のアパートメントで夫が謎の墜落死を遂げ悲しみに打ちひしがれていた。遺体確認の為に変わり果てた姿の夫と霊安室にて対面したジュリアは、何とか正気を保つのに必死だった。葬儀が済んで明日は棺と一人娘のジュリアと、NYに帰国することになっている。その娘にも母の辛い気持ちが伝染したのか時折不安な表情を見せる。翌朝、迎えのタクシーに乗り込んで空港に向う時ジュリアが未知のNYに行くことに不安を訴えるがなだめて空港へと向った。空港に着いて母がカウンターでチェックインをしていた僅かな隙に、振り返るとジュリアの姿が無いことに気が付きパニックに陥る。ジュリアの姿は近くの売店で直ぐに見つかったが、不安定な精神状態の母は娘を叱ってしまう。この短時間の「失踪劇」はまるでこれから起こる事件を予感させる出来事だった...。親子連れの二人は優先搭乗が認められて一番先に機内に入る。そして機は離陸してNYへと向う。ここ数日の出来事ですっかり疲れていたカイルは、ジュリアとNYでの生活に思いを馳せたあとウトウトと寝てしまう。どの位の時間が経ったか分からないが、ふとマド側の席に目をやるとそこには居るはずのジュリアの姿が見当たらない。気になって夜間飛行の真っ暗な機内をくまなく捜すが、ファーストクラスまで捜しても一向にジュリアの姿はない。徐々に焦りの色が見えるカイルは、乗務員にも協力してもらうが見つからない。他の乗客に行方を尋ねても、誰も子供の姿を見ていないと冷たく言うだけだった。乗務員に機内に乗り込むときに姿を見かけたか尋ねても、あるはずの搭乗半券も、地上の搭乗予約もジュリアの痕跡はそこには一切残されていない。設計士として航空法や機内の様子に人一倍精通していカイルは、コックピットを目指して眼を血走らせながら向った。コックピットのドアを激しく叩くが、機内に乗り合わせていたエア・マーシャル(私服航空保安官)のカーソンに阻止される。航空法を盾にカイルはカーソンに阻止されながらも、何とかリッチ機長と話す。そこで機長は渋々ながら水平飛行中ながら、「座席ベルト着用」サインを点灯させて乗務員一同ジュリアの捜索を始める。だが機内の隅々を、更には荷物室までも危険を冒しながらも捜索したが見つからない。その間にリッチ機長は地上と連絡を取った結果をカイルに伝える。その内容は何と、「ジュリアは既に6日前に夫と共に亡くなっている」との驚愕すべき一言だった。そしてそこにはご丁寧に証明書まで添えられていた。放心状態のカイルだが、機内では「座席ベルト着用」サインの長期化に耐えられない乗客が乗務員やカイルに詰め寄る。放心状態のまま座席に戻ったカイルだが、機内に乗り合わせていたセラピストとの会話でも気は休まらない。だがふとマドから空を眺めている時、カイルは搭乗直後にジュリアと交した会話の一部を思い出した。その時に、ジュリアがある痕跡を残していた...。再度意を決してジュリアの生存を確信して捜索を決意するが、カーソンから手錠をかけられており自由が利かない。そこで彼女が考えた一手とは...。さて、ここから先はポイントだけを記す。果たしてカーソンを欺いて彼女が考えた捜索方法とは?何故、ジュリアの搭乗記録は消えていた?カイルがジュリアの生存を確信した証拠とは?乗務員は何故捜索に消極的だったのか?カーソンは常にカイルを監視するが、その裏には何がある?カイルの夫の死に不審な点があると思っているカイルだが、その根拠は?乗客の中のアラブ人二人組みの関係は?こうした点に注目してご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画のポイントは、ジョディ・フォスター演じる航空機設計士でもあるカイルの強すぎる?母性である。男性には当たり前だが理解出来ないこの「母性」がキーになる。或る日、愛する夫を不審な事故で失い失意のどん底に陥った彼女が、今度は帰国の途の機内で一人娘まで失いかねない事態に陥る。周囲が一人娘の痕跡が無いことを再三再四伝え、諦めるように説得するがそこには「母」でしか分かり得ない「勘」が働いた。だが彼女のこの「勘」は結果的に正しかったのだが、何故かを書くとネタバレになるので書かない。それにしてもこの映画は、母娘の関係がテーマなのだがストーリーのラストの余りにも意外な展開には疑問を感じる。この映画は確かにジョディ・フォスターの強烈な個性(母性)で成り立っているが、何かがありそうなカーソン、何かを隠していそうな女性乗務員、カイルの捜索にウンザリの機長と言った個性的な周囲の役柄やそれを演じる俳優にも拍手を送りたい。【自己採点】(10点満点)9.2点ラストの余りにも意外な展開と終わり方が無ければ、満点に限りなく近付いていた。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Hall And Oates/Best Of Times-Greatest Hits2.Stuff/More Stuff3.Spyro Gyra/Catching The Sun4.The Bliss Band/Dinner With Raoul
2006.02.15
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原題:√Proof(アメリカ)公式HP上映時間:103分監督:ジョン・マッデン出演:グウィネス・パルトロウ(キャサリン)、アンソニー・ホプキンス(ロバート)、ジェイク・ギレンホール(ハル)、ホープ・デイヴィス(クレア)、ゲーリー・ヒューストン(バロウ教授)【この映画について】偉大な数学者だった父を持つキャサリンは、自身にも数学者としての才能を父から受け継ぎその父の死にショックを受ける役柄だ。キャサリンにはグウィネス・パルトロウ、父にはアンソニー・ホプキンスという実力も実績も伴なった俳優が見事な演技を見せてくれる。キャサリンの恋人役ハルには公開中の「ジャーヘッド」にも出演するジェイク・ギレンホール。天才学者の血を色濃く受け継いだ妹と、さっさとNYに出てキャリアを積んでいる姉との対比にも注目して見てもらいたい。【ストーリー(ネタバレなし)】シカゴ大学で数学教師として名高かった父ロバートが亡くなり放心状態の娘のキャサリン。彼女は母に代わり父の世話をしていたが、肝心な姉はNYでキャリアを積み働いていたので妹のキャサリンが全ての面倒を見る羽目になっていた。27歳のキャサリンは晩年に精神的バランスを欠き、それが原因で大学も辞めた。だが数学者としては一流だった父に対して、娘の彼女は研究を再開してもらいたかった。心に空白が出来た彼女を励ましたのが、父の教え子でもあったハルだった。彼は父が残したノートにきっと発見があるはずだと目を輝かせながら語る。その思いの裏には彼のキャサリンへの恋心があったのは事実である。父の葬儀にNYから姉のクレアが来るが、通貨アナリストとして成功している姉はシカゴに長期間滞在するわけには行かない。クレアは財政的援助だけはしていたがシカゴの実家には全く近寄らなかった。そのクレアに対しキャサリンは不満をぶちまけるが、姉はそんな妹の姿を見て父と同じ姿をオーバーラップさせる。それは妹も父が患っていた精神的病に掛かっていると疑うのだった。大学で行われた追悼式で彼女はかつての教え子や友人が、学校を辞めてから全く会いに来なかったことを責めたので場はシーンとなってしまう。そんな彼女を優しく励ますハルと、その日の夜に家で結ばれた。彼女はハルにそっと父の書斎のデスクの鍵を渡す。だがそんな幸せな雰囲気を、何も知らずに起きてきたハルがぶち壊した。さて、ここからはポイントだけに。起きてきたハルは一体妹に何を言ったのか?ハルが書斎から見つけた一冊のノートに書かれた大発見とは?果たして父は本当に精神を病んでいたのか?父の残したノートからハルと姉妹は何を感じたか?キャサリンが真に訴えたかったこととは?以上の点を中心に映画館か今後のDVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】最初の一部分でどのくらいか分からないが寝てしまった。この映画は俳優さんの演技は素晴らしいのだが、ストーリーの展開に何かインパクトが欠けているようにも思えた。父娘の関係が主なのか、キャサリンとハルの中途半端な関係が主なのか、姉妹の微妙な関係なのか判りづらいが父娘の関係が最も時間を割いていたので結局はそれなのだろう。ストーリーは別としてパルトロウは決してシャーリーズ・セロンやアンジェリーナ・ジョリーの様な美貌を売り物にする女優ではないが(でも美人だけどね)、「シルヴィア」や今回見せたような演技に彼女の個性や今後の女優としての更なる可能性を感じた。【自己採点】(10点満点)6.9点俳優の演技だけを取ればもっと点数は良いのだが、ストーリーのマイナス部分と併せるとこういう点数になる。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.10CC/...Meanwhile2.Alzo/Alzo3.Alanis Morissette/Under Rug Swept4.Steve Eaton/Steve Eaton
2006.02.12
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原題:The Legend Of Zorro(アメリカ)公式HP上映時間:126分監督:マーティン・キャンベル出演:アントニオ・バンデラス(ゾロ/アレハンドロ・デ・ラ・ベガ)、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(エレナ・デ・ラ・ベガ)、ルーファス・シーウェル(アルマン伯爵)、ニック・チンランド(ジェイコブ・マクギブンス)、アドリアン・アロンソ(ホアキン・デ・ラ・ベガ)【この映画について】ゾロといえばかつてはフランスの二枚目俳優アラン・ドロンが演じたことで有名な作品でありヒーローだ。今回はスペイン出身のアントニオ・バンデラスがドロンとは違ったゾロ像を演じてくれる。ゾロの妻エレナを売れっ子キャサリン・ゼタ=ジョーンズが演じる。家庭を顧みないゾロに三行半を突きつけ失意のどん底に陥れるのは、現代的なアプローチと言える?正義のヒーローでありながらも、家庭ではどこか頼りない一面をバンデラスが上手く演じ分けている点にも注目して観ていただきたい。【ストーリー(ネタバレなし)】時代は1850年、カリフォルニア州はアメリカ合衆国の31番目の州に編入することへの住民投票を迎えていた。横暴な領主からの重税に苦しんでいた住民等は、アメリカへの編入を熱望していたが支配階級の人間だけはそれを阻止しようと不正を画策していた。住民は民衆の味方である「ゾロ」に何とか支配階級の人間から解放してもらいたいとの思いがあった。一方でアレハンドロはゾロを止めて生まれた子供の為に、家族と一緒にいて欲しいと妻のエレナから強く要望されていた。だが州での投票が終わるまでの3ヶ月待って欲しいとアレハンドロは告げて、妻は激怒し追い出されてしまう。サンマテオでの投票では暴力で富を手に入れようと悪名高いジェイコブ・マクギブンスが手下を率いて妨害に現れた。教会の鐘を鳴らすとゾロが愛馬トルネードに乗ってやってくると知っている住民が鐘を鳴らした。颯爽と出現したゾロはマクギブンス一味を退治し、投票箱は無事に知事の下に届いた。ゾロが投票箱を守った翌日、エレナが息子ホアキンを学校に送りに行ったあと何者かに後を付けられる。必死に路地に逃げて相手を一撃したが、エレナの眼の前にゾロの印である黒い布を突きつけられた。それはゾロの正体をしっているとの無言の圧力で、エレナはこの追ってきた二人組みに協力することになる。エレナに追い出されて帰るとエレナの姿がないことに唖然とするアレハンドロ。その彼の前には第三者から送られてきた離婚手続きの申立書が届く。失意のアレハンドロは酒に溺れ始めるが、そんな彼の姿を見て親友の神父がパーティーに誘った。そのパーティーはフランス人伯爵アルマン卿の館でのワイナリー設立記念のイベントだった。大勢の招待客の前に現れた伯爵の傍らには、何とエレナが微笑んでいた。益々落ち込むアレハンドロは酒に酔い醜態を晒してしまう。アレハンドロは親友のギレルモの土地を奪おうと画策していたマクギブンスが実力行使に出てきた。ゾロとして応援に駆けつけたが、妻子は助けたもののギレルモは射殺されてしまう。ギレルモの土地が狙われた裏には、マクギブンスとアルマン伯爵のある企みが絡んでいたのだった。アルマンの下に走ったエレナは?ここから先はポイントだけ。アルマンにはカリフォルニアである計画を練っていたが、その驚くべき計画とは?何故ギレルモの土地が狙われたのか?エレナを狙った二人組みの意図は?ゾロは再び蘇ることが出来るのか?投票は無事に終わるのか?こうした点に注目して映画館か今後DVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】ゾロといえばアラン・ドロンがかつて演じていたキャラであり、当時見た映画の印象も私の中で残っていた。ドロンのゾロはスマートで格好よかったが、バンデラスは格好よさとどこか人間くささが混じったキャラとして描かれている。家庭に戻れば妻に主導権を奪われているあたりは、現代的な感じが受ける。そのゾロの家庭では息子のホアキンが二代目ゾロとしての可能性を至る所で感じさせていた。学校では先生に反抗し身軽に先生をかわす辺りはゾロ二世だ。妻のエレナ役のキャサリン・ゼタ=ジョーンズは、アクション・シーンがあったり伯爵やゾロを相手に堂々と自己主張をしているあたりの演技は、彼女の従来と違った一面を見れた。【自己採点】(10点満点)8.4点ゾロとしてのアクション・シーンの軽快さと、ストーリー展開上の面白さが出ていた。ロケ映像の美しさも随所に見られた。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Gino Cunico/Gino Cunico2.Gino Vannelli/Brother To Brother3.Paul McCartney/Flaming Pie4.ABBA/ABBA
2006.02.10
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原題:North Country(アメリカ)公式HP上映時間:124分監督:ニキ・カーロ出演:シャーリーズ・セロン(ジョージー・エイムズ)、エル・ピーターソン(カレン・エイムズ)、トーマス・カーティス(サミー・エイムズ)、フランシス・マクドーマンド(グローリー)、ショーン・ビーン(カイル)、ウディ・ハレルソン(ビル・ホワイト)、ジェレミー・レナー(ボビー・シャープ)、シシー・スペイセク(アリス・エイムズ)、リチャード・ジェンキンス(ハンク・エイムズ)【この映画について】「モンスター」で見事アカデミー賞主演女優賞を授賞したシャーリーズ・セロンの主演作として注目された。この作品はシングルマザーが家庭内暴力から実家逃れ、子供を養う為に鉱山で働くが酷いセクハラにあって裁判に訴える女性をセロンが見事に演じている。セロンはこの作品で再びアカデミー賞主演女優賞候補になり、フランシス・マクドーマンドは同賞助演女優賞候補に挙げられている。セクハラ裁判では当初は無関心だった周りの人間が、徐々に彼女を理解しはじめるのでその辺の心理の変化にも注目して観ていただきたい。【ストーリー(ネタバレなし】シングル・マザーのジョージーは14歳の時に学校でレイプされた挙句に、その憎むべき相手の子種を宿してしまい出産してしまう。そんなジョージーは暴力夫から逃げるようにして息子のサミーと娘カレンを連れて、故郷の北ミネソタの実家に車で逃れてきた。父親の違う子供を持つジョージーに対し、保守的な地元民達の視線は冷たかった。父のハンクからも冷たい視線を浴び、母のアリスも夫とよりを戻せと言われる始末。そんな時、その暴力夫が追いかけてきて連れ戻そうとするが、ジョージーの決意は固く夫も諦めざるをなかった。二人の子供を養う為にジョージーは高い給料のもらえる場所で働くこと決意する。その場所とは地元の鉱山での労働で、父のハンクが長年働いている職場でもある。かつては男性労働者の聖域だった鉱山も、今では最高裁の判断で女性にも門戸を開いているが女性労働者は過酷な労働条件もあって僅かであり、かつての男性労働者の聖域でもあったので女性への反発の強さが今でも根強い場所だ。父でさえ娘が鉱山で働くことに反対している。そんな中で病気の夫カイルに代わり長年鉱山で働くグローリーの存在は心強かった。数少ない女性労働者が鉱山で働くには、男性労働者からの常軌を逸した嫌がらせに如何に立ち向かうかが重要だった。一言に嫌がらせと言っても中には犯罪スレスレの行為から、子供じみたいたずら、危うく命を落としそうな嫌がらせなどで精神的にもクタクタになるジョージー達。そして嫌がらせをする男性労働者の中には、かつて学生時代の恋人だったボビー・シャープがいた。彼は鉱山では指導的立場にいて女性労働者を使う立場に居た。ボビーはジョージーが配属された時に真っ先に自分のチームに引き込んだ。ボビーは自分の地位を利用してジョージーをもてあそぶのだった。その嫌がらせはジョージーの二人の子供にも及び始め、アイスホッケー部員だった息子のサミーにも影響がおよび部を止める羽目になった。サミーは徐々に心が荒れてきて、母の目を盗んで喫煙したりする。そして遂にジョージーへの嫌がらせはピークを迎え、切れた彼女は弁護士を辞めようとしているビルに相談し受けてきた嫌がらせに対して裁判に訴える決意を伝えた。さてここから先はポイントだけにとどめておく。弁護士を辞める決意をしていたビルが彼女の依頼を引き受けた訳は?保守的な街でこの裁判に勝ち目はあるのか?孤独な裁判に勝算は?何が彼女をそこまで掻きたてたのか?彼女が女性労働者に同調するように呼びかけたがその時の反応は?街の反応や会社の取った態度とは?こうした点に注目して映画館か発売されるDVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画の原題は「North Country」。これは舞台になったのがミネソタ州の北部であるためにこのタイトルが付いたのだが、邦題の「スタンドアップ」の方がある意味でこの映画の大事な部分を語っている。このストーリーは実際に起こった事件をもとにした話らしいが、分かりやすく言えば度が過ぎた「セクハラ」に対して立ち上がった一人の女性の話した。この映画で描かれているセクハラ・シーンは誇張もあるだろうが、セクハラを通り越して犯罪と言っても過言ではないほど酷いものだ。男性の聖域に入り込んできた女性労働者を徹底的に排除したい守旧派に対し、協調する姿勢を示す一部女性労働者と徹底的に糾弾するジョージーの対照的な姿の描き方は良かった。この対照的な描き方が、最後の法廷シーンにおいても重要な位置を占めていた。それにしてもこれがどこまで実話だったか分からないが、ジョージーの勇気ある行動がセクハラ撲滅の一歩を記したという意味では大きな意味があった。【自己採点】(10点満点)7.6点セロンとマクドーマンドの演技は出色だった。それにしてもこれはセクハラという度を越した男の嫌がらせは、余りにも酷かった。正に女性労働者を性的対象にしか見ていなかったのが良く分かる。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.TLC/Crazysexycool2.Anita Baker/Rapture3.Footloose/Footloose4.Finis Henderson/Finis
2006.02.03
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原題:Bee Season(アメリカ)公式HP上映時間:105分監督:スコット・マッギー、デヴィッド・シーゲル出演:リチャード・ギア(ソール・ナウマン)、ジュリエット・ビノシュ(ミリアム・ナウマン)、マックス・ミンゲラ(アーロン・ナウマン)、フローラ・クロス(イライザ・ナウマン)、ケイト・ボスワース(チャーリ)【この映画について】「Shall We Dance?」で話題をさらったリチャード・ギアが、娘の意外な才能に気が付いたがそこから意外な方向に家族は向っていく。一見仲の良い家族と思われていたのが、夫々がギア扮するソールに反発を覚えていく。全米規模で開催される子供を対象にしたコンテストへの参加をモチーフに、家族のありかたなど考えさせられるテーマをリンクさせている。子役のフローラ・クロスはフランス出身だが英語も堪能で、決して美少女ではないがホンワカとした雰囲気がある。【ストーリー(ネタバレなし)】サンフランシスコの郊外オークランドに住むナウマン一家は仲のいい家族と見られていた。大学で哲学を教えるソール、科学者のミリアム、高校生の兄アーロンは学業優秀、妹イライザの4人家族だ。中でもソールはその明るい性格で家族を引っ張るリーダーのような存在で、ミリアムの帰宅が遅い場合は代わって食事を用意し、子供達の宿題をみたり、兄アーロンの演奏するヴァイオリンの相手としてチェロを演奏する理想的な父親に思えた。そんな家族の中で取り分け特技のないイライザ(通称エリー)は、内心羨ましい気持ちを抱いて見つめていた。そのエリーが「綴り字コンテスト(Spelling Bee)」の校内大会で優勝したことで、ナウマン家は一気に活気づきソールも大いに喜んだ。この後、エリーは地区大会に進出しそこでも圧倒的な強さで制しこの頃からソールの関心は兄から妹へと逆転していく。だがこの逆転がこの後ナウマン家内に亀裂をもたらすことになるとは予想もされなかったに違いない。ソールはエリーの隠れていた才能を伸ばそうと躍起になり、自分の働く大学の図書館に連れて行ったりと付きっ切りになる。この状態を見ている家族は、アーロンが母に偽って偶然知り合ったチャ-リの勧めでクリシュナ教の集会に出かけたり、母は子供の時に両親を眼の前で交通事故で失ったショックから抜け出せなかったりと家族は少しずつバラバラになったきていた。だが、ソールとエリーにはそれに気が付かない...。エリーは州大会も突破し遂に首都で開催される全米大会への出場が決まった。エリーの快進撃に喜ぶソールをよそに、母は娘への思いを素直に伝えられないで悩む。両親の惨い死に方がトラウマとなり、夢遊病者の様な行動を繰り返す。エリーはワシントンでの大会に母を除く家族と旅たった。エリーは父との特訓を通して、言葉のイメージを膨らませて答を導く。そしてその方法は独特の物だった。さて、ここから先はポイントで勘弁してもらいたい。何故、母は全国大会に同行しなかったのか?バラバラになったナウマン家の家族の絆は戻るか?エリーの実力は全国大会でも通じるか?果してその結果は?等に注目して映画館か今後のDVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】この作品は家族の心の問題が主題だが、娘エリーの意外な才能を見出したが為に今まで尊敬を集めていた父が逆に孤立してしまう。宗教に走る兄、トラウマに悩まされて入院する母への対応がごてごてになり焦る父。リチャード・ギアがそうした悩める父を演じるのだが、それはそれなりに演技力を感じさせられた。だが母のトラウマはストーリーの本質とは別のものであり、この部分の脚本に疑問を感じた。兄が新興宗教に走ったのも何だか唐突な気がした。だがエリーが綴りのコンテストを快進撃を続ける部分にスポットをもっと当てた方が良かった。エリーが大人でも難解な綴りを自らのイメージで当てるシーンは、CGを効果的に使っていて分かりやすかった。全国大会の大詰めで「折り紙(Origami)」という綴りを言い当てるのだが、前日の夜に父と練習していた言葉でありその甲斐があったとのシーンは微笑ましかった。でも何で「折り紙」という言葉が選ばれたのだろうか?余談だが家族の配役がフランス人の母と娘、白人の父、メキシコ出身の兄というのは無理があるのでは...【自己採点】(10点満点)7.1点兄と母の悩みのシーンに工夫が欲しかった。人気blogランキングへ[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Whitney Houston/I'm Your Baby Tonight2.Deniece Williams/When Love Comes Calling3.Dara Sedaka/I'm Your Girl Friend4.Dwayne Ford/Needless Freaking
2006.02.01
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人気blogランキングへ原題:Lord Of War(アメリカ)公式HP上映時間:122分監督:アンドリュー・二コル出演:ニコラス・ケイジ(ユーリー・オルロフ)、イーサン・ホーク(ジャック・バレンタイン)、ジャレッド・レト(ヴィタリー・オルロフ)、ブリジット・モイナハン(エヴァ・フォンテーン)、イアン・ホルム(シメオン・ワイズ)【この映画について】ウクライナ出身でNY在住の偽ユダヤ系移民の武器商人ユーリー役を、ニコラス・ケイジがテンポ良く演じる作品だ。そこに彼を追うインターポール(国際刑事機構)のジャック、武器商人の先輩ワイズ、リベリアの大統領、叔父、弟等が絡みながらも映画はひたすらユーリーの武器商人としての生涯を追い続ける。実在の5人の武器商人のキャラクターを統合したのがユーリーであり、ニコラス・ケイジならではのキャラで陰湿にならないのは流石だ。弟との性格の違いも感じて観て欲しい。【ストーリー(ネタバレなし)】NYのブライトン・ビーチでレストランを開業しているオルロフ一家は、ウクライナから移住してきた偽ユダヤ系一家である。偽と言うのはユダヤ系だと審査が緩いからで、特に父はNYに移住してきてからはユダヤ系であると偽りとおす為にユダヤ教に改宗しユダヤ教会(シナゴーグ)にも通う。そんな父を見る母は冷たい。レストランは何時もガラガラでユーリーの弟ヴィタリーが厨房を担当し、美味しくないユダヤ料理をメニューに出している。ユーリーには学校時代からの憧れの美女エヴァの存在がまぶしかった。そのエヴァは今ではトップモデルとして超売れっ子だ。オルロフ一家が住む辺りはロシアからの移民が集中する場所でもあり、或る日、ロシア料理屋に入って行ったユーリーはその場でロシア・ギャングの一団が入ってきて凄まじい銃撃戦が始まった。結果的に、店側の人間が(これもギャングの一味)素早く反応し反撃し一団は壊滅された。辛くも生き延びたユーリーにとって、この日の出来事がその後の人生を変える転機となった。この日の出来事を弟のヴィタリーに興奮気味に話、レストランで食事を提供するように、自分は武器を必要とする人たちに供給すると言い出す。一人で武器調達は出来ないので、身内の協力が必要と説き安っぽい食事を作らないで一緒に武器商人をやろうと説き伏せた。武器商人になるには武器を知ることが第一と思ったユーリーは、まずは武器の特徴を頭に叩き込む。ユーリーは武器を調達するには国際見本市で顔を売るのが大事だと思い、世界の見本市に顔をだし売り込む。そこで、大物武器商人として名が通ったワイズに接触するが相手にされなかった。ユーリーは独自の手法で先手を打ち、手始めに南米の紛争地へ武器を売り込む。だがこの時に連れ立っていた弟が、麻薬に溺れてしまう。弟は自分がこの商売に向いていないと悟り溺れてしまい、ユーリーは泣く泣く彼をリハビリ施設に入れて一人で仕事をこなすことになった。商売が順調に進み今では大金を自由に操るユーリーは、少年時代からの憧れであったエヴァを手に入れるべく大芝居を打った。カリブのリゾート地で撮影が中止になった彼女の為に、国際輸送会社のオーナーとの触れ込みで彼女をマイアミに届ける。しかし、これは彼が巧に全てを仕掛けた芝居だった。こうして憧れのエヴァと結婚し子供も出来たが、彼女はユーリーの裏の顔を知らない。飛ぶ鳥を落とす勢いを得たユーリーは、世界の情勢を瞬時に把握し裏の組織、政府要人らに深く食い込んでいる。故郷のウクライナでは軍幹部の叔父に話をし輸出不可能な武器の調達にまで成功。だがこの過程で勝つては相手にされなかったワイズの先を越したが、彼の策略で叔父が爆殺されるという苦い体験もした。このユーリーの法スレスレの武器密輸を快く思わないのが、インターポールのジャックだ。再三再四追い込むものの尻尾を捕まれる前に逃げてきた。ジャックの執念の捜査が実り、ユーリーの顧客西アフリカの暴君アンドレ・バプティストとの取引を邪魔しにきた。更に、ジャックはユーリーを追い詰める手段として妻エヴァの下をユーリーが不在の間に訪ねる。ユーリーの裏の顔を知らないエヴァが始めて知ってしまった秘密。エヴァはユーリーに仕事を止めるように迫るが、それは弟ヴィタリーが心配していた事態でもあった。さて、ここから先はポイントだけを書く。リハビリ施設に入っていた弟の今後の運命は?エヴァの懇願にユーリーはどう反応する?ユーリーはこの商売から身を引けるのか?ユーリーを頼る西アフリカの暴君の不気味な影がユーリーに迫るが...?まだまだこの映画の核心ポイントはあるのだが、これを全て書くわけには行かないので映画館かDVDでご覧下さい。【鑑賞後の感想】この映画は冒頭のシーンからラストまで、ニコラス・ケイジの個性を上手く利用した。冒頭では弾薬が製造される過程からそれが紛争地に到達し、弾薬が発せられて相手を死に至らせるまでを弾薬の視点で追っていく。そこに薬莢(やっきょう)が無数の転がる無機質な場所に、ケイジが立ち自説を述べる。ラストではケイジが取調べ中に発した言葉どおりの場面に遭遇する。この冒頭とラストが見事にはまっているので、ストーリーも単純ながら楽しめる原因となっていた。ケイジの軽妙なトークや、変わり身の早さ、語学の達人ぶり、身内への熱い思い、家族の大切さがストーリーを通じて随所に盛り込まれている。このキャラは実在の5人の武器商人のエピソードなどを一つにしたそうだ。ケイジをユーリー役に起用したのは正解だろう。それと脚本が良かったので、彼の個性と上手く絡んでこの映画が出来上がったのだと思う。一つの事件を深く追わずに、次々に展開を変えたのが良かった。最初からラストまで時間を感じさせずに、一気に観れた娯楽映画だった。【自己採点】(10点満点)9.0点ニコラス・ケイジの個性と脚本の良さが一体化していた。[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Ray Kennedy/Ray Kennedy2.Robert Byrne/Blame It On The Night3.Ringo Starr/Ringo4.David Batteau/Happy In Hollywood
2006.01.13
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人気blogランキングへ原題:King Kong(アメリカ)上映時間:188分監督:ピーター・ジャクソン出演:ナオミ・ワッツ(アン・ダーロー)、ジャック・ブラック(カール・デナム)、エイドリアン・ブロディ(ジャック・ドリスコル)、トーマス・クレッチマン(イングルホーン船長)、コリン・ハンクス(プレストン)、アンディ・サーキス(コング)【この映画について】1933年にオリジナル版が制作された「キング・コング」に長年憧れていた一人の監督がいた。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの監督としてアカデミー賞を総なめにしたピーター・ジャクソンが、今回の作品の監督を担当している。技術の進歩でCGをタップリ使ってコングや恐竜の動きをよりリアルに描いている点にも注目したい。主役のアン・ダーロー役には「21グラム」「ザ・リング2」などで売り出し中のナオミ・ワッツ、アンが尊敬する脚本家ジャック・ドリスコルに「戦場のピアニストにて史上最年少の最優秀主演男優賞を受賞したエイドリアン・ブロディ、「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラックは貪欲な映画監督デナム役を演じている。アカデミー賞では音響賞、音響賞編集賞、視覚効果賞の3部門で授賞した。【ストーリー(ネタバレなし)】大恐慌時代の1933年のニューヨークの街中は失業者で溢れている。そんな中に失業中の女優アン・ダーローも含まれていた。彼女は役をもらおうとオーディションを受けたりするものの、騙されそうになって売春をすすめられる有様。仲間と出演していた演劇小屋も突如閉鎖になり、途方に暮れるアン。失意の仲間は故郷に帰る者を含めて様々だが、仲間の一人が新進劇作家のジャック・ドリスコルのオーディションを受けるように勧める。ドリスコルに憧れているアンだが、今までの苦い経験から踏み切れない。映画監督のデナムは出資者への試写会で更なる出資を募るべく、現在撮影中の企画の素晴らしさを説く。デナムは映画のロケ地を地図にも海図にも載っていない「スカル・アイランド(髑髏(ドクロ)島)」で挙行すると宣言し、出資者に強く出資を持ちかけるが制作は中止と宣言される。納得出来ないデナムは助手のプレストンに命じて、直ちに準備中だった船に出航に向けて用意するように要請する。デナムはその間に降板してしまった主演女優を見つける必要があった。偶然にニューヨークの街中でアンを眼にしたデナムは主演女優にと口説く。降板した女優が着用していた衣装ともサイズがあうと分かり、熱心に出演を路上で要請する。過去に騙された経験から乗り気じゃないアンだったが、脚本がジャックによるものだと知るとそれが決め手になり要請を受諾する。早速、ロケの髑髏島へ出航するために港へ向う。そこでは脚本の依頼を断る積りで来ていたジャックもいた。制作中止を聞きつけて出航差し止めにきた警察ともみ合いになりながらも辛くも出航することになったが、ジャックもこの騒動に巻き込まれて船に乗ってしまう。行き先を知るのはデナムとイングルホーン船長だったが、船内では撮影が順調に進みジャックも成り行きで脚本を書くことになった。紆余曲折の末に島の近くまで来るが乗船者や船長からも引き上げ論が出始める。そんな或る日、深い霧と嵐に翻弄された船だが座礁しついた場所が髑髏島だった。不気味静まり返る切り立った島が姿を現し始める。ボートで上陸しデナムは早速この島でロケをと意気込む。だが上陸した一行を待ち受けていたのは、ニューヨークとは想像も付かないほど地球文明とかけ離れた文明と地形を持つ恐怖の島だった。一行は上陸後まもなく髑髏が並ぶ島で島民を発見して近付く。何とか言葉でコンタクトを取るにも、相手は警戒しているのでダメだった。一行は襲撃してきた島民に捕まり、何とアンは磔にされて生贄にされる寸前の状態になった。船に残った一行が上陸し助けに出るが、深い森に覆われた島で自由がきかない。生贄になる寸前に巨大な島民たちが「トレ・コング」と呼ぶ獣にさらわれた直後だった。さらわれたアンを救出に向った一行だが、何とその途中で恐竜の群れに遭遇し落命するものも出現。なす術もなく逃げまくる一行にはアンは既に絶望だという空気が支配していた。アンはコングの餌食になる寸前だったものの、何故かコングはアンに手を出さない。コングが隠れ家で夕日を眺めている間に寝てしまい、アンはコングの掌でこちらも寝ていた。そこに現れたジャックが小声で声を掛けてアンを救出する。そして命からがら生き残った数名の一行はデナムの発案により、このコングを生け捕りにすることを決意した。何とかワナにかけたコングをニューヨークに連れて帰ることになった。ニューヨークに戻った一行には「世界8番目の驚異」と銘打って、公演でデナム主催のショウで大いに注目を浴びることになった。ショウは自分たちが如何にしてコングを生け捕りにしたかだった。だが肝心のアンは乗り気ではなく別のショウに出演するのだった。さてここからラストまでは核心に入るのでポイントだけで勘弁していただく。アンは何故主役を演じるのを拒否したのか?一方のコングはこのショウでどういう扱いを受けたのか?ニューヨーク市民の反応は?マスコミの注目度は?キング・コングとしてショウの出し物にされたコングだが、この後どういう行動に出て行ったのか?あの有名なエンパイア・ステート・ビルに登るシーンまでの過程は?ジャックとアンの関係はどうなる?こうした点に注目して観ていただきたい。【鑑賞後の感想】私はTVでも昔の作品は観ていないので純粋に始めて見る感覚で観にいった。まず3時間超の作品であったが中だるみは多少あるがさほど感じさせなかった。恐竜が疾走するシーンや、恐竜とコングの決闘はCGだろうがこの辺はストーリー的に必要だったのだろうか?ただこのシーンが後のNYでのラストシーンに繋がってくるのは、その時は分からなかったので結果的に重要な?シーンでもある。ネタバレになるので書けない部分もあるが、コングがアンに心を開いた?のが結果としてコングを破滅に導くことになるのは可哀想な気もする。絶海の孤島に原始さながらの環境で生活していたコングが、NYという都会に連れられてきて何を思い感じたのだろうか?NYに連れられて時点で、まさか自分の末路を予想できなかったに違いない。勝手に?島にやってきた強欲なデナムを筆頭とする連中のせいで自分の運命を変えられてしまったコング。それと引き換えに?アンという人間の美女との交流で得たのは何だったのか?ラストシーンでコングがアンを見つめて時の巨大な身体に宿る小さな瞳が何かを語りかけていた。言葉の交流が出来なかった二人だが、確実にコングはあの時に瞳で何かをアンに訴えかけたかったのだと思う?しかしそれは何?となると…知る由もない。【自己採点】(10点満点)8.7点細かい点で疑問点が残った。映画は矛盾点を追求したら成立しないが、あの巨大な身体をどういう風にして小さい船に乗せてきてNYに連れてきたのか?それが一番かな?まあ、どうでもいい疑問ですが。[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━1.Lionel Richie/Louder Than Words2.Lee Ritenour & Larry Carlton/Larry & Lee3.Marc Jordan/A Whole In The Wall4.Michael Bolton/Time,Love & Tenderness
2006.01.06
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人気blogランキングへ原題:Mr.&Mrs.Smith(アメリカ)公式HP上映時間:118分監督:ダグ・リーマン出演:ブラッド・ピット(ジョン・スミス)、アンジェリーナ・ジョリー(ジェーン・スミス)、ヴィンス・ヴォーン(エディ)、ケリー・ワシントン(ジャスミン)、アダム・ブロディ(ベンジャミン・ダンズ)【この映画について】ハリウッドを代表する俳優二人が夫婦を演じることで注目を浴びた作品。そして実生活でも離婚して一人身の二人が、ゴシップ紙を賑わせている。秘密組織に属していることを隠して夫婦になった二人が、倦怠期を迎えて二人でカウンセリングを受けるという設定で始まり終わる。出会いも偶然ながら謎に満ちているという設定は、如何にもハリウッド映画らしいのでラストまで行き着く暇なく楽しめる作品である。【ストーリー(ネタバレなし)】夫婦で倦怠期を乗り切るためのカウンセリングを受けにきたスミス夫妻。そこで出会いから夫婦としての実生活に踏み込んだ点までも、カウンセラーが遠慮なく質問する。そこで語られる出会いからして普通ではないが、二人の質問への答えも微妙に食い違う。政情不安定な南米コロンビアの首都ボゴタで、ジョンは建設業者としてジェーンはコンピューター・プログラマーの身分で一人旅をする身だった。滞在先のホテルで、政府軍が不審な個人旅行者を調べに押し入ってきた。偶然ロビーのバーにいたジョンは、この出来事に咄嗟に反応した。この様子をホテルに戻ってきてロビーの玄関で眺めていたジェーンを見て、二人で旅行していると言って乗り切った。これを機に一気に仲良くなった二人は勢いで結婚する。周囲の猛反対を振り切って帰国後結婚した二人だが、その素顔の裏にはお互いが知らない世界が広がっていた。それもお互いがライバル視する秘密組織に属していたとはこの時点では知らなかったのだが…。実は二人とも凄腕の殺し屋であり、厳しい掟の中でこれまで生きてきた。そしてとある週末もお互いの素性を隠したまま別々の「仕事先」に向うのだった。夫々の組織が偶然にも一人の男を追っていた。その男はメキシコ国境から護送される間の砂漠地帯で始末する手筈だった。ところが驚いたことに、その男を処理するのはスミス夫妻だった。とんだ邪魔が入りターゲットを逃がした二人だが、組織の掟で逃がしたターゲットは48時間以内に処理することになっている。ジェーンはオフィスに戻りコンピューターでその邪魔者を解析した結果、それは夫のジョンであることに気付いた。たとえ相手が夫であり妻であっても組織の掟は守らないと、次は自分がターゲットになる。ジョンも相手を探りに出るが、その過程で判明してビルに入るとそこは妻が働く会社だった。始めて自分の妻の素性を知ったジョンは驚く。組織の掟で双方は夫婦と言へどもターゲットとして抹殺しなければならない。それに気が付いた二人は、自分らの愛の巣も戦場と化すことになった。お互いが自宅の秘密の場所に武器の数々を秘匿していた。これを取りに戻るとすでに相手に察知されて、早速愛の巣で壮絶な銃撃戦が展開された。ジョンの下で働くエディもこの事実に気が付き、ジョンに協力することになるがエディも一方で組織の一員としての任務もある。ジェーンの事務所に潜入したジョンは、ジェーンの事務所のジャスミンに発見される。ジャスミンもジェーンにこれ以上協力出来ないと告げられてしまう。こうなったらどちらか二人が亡くなるまでバトルは続くことになる。だが、このバトルを仕掛けた組織が存在したがそれは?ここから先は映画の核心に入るのでポイントだけを掻い摘んで述べる。対立する組織同士が何故同じターゲットを追っていたのか?ターゲットの人物が吐いた驚くべき計画とは?壮絶な「夫婦喧嘩」に終りは来るのか?倦怠期は乗り切れるか?こうした点に注目して映画館かDVDで楽しんでもらいたい。【鑑賞後の感想】ハリウッド映画の醍醐味と娯楽性が詰った作品だ。夫婦が素性を隠して結婚したが、実は殺人秘密組織に属する腕利きの暗殺要因だったとの設定が面白い。それを冒頭とラストでカウンセリングのインタビューで挟むというスタイルも粋だ。インタビューがまるで本物の夫婦が受けているかのように感じるのも、観ているファンには楽しめる。実際に付き合っている二人なのでそうしたオーラが無意識のうちに出ているのかな?二人の超売れっ子スターによる壮絶なバトル・シーンはこの映画の最大の売りだ。延々と続くバトル・シーンの合間にも、二人の軽妙なジョークが挿入されるので飽きずにラストまで一気に楽しめる。2時間弱の上映時間全般に展開されるハリウッド・ワールドを堪能した。【自己採点】(10点満点)9.2点ストーリー展開的にも組織の陰謀があってハラハラする辺りは良かった。二人の俳優の華やかさも含めて楽しめた。[今日の主なBGM]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.Laurence Juber/LJ Plays The Beatles!2.The Joe Chemay Band/The Ripper The Finer3.Keane/Keane4.Kenny Loggins/Nightwatch5.Kelly Clarkson/Thankful
2006.01.04
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人気blogランキングへ原題:Harry Potter and the Gobret of Fire(アメリカ) 公式HP上映時間:157分監督:マイク・ニューウェル出演:ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター)、エマ・ワトソン(ハーマイオニ)、ルパート・グリント(ロン・ウィーズリー)、マギー・スミス(マクゴナガル先生)、レイフ・ファインズ(ヴォルデモート卿)、ケイティ・ラング(チョウ・チャン)、スタニスラフ・アイエネフスキー(ヴィクトール・クラム)、マイケル・ガンボン(アルバス・ダンブルドア)【この映画について】今回でシリーズ4作目となるが、このシリーズは7作あると言われているので丁度中間の作品である。第1作目ではまだ少年少女だった出演俳優たちも、すっかり大人の雰囲気が漂ってきた。今回の作品ではハリー・ポッターが年齢制限を飛び越して魔法学校の代表に選ばれるので、他の子供達の出番は少ない。逆に言えばその分だけハリー・ポッターに焦点が当てられた作品でもある。4作目の今回は子供達の成長とともに微妙な心理の変化も見られるので、そうした点にも注目して観たらいいだろう。【ストーリー(ネタバレなし)】ハリーの額にある傷は、何か不吉なことが起きる前に必ず傷む。クィディッチ・ワールドカップに、ロンとハーマイオニと出かける前にもその傷が疼き始め不吉な前触れを感じているハリーだった。競技会は大盛況でハリーたちも楽しんだが、邪悪なヴォルデモート卿の登場を意味するサインが上空に現れる。ハリーら一行もこの騒ぎに巻き込まれるが、辛くも逃げ切る。ホグワーツ魔法魔術学校に戻ってきた三人だったが、ダンブルドア校長はホグワーツ主催の「三大魔法学校対校試合」を行うと宣言した。この対抗試合はお互いの魔法の技術向上の為であると宣言する。夫々の学校から代表者を選抜し優勝杯を争うことになったが、ホグワーツから誰を出すかで論議が。ボーバトン、ダームストラングの2校の生徒達がホグワーツに現れ後はホグワーツのメンバーを確定するだけとなった。出場資格があるのは17歳以上の生徒でハリーたちは誰が選ばれるか見守っていた。メンバーは4人で魔法の木杯「炎のゴブレット」が次々とメンバーを選び、4人目には何と14歳のハリー・ポッターが選ばれた。しかしこの選考の影で大きな力が動いてのをこの時のハリーは知る由もない。炎のゴブレットの指名は絶対であり、辞退することは許されない。ただダンブルドア校長だけは、新任教師の「マッドーアイ・ムーディ」が怪しいと見ていたのだったが...。この決定を快く思わないのは親友のロンも例外ではなかった。だが決まった以上は3つの課題克服へ向けて頑張らなければならないが、課題の前に主催者ホグワーツによる舞踏会でのダンスパートナー探しに躍起になる。授業中や休憩時間中にも、誰をパートナーに選ぶかで頭を悩ます三人。この時、ロンの心無い一言がハーマイオニを傷つける。ロンはハーマイオニが密かに抱いている気持ちに無頓着だった。結局ハーマイオニはクラムをパートナーに選ぶ。ロンとハリーはパートナーが決まらない。ハリーはチョウ・チャンに声を掛けるが既にパートナーは決定済みと言われて落ち込む。結局舞踏会開始直前に何とか意中ではない相手をパートナーと組むことになる。気のないダンスをパートナーに責められてまたまた落ち込む二人。そして対抗試合の幕は切って落とされる。ハリーらホグワーツ学校は多少出遅れたものの確実に課題を克服していった。順調に次ぎの課題へと向っている間にも、ハリーに対する陰謀は影で動いていたのだが...。さて、ここから先は核心に迫るのでポイントを挙げるだけにする。ハリーへのワナを影で操っている奴とは?謎の新任教師の正体とは?ヴォルデモート卿は完全復活するのか?ハリーの両親の死を巡る謎とヴォルデモート卿との関係は?魔法学校の対抗戦でホグワーツは優勝できるか?ハーマイオニとロンの意外な関係は?などに注目して映画館で是非ご覧下さい。【鑑賞後の感想】ハリー・ポッター・シリーズは7作目まで用意されているそうで、その中間に当たる4作目が今回の作品。正直に言って第1作目と第2作目の時に観たような感動は得られなかった。原因としては演じてきた子役が役に慣れてきたのと、それに伴ない年齢を重ねてきたことか?仕掛けやCGにも目新しい場面は少なかったので、5作目以降はこうした点を解消しないとマンネリ化が心配だ。そうした点を除いて考えれば、画面を観ていればそれなりに楽しめるのも事実だからリラックスして観ればいいと思う。余り映画に細かい矛盾点や批評を加えるのは好きでないし、要は「楽しめれば」それで良いのだ。ハーマイオニとロン、ハリーとチョウ・チャンの関係を次回にどう膨らませるか、それとも今回登場シーンが少なかったドラコ・マルフォイの巻き返し、新キャラの登場?辺りに次回以降は注目したい。【自己採点】(10点満点)6点/採点が厳しいのは感想で述べたとおり。次回以降の巻き返しを期待したい。
2005.12.28
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