日本語で話そう

May 10, 2010
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カテゴリ: ブータン

プナカ・ゾンで幻想的な時間を過ごした後、私達はバンでさらにモ・チュ(川)岸を遡って行く。超高級ホテルでおやつを食べるために・・・。

シンガポール資本(飛行機の中でゼンダさんに教えられた)のアマン・コラはブータンの街から離れた林や田んぼの中にに6箇所のロッジタイプのリゾートホテルを持っている。非日常をヨーロッパやアメリカのお金持ちがこの神秘の国で過ごそうというものだ。一泊10万はするというそれがどんなものか見て見たいじゃないか、とすぐ乗る我らなのである。

途中1mほど下の畑にトラクターが落っこちていた。「置いてあるんじゃない?」「いや、落っこちているんだと思う。人はいないけれど・・・。」

モ・チュ(川)の脇で車を乗り捨て運転手のソナムさんを置いてつり橋でモチュを渡る。コウタさん、揺らさない揺らさない!

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橋の向こうにはディズニーランドの屋根付きゴーカートのような車が待っていた。猛スピードで田んぼのあぜ道をゴー。田んぼの真ん中、川を見下ろす絶景にアマン・コラ ホテルが有った。

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ブータンに有ってブータンじゃない世界。アマン・コラのカフェで私が頼んだのはそば粉のガレット(クレープ)。そば粉から挽いているんじゃないかと思うほど、かなり時間が経って出て来たそれは、多分東京のリッツやマンダリンと変わらないだろう。

「全員の料理が出来ないと出さないんじゃない?」「そうかもね」この予想は当たっていた。他のどのレストランでも全部の料理がいっせいに出てくるのだった。

それぞれ注文ののスウィーツとコーヒーを飲む。寄ってくるハエを追う。超高級でもここはブータン、ハエはいる。

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駄目だ、ここではブータンを知ることなど出来ない。金持ち大国の傲慢さしか感じられない。ここの宿泊客は、ブータンに何を求めているのだろうか?バリやモルジブと同じ感覚を求めてくるのだろうか。

少しでも旅行費を安く上げようと苦労しているアサミちゃんが、つぶやいた「3日分のみんなの夕食が1回で吹っ飛んだ」

それでも毎回の辛い料理に苦戦していた私達は、甘いものでお腹いっぱいになってまたゴーカート、つり橋の順に車に帰る。

「ムサシさんの実家が近くで、ムサシさんが見せてくれるというけれど、行く?」

「もちろん!」

周りに民家がぽつんぽつんとしか見えない田舎の風景の中、日没間際で暗くなりかかる道がこれ以上細くはならないだろうと思われる頃、停車。またしても川岸に車を置いてつり橋を渡る。

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田んぼのあぜ道、石がゴロゴロの山道をどんどん登っていく。

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馬もいる、山の上にはチョルテン

日が落ちる、あたりが暗くなり、足元がおぼつかない。山の上のチョルテンに灯が灯る。

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写真は明るく画像処理してあるが、実際はすごく暗くて良く見えない。

やっと着いたと思ったら隣の家だった。それからさらに暗がりを進む。橋からかれこれ30分も登った頃、ムサシさんの実家に着いた。  

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暗がりの中から家畜の牛達の興味深々な視線を感じる。

はしご段を上がると、2階が玄関、暗がりに犬とおじいさんが座っていた。

「クズザンポー ラ」と私が声を掛けるとおじいさんが「クズザンポー ラ(こんにちは)」と答えてくれた。

靴を脱ごうとするとそのまま入れという。家族の靴は脱いでおいてあるのに、ムサシさんも靴を履いたままで、そのままで良いと言う。私達のために気を使ってムサシさんまで靴を脱がない。

居間のソファーに皆は掛けられないので、私とコウタさんとムサシさんは置いて有ったベットに腰掛けた。

お母さんがバター茶を振舞ってくれた。皆、おっかなびっくり飲んでいる。「駄目だ」と言う。私はまたいつもの癖で、せっかく出してくれたものだからと全部飲み干したがこれがその後の民家訪問第2弾の命運を大きく分けることになるのだった。

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お母さんはお茶請けに「ザウ」という伝統的な米を炒ったお菓子を出してくれた。

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家の中で1番立派な仏間を見せてもらい。この家に住んでいる家族全員と記念写真を撮って、それぞれがお土産にもらったザウを持って外に出ると、街灯も町の明かりも一切ない暗闇が待っていた。山の上に灯がともされたチョルテンの明かりのみが、ここが人の住む世界だと教えているのだった。

「どうやって帰るの?」

そう、川までいくつかの携帯電話のあかりを頼りに30分皆、転ばないように、小川に填まらないようにと手探りで戻ったのだった。私の手をムサシさんはずっと引いてくれていた。「ウサギさん、大丈夫ですか」と30回は言ってくれただろう。

ブータンの男性はハンサムな上に優しいのだった。

その日の宿泊ホテルに戻る真っ暗な道でバンが止まった。前方にいくつかの明かりと何台かの車が渋滞している。落ちたトラクターを上げているようだ。「10分待ってくださいと言っています」「じゃあ。30分だね」みんなが言った。いやいや、それじゃ無理ですよきっと、と私は思った。落ちたトラクターをショベルカーで上げているのである。クレーンじゃなくて。ひっくり返すんじゃなくて、吊り上げなきゃ無理でしょう?

結局持ち上げられなくて、事故現場の横を徐行しながら進むことになったのだった。






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Last updated  May 10, 2010 08:41:55 PM コメント(20) | コメントを書く
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