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2022.06.13
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「心情文化世界の創建のために」

日付:一九九四年五月一日
場所:韓国、ソウル、オリンピック公園体操競技場
行事:「世界基督教統一神霊協会」創立四十周年記念式


 尊敬する内外の貴賓、紳士淑女、そして世界の食口の皆様。私はきょう、協会創立四十周年を迎え、深い感慨を抱いてこの壇上に立ちました。一九五四年、数人の人たちとソウル北鶴洞(プッカクトン)の小さな家に「世界基督教統一神霊協会」の看板を掛けて、公式的な出発をしたのがきのうのことのようですが、四十年もの歳月がたちました。

  協会創立四十周年の感懐

 私がこの協会を創立したのは、ある個人的な目的を達成するためではありませんでした。ただ神様のみ旨を地上に成就するためでした。考えてみれば、迫害も多く、様々な形の受難の道を歩んできました。親も兄弟も親戚も理解できなかった道であり、さらには社会と国家から追われた生々しい記憶もあります。

 最も胸が痛むことは、神様が準備されたキリスト教徒たちからの迫害であり、今でも一部では道理に合わない批判をしています。実に多くの障害物を越えてきました。

 このすベての苦難の過程において、背後から守り、導いてくださった神様の深い愛に感謝を捧げます。それでは、神様の救世のための聖人の道理とは何でしょうか。神様が聖人を立てられた目的はどこにあるのでしょうか。神様が求められる聖人は、彼が死んだのちに次の歴史の中で賛美される、そのような聖人ではありません。神様は、この悪の世界を救うことのできる聖人、この時代を神様の善のみ旨で消化できる聖人を求めておられるのです。

 この地上の罪悪歴史を清奠するために、悲惨な罪悪の中に入ってそれを撃破して整理する聖人、神様が最も心苦しく思われる問題に一人責任をもち、解決しようと堂々とこの世の悪と対決しながら、勝利の行軍をすることのできる聖人を求められるでしょう。したがって、聖人の行く道は平坦ではあり得ず、無理解と迫害が必然的について回るのです。

 私は生きてこのみ旨を成し遂げてさしあげると神様に誓い、寝ても覚めてもその思いに没頭しました。千万回誓いながら、決意を固め、監獄のどん底でもこの誓いを立て、残酷な拷問により死境をさまよう時にもこの誓いを立てました。

  神様の人間創造の動機は真の愛

 神様のみ旨は、信じる人だけのものではありません。万民万象が神様のみ旨のもとにあります。神様のみ旨は漠然としたものではありません。太初に神様の中心にあった創造理想、すなわち創造目的が神様のみ旨です。字宙万象と人間は、すべてその創造目的のもとに造られたのです。

 永遠で絶対の神様になぜ創造が必要だったのでしょうか。神様にとって絶対に必要なものとは何でしょうか。物質や知識、または権力でしょうか。そのようなものは、神様が望みさえすれば、いつでも作って手に入れることができ、また神様自身が自由に調節することができます。しかし、真の愛だけは神様も思いのままにすることはできないのです。

 真の愛は、ただ相対圏を通してのみ見いだすことができるのであって、一人だけでは愛の刺激を感じることができません。これが、神様が相対的な被造世界を必要とした理由です。神様は真の愛の理想ゆえに世界を創造されたのです。

 鉱物界、植物界、動物界を観察すると、たとえそのレベルは違うにせよ、愛の理想を中心として相応、和合、授受できるよう、ペア、すなわち主体と対象に創造されていることが分かります。そして、人間は被造世界の代表者であり、中心であり、神様に最も近い愛の相対として造られました。人間は神様の真の愛の対象なので、人がいなければ神様の真の愛の目的は成就されないのです。

 このような点で、神様の真の愛の相対である人間の価値がどれほど貴いものかを知ることができます。神様はその創造理想である真の愛を、最高の絶対価値をもつものとしてお立てになりました。絶対的な神様でも、真の愛の前では絶対的に服従したいと思うのです。



 神様の息子、娘として造られたアダムとエバは、まず神様から父母の愛を受けながら 子女の心情 を感じて成長していきます。そして、互いに 兄弟姉妹の心情 を感じながら成長します。その次に、神様の祝福のもとに真の夫婦となり、互いに愛し合いながら 夫婦の心情 を感じるようになっているのです。それとともに、子女をもち、真の父母となるとき、子女を愛しながら 父母の心情 を感じ、さらには神様が自分たちを子女として愛される、その父母の心情を経験するようになっています。

 このような 子女の心情、兄弟姉妹の心情、夫婦の心情、父母の心情を四大心情 といいます。人間が完成するためには、神様の真の愛のもとで四大心情を完全に体恤しなければならないのです。この基台が理想的な家庭です。人間に対する神様の創造理想が成就される最小単位が、四大心情圏を完成した家庭です。

 真の愛の主人であり、起源であられる神様は、父の立場でこのように人間に絶対不変の真の愛を相続しようとされたのです。真の愛の中では完全な調和と統一が形成されるので、神様の真の愛は、子女である人間に完全に相続されるのです。

 それだけではなく、真の愛の属性として、同居権と同参権も自然と生ずるので、人間は神様の子女として同行し、共にいることができるようになっていました。そうして、人間は神様の真の愛に酔って各自が理想と幸福を所有すると同時に、自然にこれを相対と共に子孫たちに伝承するようになるのが創造本然の世界でした。

  真の愛は直短距離を通る

 しかし不幸にも、人間始祖は天使長の偽りの愛によって堕落することにより、結果的に彼らは真の愛による真の夫婦になることができませんでした。彼らは、神様の許諾なしに子女を生んだ偽りの父母、偽りの先祖になったのです。このように人類は、真の先祖、真の父母から生まれることができず、神様が願われない血統をもって生まれるようになったのです。

 自然界を見ると、レベルは低くても、すべて愛の秩序のもとに調和していますが、ただ堕落した人間世界だけが愛の秩序を守れずにいます。数限りない罪悪の闘争と苦痛はここに由来しているのです。神様が意図されたこととは反対になった人間世界を、神様は放っておくことはできません。

宗教は、神様の真の愛と真の父母思想を中心とした本然の理想的な家庭、さらには理想的な世界を復帰する目的のもとに立てられたのです。

 メシヤは真の父母として来られ、偽りの父母から生まれて植えられた偽りの根を引き抜いてしまい、本然の創造理想を復帰する重大な責任をもって来られる方です。この世界が真の愛と真の家庭へと復帰されるためには、まず真の父母の位置が確立されなければなりません。正にこの使命のために神様は私を召命したのです。堕落によって本来のみ旨が成就されなかったので、神様は失ったものを回復するための摂理において宗教を立てられ、メシヤを送られたのです。

 神様の不変の目的は、真の愛の理想世界の実現です。宗教の目的は、真の愛と真の家庭が実現化されることです。反対に、このような目的に寄与せずにそれ自体のためだけに存在するならば、その宗教は、神様の名を語ったとしても、神様とは関係がありません。宗教のために神様や世界があるのではありません。

 本然の真の愛、真の家庭の世界へと回復しようとされる神様のみ旨のために、宗教は立てられました。そして私が過去四十年間、世界的に展開してきた超宗派的な活動をはじめとする学術、教育、思想、文化、芸術、言論、科学、技術、産業などの事業は、すべてこの目的のために推進しているのです。

 私の生涯は、このことのためにすべてを投入して捧げてきました。私は監獄の道と凄絶な迫害の峠を越え、死地を乗り越えながらも、世界の五色人種(すべての人種)に対して、私を生んでくれた親よりも、私の兄弟よりも愛そうという天的な父母の心をもって生きてきました。

 真の愛の行く道は、直短距離で通じる道です。真の愛の実践には前提条件や弁明があり得ず、いかなるものも決定的な障害にはなり得ません。ただ自己犠牲によってために生き、与えることで直行する道です。

 私の世界的な業績に対し、たくさんの方から称賛を頂き、有り難く思います。実際、外的に現れた今日の結果も重要ですが、その動機と過程は、もっと重要なのです。どの分野の仕事も、整った良い環境と条件の中から簡単に始めたものではありませんでした。



  心情文化世界の創建と祝福

 紳士淑女の皆様。 神様がこの時代を経綸するために願われる宗教は、「父母の位置にある宗教」です。 父母の心情を抱いて進む宗教を求められるのです。私は、真の父母思想を教育し、各自がその伝統に似た真の父母になりなさいと教えています。まず家庭において真の父母となり、氏族において真の父母となる氏族的メシヤの使命を果たすように指導しています。

 真の父母の心情を抱いた信徒、真の父母の心情を実践する宗教となってこそ、葛藤と憎悪の罪悪世界で神様のみ旨を実現させることができるのです。他の宗教や教派を軽蔑し、敵対視する宗教は、世界平和の実現にも、神様の摂理にも有用ではありません。

 天運は調和した平和世界を指向します。ところが、現実はどうでしょうか。冷戦時代が終息したにもかかわらず、いまだに克服すべき対決と紛争の素地があまりに多いのです。人種間の紛争、宗教間の葛藤などの根本問題を解決し、人類一兄弟、世界一家の和合時代を成し遂げなければならない課題は、「真の父母主義」を通してこそ解決が可能です。

 統一教会の四十年の開拓の基盤の上に、真の父母と成約時代を迎えた私たちは、「真の父母主義」の実践によって、新しい心情文化世界を創建していかなければなりません。神様と人間が、真の愛の父子関係として統一されるとき、その愛の調和の中で、人間は理想と幸福の実体となります。

 この真の愛で形成された心情圏は、どんなに小さくても宇宙と連結され、その中で起こる出来事の波紋は、万象と霊界にまで波及するのです。霊界を含む天宙は、すべて同じ神様の真の愛の原理のもとに存在するからです。

 神様と人間との間の縦横、前後的真の愛の関係は、人間相互間の理想的真の愛の関係の根本であり、その完成は四大心情圏を体恤した理想家庭においてのみ成し遂げられるのです。心情文化は、このような四大心情を完成した理想家庭の統一圏の中で、平和と幸福と自由と理想の心情を交感し、共同体恤する生活の中で花咲くのです。

 このような世界には宗教が必要ありません。特別な信仰儀式が要求されない、生活全体が神様に侍り、真の愛の一体心情圏の中で共に暮らすのです。「生めよ、ふえよ、よろずの物を治めよ」とおっしゃった神様の祝福を成し遂げて暮らす、天国生活そのものです。神様が理想とされた創造目的の完成なのです。

 心情文化世界を創建するために、私たちは、真の愛、真の父母思想の教育を通して人格を涵養し、神様の祝福のもとに真の愛の家庭を築く運動を、より一層広げていかなければなりません。生活信仰の鍛錬を通してために生き、投入しては、また投入する真の愛の人格がつくられてこそ、理想的な夫婦、理想的な家庭が形成されるのです。この道こそが極端な利己主義、個人主義、物質主義の惰性から抜け出し、人類に明るい未来を期待できる道です。この道こそが不倫と青少年の堕落、そして家庭破綻を防ぐ道なのです。

 国際合同祝福結婚を通した真の愛の家庭運動によってのみ、民族間と人種間の紛争を根本的に解消することができます。宗教の壁を越えて、このような天意に従う真の愛で家庭理想を完成するという奇跡的なことが成し遂げられ、来年行われる三十六万組の国際合同祝福式には、より多くの宗教団体が参加するでしょう。

 また、「世界平和女性連合」の活動を通して、真の愛の母の理想像を教育しています。すべての女性たちが、真のお母様の心情をもって子女を正しく養育し、教育してこそ、真の家庭の理想が実現されるのです。今こそ、神様のみ旨に従って自覚した女性たちが、堕落した世界の男性たちを正しく教育する時が到来しました。全世界的にこのような運動が拡大されていくでしょう。

  心情文化世界創建のための学術、言論、海洋事業

 心情文化世界を形成していく過程において、宗教の役割は、実に大きいのです。宗教間の和合と協力なしに、世界平和を成し遂げることはできません。これまでも、このことに全力を尽くしてきましたが、これからも、宗教人たちが宗派間の高い壁を崩し、神様のみ旨を地上に実現するという大きな目的のもとに連合活動をしていくことに率先していきます。 「世界平和宗教連合」を積極的に支援 し、また『世界経典』を配布、教育することによって、宗教相互問の共同善を悟らせるために努力するつもりです。宗教人たちが実践と協力と模範を通して、神様のみ旨を成し遂げていくために先頭に立つでしょう。

 私が創設し運営しているいくつかの機構の活動も、一層活性化させようと思います。実質的で現実的な世界の問題を解決し、神様のみ旨を成就する基盤を築いてきた数多くの組織があります。元現職国家元首たちで構成された「世界平和連合」は、世界の紛争や国家間の葛藤を仲裁し、平和が持続するように努力し続けるでしょう。

 「国際勝共連合」と「南北統一運動国民連合」も国家的、または国際的に対峙する思想や理念を、「神主義」と「頭翼思想」によって消化する実践運動を広げていくでしょう。

 先端科学技術の発達と情報通信の革命的開発によって、未来の人類の生活様式が想像を超越して変わっていくことが予見されます。また一方では、人間の無限な欲望と利己的開発によってもたらされる全地球星の環境問題と大気圏の管理問題が、人類の存亡に直結しています。次世代の主役たちが、自己中心的な思考と短絡的満足への一途をたどっていくことをそのまま放置するならば、人類の未来はどうなるでしょうか。

 実践する真の愛、真の父母主義を中心とした絶対価値が立てられなければなりません。人が四大心情圏によって縦横に連結された不変の愛圏である家庭の上に安定するとき、初めて文明の利器が真の幸福の手段となるのです。

 ですから、「国際文化財団」の「科学の統一に関する国際会議」と「世界平和教授アカデミー」の活動を通した良心的碩学たちの献身と教育と実践が、より価値あるものとして要請されます。私が新しい百科事典を編纂する意図も、新世代の正しい教育のための作業です。様々な教育機関を運営し、学術活動を支援しているのも同じ目的です。韓国の鮮文大学とアメリカのブリッジポート大学などを育成し、「世界大学連盟」に発展させる計画も、すべては、到来する心情文化世界の基盤を教育するためのものです。情報化時代を迎え、新聞などの印刷媒体と電波媒体を世界的に支援、育成することによって、正しい言論を通じた大きな次元の社会教育をしています。

 神様の心情では、地球上に飢える人がいるということが、どれほど胸痛むことか分かりません。私はこれまで、産業技術を開発し、発展途上国に伝授することにより、技術の平準化を成し遂げようと努力を重ね、今年、 「世界平和技術研究所」を設立 し、既存の研究所と共に世界技術の標準化に寄与しています。

 海洋摂理にも二十年以上の間、投入し続けながら、海洋資源を通した食糧資源対策を立てています。 「国際救護親善財団」 の活動とアフリカなどの地における農業と軽工業指導活動を通して、多くの成果を上げています。今年、韓国でも二つの総合福祉財団を設立しています。

  み旨を相続する者となろう

 満場の貴賓の皆様。食口の皆様。私はきょうのお話を終えるに当たり、改めて神様に感謝を捧げたいと思います。神様のみ旨のために生きるという、極めて純粋な動機の一心で生涯を駆けてきた私を見つめながら導いてくださった神様は、私の何千倍もの困難と苦痛を耐え忍んでこられました。ここにすベての栄光を神様にお捧げいたします。

 また、四十年の業績がどうして私だけのものでしょうか。多くの苦労をした食口の皆様と後援者の皆様に対し、心から有り難く思っています。神様のみ旨は、本来万人の願いなので、皆様すべてがその代表者となり、また真の父母の代身者となって、み旨を相続する人となり、義であり、善なるみ旨を広く結実させてくれるようお願いします。

 そして、神様が願われる本然の心情文化世界が一日も早くこの地に実現されるよう共に努力しましょう。最後に、国内外の貴賓の皆様が、きょうこの場に参席してくださったことを感謝申し上げます。皆様の御家庭と皆様の行われることに神様の祝福が常に共にあることを祈りながら、私のお話を終わらせていただきます。ありがとうございました。


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Last updated  2022.06.13 23:23:47
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