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第3話

将軍府で図らずも沈沁(シェンチン)と再会した寧王(ニンワン)・子衡(ズーホン)。
思わず沈沁を物陰に引っ張り込んで旧情を温めようとしたが、なぜか沈沁は激しく抵抗した。
「王爺、場所とお立場をお考えください、人に見られたら大事ですよ」
「あの晩、蕭寒声(シャオハンシォン)は君を守ったとか…気があるのやも?
 それもまあ好都合だ、太子が何を遺したのか探るのにはな、ふっ」
その時、運悪く蕭寒声が通りかかった。
驚いた沈沁は咄嗟に子衡を突き放し、難を逃れる。




その夜、子衡は手放した沈沁への想いが募り、鎏金(リュウキン)坊で憂さ晴らししていた。
新入りの舞姫として店に入った十七(シーチー)は偶然を装い回廊で子衡と衝突、まんまと子衡の女になることに成功する。
しかしその様子を十七の親友・盈袖(インシウ)が見ていた。
「あれは…十七?」



沈沁は十七の合図を見て山荘を訪ねた。
十七は沈沁が未だ皇太子の遺品を見つけられないと知り、思わず沈沁の袖をまくって守宮砂を確認する。
「情も交わさず聞き出せるの?協力してあげるわ」
「結構よ、方法を考えるから」

その夜、沈沁は恩人である将軍と人質になった姉との板挟みで途方に暮れた。
すると突然、見知らぬ少女が現れる。
少女の名は圓宝(ユァンバオ)、父・蕭寒声の夫人を見に来たのだという。

訳が分からず困惑する沈沁、その時、圓宝を探す蕭寒声の声が聞こえて来る。
驚いた圓宝は咄嗟に沈沁に抱っこをせがみ、助けを求めた。
その時、蕭寒声が現れる。
「圓宝?!早く下りなさい!」
「嫌っ!だって講学所に連れ戻されるもん!」

「ぁ…ではここにいなさい」



圓宝は自分を助けてくれた沈沁にすっかり懐き、自分の新しい母だと認めた。
侍女・茯苓(フーリン)の話では圓宝は蕭寒声の養女で、本当の父親は戦死した秦(チン)副将だという。
蕭寒声も出征で留守にすることが多く、圓宝は講学所に預けられていた。
すると圓宝は父が母を好きになるよう策を講じるという。
「阿爹が阿娘を好きになれば、出征しても私をここに残してくれるわ」

蕭寒声と軍師・雲諾(ユンヌオ)は皇太子の死の裏に相国がいると疑っていた。
雲諾は相国の娘である沈沁を利用した妙策があると進言したが、将軍に必要ないと退けられてしまう。

圓宝は中庭に行軍用の天幕を張り、蕭寒声を呼び出した。
しかし沈沁も一緒だと知った蕭寒声は遠慮して中に入ろうとしない。
圓宝は仕方なく蕭寒声を中に引っ張り込み、嬉しそうに3人で並んだ。
天幕の中は蛍が灯籠代わりとなって明るく照らしている。
「圓宝、なぜ私を呼んだ?」
「阿娘が蛍は願い事を叶えてくれるって言ったから…」
蕭寒声は驚いた。
「誰から聞いた?!」
「その…書で読みました」
すると圓宝は父にお話を呼んで欲しいとねだった。
沈沁は先に戻ることにしたが、蕭寒声が引き止める。
「蛍の話をするから君も聞いてくれ…」

蕭寒声の蛍の話が終わる頃には沈沁も圓宝も眠っていた。
今にも倒れそうな沈沁に自分の肩を貸す蕭寒声、その時、灯籠の紙が敗れて蛍が飛び出してしまう。
あの夜も同じように蛍が暗闇を照らしてくれた。
…将軍、しっかり!蛍がいるなら希望が持てます!…
蕭寒声はあの時の娘の言葉を思い出し、なぜか沈沁に恩人の姿が重なった。
沈沁を見つめる蕭寒声、するとふいに沈沁が目を覚ます。
その時、寝ぼけた圓宝が母の外衣を引っ張り、沈沁の肩があらわになった。
すると沈沁の肩に恩人と同じ傷跡があると分かり、蕭寒声は驚愕する。
当時、あの娘は動けなくなった自分を板に乗せて紐を肩に担ぎ、ひきずって歩いた。
そのせいで肩が擦り切れ、衣が血で真っ赤になったのを覚えている。
「君は誰だ?」
蕭寒声は思わず沈沁の腕をつかんだが、そこへ宮中から使いだと知らせが来た。

子衡は山荘に海(ハイ)内監を呼び出し、賄賂を贈った。
「王爺、ご安心を、当直日誌はたやすく閲覧できません
 これから将軍府に御酒を届けに参りますので、これにて失礼を…」
十七は2人が話している隙にこっそり酒瓶に媚薬を混ぜていた。

蕭寒声は夫婦の杯を交わすように沈沁と腕を絡ませ、皇帝から賜った酒を飲んだ。
蛍の件でばつが悪い沈沁は早々に出て行こうとしたが、蕭寒声に引き止められてしまう。
「私たちは以前に会ったことが?」
「いいえ、ありません」
「ならば蛍の話を誰から聞いた?」
「…覚えていません」
「私は蛍の話をしてくれた者をよく覚えている、彼女には泣きぼくろがあった
 あの声も仕草も忘れたことがない、再会できたら私を覚えているか聞きたかった
 そして肩の傷は痛まないか、私のように今でもあの晩の山林を思い出すのかと…」
「将軍、人違いです」
「君だ…」
「ご覧ください、私ですか?」
すると蕭寒声は深く落胆し、部屋を出ることにした。
「あの姿は目ではなく心に焼き付いている、君でなければあの者に言ったと思ってくれ」
その時、沈沁は秘めた想いを隠し切れなくなり、愛しい人に抱きついてしまう。
自然と唇を重ね合い、結ばれる2人…。
一方、媚薬を仕込んだ十七も山荘で寧王と枕を共にしていた。
「ふふ、誰もこの迎春蠱(ゲイシュンコ)には抗えない…」



…実は海内監は将軍府で回廊に上がる際、うっかりつまずいて酒瓶を落としていた
しかし皇帝の酒を台無しにしたと分かれば首が飛ぶ
そこで慌てて車に戻り、花彫(ハナホリ)酒を入れてごまかしていた
するとこぼれた媚薬入りの酒を猫が舐めてしまう…

つづく


※中国版5~6話





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最終更新日  2024.05.27 21:51:16
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