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2024.08.23
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第36話

祥雲(シャンユン)への情愛を断つことなく妖王の力を得ることができた初空(チュコン)。
しかしその頃、昊軒(コウケン)が祥雲の正体を突き止めていた。
妖王の侍女が祥雲だと知り、初空の歴劫(リャッコウ)のあらすじを読み直していた昊軒。
するとなぜか″星凌(セイリョウ)教の師弟物語″の最後の頁がないと分かる。
…なぜ李(リ)天王は筋書きの最後を破った?何を隠したのだ?…
そこで霊力で復元してみると、祥雲に残した手がかりの一文が浮かび上がった。
「海棠の花のかんざし?」

…道理で見覚えがあったはずだ、だから初空と共に消えたのか、錦蓮(キンレン)が従ったのも不思議はない、唯一の歴劫の相手になるのも当然だ…
昊軒は滄海がすでにこの世に復活していたと気づき、焦燥感に襲われた。

一方、急ぎ無界へ行くことにした初空は錦蓮に滄海を任せることにした。
「わだかまりはあるだろうが、私に何かあったら祥雲のことを頼む」
「言われなくても命をかけて守る」
すると祥雲が見送りにやって来た。
「無事に戻ると約束して」
「必ず滄海の力を持って帰ってくる」
祥雲を安心させるため笑顔を見せる初空、その時、錦蘿(キンラ)が血相を変えて駆けつけた。
昊軒が数万の兵で詭(キ)界を包囲し、滄海を差し出さなければ詭界を踏み潰すと脅して来たという。
こんなに早く気づかれるとは予想外だった。

「今度は独りで背負わせない…全てが終わったら出してやる、錦蓮?錦蘿?」
「摩羅族はご指示に従います」
祥雲は自分だけ逃れるわけにいかないと訴えたが、初空は弟として兄の過ちを止めに行くという。
そこへ狂龍(キョウリュウ)長老が配下を連れて現れた。
「初空仙君、妖族にも出兵のお許しを…」

しかし狂龍は昊軒が攻めてくればどちらにせよ詭界も巻き込まれ、共に戦うことに生き残る道があると訴えた。

昊軒は大人しく滄海を引き渡すよう要求した。
しかし妖王がこれを拒否、昊軒は詭界の結界を壊すことにする。
初空たちは力を合わせて抵抗したが天兵軍の霊力に及ばず、妖族も摩羅族も霊力を使い果たして次々と倒れた。
残ったのは初空と錦蓮の2人だけ、これ以上、続ければ霊力が尽きてしまう。
その頃、祥雲は必死に結界を破ろうとしていた。
すると初空に何かあったのか、結界の力が弱まり、祥雲はついに結界を壊すことに成功する。
一方、昊軒はなぜ妖王が命をかけてまで滄海を守るのか怪しんだ。
「私に何を隠している?…ならば顔を見せてもらおう」

昊軒は妖王に一撃を放ち仮面を外した。
しかし初空は咄嗟に仮面をつかんで背を向ける。
その時、突然、祥雲が現れた。
「私は3万年前、妖族を助けただけ、これでもう十分、恩を返してもらった…
 この者たちには関わりない、行くわ」
「帝君?!…だめだ、行かせない」
慌てた初空は思わず祥雲の腕をつかんで止めたが、祥雲にはある思惑があった。
…冷静になって、詭界と摩羅族を犠牲にできない、無界に行って滄海の力を取って来て、そうすれば昊軒に勝てる、さもないと皆がここで死ぬことになるわ…
すると初空は大局を見て納得し、必ず迎えに行くと約束した。




祥雲は一緒に行く代わりに10万の兵を詭界から引き上げ、二度と踏み入らぬよう要求した。
昊軒は駆け引きできる立場かと呆れたが、滄海に痛いところを突かれてしまう。
「無血で解決できるのに何が問題なの?詭界は他ともうまくやって来た
 結界を破るため大きな代償まで払うなんて、何かやましいことでもあるの?」
「∑(⊙∀⊙)ドキッ!…いいだろう、自ら囚われの身となるのなら今日のことは不問に付してもいい」

長寧宮に戻った昊軒は直ちに滄海の魂を消滅させるよう命じた。
その時、祥雲が滄海だったと聞いた紅線翁(コウセンカク)が慌ててやって来る。
しかし帝君に命乞いしても無駄だと気づき、ひとまず時間を稼ごうと思いついた。
「3000年も欺かれていたとは…何と憎らしい!殺すだけでは甘すぎる!」
「その通り」
すると修茗(シゥミン)が駆けつけた。
「急いで魂を消すなど軽すぎる、明日はちょうど天雷の日、雷刑で筋骨を断ち、魂を引き裂く
 苦しんで死んでこそ恨みを晴らせます!」
紅線翁も賛同し、滄海を衆目環視の中で裁けば世の者は帝君の恩を心に刻むだろうと昊軒の虚栄心をくすぐった。

修茗は孫(ソン)天王の協力で牢に侵入、祥雲を逃すことにした。
しかし昊軒の結界は強力で修茗の霊力では破れない。
祥雲はどちらにしても逃げないと訴え、3万年前の真相を世に知らしめると言い放った。
「昊軒を除かないと殺された魂が安らげず、世に安寧は訪れない…
 長寧殿にある玄天鏡(ゲンテンケイ)なら過去の真相を映し出せたのに、昊軒が壊してしまったの」
「玄天鏡?古の神器なら昊軒でも完全には壊せないはずだ」
そこで修茗は鏡を修復しようと決めた。

一方、初空は3万年前に滄海が身を投げた崖の上に立った。
…全ての宿命を必ず私が終わらせてみせる…
すると初空は妖王の力をまとい、無界へ飛び降りた。

修茗は長寧宮から玄天鏡を持ち出し、洞窟の中にこもって修復を試みた。
孫天王は心の臓を使えば鏡が直ったとしても霊力を損って命を落としてしまうと警告したが、修茗は滄海の潔白を明かせるなら命など惜しくないという。
しかし鏡が直せないまま夜が明け、ついに滄海の裁きが始まった。
「3万年前、摩羅族の女帝であり、範を垂れ大任を担うべき身で自ら進んで魔となった…
 私が戦っていなければ世は妖魔に滅ぼされていただろう
 本日、各部族に集まってもらったのは公正な裁きを行うためだ」
孫天王は拘束された滄海の哀れな姿を見ながら、修茗が戻るのを今か今かと待っていた。




昊軒は滄海に罪を認めるよう迫った。
しかし祥雲は罪を認めるのが誰かは昊軒が一番、分かっているはずだと牽制する。
その時、天界に暗雲が垂れ込め、雷鳴がとどろいた。
「時刻だ、私が自ら正義を行う」
一方、鏡の修復まであと少しというところで修茗も雷鳴を耳にした。
…もう間に合わない、何とか引き延ばさねば…

昊軒はゆっくり玉座を降りた。
「天雷の鞭に何回まで耐えられるかな?」
しかし突然、修茗が現れ、自分の手で帝休(テイキュウ)族の恨みを晴らしたいと申し出る。
昊軒は許可したが、修茗は永遠と滄海への恨みつらみを語り、なかなか罰を与えようとしなかった。
「修茗、話はもういい、早くやれ」
すると祥雲は疑われないよう構わず打てと修茗に目で訴えた。
…玄天鏡が直るまでまだ少しかかる、滄海、すまない…
修茗はついに鞭を振り上げた。
天雷の激しい衝撃に顔を歪ませる祥雲…。
昊軒は早く罪を認めれば苦痛を受けることはないと冷笑した。

つづく


( ๑≧ꇴ≦)妖王、さすがにコスプレ感が強すぎてw





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最終更新日  2024.08.30 23:11:44
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