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認知症で記憶をなくしていた人が、薬をうまく処方すれば1ヶ月ほどで見違えるほど元気になります。長久手南クリニックでは認知症専門外来を行っており、初診時に認知症の型診断をして治療方針を決めます。その後、通院可能な方々は外来診療で、通院困難な方々は在宅診療でフォローしています。ただ、1人の医師で出来ることは限界があり、ネットワークづくりに情熱を注いでいます。連携するケアマネジャーは100人以上、訪問看護事業所は50カ所以上、施設は30カ所以上、26回開いた在宅ケア勉強会では毎回数十人がクリニックの薪ストーブを囲み、認知症の判定方法や症例を学んでいます。内10回は、名古屋フォレストクリニック河野和彦先生に認知症講義をしていただき、私を含め多職種に渡る参加者が認知症に関する知識を深めることが出来ています。多職種や家族との壁を取り払うことで多職種連携による認知症の早期診断および早期治療、認知症治療薬の早期最適化を実現しています。情報共有は緊急性の高い順に携帯電話、携帯メール、PCメール、FAX、固定電話、担当者会議を介して行っています。在宅療養の場合、月2回の定期往診の合間を埋めるのは、すぐに変化に気づく介護スタッフや家族なのです。だからこそ情報を共有し、症状を見極める目を養う必要があります。長久手南クリニックでは、認知症勉強会を介して介護サービス担当者の知識が深まり、的確な情報を医師に伝えることが出来るようになりました。介護情報の活用により早期発見および早期治療、投薬量および投薬のタイミングの最適化が出来るようになりました。さらに最適な投薬が可能になることで介護が楽になりました。介護情報が医療に生かされることで介護サービス担当者のやる気も高まり、一方で医師の目から見て必要な介護サービスや自宅改修の提案も出来るようになりました。将来的には在宅介護および医療をネットワーク化して、高いレベルの認知症介護および医療サービスを提供して行く必要性があります。また、医師一人では限界があり、今後、同じ志を持つ後輩医師を育てて行く必要を感じています。将来的には各地域に一人ずつ認知症専門の往診医を配置して、全国に広げていければと考えています。介護に医療情報を、医療に介護情報を迅速且つ的確に取り入れることにより、介護サービスの充実ならびに医療の質の向上を図ることが出来るようになりました。今後も、介護、医療の連携により、認知症患者さんや御家族が安心して療養生活を行うことが出来るように尽力して参ります。最後に、まとめの意味を込めて私からのコメントを載せます。「各部署が情報をキャッチボールするような形で、すべてその患者さんの情報を共有しているという風にしない限りは、なかなか良い介護もできないし、良い医療もできないということだと思います」長久手南クリニック 院長 岩田 明(NHKクローズアップ現代 H21/3/3)。「医師一人では限界があり、将来的には各地域に一人ずつ認知症専門の往診医を置いて、お互いに連携していく必要があると思います」長久手南クリニック 院長 岩田 明(NHKウィークエンド中部 H21/4/11)。参考文献 (知っておきたい認知症の症状と治療薬の話1-6)1)河野和彦:コウノメソッド2011、p1-46、2011 http://www.forest-cl.jp/kono_method/kono_method_2011.pdf2)河野和彦:認知症ハンドブック1認知症の診断<改訂版>、フジメディカル出版、20103)河野和彦:認知症ハンドブック2認知症の治療、フジメディカル出版、20064)河野和彦:認知症ハンドブック3認知症の介護・リハビリテーション・予防、フジメディカル出版、20065)河野和彦:レビー小体型認知症 即効治療マニュアル、フジメディカル出版、20116)山野井正之:認知症 家族を救う治療革命、p105-118、20117)河野和彦:危険な服薬・副作用の改善-認知症の人と介護者が共にラクになれる!、日総研、2011
Aug 21, 2011
H19/11 在宅医療を中心とした長久手南クリニック(在宅支援診療所)を開設しました。元々は脳神経外科専門医ですが、名古屋フォレストクリニック河野和彦先生に出会い、コウノメソッド実践医第1号D2001に登録しました。コウノメソッドとは河野和彦先生が20年以上の認知症診療の経験から得られた極意をわかりやすくまとめたもので、誰でもインターネット上からhttp://www.forest-cl.jp/kono_method/kono_method_2011.pdf ダウンロード出来ます。コウノメソッド2011を読んでいただければ、ここに書いている内容がより深く理解していただけると思います。インターネット環境にない方でも仕事場にはインターネットに繋がったコンピューターがあるはずですから、必ずダウンロードしてプリントアウトして下さい。職場で認知症勉強会を開いて一緒に勉強すれば全体のレベルアップに繋がります。
Aug 21, 2011
認知症には大きく分けてアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、脳血管性認知症があります。認知症分類によって治療法が大きく変わりますからここで説明しておきます。(1)アルツハイマー型認知症:60%アルツハイマー型認知症には、1.頭頂萎縮タイプ、2.側頭萎縮タイプ、3.頭頂側頭萎縮タイプがあります。1.頭頂萎縮タイプ:動作性認知機能の低下(迷子、運転能力低下、生活力の低下)が見られ、時計描画テストで判定出来ます。2.側頭萎縮タイプ:記銘力低下が見られ、改訂長谷川式簡易知能検査で判定できます。3.頭頂側頭萎縮タイプ:1および2が合併したタイプです。治療としては1-3共通して、認知機能低下にアリセプト1.5-5mg(1.5mgで開始して2.5mg,5mgへ漸増)またはレミニール(経験が少なく適量不明)、フェルガード類(フェルガード100M1-3包またはNewフェルガード1-3包)、メマリー2.5-10mgを併用します。詳しくは1.中核症状の治療薬を参照下さい。中核症状の治療薬で興奮症状が出た場合については、3.(2)を参照下さい。脳梗塞を合併する場合には妄想が多く見られ、セレネース0.2-1mgを併用します。脳梗塞再発はアルツハイマー型認知症の悪化因子であり、画像上1カ所でも梗塞を認めたらプレタール50-200mg(またはプラビックス25-75mg)およびサアミオン6-15mgを併用します。(2)レビー小体型認知症:20% レビー小体型認知症は1.物忘れなどの認知機能低下、2.幻視・幻聴・悪夢・夢の続きなどの幻覚症状、3.小刻み歩行・振戦(ふるえ)・歯車様固縮(こわばり)などのパーキンソニズム(パーキンソン病様症状)が合併した認知症です。夜間不眠、せん妄・意識消失発作、うつ状態もしばしば伴います。1-3すべてを持つタイプ、1および2のタイプ、1および3のタイプと色々なタイプがあります。従って、治療は症状に合わせて、A.認知機能低下にアリセプト少量(1-1.67mg)1日1回朝食後、フェルガード100M1-2包、メマリー2.5-10mg、B.幻覚症状に抑肝散2.5-10g(副作用:低K血症に伴う両下肢浮腫・心不全、低K血症の予防としてアスパラKを併用)やシチコリン1000mg静注、C.パーキンソニズムに伴う歩行困難にペルマックス(50)1-3T(副作用:幻覚の悪化、興奮)または/およびメネシット(ネオドパストン)(100)1-3T(副作用:幻覚の悪化、興奮)、D.妄想にセレネース0.2-1mg(副作用:パーキンソニズムの悪化)、E.夜間不眠にレンドルミン0.5-1T、F.せん妄・意識消失発作にシチコリン1000mg静注、G.うつ状態にジェイゾロフト(25)1-3Tとします。症状に合わせて処方することが大切で、幻覚症状がなければ抑肝散は必要なく、パーキンソニズムがなければペルマックス/メネシット(ネオドパストン)は必要ありません。頭部CT上、全く脳萎縮が見られないタイプ(純粋型レビー小体型認知症)~アルツハイマー型認知症に似た脳萎縮が見られるタイプ(移行型レビー小体型認知症)があります。脳萎縮が見られない純粋型には、アリセプトに対する過敏症状が多く見られます。脳萎縮がみられる移行型にはアルツハイマー型認知症に準じた治療(アリセプト1.5-5mg)が適応となります。(3)前頭側頭型認知症(ピック病を含む)5%前頭側頭型認知症の初期には、前頭葉症状(甘い物好き、収集癖、盗癖、暴言、暴力、徘徊、唾吐き、煙草のポイ捨てなど)のみで側頭葉症状である記銘力低下は見られません。従って、4.(1)で説明した時計描画テストや改訂長谷川式簡易知能検査では正常となることもしばしば見られます。前頭側頭型認知症の診断には問診が最重要であると言えます。前医がアルツハイマー型認知症と誤診してアリセプト3-5mgを処方して興奮している場合、直ちにアリセプトを中止します。治療としては、まずは1.ウインタミン1-6Tで興奮を抑えます。次に2.前頭葉機能回復のためフェルガード100M2包で開始してフェルガード100M3-4包を維持量とします。落ち着いてきたら3.ウインタミンを漸減して可能であれば中止します。(4)脳血管性認知症 10%頭部CT上、広汎深部白質梗塞(ビンスワンガー型脳梗塞)または境界領域梗塞(脳内血管、頸動脈および椎骨動脈の狭窄のため脳血流が不足した状態) を認めます。治療としてはプレタール50-200mg(またはプラビックス25-75mg)およびサアミオン6-15mgを用います。境界領域梗塞にはサプルメントであるプロルベインDR3-6Cap(カイン)を併用します。プロルベインDR(副作用:口渇、蕁麻疹)は血栓溶解作用があり、400名の頸動脈エコーで有意なプラークスコア(血管壁のヘドロ)の減少が見られます。プロルベインDRには高血圧症や糖尿病の改善作用も見られます。妄想を伴う場合には、抑制系薬剤セレネース0.2-1mgを併用します。
Aug 21, 2011
(1)アリセプト3-5mg(一般医の用量)を開始して小刻み歩行・振戦(ふるえ)・歯車様固縮(こわばり)などのパーキンソニズム(パーキンソン病様症状)が出現した場合にはレビー小体型認知症であるため、アリセプトを1週間中止して、1週間後にアリセプト1-1.67mgで再開します。パーキンソニズム以外にも食欲不振、吐き気、下痢などのアリセプトに対する薬物過敏症状が出た場合には、レビー小体型認知症である可能性があります。添付文書にはアリセプト3mgを2週間投与後、アリセプト5mgに増量するようにと記載されています。そのため、レビー小体型認知症と診断できない医師がアリセプト3-5mgと投与して、患者さんや介護者を苦しめています。レミニールにも同様のことが言えます。職種に関係なく歯車様固縮のチェックの仕方をマスターしておくことはとても大切なことです。簡単に説明しておくと、検者の左手で患者さんの肘を支え、右手で患者さんの手首を持ち、ゆっくりと曲げ伸ばしします。一定のスピードでゆっくり曲げ伸ばしし、歯車様のクリックを感じたら歯車様固縮ありと判定します。患者さんの両上肢で同じことをします。歯車様固縮の強い方に身体が傾く傾向にあります。歯車様固縮の診察の仕方はコウノメソッド2011の45ページの図21を見ていただければ一目瞭然です。(2)アリセプト3-5mg(一般医の用量)を開始して暴言、暴力、興奮などの陽性症状が出た場合、第一選択としてアリセプトを1週間中止し1週間後に半量で再開します。第2選択として、抑制系薬剤(2.(1)参照)を併用する方法があります。後者の場合、抑制系薬剤にも副作用があり、まずは前者を選択しアリセプトを減量すべきです。レミニールにも同様のことが言えます。(3)抑制系薬剤グラマリール、ウインタミン、セロクエル、セレネースには副作用として薬剤性パーキンソニズム(薬の副作用によるパーキンソン病様症状)が見られることがあります。セロクエルが比較的パーキンソニズムの出現が少ないとされていますが、身体の傾きが出た場合には一旦中止、減量して再開する必要があります。薬剤性パーキンソニズムが出ているのに放置しておくと、傾眠傾向も相まって誤嚥性肺炎や転倒の原因になります。
Aug 21, 2011
(1)陽性症状に対する抑制系薬剤の選択第1選択はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の興奮症状には1.グラマリール(25)1-6T、レビー小体型認知症の幻覚症状には2.抑肝散2.5-10g、前頭側頭型認知症の興奮症状には3.ウインタミン(12.5)1-6Tがよいでしょう。前頭側頭型認知症に限らず、甘い物好き、収集癖、盗癖、暴言、暴力などの前頭葉症状を伴う場合にはウインタミン8-12mgの少量投与が症状の緩和に役立ちます。第2選択はすべての型に対してセロクエル(25)1-6Tがよいでしょう。病態としては妄想にはセレネース0.2-1mgが合いやすいでしょう。リスパダールは傾眠などの副作用が強いのでなるべく避け、どうしても必要なときのみ頓用とします。(2)陰性症状に対する興奮系薬剤の選択元気がない場合にはサアミオン6-15mg、シンメトレル(50)1-3Tがよいでしょう。ただし、シンメトレルは幻視を悪化させるので注意が必要です。うつ状態の場合にはSSRIジェイゾロフト(25)1-3Tを選択します。ジェイゾロフトで効かない場合にはSSRIパキシル10-20mgへ変更します。(3)興奮系薬剤と抑制系薬剤のバランス認知症患者さんに穏やかに過ごしていただくことは、認知機能を回復させることよりも優先されるべきことです。患者さんが興奮しているのに興奮系薬剤を続けることは介護者を疲弊させ、家族崩壊に繋がります。患者さんの症状に合わせて興奮系薬剤と抑制系薬剤のバランスを考え、波乗りのように処方を変えていく必要があります。多職種からの的確な情報は、興奮性薬剤や抑制系薬剤の調節を可能にし、誤った治療に苦しむ患者さんや御家族を救うことが出来るのです。認知症専門医の立場からすると、家族を含む多職種の方々の情報に助けられることで投薬調節が可能になると言えます。残念なことに介護者を楽にするという発想がほとんどの医師にないため、多くの患者さんや介護者を苦しめているのが現状です。
Aug 21, 2011
中核症状「物忘れ自体」の治療薬には、1.アリセプト(副作用:興奮、食欲不振、吐き気、下痢)または新薬レミニール(副作用:興奮、食欲不振、吐き気、下痢。H23/3/22発売)、2.新薬メマリー(副作用:めまい、頭痛、便秘、食欲不振、傾眠、興奮。H23/6/8発売)があり、1および2は併用可ですが、アリセプトとレミニールは作用機序が似ており併用不可です。アリセプトとレミニールは興奮系薬剤、メマリーは興奮系ではなく覚醒系薬剤と分類しています(稀に興奮系、抑制系として働くこともあるため注意が必要です)。有効性が認められているサプルメントには3.フェルガード(グロービア)(副作用:下痢)があります。神経細胞死抑制作用のあるフェルラ酸と神経再生作用のあるガーデンアンゼリカの合剤であり認知機能改善効果を認めます。穏やかに過ごしている場合にはNewフェルガード、少しでも興奮性が見られる場合にはフェルガード100Mを選択します。言い換えるとNewフェルガードは興奮系サプリメント、フェルガード100Mは抑制系サプリメントと言えます。
Aug 21, 2011
高齢化が進むにつれ、認知症で困っている在宅療養患者さんが増えてきています。在宅療養においては多職種連携(家族、ヘルパー、看護師、理学療法士、薬剤師、歯科医師、医師など)が必須であり、患者さんや御家族との接点が多い連携するすべての職種の方々が非常に大きな役割を担っています。多職種連携からの的確な情報は、認知症の早期診断および早期治療、認知症治療薬の早期最適化を可能にし、誤った治療に苦しむ患者さんや御家族を救うことが出来ます。認知症患者を救うためには、職種に関係なく認知症に伴う症状について知り、症状に対する治療薬を学ぶ必要があります。認知症には大きく分けて、中核症状と周辺症状があります。中核症状とは平たく言えば「物忘れ自体」のこと、難しく言えば「記銘力障害」、「失見当識」、「人格変化」、「高次機能障害」、「判断力低下」となります。周辺症状とは「物忘れ以外」のこと、陽性症状(暴力、暴言、徘徊、独語、妄想、幻覚、過食、不眠)と陰性症状(無気力、無関心、無言、うつ状態)に大別されます。認知症治療薬には大きく分けて、興奮系薬剤、抑制系薬剤、および覚醒系薬剤があります。興奮系薬剤にはアリセプト、レミニールなどの中核症症状治療薬、サアミオン、シンメトレルなどの脳血流改善剤があり、陰性症状(陰証)を平穏状態(中間証)に戻します。一方、抑制系薬剤はグラマリール、セロクエル、ウインタミンなどの向精神薬が含まれ、陽性症状(陽証)を平穏状態(中間証)に戻します。覚醒系薬剤にはメマリーなどの中核症状治療薬、シチコリンなどの意識障害改善薬があり、せん妄や意識障害を改善する作用があります。
Aug 21, 2011
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