裏庭のおしゃべり
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
ご無沙汰しております。m(__)mだんだんと春めいた季節になってきましたね。こちらはこの一週間、雨天が続いて鬱陶しいのですが、そろそろお花見の日程も気になってきたところです。さて、先月、映画「哀れなるものたち」を鑑賞したのですがレビューを書こうと思いつつ先延ばしにしていました。既に鑑賞から3週間以上が過ぎましたので記憶はかなり曖昧です(←言い訳^^;)なので、備忘録のつもりで綴っております。来月発表される米アカデミー賞のノミネート作品でもあり、(18禁ですが)主演女優賞に関しては最有力候補だと言われていますよね。公開後約1ヶ月近く経過しましたので結末以外はネタバレしています。◇詳しくはこちらでHP◇<story>ある日、妊婦ヴィクトリアは投身自殺をし天才外科医ゴッドに拾われるがまだ生きていた胎児の脳はヴィクトリアへと移植され、彼女は「ベラ」として蘇る。生まれたてのベラは体は大人の女性でも脳年齢は新生児。しかしゴッドの父性愛と庇護の下、彼女は驚異のスピードで言葉を覚え成長していく。ベラの目まぐるしい成長を確認したゴッドは医学生のマックスに「ベラの観察記録をつけてほしい」と依頼。快諾したマックスはエマと接しているうちに、恋に落ちてしまいゴッドのすすめもあり条件付きでベラと婚約をすることになる。ゴッドとの契約を交わすため呼ばれてやってきた弁護士のダンカンは、一目でベラに魅了され、婚約者がいるにも関わらず「一緒に世界を旅しよう」とベラを誘う。いつも屋敷に閉じ込められ自由に外出できなかった彼女は「世界を見てみたい」という純粋な好奇心だけでダンカンと旅に出たいとゴッドに告げる。ダンカンとは本能のまま知ったばかりの肉体的快楽にふけるという関係だったが、リスボンでひとり歩きをした際には様々な経験と刺激を受け彼女なりに少しずつ見聞を広め始める。しかし独占欲の強いダンカンは貞操観念という概念を持たず奔放すぎるとして彼女を監禁し強引にクルーズ船に乗り込ませる。その船上で出会ったのは知的な老婦人マーサとハリーという青年だった。彼らとの交流を楽しむうちに彼女は哲学に興味を抱き、読書に楽しみを覚えるようになる。知的好奇心によってダンカンの束縛から逃れるベラだったが、そんな彼女を理解しようとしないダンカンは酒とギャンブルに溺れていく。ある日ベラはハリーと共に寄港地アレクサンドリアで悲惨な光景を目撃する。それは貧困のために亡くなった多くの子供たちだった。初めて目の当たりにした残酷な現実にベラはショックを受けダンカンがギャンブルで得た全財産を「助けたいの、彼らに渡して」と船員に大金を託してしまうが横領され無一文になった彼らは次の寄港地マルセイユで下船させられパリへ。無一文では食事もホテルの部屋にもありつけない。路上で娼館の女主人と出会ったベラは「お金になる」ことを知り娼館で働くことにする。激怒するダンカンには「これで帰国して」とゴッドから渡されていた非常時用の現金を渡すが未練いっぱいのダンカンはベラにまとわりついた挙句、見放されてしまう。パリの生活にも慣れてきた頃、ゴッドが危篤だという知らせを受けて、ベラはロンドンに戻ることに。そして自分がゴッドによって作られた人造人間だと知ってしまい衝撃と共に複雑な心境にかられるのだがマックスの告白を受け彼との結婚を改めて決意するのだった。そして迎えた結婚式。その最中にヴィクトリアだった頃の夫アルフィーがダンカンと共に乱入してくる。「ヴィクトリア、君は私の妻だ」「家に帰ろう」そう言ってベラを連れ去ろうとしベラもまた、ヴィクトリアの過去が気になりついていくことにするのだが。。◇これはシュールなコメディ?フェミニズム映画?いやいや、テーマ性はもう少し深いよね、時代背景はヴィクトリア朝だけれどまさに現代のスピリチュアルを象徴するかのような魂の自己回帰と開放を感じるよね?まずはそんな印象でした。男の手によって作り出されたベラに男たちはそれぞれの価値観で彼女を教育し作り上げようとするけれど生まれたての脳にはもともと洗脳による学習経験はなく先入観によるあらゆる概念も持ち合わせていない。彼女が知性や教養、社会性を身につけていく時魂が求めているか否かがあらゆる原動力の基準となっている。映画を観ながらふと、「マイ・フェア・レディ」とか「プリティウーマン」などの昔の映画を思い出してしまいました。それらと違ってベラは男のミューズになるのではなく完全なるベラになっていくだけ。その成長過程の描写では確かに性的な表現も多いのですが、まるで肉体が魂と統合するまでの成長過程を(アンバランスだったので)見せられているようでもありました。男たちはというと独占(監禁)、所有、支配などの欲求を満たすため彼女を必要とするけれど彼女の意図に関わらず勝手に翻弄されて自ら破滅していくので滑稽です。女性の自己犠牲や侵害される権利、人権は今も全世界で普遍的な問題の一つでもあるしアルフィーがベラに強制しようとした性器切除思想もしかりですが、そういった問題を今だに抱えたままの社会であるということもこの映画の登場人物たちが雄弁に語ってくれていたのではと思います。◇さてここで、ゴッドのお話を少し。ベラがロンドンの家に戻った時、ゴッドが新たに作った「フェリシティ」という女性がいましたが、彼女の成長はとても遅くて、ベラとの違いは顕著でした。ゴッドはベラと違って彼女には愛情を注いでいない、ただの実験体だと言います。あらゆるクリエイチャーの成長にはやはり「愛」が不可欠。その欠損こそが本質的な歪さを生じさせるのではと。。(カメラワークも時折特殊なレンズを使用することで歪みを強調していたように思えます)ゴッド自身もクレイジーな父親の犠牲者であることは、シュールな体質とビジュアルによって彼が語る以上に想像できますね。かつて父親の実験台とされあらゆる苦痛と不自由さを与えられたゴッドだったがベラを作り彼女を父親として愛することで父親の愛の形を見出そうとしていたが、そんな父親を理解することが自身を救う方法だと信じていたようですが、実際にはベラが全てを受け入れてくれたことによって救われたのかも、ね。そうそうもう一つ気になることがありました。アルフィーは妻を取り戻し子供を産ませ恐怖で再び支配するつもりでしたが、ベラの脳はヴィクトリアとアルフィーの子供のもの。もしかしてこれも、DVの他に、子供への虐待を仄めかしていたのかな?(考え過ぎ?)🔸乏しい記憶の断片をつなぎ合わせたレビューでした。ほぼ主観のみで語っておりますので個人的見解に過ぎませんが久々のアップにお付き合いいただき有難うございました
2024.02.22
コメント(2)