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「日本人があわせ持つ心の原点を探す」というサブタイトル、そして『「平家物語」には日本人の姿が見える』と帯に書いてあるフレーズにひかれ、思わず買ってしまいました。能の物語には、平家物語が多いということを知ったことと、小林秀雄さんの「考えるヒント」にも、平家の鎧の話があって、名前や物語のいくつかは知っていても、詳しく読んだことがなかった「平家物語」にとてもひかれたのです。やはりまがりなりにも日本人の端くれなので、義経、静御前、そして、弁慶の物語、那須の与市の話などはどこで記憶に残ったのかは解りませんが、日本人の常識として知っていますから、そういった話がすべて、この平家物語につづられていたとは恥ずかしながら知りませんでした。 この日本人の心の原点とも言える平家物語の文学性、またその物語から感じ取れる政治、歴史を谷沢氏、渡辺氏が非常に面白く語ってくれています。なるほど、そういえば、華々しく感じる源氏は実は殺してばかりいることが解るし、どちらかというと公家気質で歌のうまい平家の盛者必衰の物語は、深い教訓として、私たちの心の底にあるものだなと感じられます。平安の女流文学から、この平家物語へと時代も文学も移り変わり、平家物語は琵琶法師が語り継ぎ、室町時代に能の物語として生まれ変わり、今の私たちの世代へ伝えられてきたのですね。平家物語、そして能の物語を読んでいると、おぼろげながら自分の心のありようの原点のようなものが感じられ、とても懐かしいような気分になります。私はどうしても女性たちの生き方が気になってしまいますが、この時代は、平安時代より行動的な女性たちが現れるのではありますが、実はこの鎌倉時代から、男性中心の世界にはっきりと移行していくのです。そういった意味からも平家と源氏の違いは非常に興味深いですね。
2007.01.29
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「翁は『猿楽』にして『能』に非ず」というタイトルに惹かれて、矢来能楽堂にて行われている能の講座に参加してきました。「のうのう」とは人に呼びかけるときに使われる能の言葉だそうなんです。あまねく能を知ってもらおうという趣旨で能の公演と対になっている講座です。今回の一月の翁は人気があって、見ることができませんでした。この講座は定例の能の公演で演じられる演目について専門の大学の先生が、講師となって、やさしい解説をして下さっています。翁については、以前レビューを書いた、中沢新一氏の「精霊の王」に詳しく出てくるので、いつか見たいと思っていたのです。また表さんも、この本にちらっと出てくる方なので、楽しみにしていました。当日は、翁の神歌を聞くことができました。この翁は能のなかでは、特殊な演目であるそうです。能や狂言は劇の要素がありますが、この翁には筋立てをもつ劇のようなものではなく、祝賀・祈祷の式のようなものであるということでした。能の前身は、猿楽といわれますが、申楽舞を奏すれば、国穏やかに、民静かに、寿命も長くなるといわれ、国の繁栄のために舞われていたそうです。その伝統は引き継がれ、今でも、新年の一月は各流派、翁の公演は早くからチケットがなくなるそうです。おめでたい、ありがたいものなのですね。能の研究というものは、まだ、とっても新しく、なかなかいままでまとまった研究がされておらず、学問的な探求が始まっってからおおよそ100年ぐらいしかたっていないそうなんです。そのあたりも、初めて知って、おもしろいなと思いました。非常に奥の深いお話なんですね。能の前身の猿楽、その前の「宿神」の研究など、これからまたいろいろなことが解明されていくのでしょう。そのキーポイントがこの翁なのだと思います。興味のありかたは、ぜひ「精霊の王」をお読みください。また、表章さん「大和猿楽史参究」も興味をそそられます。いろいろとおくが深いですね。
2007.01.23
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14世紀、室町時代に完成されたという能という舞台芸術は、大きく分けると舞いと歌と二つにわかれます。歌の部分を「謡い」といいますが、見るために作曲されている歌と白洲さんはおっしゃっています。白洲さんは、この『能の物語』を書くにあたって、「まず第一に、間を大切にすることと、お能を、目で見るように書くこと、幽玄な雰囲気をこわさぬように注意する」という三つのことをポイントに書かれました。非常に解りやすく、また、お能を見ながら読み進めているような、そして、一つ一つの物語りに不思議な余韻が残り、舞台を体験したような、そんな心持になる読後感です。21編のお話は、私たちが生きていく過程で経験するすべての感情の源のような、そんな物語りです。お能という世界は本当に不思議な世界で、主人公はほとんどがこの世のものではない人たちなんですね。舞台の能を見ると、ひとたび異界の存在となって現れる主人公たちはみんな素晴らしく神々しく、一回りも違って見えるからとっても不思議です。そういったお能の幽玄の世界を物語を読むことによって、髣髴とさせる白洲さんの表現力に感服します。しかし本当に日本という国はとっても不思議な国ですね。なくなった人たちの魂が埋もれた地に、わかる人が現れるとその魂は語りだし、その気持ちをわかってもらうことによって思いを遂げ、成仏していくのです。600年前には、目に見えない世界とこの世と一体であり、そういった芸能が脈々と継承されているということなんですね。読んでいると自分の心の隅々にフィットしてくる感覚があります。感情が癒される感じなんですね。初版は『魂の叫び声 能物語』というタイトルだったようですが、まさにその通りの物語りです。日本文化を知るためにも、自分の感性の源を発見するためにも、どうぞ皆様お読みになってみてくださいね。
2007.01.19
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1957年に書かれた『お能の見方』に、吉越氏の写真を豊富に差込み、素敵な入門の書と生まれ変わったのが1993年です。「お能の見方」は正宗白鳥に、『これを読んで初めてお能が解った』と言わしめたという、白洲正子さんの名著なのです。確かに、はじめからスーッと読めてどんどんと引き込まれ、お能の概念や歴史的な流れも自然と理解していけ、さすがに名著といわれるだけあります。お能の世界に少しでも興味のある方にはとってもお勧めの本です。初めて能に憧れを持ち始めたのは、2004年の2月、「千年の織物 二百歳の夢」という織物展で能装束を見てからだと思います。大変美しいその衣装に思わずため息がこぼれました。また、靖国神社などで桜の時期に能を行っているというお知らせをよく見るので、一度見てみたいと思っていましたが、なかなかなじみがないので、見に行く機会がありませんでした。ところが、今年の春に、仲間が能の稽古に通っているということを聞いて、自分も参加してみようと思い立ち、稽古を見学にいったら、それはそれは、立派な能楽堂でお稽古をしている様子がとっても気持ちよくて、早速申し込んだのです。お稽古に申し込むと先生の舞台などの案内があり、チケットも手に入れやすく、お能を直接見に行く機会が多くなってきました。お稽古では、いきなり舞台ですり足で歩き、かまえをするところから始めたのですが、この本を読んでいると、知識から入らずに、体験することから始まったこのお能との出逢いはとても理想的な出逢いだったのかも知れません。能はただそのまま見るもの、感じるもの。頭で解釈するものではないということなんですね。月に一度、舞台を見に行くうちに、ロビーで売っている本を見たら白洲正子さんの著書が沢山あり、これは面白そうだと何冊か買ってみたのです。お能が大好きな白洲さんの文章は、解りやすく、大変楽しく読めました。そして初めて見た本格的なお能は、以前にレビューに書きましたが、蝋燭能でした。非常に幻想的で美しく懐かしく感じました。思えば少なからずお能とは縁があったのですね。偶然、修善寺のあさばという旅館に行ったときに見た池の上の能楽堂との出逢いなど、自分の嗜好や興味の方向を辿ってみると、今、自分がお能の世界に触れはじめたのは、もしかしたら、来るべくして来た道なのかもしれないと思う今日この頃です。まずは今年は白洲さんの本を読み進めながら、また、能の舞台を見ることから幽玄の世界に踏み込んでみたいと考えています。
2007.01.15
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シェークスピアの有名な戯曲『ベニスの商人』の映画化ですね。なかなかの名作、「イル・ポステーノ」のマイケル・ラドフォード監督が脚本とともに手がけています。なぜこの作品を見ようと思ったかというと、林秀彦さんの『この国の終わり』のあとがきにこの映画のコメントが出てくるんですね。ユダヤ人についての理解を深めるという観点から、この映画のことが出ていました。またもう一方で、岩井克人先生の『ベニスの商人の資本論』を手に入れていて、これを読むにもベニスの商人のことを知っていないとならないなと思い立ち、(はずかしながら原作は読んでおりません)このDVDを借りたのです。後で『ベニスの商人の資本論』を読んでわかったのですが、この映画の台詞はかなり原作に忠実でした。私たちがベニスの商人で頭に浮かべるのはユダヤ人の金貸しシャイロックですが、ベニスの商人とはシャイロックからお金を借りたはアントニオーニのことなんですね。この映画を見てからすぐに『ベニスの商人の資本論』を読み、大変面白かったのです。林さんはユダヤ人という観点からの解説でしたが、経済そして、お金、資本という観点から見たベニスの商人についてのお話は、またそれはそれは面白いものでした。絶対にお勧めです。こんなに面白い解説書はほかにありません。しかし、シェークスピアっていったいどんな人だったんだろうと、思いますね。岩井先生は、別の本でたしか西鶴のことを書いていらしたことがあったと思いますが、文豪が描くテーマには必ずこの経済やお金の問題が多大に関与しているんですね。それほど人間の存在とこのお金という仕組みは、根深い根源的な問題があるのです。この映画の中身を云々というよりは、たまたま最近手元にある本二冊に共通したテーマ『ベニスの商人』の理解を深める為に、この映画は大変参考になりました。アルパチーノもうまいですし、非常に賢いもう一方の主役女性、ポーシャ役のリン・コリンズも魅力的。「恋に落ちたシェークスピア」でシークスピア役のジョセフ・ファインズもはまり役でした。とにかくこの映画のみに終わらず、この二冊を一緒にお読みになり、理解を深めることをお勧めします!監督・脚本 マイケル・ラドフォード出演 アル・パシーノ ジョセフ・ファインズ リン・コリンズ ジェレミー・アイアンズ
2007.01.13
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18年ぶりにオーストラリアから日本に帰ってこられた林氏の『この命最後の本』ということなので、早速読んでみました。『ジャパン、ザ・ビューティフル』から、『「みだら」の構造』『ココロをなくした日本人』『海ゆかば山ゆかば』など、林秀彦さんの本はかなり読んできましたが、今回はほとんど叫びに近い内容でした。18年ぶりの祖国はあまりにも、恐ろしいくらいに日本人が日本人ではなくなっていたということなんです。マインド・コントロールがいよいよ進み、何も考えられなくなって白痴化した日本民族に対して心の底から怒り、嘆き、叫んでいるんですね。若いときからの海外生活の経験から、白人と日本人の違いをいやと言うほど体験し、日本という国の奇跡を心から理解する林さんは、絶望に絶望を重ねています。どうか自分の頭で考えてくれと叫んでいらっしゃいます。もともと考えることの苦手な日本人は感じることが得意だったのですね。いやむしろ考える必要がなかった日本人は、今まで世界の奇跡として生き延びてきたのですが、いよいよ、絶望的であるとおっしゃるのです。この危機に、なんとか自分の頭で考えて欲しいと、『親が死のうが子が死のうが読むべき本リスト』を巻末につけてくださっています。その中の何冊かしか読んでおりませんが、早速5冊ほど、注文してしまいました。皆様もぜひぜひこの本を読んでみてください。『「みだら」の構造』なども必読書です!一人一人の生き方の中に日本という奇跡の国の奇跡の生き方を取り戻していかないと、本当に日本人は、従順な牛の群れのごとくコンビーフ工場にでも連れて行かれてしまうのでしょう。自らの頭で世界のことを理解し、考えていくことがどれだけ大変なことなのかということをまたしても考えさせられる本でした。いろいろな面で、今、世界はぎりぎりの瀬戸際にいるのでしょう。世界でいったいなにが起こっているのか、そして、今、どのように生きるのか、今年最初のasomeの書評はこのような大変厳しい内容となりましたが、今年も自分で考えられる賢い豊かな女たちを目指していきたいと思います。
2007.01.09
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