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こんな夜に歩く人は他には誰もいなかった。
そう、ボクは物好きな、そして孤独なジジイ。
足元の水溜りが良く見えないから、踏み込まないように屁っ放り腰で足を運ぶ。
なんだか、怪しい姿・・・決してコソ泥なんかじゃあ有りませんと誰にともなく呟く。
ライトアップしているように公園の街灯が桜の花を怪しく浮かび上がらせている。
思わぬ貸し切り状態。
雨が降っているが,傘はさしてはいなかった。

桜以外は闇に隠れて見えないから、尚いいのだろう。


通りがかりで入ってみた公園。
ここ数年昼には何度か見に来ていて、花の見事さは知っているから、思い付きで夜桜も見ておきたかった。
都内の公園などで桜の木が倒れていることが報道されている。
老木なのだろうなあ・・・・、ボクは老人、似たような存在。
雨に散る花びらが闇の中に消えていく。
西行の歌が何処からか聞こえてくるような気がする。
_願わくは 花の下にて春死なむ その如月の 望月の頃_
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