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Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2015.07.12
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カテゴリ: 社会・政治・時事

 本題を見て、民主主義の有り様についての内容かと思って読み始めたが、
 副題の通り、「社会的選択理論」についての内容だった。
 初めての内容だったが、とても興味深く、面白いものだった。

 「多数決は本当に国民の意思を適切に反映しているのか?」
 つまり、選挙制度に関する問題点について、本著は述べている。
 それは、小選挙区制や大選挙区制といったレベルのものではなく、
 「多数決」から脱却するするには、どうすればよいかというものである。

  有権者の無力感は、多数決という

  集約ルールに少なからず起因するのではないだろうか。
  であればそれは集約ルールの変更により改善できるはずだ。(p.10)

そして、多数決以外の集約ルールとして、
ボルダルール、コンドルセ・ヤングの最尤法、決選投票付き多数決、
さらに、繰り返し最下位消去ルールが示される。
そして、

  どの集約ルールを使うかで結果がすべて変わるわけだ。
  「民意」という言葉はよく使われるが、
  この反例を見るとそんなものが本当にあるのか疑わしく思えてくる。
  結局のところ存在するのは民意というより集約ルールが与えた結果にほかならない。
  選挙で勝った政治家のなかには、

  だが選挙結果はあくまで選挙結果であり、
  必ずしも民意と呼ぶに相応しい何かであるというわけではない。
  そして選挙結果はどの集約ルールを使うかで大きく変わりうる。
  言ってしまえば、私たちにできるのは民意を明らかにすることではなく、
  適切な集約ルールを選んで使うことだけなのだ。(p.49)


次は、「判断」そのものについての記述。

  人民とは構成員たちからなる一個の分割不能な共同体であり、
  一人ひとりの構成員ではない。
  そして一般意志とは、
  個々の人間が自らの特殊性をいったん離れて意志を一般化したものだ。
  意志を一般化するとは、自己利益の追求に何が必要かをひとまず脇に置いて、
  自分を含む多様な人間がともに必要とするものは何かをさぐろうとすることである。(p.76)

ルソーも、なかなか奥深い。
「自己利益の追求に何が必要かをひとまず脇に置いて」などという視点が示されることは、
現在では、なかなかないのではなかろうか。
すべてが「自己利益の追求」最優先になっているようにさえ感じられる。

  人々の利害対立が鋭く意志が一般化できない対象は、
  そもそも投票の対象にはならない。
  典型的には自由や権利の侵害に関する事柄、
  例えば少数民族の排除や性的少数派の抑圧を、投票で決めることはできない。(p.81)

ここで著者は、多数決による侵害の可能性を押さえこむため、
1.多数決より上位の審級を、防波堤として事前に立てておく
2.複数の機関での多数決にかける(二院制など)
3.多数決で物事を決めるハードルを過半数より高くすること、の三つを挙げている。

  しかし、そもそも多数決は、人間が判断を間違わなくとも、暴走しなくとも、
  サイクルという構造的難点を抱えており、
  その解消には三分の二に近い値の64%が必要なのだ。
  そしてまた小選挙区制のもとでは、半数にも満たない有権者が、
  衆参両院に三分の二以上の議員を送り込むことさえできる。
  つまり第96条は見かけより遙かに弱く、より改憲しにくくなるよう改憲すべきなのだ。
  具体的には、国民投票における改憲可決ラインを、
  現行の過半数ではなく、64%程度まで高めるのがよい。(p.135)

その他、代表制と直接制が正反対の結果を生み出しうる
「オストロゴルスキーのパラドックス」や、
二項独立性と満場一致制を満たす集約ルールのうち、
独裁的でないものは存在しないという「アローの一般可能性定理」などが興味深かった。





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Last updated  2015.07.12 17:03:41 コメントを書く
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