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鳩山政権に対する米国防総省の怒りが高まっているようだ。言うまでもなく、最大の原因は沖縄の基地問題である。何しろアメリカは自国の軍隊を自分たちの力で維持する能力がなくなりつつある。しかも、アフガニスタンとイラクでの戦争で戦闘能力にも疑問符がついた。ある種の反米勢力は、アメリカ軍をアフガニスタンやイラクに縛り付けてアメリカという国を疲弊させようとしている。そうした中、気前よく大金を提供してくれる日本は重要な存在で、自立などさせるわけにはいかないだろう。 かつて、自民党にもアメリカと一線を画そうとした政治家がいた。例えば、鳩山一郎と河野一郎、少し後では中川一郎たちだ。鳩山たちは吉田茂への対抗心もあり、ソ連に接近して1956年には「日ソ共同宣言」に調印、両国の「戦争状態」を終結させた。ある元特務機関員によると、こうした行為を許せなかったアメリカのある種の人々は、河野一郎を暗殺しろと命じたという。 中川一郎は「タカ派」として知られていたが、その一方でアメリカとは一線を画そうとしていた。そこで、ソ連に接近していく。1983年1月にホテルで変死する直前は、そうした状況だった。その直後、自民党の内部で「他殺説」が流れていたことは事実だ。ある特定の名前が犯人、あるいは協力者として噂されていた。 ところで、日本の警察庁や法務省では幹部候補者をアメリカで研修させることがあるようだが、そこでアメリカの影響下に入ってしまうことが珍しくないようだ。同じことはマスコミでも言えるが。 例えば、インドネシアのケース。この国では1965年にクーデターがあり、スカルノ大統領は1967年に解任され、スハルトが大統領に就任した。この際、「バークレー・マフィア」とか「バークレー・ボーイズ」と呼ばれるアメリカ帰りの若者がスカルノ体制を倒す重要な役割を果たしている。 この若者たちは富裕階級の子息で、アメリカに留学していた。留学先でアメリカに従えば面白おかしく生きていけると実感し、アメリカの手足として動いたわけだ。アメリカの権力者は、こうして自分たちのネットワークを広げていく。 当然、日本の内部にも似たようなネットワークは存在し、アメリカの権力者にとって邪魔な存在を排除している可能性がある。そうしたネットワークが検察庁に及んでいないとは言えない。前回の総選挙の前から検察当局は民主党を敵視する捜査を続けているように見えるが、こうした動きにアメリカのネットワークが関係しているのかどうか、注意深く見ていく必要がある。 民主党政権が掲げる公約の中にはアメリカだけでなく、巨大企業と利害が衝突する項目もある。最低賃金の引き上げは、中米ホンジュラスでもクーデターの主因になっている。日本のマスコミは取り上げないが、国際的には不公平な利益配分、つまり一部大企業の重役たちだけが富を独占するシステムを変えるべきだと考えられるようになってきた。つまり、法人や富裕層の税率を引き上げるべきだということだ。 そんなことをしたら企業が国外へ逃げる?逃げたければ逃げればいい。日本ほど法人に「やさしい」国を探すとしたら独裁色の濃い国だろうが、西ヨーロッパでないことは確かだ。アメリカ?アメリカで日本企業が公正に扱ってもらえるはずはない。権力者に尻の毛まで抜かれるのを待つか、この辺で大企業依存の発想を捨て去るか、日本の庶民は選択を迫られている。
2009.10.29
まだ強がっているものの、イスラエル政府は追い詰められている。イスラエル軍のガザ地区侵攻で国際人道法に違反する行為があったと結論づけた国連調査委員会の報告書を葬り去ろうとイスラエル政府は必死で、ロシアを牽制する一方、国連の潘基文事務総長に対し、和平プロセスが崩壊すると脅している。要するに、和平プロセスを進める代償としてパレスチナ人を自由に迫害させろということだ。 イスラエルを「建国」して以来、ガザ地区やヨルダン川西岸からパレスチナ人を追い出したいとイスラエル政府は考えている。1967年にイスラエルは奇襲攻撃でエジプト、ヨルダン、シリアなどの軍隊を粉砕してヨルダン川西岸とガザ地区を占領、約44万人のパレスチナ人をヨルダン川の東側へ追い出しているが、両地域をイスラエル政府は自分たちの領土にする予定だったということだ。イスラエル政府にとって、和平とは、こうした地域からアラブ系住民を全て追い出すことを意味しているはずだ。 1967年の奇襲攻撃とは「第三次中東戦争」だが、この戦いでイスラム諸国はふがいなかった。このときに孤軍奮闘、イスラエルと戦ったのがファタハであり、そのファタハのスポークス・パーソンだったのがヤセル・アラファトだ。言うまでもなく、PLO(パレスチナ解放機構)の議長になる人物である。このファタハが今回のガザ侵攻ではパレスチナ人を裏切る形になった。当初、国連人権理事会で報告書を支持する決議案の採決にファタハが主導権を握るPA(パレスチナ自治政府)は反対したのだ。当然、パレスチナ人は反発し、事態の深刻さに気づいた自治政府は方針を転換し、決議案は採択されたものの、一度失った信頼を取り戻すことは不可能に近い。 今回の問題ではパレスチナ人だけでなく、全世界でイスラエルを批判する声があがっている。イスラエルのエウド・オルメルト元首相がアメリカのサンフランシスコで講演した際には「戦争犯罪人」とか「大量殺戮犯」という罵声を浴びている。イスラエル政府は裏で様々な脅しをかけているだろうが、庶民には通じない。この件でアメリカ政府がイスラエルの肩を持ちすぎると、自分たちの立場も苦しくなる。イランの核問題も「目眩まし」にはなりそうもない。 昨年12月に行ったガザ地区への軍事侵攻で約1400名のパレスチナ人を殺害しているのだが、その際に白リン弾のような「化学兵器」やGBU-39(スマート爆弾)の使用が明らかにされている。それ以外にも、国際人道法に反する行為があったことを示す多くの証拠を国連の調査委員会は発見している。 しかし、考えてみれば、建国以来、イスラエル政府はアラブ系住民の殺戮を続けてきたが、これまでは大きな問題にならずにすんできた。1982年にレバノンへイスラエル軍は軍事侵攻し、ファランジスト党の党員がサブラとシャティーラの難民キャンプで多くのパレスチナ人を殺害しているが、この事件は切り抜けた。 レバノンでの虐殺を受け、「親イスラエル」だったイギリス労働党はイスラエルと一線を画すようになったが、すぐにイスラエルの資金で台頭してきたトニー・ブレアに党を乗取られて「ニュー・レーバー(新労働党)」が誕生した。が、そのニュー・レーバーも今では崩壊寸前だ。今回のガザ侵攻も何とかなるとイスラエル政府は考えたのだろうが、すでに「虐殺の自由」を享受できる時代ではなくなっている。イスラエル系の人々も、軍事強硬路線に危機感を持ち始めている。
2009.10.25
10月18日にイランで自爆攻撃があり、革命防衛隊の司令官や部族指導者を含む40名以上が殺されたという。攻撃の舞台になった体育館ではその日、シーア派とスンニ派の部族長が一堂に会する予定だったとも報道されている。この攻撃を実行したと名乗り出た「ジュンダラー(アラーの兵士)」は、これまでもイラン国内で破壊活動を続けてきたスンニ派の武装組織だ。 イラン国内の不安定化を狙って活動を続けるジュンダラーは、例えば2007年にも革命防衛隊を攻撃し、11名以上を殺害している。このグループはアルカイダとのつながりも噂され、イラン政府はアメリカやイスラエルの関与を主張している。資金源として麻薬取引を利用しているとも言うが、これはアメリカ情報機関の常套手段だ。ジュンダラーとの関係をアメリカ政府は否定しているが、アメリカの情報機関/特殊部隊がイラン国内で秘密工作を展開していることは事実のようだ。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、ジョージ・W・ブッシュ大統領の要請で、アメリカ議会はイランでの秘密工作に必要な予算を2007年に承認している。秘密工作はCIAやJSOC(統合特殊作戦司令部)が中心になって展開されてきた。その手先として利用されているのがイランのMEK(ムジャヒディン・ハルク)やクルドの分離独立派。勿論、こうしたグループから見ると、アメリカ政府を利用してイラン政府を倒そうとしているのだが。 秘密工作だけでなく、イランを攻撃しろとイスラエルやアメリカのネオコン(親イスラエル派)は主張してきた。ジョージ・W・ブッシュ政権で国連大使を務めたジョン・ボルトンたちは、イランへの核攻撃を訴えている。イスラエル政府やネオコンがイランを敵視していることは確かだが、現在はそれ以外の要素が働いていると見るべきだろう。 昨年12月にイスラエル軍が行ったガザ地区への軍事侵攻をめぐり、マスコミが好きな表現を使うならば、「国際社会」と敵対関係にある。こうした批判を少しでも弱めるためにイラン批判を展開し、イラン国内で「テロ」を煽って人々の目をイランに向けさせようとしている可能性がある。 問題になっているイスラエル軍のガザ侵攻では、ガザ地区に住む多くの住民が殺されただけでなく、国連の施設も破壊されている。もっとも、2006年にレバノンへ軍事侵攻した際にも白リン弾をイスラエル軍は使用、また「国連レバノン暫定駐留軍」の駐屯基地を攻撃しているわけで、国連を尊重する意思など更々ないのだろう。 ガザへの侵攻では、早い段階から白リン弾やGBU-39(スマート爆弾)の使用が明らかにされ、「国際社会」から批判の声はあがっていた。イスラエルを見る「国際社会」の目は厳しくなっている。今でもイスラエルは「反セム主義」という「呪文」で逃げようとするが、そうした呪文で全てが許される時代は去った。 ちなみに、「セム」とはセム語族系の言語を話す民族の総称で、アラブ人や「ユダヤ人」などが含まれているとされている。ただ、「ユダヤ人」とは「ユダヤ教徒」を意味しているわけで、民族というわけにはいかないが。そのため、イスラエル政府は「ユダヤ人」を統合するため、ヘブライ語を復活させたわけだ。 現在、アメリカではアラブ人を含むイスラム教徒が差別され、敵視されている。つまり「反セム主義」が広まっていることになるのだが、メディアや政治家などは「セム」からアラブ人を消し去り、「ユダヤ人」と同じ意味で使っている。イスラエル政府は国連の調査委員会が作成した報告書に対しても「反セム主義」と批判しているが、効果はないだろう。これまで、キリスト教国では過去の迫害に罪の意識があるのか、「反セム主義」あるいは「反ユダヤ主義」という呪文に沈黙してきたが、すでに呪文はとけかかっている。建国以来、イスラエルが続けてきた殺戮の事実に人々は目を覚ましつつある。 また、アフガニスタンやイラクで100万人以上と言われる住民をアメリカ軍が殺していることを引き合いに出し、イスラエル政府はガザでの行為を正当化しているようだが、説得力はない。まず、アフガニスタンやイラクを先制攻撃したジョージ・W・ブッシュ政権の高官も「戦争犯罪者」だと批判され、裁判にかけるべきだとする声が小さくない。しかも、イスラエルは「戦闘行為」とは言えない残虐なことを行っていたと認定されているのだ。ハーグの国際法廷でイスラエルの違法行為が糾弾されたとしても、イスラエル政府は法廷が間違っていると主張するだけかもしれないが、アメリカの支援だけでイスラエルは存続できない。 ともかく、中東は緊迫している。日本列島はアメリカ軍の重要な出撃拠点なわけで、万一の場合に備え、沖縄にある米軍基地は神経を尖らせていることだろう。
2009.10.22
中東情勢は混迷の度を深めている。イスラエルはガザ攻撃が戦争犯罪だと非難されると和平交渉を止めると脅し、さらにイランを攻撃すると叫んでいる。その一方、アフガニスタンではイタリアとフランスとの関係が険悪になっている。アメリカのネオコン(親イスラエル派)政権を無条件で支持している日本政府(自公連立から民主を中心にする政権に交代したが、まだ変化は見られない)も人ごとではない。 国連人権理事会は15日に特別会合を開いて「ゴールドストーン報告」について協議し、16日の投票で報告書を支持する決議案が採択された。賛成25カ国、反対6カ国、棄権11カ国、投票しなかったのは5カ国だった。 その内訳を見ると、【賛成】がアルゼンチン、ブラジル、中国、ロシア、バーレーン、バングラデシュ、ボリビア、チリ、キューバ、ジブチ、エジプト、ガーナ、インド、インドネシア、ヨルダン、モーリシャス、ニカラグア、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、カタール、サウジ・アラビア、セネガル、南アフリカ、そしてザンビア、【反対】はアメリカ、ハンガリー、イタリア、オランダ、スロバキア、そしてウクライナ、【棄権】はベルギー、ボスニア、ブルキナファソ、カメルーン、ガボン、日本、メキシコ、ノルウェー、韓国、スロベニア、そしてウルグアイ、【無投票】はイギリス、フランス、マダガスカル、キルギスタン、そしてアンゴラだ。 決議案に反対した国がアメリカのほか、ハンガリー、スロバキア、ウクライナというソ連(ロシア)からアメリカへ乗り換えた国と、秘密結社P2のメンバーを首相とするイタリア、そしてオランダだけだった。日本のマスコミの中には「米国や欧州諸国などは反対票を投じた」としている会社もあるが、この表現は明らかに嘘である。 また、ガザ攻撃におけるイスラエルの行為を非難すると「中東和平交渉がさらに停滞する可能性もある」とか、「中東和平プロセスへの悪影響を懸念する声も根強い」というような「解説」をしている「報道機関」もあるが、人道法や人権法に違反する行為を容認する和平とは一体、何なのだろうか? 勿論、こうした「解説」をするのは、俎上に載せられている国がイスラエルだからにほかならない。別の国なら、厳しい制裁を加えろと叫んでいるだろう。 この決議でイタリアはアメリカに従って反対票を投じ、フランスは投票しなかった。このイタリアとフランスがアフガニスタンで対立している。 昨年の8月、カブールの近郊でフランス軍のパトロール隊が100名ほどの武装グループに襲撃され、10名のフランス兵が戦死し、21名が負傷している。この地域をフランス軍は比較的安全だと判断していたのだが、この状況判断の間違いを招いた原因がイタリアにあるとする情報が流れているのだ。 フランス軍は襲撃を受ける1カ月ほど前に到着したばかりで、その前にはイタリア軍がその地域を担当していた。イタリアの情報機関はアフガニスタンの武装勢力に接触し、交戦しない代わりに武装勢力側に数万ドルを提供していた、つまり賄賂を送っていたとする話をイギリスのタイムズ紙が伝えている。こうした事情をフランス軍は知らなかった。 この種の賄賂はアフガニスタンで横行しているらしい。度重なる戦争で経済基盤が破壊されたアフガニスタンでは、「日々の糧」を得るために襲撃を繰り返している人たちもいるようだ。バラク・オバマ米大統領が何を考えているのかわからないが、アフガニスタン情勢は完全に泥沼状態である。すでに戦争の体をなしていない。
2009.10.16
和平交渉から離脱するとイスラエル政府は「国際社会」を脅し、パレスチナ自治政府は必死にパレスチナ人の歓心を買おうとしている。両政府はイスラエル軍のガザ地区への軍事侵攻に対する反発を軽く見過ぎていた。この軍事侵攻を調べた国連の調査委員会は、イスラエル軍に人道法や人権法に違反する行為があったと報告してる。その報告書ではハマスの攻撃も批判されているのだが、攻撃の規模が決定的に違うわけで、その分、イスラエルにとって厳しい内容になっている。 リチャード・ゴールドストーンを中心にまとめられた報告書が撤回されない限り、イスラエルは和平交渉に応じないと言うのだが、フランスやイギリスのような国の政府からもきちんとした調査を実施するようにイスラエル政府は要求されている。前に行った同政府の調査は信用できないというわけだ。スーザン・ライス米国連大使は報告書を受け入れられないと発言しているが、イスラエル政府の主張をアメリカ政府が全面的に支援できる状況でもない。 本来なら、この報告書は国連人権理事会で採択され、その後に安全保障理事会へ回されるはずだったのだが、パレスチナ自治政府の意向で採択は来年3月まで延期されることになり、イスラエルに時間的な余裕ができた。パレスチナの人々が怒るのは当然なのだが、アメリカ政府ベッタリの自治政府は採択延期が招く結果を見通せなかった。これほど無能な人間にパレスチナ人の権利を守れるはずはない。イスラエル政府に自治政府は脅迫されていたとも言われているが、脅迫されるようなことをするのが愚かなのである。 自治政府の求めに応じ、国連の安全保障理事会でゴールドストーン報告について討議、それに続いて人権理事会でも議論されているが、これで自治政府が信頼を取り戻せるとは思えない。 こうした動きの中、ジョージ・W・ブッシュ政権で国連大使を務めたジョン・ボルトンはイランへの核攻撃を訴えている。イランを攻撃するという主張は間欠泉のようにイスラエル政府から出ているが、ボルトンというアメリカの親イスラエル派を利用し、「国際社会」を脅迫しているように見える。そう言えば、アメリカのメディアは怪しげなイランの「核施設話」を展開していた。 イスラエルは自分たちが保有している核兵器の威力を過信しているのかもしれない。現在、この国は70発から400発の核弾頭を保有していると言われている。ジミー・カーター元米大統領は150発という数字を出している。いずれにしろ、イギリスやフランスに匹敵する世界有数の核兵器保国である。いずれにしろ、パレスチナ自治政府と同じように、イスラエル政府は情勢を見誤った。 勿論、イスラエルの問題は日本にとっても人ごとではない。にもかかわらず、日本のマスコミはこの問題に関心がなく、報道する価値がないと思っているようだ。イスラエルにとって都合の悪い情報は伝えたくないのかもしれないが。
2009.10.15
岡田克也外相が10月11日にアフガニスタンを電撃訪問し、ハーミド・カルザイ大統領と会談した。政府を安定させるように激励したらしいが、8月に行われた大統領選挙は未だに混乱が続いている。岡田外相がカブールに降り立ったその日、国連のカイ・エイデ特別代表も大統領選挙で大規模な不正があったことを認めざるをえなくなった。 選挙の不正は次席代表だったピーター・ガルブレイスが訴えていたこと。カルザイ大統領が獲得したとされている得票数のうち、三分の一は不正行為によるものだと告発、しかもこの事実を公表しないようにエイデ代表から命令され、潘基文国連事務総長から報道機関へ話さないように言われたと語っている。こうした告発を否定しきれなくなったということだ。 言うまでもなく、アフガニスタンを舞台とする戦争は2001年10月、アメリカとイギリスによって始められた。同年9月にニューヨークの高層ビルに航空機が突入、ペンタゴンも攻撃されたことに対する「報復」だとされた。 この攻撃を日本では「同時多発テロ」と呼んでいるが、この攻撃を誰が実行したのかは明確でなく、自作自演説も指摘されている。突入後のビル崩壊やペンタゴン攻撃の不自然さを指摘する人は少なくない。(筆者も公式見解に説得力はないと感じている) 攻撃から1カ月に満たない期間にアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権は「犯人」をアル・カイダだと断定、そのアル・カイダをアフガニスタンのタリバン政権が匿っていると主張して攻撃を始めたわけだが、タリバン政権はアル・カイダの引き渡しに応じる姿勢を見せていたとする話も伝わっている。 ニューヨークとペンタゴンでの出来事だけでは「大義」が足りないと思ったのか、ブッシュ大統領は2002年1月に、アル・カイダがアメリカの原子力発電所や浄水施設を攻撃する計画を持っていると宣伝したが、2年もすると、この発言が全くの嘘だということが明確になった。 アフガニスタンやイラクで行われている戦争の欺瞞性が隠せなくなりつつあった2004年にひとりのアメリカ兵が戦死した。NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のアリゾナ・カージナルスに所属していたパット・ティルマンが味方の兵士に殺されたのだが、故意の殺人だった可能性が指摘されている。この殺人(戦争自体、大量殺人だが)は隠しきれず、公になった。 殺される前、ティルマンはイラク戦争に反対していて、ノーム・チョムスキーと会う手はずになっていたという。勿論、チョムスキーはアメリカの軍事行動に批判的なマサチューセッツ工科大学の教授だ。 アフガニスタンにしろ、イラクにしろ、アメリカの政府やメディアは嘘で人々を欺きながら戦争を続けてきたのだが、もう限界に達している。日本のエリートたちは目先の個人的な利益に目がくらみ、ブッシュ政権がはじめた戦争を支えてきたが、もう足を洗うべきだ。戦争支援は「国民益」に反している。
2009.10.12
シーア派イスラム教徒の聖地であるコムの近くでイランは「ウラン濃縮施設」を建設中である。この施設についてイラン政府は9月21日にIAEA(国際原子力機関)へ通告したのだが、ニューヨーク・タイムズ紙を始め多くのメディアが施設と核兵器の開発を結びつけて報道、「イランの脅威」を演出している。 本コラムでも書いたように、アメリカ政府がこの施設について語ったのは9月25日。その話を翌日、ニューヨーク・タイムズ紙が伝えている。イラン政府が小規模な核施設についてIAEAに通告したことを知り、内容が事実に反するので25日にピッツバーグでバラク・オバマ米大統領は拡散防止体制の基盤に対する直接的な挑戦だと非難したというのだ。この発言の根拠が曖昧だったため、アメリカ政府の主張は眉唾だと考える人が少なくない。 同紙によると、アメリカ政府がコムの施設を核プログラムの一環だと疑うようになったのは数カ月前。ただ、数年前に「疑惑の施設」を発見していたと匿名の情報機関オフィサーは主張しているという。来年にはフル稼働でき、毎年核兵器1発分の核物質を製造できるとも語っている。 こうした情報はアメリカ、イギリス、フランスの機関が共有し、イスラエルにも通告されているというのだが、話を裏づける証拠、あるいは根拠が示されているわけではない。匿名のオフィサーの「お話」だ。イラクへ先制攻撃する前の偽情報工作でも明らかなように、アメリカ政府から流れてくるこの手の話は信憑性に問題がある。 そこで、今度はCIAのレオン・パネッタ長官を引っ張り出してきた。それによると、CIAは3年前からコムの施設について知っていて、その事実を今年1月にパネッタ長官へ伝えたという。ただ、これはあくまでも「疑惑の施設」にすぎず、新長官はまともな情報を得るために数カ月の間努力したものの、決定的な情報は得られなかったようだ。 アメリカやイスラエルの政府、また宣伝係のメディアが描いてきた「イランの脅威」との整合性を維持するため、イランが自発的に施設の存在をIAEAに伝えたというシナリオにはしたくなかったようで、21日の通告は、アメリカ側がコムの施設の存在に気づいたことに気づいたということにしている。勿論、この主張を裏づける証拠も根拠も示されていない。アメリカ政府から出てくる情報が本当か嘘か、現段階では断定できない。 こうした中、オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞したようだ。本人は驚き、恐縮しているらしいが、これは核廃絶への道を歩き続けろというメッセージにも聞こえる。 今年4月、オバマ大統領はチェコの首都プラハで核兵器の廃絶を訴える演説を行い、包括的核実験禁止条約の批准を積極的に推し進め、NPT(核不拡散条約)を強化すると宣言した。口にしたことを行動に移せということだろう。 アメリカの政府やメディアはイランの「核開発」を熱心に攻撃しているが、IAEA(国際原子力機関)は9月、イスラエルに対してNPT(核不拡散条約)への参加と査察受け入れを呼びかける決議を可決している。この決議をノーベル平和賞の受賞者が無視するのは「勇気」のいる行為だろう。
2009.10.09
リビアの要求で国連安全保障理事会は「ゴールドストーン報告」に関する非公開の会議を開き、特別会の開催は拒否されたものの、報告が提起した問題に取り組むための会議を定期的に開くことでは合意した。アメリカやイスラエルは報告書を葬り去りたいようだが、そうしたことのできる時代ではなくなったということだ。 それにしても、国連人権理事会での採択を延期させたPA(パレスチナ自治政府)の責任は重い。その重さをPAは採決の延期が決まってから気づき、リビアの要求にPAも同調したようだが、もはや手遅れである。ガザ地区にはマフムード・アッバース大統領を批判する数百枚のポスターが貼られ、住民の多くは靴を脱いで、そのポスターをたたいて怒りを表現している。 ガザの問題に関しては、エジプト政府も神経質になっているはずだ。なにしろ、イスラエルの兵糧攻めにエジプトも協力してきたからである。兵糧攻めは戦術の中でも残虐度の高いもの。現在は暴力的な手法で国民の反発を抑え込んでいるが、いつ爆発してもおかしくはない。長年、親米路線をとってきたサウジアラビアにとってもイスラム社会のイスラエルやアメリカに対する怒りは気が気でないだろう。エジプトよりも体制は不安定化している。 今回、PAが致命的な間違いを犯した原因は、自分たちの役割がパレスチナ人の生活を守り、権利を奪い返すことにあることを忘れた結果だ。パレスチナ社会の「権力者」になったファタハは、その権力を維持するためにアメリカ政府の動向に気をとられ、アメリカ政府が嫌う報告書の採択延期に同意してしまい、自分たちの存在基盤が崩れてしまったのである。 そうしたPAの権力欲を利用してパレスチナ社会を分裂させ、殺し合いへと導いたのがアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権。大統領の承認を受け、コンドリーザ・ライス国務長官とエリオット・エイブラムズ副補佐官は内乱を誘発させたと言われている。 ちなみに、エイブラムズはネオコン(親イスラエル派)の中核グループの一員。1980年代にはイランへの武器密輸とニカラグアの反政府ゲリラへの違法な支援活動に加わったほか、2002年にベネズエラで試みられた反ウーゴ・チャベス大統領のクーデターでは黒幕のひとりとして名前が挙がっている。 ライスとエイブラムズが利用したのは、ファタハの実力者でハマスとの戦闘を繰り広げてきたムハマド・ダーランの部隊。新型兵器をこの部隊に提供してハマスが主導する政府を排除しようとしたのだが、失敗した。 もっとも、アメリカやイスラエルが本気でハマスを壊滅させようとしているかどうかは不明だ。本コラムでも何度か書いたように、ハマスを生み出したのはイスラエルだからである。ハマスが優位になればファタハを支援し、ファタハが優位になればハマスを支援して両勢力を疲弊させ、自滅させようとしているように見える。「ゴールドストーン報告」をめぐる混乱でファタハの幹部が一掃され、パレスチナ人、いやイスラム社会が団結することをイスラエルやアメリカは恐れているかもしれない。
2009.10.08
リチャード・ゴールドストーンを委員長とする国連の調査委員会がまとめたイスラエルのガザ侵攻に関する報告書について、安全保障理事会は緊急の会議を開くようだ。来年3月まで待つべきでないというリビアの要求に基づくものである。 国連人権理事会での採択を延期することに同意したPA(パレスチナ自治政府)は窮地に陥り、採択の延期は間違いだったと言い始めている。本コラムで書いたように、イスラエルからの脅しに屈したという情報が流れているほか、延期に同意すればアメリカ政府がイスラエル政府に対して外交プロセスを始めるように圧力をかけると説得したという話も伝えられている。この「説得話」には説得力はないが。パレスチナ経済にダメージを与えるとイスラエルから脅されているとも伝えられているが、すでにパレスチナは「兵糧攻め」されているわけで、これも「眉唾」だろう。 今回の一件はパレスチナ内部の権力構造を大きく変える可能性がある。最近はハマスの存在感が強まっていたとはいえ、これまでパレスチナ人を率いてきたのはPLO(パレスチナ解放機構)である。 1967年6月、イスラエルは奇襲攻撃でエジプト、ヨルダン、シリアなどアラブ諸国の軍隊を6日間で粉砕、ヨルダン川西岸とガザ地区を占領したのだが、このときに孤軍奮闘したのがファタハであり、そのスポークス・パーソンがアブー・アンマール(ヤセル・アラファト)だった。PLOは1969年2月、このアラファトを執行委員会議長として活動を始めている。 この戦争は「第3次中東戦争」と呼ばれているが、ヨルダン川西岸やガザ地区の問題はこのときから始まっている。この戦争は「建国時」に占領できなかった地域を奪うことが目的だったとも言われていて、イスラエルが両地域を手放す可能性は限りなくゼロに近いと言える。イスラエルの本音は、全てのパレスチナ人、つまりアラブ系住民をヨルダンへ追い出したいということだろう。ちなみに、アメリカのキリスト教系カルト(原理主義者)がイスラエルに急接近するのは、第3次中東戦争の後からである。圧倒的な軍事力に魅了されてしまったようだ。 そのガザでファタハの指導者でもあるマフムード・アッバースは致命的な間違いを犯してしまった。イスラエルはアラファトを暗殺しなかったが、彼の後継者と目されていた人々を次々に殺し、残ったのがアッバース。イスラエルの戦略は成功したと言えるかもしれない。そのアッバースが大統領の座に今後もとどまることは難しい状況だ。
2009.10.07
本コラムでも書いたように、イスラエル軍のガザ地区への軍事侵攻で人道法や人権法に違反する多くの行為があったことを認める報告書をリチャード・ゴールドストーンを委員長とする国連の調査委員会はまとめた。続いて国連人権理事会で採択した後に安全保障理事会へ回されることになっていた。 スーザン・ライス米国連大使は報告書を受け入れられないと発言、イスラエルは中東和平交渉を崩壊させると脅していたが、それで報告書の内容が変わるはずはなく、イスラエルの戦争犯罪が裁かれる方向へ動いていたと言える。 ところが、その採択が来年3月まで延期されることになった。しかも、延期を求めたのがPA(パレスチナ自治政府)だということで、騒動になっている。勿論、その背後にはアメリカとイスラエルが存在している。 実は、今年5月、アメリカはこれまでの政策を転換して人権理事会の理事国を改選する選挙に立候補して当選している。そのおかげで理事会の内部で報告書を批判し、採択に抵抗することができたのだが、PAが採択の延期を求めたのはイスラエルからの脅迫に負けたからだと言われている。 パレスチナ解放闘争の象徴的な存在だったヤセル・アラファトが2004年に死亡すると政権を運営していたファタハの堕落が目に見える形になって人々の支持を失い、2006年の総選挙ではハマスが勝利した。それ以来、ファタハとハマスの武力衝突が繰り返され、イスラエルとの戦いどころではなくなった。 こうした敵対関係にあったため、イスラエル軍がガザ地区へ軍事侵攻した際にPAのマフムード・アッバース大統領はイスラエルのエウド・バラク国防大臣に対してガザでの作戦を継続するように求め、アベド・アルラヒム事務局長は攻撃でガザ地区のハマス体制が崩壊することを願うという趣旨の発言をしていたとされている。イスラエルはこうしたやりとりを暴露するとPAを脅したというのだが、十分にありえる話だ。 イスラエル政府としてはアッバースの失脚は望んでいないようなので、どこまで追い詰めるかは微妙なところだが、ハマスもイスラエルとは深いつながりがある。つまり、ハマスの創設にイスラエルが重要な役割を果たしているから不思議だ。 ハマスという名前の組織が誕生したのは1987年のことだが、受胎したのは1970年代後半のこと。イスラエルはアラファトが率いるPLOの勢力を弱める目的で、PLOのライバルを育てることにした。そして目をつけられたのがシェイク・アーマド・ヤシンだ。反アラファトという点でイスラエルの強硬派とヤシンの思惑は一致していた。そして、ハマスがイスラム協会の軍事組織として姿を現し、イスラエルに対する武装闘争を始めることになるわけで、イスラエルは自分たちを攻撃するモンスターを作り上げてしまったようにも見える。ま、どこで、どのように、つながっているのかは不明だが。
2009.10.07
10月4日付けのワシントン・ポスト紙に興味深い寄稿文が掲載された。先週、国連事務総長特別副代表を解雇されたピーター・ガルブレイスがアフガニスタンで行われた選挙の実態を暴露したのだ。 ガルブレイスによると、ハミド・カルザイ大統領が獲得したとされている得票数のうち、三分の一は不正行為によるものだというだけでなく、この事実を公表しないように上司のカイ・エイデ代表から命令されたというのである。しかも、解雇される直前に国連事務総長の潘基文から報道機関へ話さないように言われたという。言うまでもなく、カルザイ政権はアメリカのお気に入りである。 今回の選挙に対する「先進国」のメディアの態度もイランのときとは全く違う。マフムード・アフマディネジャドの勝利をメディアは不正に基づくもので無効だと激しく攻撃していたが、組織的な不正行為があったことを示す証拠は提示されていない。 しかも、イランの場合は投票の3週間前にアメリカのNPO「TFT(恐怖のない明日)」が行った調査で、ダブルスコア以上の差でアフマディネジャド大統領が圧勝するという結果が出ていた。つまり、少なくとも結果を見る限り、大規模な不正が行われたとは言えないのだが、ヒステリックにアフマディネジャドを攻撃していた。 それだけ選挙の公正さに敏感な記者ならば、投票の際に国連事務総長特別副代表を務めていた人物の不正告発にも敏感に反応し、カルザイ政権を攻撃しなければ話が合わない。どのように攻撃するのか、見物である。 最近では、イランの新しい「ウラン濃縮施設」が問題になっているが、この施設に関してイラン政府は9月21日にIAEA(国際原子力機関)へ通告済みだということは本コラムでも指摘した通り。アメリカの政府やメディアがイラン攻撃を始めるのは24日からで、イランの通告を批判の材料にしただけだと言われても仕方がないだろう。 ところで、イランを爆撃するべきだと叫びつつけているイスラエルはイラン以上に追い詰められている。ガザ攻撃が戦争犯罪だということは、国連の調査委員会が認めている事実。この委員会を率いたリチャード・ゴールドストーンは南アフリカの判事だが、イスラエル系だ。ちなみに、イランのアフマディネジャド大統領も祖先にユダヤ教徒がいる。 この調査に限らず、イスラエルの残虐行為に対する世界の目は厳しくなり、イスラエルの副首相で戦略問題担当大臣のモシェ・ヤーロンはイギリス訪問を取りやめた。2002年に実施されたガザ空爆に絡んで逮捕されることを懸念したのである。この問題を日本のマスコミがどのように伝えるのか、楽しみである。 そのマスコミは、どうやら予想以上に早く民主党政権を攻撃し始めたようだ。アメリカにしろ、財界を中心とする日本の権力システムにしろ、かなり新政権を恐れているようだ。ダム問題などでも建設推進派の代弁者のような姿勢を維持している。この辺の事情を伝えているのは例えば、ジャーナリストのまきのあつこ氏のサイトなど、インターネットである。 民主党を攻撃しているのは検察特捜部も同じだ。小沢一郎に続いて鳩山由紀夫のカネを問題にしているようだ。法律問題を論じる能力はないのでこの方面には触れないが、自民党など財界と緊密な関係にある政党を不問に付した状態で「正義」をかざしても説得力がないとは言える。 このところ、検察が言論弾圧を強化していることも忘れてはならない。東京都葛飾区のマンションに立ち入り、政党のビラを配った住職が住居不法侵入罪で逮捕、起訴されていたが、最高裁も有罪にする可能性が高いという。検察だけでなく、司法全体が言論統制を本格化しているわけだが、こうした動きと特捜部の民主党攻撃が無関係だとは言えない。インターネット上では、小泉純一郎/竹中平蔵路線を批判していた植草一秀氏の事件も冤罪だとする主張をよく目にするが、確かに不可解な事件である。この事件について詳しく調べたわけでないので断定的なことは言えないのだが、検察の動きを見ていると、あり得る話だ。植草氏は刑期を終えて活動を開始したようなので、今後に期待しよう。
2009.10.05
2016年に開かれる第31回夏期オリンピックの開催地を決めるIOC(国際オリンピック委員会)の総会がコペンハーゲン(デンマーク)で開かれ、南アメリカのリオデジャネイロ(ブラジル)に決まった。シカゴ(アメリカ)は第1回目の投票で最下位になって落選し、日本も第2回目に消えた。アメリカからバラク・オバマ大統領が総会に出席し、演説しているが、効果はなかった。アメリカが現在、置かれている状況を象徴するような結果と言えそうだ。 そのオバマは今年4月、チェコの首都プラハで核兵器の廃絶を訴える演説をし、包括的核実験禁止条約の批准を積極的に推し進め、NPT(核不拡散条約)を強化すると宣言しているのだが、その翌月にはイスラエルが査察を受けることなく核兵器を保有してかまわないとベンジャミン・ネタニヤフ首相に保証したと言われている。つまり、1969年に結ばれた秘密合意をオバマ大統領も尊重することを確認したわけだ。この合意は、アメリカのリチャード・ニクソン大統領とイスラエルのゴルダ・メイアー首相との間で結ばれている。 この合意によって、イスラエルはNPTに拘束されることなく核兵器を保有できるようになった。今年、IAEA(国際原子力機関)はイスラエルに対し、NPT(核不拡散条約)に参加して査察を受け入れるように呼びかける決議を可決しているのだが、この決議と秘密合意は相容れない。世界の全ての国がNPTへ参加するように求めてはいないということである。 そして現在、イスラエルは70発とも400発とも言われる核弾頭を保有するまでになっている。ジミー・カーター元米大統領は150発という数字を出しているが、それ以上持っている可能性が高く、イギリスやフランスに匹敵する世界有数の核兵器保有国だということになる。しかも、1973年の第四次中東戦争でイスラエル政府は実際に、核兵器を使おうとしている。 それに対し、近代になってから侵略戦争をせず、先制攻撃をしていないイランの核開発や弾道ミサイル開発活動は「真の脅威」だとオバマ大統領はプラハでも主張している。世界有数の核兵器保有国で、しかも実戦で使おうとしたことのあるイスラエルは放置したまま、まだ核兵器を開発していないイランを脅威だと攻撃しても説得力は全くない。 イスラエルはアメリカと同じように戦争ビジネスが基幹産業の国で、軍事予算が多いのに対し、イランはスウェーデンやシンガポールなどよりも軍事予算が少ないと言われ、軍事国家とは言えないのである。 本コラムでは何度か指摘しているが、イラン大統領がイスラエルを軍事的に攻撃する意志を表明しているという話は「誤訳」に基づく主張であり、間違っている。語学的な能力の問題ではなく、意図的に「誤訳」した可能性もある。 ホロコーストに関する話も本コラムでは既に触れているので、ここではやめておくが、とにかく「先進国」のイラン批判には嘘が多い。日本の政府やマスコミも同類だ。マスコミの中には、アメリカがイランの秘密核施設を発見したと今でも伝えているところがあることに驚かされる。この件についても本コラムで既に触れている。 第2次世界大戦の際、日本のマスコミは「大本営発表」を垂れ流し、国民を悲惨な方向へと導いて「悲劇」を作り出した。そうした過去を反省することなく、今も事実を軽視して強大な権力を握る人たちのプロパガンダを続けているのだが、インターネットの発達した現在では「喜劇」だ。自分たちの滑稽さに早く気づいてもらいたいものである。
2009.10.02
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