《櫻井ジャーナル》

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2015.11.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 11月4日に日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式が上場される。「郵政民営化」の一環だが、実際はアメリカの巨大資本による略奪にほかならない。

 アメリカ支配層が財産を増やす手段のひとつが「私有化」と「規制緩和」だということは広く知られている。ソ連が消滅した直後のロシアをはじめとする旧ソ連圏は典型例で、大多数の庶民が貧困化すると同時に、政治を支配する腐敗勢力と手を組んだ「実業家」が巨万の富を手に入れて「オリガルヒ」と呼ばれるようになった。

 そうした仕組みを導入するために軍事力が使われることもあり、その一例が1973年9月11日にチリでサルバドール・アジェンデ政権を倒した軍事クーデター。CIAの支援を受けてのクーデターだったが、それを背後で操っていたのがヘンリー・キッシンジャーだ。

 日本で「民営化」、つまり私有化の推進を宣言したのは中曽根康弘首相であり、その政策をさらに進めたのが小泉純一郎首相。中曽根の私有化を象徴する会社が「国鉄」だとするならば、小泉は「郵政」だ。「郵政民営化」の過程に疑惑があると主張、日本郵政の西川善文社長の再任を拒否すると宣言した鳩山邦夫総務相は更迭された。

 2001年4月に小泉政権が誕生、翌年の12月に開かれた会合から郵政の私有化が始動している。その会合に出席したのは三井住友出身の西川のほか、竹中平蔵、ゴールドマン・サックスの重役ふたり、つまりCEOを務めていたヘンリー・ポールソンとCOOだったジョン・セインだとされている。

 その後、ポールソンは財務長官に就任、またセインはメリルリンチのCEOになるのだが、リーマン・ブラザーズの倒産を切っ掛けにして表面化した金融破綻の中でセインは不適切な行動の責任を取らされて追放、ポールソンは巨大金融資本を救済してからホワイトハウスを去った。

 金融破綻の原因を作ったのは巨大金融機関だが、この時、アメリカ政府は「大きすぎて潰せない」という理屈で金融機関を救済、「大きすぎて処罰できない」ということで経営陣を助けた。この「泥棒に追い銭」的な政策を立案、実行したのがガイトナーに外ならない。この当時、こうした支援に郵貯マネーを投入しようと提言したのが竹中平蔵だ。

ポールソンは今年4月、マイケル・ミルケンが主催した会議に別の元財務長官ふたりと一緒に参加 、演壇に並んでいる。つまり、1995年から99年まで長官だったロバート・ルビン、2006年から09年までのヘンリー・ポールソン、そして09年から13年までのティモシー・ガイトナーだ。ちなみに、ルビンは1990年から92年にかけてゴールドマン・サックスの上席パートナーシップ兼共同会長を務めている。



 郵政関連の株式が上場される直前、安倍晋三首相は中国や韓国の首脳と会い、対話、討議、協力などを再開することにしたようで、マスコミが大きく取り上げている。問題が解決されたわけでも、日中韓の間に友好関係が築かれたわけでもない。「安全保障法制」や原発再稼働の強行で高まっている批判を和らげようとでもしているのだろう。

 何しろ、安倍晋三首相は6月1日、官邸記者クラブのキャップとの懇親会で 「安全保障法制」は「南シナ海の中国が相手」 だと口にしたと伝えられているが、その南シナ海へアメリカの好戦派はイージス艦を派遣して中国を刺激している。1992年に作成された世界制覇プロジェクト、いわゆる「 ウォルフォウィッツ・ドクトリン 」も生きている。

 現在、アメリカは中国やロシアを封じ込める枢軸としてベトナム、フィリピン、日本を据え、そこへ韓国、インド、オーストラリアを結びつけようとしている。日本が韓国を怒らせていることにアメリカの支配層は怒っているだろう。また、アメリカにとってロシアと中国との連携は好ましくない事態で、実現できるかどうかはともかく、何らかの形で両国を離反させたいとも考えているはずだ。

 そうした点で、安倍首相が中国や韓国の首脳と会ったことには意味があるかもしれないが、長続きはしないだろう。せいぜい、選挙まで。





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最終更新日  2015.11.03 11:39:41


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