シリアのイドリブ、シリア東部からイラク西部にかけての地域、ホルムズ海峡などで軍事的な緊張が高まっている。緊張の原因を作っているのはアメリカ。ソ連消滅後の1990年代からアメリカの有力メディアは軍事侵略の旗振り役を演じてきたことも事実だ。
2015年9月30日にシリア政府の要請で介入したロシア軍の攻撃でジハード傭兵の支配地域は急速に縮小してきたが、イドリブはまだ傭兵に支配されている。
イドリブの武装集団はアル・カイダ系のアル・ヌスラ、あるいはその集団と連携していると言われている。アメリカのCIAの影響下にあり、イギリスの特殊部隊SASやフランスの情報機関DGSEのメンバーが指揮しているとも報告されている。
それだけでなく、イドリブの武装集団はトルコともまだ関係が続いているようだ。最近もトルコから軍事物資がイドリブへ運び込まれたとする情報が流れた。ロシアやイランへ接近しているトルコがイドリブではロシアと対立する情況にある。
2011年3月に外部勢力が傭兵を使ってシリアへの侵略戦争を始めた当時、その主な拠点はトルコにあるアメリカ空軍のインシルリク基地。そこで戦闘員を訓練し、そこから物資をシリア国内へ運んでいた。
当時のような役割をトルコは果たしていないが、戦闘集団との関係は清算できていない。アメリカにとって、そこが付け目だろう。この難問をシリアやロシアは解けるだろうか?
シリアやロシアがイドリブを制圧した場合、それまでそこを支配していたジハード傭兵は国境を越えてトルコへ流れ込む可能性がある。すでにアメリカの軍や情報機関は相当数の戦闘員(おそらく傭兵の幹部、各国の情報機関員や特殊部隊員)を避難させているが、「雇い止め」になった傭兵は厄介な問題だ。
当初から傭兵の主な供給国はサウジアラビアだが、それ以外にもさまざまな地域から集まっている。例えばチェチェン、新疆ウイグル自治区、フィリピンのミンダナオ島、ワッハーブ派への改宗工作が数十年にわたって続けられてきたインドネシア、中国西部の新疆ウイグル自治区など。ミャンマーのロヒンギャが住む地域へも戦闘員が潜り込んでいるとも言われている。そしてヨーロッパへ帰る戦闘員もいる。東南アジアから人が流れ込むルートを整備している日本も無関係ではない。