ハマスはムスリム同胞団系の武装組織。イスラエルから承認を受けたうえでカタールから資金を得てきたと言われている。イスラエル政府はハマスのガザ支配を積極的に支援していたのだ。
創設者のシーク・アーメド・ヤシンはムスリム同胞団の一員で、1973年にムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を、そして76年にはイスラム協会を設立している。ハマスは1987年、イスラム協会の軍事部門として作られた。
イスラエルの元国会議員、モシェ・ファイグリンによると、このハマスを壊滅させるために「ガザをドレスデンや広島のように破壊」するのだという。実際、ガザはそうした状況で、すでの1万1000人以上の住民が殺され、そのうち約4割が子どもだ。自分たちが作り上げた「フランケンシュタイン」を壊滅させるという名目でガザのパレスチナ人を皆殺しにしようとしていると言われても仕方がないだろう。
イスラエル側でハマスと最も緊密な関係にある人物はベンヤミン・ネタニヤフだと言われている。シーモア・ハーシュによると、 2009年に首相へ返り咲いた時、ネタニヤフはPLOでなくハマスにパレスチナを支配させようとした 。そのため、ネヤニヤフはカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたという。
10月7日にハマスの戦闘部隊はイスラエルへ攻め込んだ。「アル・アクサの洪水」だが、この軍事作戦の展開は奇妙だと少なからぬ人が指摘している。
2年ほど前から攻撃の準備を始めたようだが、その間、イスラエルの情報機関が察知できなかったとは考えにくい。もし察知できなかったのなら大変な失態だが、戦闘が始まってからイスラエル軍はハマスの交信を全て傍受しているようである。
ガザはイスラエルが建設した一種の強制収容所化である。その収容所を取り囲む壁には電子的な監視システムが設置され、人が近づけば警報がなるはず。警報が鳴れば地上部隊だけでなく戦闘ヘリも駆けつけることになっている。
ハマスの攻撃で約1400名のイスラエル人が死亡したとされているのだが、イスラエルの新聞ハーレツによると、 イスラエル軍は侵入した武装集団を壊滅させるため、選挙された建物を人質と一緒に砲撃で破壊した という。イスラエル市民をイスラエル軍は殺害したということだ。 ハーレツの記事を補充した報道 もある。
攻撃が始まった直後、イスラエルの子ども40人が斬首されたという話が流れ、アメリカのジョー・バイデン大統領やイスラエルのニル・バルカット経済相も子ども40人の斬首話を広めた。
しかし、この話は確認されていないと別の記者が指摘、そうした話を広めるのは無責任だと批判した。バイデンはイスラエルでテロリストが子供を斬首している確認された写真を見たと主張していたが、その翌日には発言を撤回、報道官はバイデンがそのような写真を見た事実はないと語っている。要するに、作り話だった。
ハマスの攻撃から数時間後、アメリカ政府は空母2隻、ジェラルド・R・フォードとドワイト・D・アイゼンハワーを含む空母打撃群を地中海東部へ移動させた。事前に攻撃を知っていなければ、これほど迅速に派遣することは不可能だと考えられている。
この攻撃はまさに「イスラエルの9/11」だった。ハマスの攻撃はガザからパレスチナ人を消し去りたいネタニヤフのような人びとにとり、願ってもないことだったであろう。