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2004年12月03日
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『巴里に死す』佐伯祐三併映は!『悲喜劇 佐伯祐三真贋事件』




<郵便配達夫(1928)>

パリのうらぶれた裏町を憑かれたように描き続け、結核とともに狂気の淵に立ち、わずか30歳の若さで逝った天性の画家・佐伯祐三。パリでヴラマンク、ユトリロらの野獣派の巨匠の影響を受けながらも、パリ裏街の店先や広告などを素材に選び、量感あふれる、激情的な作風を確立。ヴラマンクとの邂逅は日本から持ち込んだアカデミスムとの訣別でもあった。
しかし、画家としての純粋さを追及してやまない壮絶な生きざまの裏面に隠された秘密があった?!



堂々内緒で公開!『悲喜劇 佐伯祐三真贋事件』
事実は映画より奇なり~ィ?イメージ画像ですので文章と相関関係はあれど直接の関係はございません。




私の好きな「郵便配達人」はこの中の一枚です。



重要な疑惑は、夫より上手かったと言われる米子夫人が佐伯の絵に筆を加えていたのではないかという疑惑です。



【佐伯米子】(さえき・よねこ)

「....米子夫人がこの人の傍で、哀しいまでに美しいことが、心を揺すった。この人は若い画家らしく、無造作に粗末な黒い服を着て疲れた労働者そっくりだが、米子は貴婦人のように絹物の和服に美しい被服を着て、白足袋に草履をはき、左足が少し不自由なためか、黒塗りの杖で左脇を支えて歩いていた。それにエロチックな美がこぼれるようで、往きこうフランス人が目を見張り、必ず振り返って見たものだ。」(芹沢光治良)

「秀丸(佐伯の幼名)そのままの絵では誰も買って下さらないので私が手をいれておりますのよ。秀丸もそれをのぞんでおりましたし。 あなたもそのことをよくご存知でしょう。秀丸そのままの絵に一寸手をくわえるだけのことですのよ。こつがありますから私、苦労致しましたがのみこみましたのよ。それは見違えるほどになりますから。画づらの絵の具や下地が厚いものにはガッシュというものをつかい画づらをととのへ、また秀丸の絵の具で書き加えますでしょう。すこしもかわりなく、よくなりますのよ。.....秀丸(佐伯の幼名)はほとんど仕上げまで出来なかったのです。.....私が仕上げればすぐに売れる画になりますのよ。すべての絵を手直ししてきちんと画会をしたいのです。...。」
と、画家でもあった米子夫人本人が手紙で自分が加筆したことを何回も書いた手紙があり、この手紙は筆跡鑑定では米子夫人の真筆とされています。要は、売れるように妻の加筆した絵が真作で、米子と別居中に米子に知らせずに日本に送られ、70年以上も放置され、額装も修復されていない汚れた祐三自身の描いた絵が贋作とされているわけです。妻米子の加筆問題が明白となれば今まで佐伯作品として各地の美術館に収められていたものが疑惑品として美術館から画商に返却を求められる可能性があり、画商にとってこれは死活問題となりかねません。



「今日朝、俺は離別を決めました。米子サンに リベツの事 云いました。  
俺のリベツは、俺の画を もっと良くするためです。米子サンから タブローのこと、口出しされないためです。荻須と千代子サンともへだてた 俺の仕事のためです。俺の命のためです。」
(祐三の千代子への置き手紙)

米子と別居し死期の近づいた佐伯祐三は、薩摩治郎八の妻であり、パリ社交界のアイドルであった千代子に恋をします。モンパルナスの同じアパートに住んでいた佐伯は、米子と暮らす三階から二階にある千代子のアトリエへ降りて独自の画風を模索していました。



「荻須の事は心配ないと思います。前にパリに来たころの俺の画に良く似た タブロー描くのは米子サンが描いてはるからやけど心配ないです。荻須は頭のええ男やから、その内はっきりさせるでしょう。
自分のもの 描かねばいかん事に 気が付くやろから、そしたら米子サンに 自分でしらすと思う。それ迄 俺は気がつかん事がいいのです。荻須がええもん描いても、心配しないで下さい。荻須に負けたら、それは仕方ない事と思うています。」

そのころ、米子は弥智子を新居に置いたまま、モンマルトルの荻須高徳のアパートへ行ってしまっており佐伯は幼い智弥子の世話や千代子に頼む事になります。



「郵便配達人」は、佐伯が病身をおしてブールヴアールの二階アトリエに行った時、たまたま郵便を届けに来た、髭の美しい配達夫に出会い、モデルを頼むことができたそうです。この「郵便配達夫」が米子によって絶筆とされていますが、実際は愛する薩摩千代子の肖像画であったようです。



なんと佐伯、米子夫人、薩摩治郎八、千代子夫人、荻須高徳、藤田嗣治などなど、そうそうたる面々の人間模様というか相関が生々しくてスゴイ。佐伯の絵は米子さんが加筆してたとか、不倫じゅずつなぎ状態だったとか、さらに米子が祐三に毒をもっていたとか、稀代の毒婦だなんてワイドショーまがいのネタみたいで、まあびっくりてんこもりです。 w(゚o゚)w
ekkatosanngurasu

「佐伯祐三の生涯は30年と4ヶ月たらずという短いものであり、さらに芸術家としての活動は5年にみたない一瞬の光芒に過ぎなかった。アカデミックなものを放擲してフォーヴィズムへ向かおうとする芸術家の苦闘は、時に闘病しつつ画業にむかい、この短時日に描いた作品数は400点をこえる異様な多作であったものと推定されます。確かに、佐伯祐三の画に対する米子加筆、創作が事実である可能性が高いが、こうした共同作業は佐伯の画業をおとしめるものではないと私は思います。
..........。」

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CAT-O







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最終更新日  2004年12月04日 23時07分24秒
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