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カテゴリ: 陽明学


草木〔そうもく〕国土〔こくど〕悉皆〔しっかい〕成仏と云うときは、
同じ道理の様〔よう〕に聞こえ候。

 返書略。万物一体とは、
天地万物みな太虚〔たいきょ〕の一気より生じたるものなるゆえに、
仁者は、草一木をも、其の時なく其の理なくてはきらず候。
況〔いわん〕や飛潜動走〔ヒセンドウソウ〕のものをや。
草木にても、つよき日でりなどに、しぼむを見ては、我が心もしおるるがごとし。
雨露のめぐみを得て青やかさにさかえぬるを見ては、我が心もよろこばし。
是〔これ〕一体のしるしなり。
しかれども、人は天地の徳・万物の霊といいて、すぐれたる所あり。
たとえば、庭前の梅の根の土中にかくれたるは太虚のごとく、
一本の木は天地のごとく、枝は国々のごとく、葉は万物のごとく、
花実〔はなみ〕は人のごとし。
葉も花も実も一本の木より生ずといえ共、葉には全体の木の用なし。
数有りて朽ちぬるばかりなり。
花実はすこしきなりといえども、一本の木の全体を備えし故、
地に植えぬれば又大木となりぬ。
かくのごとく、万物も同じく太虚の一気より生ずるといえども、
太虚天地の全体を備うることなし。
人は其の形すこしきなれ共、太虚の全体ある故に、人の性にのみ明徳の尊号あり。
故に、人は小体の天にして、天は大体の人といえり。
人の一身を天地に合わせて、少しもたがう事なし。
呼吸の息は運行に合す。暦数、医術もここに取ることあり、
天地造化の神理主師〔しんりしゅすい〕を元・亨〔こう〕・利・貞〔てい〕といい、
人に有りては仁・義・礼・知という。
故に木神は仁なり、金神は義なり、火神は礼なり、水神は知なり。
天・地・人を三極という。形は異なれども、其の神は一貫周流にへだてなし。
理に大小なきが故に、方寸、太虚、本〔もと〕より同じ。
是〔これ〕大舜の君、五尺の身にして、よく其の徳を明らかにし給いしかば、
天地位〔くらい〕し万物育するに至れる所なり。
万物一体というべし、一性とはいうべからず。
万物は人のために生じたるものなり。
我が心即ち太虚なり。天地四海も我が心中〔こころのうち〕にあり。
人鬼〔じんき〕・幽明うたがいなし。
堯舜〔ぎょうしゅん〕の道は、人倫を明らかにするにあり。
故に他の道を学びむことはねがわず。仏法の事は、我れ識らず。





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Last updated  2017年05月08日 21時01分31秒


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