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カテゴリ: 隷属への道


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・考察「君は『はだしのゲン』の町内会長を助けるか?
〜 Their lobby group is aiming to revive of the Japan Empire.

渡部昇一氏の言霊論記事作成にあたり、
折口信夫〔おりくちしのぶ〕 さんの 「言霊論」 、その他
『折口信夫全集 第二十巻』中央公論社 )を読み直しました。
折口さんや小林秀雄さんの著書は本当に面白いのです。

折口さんの 「言霊論」 は昭和十八年十二月「國史辭典」掲載とあるから戦中のものです。
もちろん、さらに遡って平田篤胤、本居宣長あたりまで行けばなおよいでしょう。

かたや渡部氏の『日本語のこころ』(講談社現代新書)が発刊されたのは 1974年
(のち2003年にワック株式会社から新版を発刊)。
井沢元彦氏の『言霊』が 1991年であるから渡部氏のものは戦後とはいえ結構古い。
興味深いのは折口さん、渡部氏、井沢氏それぞれ「言霊」に対する触り方が異なる点ですが
(すなわち、どの人の著書を引用するかで受ける影響も違ってくる)、
上智大学教授でカトリック教徒であるはずの渡部氏の切り口はどうも変なのです。
当方の手元にある新版『日本語のこころ』(旧版の方がよかったか?)から
一部を抜粋してみましょう。


   どこの民族でも神に向かって祈るということがある。
  日本でも神に祈る時は祝詞をあげるし、仏教でもお経をあげる。
  キリスト教でもマホメット教でも祈る。
  ところが憶良の歌で注目すべきなのは、祈りを向ける対象が神様ではないのである。

  それで、良い祝福の言葉を、ここを歌にしてのべれば、
  その霊力によって神様たちが働いてくれて、あなたのお乗りになった
  「船のみよしに手を持ちかけて、まるで墨縄を引いたように
  (大御神たち、船の舳に御手うち掛けて、墨縄のはへたる如く)、
  難波の大伴郷の、三津の浜辺まで、
  まっすぐ船が帰ってくるように取り計らってくれるだろうというのである。
   祈ったので神がその祈りを聞き入れてくれて祈りの効果がある    これが普通なのだが、
  祈りを言葉に出したこと自体が価値であるというのが日本の言霊である。
  (以下略)
  (『日本語の心』ワック出版 P.94 )


繰り返すが渡部氏はカトリック教徒の はず です。
カトリック教徒ならばここで 『新約聖書』 「ヨハネによる福音書」を出さねば
贔屓の引き倒しなしで日本風土独特の「言霊」の影響力を論じたとはいえません。
「ヨハネによる福音書」は以下の冒頭からはじまります。


  1 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。
  2 この言は、初めに神と共にあった。
  3 万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。
  4 言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。
  5 光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。
  6 神から遣わされた一人の人がいた。その名はヨハネである。
  7 彼は証しをするために来た。光について証しをするため、
  また、すべての人が彼によって信じるようになるためである。
  8 彼は光ではなく、光について証しをするために来た。
  9 その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らすのである。
  10 言は世にあった。世は言によって成ったが、世は言を認めなかった。
  11 言は、自分の民のところへ来たが、民は受け入れなかった。
  12 しかし、言は、自分を受け入れた人、その名を信じる人々には神の子となる資格を与えた。
  13 この人々は、血によってではなく、肉の欲によってではなく、人の欲によってでもなく、
  神によって生まれたのである。
  14 言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。
  それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。
  15 ヨハネは、この方について証しをし、声を張り上げて言った。
  「『わたしの後から来られる方は、わたしより優れている。
  わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのはこの方のことである。」
  16 わたしたちは皆、この方の満ちあふれる豊かさの中から、恵みの上に、更に恵みを受けた。
  17 律法はモーセを通して与えられたが、
  恵みと真理はイエス・キリストを通して現れたからである。
  18 いまだかつて、神を見た者はいない。父のふところにいる独り子である神、
  この方が神を示されたのである。
  ( 日本聖書協会 新共同訳



ご覧の通り、言葉そのものが神であり、言葉の内に命があり・・・、とはっきり述べてあります。
渡部氏が比較対象として「キリスト教が_、マホメット教が_、」と
自ら他宗教の例をずらずら並べるのであれば、
ここぞとばかり「ヨハネ福音書」を持ってこなければ、
知っていて(それとも忘れていて?)比較していないわけですから半分詐欺みたいなものです。



日本戦後史上、重要なことを「言挙げ」できなかった渡部昇一氏
ところで、膨大な量の著書を出版した渡部氏であるが、
保守界隈に不都合なことは決して「言挙げ」できませんでした。
氏が『昇一塾』のニューズレターとして配信したものをまとめた、
『忘れてはならない日本人の偉人たち』(致知出版社、平成三十年)の最後を飾ったのは
岸信介〔きしのぶすけ〕 Nobusuke Kishi でした。
すわ、死ぬ間際に岸信介がアメリカ政府情報機関の工作員だったことを書き残したか、
と期待しながら同書を確認してみるとそのような記載はまったくなく、
統一教会 Unification Church 日本会議 Nippon Kaigi を活躍の場にしていた御用売文家には
やはり無理な仕事だったか、とあきれてしまいました。
それと同時に、渡部氏らが構成している極右ロビー団体は、
GHQ の統治や War Guilt Information Program を騒ぎ立てることはできても、
Central Intelligence Agency には触れられないという致命的な欠陥があるため、
彼奴らの洗脳工作はうまくゆかないと考えられます。







https://www.cia.gov/library/readingroom/docs/CIA-RDP81M00980R000600200010-3.pdf





日本会議の全貌 知られざる巨大組織の実態
俵義文 著 花伝社 発行

https://books.rakuten.co.jp/rb/14290504/






CIAと戦後日本 保守合同・北方領土・再軍備(平凡社新書)
有馬哲夫 著 平凡社 発行

https://books.rakuten.co.jp/rb/6515267/



次回は上掲『忘れてはならない日本の偉人たち』の「岸信介」の章と、
山本七平氏著 『洪思翊中将の処刑』 を比較してみます。





洪思翊中将の処刑
山本七平 著 パンダ・パブリッシング 発行

https://books.rakuten.co.jp/rb/15317263/


(つづく)






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Last updated  2019年02月04日 12時36分38秒


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