森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.01.16
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メンタルヘルス岡本記念財団が出している「森田療法セミナー」のDVDを見た。
その中に立松クリニック院長の立松一徳医師の外来森田療法の進め方が参考になった。
立松先生は、神経症の治療として行動療法、日記療法、薬物療法、ピアカウンセリング等の組み合わせを視野に入れて森田療法行っておられる。

講話の中で、パニック発作で悩むやり手の営業マンを取り上げられていた。
この方は電車に乗ることができない乗り物恐怖の方であった。
治療は1年3カ月に及んだが全治退院された。どのような治療を行われたのであろうか。

1、 主訴を丹念に聞く。とらわれを受け止める。予期不安を受けとめる。
電車内での様子を聴く。とらわれの態度の明確化を行う。不安と欲望の関係を理解してもらう。
不安をなくそうとしない。生の欲望を明確にする。

具体的行動面の提示を行う。

2、 次に仕事の中でのとらわれを扱う。
この方の場合は職場の中での人間関係、仕事の取り組み方等を聴いていく。
この方は、トップセールスマンであった。仕事以外には価値を見出すことはできない。
職場に過剰適応している状況が明らかになった。
上司や得意先の期待に応えることに絶対的な価値をおいておられた。
そのため仕事の質や量の過剰。いい加減な人間への怒りがいつも心の中に渦巻いていた。
この方の場合は仕事の中における人間関係、仕事の進め方のとらわれを聴いていった。
家事、育児、介護等では家族の中の人間関係、あるいはそれらの取り組み状況について聞いていく。
学校に行っている人は、交友関係、教師などの人間関係、学習の仕方のとらわれを明確にしていく。

3、 生き方の中のとらわれを明確化していく。

上司や同僚等に対して、自分と同じように仕事に熱心に取り組むべきであるという「かくあるべし」の押しつけ。
治療としては人間関係の改善。過度に仕事に対して傾斜している生活の見直し。
上司や家族の協力を得ながら負荷を減らしたり、バランスのとれた生活への取り組み。
最終的には薬物療法を中止し、パニック障害が好転して治療を終結されたそうである。

これを我々の森田理論学習と比較してみると、1で取り扱っておられるのは、緊急時の森田理論の活用であると思う。

精神交互作用を断ち切るための提案を行う。さらに不安は取り除くことはできないものである。
不安には役割がある。不安を利用して自分の欲望を見つめてみよう。
生の欲望を発揮するための提案を行う。

2と3では、認識の誤り、「かくあるべし」の打破を行うことだと思う。
認識の誤りでは事実を両面観で見れるようになる。
「かくあるべし」の打破では事実をよく観察する。具体的に包み隠さずに話す。
「純な心」や私メッセージの応用。
他人に対しては、傾聴、共感と受容、協調、人の為に尽くす等の実践のことだと思う。
人間関係の改善では是非善悪の価値判断を相手に押し付けないようにする。
そして最終的にはバランスのとれた生の欲望の発揮に邁進できるように援助していく。
その中でも外来森田療法では不安の役割を認識して、生の欲望の発揮に邁進していくように関わっていくことが治療の中心のように感じた。





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Last updated  2016.01.16 07:04:08
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