テレビのインタビューで「あなたのの嬉しさの基準はなんですか」と聞かれて、イチロー選手は次のように話している。
自分以外の人が作る状況によって、自分が幸せに感じられる、嬉しく感じられるとは思わないんですよね。
自分が何かをやることによって、自分が幸せを感じるならば、わかるんですけれどね。
単にそういった状況を見て、 「 ああ、自分は幸せだな」という風には思わないですね。
(イチローの思考 児玉光雄 36ページより引用)
同じく、 「もっとパワーがあればと思ったことはありませんか」という質問に次のように答えている。
パワーは要らないと思います。それより大事なのは、自分の「型」を持っていないといけないということです。(同書 52ページより引用)
ジョージ・ シスラーの年間257本の安打記録を破った後の記者インタビューで、 「その秘訣はなんですか」と聞かれての発言。
結局は細かいこと積み重ねることでしか、頂上には行けない。それ以外には方法はないということですね。(同書 82ページより引用)
以上3つのイチロー選手の言葉は、森田理論学習を続けている私たちにとっても参考になる。
まず第一の言葉。
症状で苦しい時は、その苦しさを和らげるために、回避行動をとる。
アルコール、ギャンブル、グルメ三昧、趣味三昧、買い物三昧などである。
これらはカンフル剤のように効いて、瞬間的には苦しみから逃れることができる。
それはそれでよいのかもしれない。
しかし、真の意味で葛藤や苦悩を解消してくれるものではない。
イチロー選手は、人から与えられるものによって、喜びを感じるものは本物ではないと言われている。
自分が問題や課題に対して、失敗や成功を繰り返しながら、取り組むことによって、人生の充実感を味わえると言われている。森田でいう「生の欲望の発揮」の中で自然に沸き起こってくる喜びが本物であると言われている。
次の話は、イチロー選手はホームランバッターではない。
そういう人がパワーをつけてホームランバッターを目指しても仕方がない。
自分のことをよく分析して、自分の持っている能力や特徴を磨いていった方がよいということだ。
私たちは森田先生が7つに分類された性格の中で、神経質性格に該当している。
神経質性格は、他の性格特徴を持つ人と比べて、きわめて有能な特徴を持っている。
感受性が鋭く、小さなことでよく気がつく。自己内省力が強い。分析力が鋭い。粘り強い。強い生の欲望を持っている。などなどである。それらの点に注目して、磨きあげていくことがより重要である。
3番目の話は、偉大な成功のための、手っ取り早い秘策はないということである。
自分の置かれた現状を受け入れて、そこから視線をちょっと上に向けて、努力精進していく以外に方法はない。地味な努力を日々続けていくことしか秘策はない。
自分の立ち位置を、雲の上に置いて、理想や目標からかけ離れた自分を否定していては何も始まらないということである。
どんなに幼稚な自分であっても、現実の自分に寄り添って少しずつ成長していくことが大切である。
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