森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.04.22
XML
形外会の会長をされていた香取修平氏は、森田先生の著書によりて、まず不眠症が治り、次に心悸亢進発作を征服し、さらに1回の外来診察で、徒労・倦怠感がなくなったが、なお森田式修養法によって、活動を得、仕事の能率を上げたいと考えて、入院したのであります。
(森田全集第5巻 179ページ)

全集第5巻によると、香取氏は優れた実業家であったようだ。
森田療法により、フットワークよく機敏に行動できるようになったと紹介されている。
細切れ時間などを有効に活用して、仕事の能率がどんどん上がっていった。
それで、形外会の会長に推挙され、森田先生の病気が重くなった時なども、一番に呼ばれている。

その香取氏は森田先生のところに入院されたのは、神経症を治すためではなく、神経質の性格を存分に活かしていくためだったといわれている。
当時の入院費はある方が1円だったといわれている。
当時の一円は、現在では約一万円ぐらいである。

それにもかかわらず、森田先生のところに入院すると、神経質者としての人生観が確立できると判断されていたということである。

ここが認知行動療法をはじめとした他の精神療法と大きく異なるところである。
認知行動療法で普通の日常生活を取り戻すことができるようになると、その時点で治療は終わる。
表面的には神経症を克服したかにみえるが、神経症の原因となっている、観念を優先した生き方の修正は手付かずのままである。そうなりますと、90年といわれる長いその後の人生は、精神的にはつらくて苦しい人生が待ち構えている。

また、認知行動療法で神経症を克服した人たちが、定期的に集まって形外会のような会合を持っているというようなことは聞いたことがない。
それは対症療法的な神経症の治癒だけを目的にしているからである。
森田療法は昔は形外会、今は集談会という自助組織を持っている。

森田療法の全体の枠組みから言えば、神経症の治癒は2割から3割ぐらいのものではないかと考えている。森田理論学習の真の目的は、神経質者の人生観の確立にあるといっても過言ではない。
自立した人間本来の生き方、自分の活かし方、教育や子育て、欲望の暴走の弊害、人間と自然との共生などについて重要な考え方を提示している。
だからこそ100年経っても生き残り、燦然と光輝いている。
さらに世界各地に拡大してきたのだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2020.04.22 06:20:05
コメント(0) | コメントを書く
[森田療法と他の療法について] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

X youhei00002 フォローしてください@ Re:愛着障害について(03/12) X youhei00002 フォローしてください
森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…

© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: