森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.02.12
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カテゴリ: 最新の脳科学
昨日の続きです。

人間には3つの神経系が作動していることが分かりました。
これらを単独で取り上げても、不毛な議論に陥ると思います。
今日はこの3つの神経系のバランスのとり方について考えてみたいと思います。
これからはメルヘンの世界にお連れしてご説明します。

ドパミン神経は、快の情動、ポジティブな気持ち、性や食への欲求などを演出し、色でいうと赤に相当します。
ノルアドレナリン神経は、不安、ネガティブな感情、ストレス反応などを演出し、色で例えると、青に相当します。
セロトニン神経は、これら2つの神経を抑制して、舞い上がりもさせず、不安にもさせずに、平常心を演出するもので、色に例えると、緑に相当します。
これら3つの神経系が相互に影響しあって、心の色が形成されると考えられます。


マラソンが始まる前は、選手たちは誰でも緊張感があります。
よい成績を上げて完走したいという「やる気」と、アクシデントや脱水症状で無残な成績で終わるのではないかという「不安」が湧き上がってきます。
心の色は赤(意欲のドパミン神経)と青(不安のノルアドレナリン神経)との混合、紫色になるでしょう。緊張と不安の混合色です。

スタートの合図で走り始めると、リズム運動によって、セロトニン神経が一気に活性化されます。心の色はセロトニンの緑一色に変わるでしょう。
セロトニン神経は、ドパミン神経とノルアドレナリン神経を抑制する働きがありますから、走る前にあった不安も薄れ、また、はやる気持ちも落ち着いてきます。
ただひたすらに、淡々と平常心で走り続けられるようになります。

しかし、緑一色で快調に飛ばしていても、人間、いずれ疲労が出てきます。
疲労物質である乳酸はセロトニン神経の働きを弱めます。
それだけではなく、活性化されていたセロトニン神経は、1時間ぐらいすると、本来の機能から自己抑制に転じてくると予想されます。
緑一色の状態から、しだいに心の色が紅葉化してきます。
それまで抑えられていたドパミン神経とノルアドレナリン神経の働きが少しずつ前面に滲み出てくることになります。


たとえば、一緒に走っていた人がスパートをかけて、追い抜かれてしまったとします。すると、意欲が失せ、苦悩やストレス反応が前面に出てきます。
ノルアドレナリン神経が心の彩りを支配してしまいます。
緑プラス青色で苔のような色に変わります。
その心情はわびしさに近いものかもしれません。
このときに、走るのをやめてしまえば、気持ちは限りなくブルーに冷え込んでいきます。セロトニン神経とドパミン神経が活動を停止して、ノルアドレナリン神経だけになります。



逆に、レース展開が好転した場合には、ドパミン神経の赤が、セロトニン神経の緑に重なってきます。心の色は、赤プラス緑で、茶色、赤胴色になります。
これは熱せられた鉄を感じさせます。
疲れてはいてもたくましさを感じさせます。

レースも終盤になりますと、セロトニン神経の方は弱り切ってしまいます。
うつ病の時のように、姿勢が悪くなり、力がなくなり、交感神経の緊張も低下して、意識レベルも下がってきます。
緑色を維持するのが難しくなります。心の色は土気色に近くなります。
このとき、声援があって元気づけられると、だいだい色、黄色と明るくなります。

最後にゴールしたとき、いったい、何色に変わるでしょう。
セロトニン神経も、ノルアドレナリン神経も、ドパミン神経も、すべて消えて、透明になるのか、あるいは真っ黒の闇になるのでしょうか。

三色がちょうどよく混合した色というのは何色なのでしょう。
光の混合であれば、無色透明ということになるでしょう。
意欲もあり、不安もあり、なおかつ、平常心が持てるという状態になります。
全てがバランスよく混ざり合っている状態こそ、「無」の色なのかもしれません。世俗の中で、無色で生きられれば、それが求める心の姿と言えるでしょう。
(セロトニン欠乏脳 有田秀穂 NHK出版 202~206ページ要旨引用)

明日は縁の下の力持ちであるセロトニンを増やして安定させる方法について投稿します。





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Last updated  2022.02.12 06:32:10
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