森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.03.26
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森田先生は、「煩悩即菩提」「雑念即夢想」「不安即安心」と言われています。

煩悩と菩提は同じことだ。雑念と夢想も同じことだ。不安は安心と同じことだ。
正反対なことを同じだと言われても納得できる人は少ないのではないでしょうか。
今日はこの問題を取り上げてみたいと思います。

森田先生は元々二つは一つであって、同じものを裏から見ているのか表から見ているかの違いに過ぎないと言われています。どういう意味なのでしょうか。

私は以前尿管結石で七転八倒したことがあります。
とがった石が尿管の神経を刺激して、こんなに痛い思いをするのならば、いっそのこと死んだ方がよいと救急車で搬送中に思ったことがありました。
これは痛みの原因が全然分からないことでパニックになったのです。
レントゲンを撮って尿管結石が原因だと分かった。

医師のすすめる薬を飲んでいると3日くらいして大きな石が出てきて事なきを得た。

その件で尿管結石についての関心が高まった。
これがきっかけとなって、原因や再発防止策をいろいろと考えた。
またこの病気を経験した人とさまざまな情報交換をするようになった。
その兆候がある人に対しては、役に立つ情報を提供するようになった。
他人ごとではなくなったのである。見て見ぬふりはできなくなった。
夏場水分を取るのを極力我慢していたという原因を突き止めたので、夏場の細かな水分補給を心がけなければ危ないというアドバイスをするようになった。

これは「激痛即解脱」ということではないかと思うのである。
激痛に対して投げやりにならなければ、それを切り抜けることができる場合があります。
もし、切り抜けることができれば、その苦しんだ経験は、その後の人生で大きな財産となります。今後の養生に対しても有効に作用します。
なによりも他人に対する思いやりの気持ちが出てきます。

苦しんで底を打つとそこから逆転人生が始まるようなものです。
これが森田先生のいわれる「煩悩即菩提」「不安即安心」につながるものではないのか。

森田先生は苦悩や煩悶は断じて受忍しなければならないと言われる。
これを受忍しきったときに、煩悶・苦悩は消滅すると言われている。
それはただ消滅するだけではない。その煩悶・苦悩が財産に変わるのである。


神経症に陥ったことは親の悪い性格を引き継いだためだ。
また親の育て方に問題があって、私の人生は滅茶苦茶になったと親を恨んでいる人は多い。そういう人は「煩悩即菩提」「苦悩即安心」という言葉をかみしめてみるというのはどうでしょうか。

神経症を嘆くよりも、神経症のなったおかげで、神経質者としての生き方をより深く考えることできた。災い転じて福となすことができたということです。

問題ある親の育て方を受けて、腹を立てていたことがあります。
でもそのおかげで親業に参加し、集談会で子育てについてみんなで話し合う機会が持てた。それは親子関係で悩んだおかげで、生きる目的を持つことができたということではないのか。
その苦い経験は無駄ではなかったということです。

自分の子どもとの関係にはあまり応用できなかったが、今現在子育てで悪戦苦闘している人に対して少しは相談にのってあげることができようになった。
また不器用な対人関係も、悩んだおかげでいろいろと学習することができた。
今では人間関係で大きく落ち込むことはなくなった。

苦悩や不安を否定しないで正しく向き合うと、それがきっかけになって、自分を一回り大きな人間に育ててくれるという側面があります。
これが「煩悩即菩提」「不安即安心」という意味ではなかろうか。
玉野井幹雄さんは「神経質にありがとう」という本を書いておられますが、災い転じて福となした人だと思います。





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Last updated  2023.03.26 06:38:36
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