森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.03.29
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水谷啓二先生のお話です。

「事実唯真」ということについて、よく誤解されることであるが、森田正馬博士は「客観的事実だけが事実であるといっておられるのではなくて、客観と主観の一致するところに事実唯真がある」といっておられるのである。

もし客観的事実だけを・事実であるとするならば、われわれの主観というものを・一切無視することになり、客観偏重のひどく偏ったものの見方しか出来なくなり、退屈きわまる糞リアリズムになってしまうであろう。

この主観と客観がひどく食い違ったり、どちらか一方に偏ったりしないで、調和していくところに、健全な精神の働きがあり、健康な生活があるのである。

(生活の発見誌 1969年(昭和44年)1月号 水谷啓二 35ページ)

この部分は森田理論学習の中でも難しい部分です。
しかしここを理解しないと健全な生活が維持できなくなると思われます。

この件について、森田先生は次のように説明されています。
たとえば、今腹がへっているというのが主観的な事実である。
でも、いま私は腹を悪くしているから、食べ過ぎてはならないと我慢しているのが客観的事実である。


これはある欲望が湧き起こったとき、それを抑制する感情も同時に湧きあがるようになっていることにつながります。
森田理論では、この働きのことを「精神拮抗作用」といっています。

問題はどちらかに偏り、バランスが崩れた場合です。
主観的事実を優先して無理して食べると、内臓に負担をかけることになります。
逆に客観的事実を優先してしまうと、欲求不満が強まります。
この場合は、食べ過ぎに注意しなから、慎重に食べることです。

特に飲酒の場合は慎重さが求められます。
飲みたいという気持ち一辺倒になると二日酔いになってしまいます。
ペースを落としながら飲む。あるいは、お冷と酒を交互に飲む。
飲むだけでなく、料理を食べることを忘れないようにする。
そうすれば急性アルコール中毒を回避することができます。


医者が検査をして心臓は大丈夫だという。それは客観的事実である。
しかし本人はやはり怖い。これは主観的事実である。
このとき患者は、大丈夫だという客観的事実と、自分は怖がる者であるという主観的事実の両方を認めねばならない。
(森田全集 第5巻 159ページ)

この場合、主観的事実に偏るとパニックになります。

医者から大丈夫だというお墨付きをもらったのであれば、不安を持ちながらも会社に出て、細々と仕事を続けることが大事になります。

私たちは、意識していないと主観的事実と客観的事実のどちらかに偏ってしまいます。いずれかに偏ってしまうと、生活が破綻してしまいます。
2つの事実のバランスをとる必要があります。

バランスを維持することは、サーカスの綱渡りを思い浮かべると分かりやすい。
右に傾けば左を下げる。左に傾けば、右を下げる。この調整が必要になりす。
絶えずバランスを意識しながら、慎重に前に進むことで、健全な生活が維持されるという側面を忘れないようにしたいものです。





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Last updated  2023.03.29 06:20:07
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