ヤンソンの方が先なのだろうが、松永貴志の演奏を思わせる部分もある。 また、カントリー風なフレーズが時折聞こえるのも、キースの影響だろうか。 最近筋トレでは、ソニーのウォークマンのヘッドホンタイプを使っているので、曲の題名が分からない。 そのなかで、このアルバムが聞こえてくるとホッとする。 それは余計な知識なしに曲の良さを感じたということかもしれない。 「Simple Song Simple Life」はジャズ批評のジャズ・オーディオ・ディスク大賞の「ジャズメロディ大賞」の2009年度の受賞作品だそうだが、これがカントリー調の曲で、キース好みのメロディーだ。 気に入ったのは、2曲目の「At-one-ment」。 イントロから惹きつけられるが、本編に入ってからも哀愁を帯びたメロディーが軽快なテンポで演奏されると、なんとも心が温かくなるのを感じてしまう。 ミディアムテンポのタイトル・チューン「In Search of Lost Time」はそのクールな佇まいが何ともスタイリッシュだ。 抒情的な曲が多いがテンポが遅いとは限らない。 リズミックな曲でも抒情性を感じるところがヤンソンの真骨頂なのかもしれない。 異色なのは、フリー調の「One Hand Clapping」。 これが単調になりがちな構成でアクセントになっている。 「Fisherman」は推進力があり、リズミックな曲。 メロディーの一部がロリンズの「セント・トーマス」の一節を思わせる。 「God's Delays Are Not God's Denials」はスチャン・シュペリングのベースソロをフィーチャーした曲。 アルコでのソロなのだが、音程がいいのはジャズでは珍しい。 ちょっと調べたら、ベースでバッハのヴァイオリンやチェロの無伴奏曲を演奏したアルバムを作っている。 ただ、このアルバムはピチカートで演奏しているようだ。 もともと作曲家でもあるので、どうやらジャズとクラシックをまたにかけたミュージシャンのようだ。 唯一気になるのは前にも書いたような気がするが、キースを上回る歌声? これがなければ、どんなにかよかっただろうと思うのだが、本人は意外と気にしていないのかもしれない。 もっとも癖なのでどうしようもないのだろうけれども。。。
Lars Jasson Trio:In Search of Lost Time
1.There Is A Butterfly In My Room 2.At-one-ment 3.Midsummer 4.Siljan Waltz 5.In Search Of Lost Time 6.Simple Song Simple Life 7.One Hand Clapping 8.Fisherman 9.God's Delays Are Not God's Denials 10.A Rare Italian Bird 11.Where Is The Blues 12.Gods Who Shit 13.New Room 14.Hilda Lars Jansson(p) Christian Spering(b) Anders Kjellberg(Ds)
Recorded At Nilento Studio, Gothenburg, Sweden, March 2009