音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2024年06月08日
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カテゴリ: ジャズ

川嶋哲郎の新作、高いのでペンディングにしていたのだが、 この前のコンサート が良かったので、勢いで購入してしまった。
Amazon Payで買うと、ギフトの残高があれば、ポイントが上乗せされるOTOTOYからダウンロードした。
前作と似たような抒情的なムードが横溢している。
風呂に浸かりながら聞いていたら、これはハードボイルド小説の世界だと思った。
男の叙情が心に響く、感傷的ではない、男の美学が感じられるのだ。
ジャズミュージシャンの場合、弦が入ると途端に猫のように大人しくなってしまう音楽が多い。
襟をただす作用があるのだろうか。

そこに弦の慰めに満ちた旋律が寄り添う。
川嶋の哀しみをぐっとこらえたような姿勢と少しぶっきら棒なところが聞き手の共感を呼ぶのだろう。
こういう音楽は他のミュージシャンからは聞かれない、川嶋独特の世界だ。
曲は全て川嶋のオリジナルで、顔に似合わず?、聴き手をほろっとさせるようなメロディが続き、聴き手の心も熱くなる。
1曲目の「Dear Days」からして実に泣ける音楽だ。
「Sunrise Flight」も悲しみを湛えながらも疾走する姿が美しい。
タイトルが示すように、サスペンス・ドラマのテーマに使われてもおかしくない曲だ。
4曲からなる「エモーション」も聴き手の琴線に触れる音楽だ。
組曲だが、1つのテーマの変奏曲のような構成になっている。
ちょっぴり感傷的だが、前向きな姿勢が感じられるテーマがいい。
最初の「Desire」のチェロから、川嶋のインティメイトな世界に引き込まれる。


「Aspiration」は速いテンポのラテン的なダンスナンバー。
リズムが入り、ちょっと中近東風の音楽になっているのがユニーク。
弦のみだと鋭角に鳴りがちなところが木管アンサンブルがはいることで温かみのあるサウンドになっているのがいい。
川嶋の男くさいテナーのアドリブが炸裂する。
ヴァイオリン・ソロも雄弁だ。

この曲では川嶋は殆ど吹きっぱなしだが、所々村があるのが惜しい。
途中からテンポが速くなり、パーカッションも加わる。
岡部洋一のパーカッションはあまり目立たないが、楽器の選択がいいのか、雰囲気が出ていて、すばらしい。
エンディングの少し前に彼の東洋的なテイストのソロが出てくる。
最後の「Llanos Wind」は川嶋の多重録音によるフルート・アンサンブルから始まる。
が聞かれるが、川嶋のオーバーダビングによるもの。
このタイトルはChatGPTによると、『一般的に、「Llanos」はスペイン語で「平原」を意味し、南米特にベネズエラとコロンビアの広大な草原地帯を指します。「Wind」は「風」を意味しますので、「Llanos Wind」は「平原の風」や「草原の風」をイメージさせる名前です。』とのこと。
クラリネットを中心とした木管のハーモニーが実に美しい。
チャカ・ストリング・カルテットは川嶋の音楽に寄り添った素晴らしい共演ぶり。
骨太のサウンドでハーモニーが美しく、説得力が半端ない。
川嶋の音楽への心からの共感があるからだろう。
このアルバムの成功の一端は、彼らの功績によるものだろう。
ということで、若干湿っぽいが、心から共感できる音楽として、ジャズ・ファンの方々に是非お聴きいただきたい。

川嶋哲郎:ア・ウォーク・イン・ライフ

1.Dear Days
2.A Walk in Life
3.Sunrise Flight
4.Suite Emotion:
  Desire
  Pathos
  Modulation
  Aspiration
8.Sunset Voyage
9.Llanos Wind


川嶋哲郎(ts,fl,cl,bcl)
チャカ・ストリング・カルテット
香月さやか(vn),景澤恵子(vn),山田那央(va),香月圭佑(vc)
岡部洋一(perc.)





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Last updated  2024年06月08日 16時30分13秒 コメントを書く
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