音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2024年09月11日
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カテゴリ: ジャズ

エンリコ・ピエラヌンツィ(1949-)がマーク・ジョンソン(1953-)とジョーイ・バロン(1955-)とのトリオの結成35周年を記念して行なったライブの録音。
曲は全てピエラヌンツィのオリジナルで選り抜かれた曲が揃っている。
ライブのためか、メンバー全員のアグレッシブな姿勢がよく現れている。
真っ先に気に入ったのは聞き覚えのあるタイトルチューン「Hindsight」。
哀愁を感じさせるメロディーに惹きつけられる一方、ダイナミックなピアノのアドリブとドラムスとの交歓も素晴らしい。
ただ、他の曲もこの曲に劣らない出来であることに気づくのに時間はかからなかった。
1曲目の「Je Ne Sais Quoi」(何とも言えない魅力)のしゃれた味わにも、ピエラヌンツィらしい抒情が感じられる。
「B.Y.O.H.」はリリカルながらもダークなムードで他の曲とは一味違ったテイスト。

ピアノのアドリブを境に、徐々に熱気を帯びていく様子は見事だ。
「Don't Forget the Poet」はベース・ソロをフィチャーした穏やかな曲。
途中から出るピアノの畳みかけるようなアドリブは、80歳近いピアニストのプレイとは思えないエネルギッシュなもの。
「Molto Ancora」も哀愁溢れるメロディーが悪くない。
テンポの速い曲の中では、ラテン・テイストの「Castle of Solitude」が、躍動感に溢れていて、彼らの楽し気な表情が見えるようだ。
最後の「The Surprise Answer」このコンサートの白眉だろう。
ダイナミックで全員一丸となって突き進む様は感動ものだ。
それまでの熱を冷ますような静かなエンディングもしゃれている。
ピエラヌンツィは生気のみなぎるピアノで絶好調だ。
随所にフィーチャーされているマーク・ジョンソンのベースが秀逸。
ジョーイ・バロンのドラムスはおかずが多く、全体にソフトタッチ。

気になるのは、トリオの熱気に比べて、聴衆の熱量が不足しているように感じられることだ。
こういった音楽に不慣れな反応のようにも見える。
聴衆の反応がもっと良ければ、さらに盛り上がったことだろう。
実にもったいない。
ステファノ・アメリオによる録音は潤いのある美音で、ホールトーンもしっかり入っているが、個人的にはオフマイク気味でジャズの迫力が若干削がれている感じがする。
ラ・セーヌ・ミュージカル劇場 で2017年に開館したホールを含む複合施設。
特に目立つのがオーディトリアムの木製構造体。
1 000 m²以上の太陽光パネルが貼り付けられているそうだ。
今となっては将来のことが心配になってくる。
ということで、メンバー全員の年齢をたすと200歳を超えるにもかかわらず、その演奏は驚くほど若々しく、新鮮さに溢れている。
心地よく、実に爽快な演奏を楽しむことができる最高の名盤だ。

Enrico Pieranunzi, Marc Johnson & Joey Baron / Hindsight: Live At La Seine Musicale

1 Je Ne Sais Quoi
2 Everything I Love
3 B.Y.O.H. (Bring Your Own Heart)
4 Don't Forget the Poet
5 Hindsight
6 Molto Ancora (Per Luca Flores)
7 Castle of Solitude
8 The Surprise Answer

Enrico Pieranunzi (p)
Marc Johnson (b)
Joey Baron (ds)

Recorded in Boulogne-Billancourt on 13 December 2019 at Auditorium de La Seine Musicale





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Last updated  2024年09月16日 12時19分16秒 コメントを書く
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