hongming漫筆
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小説世界のロビンソン(著者:小林信彦|出版社:新潮社) 「小説とは何か」ということを、著者の体験に即して考えていく。 初めの方で触れられている夏目漱石の小説に関する考察が、最も読み応えがある。著者自身が小説家であり、「なぜ面白いのか」という考察に説得力がある。 基本的に、著者が読んだ順に作家を取り上げており、個人的な体験を重視しているのだが、客観的な考察として読むことができる。 谷崎に関するところもおもしろい。 書き手の論理をふまえての考察だから説得力があるのだろう。「学者や研究家たちの好きなこの種のモデル探しほど、作家を冒涜するものはあるまい。」(p293)という文など、評論家には言えないことだ。 今まで、小説を読むときに、「小説とは何か」などと考えながら読んだことはないし、これからもそういうことはしないだろう。 そんな読者であっても、この本は、実に面白い。論理的で知的である。 表紙が吉田秋生なのに驚いたが、これは、終章で彼女のマンガについて触れているからなのだろう。
2001.01.17
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