inti-solのブログ

inti-solのブログ

2008.08.22
XML
カテゴリ: 戦争と平和

このことについて説明したいと思います。というのは、沖縄戦の死者の数も諸説あり、最近は極右系の方々が、少しでも人数を少なく見せようと熱烈努力中の模様だからです。

まず、一般的な「定説」では、沖縄戦の死者は約18万人となっています。この数字の内訳は
県外出身の軍人戦死者65,908人
沖縄出身の軍人軍属28,228人(現地召集の正規兵・補充兵・防衛隊)
戦闘参加者55,246人(一般住民の中で戦闘に協力したと認定された死者)
一般住民38,754人
(Wikipediaの沖縄戦の項目より)
となっています。このうち、
戦闘参加者と一般住民の合計94,000人が、一般に定説として扱われている沖縄戦の一般住民の死者です。でも、ぴったり94,000人とは、何だかずいぶんとキリの良い数字に見えます。実は、偶然そうなったのではなく、キリのよい数字にならざるを得なかったのです。

上記の数字のうち軍人軍属の戦死者は、おそらく広報の発行枚数などから算出されたものだと思います。実際には、戦死しても戦死公報が来なかった、とか、戦死公報が来た後で本人が生きて帰ってきた、という例は耳にしますので、これも正確な数ではありません。けれども、まあものすごく大きな誤差があるというわけではないという意味では、比較的正確な数字です。
3番目の「戦闘参加者」というのは、当局にそのように認定された死者という意味です。言い換えれば、一般住民の死者の中でそれだけを「別扱い」認定したという意味ですから、認定した数がそのとおりであることは確かです。(認定が正しいかどうかは別にして)

問題は、最後の一般住民の死者です。実は、一般住民の犠牲者数の調査はまったく行われていないのです。ではどうやって犠牲者数を算出したのかというと、沖縄戦の始まる直前1944年の人口統計と、戦後1946年の人口統計を比較して、その減った人数から更に県外疎開者(約62,000人)を引くと、概算で94,000人だったのです。
そこから「戦闘参加者」と認定された55,246人を引いた残りが38,754人というわけです。

整理すると
1944年2月の沖縄県人口 491,912人 から
1946年1月沖縄群島人口 315,775人 を引き、さらに
県外疎開人口      62,000人(概数)を引いた残りが
県全戦没者数   114,137人(沖縄出身の軍人戦死者を含んだ数)
となります。そこから
沖縄出身の軍人軍属死者 28,228人 を引き
逆に上記の人口調査には宮古・八重山諸島の人口が入っていないので、別に推測した
宮古・八重山諸島の戦死者 8,590人 を足した合計が
県民(一般住民)戦没者数 94,490人
これを四捨五入して   94,000人
というわけです。さらにそこから
戦闘参加者と認定された 55,246人 を引いた残りが
一般住民の死者     38,754人
となります。

ところが、この数字には問題がいくつかあるのです。
第1に人口統計の精度です。沖縄戦直前の1944年の人口統計は、当時としてはそれほど精度の低いものではなかったと思われますが、1946年の人口統計は、戦争で公的機関もほとんど壊滅しているので、かなり不正確なものだったと思われます。そして、人口統計の結果に従って食糧の配給を受けられたので、人口を水増しして報告する方が有利でした。だから実際の人口は統計の数字より少ない可能性が高かった。
第2に、1944年2月の沖縄県人口には軍人が含まれていません。しかし1946年の統計には元軍人がおそらく含まれている。軍人(1946年には元軍人)を含んだ人口を比較すれば、人口の減少はもっと大きかったのです。
第3に、県外への疎開者は計算から除外されていますが、実際には疎開中に乗船していた船が撃沈されて亡くなった方が少なからずいます(有名なのは対馬丸)。
第4に、1944年から46年までの約2年間の人口の自然増が計算に入っていません。
第5に、1946年の人口調査には、復員兵、サイパンなどから帰ってきた出稼ぎ者など、沖縄戦当時は在島していなかった人々が、かなりの数含まれています。前述の県外への疎開者の中にも、1946年には帰島していた方がいるでしょう。

これらのことを総合して考えると、
1944年の人口はこの計算より多く(軍人が人口統計に入っていないから)
1946年の人口はこの計算より少なく(水増しがある可能性が高いから)
1946年の人口の中で1944年の人口統計には入っていない人がいる(復員兵、出稼ぎ帰還者、自然増つまりその後生まれた人)
計算から除かれた疎開者の中に計算から除くべきでない人(死者、1946年には帰還していた人)がいる
というわけで、一般住民の実際の死者の数は、この計算で算出された94,000人より遙かに多い可能性が高いのです。実際の数は、おそらく15万人くらいではないかと言われています。それに軍人の死者約94,000人を合わせると、おおむね24~5万人。それが本当の死者の数である可能性が高いのです。
一方、米軍の死者は約14,000人です。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.08.22 23:52:16
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: