inti-solのブログ

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2021.04.05
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テーマ: ニュース(100230)
カテゴリ: 戦争と平和
ミャンマー国軍幹部、弾圧の夜にパーティー 映像が拡散

AFP通信などによると、パーティーは、ロシアの国防次官などを招いて首都ネピドーで開かれ、食事のほか、音楽の演奏もあった。国営放送は、ミンアウンフライン最高司令官ら軍関係者が白い制服と蝶ネクタイを身につけ、レッドカーペットを歩く様子を放送。SNS上では、その映像が犠牲者の画像と並べられて拡散し、多くの人が抗議の意思を示すコメントを載せた。
国軍はこの日、市民による抗議デモへの暴力を各地で激化させ、114人の死者は2月のクーデター後、最悪となった。10~16歳の子どもも犠牲になった。

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ミャンマーをめぐる情勢は緊迫の度を増しています。
軍にも言い分はあるのかもしれませんが、昨年10月の総選挙で、軍政時代の与党であり現在も軍を支持母体とする政党、連邦団結発展党は惨敗を喫し、アウンサウンスー・チー率いる国民民主連盟が圧倒的多数を制しています。連邦団結発展党側はそれを「不正選挙」と主張しているようです。確かに、新型コロナの影響で街頭演説に制限があったことは与党側に有利に働く側面はあったようですし、 Wikipediaによる と、「西部ラカイン州に住む多数のロヒンギャは不法移民として選挙権が認められなかったほか、少数民族政党が地盤とする一部地域の投票が治安上の問題を理由に取り消されたため、100万人以上が投票権を剥奪された。」という問題もあったようです。
ただ、では「不正選挙だ」と主張する軍部や連邦団結発展党が選挙を取り仕切ればそういう問題が起こらなかったのかといえば、明らかにノーです。ロヒンギャを不法移民として敵視する態度は、軍政が中心に形成された、ある意味でミャンマーの多数派勢力にとっての「国是」みたいなものです。(そのことの是非にはここでは立ち入りませんが)
少数民族政党が地盤とする一部地域の投票が治安上の問題を理由に取り消されたことは、それら少数民族政党にとっては極めて不利になったことは明らかですが、軍部、連邦団結発展党にとって特段の不利になったわけではないでしょう。

しかも、ミャンマーの連邦議会議席のうち4分の1は、軍が指名する制度になっています。制度上定められていることなので、それを「不正」とまでは言いませんが、民意とは無関係にかさ上げされた議席数を軍は保証されています。結局、民政復帰後も軍が特別の地位を占めて政府のコントロールを受けない、いわば権力の二重構造がずっと続いてきたわけです。それで「不正選挙」とか、よく言うよという感想しか抱けません。
その軍と、アウンサウンスーチー率いる国民民主連盟のどちらに民意があるか、それはここまでの選挙結果と、クーデター勃発後の抗議の激しさからも明らかです。国民民主連盟だって、問題は大いにあったでしょうが、少なくとも軍に民意の支持はない、これは明らかです。

それにも関わらず、軍は民意を踏みにじってクーデターを起こし、抗議する市民を弾圧しているわけですが、この状況は長続きはしないだろうと思います。


例えば、1973年チリのクーデターは、民主的な選挙で選ばれたアジェンデ政権を武力で倒す、不当きわまりないものでした。でも、アジェンデは選挙で過半数の支持を得ていたわけではありません。保守・中道・左派の三すくみの中で、左派が相対的に多数を制したことで政権を獲得しましたが、過半数の支持を受けていたわけではありません。そのため、クーデター直前には従前は対立していた保守と中道が手を組んだ結果、支持層の積み上げ的な面では少数派になっていました。
ところが、クーデターで成立したピノチェト軍事政権は、政権を撮ったとたんに、それまで手を握っていた中道派(キリスト教民主党)を裏切り、のみならず保守政党を含むすべての政党を禁止して、文字どおり軍事独裁政権を樹立しました。
その結果、一時は軍の武力で反軍政派は圧殺寸前 お状態に陥りますが、やがて中道と左派が手を組んだ激しい反軍政運動がわき起こり、最終的には軍政はそれに屈することになりました。

軍隊は、物理的には、一般市民ではとうてい太刀打ちできない強力な武器を持っています。でも、国民という存在がなければ、どれほど強力な軍隊も成り立ち得ません。その国民の多数派の意見を武力で圧殺する、一時的には屈服させられるかもしれませんが、それはとうてい持続可能なやり方ではありません。ミャンマー軍のやり口に将来はありません。言わば、タコが自分の足を攻撃しているようなものですから、やがて、たち行かなくなります。

そのとき、ミャンマー軍は、今行っている弾圧、様々な残虐行為のツケを、まとめて支払うことになるのではないでしょうか。弾圧で大勢の市民を殺戮したその日に豪華パーティーを開いた連中は、将来は監獄の中にぶち込まれる、そういうことになるだろうと思います。





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最終更新日  2021.06.17 23:17:55
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