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2022.01.17
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テーマ: ニュース(100414)
カテゴリ: 災害
火山爆発指数5~6の規模か ピナトゥボが6、「破局噴火」は7以上

地元当局などの観測では、噴火は日本時間の14日と15日にあり、特に15日午後1時ごろに発生した噴火が大規模だった。
米海洋大気局や日本の気象衛星「ひまわり8号」の衛星画像などから、噴煙の高さは上空約20kmと成層圏にまで達し、半径260kmにわたって広がったとみられる。
噴火があった周辺では2014~15年に海底火山の噴火があり、新島ができていた。世界の火山活動をまとめている米スミソニアン自然史博物館によると、昨年末から今月初めにかけて断続的に噴火があったが、その後は活動が落ち着いていたという。
今回の噴火の規模について、防災科学技術研究所火山研究推進センターの中田節也センター長(火山地質学)は、噴煙の高さや広がりから、火山爆発指数で5~6だったのではないかと指摘する。「ピナトゥボ山の噴火が6で、それと同じか、やや小さいくらいだった可能性がある」と話した。

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トンガでの噴火は、当初15日夜の段階では日本で津波の心配なし、ということでしたが、一夜明けて16日朝になったら全国に津波注意報(三陸に津波警報)が出ていてびっくりしました。地震による津波とメカニズムが違うので、予測等が難しいようです。
気象庁は一時「津波ではない」と言ったり、その後「津波かどうかわからない」と言っているようですが、津波の発生原因は地震のみに限られるものではなく、火山噴火やそれによる土砂崩れ(地震・火山に起因するものに限らず、有史以降に記録はないものの、隕石落下によるものも含まれます)も含むので、今回の事象は当然津波の一種ということになろうと思います。

そして、噴火の規模ですが、1991年のピナトゥボ火山の噴火に匹敵するか、やや小さいくらいの可能性に言及しています。別の報道では、18983年のインドネシア・クラカタウ火山の噴火に匹敵する可能性を示唆するものもあります。

「デジタル台風」に今回のトンガの噴火と昨年の福徳岡ノ場海底火山の噴火の気象衛星写真が並べて掲載されています。

出典:デジタル台風:2022年フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ噴火

今回のトンガの噴火

2021年福徳岡ノ場海底火山噴火


福徳岡ノ場海底火山噴火は、日本では戦後最大級、明治以降でも桜島大正噴火以来第2位の噴火規模とみられていますが、それでも噴火の規模は今回のトンガの噴火とは大差があります。もっとも、福徳岡ノ場は火口の水深が25mの海底なので、噴出物の多くは軽石として海中に放出され、空中に放出された火山灰はごく一部であることも、この差の一因ですが。

引用記事に火山爆発指数が触れられていますが、無料記事部分は途中で切れてしまっています。

過去100年間で最大規模の噴火は前述の1991年ピナツボ火山の噴火で、噴出物総量は10立方km、爆発指数は6でした。1883年のクラカタウ火山噴火の爆発指数は同じく6ですが、噴出物総量はピナツボ火山の2倍にあたる20立方kmでした。
破局噴火の爆発指数7の最新の事例は1815年、同じインドネシアのタンボラ山で、噴出物総量は150立方kmと推定されています。これは、有史以降の火山噴火としても史上最大と推定されています。日本における爆発指数7の噴火は、7300年前の縄文時代、鹿児島沖の喜界カルデラの噴火(噴出物総量100立方km)が最新の事例です。
というわけで、もし今回の噴火がピナツボ火山と同規模とすれば30年ぶりの規模であり、クラカタウ火山と同規模とすれば140年ぶりの規模ということになります。

ちなみに、日本の主だった噴火の例で言うと、
1707年 富士山宝永噴火 噴出物総量1.7立方km(マグマ換算0.7立方km) 爆発指数4
1914年 桜島大正噴火 噴出物総量マグマ換算1.6立方km 爆発指数5
1991年 雲仙普賢岳 噴出物総量マグマ換算0.2立方km 爆発指数4※
2011年 新燃岳 噴出物総量マグマ換算0.02立方km 爆発指数3
2013-15年 西之島 噴出物総量0.16立方km 爆発指数4
2014年 木曽御嶽山 噴出物総量0.001立方km以下 爆発指数おそらく1
2021年 福徳岡ノ場海底火山 噴出物総量0.5立方km 爆発指数4



となります。噴出物総量は記載ないものは地上に出た噴出物の体積ですが、「マグマ換算」とあるものは地上に出た火山灰や火砕流、軽石の体積の半分前後になります。いちぶ、どちらの数値が不明のものもあります。いずれにしても、これら日本の主要な火山噴火のどれより、今回のトンガの噴火は、はるかに大規模となります。

火山の沖合15kmから撮影したという噴火の動画(動画部分は1:00より)


火山からトンガの首都までは60kmあまりしか離れていないということで、通信網が途絶して現地の状況は明確には分からないようです。ただ、各国大使館からの衛星電話による断片的な情報では、人的被害は今のところ報告されていないようです。報告されていない(分からない)だけであって、皆無とは思えませんが、火砕流に覆われて死屍累々、という状況ではないことは確かなようです。ただ、あくまでも「現時点では」です。

ニュージーランド首相の発表によれば、大量の降灰に見舞われて街並みが月面のようになっている、とのことです。
1991年ピナツボ火山の噴火では、火山から30km圏内の住民全てを事前に避難させていたため、火砕流や溶岩、火山弾による直接の死者は出ませんでした。


ただし、今後は分かりません。
まず、噴火がこれでおしまいかどうかが分かりません。今回と同規模あるいは更に大規模の噴火が起こる可能性は、現時点では分からないでしょう。
そしてもう一つ、火砕流や溶岩、火山弾による直接の死者が出なかったピナツボ火山噴火でも、その後ラハール(火山泥流)による土砂崩れや雨を吸って重くなった火山灰による家屋の倒壊などで、800人以上の死者を出しています。さらに、避難所生活での不衛生な環境によっても数百人の死者が出ており、合計すると1000人以上が亡くなったようです。
前述のとおり、今回の噴火でも大量の降灰に見舞われているので、今後降り積もった火山灰による二次災害で多くの犠牲者が出る恐れがあります。

そしてもう一つ、この噴火の影響は全世界に及ぶ可能性があります。成層圏まで吹き上げられた火山灰によって日光が遮られることによる「火山の冬」と言われる気候変動です。
ピナツボ火山の噴火では、翌1992年と93年の北半球の平均気温が0.5から0.6℃下がり、地球全体で約0.4℃下がったとされます。日本においては、噴火直後の1991年と92年の夏も、冷夏気味でしたが、最大の影響は2年後の1993年で、記録的な冷夏となりました(観測史上唯一、沖縄・奄美を除く日本本土で梅雨明けが記録されず、「平成の米騒動」となった年)。
この原因の大きな部分がピナツボ火山の噴火だと目されています。

噴出物総量がピナツボ火山噴火の2倍に達したクラカタウ火山の噴火では、その後5年間平均で世界の平均気温が1.2度下がったというので、気温低下の程度もピナツボ火山の噴火を上回ったようです。ただし、この当時はまだ気象統計も断片的なので、正確な推計とは言えないでしょうが。

※ちなみに、気象庁の統計で調べると、クラカタウ火山噴火の翌翌1884年の東京の年平均気温は12.9度、札幌は5.7度でいずれも観測史上の最低記録、鹿児島は15.9度で史上2位の低温記録、8月の月平均気温は東京24.1度で低温記録の史上5位、札幌18.4度、鹿児島25.7度でいずれも2位の低温記録です。それ以前の十分な長さの記録があるわけではないので(観測記録は東京1875年、札幌1877年、鹿児島1883年から)「それ以前との比較」は不明確ですが、少なくともそれ以降との比較では、1884年が記録的に寒かったのは確かです。

なお、ピナツボ山は北緯15度、クラカタウ火山は南緯6度、トンガは南緯21度なので、過去の2例より南に位置しているため、北半球よりは南半球の方が影響は大きいでしょうが、そうだとしても北半休は影響なし、では済まないものと思われます。





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最終更新日  2022.01.17 21:03:53
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