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Break Time(一休み)
今回は少しマニアックなナチス・ネタです
ナチスのアートディーラー、ヒルデブラント・グルリットのコレクション
ホフブロイハウス(Hofbräuhaus)
2011年、 ミュンヘンのアパートの一室
。脱税容疑で当局が踏み込んだ時、 大量の絵画が発見
された。
その絵画はアートディーラーだった彼の父が隠し持っていた物で、実は 第二次大戦前中、ナチス・ドイツによってユダヤ人から略奪された絵画1500点(推定約10億ユーロ(1330億円)
であったそうだ。
容疑者の父親 (Hildebrand Gurlitt)(1895年~1956年)は美術品の審美眼と人脈の広さから、ナチス・ドイツのヨーゼフ・ゲッベルスに気に入られ、アドルフ・ヒトラーのための美術館のディーラーに就任していた男だった。
彼はユダヤ人からだまし取ったり美術館から押収して絵画を集め(1930~1940年代に入手)。かつナチスが退廃的だとみなした芸術作品に関しては売りさばくと言う仕事をしていた。
もともと前衛芸術に造形の深かった彼は ナチス公認のアートディーラーの立場を利用。略奪品を個人コレクションとして残していた・・と言うわけだ
。
前回触れた ゲーリング空将の個人コレクションであるが、これもまたヒルデブラント・グルリットが買い付けをしていたと
言う。因みにヘルマン・ゲーリングはナチス御法度の退廃芸術にも感心があったらしい。
ヒルデブラント・グルリットはアメリカ軍に対して、絵画はドレスデン爆撃で消滅したと報告し、戦後もアートデイーラーとして活躍。 彼の死後に前出息子のコルネリウス・グルリットが相続
。
こうなるとゲーリングのコレクションはドレスデン爆撃で本当に消滅したのか、はなはだ疑問が残る。
押収された作品の中は確かに前衛の作品、パブロ・ピカソやアンリ・マティス、未発表のマルク・シャガールの作品もあったらしいし、ドラクロワなどの古典作品もあったらしいから・・。
ゲーリングのコレクション一部はヒルデブラント・グルリットが持っていた絵画の中にあったのか? それともアメリカ軍によって持ち出されたのか? 本当に灰になったのか?
その真相を知る人はもういないのかもしれない
2014年5月になって息子のコルネリウス・グルリットが死去。
当初返還に応じなかったコルネリウス・グルリットであるが、彼の死により代理人と政府が交渉。
それら 作品(額縁なし1285点、額入り121点の絵画やスケッチ)はドイツ政府から任命された美術専門家らによる国際調査団が来歴を調査。正当な所有者を突き止め返還される可能性が出てきたようだ
。
個人的にはアドルフ・ヒトラーやヘルマン・ゲーリングがどんな絵画をコレクションしていたのか? その彼らの絵画の趣味が知りたかったな・・と思う どこかにそのリストは出てこないものだろうか?
ホフブロイハウス(Hofbräuhaus)
さて、ミュンヘンはナチスの本拠地であり、そのせいで第二次大戦中は連合国により6年間で71回と言う激しい空爆を受けた街なのです。
今回写真ネタとして紹介する ホフブロイハウス(Hofbräuhaus)はミュンヘンでは観光客に人気のビア・ホールなのですが、実は無名時代のヒトラーが何度も演説した場所として知られた場所
です。
ホフブロイハウスはミュンヘンの6大ビールメーカーの一つ。
創業は1589年。バイエルン公ヴィルヘルム5世(Wilhelm V)(1548年~1626年)により宮廷用ビール醸造所として始まったそうだ
。
1806年にバイエルンが王国に昇格すると王立醸造所となる。
一般開放された 酒場となるのは1828年
。
前に紹介した新市庁舎(Neues Rathaus)の
ラーツケラー(Ratskeller)は1874年創業ですから、それより50年近く古くからあった居酒屋と言う事になります。
現在の建物は1897年のものらしい。
1階がビアホール、2階がレストラン、3階が有料のショーが催されるフロアでツアー客は主にこちら。
ヒトラーが演説していた場所は3階である。
1階フロアの天井は漆喰の壁に絵が描かれている。
ヒトラーが画学生だった頃に絵を描いていた事もあったとか・・。
日本のビア・ホールとはちょっと違う。
皆さんジュースのようにビールを飲むだけでおつまみ食べている人はほぼいない。
1階のバンド
3階フロア
3階はショーを行うのでステージが付いたまさしく宴会ホールである。
ヒトラーは無名時代から何度もここで演説をしては同志を増やして行ったと言う。
1920年ついには 国家社会主義ドイツ労働者党(Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei )の党大会をここで開催
。
アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)(1889年~1945年)は総統となりこのステージ上で演説している。
ホフブロイハウスの収容人数は3500人とか・・。
それ故か? ナチスはよくここを集会に利用していたらしい。
現在ここに来るのは観光客が中心です。
バイエルン地方の民族音楽やダンスを披露してくれる。
ホフブロイハウスのマスコットとなっているアヒルのソフビ。
前にも紹介したが、欧州ではこのアヒルが流行しているようで、どの観光地に行ってもご当地アヒルやお店の看板をしょったアヒルが販売されていた。
ここのは作りがとても綺麗。
次回ボスの作品を1点 紹介してからアウグスブルグに行く予定。
※ ナチスの略奪美術品について2018年03月「ナチスと退廃芸術とビュールレ・コレクション(Bührle collection)」で詳しく書いています。
リンク ナチスと退廃芸術とビュールレ・コレクション(Bührle collection)
ナチスと退廃芸術とビュールレ・コレクシ… 2018年03月19日