全3件 (3件中 1-3件目)
1

小説 「scene clipper」 Episode 20 今日の東京は快晴。水城の再出発を祝うかのようだ。俺も嬉しい。 10時 井の頭線4番ホームはリョウの声が良く通り、朝の混雑のピークを過ぎてやっと静かになったホームを利用する乗降客が振り返るほどだ。 「夕子ちゃん!久しぶりだねえ、おう元気そうだ!水城のやつ抜けれて良かったな・・・」「はい、リョウさんのおかげで、有難うございます」「いやいや、元々悪じゃないからこいつは・・ちょっと元気が良すぎただけだから」水城が袖を引いて 「リョウさん、そんな大きな声で話すことじゃ・・・」「何だって?そんな消え入りそうな声じゃ何言ってんだか分かんねえぞ」「・・・あ、電車来ます」「夕子ちゃん、こいつ誤魔化すの上手くないか普段も」「はい、じょうずです」「夕子それは・・・」水城が何か言いたそうに夕子の利き腕を掴もうとしたので俺は助け舟を?出した。 「あ、ドア開くから邪魔だよ水城くんこっち」と水城を俺の方に引き寄せた。そこへ一人だけ遅れたメンバーの声がした。「ナイスフォローね、リョウさん」 一人を除いた全員が振り向くとラストに現れたマリがいた。「何がナイスフォローだよ、遅れといて・・・・・今のナイスフォローだった?」 それには答えずマリは乗客が降りてしまったのを見て真っ先に乗り込み振り返って「早く乗りなさい」と言ったが、目はそのセリフに続けて『何してんの』そう言ってるように見えた。 「お、今日はスカートなんだ・・・」「やっと気付いた・・・けど目がヤラシイ・・・」「いや、あ、きれいな脚してっから意外だったんだな、うん」 俺は狼狽えてんのに・・・こういう時男は女にゃ敵わない。それにしてもこの色気はなんだ?別人じゃないか・・・。!これだと上妻のタイプかも・・・。 リョウはかなりパニクリながらだったからか直ぐに下北沢駅に到着。 「えっと、東口?」「西口2ですよ・・・1階に降りるんですよ」「わ、分かってるって、子ども扱いすんな」西口2に出ると道を隔てて直ぐにセブンが見えた。 「上妻!」と手を上げたが・・・隣りの女・・連れか? セブン側に渡り切る・・・紹介があるな。 「スー、こいつがいつも話してたリョウだ」「リョウ、この人はスージー、今日一緒にいいかなランチ。他の人もどうかな・・・あ、こちらが例の」とマリに向けて笑みを浮かべながら言った。 「リョウ、紹介してくれないの?」呼び捨てのその意味、わかるけど今のリョウは そう、リョウは上妻の、恐らく彼女、から目が離せない。 「どこかで・・・」とリョウが言えば「そう、どこかで・・・」とスージーも・・・!!「あ!伊藤さんちのホームパーティ!」「そうそう、そうですね!リョウちゃんってミスター伊藤はそう呼んでた!」 「知り合いなの!?」今度はマリと上妻が同時に、まるでユニゾンで歌うように言った。水城と夕子は「取り残されてる」という思いで固まってしまった。いつも応援、コメント頂きありがとうございます。今日もよろしくお願いします。(^^♪
2023.05.28
コメント(39)

小説 「scene clipper」 Episode 19軽やかに爽やかに「ブリージン」が着信アリを告げる。リョウの夏の定番だ。中野通り沿いにあるレコードショップで買った。オーナーと奥さんが二人で経営してた。ジョージベンソンがギターを抱いたアルバムをレジに持っていくと二人してとても嬉しそうに笑顔満面で迎えてくれた。清算ではなく、歓迎してくれたという印象を持てた買い物は初めてだったから今でも鮮明に覚えている。わずかに戸惑った俺に先ず奥さんがこう言った。 「あなたのような若い人がこのアルバムを買ってくれて嬉しいな」「え?」若干驚いたリアクションした俺に隣にいたご主人が奥さんの言葉をフォローした。「本当に嬉しいんだ。最近の若者はロックが殆どだからね」「だから、本当に嬉しいの。このアルバムはフュージョンでジャズとは言えないって言う人もいるけど、ちゃんとスウィングしてるし、ね」と夫を見る。 「ああ、立派にジャズだよ・・それにあまり小さいことに拘るのは音楽を楽しむのに邪魔になるのさ・・・あ、気にしないで・・楽しんで」「そう、楽しんでね」「分かりました、有難うございます。」て頭を下げた。「お礼を言うのは私たちの方だわ、ね」「ああ、ありがとう、楽しんでね」 ドアを開けて出る前に振り返ると夫婦が優しい笑顔いっぱいで手を振ってくれていた。温かい気持ちで胸が一杯になったなあ、あの時は・・・。 「リョウさん、りょうさんったら!電話出ないの?」いつの間にか水城が来ていて驚いた。急いで[通話]をタップする 「もしもし?」「何だよ居ないのかと思ったぜ」「あ、上妻・すまん、今ちょっと過去と繋がってて・・・」「ほんとにお前は良く疑似タイムトラベルするよな~」「へへ、で何?」「そっちに行って目を覚ましてやろうか、お前がパスタの店を探してくれって言ったんだろうよ」 「あ、それそれ。どこかいい所あったかい?」「ああ、パスタでいいんだろ?」「うん、お前も食べるだろ?」「おう、だから値の張る店を見つけてやったぞ」「え、おれの予算聞かないでか?」「噓だよ、美味しくて安価な店が近くに出来てな、そこにするべ」「おどかすなよー俺ほんとは気、ちっちゃいんだからなホントは」「そんなことは大昔から知ってるって、大丈夫もしも予算オーバーしたらその分は俺が持つから」「そっかー持つべきものは、だなあ」 「・・・でだ、下北沢駅の西口2を出て目の前にローソンがあんだろ?」「知らない、最近下北ロフトにも行ってないから」「・・・まあいい、とにかくそのローソンの前に11時でどうだ、で、パスタの店に俺が電話して混んでるようなら予約を入れとく、それでいいだろ?」 「おう、それで頼むよ、こっちは俺入れて4人だから」「分かったじゃあ明日な」「うん、ありがとな」 慌ててかけ直す。「おい、上妻、店の名前は?」「俺が知ってるからいいだろけど・・・まあ知っといた方がいいか『デリツィオーゾ パスタ』という店だ」「デリ・・何だって・・・デリ・・ツィオーゾ?変わった名前だな、何語でどういう意味だ?」「イタリア語で『歓喜』という意味らしい」「ふーん、じゃあ歓喜のパスタってことか、大袈裟な名前だな。分かったじゃあ明日な」 「水城、お前夕子ちゃんに知らせてくれ、俺はマリちゃんの・・・番号知らなかったんだ・・・」「いいですよ、そっちも僕がやっときます、けど何時にどこに集合っすか?」「そうだな・・・明大前、井の頭線4番ホームに10時でどうだ?」「10時ですか・・・早くないすか?」「何があるかわかんねえだろ、いいから電話しろ」「分かりました。で、リョウさんは何するんですか?」 「俺は・・・下でコーヒー買ってくる・・・なんだその目は?お前のも買ってくるから・・・モカだったな」「有難うございます、お願いします」「よし、やっと『オス!』が出なくなったな」 水城は照れながら頭をかいた。いつも有難うございます。今日もよろしくお願いします。(^^♪
2023.05.18
コメント(42)

小説 「scene clipper」 Episode 18 「いやいや、めでたいぞ! 水城、本当に良く頑張ったな!自ら乗り込んであのブラック・キングから抜けることを認めさせた!偉いよお前は!」 よほど嬉しかったとみえてリョウは何度も水城の肩をたたいて、目出度い、偉いを連発し続けた。 「痛い、リョウさん痛いっす、褒めてくれるのは嬉しいけど・・・もう充分ですから・・・痛いですって!」 水城が肩をたたくのはやめて欲しいと願っているのは間違いないように見えるのだがしかし、感激屋のリョウはいったんスイッチが入るとなかなか止まらないのである。 リョウはまた何か自己満足に至る閃きがあったのだろうか、会心の笑みを浮かべて言った。「そうだ!そうだな、これはやらなきゃな・・・」 その様子をそばで見ていた水城はぞっとした! 「リョウさん、また何かとんでもないこと、思いついたんじゃないでしょうね!」「何だよとんでもない事って、それに『また』てのも気に入らねえなあ」 「忘れたんですか、去年の夏のこと・・・」「・・・ああ、あれか・・・」「ああ、あれかじゃないですよ。うちの先祖が旗本だったからって、『旗本の子孫集めて江戸城で馬揃え( 騎馬 を集めてその優越を競いあう 武家 の 行事 の1つ )をやらないか』そう言って、冗談かと思ってたら一人で都庁に、あんな企画を持ち込みに行って、結局笑われて帰って来た。あの一件のことですよ・・・」リョウが首をすくめた。珍しいことである。 「あれはなぁ、江戸城が今は皇居だってことを、うっかり忘れてたんだよな・・」「普通は忘れませんって」 「それはまあ、置いといてだ」 (はい、いつものパターンから今日は何が始まるのかな?) 「明日は日曜日、で、お前明日なんか用事あるか?」「・・・ない、と思いますけど」「なら夕子ちゃんも連れてくるといい、俺が昼飯おごるよ」「え、ほんとですか?」「ああ、お前が偉かったからな祝いだよ」「・・・・・・・・・・・・」「おいおい、タバコ吸ってないからな、目に沁みるとか言うなよ」「まさか、リョウさんと一緒にしないで下さい」「ばか野郎・・・」 前触れもなくこの場にいないはずの人の声が・・「男二人で何をくっちゃべってるんだかねえ」 「おっと、マリさんノックくらいしてよ。それにしても久しぶりだね」「そうね、Episode 10 以来かしら?」 「あの時は悪かったな、あんたの心ん中に土足で入り込んじゃって、すまない」「あたし驚いたんだあの時、あんたがそこらの男ならぶん殴ってた。『どうしちゃったのあたし?』って・・・だから、逃げたんだあんたの前から・・・」「いいよ、その話の続きは二人きりの時に・・・ね」マリは嬉しそうに大きく頷いた。 「ところで、明日のランチは水城のお祝いするんだけど、マリさんも来るかい?」「お祝いって?」「こいつがブラック・キングを抜けた祝いさ。俺のおごりだぜ」マリは何も言わず水城をハグした。 「良く踏ん切り付けたね、偉いよ」 微笑ましい光景に目を細めながらリョウはスマホを手に取った。 「おう上妻か、うん久しぶり。明日の昼飯一緒にどうだ?・・・そうだなあ、パスタなんかどうだ?・・・うん、お前に任せる・・・決まったら電話くれ・・・うん、じゃあな」いつもありがとうございます。今日もよろしくお願いします。(^^♪
2023.05.08
コメント(62)
全3件 (3件中 1-3件目)
1

![]()
![]()